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2018年8月15日水曜日

中国の大型駆逐艦055型の狙いは? 米海軍は同大綱するのか


8月になると平和の合唱が日本で始まりますが平和とは祈って実現するものではなく、残念ながら暴力(を使わないこと)で実現しているのが現状で各国とも技術の進化に合わせ装備を更新しています。これが現状であり、兵力がなければ平和が実現するという空想は実現しないと覚えておくべきでしょう

Could China's New Destroyer 'Sink' the Navy?No need to worry? 中国新型駆逐艦は米海軍を「沈め」られるのか。心配する必要があるのか

August 13, 2018  by Robert Farley

国の新型055型駆逐艦への対抗策は米国にあるのか。その必要性はあるのだろうか。
7月3日に大連で大型新造艦二隻が浸水し、報道では同型艦24隻を建造するとある。アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦を上回る大型VLS発射管を備えている。
米海軍では巡洋艦が老朽化しており、大型巡洋艦建造を真剣に米国も検討すべきだろうか。
055型駆逐艦は大型艦で排水量は13千トンを上回りそうで垂直発射管(VLS)は112セルあり、さらに130ミリ砲、各種センサー類、防御装備を搭載する。ズムワルト級駆逐艦を除けば世界最大級の戦闘艦だ。建造隻数予想は最小6隻、最大24隻とあるがPLANでのはたらきぶりで変わるだろう。
米国の反応
米国でタイコンデロガ級の後継巡洋艦の開発が遅れている。同級は055型より小型だ。ズムワルト級DDG-1000は三隻で終わり、055型と同様の機能はない。オバマ政権でCG(X)建造計画が中止されたのは費用試算が過大になったためで海軍はアーレイ・バーク級の追加建造で対応し弾道ミサイル防衛機能を搭載する。しかしアーレイ・バーク級フライトIII以外に米海軍に大型艦の建造計画は長期的に存在しない。当面はFFG(X)建造が米海軍調達活動の中心で沿海域戦闘艦の短所が露呈したことでLCSとアーレイ・バーク級の中をつなぐ艦となることを期待されている。
だがタイコンデロガ級は耐用年数が切れる時期に近づきつつあり、DDG-51級の初期建造艦で同じ状況だ。一部にLPD-17の艦体を利用した巡洋艦構想があり、エネルギーの大規模生産、モジュラー化、各種装備の搭載を主張する向きがある。ただしLPD-17は大型だが低速で空母戦闘群と行動をとれない。既存のズムワルト級をもとに巡洋艦的艦船の建造を主張する向きもある。だが海軍は大型水上艦艇の将来で決定を下していない。
ニーズは?
だが中国艦に匹敵する新型艦のニーズは実はないに等しい。米海軍の現行巡洋艦、駆逐艦は055型と同じ任務をこなしている。ただし055型がVLSセルで上回る。また艦船が単独で戦う時代は終わっている。
米中で開戦となれば米海軍は空、水上、水中で各種装備を展開しPLAN最大級の艦船を追尾破壊するだろう。055型でVLSセルが増えセンサーも搭載されたためPLANの実戦能力が高まったのは疑いないが、中国は空母除けば米海軍の個別艦船をねらうことはない。同様に米海軍も055型撃破を潜水艦や空中発射巡航ミサイルでねらっても水上艦から狙うことはない。そうなると問題は「米国は055型に対抗できるか」であり「どの艦体を使えば055型と同じ性能を一番簡単に実現できるか」ではない。技術面で各種進展があり(VLS、発電容量、センサー能力、さらにレイルガンやレーザー)、ふたたび艦の大きさが議題になるはずだ。055型はこうした新技術の恩恵を実現すべく中国が考えたものであり、米ズムワルト級に匹敵する存在だ。ただし残念なのは中国艦のほうがこれから長期に渡り活躍する成功作になりそうなのに対して米側艦はそうではないことだ。
まとめ
そこで「055型に対応策は米国に必要なのか」との問いへの簡単な答えは「中期的には不要」だが、詳しく答えれば次世代大型艦艇の設計建造で方針を固める必要が米海軍にある、となる。タイコンデロガ級の老朽化はまったなしで新型大型艦のニーズでギャップが広がるが、大型艦は055型と直接交戦する必要はない。中国は大型艦ならではの効率を求めたのであり、中核技術の伸展が背景にある。米海軍も技術進歩の成果を活用すべきであり、055型と直接対抗しないとしても長期建造計画を真剣に検討すべきだ。■

Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book . He serves as a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky

2018年7月5日木曜日

中国海軍の大型駆逐艦055型二隻が同日に大連で進水

China launches two destroyers with tech similar to US Navy’s Aegis system

By: Andrew C. Jarocki 

Fireworks explode next to China's new domestically built 10,000-ton Type 055 destroyer during a launching ceremony at Jiangnan Shipyard in Shanghai, China, on June 28, 2017. (Wang Donghai/Xinhua via AP)

WASHINGTON ― 中国が7月3日に遼寧省大連で新型駆逐艦二隻を進水させていたことが現地報道から明らかになった。
今回の駆逐艦055型(排水量10千トン)は人民解放軍海軍がめざす大洋型海軍戦力整備の一部だ。各艦は長距離防空、対水上戦、対潜戦に対応する設計だ。
両艦には米海軍イージスシステムに類似した多機能フェイズドアレイレーダーがつき、中国が空母戦闘群を整備した際の随行艦になるものとみられる。

中国の外洋海軍の実現に向けた野望は公然たる事実だ。2012年11月に胡錦涛主席(当時)は人民大会堂で「海洋資源開発とともに中国は海洋大国になるべく国力整備していく」と述べていた。■

2017年6月30日金曜日

★★PLAN最新鋭055型駆逐艦の性能、運用想定、その意義



China's First Home-grown Missile Destroyer Launched In ShanghaiVCG—VCG VIA GETTY IMAGES

駆逐艦、巡洋艦という従来の区分が意味がなくなってきたのでしょうか。なんでも盛り込むと大型艦になります。同時に大型艦の艦容が十分に威圧的になる意味もあります。性能よりも面子を重視した中華価値観の表れなのかもしれませんが、軽視は許されないでしょう。

China's Type 055 Super Destroyer Is A Reality Check For The US And Its Allies

中国の055型駆逐艦は米国、同盟国を現実に直面させる


This is one impressive ship that underlines China's changing weapons development capabilities and its emerging greater naval strategy in the region and beyond. 

