2012年7月5日木曜日

米国のアジア太平洋重視戦略に中国はどう対応しているのか

China Counters U.S. Tilt Toward Asia

aviationweek.com July 02, 2012

2011 年末が米国の東アジアへの軸足移動が決定的になった時期だとしたら、2012年前半は中国が米国の動きをかわす様相を呈している時期といえよう。米国は控 えめな部隊展開だけで、各同盟国、中国に米国の同地域の権益の存在を実感させているのだが、中国は自国の地理条件と非対称的優位性を活用して米国の戦略に 対抗しようとしている。
  1. 米 国の戦略見直しはおよそ10年前に遡るもので、その時点で米国は中国が潜水艦、宇宙兵器、対艦ミサイル等を整備し、米兵力にA2/AD(接近拒否、領域排 除)戦略の実施で対抗しようとしていると分析していた。ただ、アジア各国にとっては2010年になって明らかになった韓国艦船撃沈後の北朝鮮支援、南シナ 海の対立する領土主張への国際仲裁の拒絶といった事例で中国の好戦的態度へ恐怖を感じることとなり、オバマ政権にアジアへの「バランス再編」をイラク、ア フガニスタンの兵力削減を受けて選択させることになったのである。
  2. ヒ ラリー・クリントン国務長官は2011年11月号のForeign Policyに投稿し、米国はアジア重視の見直しを迫られる転換点に達し、中国を脅威とする見方は排除しつつも、米国の「同盟条約国たる日本、韓国、オー ストラリア、フィリピン、タイ国がアジア太平洋への戦略的最重視の大きな支えだ」と論点を展開している。オバマ大統領のオーストラリア訪問(2011年 11月)でも米国はダーウィンに海兵隊2,500名を2016年までに駐留させ、海軍が沿岸戦闘艦二隻ないし四隻をシンガポールを拠点とすることが発表さ れている。米国、シンガポール両政府は艦船の母港化でなく定期的な寄港が内容だとしている。
  3. 2012 年1月には米国とフィリピン両政府が軍事同盟協力関係の復活を検討していることが明らかになった。おそらくその内容には米国の偵察機材の定期的な立ち寄り と約500名の兵員もフィリピン軍施設を利用すること、共同軍事演習の回数増加が入っているのだろう。ただし、先月末の時点でペンタゴン取材陣に対しサ ミュエル・ロックリア3世提督(米太平洋軍司令官)Adm. Samuel Locklear, 3rd, commander of U.S. Pacific Commandは「これ以上の米軍基地建設は想定していない」と発言している。
  4. 2011 年11月にペンタゴンからエアシーバトル局の創設が発表された。空軍-海軍間からはじまり米軍内の協力関係を深める役目を有する。ただし中国のA2/AD 能力増強への対抗策として国防総省が発表したと見られていた。その後国防予算の削減、兵力削減方針が発表され、米国はこれまでの「2大戦同時対応」想定の 戦略をもはや維持できないことが明らかになったものの、規模縮小は逆にアジアに展開できる兵力が増えると説明する関係者が現れた。
  5. そ こで2012年初めの中国の対応は同盟諸国に同時進行の軍事対立の実施能力を増強させて米国をくぎづけにすることにある。北朝鮮の4月の軍事パレードでは 大型新型ミサイルが16輪の輸送・起立・打ち上げ車両(TEL)に乗っているのが目撃されているように、明らかにこれは中国の三江湖北特殊車両 Sanjiang Hubei Special Vehicle Co.の製品であり、同社がミサイルを生産する中国航空宇宙産業科学(Casic)の傘下にあることが知られている。中国は直ちに車両販売を否定したが、 目撃されたTELは三江のWE51200型であり、ベラルーシのMAZの協力で開発された車両だ。MAZはロシアのICBM用にもTELを生産している。
  6. TEL の提供が北朝鮮のミサイル開発に中国が関与しているという見方を生んでいるが、TELが中国から提供された事自体が北朝鮮の核開発にこれまでとはちがう支 援を中国が与えていることを意味する。これは中国がかねてから北朝鮮の核開発へ反対姿勢を示したことと反しており、中国自体が核開発を中止させようとする 六カ国協議の理事国担っていることと矛盾する。実は中国は米国を標的とする北朝鮮の新型ミサイル開発を直接支援しているのではないか。北朝鮮ミサイルがイ ランに販売されれば、欧州各国も脅威を感じるだろう。
  7. 本 年4月以降の中国は地理条件を生かして米比軍事協力に対抗しようとしており、長らく南シナ海の領土を巡る対立には中立的立場を取ってきた米国の政策が一変 したことにより米比接近が実現したことが、南シナ海ほぼ全域を中国領土とする主張そのものへの対抗である。中国は2010年7月のアセアン・サミットでこ の主張を表明している。
  8. 米 国は退役ずみの3,200トンのハミルトン級沿岸警備隊カッター一隻をフィリピン海軍に2011年7月に供与しており、2013年までにさらに二隻が供与 される。2012年1月の時点では米比両国がいっそう広範な軍事協力を検討していることが明らかになっており、F-16戦闘機の販売、米国偵察機材・艦船 の定期展開も含まれている。フィリピンは中国海軍の戦略弾道ミサイル潜水艦のパトロール海域の末端部に位置している。
  9. 4 月8日にフィリピン当局が中国漁船複数をスカーボロー礁の中で取り調べをしている。同礁はフィリピン・ルソン島から138マイル、中国海南島から500マ イルの地点。フィリピンは早速受領したばかりのハミルトン級フリゲートを派遣して、取り調べ支援をしたが、結局検挙はしていない。4月10年に中国が漁業 保護局の艦船2隻を派遣し、フィリピン艦船の動きを封じた。この時点で今回の対立は外交的対立として認識され、フィリピンはフリゲートを小型海防艦に格下 げすることで緊張緩和をはかった。
  10. 同 時期に米比演習が4月14日に開始されたこともあり、両国の艦船にらみ合いが続いたが、中国が一時的漁業中止を宣言したものの、漁船は同地に残した。ま た、戦闘機編隊が同地上空を6月11日に飛行している。中国は海南島に新設した水平線超えレーダーを稼働し同地の動きを把握し、同時に中国沿岸警備部隊の 展開によりフィリピン政府、米政府に対抗する姿勢を示した。その後5月になった早々、中国海軍から5隻の部隊が出港し、その中の最大の艦船は071型 LPD揚陸艦であったため、中国がフィリピンが実効支配する同諸島の占拠に乗り出すのではとの観測が生まれた。米国はバージニア級原潜ノースカロライナを スービックベイに寄港させた。
  11. こ のスカーボロー礁をめぐる対立のさなか、中国からさらに米国戦略を試す動きがでた。ロシアと共同でこれまででも最大規模の海軍演習を4月21日から27日 に展開し、中国は海上艦船16隻と潜水艦2隻、ロシアから4隻が参加し、防空、対潜演習を実施した。sらに6月7日から14日にかけて中国空挺部隊・地上 部隊400名がロシア軍、タジキスタン軍に合流しピースミッション2012演習を上海協力機構(SCO)の元で実施した。当選をしたばかりのプーチン大統 領がSCO総会(北京)に参列した6月上旬だったが、中国との戦略的協力関係を誇示している。
  12. 6 月末にロシア、中国、イラン、シリアの合同演習として、9万人の兵員、戦車1.000両および中国艦船12隻をスエズ運河を通過させ、西側によるシリア軍 事介入を実現できなくするとの観測がでてきた。ロシア、中国の外交筋は即座にこの演習案そのものを否定したが、この観測自体が中国により米国の中東への働 きかけの効果が減少される可能性があることを意味している。

