2024年8月19日月曜日

北朝鮮で空中早期警戒システムの開発が継続中 (38 North)



北朝鮮がロシアへ武器輸出を開始した直後に機体改修作業が始まっていることからロシアが関与していることは疑いない。しかし、3機しかないIl-76を改装してAEW1機が完成したとしても、輸送能力は低下し、警戒任務も常時行えないなどあきらかに疑問が残る作業である


業衛星画像によると、高麗航空のイリューシンIL-76を空中早期警戒プラットフォームに改造する作業が平壌国際空港で行われているようだ。 

 改造が完了すれば、同機は北朝鮮軍で初の空中早期警戒プラットフォームとなり、探知能力を高め、地上レーダーを補完することになる。また、ロシアのA-50Uと類似していることから、この作業は朝ロ協力の新たな一歩となる可能性もある。 


改造のタイムライン この航空機は、蘇南空港に駐機していた高麗航空のマークを付けた3機のIL-76のうちの1機である。昨年10月頃、同空港の整備エリアに移され、数日のうちに周囲にバリアが設置された。 

 蘇南国際空港の整備エリアは、旅客ターミナルと反対側の滑走路の途中にある。格納庫が2つあり、ヘリコプターや小型機が数機駐機している。このエリアには高麗航空のジェット機が頻繁に姿を見せるが、IL-76の周りにバリケードがあるのは珍しい。 


蘇南国際空港整備エリアの概要。画像 Pleiades NEO © Airbus DS 2024。 


 昨年11月、胴体上部、主翼のすぐ後ろのエリアで作業が始まった。作業の正確な内容は画像だけでは確認できないが、空中警戒管制システム(AWACS)または空中早期警戒システム(AEW)用のローテーター、アンテナ、レドームを支えるレーダー台座が設置されているようだ。 

 7月15日の画像では、機体は整備施設のフェンスで囲まれたエリア内にとどまっている。レーダー・ペデスタル(台座)と思われる付近には機体と並んでプラットフォームが見え、エリア内には資材や機材が並べられている。 



2024年7月15日、フェンスで囲まれたエリア内で整備中のIL-76のクローズアップ。画像 Pleiades NEO © Airbus DS 2024。


類似システム IL-76をこのような空中プラットフォームに改造することは、1970年代にソビエト連邦でベリエフが行い、出来上がった航空機はA-50と呼ばれた。この機体は、国家大西洋条約機構(NATO)から「メインステイ」というニックネームを与えられた。A-50Uと平壌で行われている作業を比較すると、北朝鮮のIL-76の見かけ上のレーダー・サポートは、A-50Uと同じ場所にある。 


ロシアのA-50U。(画像:Wikimedia)


 この作業がロシアの技術者の協力で行われているのかは不明だが、北朝鮮がロシアへの武器輸送を開始したと報じられて直後に始まった。 


北朝鮮の機材構成 北朝鮮は3機のIL-76を運用しており、近年は全機

に高麗航空のマークが付けられている。この航空機は比較的専門的な機能を担っており、国内各地に貨物を輸送し、時には金正恩の移動支援に使用されることもある。 

 衛星画像では蘇南空港で頻繁に観測されているが、飛行や海外出張が観測されることはほとんどない。 今年5月22日には元山-カルマ空港で1機が観測された。また、2019年にはハノイで、2018年には北京、広州、大連で、金正恩が国際外交に従事する姿が目撃されている。■


Work Continues on Apparent Airborne Early Warning System

https://www.38north.org/2024/08/work-continues-on-apparent-airborne-early-warning-system/


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