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2023年11月8日水曜日

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

 

Wikimedia Commons



フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。



ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。

 「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。

 しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。

 そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。

 フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。

 しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。


戦闘訓練はフェアな戦いではない

コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡なく紹介されることが多いが、現実はそうではない。

 このような演習の目的は、勝利を確保することではなく、学習しやすい状況を作り出すことである。すべてのパイロットとサポートクルーがこれらの高価な努力から最大限の成果を得られるように、訓練のルール(一般に交戦規則またはROEとして知られている)は、単に競技場を均等にするだけでなく、多くの場合、より能力の高いユニットやプラットフォームが明らかに不利になるように意図的に設定されているのだ。

 F-22ラプターの場合、そのステルス性、センサーフュージョン能力、AIM-120高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)は、空軍が言うところの "ファースト・キルチャンス"をパイロットに与えるためのものだ。言い換えれば、戦闘機とその搭載システムはすべて、ラプターが探知されることなく敵の空域を潜り抜け、目視範囲外から敵戦闘機と交戦することを可能にするものである。

 たとえ至近距離での戦闘を強いられたとしても、ラプターのパイロットは、戦闘が始まる前に最も有利な位置に身を置くまで空域を潜り抜けることで、交戦の性質を決定することができる。

 しかし、空戦演習でF-22にそのような飛行をさせるとしたら......演習指揮官が "Go "と言った瞬間に、F-22は60マイル離れたところから競争相手を一掃してしまう。そして、誰も訓練から多くを得ることはできないだろう。

 その代わりに、ラプターの長所を損ない、より劣る戦闘機が優位に立てるようにROEを設定するのが、このような演習では一般的なやり方だ。例えば、目視範囲外からの交戦を禁止することで、F-22のステルスの優位性を排除している(ステルスは眼球には効かないし、より射程の短い赤外線誘導兵器の方がロックオンできる可能性が高い)。

 他のルール、例えばラプターのパイロットに燃料の多いドロップタンクを翼下につけて飛行させることで、航空機の曲技飛行の機動性を劇的に低下させることができる。また、演習開始時に航空機を意図的に配置する、例えば能力の低いジェット機をF-22の真後ろに配置することで、ラプターのドライバーにとって非常に困難な状況を作り出すことができる。

空の王者:F-22ラプター

実際のところ、F-22に挑むFA-50は現代のダビデとゴリアテだ。 ロッキード・マーチンのF-22ラプターは、ステルス、センサーフュージョン、そしてF-15のような冷戦時代の戦闘機にしかないホットロッド性能のユニークな組み合わせのおかげで、これまで飛んだ中で最も支配的な航空優勢戦闘機だと広く考えられている。SR-71ブラックバードに搭載されたJ58ターボラムジェットを上回る出力をアフターバーナーで発生させる、プラット&ホイットニー製のF119-PW-100ターボファンエンジンを搭載したラプターは、マッハ2.25の最高速度と、マッハ1.5以上の速度でスーパークルーズ(アフターバーナーを使用せずに超音速で飛行すること)が可能である。

 最高速度では戦いに勝てないかもしれないが、F119の驚異的なパワーは、ラプターに1.25から1.37対1という間違いなく世界最高の推力重量比を与えている。言い換えれば、この戦闘機のエンジンは、標準的な戦闘負荷で機体の重量1ポンドに対して1.25ポンドから1.37ポンドの推力を生み出し、このステルス戦闘機を地球上で最も速く加速・上昇する戦術ジェット機のひとつにしている。同エンジンは、パイロットが機体から独立して推力の流出を方向付けることを可能にする2方向推力ベクトル制御ノズルで飾られており、高い迎え角で飛行している間(ジェット機の機首と武器を相手に向かって下向きにするときなど)、より優れた制御を可能にするだけでなく、非常に高い機動性を発揮する。

 しかし、ラプターは生のパワー以上のものを持っている。地球上で最初で最古の第5世代戦闘機であるにもかかわらず、最もステルス性が高く、正面レーダー断面積はわずか0.0001~0.0002平方メートルと推定されている。そのため、ラプターはF-117ナイトホークの30倍、ロシアの競合機るSu-57の最も楽観的な見積もりよりも1,000倍もステルス性が高い可能性がある。この極めて低い観測性は、F-22の強力なアップグレードAN/APG-77(V1)アクティブ電子スキャン・アレイ・レーダーによって強化されており、その性能はF-35のより近代的なAN/APG-81(戦闘機に搭載されたレーダーの中で最も強力なレーダー)を空対空任務で凌ぐほどだと言われている。

 F-22は、最大6発のAIM-120高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)、2発のAIM-9サイドワインダー赤外線誘導ミサイル、M61A2 20ミリガトリング砲を搭載して戦う。