2012年7月3日火曜日

航空自衛隊 F-35 まず4機調達の販売契約まとまる

US, Japan Sign For First Four F-35s


aviationweek.com July 02, 2012

日本政府は合衆国政府と6月29日に正式合意し、ロッキード・マーティンF-35 戦闘機の最初の4機および装備品一式を600億円(7.6億ドル)で購入することになったと同社が発表。
  1. 今回の提案内容および合意内容は日本国内で署名され、通常離着陸型F-35 を単価102億円で合計4機購入するもので、これは日本が予算計上した99億円よりも高くなっている。
  2. その反面シミュレータ2セットおよびその他の価格は当初の205億円から191億円に下がっており、総額は600億円で変更がない。
  3. 今 回の合意書成立はロッキード・マーティンにはF-35生産工場での生産レート維持には朗報で、米国の発注数が削減されていることから同社はフォートワース 工場(テキサス州)の経済的運営に日本からの42機発注はその他国からの発注とあわせてのどから手がでるほど必要だ。2月に昨年12月に同機選定をした日 本だが、今年2月に価格上昇あるいは納期の遅れが発生する場合は導入を取り消す可能性を米側に表明していた。その理由にペンタゴンが今後5年間で179機 の発注を先送りにする決定をしていたことをあげていた。
  4. 日本の参画がこのまま続くことになったことで同社は次に韓国の60機発注を期待する。
  5. 同機の生産に参画している主要メーカーにはノースロップ・グラマン、英国のBAEシステムズ、エンジンメーカーのプラットアンドホイットニーがある。
  6. ロッ キードはF-35 開発を合衆国向けに共同開発パートナー8カ国、英国、オーストラリア、カナダ、イタリア、トルコ、オランダ、デンマーク、ノルウェーとすすめており、米国 の防衛装備史上最大の規模に膨れ上がっており、開発・調達あわせ3,960億ドルを今後20年間に支出する見込みだ。


コ メント これまでも主張しているようにF-35は日本の防空圏の確保に絶対必要な機体ではありませんし、このまま行くと同機開発配備は数十年にわたり、西 側の防衛体制そのものを危険にさらす可能性もあると思います。同機を選定した防衛省の判断、政治判断はこれから大いに非難される可能性もあります。F- 22を売ってもらえなかった理由も謙虚に考える必要がありますし、まさか北朝鮮を空中援護なしにF-35で先制攻撃するのでしょうか、作戦コンセプトが見 えてきませんね。それよりも1.「心神」実証機からの作戦用機材の開発、配備 2.ISRも含めた無人機運用体制の確立 が日本の空に必要ではないでしょ うか。

