ウクライナの無人機部隊「マジャールの鳥たち」がアゾフ海で大暴れ―ロシアは燃料確保に懸命だ

(『Magyar's Birds』のスクリーンショット)
ウクライナはロシア船多数をアゾフ海で攻撃したと主張
Ukraine Claims Scores Of Russian Ships Struck In Sea Of Azov
長距離ドローン攻撃はロシアの石油タンカーを標的とし、深刻化しつつあるロシアのエナジー危機に拍車をかけている
TWZ
2026年7月11日 午後4時19分(EDT)公開
ウクライナは、土曜日、アゾフ海でロシア船舶28隻をドローンで攻撃したと主張している。ウクライナ当局によれば、一連の攻撃は7月6日以降、同海域で毎日展開中の作戦の一環であり主にいわゆる「影の船団」の石油タンカー含む約80隻のロシア船舶が攻撃を受けたとしている。
これらの攻撃の結果、「ロシアは、ドン川とアゾフ海を結ぶ航路であるドン・アゾフ水路を通る船舶の航行を一時停止した」と、ロイターが報じた。同メディアは穀物輸出業界の3つの情報筋を引用している。
この措置は、金曜日、タンカー10隻を含むロシア船舶13隻が同海域で攻撃を受けたことを受けて取られたものである。市場アナリストらはロイターに対し、世界最大の小麦輸出国であるロシアからの小麦輸出の約25%がアゾフ海を経由していると指摘した。

7月8日に撮影された、アゾフ海のケルチ橋付近で炎上するロシアのタンカーの衛星画像。(衛星画像 ©2026 Vantor)

7月9日に撮影された、アゾフ海のケルチ橋付近で炎上するロシアのタンカーの衛星画像。(衛星画像 ©2026 Vantor)
「7月11日の夜、『無人システム部隊の鳥たち』はアゾフ海でタンカー21隻、タグボート4隻、貨物船2隻、特殊用途船1隻を攻撃した」と、「マジャールの鳥たち」として知られるウクライナ第414独立無人攻撃航空システム旅団はXで発表した。この最先端部隊は、ウクライナのドローン部隊司令官ロバート・ブロヴディ(通称「マジャール」)にちなんで名付けられた。
「マジャールの鳥たち」は、船舶への攻撃に加え、「クリミアおよび一時占領地域の南部にある敵の後方深くで、艦隊資産やエナジーインフラを含む53の正当な軍事目標を攻撃した」と主張した。「『クリミア・スイッチオフ』作戦に終了日は存在しない」
同旅団はさらに、この「影のタンカー艦隊」への攻撃には、多岐にわたる部隊のドローン操縦士が関与したと付け加えた。
「帝国の技術的屈辱は続いている」と「マジャールの鳥たち」は宣言した。「クリミアのために、帝国は崩壊するだろう」
本誌はこれらの主張を独自に検証することはできないが、ソーシャルメディア上には、これらの攻撃の結果を示すとされる動画が多数投稿されている。「マジャールの鳥たち」は、動画をまとめた6本のコンピレーション動画を公開している。
同旅団は7月6日から、攻撃の動画を公開し始めた。最初の動画は、主にクリミア半島の標的に対する攻撃を収めたコンピレーションで、船舶2隻が被弾する様子が映し出されている。標的にはS-400地対空ミサイルシステム、レーダー、石油貯蔵施設などが含まれていた。
翌日7月7日、「マジャールの鳥たち」は、アゾフ海に20隻近くのタンカーが並んでいる広角映像で始まる動画を公開した。その後、映像は切り替わり、数隻が被弾して炎上する様子が映し出された。同部隊は、タンカー8隻、貨物船1隻、フェリー1隻が被弾したと主張した。
7月8日、「マジャールの鳥たち」は、さらに9隻のロシアタンカーが攻撃を受けたと主張した。
7月9日、「マジャールの鳥たち」は別の動画を公開し、前夜に14隻のロシア船が攻撃を受けたと主張した。
7月10日(金)、「マジャールの鳥たち」は、10隻のタンカー、1隻の貨物船、1隻のフェリー、および1隻の曳船に対する攻撃を主張した。
同部隊が公開した動画に加え、ソーシャルメディア上には、これらの攻撃の被害状況を示す他の動画も投稿された。
「マジャールの鳥たち」は使用されているドローンの機種名を明かしていないが、映像からは、特攻ドローンやFP-5フラミンゴ巡航ミサイルを製造しているファイア・ポイント製であることが確認できる。
「Defense Tech For Ukraine」集団の一員であり、ウクライナのドローン戦術の専門家である元カナダ軍将校のロイ・ガーディナーは、これらの攻撃はFP-2ドローンによるものだと推測した。

