2025年4月24日木曜日

オーストラリアがB-2ステルス爆撃機を購入する日が来る?(Breaking Defense)

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2024年6月13日、ヴァリアント・シールド24演習を支援するため、グアムのアンダーセン空軍基地でホワイトマン空軍基地から配備されたB-2スピリットをマーシャルする第13爆撃機飛行隊所属のB-2スピリットパイロット、スチュアート・シッピー少佐。. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Kristen Heller)

オーストラリアは対中防衛のためB-2Aステルス爆撃機を米国から購入すべきと、ASPIのユアン・グラハムとライナス・コーエンが主張


国海軍がオーストラリアを周航したことで、オーストラリアの空と海における防衛での差し迫った必要性を浮き彫りにした。原子力潜水艦は強力だが、AUKUSの下で豪州初の艦艇が生まれるのは少なくとも7年先のことだ。航空戦力は、豪州の長距離攻撃能力のギャップを埋めるのに十分な位置にある: 航空戦力は、海上攻撃という役割において、潜水艦や艦船よりも明らかに優れている。

 しかし、F-35AやF/A-18Fでは航続距離が不足し、2010年にF-111が退役して以来、豪州は爆撃機を実戦配備していない。

 この問題を解決するには、オーストラリアだけでなく、重要な同盟国であるアメリカも想像力を働かせる必要がある。幸いなことに、解決策は手元にあるが、航空機そのものと同様、それを発見するのは容易ではない。あり得ないと思われるかもしれないが、オーストラリアはアメリカのB-2Aスピリット爆撃機を追い求めるべきであり、そのためのチャンスはわずかながらある。

 オーストラリアは、中国の戦略的挑戦を第一に念頭に置き、抑止力と戦闘能力を高めるために、完全な主権能力としてB-2Aを取得することになるだろう。アメリカはまた、AUKUSを通じた海中やその他の能力の開発とともに、航空戦力の大幅な増強を通じて、緊密な同盟国が地域のパワーバランスに安定的な貢献をすることをさらに可能にすることによっても利益を得るだろう。

 B-2Aは、航続距離、積載量、プラットフォーム単体での生存性など、豪州の能力要件を満たすのに適している。B-2Aは、2022年に統合された統合空対地スタンドオフ・ミサイル(エクステンデッド・レンジ)などの兵器を搭載し、すでに長距離精密打撃の役割に移行していることが示唆されている。海上攻撃は、昨年のリムパック演習に参加したB-2Aが特に重視した性能で、低コストの船舶撃沈機として改良型JDAM重力爆弾の使用を実演した。これらは、オーストラリア空軍(RAAF)がすでに保有している能力である。

 オーストラリアがB-2Aを獲得するには、いくつかの大きな障害をクリアする必要がある。

 第一に、米国はB-2Aの数が限られており(現存するのはわずか18機)、独自技術であることから、これまでスピリットの輸出を検討したことはない。第二に、オーストラリアは数十億ドル規模の投資を数少ないプラットフォームに集中させることになる。ちょうどオーストラリア国防軍が「絶妙な」能力から軸足を移し、戦闘の秩序に質量、深度、リスク価値を高める必要がある時期である。第三に、B-2Aは通常兵器だけでなく核兵器も運搬する役割を米空軍に提供しており、オーストラリアが核兵器保有を禁じていることと両立させなければならない。最後に、トランプ政権に対するオーストラリアの批評家たちは、同盟国としてのワシントンの政治的信頼性への疑念がピークに達している今、このような取得は無謀だと非難しかねない。

 これらの欠点を除外するまでもなく、豪州には戦略的ニーズに見合ったスケジュールで、実行可能なB-2A爆撃機能力を獲得する道がある。  そして、そのチャンスの窓は比較的小さく、キャンベラが今後2、3年以内に断固とした行動を取る必要がある。

なぜ他の航空機ではだめなのか?

他の選択肢はどうか?米空軍から退役するB-1Bランサー爆撃機を獲得する、英・伊・日のGCAP計画に参加する、などだ。

 B-21は長期的な能力を提供するだろうが、オーストラリアにとっての同機のオプションでの問題点は、米空軍が自国の爆撃機部隊を再編成する必要性と相反することである。したがって、B-21が使用可能になるのは2030年代以降になるだろう。12個飛行隊で160億~180億ドルと見積もられている。そしてB-21は、25年度の予算要求では予算を下回っているが、コスト超過と遅延の可能性は残っている。

 米空軍の中古機B-1Bを豪州で使用する主な利点は、ランサーが現在飛行中であり、すでに対艦任務用に設定されていることである。 主な欠点は、米空軍がB-21にリソースを振り向ける間、RAAFがB-1Bの維持のための全負担を引き受けなければならないことである。B-1Bの運用寿命は8,000〜10,000飛行時間で設計されているが、イラクとアフガニスタンでは近接航空支援プラットフォームとして広範囲に使用されたため、現在では平均12,000飛行時間を超えている。B-2Aの飛行時間に関する統計は公開されていないが、米空軍はB-1BよりもB-2Aをはるかに惜しんでいる。オーストラリアはリターンが激減する時点で投資することになる。