2012年7月1日日曜日

ロシアはシリア向け武器供給をいつまで続けるのか

Syria Getting More Russian Air Defenses, Helos

aviationweek.com June 27, 2012

ロシアから防空システム、再整備ずみヘリコプター、ジェット戦闘機等総額5億ドル近くの装備品が国際社会からの批判をものともせず今年中にシリアに引き渡される観測が出ている。
  1. これはモスクワの軍事シンクタンクCASTののレポートでアサド大統領の国内鎮圧にロシアが武器を供給しているとの非難をさらに加熱させるもの。また防空システムは国際武力介入の際に使用される可能性があり懸念を生じる。
  2. ロイターは同レポートを発表前に入手し、ロシアからシリアへの武器販売契約書が2005年から2007年にかけて存在していることを知った。
  3. 契約書締結は国内蜂起の発生を相当さかのぼるもので、ロシアはシリア向け債権134億ドルの7割を放棄しており、これまで債務不履行のためにシリア向け武器販売が滞っていた要因を取り除いている。
  4. またこのレポートによるとロシアはMiG-29戦闘機12機、Mi-25攻撃ヘリ数機を今年中にシリアに引き渡すという。さらにBuk-M2EやPantsir-S1の引渡しも今年中に実施し、地上部隊の防空能力を引き上げるという。
  5. MiG-29契約は総額6億ドルでオプション12機購入を含む。同レポートでは年内に12機引渡しを予測。同戦闘機には空対空、空対地ロケットを装備し、シリア上空に「飛行禁止地区」設定の際にも対抗できる。
  6. プーチン大統領はロシア製兵器は内戦に使えない性質のものと説明し、ラブロフ外相は過去に締結した契約により供給された装備は防御的なものと発言。
  7. これに対しクリントン国務長官はロシア側の発表内容でロシア製兵器が国内弾圧と無関係としていることは「明白な偽り」と発言。シリアの防空体制はほぼ全部がロシア製で、先日のトルコ空軍機撃墜以来あらためてその能力に関心が集まっている。
  8. フランスからはシリアの危機状況を終結させるためにも飛行禁止地区設定を検討中という。昨年のリビア危機でも同じように飛行禁止区域が設けられた。
  9. 「シリアの防空体制はリビアの上を行っている。」と同レポート著者のひとりルスラン・アリエフRuslan Aliyevは指摘している。
  10. 「一方でシリア防空体制は協力だが、多数のシステムで構成されており、津かこなせるだけの訓練をしているかは疑問だ。」(アリエフ)
  11. ロシアは契約内容でPantsir-1装甲ロケット装備36セットの引渡しの義務があり、このうち12セットが納入済みで残りも2013年までに移送される。 
  12. 今回のレポートではシリア国防関係者で亡命してきたものからの主張、ロシア製小火器の引渡しがアサド体制への反抗が強まってから特に増えているという主張には触れていない。 
  13. CASTはロシア国内国防産業との良好な関係を守っており、BMP-2戦闘車両に関しての両国間契約については触れていない。アマチュア撮影のビデオ映像で同車両がホムスほか各地で展開しているのが撮影されている。
  14. ロシアはアサド体制の強力な擁護者として知られ国連安全保障理事会の常任メンバーであり、拒否権をもつが、、シリア向け制裁には反対している。
  15. ただ今回のレポートではそのロシアもアサド政権との関係断絶が国益にかなうのとなれば武器輸出凍結に走る可能性を示している。
  16. 「シリア向けの武器協力関係はロシアには重要なものではない。貿易、防衛関係でも同じである。
  17. 「シリア向け武器輸出が停止となれば、国営武器商社Rosoboronexportはシリア発注の装備を第三国に振り向けるるかもしれない」
  18. ロシアはS-3000 およびイスカンダルミサイルの輸出を凍結した実績がある。その際は装備がイランが支援するヒズボラの手にわたる危惧をイスラエルが提示したのがきっかけ。
  19. Mi-25ヘリを搭載した貨物船は6月24日にロシアを再出港している。保険会社が保険引き受けを拒否したことで延期されていた。

2012年6月28日木曜日

SM-3最新型の弾道弾迎撃実験が成功

U.S. Downs Target Missile In High-stakes Test


aviationweek.com June 27, 2012

米軍のレイセオン製新型迎撃ミサイルが迎撃実験に成功。北朝鮮やイランのミサイル開発への有効な対策になりそうだ。

  1. 実験は6月26日夜半にハワイ沖合いで実施され、標的となったのは分離式中距離弾道弾だったとミサイル防衛庁が発表。模擬弾頭が実際に分離され攻撃シナリオを再現した形となった。
  2. 「ミサイル各部品は設計どおり作動し、きわめて正確に迎撃できた」と翌27日に同庁が声明文で発表。
  3. 使用されたのはレイセオンのスタンダードミサイル-3ブロックIBで、米海軍の最新のミサイル迎撃手段。
  4. 同ミサイルは2015年にルーマニア国内の陸上打ち上げ施設に展開される予定で、オバマ大統領のNATO東側地域をイランのミサイルから防衛する手段となる。
  5. レイセオン製ミサイルの迎撃実験成功はこれでわずか6週間のうちで二回目で2011年9月の初打ち上げでの失敗をカバーした形だ。
  6. MDAは今回の実験成功でオバマ大統領の欧州向け段階的適応型アプローチによるミサイル防衛の第二段階には重要な成果が生まれたと評価する。
  7. 今回のテストは通算28回の発射で23回目の迎撃成功となった。
  8. ハワイ標準時の26日午後11時15分、標的ミサイルがカウアイ島の太平洋ミサイル試射場から打ち上げられた。
  9. これに対しUSSレイク・エリーがハワイ沖合いでミサイルを発見、追跡捕捉し、搭載する第二世代イージスBMD兵器システムがSM-3ブロックIBミサイルを発射した。
  10. ミサイルは衝突時の運動エネルギーで目標を宇宙空間上で破壊し、いわゆる衝突破壊迎撃のパターンを実現した。
  11. SM-3は短距離から中距離弾道ミサイル迎撃に使用される。最新型ブロックIBには二色の赤外線シーカーを備え、推進力を正確に制御できる短いバーストが可能な機構がついている。これにより目標への接近が可能となる。


