2025年4月28日月曜日

ウクライナはすでに敗戦している。責任はドナルド・トランプにはない(19fortyfive)―ウクライナ国民は長く西側を恨むでしょうし、西側の軍事力は今後長く以前の水準へ戻るための回復が必要と,踏んだり蹴ったりの結果です。

 


Trump Meeting in the Vatican with Ukraine

Trump Meeting in the Vatican with Ukraine. Image Credit: White House.



クライナのテレグラム・チャンネル『レジデント』は土曜日、トランプがウクライナとロシアに「一時停戦に共同合意する10日間を与えた、さもなければ 和平路線から離脱すると主張した」と伝えた。

 トランプが本当に両陣営に期限を自ら発したかはまだ不明だが、1つだけ誰もが明確に自覚する必要があるのは、トランプが見つけるべき「良い」和平など存在しないということだ。 ウクライナはすでに戦争に負けている。

 回避可能だったはずのこの大失敗で誰かを責めることはできない。原因は我々自身にあるのだ。


ウクライナの現実を直視できないのはなぜか?

ロシアの勝利が事実上確実になっている戦場の現実に西側諸国の多くはいまだに否定的で、認めたくないか、認識できないかのどちらかだ。 どちらかはわからないが、どちらかである。ヨーロッパ・アメリカの両方でトランプ大統領を非難する向きは早くも、敗戦の責任を大統領になすりつけようとしている。

 彼らはすでに、トランプがウクライナを裏切ったとか、ウクライナを「見放した」と非難している。

 こうした主張には大きな問題が2つあり、告発者自らの重大な欠陥が露呈している。

 第一に、彼らはトランプが代わりに選べる良い選択肢があるとほのめかしている。彼らは、英国のキエ・スターマー首相やフランスのマニュエル・マクロン大統領が確実にそうであるように、トランプ大統領がウクライナにもっと資金を与え、プーチンにもっと圧力をかけ、武器と弾薬のパイプラインを流し続けさえすれば、最終的にはゼレンスキーの軍隊にとって状況が好転すると信じている。だが、それは明らかに間違っている。

 丸3年にわたる戦争の間、アメリカは先頭に立ってウクライナに何千台もの軍用車両を提供し、何千億ドルもの支援、情報提供、訓練、そしてウクライナの上級指導者への助言を行ってきた。 こうした大規模な努力は、欧州諸国も事実上同調していた。これらの支援はすべて、2023年を通してウクライナがロシアを膠着状態から追い出すことを可能にすることはできず、昨年5月に610億ドルの追加支援を行ったとしても、ロシアの地盤強化を食い止められなかった。

 クルスク攻撃は無駄に終わった。 ベルゴロドへの攻撃は完全に失敗した。 西側諸国は無駄な努力のために自国の兵器庫を著しく消耗させ、手放したものを補充するだけでも何年もかかる。ウクライナがキットを操作し、ミサイルを発射するために必要なマンパワーが、もはや損失を相殺することができず、縮小し続けているのであればなおさらだ。

 第二に--これが最も重要なポイントかもしれないが--醜い外交的結末や軍事的敗北に直面するという状況は、開戦当初から欧米諸国が集団で外交的に大失敗を犯したために、私たちの首にかかっているにすぎない。

西側諸国とキーウ政府が2015年ミンスク合意を履行していれば、ほぼ間違いなく戦争は起きなかっただろう(キーウは、ドンバスのウクライナ国民に限定的な自治権を与えるための憲法改正という唯一かつ最も重要な要件を履行しなかった)。

 もし西側諸国とゼレンスキーがイスタンブールで開戦2カ月前に提示された外交的手段をとっていたら、戦争はキーウがクリミアを失うだけで終わり、NATOのメンバーには決してならないと誓い、最終的にはすべてのロシア軍が撤退していたかもしれない。

