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2021年12月6日月曜日

第5マイナス世代機に注目が集まる理由。いくら優秀な性能を有する機体でも、ハイエンド戦以外に投入するのでは宝の持ち腐れ。根本的な問題はやはりF-35運用コストの高水準。

 



年2月、米空軍が世界各地の見出しを飾った。「第五世代マイナス」が空軍の運行経費問題で解決策になると示したのだ。これまでF-35共用打撃戦闘機こそ将来の空軍力の柱だと主張してきた中で、この発表が出て、見出しにはF-35は失敗作との語句があふれた。同機にこの言い方は公平とはいえないものの、はからずも当初の想定と異なり低性能で高価格になっているJSFの現状を浮き彫りにした。


実際に空軍は2018年にF-35発注を減らし、運用の高コストと相殺すると脅かしたものの、F-35を一気に用途廃止する動きは今も見せていない。前回同様に今回もF-35が高性能を有しているのかが論点ではなく、実際に同機を操縦したパイロットからは同機が実戦に供された際の効果に疑問の余地はないとの評価が出ている。問題はあくまでも金銭だ。


F-35は高性能だが高価な機材だ。


ここ十年間でF-35の調達コストは一貫して下がっており、現在の機体単価は第四世代機F-15EXより低くなっている。ただし、ここに重要な誤解の元が潜んでいる。


最新のF-35A機体価格は77.9百万ドルで、空軍は世界最高峰のステルス性能に最高のデータ融合機能を付けた戦闘機を調達できる....はずだが、飛行時間はわずか8,000時間に留まる。さらに貴重な一時間ごとに空軍は44千ドルを負担することになる。


これに対しF-15EXの数字はやや大きい。機体単価80百万ドルでステルス性能はないものの、機体寿命はなんと20千時間に及ぶ。さらに時間当たりの運行コストは29千ドルだ。もちろんF-15EXはF-35の代わりにならない。両機は全く異なる役割の想定だ。


F-35は多任務機ながら最高速機でもなければ、敏捷性もトップでなく、火力も大量に展開できないが、敵に捕捉されにくく、さらに最も重要なのは搭載コンピュータで各種センサーの情報を処理し、他機種では不可能なデータ融合ストリーミングが実現する。F-35が一機付近にあれば第四世代僚機のの威力を増大できる。F-35パイロットは単価400千ドルのヘルメットでデータストリーミングへアクセスする。


「F-35以上の状況認知機能はこれまでなかった。戦闘時の状況把握は金塊と同じ価値がある」とF-35パイロットの空軍予備役ジャスティン・「ハサード」・リー少佐Major Justin “Hasard” Leeが語っている。


空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウンJr大将General Charles Q. Brown, Jrがこの点に触れて一大騒動となった。


「毎日の通勤にフェラーリは不要だ。日曜日に乗ればいい車だ」「これが我々が言う『ハイエンド』機で、ローエンド戦闘に投入しないようにしていく」


予算に制約がなければ、空軍はF-16は全機ピカピカのF-35に交代されていた。だがF-35で各種問題が発生し本格生産ができない状態が長年続き、空軍はF-35の大規模運用ができなくなった。また、予算が問題でなかったら、F-22の生産再開を実現し、制空任務を任せたはずだ。だが、F-22を再生産しても新型機開発より高くなってしまうと判明した。F-22のサプライチェーンや支援施設は大部分がF-35に流用しており、ここでも予算が大きな意味を示している。


第六世代機が優秀になる保証はない


第六世代戦闘機の想像図 (U.S. Air Force)



では航空優勢が確立した戦術作戦に投入した場合にF-35が費用対効果で劣ることを理解したうえで、「第六世代」戦闘機を開発すべきと主張する向きがあろう。空軍はすでに実機を飛行済みと説明している。だが、このやり方でF-35のコスト問題の解決にはならない。むしろ高性能機体で問題は悪化してもおかしくない。


F-35の高価格水準は前例のない性能要求とまずい調達方針が原因だ。JSF事業が始まり、ロッキード・マーティンのX-35とボーイングのX-32が高い技術要求と広範な運用能力の実証を試みた。当時の業界にはペンタゴンが想定する機能すべてを同じ機体でこなせるのか疑問に思う向きがあった。


「2000年時点に戻り、『ステルスで垂直離着陸できて超音速飛行も可能な機体を実現できる』と言えば、業界から不可能との回答が大部分だっただろう」と2000年から2013年までロッキードで同事業を統括したトム・バーベッジ Tom Burbag eがニューヨークタイムズに語っている。「一つの機体にすべて盛り込むのは当時の業界の想定を超えていた」


だがそれこそがF-35の目標であり、並列生産によりロッキード・マーティンは機体テストの完了前に納入開始し、国防予算の管理部門を満足させるはずだった。また調達過程でも結果的に改善が見られた。「第六世代」戦闘機でも同じ課題に直面するだろう。


戦闘機の世代ごとの名称に一貫した軍の基準も政府の方針もない。同様の性能を有する機体をひとまとめにした業界用語にすぎない。現時点で「第六世代」機の要求性能は確立されていない。供用中のF-35やF-22より飛躍的な性能向上が求められるはずだが、新技術が既存技術より安価になることはない。


そのため、次世代機は確かに有用な性能を実現できても、パッケージとして既存ステルス機より高額になっておかしくない。だが短期的には想定性能をすべて盛り込むことで絞り込んだ場合よりも財務的に厳しい結果を生みそうだ。