2012年6月24日日曜日

オスプレイ安全性に関し米側の説明は7月下旬に設定済み

U.S., Japanese defense officials to meet to discuss Osprey issues

USAF website Posted 6/22/2012


by Army Sgt. 1st Class Tyrone C. Marshall Jr.
American Forces Press Service

国防総省高官が7月22日に訪問する日本側代表団にMV-22およびCV-22オスプレイで最近発生した事故の背景説明をするとジョージ・リトル ペンタゴン報道官George Littleが本日発表した。
  1. 「これは国防総省が本件を真剣に捉えていることの現れであり、日本国政府からの照会への対応でもあります」
  2. 予 定では国防総省の軍民双方の高官の中にはマーク・リパート国防次官(アジア太平洋担当)Mark W. Lippert, the assistant secretary of defense for Asian and Pacific security affairsも同席するという。沖縄県知事が提起した懸念の解消もねらいだ。国防総省はMV-22のアジア太平洋地域への配備を進めている。
  3. MV-22はターボプロップ機の速度と航続距離を持ち、ヘリコプター同様の離着陸性能があり、戦闘装備の海兵隊員24名を運ぶ。従来型ヘリの2倍の速度でより長距離飛行が可能だ。CV-22は空軍の特殊部隊輸送用機種だ。
  4. MV-22オスプレイが4月22日にモロッコの演習場で墜落した事例がアフリカンライオン軍事演習で発生している。また、CV-22が6月13日にフロリダ州で墜落し、5名の搭乗員がけがをしている。
  5. 「今回の背景説明では6月13日の事故を中心に情報を開示すると共に原因究明の途中経過も報告します」と報道官は説明し、エグリン空軍基地の関係者も同席すると追加した。
  6. 一方で4月のMV-22事故の初期調査結果も紹介される。同報道官によると初期調査結果は機体の問題が原因ではないとのことで、オスプレイの安全運航実績と信頼性を強調している。
  7. 「累計飛行時間は14万時間になっており、このうち三分の二がこの2年間で実施されています。米空軍及び海兵隊はCV-22、MV-22の運用を世界各地で継続しており、米国内での人員輸送運用はもちろん、アフガニスタンでの戦闘任務にも投入されています」

2012年6月23日土曜日

ボーイングのファントム・アイは長期間耐空性能の実証をめざしています

Boeing Looks To Return Phantom Eye To Flight This Year

 

aviationweek.com June 22, 2012

ボーイングは液体水素を燃料とするファントム・アイ無人実証機の飛行を今年中に再開する。同機は6月1日の初飛行後の着陸で損傷している。
  1. 事故の原因調査と損傷評価は採取段階にあり、機首降着装置の不良が原因とされる見込みで設計に問題があったとする。
  2. 事故による損傷は機体構造上で現れているが、修復は比較的容易なようだ。降着装置の強化のため部品・構造上で改善策が講じられよう。
  3. 今回の事故原因が究明されれば、今年中の飛行再開に向かう。
  4. ファファントムアイはエドワーズ空軍基地(カリフォーニア州)で28分間の初飛行をし、高度4,000フィートに達した。今後は高度10,000フィートに達したあと、最終的に65,000フィートを目指す。同機は連続4日間の空中待機ができる設計。
  5. 実用型は10日間飛行待機をめざし、およそ2,500ポンドのペイロードを搭載した場合は7日間にこれが伸びる。翼巾は250フィートとなる。
  6. ボーイングにとってはグローバルホーク無人機ブロック30およびブルーデビル2飛行船が空軍の予算削減の影響を受けていることが好機となる。ファントムアイの飛行時間コストはグローバルホークよりも相当低いと同社は説明している。

royalさんのコメント

将来のスタンドオフ機材として有望な可能性を示す機材だ。核巡航ミサイル使用の危険性が高まる中で運用されればロシアや中国は核先制攻撃を実施するのが事実上不可能となるだろう


2012年6月17日日曜日

X-37B2号機が469日の軌道上飛行を完了し帰還

Second X-37B completes classified space mission
aviationweek.com  Ares, Posted by Guy Norris 12:13 PM on Jun 16, 2012

