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2022年10月9日日曜日

M1エイブラムズの最新型SEPv4試作型がテストに入っている。さらに、ハイブリッド型の開発が進んでいる模様。

 

US Army

 

米陸軍は、新型M1A2 SEPv4エイブラス戦車の試作車をアリゾナ州でテスト中で、2025年度に初号車を部隊展開したい意向だ


イブラムス戦車の最新型、M1A2システム強化パッケージ・バージョン4(SEPv4)の試作品と思われる初の写真がネット上に現れた。実車はアリゾナ州の米陸軍ユマ試験場でテスト中だ。

改良型エイブラムスの写真は、テキサス州フォートフッドに拠点を置く第1騎兵師団第1橋梁戦闘チームに所属する第12騎兵連隊第2大隊の公式Facebookページに、本日未明に投稿された。この戦車は、少なくとも車体右側の前端部に「M1A2 SEPv4」と刻印され、さらに車体の各所に「PV05 SEPV4」と書かれている

US Army

US Army

ユマで第2-12騎兵隊の隊員新型エイブラムスのテストに協力している。Facebook投稿はその後削除されたが、写真はその他ソーシャルメディアに広く出回っている。

国防総省の運用試験評価局長室が昨年発表した報告書によると、SEPv4バージョンは、従来のSEPv3バージョンをベースに、以下の点を追加している。

  • 第3世代の前方監視赤外線(FLIR)センサー、改良型レーザー距離計、フルカラービデオカメラを搭載した改良型砲手側主視点(GPS)。

  • コマンダーズ・プライマリー・サイト(CPS)の改良。第3世代のFLIRとフルカラービデオカメラ、レーザーポインターとレンジファインダーを搭載。

  • 120mm主砲用の再プログラム可能XM1147高性能多目的(AMP)弾と通信可能なデジタルデータリンクの追加など、殺傷能力の向上。

  • 精度を向上させるため、各種データを収集する新しいオンボード気象センサー。

  • 通信、データ共有、車載診断システムのアップグレード。

陸軍がこれまでに発表した情報によると、SEPv4はレーザー警告受信機(LWR)システムも搭載し、対戦車誘導ミサイルの標的レーザーが自車に向けられていることを乗員に警告し生存率を向上させるとされている。SEPv4の開発とは別に、陸軍は既存のM1A2戦車にTrophy Active Protection Systems(APS)を組み込む作業も行っており、エイブラムス用の爆発反応装甲(ERA)キットも用意されている。

さらに、SEPv4には、各種新型電子機器と付随する電源で発生する熱を緩和するため、改良型熱管理システム(ITMS)も搭載される。

M1A2 SEPv4の新機能の詳細を説明したブリーフィングスライド。米陸軍 US Army

新しい気象センサーは、ユマの試作車の写真にすべて写っている。同戦車には、砲塔前部の左右に箱型の角のような突起物もあるが、その目的はわからない。LWRシステムの構成要素かもしれない。

 

 

M1A2 SEPv4の新しい気象センサーは、この写真で砲塔後端上部に見える小さなマスト。砲塔前方に見える箱状突起は、LWRシステムの構成部品と思われる。. US Army

それ以外は、全体的に先行するM1A2 SEPv3型と外観がほぼ同じだ。

 

M1A2 SEPv3プロトタイプ。前部のマークが、ユマのSEPv4試作機に見られるものと似ていることに注意。General Dynamics Land Systems

陸軍の2023年度予算要求によると、SEPv4、またはエイブラムスの派生型は、「車両スモーク生成、生存性強化、シグネチャ管理改善、組み込みトレーニング強化、360度状況認識カメラ、重量削減努力などその他の潜在的改善」が特徴としている。

興味深いことに、General Dynamics Land SystemsがまとめたAbramsXと呼ばれる新しい次世代Abrams技術実証車両のデザインは、上記ポイントの多くを実現している。AbramsXは、軽量化、乗員数の削減、燃費の良い静かなハイブリッド従来型電気推進などを備えている。詳しくは別途お伝えする。

 

AbramsX。 General Dynamics Land Systems

もちろん、陸軍がアップグレード版SEPv4戦車を実戦投入するまでには、長い道のりがある。陸軍の2023会計年度予算案では、SEPv4の初期プロトタイプの納入が不特定理由で延期され、「OEM車両試験」の開始が2022会計年度後半にずれ込むと指摘されている。これが現在ユマで行われている試験と思われる。

テストプログラムがいつから始まったのかは不明だが、2022年度は9月30日に終了した。現状では、テストが終了するのは来年の夏ごろの見込みだ。陸軍はこれまで、2025年度にはM1A2 SEPv4の実戦配備を開始したいと述べてきたが、今回の遅延で日程が変更ずみかか不明だ。

ともあれ、実車を見ることができるのは素晴らしい。■

 

Our First Look At The Army's Upgraded M1A2 SEPv4 Abrams Tank

BYJOSEPH TREVITHICK| PUBLISHED OCT 6, 2022 4:12 PM

THE WAR ZONE


2021年12月26日日曜日

M1エイブラムズの新型v3、v4の登場で大型装甲戦車の君臨はまだまだ続くと米陸軍は見ている。

 



New Army High-Tech Abrams M1A2 SEPv3 Joins Operational Unit, Next-Gen v4 Prototype Underway

General Dynamics

 

望の次世代エイブラムズ戦車が登場した。実践投入に備え、米陸軍部隊に配備され、高度戦力を有する敵勢力に備え新時代の近代戦に対応し、各種ドメインの脅威にも耐える装備品となった。