第四世代機が解決の一部になる



第四世代機のF-15EXやブロックIII仕様のF/A-18スーパーホーネットの調達に予算を投入すると必ず同じ質問が出てくる。「F-35、F-22、Su-57やJ-20の時代に旧型非ステルス戦闘機の調達が必要なのか」


答えは極めて簡単だ。ステルス機をシリア、アフガニスタン、イラクやアフリカに投入すれば不必要なほど高額な運用となる。米軍はこうした場所で対テロ戦を展開しているのであり、一時間運用に44千ドルも負担しなくても、A-10の19千ドルで同じ仕事がこなせるのだ。


ここに米国の既存機種の強みがある。互角の戦力を有する中国のような相手の脅威を想定する戦闘作戦で予算を使いつくさず、バランスを確保するためには今後の脅威内容に合った適正な機体の調達をめざす必要がある。


ここ数週間に現れた見出しに踊らされてはいけない。ペンタゴンでF-35を失敗作とみる向きは少ない。また政治的な理由によりF-35生産の分担は全米50州に広がり、生産中止を求める議員も皆無といってよい。F-35は残る。米国には同機を支援する別の高性能機材が必要だ。


ブラウン大将は「F-35は屋台骨だ。F-35は現在、将来にわたり活用していく」「新しく立ち上げた検討はF-35を補完する機体の可能性を模索するため」と述べている。


第五世代「マイナス」戦闘機が予算の理由で生まれるのか



ブラウン大将の上記発言を見ると、「完全新型」戦闘機で第五世代機の技術を盛り込みつつ、F-15EXのような第四世代機の費用節減効果を想定しているのがわかる。そこから生まれるのはF-35ほどの高性能はないものの、非ステルス第四世代機より高性能の機体だ。このコンセプトはすでに南朝鮮とインドネシアが共同開発中の戦闘機事業KAIのKF-Xで見られ、第五世代「マイナス」機といわれる。


ただ問題は戦闘の実相は変化していくものであり、技術面も同様なことだ。防空装備の更新を目指し開発が進めば、旧型装備は導入しやすくなる。今後の米国で中東事例より過酷な条件で戦闘を余儀なくされる事態が生まれるとしても、中国やロシアの防空体制の充実ぶりより低い戦闘場面もあろう。


F-117が非ステルス機より先に砂漠の嵐作戦でバグダッド空爆に投入されたように、F-35やB-21レイダーが将来の戦闘で最初に敵領空を切り込む事態が生まれてもおかしくない。最高のステルス性能を有する機体でまず敵地を弱体化させてから残る各機が進入する構想で、B-21が対艦ミサイルで敵空母を標的としてから空母からF-35が制空任務に就く想定も考えらえる。


その後、非ステルス機が攻撃する。航空優勢が確立できれば、非ステルスのミサイルや大量の武装を搭載したF/A-18スーパーホーネットなどの出番だ。


ステルス機能を採用しつつも、維持に手間がかかるレーダー吸収剤塗料を使わない機体でF-16より生存性が高く、F-35より安価な機体が第五世代「マイナス」機で、経済性を実現できれば、航空優勢の確保が困難な空域でなければ第四世代機との交代も可能となる。同様にデータ融合機能もF-35並みといかなくてもパイロットに状況認識能力を提供できれば生存性が高まり、攻撃効果も高くなる。


「こうした性能を想定する際は現在の脅威水準を条件にするが、今後登場する脅威も考慮する必要がある」「今回の新型機構想が重要となるのはこのためで、脅威内容を考慮せずに検討しても無駄だし、戦闘機戦力として総合的に検討する必要がある。F-35かNGADかの択一問題ではない」(ブラウン大将)


世界が完璧なら戦闘機など無用の存在になる。だが、やや完璧さに欠ける世界では、全機がF-35のようなステルス機となり、F-22のように制空任務をこなす。だが現実はそのどちらでもない。米国が次の戦いに勝利を収めるためには予算上の妥協が必須となる。第五世代「マイナス」戦闘機はその妥協になる。■



Why 5th Generation 'Minus' fighters are the future

WHY 5TH GENERATION ‘MINUS’ FIGHTERS ARE THE FUTURE

Alex Hollings | November 23, 2021


This article was originally published 3/5/2021

Feature image courtesy of Korea Aerospace Industries

 

Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.


2016年7月1日金曜日

★★★F-35を対中戦に投入した想定の詳細情報を米空軍が発表




米中開戦となれば日本含む第一列島線は死守できないと米国は見ています。そのため距離を稼ぐため一時的に後方へ下がる想定なのでしょうが、F-35は特に航続距離が短く運用は大変でしょうね。そのため給油機を中国が狙い撃ちすれば終わりです。また、小牧にF-35のFACOができますが、このトーンでは早々に稼働不能になってしまうのでしょうか。近隣住民は巻き添え被害となりそうですね。

Air Force Officers Give New Details for F-35 in War With China

An Air Force F-22 Raptor (left) flies with an F-35 Joint Strike Fighter over Florida.USAF PHOTO BY MASTER SGT. JEREMY T. LOCK