本日早朝に米空軍のX-37B軌道実験機の2号機(OTV-2)がヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォーニア州)に着陸し、軌道上飛行469日の記録を樹立した。これは1号機OTV-1の飛行期間の二倍以上。
  1. 今 回のミッションの詳細は秘密扱いで、OTVの一回目の飛行と同じだ。同機の写真はまもなく公表されるとみられるが、空軍はボーイングX-37Bが「軌道上 実験』を完了したとだけ発表する秘密徹底ぶりで、短い声明文で同機の「帰還能力」により空軍は新技術のテストを低リスクで実施できるとしている。
  2. X- 37Bは全長29フィートで小さい主翼つき。ヴァンデンバーグ基地への着陸は6月16日午前5時48分(太平洋標準時)で、15ヶ月に及ぶミッションが完 了した。アトラス5でケイプカナベラル空軍基地(フロリダ州)より2011年3月5日に打ち上げられた。今回のの長期間飛行により当初の設計での軌道飛行 設定270日間が改良されたことが実証された。
  3. 打ち上げ前に米空軍からは今回のミッションは「OTV-1による軌道上飛行能力の実証結果の上に、さらにテストを実施し、技術要因を微調整する」としていたが、テストの内容、軌道上で何をしたのかは秘密扱いだ。
  4. 専 門家から長期間ミッションとなって加圧タイヤなどに影響が出るのではないかと懸念が出ていた。OTV-1ではタイアの一つが着陸時にはパンクしていたよう で、より長期間飛行となるミッションではガス抜けが起こっても当然と見られていた。ボーイング、空軍双方から同機の着陸時の状況については何も言及がな い。■
 
 
打ち上げ前のOTV(米空軍提供)

米海軍向け無人機MQ-4Cトライトン登場


Northrop Grumman Unveils U.S. Navy’s First MQ-4C Triton

By Guy Norris

aviationweek.com June 15, 2012

LOS ANGELES — 6月14日ノースロップ・グラマンのパームデール工場(カリフォーニア州)でMQ-4C広域海洋監視Broad Area Maritime Surveillance (BAMS) 無人機が米海軍により公開され、トライトンと命名された。
  1. 一方、BAMS実証用ブロック10で製造された5機のうち一機が6月11日にパタクセントリバー基地(メリーランド州)近郊で墜落喪失した原因まだ解明されていないと海軍は言及した。
  2. 今 回ロールアウトしたトライトンはグローバルホークの改良型で2機がテスト・開発用に製造される。MQ-4Cは68機が海軍用に調達される予定だ。「太平洋 に重点を移そうとする中で本機の性能は今までにまして必要なもの」と米海軍副作戦部長マーク・ファーガソン大将Adm. Mark Fergusonは発言している。
  3. 「BAMSは他にはない優位性を米海軍に提供する。長距離定時監視能力で海上戦闘の様相が変わるだろう」
  4. トライトンはボーイングP-8Aポセイドン(117機調達予定)と合同で運用される。現在230機が在籍するロッキード・マーティンP-3部隊は老朽化が進んでおり退役する。
  5. トライトンの初飛行は2012年末の予定で、エドワーズ空軍基地付近の立ち入り制限空域で9回のテスト飛行を行った後、パタクセントリバー海軍航空基地に移送され開発作業を完了する。初期作戦能力獲得は2015年12月の予定。■

2012年6月16日土曜日

ノルウェーのF-35A導入計画がまとまる


Norway Places F-35A Order

aviationweek.com June 15, 2012

ノルウェー政府はF-35A共用打撃戦闘機導入を決定し、予算上の手当をすでに行なっている。同時にコングスバーグ共用打撃ミサイルKongsberg Joint Strike Missile (JSM)を同戦闘機に搭載することで産業界への目配りもする。
  1. 「今 回の決定は米国防総省との長期間対話の結果引き出されたものでノルウェー産業界にも裨益することを目指してきた」と同国エスペン・バース・アイデ国防相 Espen Barth Eideは発表。パネッタ国防長官からはJSM搭載の実現を取り付けた。ノルウェー政府によると書簡によりその保証を入手しているという。
  2. この他のF-35共同開発国にも同ミサイルへの関心を示す向きが出ているが、ミサイル自体は開発中であり、ノルウェーは同ミサイル販売で33億ドルから42億ドルの売上を見込んでいる。.
  3. ノルウェーのF-35A導入はまず2機を導入し、最終的に52機を調達する。総額で100億ドルの予定。
  4. 最 初の二機は訓練用に米国内に配備される。さらに二機を訓練用に調達する。この訓練機材は2016年に引渡しとする。残る48機はノルウェー国内のオーラン ド・マイン空軍基地に配備する。納入は2017年から開始する、と国防相が発表。さらにエベネス基地を前進運用地点とし、極北地帯への同国の利害関心に呼応することとする。同国議会では調達予算の増額をすでに承認している。

2012年6月10日日曜日

軍用機輸出 シャングリラ対話で渡辺防衛副大臣が積極的な発言----正当な評価を

Japan Eager To Generate Military Exports

aviationweek.com BJune 05, 2012

軍用機輸出をめざす日本国政府は、日本からの輸出の使用想定は非戦闘任務と強調している。
  1. IISS シャングリラ対話(6月1日-3日)において渡辺周防衛副大臣は新明和US-2水陸両用機を捜索救難(SAR)任務に最適と売り込んだ。政府高官が国際会 議の席上で日本製装備の輸出促進を図ったことはこれまでとは一線を画すものだ。日本政府、民間企業はこれまでは軍用機輸出を禁じてきた。だが昨年12月に 政府は武器三原則を緩和し、輸出および海外との共同開発を可能とした。
  2. 日 本が方針を変更した背景には国内市場限定では規模の経済効果が得られず、生産コストが下がらないことがある。さらにロッキード・マーティンF-35共用打 撃戦闘機の事例のように国際共同開発がこれからの方向性なのは明らかだ。渡辺副大臣は本誌にこれまでの政策が余りにも制約を強くしていたと認めた。過去の 平和維持任務で陸上部隊を派遣したが使用済み車両を車両に銃が搭載されていたため現地譲渡できなかったという。ただし渡辺副大臣は日本の防衛装備販売はあ くまでも平和的利用に供するものに限られると強調した
  3. 三 原則を緩和せずともUS-2の輸出は可能だったはずと渡辺副大臣は語る。海上自衛隊は同型5機を運用中だが、まだ輸出実績はない。「ブルネイ、インドネシ アが関心を示しましたが、まだ販売成約に至っていません」 そこで政府は民間企業とともに海外販売を支援する基盤づくりに着手する。US-2等の販売支援 策として同副大臣は「あくまでも民間事業の次元」としながら「防衛当局同士」の介在もあるかもしれないという。
  4. 川崎重工業のC-2輸送機およびP-1対潜哨戒機については「現在のところ海外販売の予定はない」と同副大臣は発言したが、開発・テストが継続中の両型の輸出を川崎重工業は期待している。また、C-2の民生型の輸出も想定しているようである。