ザ・アンダードッグ FA-50

FA-50は、韓国航空宇宙産業(KAI)の超音速練習機T-50ゴールデンイーグルの軽戦闘バージョンで、当初は韓国の老朽化したノースロップF-5EとセスナA-37ドラゴンフライを置き換えるため設計された。

 F-22が費用を惜しまず、地球上で最高の戦闘機を凌駕するように設計されたのに対し、FA-50は手頃な価格と効率を前面に押し出して設計された。ジェネラル・エレクトリックF404-GE-102アフターバーニング・ターボファン・エンジン1基を搭載し、約17,700ポンドの推力を発揮する同機は2人乗りで、マッハ1.5に達することができ、推力重量比は0.96対1である。

 FA-50は、ジェネラル・ダイナミクスA-50 3バレル20mmロータリー・キャノンと、AIM-9サイドワインダーを含む武器を搭載するための7つのハードポイント、そして攻撃任務のための空対地弾薬の長いリストを装備している。空と地上両方の作戦の照準は、イスラエルのEL/M-2032パルス・ドップラー火器管制レーダーを改良したもので、韓国のKF-16が活用しているアメリカ製のAPG-68(V)7マルチモードレーダーと性能が似ていると噂されている。

 FA-50は経済的な性能で、多くの記録を塗り替えることはないだろうが、破たんすることもないだろう。では......いったいどうやって、空で最も強力な戦闘機相手にキルを取ることができたのだろうか?


この写真がF-50対F-22の交戦について教えてくれること

この演習でこれらの航空機がどのような交戦規則に従ったのかはわからないが、画像からすぐに読み取れることがいくつかある。

ひとつは、この交戦が明らかに目視範囲内で行われているということだ。F-22ラプターが目視外から交戦を支配することはほぼ確実であるため、この演習のROEは、ステルス性でも状況認識でもラプターの利点があまり役に立たない接近戦に2機を追い込んだと考えるのが妥当だ。

 しかし、F-22のシルエットに見られるいくつかの小さなディテールが、それをさらに物語っている。画像をよく見ると、この交戦中、ラプターの燃料入りドロップタンクらしきものがまだ翼の下にあるのがはっきり見える。

 戦闘中でないとき、あるいはステルス性を必要としないミッションを飛行しているとき、F-22ラプターは翼下に2つの巨大な600ガロン外部燃料タンクを搭載して飛行しているのをよく見かける。外部燃料タンクは戦闘機の性能に深刻な悪影響を及ぼすため、ほとんどのパイロットが相手と対決する前に最初に投下する。

 このドロップタンクは、各翼の下に搭載される重量を劇的に増加させ、戦闘機の失速速度(または、ジェット機が空気力学的失速を防ぐために維持しなければならない速度)を上げると同時に、各翼の慣性を劇的に増加させ、戦闘機のロールやタイトターンの能力を制限する。また、空気抵抗も増加するため、戦闘機はあらゆる操縦でよりハードな作業を強いられ、上昇率や加速も低下する。

 つまり、ラプターのパイロットがドロップタンクを持って合流に向かうことは、戦闘機のパフォーマンスを抑制し、より劣勢なジェット機に有利なチャンスを与えるために、演習の交戦規則で義務付けられていない限りありえない。

 だから、今回の戦闘演習の状況についてこれ以上の文脈がなくても、ここでの意図は、すべての関係者に最大の訓練効果を提供することであり、ラプターの優位性についてクリニックを開くことではなかったことは明らかである。このように、強力なF-22に不利になるように条件を積み重ねたのである。■


Think the F-22 Is the Sky’s Top Dog? The Filipino FA-50 Proved You Wrong | The National Interest

by Alex Hollings

November 4, 2023  Topic: F-22  Region: Americas  Blog Brand: The 


2018年3月14日水曜日

対北朝鮮への警戒姿勢を示す韓国軍がバンカーバスターミサイルを追加発注

朝鮮半島の事態の変化に世界が振り回されている観がありますが、韓国の独立と安全に責任を有する軍部はどう見ているのでしょうか。警戒態勢は維持しているはずですが、政治の方向性が誤っていると判断すればクーデターに動かないでしょうか。あたかも平和が約束されたと浮かれる世間からすればこうしたニュースは歓迎されないでしょうから、おそらくこのニュースは韓国国内では黙殺されているはずです。軍が「国民感情」に忖度するようなことでいいのでしょうかね。


South Korea quietly orders 90 more Taurus bunker-busting missiles韓国がこっそりとバンカーバスターミサイル「トーラス」を90発追加発注

By: Jeff Jeong    

トーラスミサイルは北朝鮮の地下施設攻撃能力があり、金正恩の秘密退避壕も正確に狙えるといわれる。(South Korea Defense Ministry via AP)

