2025年10月25日土曜日

B-1爆撃機がヴェネズエラ沖を飛行(TWZ)―米軍が着々と対策作戦の実施に向け準備を深めていますが、日本は相変わらず全く関心を示していませんね

 

B-1爆撃機がヴェネズエラ沖を飛行(TWZ)―各軍の部隊装備が着々と対策作戦の実施に向け準備を深めていますが、相変わらず日本は全く関心を示していません

ニコラス・マドゥロ政権への米軍の圧力が高まる中、米空軍の爆撃機がヴェネズエラ近海を飛行したのは2週間で2度目となった

B-1B爆撃機のストック写真。

USA

空軍のB-1B爆撃機が、ヴェネズエラ沿岸およびカリブ海に浮かぶ同国領の離島付近を飛行した模様だ。先週には、B-52爆撃機3機が同じカリブ海地域で確認された。米軍はその後、これらの出撃を確認し、爆撃機には米海兵隊のF-35B ジョイントストライクファイターが随伴したと発表した。米政府は、違法薬物取引対策を理由に、ヴェネズエラの強権者ニコラス・マドゥロ圧力をかける大規模な取り組みを進めており、同国内の標的に対する直接的な軍事行動の可能性が高まっている。

オンラインの飛行追跡データによれば、本日早朝にテキサス州ダイス空軍基地から少なくとも2機のB-1爆撃機が離陸した。約90分後にはフロリダ州マクディル空軍基地からKC-135給油機も追跡された。その後、コールサイン「BARB21」と「BARB22」を使用するB-1爆撃機と見られる機体がヴェネズエラ近海を飛行しているのが確認された。オンライン上の追跡データ(完全な正確性を保証しない)によれば、爆撃機はヴェネズエラ沿岸から約50マイル(約80km)まで接近し、ロス・テスティゴス諸島にはさらに接近した可能性がある。

飛行追跡データと公開されている航空管制音声も、ヴェネズエラ近海カリブ海上空で他の米軍航空機活動が活発だったことを示しており、KC-135給油機やRC-135偵察機(情報収集・監視・偵察機)も確認された。当該海域に展開していたRC-135の機種は不明だが、過去にはRC-135V/Wリベット・ジョイントがこの海域で確認されている

加えて本日、米空軍のE-11A戦域空中通信ノード(BACN)機がプエルトリコ方面へ飛行中と捕捉された。同地には米軍が相当な軍事能力を配備している。この飛行任務がカリブ海南端における他の米軍航空活動と直接関連するかは不明だが、本機の存在は特に注目に値する。戦域の大部分における通信・データ共有を可能にし、複雑な軍事作戦を唯一無二の能力で支援する。切迫した「顧客」への情報中継、各種データリンク波形からのデータ融合・再送信を実行するのだ。特に、地上から空中の航空機や戦闘空間周辺の他のプラットフォームとの通信を可能にし、特殊作戦任務を支援するのに有用だ。

E-11 BACN(空軍曹ベンジャミン・ゴンシエ撮影)

ウォール・ストリート・ジャーナルは、匿名の当局者を引用して、B-1の出撃を確認した。しかし、ドナルド・トランプ大統領の発言も、混乱を引き起こしている。

「米国がヴェネズエラ付近に B-1 爆撃機を派遣し、軍事的な圧力を強めているという報道がある。これは事実か、またその任務について詳しく教えてほしい」と、記者が今日の記者会見でトランプ大統領に質問した。

「いいえ、事実ではない。それは誤りだ」と彼は答えた。「しかし、我々は多くの理由でヴェネズエラに不満を持っている」

本誌は、国防総省、米国南部軍(SOUTHCOM)、米国戦略軍(STRATCOM)、および空軍グローバルストライクコマンド(AFGSC)に、説明と詳細情報の提供を求めた。STRATCOMは国防総省に問い合わせるよう求めてきた。

いずれにせよ、先週のB-52出撃後に本誌が指摘した通り、カリブ海における麻薬対策作戦に空軍爆撃機を投入す前例は存在する。B-52とB-1が有する航続距離と標的捕捉能力は、疑わしい麻薬密輸船の発見・追跡に活用可能で実際に活用されてきた。