コメント この件、国内報道されたのでしょうか。党派に関係なく国務大臣が国益を考えて積極的に発言しているということは当然とはいえ、評価されてしかるべきでしょう。平和任務に限る兵装システム輸出はありえるのか、と記事は現実的に副大臣発言をとらえているようですが。

2012年6月4日月曜日

ASBエアシーバトルを正しく理解する


What ASB Is-And Is Not


aviationweek.com June 01, 2012


米 海軍トップ、グリナート作戦部長Adm. Jonathan Greenertが海軍は空軍の新型爆撃機開発計画を支援すべきだと寄稿している。これは米空軍のシュワーツ参謀総長Gen. Norton Schwartzが海軍の原子力攻撃潜水艦部隊増強の支援を表明したことに呼応している。
  1. エアシーバトル(ASB)は構想形成に長時間がかかったが、ついに海軍、空軍の上層部から支持をとりつけたのであり、反対派には都合が悪くなったということだ。
  2. だ がステルス艦船事例からの教訓がある。計画をだめにしてしまうのは設計の不備ではなく従来型のブリッジやデッキのロッカーを造船所で取り付けてしまいせっ かく声紋を消そうと設計者が努力しても帳消しにしてしまうためだ。同じようにワシントンで最善策を考えついても他の者がありとあらゆる思いつきを加えてダ メにしてしまう事例が多い。そこでASBではこうならないようにすることが肝要だ。
  3. 中 国だけが対象の構想ではない。ねらいは反接近・侵入拒否anti-access/area denial (A2/AD)戦略への対抗であり、同戦略をとる国すべてが対象だ。たしかに中国が基準となるのは同国がA2/ADを実現するためのハードウェアに世界の いかなる国を上回る規模の予算を投じているからだ。J-20ステルス戦闘機もその大きさと形状から見てねらいは空中情報収集・監視・偵察にあるのではない か。
  4. 中国封じ込めは不可能と誰でも理解できるはずだ。または中国包囲も現実的ではない。内向き志向の大国が近隣国を心配にさせるのは当然で、そうなると近隣国同士が連携を測ることは必至だ。
  5. またASBは陸軍、海兵隊の縮小構想でもない。反対に海軍と空軍ができない仕事は長く脆弱な兵站補給線を考えると陸上部隊にも実施は不可能だ。
  6. ASBの一部として「占拠・確保」戦術が可能かも知れないが、ASBのシナリオすべてに重装備の陸上戦闘部隊を含めよとの主張が出てくるリスクは避けるべきだ。
  7. ASB は大規模新規開発計画を正当化するものであってもならない。ASB構想の最上部には「海軍と空軍は共同作戦が実施できるのか」という命題があり、新しい紛 争危機が発生するたびに運用構想を作るのではなく、日常的な共同運用を積み重ねていくことが求められているのである。
  8. そ の下に来るのが情報収集であり、海軍と空軍はステルスで共同作業をつづけており、送信をできるだけ少なく、頻度を下げようとしている一方、データ量の増加 が避けられないが、これを敵がジャミングを行う環境で実現する必要があるのだ。ここではハードウェアから考えるのではなく、傍受をさけるためにいかにして 最小限の発信で可能な共通言語を構想するかが出発点だ。
  9. ASB を進めると既存計画で統合が発生することになろう。たとえば、海軍は戦術空対地兵器の開発でリードしているが、空軍は航空戦ミサイル各種の統括制御をめざ している。同じ事はISR分野でも可能だ。一つの試金石は海軍の高性能空中センサーを空軍が受け入れることができるかで、P-8Aポセイドンを空軍のE- 8Cジョイントスターズの後継機として導入できるかだ。
  10. そしてASBは海軍と空軍だけを残す選択肢ではない。各軍上層部が自らの部下を説得し、ASBがいかに現実的かつ将来を見越しているかを力説するのが最初にして最大に困難な任務になろう。そこが出来れば残りは比較的容易だ。