FP-1とFP-2――ロシアの後方を苦しめるドローン! | @StarskyUAの兵器
「これほど大量の爆薬を運搬できる射程を持ち、かつ大量に確保可能なUAVは、長距離型のAN-196『リウティ』以外にはない。AN-196ははるかに高価であり、この任務に投入するのは非合理的だ」 Xで@GrandpaRoy2というハンドルネームを使用しているガーディナーは、このように語った。
Fire Pointの共同オーナーデニス・シュティラーマンは最近、メディアTSNに対し、同社がFP-2攻撃用ドローンの弾頭重量を200キログラムに増量したと語った。同氏は、主翼の設計変更により、その弾頭を搭載した状態で最大370キロメートルの飛行距離を達成できるようになったと主張した。
ウクライナのドローンがミサイル運搬体へ! ウクライナの開発者による詳細 / TSN.Tyzhden
この射程距離により、ウクライナ軍は黒海の北に位置するアゾフ海のほぼ全域を射程内に収めることができる。動画からは、遠距離での「マン・イン・ザ・ループ」運用を可能にする高速衛星データリンクによって、これが実現されていることがうかがえる。これにより、ウクライナの海上ドローンは導入当初から運用が可能だったが、技術の小型化が進んだことで、現在では片道攻撃用兵器への大規模な導入が可能になった。

アゾフ海(Google Earth)
タンカーを攻撃した航空ドローンに加え、ウクライナの国家保安局(SBU)は6月8日、「シー・ベイビー」海上ドローンで黒海でロシアのタンカーを攻撃した。これまで繰り返し報じてきた通り、ウクライナの海上作戦は圧倒的にロシア黒海艦隊に焦点を当てている。黒海艦隊の艦艇や施設に対する攻撃の成功多数が記録されており、その結果、占領下のクリミアからロシア本土の基地へと、ロシア海軍資産の全面的な撤退が余儀なくされている。
アゾフ海での作戦を受けて、一部のロシアの軍事ブロガーは、これらのタンカーを保護する措置をモスクワが十分に講じていないと非難している。
「テレグラムチャンネル『Military Informant』は、タンカーが無防備な状態で航行していたため、事実上ウクライナのドローン操縦者に格好の標的となってしまったと不満を述べた。現在、黒海艦隊は自軍を防衛することさえほとんどできない状況にあり、タンカーを援護する余地がなかった」と同BBCは最近報じた。
クレムリンは、ウクライナによる製油所、石油貯蔵施設、港湾、船舶、その他のエナジーインフラへの攻撃に注目している。
ウラジーミル・プーチン大統領は、「国営テレビで燃料不足に公に言及するほど懸念しており、ウクライナによる攻撃が『明らかに問題を引き起こしている』と認めつつも、『危機的状況ではない』と主張している」とBBCは説明した。
プーチン大統領が懸念を抱くには十分な理由がある。
「ウクライナによるドローン攻撃が大型製油所の操業停止を招いた結果、ロシアのガソリン生産量は季節平均消費量の約65%相当の水準まで落ち込んだ」と、ロイターは金曜日、「業界関係者2名およびロイターの試算」を引用して報じた。
ウクライナの攻撃の結果、長らく主要な石油輸出国であったロシアは、供給不足を補い需要を満たすために輸入に頼るようになっている。
「ベラルーシからロシアへのガソリンとディーゼルの供給量は6月に月間過去最高を記録した一方で業界筋は先週、ロシアがインドからの海上輸送を開始したと述べた」とロイターは付け加えた。「トレーダーによると、隣国ベラルーシからロシアへは1日あたり最大6,000トンのガソリンが供給されている。備蓄も取り崩されている。」
ロシアはまた、ディーゼル、ガソリン、ジェット燃料の輸出禁止を検討するという抜本措置も講じている。
こうした一連の動きは、ドナルド・トランプ大統領が紛争終結に向け、進展が鈍く、断続的な取り組みを続ける中、ウクライナとロシア両国が領土と影響力をめぐり駆け引きを繰り広げている状況下で起きている。
ウクライナがロシアのエナジーインフラを標的にし、クリミアを孤立させることに成功したことは、どちらの側を支持するかで立場を繰り返し変えてきたトランプ大統領に影響を与えた可能性が高い。
先日当サイトが報じた通り、今週初め、トルコのアンカラで開催されたNATOサミットで、トランプ大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、驚くほど和やかな二国間会談を行った。その和気藹々とした雰囲気は、トランプ大統領がゼレンスキー大統領に対し、ペイトリオット防空システムの迎撃ミサイルを製造するためのライセンスを約束するほどであった。これは、ゼレンスキー大統領が長年求めてきたものの、これまで実現していなかったものだ。
ウクライナはロシアの弾道ミサイルの集中攻撃を食い止めるため苦戦を強いられており、戦場では兵力や装備の面で圧倒的な劣勢にあり、戦闘は事実上膠着状態にある。それにもかかわらず、キーウによるアゾフ海作戦のような非対称的な取り組みがモスクワの優位性を相殺するのに役立っていると証明しつつある。■
シニア・スタッフライター
ハワードはTWZのシニア・スタッフライターである。紛争について頻繁に執筆しており、特に中東とウクライナに焦点を当て、世界中の軍・諜報当局者や産業界のリーダーへのインタビューを行っている。彼は、米中央軍および米特殊作戦司令部の本拠地であるフロリダ州タンパ近郊に住んでいる。
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