2025年9月18日木曜日

GCAPエンジンチームが実証機の開発で進展を示す(Aviation Week)

 

GCAP propulsion system rendering

GCAP推進システムのレンダリング画像。クレジット:ロールスロイス

ロンドン発―グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)戦闘機の動力・推進システムを開発中の航空エンジン各社は、実証機用エンジンの技術開発において大きな進展があったと発表した。

イタリアのアヴィオ・アエロ、日本のIHIロールスロイスは、2030年代半ばに就役予定のGCAP戦闘機に搭載されるエンジンの設計基盤となる、パワープラント向け積層造形技術、冷却システム、高圧圧縮機設計の作業で進展があったと説明している。

3社のエンジニアリングチームは既に複数回の共同レビューを実施し、エンジン実証機の設計を承認。ハードウェア調達を開始しており、その一部は現在エンジン組立に向け準備が進められている。試験された技術の中には、積層造形技術の高度化で開発された新型燃焼器がある。これは独自の幾何学的冷却経路を形成し、エンジンがより高温で長時間稼働することを可能にすると同時に、エンジン寿命の延長も実現する。

この実証エンジン開発の進捗詳細は、DSEI防衛展示会初日に明らかになった。3社は同日、BAEシステムズレオナルド日本航空機産業振興株式会社(JAIEC)が新設した航空機製造合弁会社「エッジウィング」との連携を目指した強化協力協定に調印しと発表した。エッジウィングがGCAP戦闘機の設計・開発における主契約者となる。

同日、GCAPのセンサー・通信システム開発に携わるレオナルドUKレオナルドイタリアELTグループ三菱電機も同様の提携を発表。4社は「GCAPエレクトロニクス・エボリューション(略称G2E)」コンソーシアムを結成し、エッジウィングへ提案書を提出する。

エンジンメーカー各社は、ユーロファイター・タイフーン向けにEJ200を開発したユーロジェットのような従来の多国籍戦闘機エンジン計画と異なり、コンソーシアムにブランド名を付けていない。

ロールスロイス防衛航空宇宙部門の将来プログラム担当ディレクター、フィル・タウンリーは「今回の新たな合意は極めて重要な一歩だ。これにより国家プログラムから真に国際的なワンチームアプローチへ移行できる」と述べた。「相互補完的な専門知識を結集することで、GCAPを推進し英国・イタリア・日本の防衛産業基盤を強化する材料・製造・設計分野の技術的ブレークスルーを加速させる」。

各社は「GCAPの初飛行スケジュールを達成するため、継続的な革新を可能にし、戦闘航空推進技術を前進させる」べく、業務形態の変革を進めていると説明している。

実証機用エンジンでは、イタリアのアヴィオ・アエロが低圧タービンを、日本のIHIがコンプレッサーを開発し、ロールスロイスが燃焼器、高圧タービン、排気ノズルを主導する。エンジンのコア設計は、ロールスロイスの軍用エンジン実証機「アドバンス1」と、同社のアドバンス2実証機を基にした中バイパス比ビジネスジェットエンジン「パール10X」の知見を反映している。

本誌が以前報じた通り、各社はエンジンに堅牢な2スピール構成を採用する。機体との緊密な統合を図り、高度な製造プロセスと革新的な設計特性を組み込み、出力密度・統合出力・熱管理の向上を実現する。■


GCAP Engine Team Makes Progress On Demonstrator

Tony Osborne September 09, 2025

https://aviationweek.com/defense/aircraft-propulsion/gcap-engine-team-makes-progress-demonstrator

トニー・オズボーン

ロンドンを拠点とするトニーは欧州防衛プログラムを担当。2012年11月にアビエーション・ウィーク入社前は、シェパード・メディア・グループにて『ローターハブ』誌および『ディフェンス・ヘリコプター』誌の副編集長を務めた


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