 

地上戦闘車両開発事業の主管グレン・ディーン准将Brig. Gen. Glenn Deanはv3仕様が実戦部隊で作戦投入可能となったと述べている。

 

M1A2 SEPv3の特徴


米陸軍はジェネラルダイナミクスのランドシステムズM1A2 SEPv3に陸上戦で新技術を導入し、戦闘力を維持しつつ、機能面威力面で新時代を迎える車両とした。パラダイムを一変する兵装、センサー、サイバー技術とネットワーク効果で今後の戦闘シナリオが変わる。

 

M1A2 SEP v3を単に新型エイブラムズと呼ぶ。新たに高解像度ディスプレイが砲手、車長に搭載され、新型電子装備としてLine Replaceable Unitsを導入した。また操縦手の制御パネル、砲塔制御ユニットも一新した。新型エイブラムズでは内容を一新した砲弾データリンクと電子戦機能を搭載した遠隔制御即席爆発物対策電子戦対応(CREW)を統合した。

 

v3エイブラムスではアドバンスト・マルチパーパス・ラウンド(AMP)と呼ばれる先進的な弾薬を発射する。

 

AMPは、戦車乗組員が1発の弾丸から特定の爆風効果を選んで調整できる先進弾薬技術を導入した。例えば、高火力対戦車弾、多目的対戦車弾、移動中の地上戦闘員攻撃用の断片キャニスター弾、貫通弾などである。可変信管、弾薬デーリンク、エアバースト技術でこれが実現した

 

この機能は湾岸戦争時の戦車戦の戦訓から生まれた。米陸軍エイブラムズはイラクのT-72をスタンドオフ距離で捕捉破壊できたが、イラク側には探知できず、この差が米軍の勝利につながった。

 

AMP以外にイーサネットで車両間のセンサー情報共有が実現する。v3と今後登場するv4車両で特筆すべきは長距離高解像度熱探知機能で通常なら不可能な標的も捕捉できる。

 

陸軍技術陣は長年にわたり、以前は制限要因と見られた要素の対処、緩和、克服を続けてきた。マッピング、センシング、マルチノードネットワーキングなど高度な航法技術により、機動力が向上し、一見近寄りがたい市街地で最適な進入地点を選択できるようになった。橋や狭い場所がエイブラムスに制限となる場合、位置情報とマッピングの高度ネットワーキングで、新しい代替輸送ルートを迅速に計算できるようになった。

 

エイブラムスはオフロードを走破できるため、代替ルートは十分に考えられる。エイブラムス戦車を使う機械化部隊は、同戦車の70トン重量に耐える運搬式橋りょうで移動でき、機動的かつ高速移動しながら攻撃と前進を続けられる。

 

イブラムスにはまた、新しい電子機器、コンピューティング、センサー、EW技術をサポートするための補助電源ユニットを搭載している。

 

陸軍は現在、エイブラムス戦車の改良型次世代型の試作型一号車両を製造中で、1980年代に生まれた戦闘車両に長期的なビジョンが期待されていることがわかる。

 

M1A2 SEP v4の登場


陸軍とジェネラル・ダイナミクス社はM1A2 SEP v4改良型を数年中に登場させる予定で、今後も戦闘性能を確保し続けるためのアップグレードが組み込まれ、拡張されていく。v4改修の一部は保安上の理由から不明だが、画期的なセンサー技術に関連する調整について、グレン・ディーン准将が The National Interest 誌に語っている。

 

画期的なセンサーは、新世代のFLIR(Forward Looking Infrared)照準センサーを統合し、解像度、距離、画像処理のパラダイムを変えるレベルだとディーン准将は説明してる。

 

「最初の試作型で、今後各種のテストを行う。試作型数両を作らなければならず、実戦部隊への投入は何年か先になる。試作型は現在製作中で、22年6月頃には完成予定」とディーン准将は語った。

 

その他、v4では、新型カラーカメラを採用し、レーザー距離計技術、気象センサー、火器管制または武器照準器を改良する。車載ネットワークもv4では、車両全体の情報の流れを合理化するために新しいイーサネットスイッチを搭載する。これにより、情報の流れが合理化されるとともに、「ボックス」の数が減り、ハードウェア設置面積が縮小または統合される。


A M1A2 SEPV3 Abrams Tank fires at multiple range targets during a range warfighter exercise, April 11, 2021, Fort Hood, Texas. The visit with foreign allies allows the U.S. Army to boost interoperability of staff members and warfighting capabilities with the M1A2 SEPv3 Abrams Tank. (U.S. Army photo by Sgt. Melissa N. Lessard)

M1A2 SEPV3 が演習で複数の標的へ砲火を浴びせている。フォートフッド(テキサス州)April 11, 2021, 演習には各国部隊も加わり、米陸軍のめざす共同作戦体制の推進が図られた (U.S. Army photo by Sgt. Melissa N. Lessard)

U.S. Army

 

 

V4の登場は、1980年代登場のエイブラムス戦車が今や全く別の車両といっていいほど広範囲に性能向上されているという、重要だが過小評価される現象を物語る。コンピュータ、エレクトロニクス、照準技術、装甲保護、センサーは、最初に登場した水準を何世代分も超えている。陸軍兵器開発部門では、エイブラムスは今後何年にもわたり優れた性能を維持し、重装甲戦闘車両は今後も存続する、と見ている。■

 

Army's New Abrams M1A2 SEPv3 is Combat Ready - Warrior Maven: Military and defense news

UPDATED:DEC 21, 2021ORIGINAL:DEC 21, 2021

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN



Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.