  • BY MARCUS WEISGERBER
  • JUNE 30, 2016
米空軍関係者がF-35共用打撃戦闘機を中国との戦争でどう活用するかを初めて公表した。結論は同機を戦闘投入するには多くの点で変更が必要だということだ。
  1. 「第四世代機のF-15やF-16なら確実に撃墜される」とジェフ・ハリジアン少将(ペンタゴンでF-35の空軍導入計画を立案してきた)は語る。少将とマックス・マロスコ大佐(太平洋空軍司令部で航空・サイバー作戦の副司令官)が共著した報告書ではF-35がどう実戦で活躍するか詳細に述べておりミッチェル航空宇宙研究所から7月に発表される。
  2. 「一言で言えば敵を撃破してこちらは残存する能力がすべてだ」(ハリジアン少将)
  3. 空軍関係者がF-35など高性能機材に導入されている高度技術が戦場でどう有利に働くかを口にすることが増えている。が、今回の報告書では前例のない詳細情報を空軍上層部が説明しており、同機をどう投入するのかがわかる。
  4. 報告書のシナリオでは2026年に開戦となり、敵側はレーダーや通信を妨害し、十分に活躍できるのはステルス機のF-22,F-35各戦闘機、B-2およびB-21各爆撃機だけとなる。敵には移動式地対空ミサイル防衛があり、敵地を安全に飛行して目標を攻撃できるのはステルス機だけになる想定だ。
  5. ペンタゴンは戦闘機を太平洋各地に展開するが使用する航空施設は少数の軍事基地と民間空港で戦闘の最前線から1,000マイルも離れた場所を選び、敵の弾道ミサイルや巡航ミサイルによる基地の壊滅を防ぐ。特に域内の拠点基地に機材を集結させる傾向が強い。
  6. 「開戦直後の数日でF-35が帰還してくると敵ミサイル攻撃で破壊された基地があることに気付くはずだ。この時点でF-22やF-35なら航空管制は不要だ。各機のハイテクコンピュータで滑走路まで無事誘導でき、悪天候でも変わりない」
  7. 旧式機のF-15やF-16は敵レーダーに探知されやすく戦場に近づけない。長距離地対空ミサイルの有効範囲外を飛行する必要があるためだ。
  8. 報告書では中国を敵国と名指しておらず、架空戦が「中核海外地点」で発生する想定。シナリオではF-35はオーストラリアへ運用基地を変更せざるを得なくなる。第五世代機と高性能防空体制を完備しているのはロシアと中国だけで、ロシアはあきらかに距離がありすぎる。オーストラリアもF-35導入を予定しており、戦闘で被害を受けた米空軍のF-35の補修も可能だろう。
  9. この戦闘に勝利するためにはペンタゴンが考えている機材の利用方法を変更する必要があるとハリジアンとマロスコは述べている。F-22とF-35のミッション実施頻度は現行機より増やすべきだ。各機に目標情報をハイテクコンピューター通信装備を完備した指揮所が発信し、機体は戦闘地帯に飛ぶ。旧式機との通信接続でも改善が必須だ。
  10. 米空軍はF-22やF-35を米国内基地からもっと迅速に展開する必要もある。敵機材が戦闘地帯周辺へ移動させてくるとマロスコは見る。敵側は目的を少ない機材と人員で達成できる。
  11. そこで新型第五世代機は現地の情報を集め指令所や僚機へデータを高速送信する必要が出てくる。データはクラウドへ送るべきだとハリジアンは主張する。
  12. 報告書の目標は最も高性能を誇る戦闘機を戦場でどう活用すべきかの議論の活性化にあり、旧型機や同盟国軍の機材との連携でも議論が必要だ。「議論は完結していない」とハリジアン少将は認める。
  13. 第五世代戦闘機はステルス、ハイテクコンピュータ、センサーを機体に詰め込んだ存在といわれ、戦場では攻撃の主役とみなされ、データを集め情報を共有する性能がある。
  14. F-22やF-35が戦場に投入されるころには敵も進歩しているのを覚悟する必要があるとハリジアンは指摘する。
  15. 報告書の公表は空軍がF-35Aの初期作戦能力獲得を宣言するタイミングと一致する。この事は地域軍部隊司令官が同機を戦闘に呼べることを意味する。海兵隊は先にこの宣言を昨年終えているが、ISIS、アフガニスタン、アフリカのいずれでもF-35を投入していない。
  16. ハリジアン自身もF-22パイロットでまもなくイラク、シリアでのISIS空爆作戦の指揮官に赴任する予定だ。空軍のF-22は2005年に初期作戦能力を獲得したが実戦投入は2014年まで待たねばならなかった。この年に比較的優秀な防空体制を有すると思われたシリアでISIS拠点の空爆が始まっている。■


マーカス・ワイズガーバーはDefense Oneのグローバルビジネスエディターでビジネスと安全保障にまたがる題材を得意とする。Defense Newsのペンタゴン特派員、Inside Air Forceの主筆を務めている。
報告書の本文
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2016年2月21日日曜日

★★T-50 PAK-FAは名ばかりの第五世代戦闘機だ



この記事の通りならロシアの新技術開発が相当遅れていることを露呈しています。一方でロシアには軍事装備ぐらいしか工業製品で輸出競争力がある商品はないので、本当ならT-50を黙って販売したいのでしょうが、同じスホイ社内製品がブロックするというのは製品開発戦略が根本的に間違っていることになりますね。ロシア航空界の今後は相当悲惨でしょう。
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Singapore Airshow 2016: Analysis - PAK-FA's Asian export hopes stymied by lack of 'fifth-generation' qualities