中国の兵器開発状況の変化を示す艦であり中国の海軍戦略が周辺海域から外部へ伸びるあらわれだ


 BY TYLER ROGOWAYJUNE 28, 2017
  1. 中国が055型駆逐艦一号艦を本日進水させた。中国で最高水準の水上戦闘艦で公表された写真を見ると中国がここまでの偉容の艦を建造したのを見て驚く向きも多いはずだ。055型は海のJ-20ステルス戦闘機といったところで中国の急速な水上戦闘力開発能力のみならず中国の海洋戦略が現実のものになってきたことを如実に示すものだ。
  2. 中国海軍にとって055型は米タイコンデロガ級巡洋艦とズムワルト級駆逐艦の中間といったところだろう。艦体と性能はタイコンデロガ級に近いが搭載技術は中国水上艦の将来を開く点であることがズムワルト級に近い。055型の外装はステルス性がありセンサー搭載マストが一体型になっているのはアーレイ・バーク級とズムワルト級の中間といってよい。
  3. 055型は駆逐艦というより巡洋艦と言ってよい。全長590フィート排水量は10千トンから12千トンの間で、アーレイ・バーク級の最新型より全長で81フィート、排水量で2,500トンほど多く、タイコンデロガ級巡洋艦に近い。武装もタイコンデロガ級と同様に垂直発射管は128セルあり、アーレイ・バーク級の96セルより多い。このセルに陸地攻撃型(YJ-18)と対艦攻撃型(YJ-12)のミサイルさらに対潜ロケット(CY型)を搭載する。タイコンデロガ級と同様に広域防空能力と対空ミサイルが同艦の主要任務で、高性能センサー類一式は過剰といってよい装備だ。
  4. この新型艦はデュアルバンド方式レーダーを搭載し、DDG-1000ズムワルト級で搭載予定だった装備と類似している。なお、USSジェラルド・R・フォードに同レーダーが導入される。アクティブフェイズアレイレーダーを二組搭載し、一つは大型Sバンドで艦橋に、もう一つは小型Xバンドを一体型マスト内部に搭載する。Sバンドを長距離の捜索追尾に使い、高感度Xバンドを小型ステルス機や高速飛行目標の追尾に使うが有効距離は短くなる。それぞれの特性を生かしながら冗長性も持たせる。中国海軍でここまでの高性能レーダー装備を有する艦は他にない。
  5. 海軍用のHQ-9長距離対空ミサイルが搭載されそうだ。またHQ-16中距離SAMや四発搭載のDK-10Aもありうる。DK-10AはPL-12空対空ミサイルが原型で、米海軍のRIM-162発展型シースパロウミサイル(ESSM)に近い役割を果たすのだろう。将来的に大気圏高高度で極超音速機の迎撃能力や中国の弾道ミサイル迎撃ミサイルも搭載するだろう。ここにデュアルバンドレーダー、高性能戦闘指揮機能、大量のVLSが加わると大きな意味が生まれる。
  6. 対潜能力でも従来の中国艦の水準を上回り、ヘリコプター二機を運用し(Z-18のASW仕様機が導入されそうだ)、後部格納庫があり飛行甲板も延長している。えい航式深度可変ソナーで潜水艦を狩るだろう。魚雷とロケット推進式魚雷で水中目標を破壊するはずだ。
  7. H/PJ-38 130mm主砲一門と H/PJ-11 30mm近接対応兵器システム(CIWS)が主要兵装だ。米RIM-116回転式ミサイルに相当する「FL-3000N」を艦橋後部に搭載するのではないか。これに30mmCIWSを組み合わせ強力な近接防御能力が実現し、海面すれすれを飛ぶ飛行物体や小舟艇への守りが固まる。
  8. 055型には統合発電配電系統が搭載され、タービン発電で推進力を得る構想とすると従来の中国艦より先を行くことになる。同時に電子戦能力でも人民解放軍海軍PLANで最高性能のミッションっシステムになる。
055型の完成想像図 果壳军事-WIKICOMMONS  .
  1. 055型は多用途能力があるが、主任務は中国版の空母打撃群の掩護でこの点でもタイコンデロガ級巡洋艦と同様だ。戦闘群の指揮統制機能も含み、055型は従来のPLAN艦艇に欠けていた要素を埋める存在となる。052D型駆逐艦が以前は戦闘力で最大の艦だったが055型と比べると相当見劣りがする。
  2. PLANが最低でも四隻の空母運用を目指す中で055型も4隻建造する理由は明白だ。空母戦闘群に一隻ずつ配備し、空母が外洋に出ない場合は遠隔地に出没させ威力を示威するのだろう。また高機能の戦闘能力と指揮統制機能をPLAN部隊に提供するだろう。055型はさらに4隻建造される可能性もある。
  3. そうなると新型055型駆逐艦は米国や域内有力国と互角の戦闘能力を目指す中国に大きな一歩となる。ただし米海軍と同等の威力を有しているとは限らない。多くの面で米海軍の水準に達していない。中国の建艦技術に問題があるといわれ、米艦の水準と比較すれば品質面で劣る。搭載センサーと兵装の一体化、ミサイルの信頼性、またミサイルの全般的性能に疑問が残る。
  4. ただそれが本質的な問題ではない。大事なのは中国が将来の海軍兵力投射能力整備を目指し、空母二隻を建造中で今回空母と行動を共にする艦を作ったことだ。二種類の艦が就役すれば今よりも大胆かつはるかに遠隔地への航行をめざす海軍戦略の中核となる。米海軍は恐れる必要はないが、域内有力国のインドや日本にとっては意味がちがってくる。055型や空母は南シナ海、台湾海峡、インド洋さらに東シナ海で長期間にらみを利かす存在となる。
中国は軍艦の推進式の意義を正しく理解しているようではないか AP
  1. 055型は同時にいわば「後追い」モードで技術ギャップを埋めるのに必死な敵対勢力ではなくなったことを示している。中国では技術国産化が進んでおり、ときには技術リスクも恐れず(例 デュアルバンドレーダー艦載化で米国に先行)挑戦している。そのため中国軍は支援に回るアン業界とともに防衛装備のコンセプトで模倣しているように見えるが、実はハードウェアや兵装の統合化でその傾向は強くなっている。
  2. この変化がさらに進めば米国や同盟国が中国の軍事力整備に対応せざるを得なくなる状況となる。これまでの中国の軍事技術開発は米国やロシアの過去装備を後追いしているような状況だったが、今や予測自体が難しくなっており懸念をそれだけ生む状況になったといえる。■