 それどころか、我々はミンスクの制定を拒否し、イスタンブールでの取り決めを拒否した。2023年のウクライナ攻勢が大失敗した後も、キーウと西側諸国は明確な軍事的現実を認めようとせず、2022年11月時点で、ウクライナは最終的にロシアを1991年の国境線まで追い返すだろうと主張し、戦い続けた。

事態は悪化の一途をたどる

ウクライナは、2015年から2025年1月のトランプ大統領就任までの西側諸国の外交的失敗とリーダーシップの欠如のせいで、醜い外交的敗北か、さらに醜い軍事的敗北に直面している。

 トランプが今できる最善のこと、最も賢明な行動、最も道徳的な選択は、ゼレンスキーに最後通牒を突きつけることだろう。彼の政府がモスクワから得られる醜い条件のうち最善の内容に同意するか、トランプが立ち去り、ゼレンスキーに欧州との交渉を任せるかのどちらかだ。

 それが、敗北を避けるための軍事的解決策はないという現実をゼレンスキーに突きつける強制的なメカニズムになる。ウクライナがプーチンに主要な点を譲歩させる道さえないのだ。

 米国が軍を後ろ盾にしているという虚構がなければ、ゼレンスキーは2022年のイスタンブールで何十万人もの同胞の命を救うことができたはずのことを、ついに実行を迫られることになる。

 仮にゼレンスキーが拒否し、欧州側が「戦い続けることでより良い条件が得られる」という妄想を煽り続けたとしよう。その場合、ロシアはほぼ間違いなくウクライナ軍を打ち負かすまで戦い続け、ウクライナ軍は戦力として崩壊するだろう。そうなれば、ロシアは無条件降伏の条件を出すだけだ。しかし、それでは終わらない。

 願わくば、10日間の最後通告というトランプの主張が真実であってほしい。そうすれば、避けられない現実に直面したゼレンスキーは、遅ればせながら残りの住民を守るために必要なことを行い、利用可能な最善の条件で戦争終結に同意できるだろう。 それ以外の選択肢は考えられない。■


Ukraine Has Already Lost The War. That’s Not Donald Trump’s Fault

By

Daniel Davis

https://www.19fortyfive.com/2025/04/ukraine-has-already-lost-the-war-thats-not-donald-trumps-fault/?_gl=1*jcbz8k*_ga*MTU5MDE2MjEzMi4xNzQ1Nzg2NzYz*_up*MQ..


著者について ダニエル・L・デイビス

ダニエル・L・デイビスは21年間の現役生活の後、米陸軍中佐として退役し、現在は19FortyFiveの寄稿編集者として毎週コラムを執筆している。 彼は現役時代に4度戦闘地域に派遣された:1991年の砂漠の嵐作戦、2009年のイラク、そしてアフガニスタンに2度(2005年、2011年)。1991年に73イースティングの戦いで武功により青銅星章を授与され、2011年にはアフガニスタンで青銅星章を授与された。著書に『The Eleventh Hour in 2020 America』がある。 デイビスは2012年、アフガニスタンから帰還し、米軍幹部や文民指導者たちが米国民や議会に対し、戦争は順調に進んでいるが、実際には敗北に向かっているといかに語っていたかを詳述した報告書を発表し、国民的な評判を得た。その後の出来事から、彼の分析が正しかったことが確認された。デイビスはまた、真実を伝えるための2012年ライデンホール賞の受賞者でもある。現在、ダニエル・デイビス中佐のYouTubeチャンネル「Daniel Davis Deep Dive」では、戦争、国家安全保障、政治、外交政策、ニュース速報などを専門家の解説とともに分析している。


9 件のコメント:

  1. ぼたんのちから2025年4月28日 16:25

    ウクライナに勝つチャンスは無いと評価することは、恐らく正しい。ただし、条件は、ウクライナ単独で、これからも戦争を行う場合である。どんなにウクライナが頑張っても、少々和平条件が良くなるかもしれないが、戦線が崩壊する可能性の方が高い。
    筆者が言う通り、ミンスク合意の順守や和平交渉を粘り強く進めれば、戦争を避け、あるいは早期停戦ができたかもしれないが、老いぼれバイデン政権と多くの劣化したリベラル指導者のNATOは、いかがわしい思惑を持って、戦争の開始と継続を支持したのだ。
    その思惑とは、ロシアの軍事力の衰退と、ロシアの熊はウクライナと戦っている間はこちらに向かってこないと言う時間稼ぎである。そして、ゼレンスキーも自国の疲弊を直視していないように見える。
    トランプが和平に努力し、成就しても、平和な期間は長続きしない可能性が高い。その場合、起きることは、欧州NATOが怯えるロシアの西進である。それが必然ならば、西側が今できることは、ロシア経済を破綻させることか、NATO介入かもしれない。
    その状況は、考え過ぎだと思うが、もしかするとナチスのソ連侵攻前に似ているのかもしれない。イギリスがウクライナで、ナチスがロシアであり、ソ連は欧州NATOである。ならば、欧州NATOはせいぜい頑張ってほしいものだ。

    返信削除
    返信
    1. それはただ全てリベラルの所為するのは、如何だろうか?今回の失敗は共和党の失敗だろう。それにもしロシアが西進して他の国まで脅かし、しかもトランプ政権は無視し続けるのは、米国の利益にも長期的に悪影響が出て最終的に米国共和党は自ら犯した過ちに自ら贖罪しないとならない。

      削除
  2. このコメンテーターはいつもロシア寄りだが、ロシアの工作員かロシアに金でも積まれているのかと本気で疑う、ロシアの情報統制とロシア情報操作とロシアプロパガンダ発信の手際さは本当に惚れ惚れするよ。

    返信削除
  3. ぼたんのちから2025年4月29日 9:46

    コメント、読んでくれてありがとう。でも、つたない文書だけど、意味をよく理解してね。
    他の記事にもコメントしてるので、そちらも読んでくれたらありがたい。

    返信削除
  4. この記事にロシアの都合良い情報を掲載されただけで、今の米国の情報戦に如何に負けているか、如実に証明されている。

    返信削除
  5. てか今日の新聞の記事でもトランプ政権の支持率は米歴代過去最低と言われるし、本当に何をやっているんだ?トランプ政権は。

    返信削除
  6. この記者はまともな記者だな。

    政治家というジョブの責任は国民の生命と財産を守ることにある。
    2021年にドローン攻撃してロシアを怒らせ、戦争になるぞと方方から警告されていたのに知らん顔。
    攻められたら慌てて和平交渉に入ったがイギリスに唆され手のひら返してロシアを騙し討ち。
    ゼレンスキーがやったことを今になって振り返れば、どれほど国を滅ぼすために邁進してきた失格大統領なのかがよくわかる。

    それから西側の責任のうんぬんはもう知ってる人は知っているだろうが、NATOの東方拡大は単なる客観的な事実だ。
    2008年のジョージアでの紛争、2014年のクリミア併合、西側がロシアの生存圏を脅かす度にロシアは警告してきたが西側は耳を傾けず反省もしなかった。
    この見方に反論する人は「日本が中国に寝返ることをアメリカが許すか?」と考えてみればいい。
    答えはノーだ。

    結局のところロシアにとってこの度の戦争は生存を賭けた防衛戦争なのだ。
    だから数十万人規模の犠牲に耐えることができ、そして、勝利した。

    返信削除
    返信
    1. そのコメントもまた、ロシアのプロパガンダに賜物だよ。ロシアは自国の情報を統制し自国の都合良い情報を流して都合が悪い情報又はそれに有する人物を消して、ロシア都合良いストーリーだけが残る。米国も嘗ては出来たし今後復活してほしいよ。

      削除
    2. 「日本が中国に寝返ることをアメリカが許すか?」って多分反米主義者と米国内の融和派は許すんじゃないか?

      削除

コメントをどうぞ。