2026年6月17日水曜日

B-52試験機墜落により新型AESAレーダー統合が更に遅れ、J型への更新も遅れる見込み。一方、喪失機の代替として飛行機の墓場からまた機材を復活サせる動きが出てくるはず。事故の原因はまだ解明されていない

 

墜落したB-52はレーダー試験飛行に出発した直後だった

B-52 Involved In Tragic Crash Was Heading Out On Radar Test Sortie


この墜落事故が米空軍の試験関係者に与えた人的被害は計り知れないものであり、B-52の近代化計画にも影響を及ぼしかねない

https://www.twz.com/air/b-52-involved-in-tragic-crash-was-heading-out-on-radar-test-sortie

米空軍

ドワーズ空軍基地で昨日発生したB-52H爆撃機の墜落死亡事故の原因については、解明すべき疑問が山積している。この墜落事故は、米国の飛行試験エコシステムの中心に位置する同基地で、少なくとも我々の知る限りでは75年間経験したことのないレベルの悲劇となった。現時点では、この事故が人々に与えた影響を定量化することは極めて困難だ。同時に、特にB-52の近代化に向けた取り組みにおいて、開発面でも重大な影響が生じるだろう。米国の国家安全保障にとって不可欠と見なされている一連のプログラムであるが、すでに大幅な遅延と予算超過に陥っている。

現時点で分かっているのは、当該機がレーダー近代化プログラム(RMP)の支援に使用されていたことであり、その損失は同プログラムに波及効果をもたらすだろう。RMPはすでに数年にわたる遅延と大幅なコスト増に見舞われており、後者については法的に義務付けられた徹底的な見直しが実施された。しかし、この1年間、米空軍は、この重要なアップグレードの進捗状況や、独自の課題に直面してきたより大規模なB-52近代化計画の他の部分について、より前向きな見解を示してきた

「事故機は、レーダー近代化プログラムを支援するために離陸した直後のB-52でした」と、エドワーズ基地の第412試験航空団副司令官ジェームズ・ヘイズ空軍大佐は、昨日の短い記者会見で述べた。「基地内での試験飛行でした。離陸後、直ちに墜落し、炎上しました。」

第412試験航空団はエドワーズ基地の主力部隊で、前述の通り、同基地は空軍の主要な試験・評価拠点として機能している。

「墜落の映像を確認した結果、回復不能となっての墜落であり、生存は不可能であると判断された」とヘイズ大佐は付け加えた。当該B-52には、「この試験任務を支援する軍人、政府職員、政府請負業者からなる混合乗組員」が搭乗していた。

「愛する人を失ったご遺族の方々に心からの哀悼の意を表します」と彼はまた強調した。「これは悲劇です。」

本日、本誌がコメントを求めたところ、ボーイングは昨日発表した簡潔な声明を繰り返し、同社従業員2名が墜落事故で死亡したことを確認した。同社の声明全文は以下の通りである:

「カリフォーニア州エドワーズ空軍基地で発生したB-52墜落事故により命を落とした乗組員8名のご遺族に対し、心よりお悔やみ申し上げます。搭乗者にボーイング社員2名が含まれていたことを、深い悲しみをもってお知らせいたします。現在、遺族と連絡を取り合い、支援を提供しています。」

B-52の当初の製造元であるボーイングは、RMP(再近代化プログラム)の主要統合業者を務めている。主にAN/APG-79を基に開発された新型AN/APQ-188アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーはレイセオンが供給している。米国ではAN/APG-79の派生型が、米海軍のF/A-18E/FスーパーホーネットおよびすべてのEA-18Gグラウラー、ならびに米海兵隊のF/A-18A-D ホーネットに搭載されている。空軍のF-15Eストライク・イーグルおよびF-15EXイーグルIIに搭載されているAN/APG-82も、AN/APG-79を基盤としている。AN/APQ-188は、-52に搭載されている機械式走査型レーダーAN/APQ-166に取って代わる予定である。