SEOUL, South Korea — 韓国の国防調達部門がトーラス長距離空中発射地下施設攻撃ミサイルを90発追加発注した。
国防調達事業庁DAPAは契約情報を開示しておらず、北朝鮮との対話ムードに水を差さないよう配慮しているのは明らかだ。
南北会談とともに米大統領ドナルド・トランプと北朝鮮指導者金正恩の首脳会談に向けた準備により低下している。
ミサイルのメーカーのドイツ企業トーラスシステムズGmbHの契約は2月末に締結されたとDAPA報道官Kang Hwan-seokが述べている。
今回のミサイル発注は2013年に続くものでDAPAはトーラスミサイル170発を発注しF-15K戦闘機搭載を進めていた。ミサイルは一発1.8百万ドル。
A Taurus long-range air-to-surface missile is fired from a South Korean Air Force F-15K fighter jet during an exercise on Sept. 12, 2017, in Taean-gun, South Korea. (South Korean Defense Ministry via Getty Images)トーラス長距離空対地ミサイルが韓国空軍のF-15K戦闘機から試射された Sept. 12, 2017, in Taean-gun, South Korea. (South Korean Defense Ministry via Getty Images)
同ミサイルは韓国が実現をめざす「キルチェーン」先制攻撃装備の中核となり、北朝鮮の核兵器ミサイルによる脅威に対抗する。
同ミサイルの射程は550キロで北朝鮮の地下施設の破壊能力があるといわれ、金正恩の秘密退避場所も含めピンポイントで狙える。
昨年9月に韓国空軍はトーラスの実弾発射試験を初めて実施し、9月3日の北朝鮮核実験に対抗した。演習ではF-15Kから発射したトーラスは400キロ飛翔し群山沖合の標的に命中した。
韓国空軍は国産FA-50軽攻撃機にトーラス350K2(短距離型)の搭載を目指している。韓国はFA-50を60機運用している。350K2は約300キロ軽量化され射程は300キロ。
昨年12月はFA-50近代化のフィージビリティスタデイを開始した。構想では兵装のアップグレード、空中給油機能の追加、エンジン改良が含まれる。■

Email: jeff@defensenews.com

2017年12月4日月曜日

KAI:T-50値下げでT-X採用に期待し、スキャンダルの影響を脱せられるか

T-Xで機体価格を値下げしないとT-50は勝てそうもないのでしょうか。ロッキードの要望を受け入れて社員の人件費も下げるとその後どんな副作用を生むのか、スキャンダルで経営陣交替と言うのも悲しいですが、政府の「天下り」(韓国にもこの表現があるのでしょうか)トップの経営手腕が問われそうですね。
KAI considers price cut of T-50 unit to win bid: new CEO
KAI新CEO:T-50機体価格値下げで採用をめざす


KAI expresses confidence for next year, despite damage of reputation over recent corruption case
KAIが来年の展望を示したが、同社は汚職案件で評判を落としている。


By Shim Woo-hyun Published : Dec 3, 2017 - 16:50


SACHEON, South Gyeongsang Province -- 米次期練習機案件の成約を狙っていると韓国唯一の航空機メーカーKAI(韓国航空宇宙工業)の新トップが121日に語った。

  1. 慶尚南道泗川市の同社本社で開かれた記者会見で社長兼CEOに就任したキム・ジョウォンKim Jo-wonはKAIが米提携先ロッキード・マーティンの要望でT-50高等練習機の機体価格を引き下げると述べた。 
  2. 「ボーイングとの競合に勝ち抜くためロッキード・マーティンから価格値下げの要望があり、KAIには生死の境目となる商機であり労務費含めコスト削減に取り組んでいる」
  3. 発言の背景には米空軍が進める高等パイロット養成機材T-Xが17兆ウォン(150億ドル)と巨額な規模になっており、2018年第一または第二四半期に選定結果が発表される見込みになっている事情がある。
  4. KAIは保守整備ビジネスへの参入も検討しており、長期にわたり売り上げの安定化を狙う。韓国政府の認可は1月に出そうで、KAIは子会社を設立し事業にあたらせるとキムCEOが述べた。
  5. 同CEOは政府出身で主に監査畑を歩いてきたが10月にKAIトップに選任されたのは旧経営陣が汚職・横領で退き空白ができたためだ。
  6. 同社の評判と業績に傷がついた形だが来年の回復をめざす。すでにヘリコプター納入を再開し、海外市場での追加受注を期待する。
  7. 本年第三四半期には航空機輸出売上が92.5パーセント、軍用売上で34.5パーセント下がった。
  8. KAIは軍、森林局、警察向けにスリオンヘリコプター30機を来年納入する。また780百万ドルでフィリピン政府にFA-50PH訓練シミュレーターの2019年三月引き渡しの契約を成立させている。
  9. キムCEOによれば2018年のKAIはアルゼンチン、ボツワナ、インドネシア、フィリピン等へFA-50PH練習機の輸出を進める。また別の二国での成約に期待する。■