2012年6月3日日曜日

海軍の次期戦闘機F/A-XXは次世代電子戦機になるのか

F/A-XX And Growler Will Drive Next-Gen EW

aviationweek.com May 14 , 2012

防衛産業各社の規模は縮小傾向だが米海軍の電子戦(EW)用機材開発計画ではさらに大きな危機として、機材製造の能力がある会社がそれまでに何社残っているだろうかという懸念がある。
  1. 2030年までに新型機の競合そのものが無くなってしまうのではないかと軍上層部は不安なおももちだ。例えばボーイングは同社のF/A-18E/F スーパーホーネットの最終改修をもって同機から手を引く。
  2. スーパーホーネットおよびEA-18Gグラウラーの後継機となるF/A-XX打撃戦闘機、無人戦闘航空機(今のところX-47Bテスト機)および特殊用途空中中発射スタンドオフ兵器各種が海軍がめざす電子攻撃手段の中核だ。
  3. EWは電子攻撃(ジャミングおよびスプーフィング含む)、敵のジャミング・サイバー攻撃からの電子防御、敵ネットワークを攻撃するサイバー手段を想定する。
  4. 海軍は次世代ジャマー(NGJ)の情報開示請求を出したばかりだ。NGJはグラウラーの電子攻撃能力を大幅に上回るもの。
  5. 海 軍からはF/A-XXについてなかなか話が出てこないが、航空宇宙産業関係者はF-22と類似した性能が想定されていると見る。新型機は現有機材よりも高 速、高高度を飛行し、敵の防御陣内部に侵入できるものとなろう。これによりレーダー及び赤外線探知能力の有効距離がますことで、非ステルス機から目標をピ ンポイントで把握でき抵高度かつ遠距離から兵器を発射できるようになる。
  6. これ以外に新型機は無人攻撃機・偵察機のセンサーをリアルタイムで操作することで目標が突然出現しても対応が可能となる。
  7. 6月に仕様の最終案をまとめる、とドナルド・ガディス海軍少将Rear Adm. Donald Gaddis(海軍小航空システムズ軍団で戦術航空機開発部門の責任者)は言う。とくにNGJを2020年までに実用化することに重点を置いているという。
  8. 一方F/A-XXは2030年ないし35年に就役することが期待される。
  9. スー パーホーネットの稼働時間が9,000時間になる時点が機材更新の時期だろう、とガディス少将は見ている。スーパーホーネットは改修で1万時間までの延長 が可能とF/A-18E/F およびEA-18G.計画主査のフランク・モーレー大佐Capt. Frank Morleyはいう。
  10. 「新型機は、速度、航続距離、ペイロード、発展可能性の各面で要求性能が明確になりつつある。有人機とするのか、無人機の既存機体の延長線となるのか、ネットワーク機能の高度化もエアシーバトル構想の実現手段の一つという位置づけだ」(モーレー)
  11. 海軍はF/A-XXの代替手段検討analysis of alternatives (AOA)として将来の空母搭載航空群の構成や次世代空母戦闘グループの機能の想定を検討している。
  12. 「より高性能なセンサー類が必要であり、接近拒否領域排除を狙う敵の空間に入ることが必要です。各メーカーには電子攻撃、ISR、敵防空網の制圧を実現できる機材がどんな形になるかを尋ねているところです」(ガディス)
  13. 要求性能はともかく、海軍の立案者が懸念しているのは2020年あるいは30年までに何社のメーカーが残っているだろうかという点だ。
  14. 気 がかりなのはF/A-XXに必要な産業基盤です。F/A-XXの技術開発費用が実際に予算化されるのは2020年代以降でしょう。ボーイングはその段階で 戦闘機製造から撤退しているでしょう。戦闘機製造メーカーがどうなるでは空軍も同じ状況にF-Xで直面するはずです。当局としては競争状態が望ましいので すが、メーカーの数がその時点で十分残っているでしょうか」
  15. 装 備を共通化して軍事支出を削減したいという願望が実際に次期攻撃戦闘機の調達で見られる。議会からはF-XとF/A-XXの共用化を求める声が出てくるだ ろう。 「たしかにその可能性もあり、国防長官からは共同でAOAを進めるよう指示がでそうです。しかし、空母運用に必要な特性は空軍の求める特性とは異 なります。」
  16. もう一つの心配はスーパーホーネットの耐用年数が切れる段階でF-35の導入が遅れているとすると軍が必要とする機数と実際に使える機数に乖離が生まれることだ。
  17. 「F- 35がスーパーホーネットと交代するのは2019年以降でしょう。飛行隊が必要とする機材と利用可能な機材数にギャップが生まれます。そうなるとスーパー ホーネットの飛行可能状態を維持するために予算を計上することが必要となる。性能改修も数段階にわけ実施されよう。」(モーレー)
  18. AESAレーダーは強力なセンサーです。自動的に機能してくれるのでパイロットは他の操作に専念できます。電子攻撃、電子防御あるいはその他極秘事項があります」
  19. 海軍は同時に高性能の前方監視目標捕捉赤外線装置advanced targeting forward-looking infrared (ATFlir) の改善を進めており、安全な高度から乗員は個別目標を捕捉することが可能となる。
  20. さ らに赤外線捜索追跡装置infrared search and track (IRST) と分散目標捕捉システムDistributed Targeting System が実戦テストにあと一歩のところに来ており、後者では遠距離を飛行中の機内から兵装に正確な座標を入力できる。
  21. スーパーホーネットでは兵装ポッドをカバーする、一体型燃料タンクを採用するなどして探知しにくくする工夫を加えることになろう。前述のIRSTを装備しても機関砲は残す。海軍によれば最大の優先事項は電子攻撃への対抗手段だという。

2012年5月26日土曜日

F-35Bのエグリン基地での初飛行がやっと実現

F-35B Finally Flies At Eglin Training Base

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
aviationweek.com May 22 , 2012