左側がB-52に搭載されている既存のAN/APQ-166レーダー、右側が同爆撃機の一機に統合された新型AN/APQ-188レーダーを並べて比較した写真。USAF

RMPは、今後数年間で空軍のB-52全76機を対象に計画中の数多くの主要なアップグレードの一つである。また、これらの爆撃機には全く新しいエンジンや改良された通信システムなどが搭載される。これらの変更は内外ともに非常に大幅なものとなるため、その過程で爆撃機の制式名称はB-52HからB-52Jへ変更されることになる。

B-52 Future Stratofortress: The Upgrades That Will Transform The B-52H Into The B-52J thumbnail

B-52フューチャー・ストラトフォートレス:B-52HをB-52Jへと変貌させるアップグレード

「現時点では判断できない」と、米空軍当局者は本日、RMPへの潜在的な影響について問われ本誌にこう述べた。

また、レイセオンにも取材を行っている。

RMPに関する公表済みの計画では、初期試験を支援するため、2機のB-52にAN/APQ-188レーダーを統合するとあった。これらの機体の改修は2023会計年度に開始され、新型レーダーを搭載した最初の機体が2025年12月にエドワーズ基地に着陸した。空軍の予算文書によると、2機目のレーダー試験用B-52は、2025年10月1日に始まった2026会計年度中に準備が整う見込みである。このマイルストーンがすでに達成されたかどうかは不明だ。

新型AN/APQ-188レーダーを搭載した初のB-52が、エドワーズ空軍基地に2025年12月到着した。USAF

また、現時点でAN/APQ-188が何基利用可能であるかも不明である。「残りの試験段階のレーダーは、2024年の夏までに納入される見込みだ」と、レイセオンは2023年のプレスリリースで述べている

前述の通り、RMPはすでに大幅遅延に見舞われている。当初のプログラムスケジュールでは、飛行試験は2024年に開始される予定だった。当初の目標は、AN/APQ-188を搭載したB-52が2027年に実戦任務を開始することだった。現状では、同プログラムの設計・製造開発(EMD)段階は2029年半ばまで続き、初期作戦能力は2030年に達成される見込みである。

こうした遅延に伴い、コストも大幅に増加している。2021年時点で、AN/APQ-188の開発および空軍のB-52全76機への同レーダーの統合にかかる推定費用は、政府監査院(GAO)によると、24億ドル近くに上ると見込まれていた。

GAOによると、2023年までにRMPの費用は12.6%増加した。このプログラムは最終的に、要件とコスト目標について法的に義務付けられた広範な見直しの対象となり、その結果、少なくとも当初は計画されていた能力が縮小されることになった。

「コスト抑制のため行った措置として、このレーダーに何が必要なのか、その主要な要素に焦点を当てました。調達しているのは、F-18ホーネットのレーダーを基に若干の改良を加えたものです。当時市場に出回っていたため、意図的にそうしたのです」と、戦略抑止・核統合担当副参謀長のアンドルー・ゲバラ空軍中将Air Force Lt. Gen. Andrew Gebara は2025年8月に説明した。「もし(請負業者に)完全新型レーダーの設計を依頼していたら、さらに多くの費用がかかっていたでしょう。」

F/A-18ホーネットに搭載されたAN/APG-79レーダー。レイセオン

ゲバラ中将の発言は、航空宇宙軍協会(Air & Space Forces Association)傘下のミッチェル航空宇宙研究所(Mitchell Institute for Aerospace Studies)が主催したオンライン講演の中でなされた。

「とはいえ、ホーネットに搭載されていた機能のすべてを、このレーダーに必要としているわけではない」と彼は続けた。「B-52の任務を遂行するために、最低限必要な機能があります。したがって、コスト削減の検討として、必要yな機能を精査し、限られた予算で本当に必要なものに優先的に配分できるようにした。」

ゲバラ中将は当時、改訂版のRMP計画については、「その必要が生じた場合、将来の拡張の余地」を残してあるとも述べていた。

AN/APQ-188は、より近代的なAESA設計で、依然として不可欠な新機能を提供する予定だ。本誌が過去に報じたように:

「一般的に、AESAレーダーは、機械式スキャン型と比較して、より長い探知距離、高い精度、対抗措置への耐性を備えるほか、全体的な状況認識能力を向上させる能力も有している。ますます高度化するAESAは、電子戦および通信支援を含む追加機能をもたらす。」