Reuben F Johnson, Singapore - IHS Jane's Defence Weekly
18 February 2016

第五世代戦闘機の触れ込みだがT-50 PAK-FAは今のところ第五世代戦闘機として性能発揮できるシステムが搭載されておらず、今後の生産機材でも不明だ。Source: Sukhoi

ロッキード・マーティンのF-22ラプターがシンガポール航空ショーに出展され、同社はアジアにおけるF-35各型への将来需要を強調しているのはアジアでの第五世代戦闘機需要の強さを改めて浮き彫りにしている。
ロシアはこれまでスホイT-50 PAK-FAを第五世代戦闘機と呼んできたが、よく見ると同機は「名前だけ」の存在だとわかる。次世代戦闘機の条件はステルス形状の機体外観だけではないとロッキード・マーティン社関係者が述べている。
ロシア防衛関連シンクタンクはT-50はスホイSu-27/30「フランカー」各型を運用中のアジア各国が採用すると以前に予測していた。インドネシア、マレーシア、ヴぇ営む、中国がここに含まれる。だが中国はスホイ機の大口導入国だが今や国産で次世代機の成都J-20と瀋陽FC-31を開発中だ。
T-50事業に詳しいロシア専門家は同機がアジア市場で人気を博するのは難しいとみている。その理由として機内搭載システムで第五世代機にふさわしい機能がほとんどないことを上げ、一方で機体価格はSu-35「フランカーE」(中国、インドネシアが発注)より相当高くなる。
T-50が搭載するNIIP製イルビスレーダーおよびNPOサトゥルン製117Sエンジンは同機の主要サブシステムであり、Su-35にも搭載されている。またT-50とSu-35でエイビオニクスの相当部分が共通だ。T-50の量産型で搭載システムが一気に刷新されSu-35と差別化される可能性は低いと上記専門家はみている。■



2015年2月12日木曜日

★T-50の引き渡しは今年から開始、ただしインドとの対立が高まる



ロシアのPAK-FAことT-50新型戦闘機ですが思ったよりも開発に手間取っているようです。さらに同機を元に共同開発を目指していたインドがロシア技術に愛想をつかそうとしているようで、両国の関係は微妙です。米国がインドに接近していますが、防衛装備共同開発はローテク製品に当面限るようなので、インドは近代的な戦闘機の調達では苦労しそうですね。

Russia To Receive 5th Gen Fighters This Year

By Jaroslaw Adamowski3:58 p.m. EST February 9, 2015
t-50(Photo: DMITRY KOSTYUKOV, AFP/Getty Images)
ロシア空軍はT-50 PAK FA新型戦闘機の初号機を今年中に受領すべく準備中だが共同開発の相手先インドとの間で緊張が高まってきた。
  1. 技術上の不備から導入が遅れているのも事実だ。現地筋によればインド軍部から共同開発への不満が強いという。.
  2. 「インド・ロシア間の軍事協力の一大事業として華々しく宣伝され、インドは初期設計開発費用の名目で295百万ドルを支払ったものの、ロシアは設計データの公開を渋っており、インドでは同機の評判は芳しくない」と陸上戦闘研究センター(ニューデリー)の上級研究員モニカ・チャンソナMonika Chansoriaは説明する。
  3. T-50は第五世代戦闘機整備事業の土台となる機体で、インド空軍も導入することになっている。両国は2007年に共同開発で合意し、ロシアの国営ロソボロネキスポートとスホイ、インドの国営ヒンドゥスタンエアロノーティクスリミテドが初期設計開発協定に調印している。設計開発費用は総額で100億ドル超と試算されている。
  4. 一方でこれから配備される機体ではエイビオニクス一式を新しくし、電子航法と高性能フェイズドアレイレーダーを一体化していると国営ユナイテッド・エアクラフトが説明している。新機能によりパイロット負担を軽減し、リアルタイムでのデータ共有を編隊内でも可能になるという。この内容は現地通信社イタルタスが報道している。同機の製造現場はコムソモルスク・ナ・アムーレKomsomolsk-on-Amurにあり、最高速度1,516マイルだという。
  5. 「インドからの度重なる要求でロシアもついに試作機で技術実証飛行を2014年6月に実施したが、試験飛行の最後で発火し、ジューコスフキイ試験施設に着陸した』(チャンソリア) 「ロシアが事故情報の公開を拒んで問題を複雑にし、現地にはインド空軍の技術評価チームがいたが事故機に近づくことを許されなかった」
  6. T-50はロシア第四世代機スホイSu-27とミコヤンMiG-29両機の後継機で、F-22とF-35のライバルといわれる。ただし機材の納入は大幅に遅れている。
  7. チャンソリア研究員によれば「インド国内での議論の種」は「技術問題の多発で実戦化まであと10年も待たされるのか」という点だった。
  8. ユナイテッド・エアクラフトによれば2020年までにロシア空軍が受領するT-50は55機になる。
  9. 同機事業はロシア・インド間の軍事協力の本体部分として期待されていた。インドは今もロシアの主要軍事装備販売先である。これ以外にもBrahMos超音速巡航ミサイルの共同開発があり、NPOマシノストロエニア NPO Mashinostroeyenia,とインド国営国防研究開発機構Defence Research and Development Organisation.が関与している。
  10. 2013年までインドはロシアの武器輸出の38%を購入しており、インドの武器輸入の75%がロシア製だったとチャンソリアは指摘する。ただし、FGFA事業で提携がうまくいくかは今後の両国間協力で試金石になるという。「両国で相違点を解決の上、事業のスピードアップをはかっていかねば」とチャンソリアは語る。■