先週と同様、オンラインの飛行追跡データは少なくともヴェネズエラを標的とした武力示威を明確に示している。米軍自身も先週のB-52飛行を「爆撃機攻撃実証任務」と説明した。

先週の「爆撃機攻撃実証任務」中に共同飛行するB-52とF-35B編隊。USAF

米軍がヴェネズエラに対して取る可能性のある直接行動には、B-1爆撃機やその他プラットフォームからのスタンドオフ攻撃が含まれうる。爆撃機はまた、そのような作戦の一環で、陸上および海上の標的を他の通常兵器で攻撃することも可能だ。ヴェネズエラ軍は防空能力が限られているが、本誌が以前詳細に分析した通り、依然として現実的な脅威となりうる。

つい昨日、マドゥロ大統領は明確に主張した。自国軍が国内の「主要防空拠点」に5,000基のイグラ-S携帯式短距離地対空ミサイルを配備していると。ロイター通信も昨日報じた。この主張を裏付けると思われる文書を確認したと。しかし同記事は、実際にミサイルを発射するために必要な「グリップストック」と呼ばれる部品が、ヴェネズエラ軍には1,500個しかないと理解されているとも記している。

以下の2009年の動画は、ヴェネズエラ軍が運用するイグラ-S肩撃ち式地対空ミサイルを示している。

その他のヴェネズエラの防空資産が前線配備位置で確認されている。

ヴェネズエラ軍のその他の地上・航空・海軍戦力も同様に限定的だが、米国による武力介入が発生した場合、一定の脅威となり得る要素もある。ロシア製Kh-31空対艦超音速巡航ミサイルの保有がその一例であり、本誌が今週指摘した通りである。

今日のヴェネズエラ沖での航空活動は、昨日トランプ大統領が陸上の麻薬カルテルへの攻撃を命じる可能性について発言したことを受けたものである。これは、麻薬密輸船と疑われる船舶に対する攻撃という現政権の現在の作戦が、カリブ海から東太平洋へと拡大したことを受けたものである。

トランプ大統領は昨夜、ホワイトハウスで訪問中のマルク・ルッテ NATO 事務総長と共同記者会見を行い、陸上のカルテル組織に対する攻撃の可能性に言及した。大統領の最初のコメントは、東太平洋における船舶への攻撃に関する質問に直接答えたものである。国防総省は、その日早くに、同海域における初の攻撃を発表していた。トランプ大統領がルッテ事務総長と共同記者会見を行った数時間後、米国当局は 2 回目の攻撃を公表した。

「現在漁船も、その他の種類の船も含め海上を航行している船はほとんどない。だから、彼らは陸路で入ってくることになる…その程度は少ないが」とトランプ氏は述べた。「そして、彼らは陸でも攻撃されるだろう」。

トランプはこうした攻撃を行う法的権限について質問を受けた。麻薬密輸に関与したとされる船舶への米軍による攻撃の合法性や、その根拠となる情報について既に疑問が出ている。米軍は9月以降継続中の作戦の一環として、少なくとも8隻の小型船を標的にしたとされている。内訳はカリブ海で6隻、東太平洋で2隻である。

「そう、我々には法的権限がある。それを実行する権限がある。陸上で攻撃する場合、議会に報告する可能性はある。だがこれは国家安全保障上の問題だ」とトランプは述べた。「彼らが陸路で侵入してきた場合、非常に厳しい打撃を与える。彼らはまだそれを経験していないが、我々は完全に準備を整えている。陸上で行動を起こす際には、おそらく議会に戻り、我々の行動を説明するだろう」。

トランプは、麻薬カルテルを標的とした陸上攻撃がどこで行われるかについては詳しく述べなかった。

大統領の昨日の発言は、米国政府がヴェネズエラのマドゥロ政権に特に圧力をかける最近の取り組みという広い文脈で広く受け止められた。しかし、ヴェネズエラは米国と陸地で接しておらず、東太平洋沿岸も持たない。メキシコは、他の国々と同様に、それらを持っている。また過去には、トランプ政権がメキシコの麻薬カルテルに直接行動を検討しているとの報道もあった。その可能性は残るものの、それ自体が特有の複雑さとリスクを伴うだろう。