「B-52にとって、いかなる新型マルチモードAESAも、現在同爆撃機で利用可能なターゲティングポッドと併用する場合を含め、爆撃機の目標捕捉および識別能力を向上させるだろう。また、爆撃機用の新型レーダーは、ネットワーク化された兵器を長距離にわたって目標へ誘導する際にも有用であり、二次的な地上移動目標探知(GMTI)機能や合成開口レーダー(SAR)による監視能力を提供できる可能性がある。このレーダーのアップグレードは、接近する敵機の探知能力の向上などを通じて、B-52を空対空の脅威から防御するのに役立つだろう。」

整備のために機首を開けたB-52爆撃機。USAF

「ボーイングはすでに、我々が確認したスケジュール改善策を検討している」と、空軍の重要主要兵器システム担当直接報告ポートフォリオ・マネージャーであるデール・ホワイト大将 Air Force Gen. Dale White は、2月に開催された空軍・宇宙軍協会(AFA)の年次ウォーフェア・シンポジウムでの円卓会議において、本誌およびその他のメディアに対し、最近語った。ホワイト大将は当時、RMPおよびB-52機群向けの商用エンジン交換プログラム(CERP)の進捗状況について、まとめて言及していた。

その際、ホワイト大将は、B-52フリートの規模が比較的小さいことに加え、それに課せられた作戦上の要求が相まり、同爆撃機の近代化にさらなる課題をもたらしている点も強調した。B-52は通常戦術作戦の支援で高い需要があり、最近のイランとの紛争における多用がそれを裏付けている。また、フリートの一部は米国の核抑止の三本柱における航空戦力の重要な要素でもあり、該当機にはさらに厳しい運用要件が課されている。

「B-52に関する課題で、皆が忘れがちなのは、機数が非常に少ないにもかかわらず、即応態勢に関して途方もない要件が課されているという点だ」とホワイト大将は述べた。「滑走路には一定数の機体を配備しておかなければならない。それが要件なのだ。」

B-52フリートは2050年代まで運用される見込みであるため、一般的な作戦上の需要を満たすためだけでも、空軍は昨日失われた機体を補うため、保管中の爆撃機を再就役させる措置を講じる可能性が極めて高い。この種でこのサイズの航空機の場合、そのプロセスは通常、最速でも数週間を要する。

2015年以降、空軍は損失を補うため2機のB-52を現役復帰させている。うちの1機は、2016年にグアムのアンダーセン空軍基地で墜落・炎上したB-52の代替となった。もう1機は、2015年にルイジアナ州のバークスデール空軍基地で定期整備中に電気火災が発生し、地上で全損した爆撃機の代わりとなった。幸い、これらの事故のいずれにおいても死者は出ていなかった。

2020年、オクラホマ州のティンカー空軍基地で、就役再開に向け再生作業中のB-52H爆撃機「ワイズ・ガイ」。USAF

CERPやその他の近代化取り組みが進行中であることから、全体としてB-52の試験・評価作業を支援するリソースに需要が高まっている。これは、エドワーズ基地におけるB-52試験機資産支援用の予算が前年比で約10倍に増加したことにも反映されている。公式予算文書によると、空軍は2026会計年度において、「試験機、人員、爆撃機モジュラーデータ収集システム(BMDAS)、および空軍試験センターの施設」の費用を賄うため、150万ドル強の予算を割り当てられた。同軍は現在、次会計年度において、この同じ予算項目で1,100万ドル近くを要求している。

一方、前述の通り、空軍は昨日のB-52墜落事故を受けて、当面の最優先事項は犠牲者の遺族への対応と、完了までに数ヶ月を要しそうな調査への取り組みであることを明確にしている。また、エドワーズ空軍基地は、主に事故後の滑走路の状態を理由に、少なくとも本日は飛行運用を停止している。

昨日の事故がRMPに与える影響の全容と範囲については、まだ明らかではない。■

ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフはTWZの副編集長として、当サイトの経験豊富で献身的なチームの統括を支援するとともに、有益かつ影響力のある防衛・国家安全保障に関するコンテンツを執筆している。彼はその渦中であるワシントンD.C.エリアに在住している。


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