 GCAP共同事業機は、爆撃機ではないが、長距離打撃の役割を考慮するには十分な大きさになる可能性が高い。このプログラムに対するオーストラリアの関心は高まっており、GCAPはB-21よりも手頃な価格になりそうだ。しかし、著しく有利なスケジュールでは利用できないかもしれず、プログラムの多国籍性が遅延やコストの高騰につながるのではないかという懸念も絶えない。

 一方でスピリットはすでに米空軍で借りた時間の中にある。グローバル・ストライク・コマンド全体の規模を拡大することなく、B-21への移行に対応するため、(B-1Bとともに)2030年代初頭に退役する予定だからだ。正確な時期の特定は難しいが、B-21導入が順調に進めば、米空軍は爆撃機全体の数を減らすことなく、この10年の終わりにB-2Aの退役を開始できる可能性がある。 (アメリカ空軍は以前、B-2Aを2040年代まで飛ばし続けると述べていたが、ノースロップ・グラマンによるB-2Aのメンテナンスとサポートに関する70億ドル契約は2029年末で終了する)。

 B-1BとB-2Aを退役させることは(由緒あるB-52は現役を維持する)、アメリカ空軍にとって高額で負担の大きい廃棄問題を引き起こす。このような背景から、8機以上のB-2Aを購入するというオーストラリア提案は、米空軍と、同盟国からの負担分担強化の必要性を強調するトランプ政権の双方から好意的に受け入れられる可能性がある。

どのように機能するか

間違えてはならないのは、これはコストのかかる取り組みであり、防衛費の大幅な引き上げの一環として行われる必要があるということだ。しかし、もし政府がその気になれば、キャンベラとワシントンの双方にメリットがある。

 オーストラリアは、米空軍の爆撃機やその他の戦闘機の定期的な配備を支援するために、いくつかの空軍基地を改良してきた。ノーザン・テリトリーにあるオーストラリア軍基地は、昨年10月、イエメンのフーシ派の標的に対するB-2Aの攻撃作戦を支援するために使用された。

 将来的にオーストラリアへのB-2A配備が拡大される可能性もあり、その場合、オーストラリアでB-2Aを維持・存続させる課題がさらに追求されることになる。重メンテナンスは米国内で行わなければならないかもしれず、オーストラリアはいかなる合意においてもその部分をサポートする必要がある。しかし、米空軍がB-21へと移行するにつれて、オーストラリアはB-2Aの整備資金を徐々に負担するようになり、アメリカの納税者の負担を軽減することができる。B-2AとB-21の維持管理の足跡がある程度重なると仮定すれば、オーストラリア空軍とアメリカ空軍は、オーストラリアの主権資産として運用されるスピリットと、アメリカ空軍が同時期にオーストラリアへの前方配備を開始できるB-21のために、オーストラリアで共有の支援施設を開発することもできる。これは、同盟の枠組みの中で、規模の経済を約束するものである。

 B-2Aはオーストラリアにとってその場しのぎの能力ではあるが、これを運用することの利点は、B-21がいずれ十分な数入手可能になり、米国がキャンベラへの輸出を検討すれば、B-21への移行の道筋をRAAFに提供できることである。

 オーストラリア国内の反核懸念を和らげるため、B-2Aに核兵器を搭載するシステムは、RAAFの基準に適合するようソフトウェアを変更することで無効にできる。同様に、B-2AをLRASMのような対艦兵器に適合させても、克服できないほどの遅れは生じないだろう。

 このようなことはすべて、対外的な軍事売却を通じて、非常に貴重なステルス技術やその他の技術を守ることを信頼できるとワシントンを説得するため、オーストラリアが大規模な外交努力を展開する必要がある。しかし、AUKUSで作られた前例がある、オーストラリアによるITARの適用除外、そしてRAAFと米空軍の間に存在する緊密な関係は、この譲渡を現実的なものにするため大いに役立つだろう。

 たしかに野心的だ。そう、実現にはハードルが高すぎる。米国にB-2Aを売却するよう説得すれば、オーストラリアの防衛態勢は格段に速いスケジュールで変化するだろう。■

Australia should talk to Washington about buying B-2 stealth bombers

By   Euan Graham and Linus Cohenon April 16, 2025 at 10:30 AM

https://breakingdefense.com/2025/04/australia-should-talk-to-washington-about-buying-b-2-stealth-bombers/


ユアン・グラハムはASPIのシニアアナリスト。ライナス・コーエンはリサーチ・インターン。


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