同時に、米国政府が西半球全域で展開する表向きの麻薬対策作戦において、依然としてヴェネズエラは焦点となっている。

本日のB-1爆撃機やその他の航空機の飛行に加え、同地域では大規模な米軍増強も進行中だ。有人・無人航空機を含む多数が配備されている。例えばF-35BAC-130も前線配備されている。米海軍艦隊には、海兵隊を多数搭載した揚陸戦闘群(ARG)が展開している。その中心にはUSS硫黄島が位置し、数隻の駆逐艦、巡洋艦、原子力潜水艦が随伴している。特に目立つのは、特殊作戦母艦とされるオーシャン・トレーダーの出現だ

米陸軍精鋭部隊である第160特殊作戦航空連隊のヘリコプターも、ヴェネズエラ近海を飛行しているのが確認されている。

こうした動きは、米軍がマドゥロ政権に対する秘密作戦を開始する準備を整えているとの報道と時期を同じくしている。先週、トランプ大統領はCIAに対しヴェネズエラでの秘密活動実施を承認したとの報道を認めた。

「CIAがマドゥロを退陣させる権限を持っているか? そんな質問に答えるのは馬鹿げているだろう」とトランプは先週の記者会見で述べた。「だが他の多くの国々も同様にヴェネズエラは圧力を感じていると思う」。

特筆すべきは、トランプがここ1週間ほどコロンビアのグスタボ・ペトロ大統領と応酬を激化させている点だ。ペトロは米国政府を「殺人」と非難し、麻薬密輸船とされる船舶への攻撃を批判した。これに対しトランプ氏は週末、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」でペトロを「違法薬物の首謀者」と呼んで応酬した。

米軍がヴェネズエラ国内や西半球の他の地域で、麻薬カルテルの標的とされる地上施設に対して実施する作戦の規模や範囲は、まだ明らかになっていない。遠隔ミサイル攻撃など選択された作戦内容によっては、米軍が地上に一時的であれ展開する必要はない可能性もある。

「政権内部の審議に詳しい複数の関係者によれば、初期の陸上攻撃はマドゥロ政権打倒の直接的な試みではなく、麻薬密売組織の拠点や秘密飛行場を標的とした限定作戦となる可能性が高い」とワシントン・ポスト紙は昨日報じた。「米軍の展開やボート攻撃は、ヴェネズエラ軍内部の分裂を促すか、マドゥロの退陣を促すための心理戦だという見方もある」。

しかし同紙は「麻薬テロリストとの戦争を宣言し、マドゥロを少なくとも組織の首謀者と指定した以上、『マドゥロが実質的に権力を失わない限り、後戻りは不可能だ』と、本記事の取材に応じた関係者の一人は語った。この人物も他の関係者同様、機密事項について匿名を条件に発言した」と付け加えた。「結局のところ、カルテルの運び屋を排除する権限があるなら…カルテルのボスも排除できる」とこの人物は語った。

本日のB-1爆撃機の出撃と、昨日のトランプ大統領の発言は、ヴェネズエラのマドゥロ大統領や地域の他の勢力に対する米軍の軍事作戦がさらに大規模にエスカレートする可能性への懸念を強めるだけだ。■

著者への連絡先:joe@twz.com


B-1 Bombers Fly Off Venezuela’s Coast

USAF bombers have flown near Venezuela for the second time in two weeks as U.S. military pressure builds on Nicolas Maduro.

Joseph Trevithick

Published Oct 23, 2025 5:43 PM EDT

https://www.twz.com/air/b-1-bombers-fly-off-venezuelas-coast

ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフは2017年初頭から『The War Zone』チームの一員である。それ以前は『War Is Boring』の副編集長を務め、Small Arms ReviewSmall Arms Defense JournalReutersWe Are the MightyTask & Purposeなど他の出版物にも寄稿している。

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