2014年10月29日水曜日

ACC司令官が見る 空軍力の現状と未来


ホステジ司令官はこれまでもいろいろ発言をしている人ですが、退役を控え、一区切りというところでしょうか。空軍の考える作戦概念そのものは案外理解されていないので、非常に参考になると思います。

ACC’s Gen.Hostage: On Fifth Gen Combat Cloud And Syria

By ROBBIN LAIRD and ED TIMPERLAKEon October 22, 2014 at 4:29 AM
ロビン・レアード ROBBIN LAIRD(寄稿コラムニスト)とエド・テンパーレイク ED TIMPERLAKE がマイク・ホステジ大将との最後のインタビュー機会を得た。大将は航空戦闘軍団を率いるが、11月初旬に退官予定だ。ホステジは空軍が第五世代機F-22を導入し、F-35導入に備える様子を目にしてきた。(編集部)
質問: F-22が実戦に初めて投入された。中東のISILを相手に。もっと早く実戦投入しておくべきだったのに、実現しなかった。F-22は独立して運用されるのか、それとも空軍の一部に統合されるべきなのか。
ホステジ: 今日運用中の機体はすべて統合されている。単一ミッションしかできない機体は運用しないが、近接航空支援機は例外。今でも全体をきわめてうまく調整して実施すべき運用である。
空軍に統合できていない機材があると考えるのはばかげた見方だ。F-22は他の機種と交信ができないというのは他機種と同じレベルでの交信ができないという意味。
しかし機材を他の資産と統合するのはいまに始まったことではなく、空軍創立以来続いている。TTPという戦術、技量、手段に関しておおむねそれは正しい。
F-22も対ISIL戦では戦力構成の一部に取り込まれている。決して単独行動しているわけではない。それぞれの役割はあるが、全体として戦力ミックスとしている。
航空攻撃だけおこなっているわけではない。同機の状況把握能力と防空能力は大きな要素であるが、他機種と同様に攻撃目標も与えられる。
これ以上の統合があるだろうか。
質問: 空軍力は一層重要性を増しており、作戦の実施のたびにその観が強い。それでも議論があり、地上兵力対空軍力と言う観点で意見が分かれている。我々は空軍力は戦闘区域の状況を形成するとともにその他の作戦の実施を可能にするカギだと見ているが、どう思うか。
ホステジ: 地上部隊派遣の是非は多分に政治論議であり、軍事上の検討ではない。地上部隊を送ればだれが悪いやつか区別して、悪いやつの顔の上に武器をつきつけてやることができるのはあたりまえだ。
ただこれを実施すべきかの是非は軍事上の決断ではなく、政治判断だ。正しい政治判断を指導層がこの件で下すと思う。道のりはちがっても、好むと好まざるを問わず、軍事上の選択でなくあくまでも政治選択だ。