 エグリン空軍基地(フロリダ州)でのF-35Bの初飛行が5月22日に実施され、同機のパイロット養成に同基地が今後活用される意味で大きな一歩となった。
  1. F- 35A通常離着陸型の一号機はすでにエグリン基地に2011年7月に配備されており、海兵隊向け短距離離陸垂直着陸機能を持つB型は今年1月に到着してい た。同基地には現在12機が配備されている。パイロット養成開始は本来は昨年秋に開始予定だったが、同機の完成度とくにソフトウェアに疑問がテスト実施部 隊から寄せられたことから空軍と海軍が初飛行を延期していた。
  2. F-35Aの「習熟」飛行は3月に実施済みだ。今の目標は運用実用性評価operational utility evaluation (OUE)をF-35A六機で今年の夏に開始することだ。
  3. OUEは空軍と海軍の飛行テスト部隊が実施し、その結果次第で空軍教導軍団が正式なパイロット養成の開始を決定する。所期訓練とOUEにはブロック1Aソフトウェアを用い、基本となる飛行制御はカバーするが兵装放出などの高度な機能はない。
  4. 正 式にパイロット養成が開始となればF-35開発の大きな一歩となる。初期作戦能力(IOC)の獲得には一定数のパイロットおよび整備陣が必要だ。各軍のう ちでは海兵隊が最初にこれを達成しそうで早ければ今後二三年のうちとなろう。F-35が第一線部隊に配備されると旧式機を退役させて保守点検費用を節約す ることができる。
  5. 現時点でF-35Aは合計47回の飛行をエグリンで実施している。機体引渡し後に飛行を実施していない間を利用して第33戦闘隊は機材を地上整備訓練に使用していた。

ブルーデヴィルII飛行船開発中止へ

USAF Lets The Air Out Of Blue Devil II Airship

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
aviationweek.com May 24 , 2012

米空軍はブルーデヴィルII飛行船開発計画を中止する。
  1. 空軍から開発契約主体のMAV6に対し、性能が悪いことを理由に開発中止を通告した。当初は2月にもアフガニスタンに投入が期待されていたが、実際には初飛行も実施されていない。
  2. 尾部フィンの開発、無人運航用のソフトウェアの開発がとくに課題だった。空軍は同機の性能結果に不満を隠せず、以前からMAV6の業務規模は徐々に縮小されていた。
  3. ブ ルーデヴィルIIは情報収集用ペイロード2,500ポンドを搭載する構想で、国防高等研究プロジェクト庁の自律型リアルタイム地上偏在地上画像監視装置 Autonomous Real-Time Ubiquitous Ground Surveillance Imaging System (Argus)がまず想定されていた。
  4. さらにAxsysべビデオボール二基を搭載し、高解像度ビデオ撮影をする想定と、「ペナントレース」情報収集装置(リーパー搭載システムの改良型)の搭載も予定されていたと空軍筋から判明した。
  5. ブルーデヴィルIIは制空権が確保されているアフガニスタンでの情報収集能力の向上が期待されていた。特定地点上空に一日以上滞空させることは人員面予算面でも負担少なく実現できると考えられていた。
  6. だが現実にはブルーデヴィルIIの開発経費が大きく増加しており、86百万ドルの当初見積もりは二倍近くになっていることが判明した。
  7. 去 る3月に空軍はMAV6との契約業務内容を見直し、情報収集装置の搭載を契約から外した。空軍筋によると無人航行用のソフトウェアは開発上の理由により当 面搭載しないことにしたという。目標をまず飛行の実証に絞ることにしたのも、システムの統合が早期に実現することができないためだった。
  8. 「こ の方針変更後は主契約社は各種の技術問題解決に尽力し、その中に飛行制御ソフトウェア、尾部フィン設計変更、電装用配線などがあった」と米空軍は議会に報 告している。「飛行船の完成もその初飛行もともに契約完了期日である2012年6月末日までに現不可能である」 空軍は2013年度予算概算要求にブルー デヴィルII関連の費目を入れていない
  9. 予算残高は機体解体、ハードウェアの梱包、輸送に使われる。空軍の見積もりでは今回の開発中止で影響を受ける民間雇用は100名以下だという。
  10. ブルーデヴィルIIは二段階で企画された計画の第二段階である。ブルーデヴィルI はキングエア90に搭載されてアフガニスタン上空で飛行し、広域撮影カメラ、情報収集装置により地上の個人特定追跡を実証されている。   

この記事に対するコメント

Jackさん
こ の記事は不正確であるばかりか憶測で書かれている。BD2は実際には納税者の負担を減らし、雇用を創出する。週単位で運行すれば既存ISR機材を使う費用 の50分の一ですむ。空軍は費用節約のため計画中止とするといっているが、反対に何百万ドルも費用が発生するのに、実態は誰も理解していないのが残念だ。 オバマ政権は選挙の年になぜこの好機に注目しないのか。ノースカロライナの雇用を守り、費用を大幅に節約できるのに。ホワイトハウスは現地に飛び現状を調 べるべきだ。空軍は害を生む主張をやめるべきで、この案件を巡る欺瞞には愛想が尽きる。

TRH007さん
LATVの将来にはこれより先進的な設計をイしているものがあり、米陸軍のLEMVなど今後数週間内に飛行可能となるものがある。飛行船やハイブリッド機体についてご関心あれば当社のウェブサイトをぜひご覧ください。www.hybridairship.net

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