2025年7月21日月曜日

ペンタゴンのF/A-XX戦闘機の開発棚上げが太平洋戦線での敗北を生むかもしれない(National Security Journal)


F/A-XX U.S. Navy Fighter. Image Credit: Creative Commons.

F/A-XX U.S. Navy Fighter. Image Credit: Creative Commons.



F/A-XXに関する要点とまとめ

 - 米海軍の次世代F/A-XX戦闘機は贅沢品でなく、中国による長距離ミサイルの脅威に対抗するために極めて必要な装備品である。

-現在の空母航空団は、老朽化したF/A-18とステルス重視だが航続距離の限られたF-35Cに依存しており、中国に「打ち勝つ」ことはできない。

-F/A-XXを最小限の資金で「生命維持」するという国防総省の決定は、重大な戦略的誤りである。

-F/A-XXのような高速、長距離、重武装の打撃戦闘機がなければ、アメリカの空母は太平洋での紛争で危険なほど脆弱になる。


F/A-XX戦闘機の過ち

映画『トップガン』で、主人公の海軍飛行士 "マーベリック "が「必要性を感じる...スピードの必要性を」とのセリフは有名だ。彼が100マイルの長距離空対空AIM-54フェニックス・ミサイルを搭載した航続距離1,800マイル以上のF-14トムキャットを操縦していた頃は、それも通用したかもしれないが、今日ではスピードだけでは通用しない。

 マーベリックは現在でも「必要性」を感じているだろうが、中国との現代戦で生き残るためには航続距離の必要性を感じる必要がある。海軍の第6世代空母艦上攻撃機(F/A-XX)は、将来のマーベリックが戦闘で勝つためには、速度と航続距離の両方を受け入れる必要がある。

 中国はPL-17のような射程距離250マイル近い空対空ミサイルを配備している。米国が保有する最も射程の長い空対空ミサイルはAIM-120Dで、射程は約110マイルと報告されている。AIM-174Bは、中国のPL-17に匹敵する射程距離を持つ。 この空対空ミサイルの差は縮まりつつあるかもしれないが、中国の兵器の射程圏外にある空母から攻撃任務を遂行するのはまた別の課題である。

 現在、中国はDF-21Dのような対艦弾道ミサイルを保有しており、中国から1000マイル近く離れたフィリピン海まで空母を攻撃することができる。空母を危険にさらすことなく敵に接近して攻撃するということは、次世代空母打撃戦闘機(F/A-XX)に航続距離が必要になるということだ。目標まで迅速に進む必要性を考えれば、無給油での航続距離は1,500マイルをはるかに超える必要がある。

 中国の防空圏外から攻撃することも必須であり、これは攻撃兵器にも航続距離が必要であることを意味する。これらの兵器は、陸上および海軍のHQ-9B(射程155マイル以上)など、中国の防空圏外から発射する必要がある。長距離の空爆兵器が必要であるということは、その兵器の大型化を意味し、その兵器を搭載する航空機も大型化することになる。

 そのため、F/A-XXは巨大になるが、それでも空母からの配備は可能である。これと同じ理由で、F-14も非常に大きかった。長距離のAIM-54を使用し、マッハ2.34(F-35C空母型は最高マッハ1.6)で飛行するために、先進的なAWG-9レーダーを搭載できる必要があった。

 現代の戦場でF/A-18は脆弱であり、射程距離という重要な部分で中国に打ち勝つことはできない。また、F-35Cの長所はステルス性であるものの、武器搭載量に限界がある。内部兵装庫に長距離空対空兵器や攻撃兵器を搭載できない可能性が高い。

 必要なのは、空母に対する空と地表の脅威を抑え、F-35Cや将来の空母搭載ドローン、さらには現在も就役中のレガシーF-18による後続攻撃への道を開く、高速で長距離、重武装の攻撃戦闘機である。

 第5世代のF-35C戦闘機は2019年に、F/A-18は1983年に海軍に就役した。第6世代の空母艦載機を納入することは重要だが、それには今行動が必要だ。悲しいことに、国防総省はF/A-XXを7400万ドルの開発費で生命維持装置にかけようとしている。海軍は、予算のない優先事項要求で14億ドルの再検討を要求している。

 今日の危険を考えると、安直な解決策はない。空軍はF-47を、海軍はF-35Cを必要としている。

 しかし、次の太平洋戦争の初期に固定飛行場が使用不可能になれば、長距離兵器を搭載できるF/A-XXの航続距離と能力がなければ、アメリカが第一列島線で反撃する能力は必要以上に危険なものとなるだろう。■



Military Hardware: Tanks, Bombers, Submarines and More

The Pentagon’s F/A-XX Fighter Mistake Could Cost America a War in the Pacific

By

Brent Sadler

https://nationalsecurityjournal.org/the-pentagons-f-a-xx-fighter-mistake-could-cost-america-a-war-in-the-pacific/

著者について ブレント・D・サドラー、海軍専門家

海軍で26年間、原子力潜水艦、国防総省の上級指導者の個人スタッフ、アジアでの軍事外交官として数多くの作戦に携わった後、ヘリテージ財団に入社。シニア・リサーチ・フェローとして、ブレントは海洋安全保障と、海軍を中心とする将来の海上戦力を形成するテクノロジーに焦点を当てている。ブレントは1994年に米国海軍兵学校を優等で卒業し、システム工学(ロボット工学)の学位と日本語の副専攻を取得している。2004年にオルムステッド奨学生として東京に留学し、慶應義塾大学、上智大学、国連大学で学ぶ。上智大学で文学修士号、国立戦争大学で理学修士号を取得し、2011年に優秀な成績で卒業。 


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