戦闘状況のISR活動は今でも大規模であるがもっと現地に機材を増やせばもっと多くの情報が得られると思う。
だが上空からできることに限界がある。航続距離とセンサーの精度の問題だ。建物を透視できない。こそこそ話も盗聴できない。空からのISRには明らかに限界がある。
ただこうして話している間にも現地では驚異的な作業が進行している。作戦環境の中で効果を最大化するためにはなんでも実施すべきだ。
今回とアフガニスタンを比較すれば、ちがいがわかる。アフガニスタンでは 再建されたアフガン部隊と共同で作戦していた。アフガン警察、米国、その他各国連合軍が地上に展開していた。非常に高密度のISIRで地表を覆った。多数の機種を投入し、電子フルモーション画像情報を活用した。これと同じことはイラクでは実施できないし、イラク軍は混乱状態にある。
状況に応じた制約の中で出来ることを実施するしかない。
質問: ACC司令官の任期の終わりが近づく中、主な業績を上げると何か。
ホステジ: そうだね、戦場で最高の戦闘機材となるF-22部隊を指揮するのが一番誇らしいことかな。シリアに投入したのはテストではなく、必要だったからだが、全く問題なく作戦を実施している。
同機を実戦化する努力が報われた。着任当時は同機は半年も飛行停止状態だった。パイロットが飛行するのを恐れていた。整備部門は手を付けたがらなかった。まったくひどい状態だった。最高の機材を失う危険があった。
3.1ソフトウェアを各機に搭載する作業が完了して、空対地攻撃能力を接近阻止・領域拒否l (A2/AD) の環境でも発揮できるようになった。
作戦の実施方法を根底から覆す機材だ。
当初の予定機数を調達できていたらよかったと思う。それでも184機でも絶対的な威力を発揮する機材だ。F-35の性能にもとても満足している。1,763機も調達すれば相当の戦力となるだろう。
質問: 前回お会いした際はF-22を実際に操縦する初のACC司令官と知り大いに感銘をうけた。F-22、F-35を旧型機と共同運用するのは困難か。
ホステジ: 航空作戦の再定義ということか。F-22を操縦することができ幸運だった。今まで知らなかったことを勉強できた。
以前は三ツ星としてF-22を使った作戦構想を準備していたが、同機の性能をすべて発揮できていなかった、というのも第五世代機の決定的な違いを理解していなかったからだ。
よくステルス性能が第五世代機の決定的な違いだといわれるが、実際は違う。違いは融合fusionだ。融合は決定的に違いを生む。4.5世代だ、4.8世代機だという向きがあるが、信じてはいけない。そこで言っているのはRCS(レーダー断面積)のことだけだ。
融合こそこれからの方向だ。融合機能は第四世代機では期待できない。エイヴィオニクス装置が融合機材用に設定されていないからだ。融合により機材の運用方法が変わってくる。
第五世代機のSA(状況把握)が強力なので第四世代機にSAを伝え、攻撃させるのが効果的だ。ラプターを一機送り、第四世代機をウィンチェスター銃として使うことだ。そのあと五世代機で仕上げを行う。また後続機のために安全を確保する。戦争の仕方が変わった。
戦術戦の状況を根本から変えつつある。第五世代機と融合させてどのように戦術機を運用するか。戦術戦では四世代機と五世代機でパイロットの仕事が根本から違ってくる。
だが航空優勢を実現する仕掛けの根本は敵地奥深く攻撃することでありこれは不変だ。
指揮命令の前提は全面攻撃能力を四・五世代機間で実現することであり、戦闘能力をフルに活用することだが、このため第四世代機での戦闘のやり方を変える必要が出てくる。
マシン間の交信がないと四世代機はいまと変わらない仕事しかできないが、やりとりができれば四世代機は五世代機の仕事の一部を引き受けられる。これのカギは五世代機が提供するSAだ。
このマシン間同士のやり取りが実現すれば、四世代機も戦術面で五世代機の融合機能の恩恵を受けることが可能となる。
質問: 専門家の中には空軍の前主任研究員のマーク・ルイスのように第五世代機の機能を完全利用するには革命的な能力を有する兵装の制約を開放するべきと指摘する向きがある。兵器が進化している実態をどう見るか、またどの領域に進むべきと考えるか。
ホステジ: 第五世代機に合わせて第五世代兵器を作る必要はないと思う。しかも一気に進歩するのではなく、確実に進歩させていくべきだ。
つまるところ、何を実現したいかだ。現在の機材に搭載している兵装は直線的に進歩を遂げた結果だが我々が求める効果を生む能力がある。
接近拒否領域阻止の環境が今以上に激しくなれば、敵地内部の攻撃能力はすべて無効化される。このため戦闘の在り方を一変するgame changing新兵器の開発努力が必要だ。
質問: S3乗というコンセプトがあり、センサー、ステルス、スピードの相殺関係を指している。そのうちどれを重視し、どれを犠牲にするのか。また相殺に意味があるのか。
ホステジ:三つの相互関係をうまく言い表しているのはラプターとライトニングの比較だ。ラプターは高度5万フィート以上をマッハ2で飛行し、RCSは高度3万5千フィートマッハ0.9のライトニングよりも小さい。
この二機種はともに高度、速度、ステルス性があるが、性能は全く違う。ライトニングの性能をラプター並みにするにはライトニングを6機、7機、8機と組み合わせることだ。
この融合したF-35編隊とF-22を比較すれば、性能は互角となる。また各機のウェポンシステムを融合した合成効果が出てくる。
これが第五世代機F-35の不思議な特性だが、この効果を得るには一定数のF-35が必要となる。そのため同機を予定通りの機数で購入すべきと主張している。ラプターのような少数配備になれば、圧倒的な威力は期待できない。
質問: F-35のグローバルな展開にはそうなると同盟国、協力国が重要となる。もうひとつおっしゃているのは第五世代機の投入で戦闘作戦の概念が変わり、21世紀型の戦場となり、30年前と同じ環境ではいられないということ。では、元空軍長官マイク・ウィンMike Wynne が第五世代機をSA能力を生かして観測偵察機として使えといっているが同じ趣旨で以前にSAで他の攻撃機を助けるべきと発言されていた。
ホステジ: 全くその通りで、前線偵察機として目標情報を集め、四世代機に送り、スタンドオフ攻撃を加え、戦闘の全体状況を把握させる。データを送受信する能力であり、これを目指して努力しているところだ。
同時にC2(通信と統制)の再構築も必要だ。アフガニスタンで起こったことが今でも起こる可能性があるのはCAOC(Combined Air and Space Operations Center----統合航空作戦司令部)が1,500マイル離れた地点にあるためで、全体調整、統合、相乗効果の実現を機種が混在する中で敵のいない戦場でおこなうためだ。
シリア上空の作戦空域がまず対象で、台湾海峡上空他も大きな課題となる。遠隔地の統合指揮命令機能から長距離のリンクに依存することになる。
クラウドを使って指揮命令系統を分散化する考えもあるが、全体調整能力の実現が必要だ。機体が自身で動いてミッションを実行する話ではなく、各機が相乗効果を上げて望む効果を達成し、敵攻撃を生き延びる話をしている。
それぞれ違う機種で同期した環境で作戦を実施するとする。同期を実現する装置が必要だ。これが分散制御の考え方だ。それはBMC2(戦闘管理指揮統制)用の機体で、JSTARSかもしれない、AWACSかもしれないし、E-2Cかもしれないが、空飛ぶ司令部となり、あるいは水上艦かもしれない、その他の装備かもしれないが、前方戦闘地帯内の航空機をとりまとめる前方分散統制機能となるだろう。
質問:これまで合衆国は航空優勢を確保して空軍力を他の役目に使うことで水上部隊、地上部隊を支援してきたが、空軍力がいつもあることを前提にしていたのにいつの間にかこれを忘れている。これも挑戦すべき課題なのか。
ホステジ: 陸軍の仲間にこう言ったことがある。これまで60年間で上空が音がしても誰も気にしていない。気になって空を見上げることもない。いつも空軍がいたからだ。ただ今後もその通りか保証がない。これまで60年間変わらなかったのは空軍が努力したせいだ。
努力を怠れば戦場の様相は大きく変わる。地上兵士は空を見上げてあの音は友軍のものなのか、敵軍のものかわからなくなるだろう。
質問: 進行中の変化のひとつが空対空戦の再登場。航空急襲部隊への脅威も含め新しい戦闘に伴う状況を想像する必要がある。空対地から空対空へ重点が移る中どこまで準備ができているのか。
ホステジ: 任官したばかりの中尉に戦闘機パイロットとしてまずこの二三年で何をすべきかを聞いてみたところ、逆に自分の場合を聞かれた。気恥ずかしかった。
これからの人たちは複雑なシステムを扱い負担が重いが、一方で操作は楽になっていく。本当に良いことだ。
事態が発生すれば勝利を収めてくれると疑いはない。わが方の装備も乗員も本当に能力が高いので空で衝突が発生しても衝撃と畏怖作戦の日々が戻ってくると思う。
合衆国だけによるレッドフラッグ演習を見ていると、恐るべき威力を発揮している。だから自信がある。疑いなく勝利を収めるが、今のような財政状態で優秀な乗員を支える国防の仕組みが崩壊しなければ、だ。
質問:パイロットが空軍力の進化に応じて行動様式を変えていくことは重要だろうか。とくに新型機が今後導入されるが。
ホステジ: 新しいハードウェアを任官間もない若いパイロットが操縦すると想像外の結果がいつも起こるものだ。また想定外の使用方法も発見する。そして戦術マニュアルの書き換えにつながる。
飛行隊で抜きんでた考えを持つものを選抜しようと探すのはそれが理由だ。毎年のように兵装と戦術の見直しをおこなっており、各戦術飛行隊の選りすぐりがネリスで二週間にわたり技術を披露する。【レッドフラッグ演習のこと】 乗員は新趣向を毎回しこまれるが、専門家があれこれ工夫する効果を搭乗員はあらゆる手を使って実現する。
この試練に生き残れば、記録化し、だれでもできるように訓練を開始する。
このようにしてすぐれた知識を空軍全体に広めてきた。
推進力は若い中尉の心の中にあり、素晴らしいマシンを目の前にして新しい発想で何かをしようとする。これが変化を生む推進力だ。■


2014年3月20日木曜日

成都J-20の新試作機が初飛行に成功


China Unveils More Capable Stealth Fighter Prototype

By: Feng Cao
USNI News Published: March 19, 2014 1:11 PM
Updated: March 19, 2014 1:12 PMAn image of the Chinese People's Liberation Army Air Force J-20 new stealth fighter prototype.
An image of the Chinese People’s Liberation Army Air Force J-20 new stealth fighter prototype.


中国のステルス戦闘機開発がまた一歩進んだ。先月初めにJ-20試作機が初飛行に成功している。同機は成都飛機工業 Chengdu Aircraft Corporation (CAC) 製で各種のステルス対策が施され機体操作性が高くエイビオニクス搭載に適した機体構造になっているようだ。

  1. CACは以前の試作機二機(2001/2002号機)から今回の改良型を生産するまで十分な時間をかけている。試作機2機は技術実証用だったようだが、今回の第2011号機は量産前の試作型だろう。
  2. 中国から入手した写真を比較すると2001/2002号機と2011号機に微妙な差があることがわかる。
  3. まず機体の工作完成度が実証機段階から真の試作機に相応なものに変わっている。最大の相違点はF-22を思わせる薄い灰色塗装だ。Changes between prototypes of China's stealth fighter prototypes.
Changes between prototypes of China’s stealth fighter prototypes.

  1. 側面では空気取り入れ口を設計変更し、すっきりとさせつつ膨らみは増している。.空気取り入れ口の前部内側に角度をつけており、機体本体と一体化をはかっている。カナード翼後方は切り込んであり内側の縁は空気取り入れ口との隙間処理で切り取ってある。垂直尾翼の後方も切り込んであり、中国の文献によるとこれは側面からのレーダー断面積を減らすためだという。
  2. 前後の降着装置の格納扉も改良されている。.
  3. 底部を比較すると主兵装庫は拡大しており、空対空ミサイルだけでなく精密誘導弾も搭載できるようだ。前縁部は曲線から直線に変わっている。
  4. 尾部は延長され幅も拡大されて、排気口と並行になった。腹部のフィンは大きくなったようで、排気を側面から隠す機能があるようだ。同機は同じJ-20とはいっても排気からのレーダー探知性は大幅に下がっているだろう。
  5. またエイビオニクスも一式搭載しているようで、2002号機にはテスト用AESAレーダーを積んでいると思われる。前面から見ると2011号機の機首は傾斜しているが、角度は小さくレーダー搭載には支障がないだろう。Differences between China's stealth fighter prototypes.
Differences between China’s stealth fighter prototypes.

  1. 電子光学式捜索装置はF-35の電子光学式目標捕捉システムと類似したものでJ-20の顎部分に装着。また、防御用エイビオニクスが両側面、機種、尾部についている。
  2. コックピット内部は不明だが、新型ホログラム式ヘッドアップディスプレーを装備しているはずで、キャノピーは二重構造。
  3. 新世代の統合電子装備はJ-10Bで実証済みでJ-20にも取り入れられているはずだ。
  4. J-10Bが搭載したのは第一世代のAESAレーダーで瀋陽J-16は1.5世代AESAレーダーを採用する。J-20の実戦化までには第二世代にAESAレーダーになるだろう。中国のレーダー技術は成都J-10Bで見る限り、より近代化された統合電子装置システムに近づいているようだ。An image of China's newest stealth fighter prototype.
An image of China’s newest stealth fighter prototype.

  1. 今回登場した新型試作型では以前の2001/2002号機よりステルス性、機体操縦性とエイビオニクスで大きく改良されている。人民解放軍空軍の他案件の時系列進展から判断するとJ-20の量産は2019年ごろ開始で同時に実戦化とみる専門家もいる。
  2. ただしJ-20で大きな疑問はWS-15エンジンがいまだに開発中ということで、このエンジンが量産化までに実用化されるかははっきりしない。


2013年6月14日金曜日

トルコが第五世代戦闘機製作に意欲を示す---海外共同作業も視野に

Turkey Looks Into Fifth-Gen Complement To JSF

By Tony Osborne
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com June 10, 2013
Credit: TAI Concept
Tony Osborne London and Istanbul

トルコ航空産業はF-16ファイティングファルコンの国内生産を開始した1980年から、F-35統合打撃戦闘機を補完する性能を有する国産戦闘機をあと数年で生産できるところまで進展している。
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トルコ航空工業 Turkish Aviation Industries  (TAI) は第五世代戦闘機構想をF-Xの名称で暖めてきたが、2011年から20百万ドルで進めてきた構想研究が9月に完了することを受け、2013年は決断の年 となり、トルコ国防産業経営幹部委員会で方向性を決定する。

イ スタンブールで先月開催されたIDEF国防装備展示会でTAIは単座戦闘機の設計コンセプト3案を展示しており、そのうち2案は一般的形状で単発案でと双 発案になっていた。それに対し三番目の案はカナード翼をつけた大型デルタ翼構造だった。各案に第五世代戦闘機の特徴が見られ、レーダー断面積を減らす機体 設計、格納式兵装庫、スーパークルーズ性能、高性能エイビオニクス、AESAレーダーが盛り込まれている。サーブが技術支援をしている。

TAI 関係者からは単発機構想二案の最大離陸重量(MTOW) が50,000-60,000lb.との暗示があった。双発機案のMTOWは60,000-70,000 lb.だという。図面を見ると双発型には兵装庫はふたつで、ひとつは空気取り入れ口の中間にあり、短距離空対空ミサイル二発を搭載する。もうひとつはエン ジンハウジングの前方にあり大型ミサイル4発を搭載できる。

業 界筋によるとトルコ空軍の要求内容は少なくとも三回変更されており、TAIやトルコ産業界で実現できる水準に絞り込まれてきているとのことだ。IDEFで 展示された案では双発機案が空軍の要求内容に合致しているとのことだが、空軍が単発機を好むのは経費上および技術難易度が理由だという。多用途戦闘機の想 定だが空軍は空対空、航空制圧任務をまず想定しているとTAI関係者が解説していた。

現在の想定ではトルコはF-35導入と同時に新型機を開発する。TAIはF-X初飛行を10年以内に実施する希望で、F-35はF-4および初期型F-16の代替用に導入し、F-XはF-16後期型と交代する。

新 型機には技術面で新機軸が導入される。オズカン・エルテム Ozcan Ertem はTAI執行副社長(航空機担当)で Aviation Week に「搭乗員2名からゼロまでのオプションを検討中です。」と発言している。言わんとするのは二名搭乗の場合、パイロット1名はミッション指揮官として無人 機部隊の指揮統制に専念するということなのだろう。ただ同機開発の最大の障害はエンジンだ。ファーンボロ航空ショーに各国のエンジンメーカー多数が参加し ていたが、「当社は次世代エンジンを求めており、大手エンジンメーカー各社と連絡を取っています」とTAIでF-Xを統括するエディズ・ターハン Ediz Tarhan が説明している。「当社と共同開発の可能性もあります」とツハスエンジン工業 Tusas Engine Industries を念頭においているようだ。

ターハンは海外提携先とチームを組むことで共通基本形に要求性能を付け加えていく形にすれば資金面で効果が多大だろうとする。あるいは同様の要求水準の第五世代機生産を想定する国とパートナーになり、開発・生産さらに海外販売で協力することだという。トルコ国内の報道では韓国がこの方式のプロジェクトに関心を示しているとされる。次のモデルは戦闘機設計・開発に知見を持つ企業あるいは国家と組んで技術支援を受けることで、構想段階でのサーブの例と同様の方法だ。

トルコが目指す目標へはまだ道のりが長いが、その間の投資と派生技術はトルコ航空産業の地位を押し上げる効果を生むだろうし、完成製品はJSF導入が不可能な各国に広く輸出できる可能性がある。