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2023年3月24日金曜日

ウクライナ:旧式APCも十分役立っているようだ。その他現地ニュース(3月18日現在)

 



ウクライナへ寄贈された装甲兵員輸送車APCが、バフムートでロシア軍陣地に突撃する映像が公開された





道装甲車両と重機関銃の騒音が、東ウクライナの機械化戦争の楽器だ。

 ウクライナ軍撮影による興味深い映像では、M113とオランダが供給したYPR-765(M113をベースにしている)がワグナーPMCの陣地を攻撃する様子が報告されており、APCの後ろには悲惨で分裂した地獄絵図だけ写っている。映像は、第一次世界大戦の雰囲気が非常に強い。

中隊規模の部隊の車両は、順次前進、後退を繰り返し、 敵砲火を前に、部隊が注意しながら進んでいる。

 開戦1周年を迎え、ロイド・オースティン米国防長官は米国は「機械化歩兵数個旅団を訓練し装備を与えている」とCNN取材に述べ、厳しさをます前線でロシア防衛陣を突破できると語った。新しい旅団と高度な装備の組み合わせはまだ戦場に届いていない。

 しかし、ロシア戦線を突破するためには、先進的な装甲車だけでは不十分である。戦争末期の戦闘で示されたように、装甲車は歩兵や他のユニットから必要なサポートがないと、死の罠となる。

 3月15日にザポリツィア州のノヴォダニリヴカ近郊で行われたウクライナ軍の攻撃失敗の報道がその残酷な例だ。映像では、開けた場所で数台の装甲車が燃えているのが確認でき、ロシア側は、この攻撃を撃退したとした。

 いずれにせよ、100年前の塹壕戦が東ウクライナの泥沼で再現されたとしても、ロシア占領下のクリミアでの攻防と解放計画は、ウクライナに送られる西側の最新鋭装甲戦闘車両に依存するだろう。

 老朽化したM113とYPR-765は、より近代的な後継車両と比較して「先端の戦闘車両」とは言い難いが、この戦いでどれだけの役割を担っているかが分かる。これは驚くべきことであり、恐ろしいことでもある。ウクライナは明らかに、理想的とは言い難いものの、手持ちの装甲車両でやりくりしている。








最新情報

プーチンがクリミアを訪問

プーチンは、ロシアがウクライナからクリミア半島を奪取したと宣言してから9年目の今日、現地に行った。ちょうど昨日、国際刑事裁判所が本人を戦争犯罪で告発した。自分で運転して移動しているようだ。ロシアが1年以上前にウクライナへの全面侵攻を始めてから、クリミアを訪問するのは初めてだ。ロシア報道では、プーチンは黒海艦隊の本拠地セバストポリに滞在中、美術学校と児童センターを訪問したという。


ロシアが徴兵制度を拡大

 英国国防省が土曜日に発表した情報では、ロシアは継続的な損失を考慮し、徴兵制要件をまもなく調整するとある。報告では、ロシア下院(立法府)を通じ、徴兵年齢を18~27歳の男性から21~30歳の男性に変更すると提案されていると指摘した。同報告書は、法案が「可決される可能性が高い」と評価し、2024年1月に施行されるとしている。

 ロシアの徴兵制は、ウクライナがハリコフ地方で反撃に成功したことを受けて9月に実施した「部分動員」とは別のものだ。ウクライナでの兵役は厳密には禁止されているが、「数百人が行政上の手違いや契約締結の強要によって兵役に就いたと思われる」と最新情報は指摘している。

 現在、18歳から21歳の男性のほとんどは、高等教育を受けるため免除を主張しているが、年齢層が変われば、部隊が増え、兵役を強制されることが確実となる。徴兵が増えれば、結果的にウクライナで働く兵士が増え、徴兵された兵士が前線から離れた場所で後方勤務する。


バフムート南方アヴディフカが次の焦点か

 ドンバスでの戦闘が今週も激化する中、10年近く前線にあるウクライナの町で、新たな包囲網の企てが懸念されている。ロシア軍は、バフムートの戦闘から50km南下し、ドネツク市と空港の要塞からわずか数マイル北に位置するアヴディフカAvdiivkaに再び戦力を集中させていると報じられている。

 2014年にドンバス戦争が始まって以来、近隣の戦闘に耐えてきたため、町の西側の広々とした地形は、脱走や迅速な包囲に対し脆弱だと懸念されている。エミール・カステヘルミ(@emilkastehelmi)がスレッドで説明しているように、アヴディフカは近いうちにバフムートの包囲網と対になる可能性がある。

 同地域ではここ数日、戦闘が増加しており、特に街の北側のクラスノホリフカの近くでは、戦闘が激化している。3月17日にロシアの空爆がアヴディフカを狙い、住宅用高層ビル一部が倒壊する被害が出た。赤外線映像では、その後の同地域のウクライナ側陣地への空爆も確認されている。

 さらに、サンクトペテルブルクから動員されたロシア人によるものとされる最近のビデオでは、同地区での攻撃で70%の死傷者が出たと主張している。

 カステルヘミが指摘するように、ロシアが町を完全に包囲しなくても、町の防衛を続けるウクライナには負け戦になる。バクムートへの西側アプローチと同様、ウクライナ軍が援軍や脱出で頼る道は、ひどく開けた場所にあり、側面からの攻撃には脆弱だ。

 バフムートでは双方に多大な犠牲と装備品が出たため、同様の規模の2度目の攻撃となると、ウクライナの消耗が懸念されるだけだ。


ロシアがクリミア防御を強化

 さらに南では、ロシアがウクライナの攻撃を想定して、占領地クリミアの要塞化を続けている。イシュンの町の南、地峡西側で建設が進んでいる様子を通行人がビデオに収めた。

 ロシアは新しい要塞を建設しているだけではない。アゾフ海の海岸線では、アラバト海峡の南端にあるアラバト要塞にロシア軍がいることが衛星画像で確認できる。17世紀にオスマントルコ軍が築いた同要塞は、1853~1856年のクリミア戦争、ロシア内戦、第二次世界大戦で戦われた。

 最近では、2014年にクリミアを併合して以来、ロシア軍が砦を占拠している。衛星画像では、要塞周辺の塹壕線と戦闘態勢から再び戦争の準備に入ったことがわかります。


 絵に描いたような映像は、雪が降る中、光量の少ないM142 HIMARSの発射を捉え、誘導ロケットの煙跡が太陽光線に照らされながら筋を引く様子を映し出しています。




 ウクライナのイヘリアンOBON分離特殊目的大隊が試射するDSS PZD 556軽機関銃の映像も映し出されている。NATO 5.56 x 45mm装弾で、FN Herstalの由緒あるMinimiやアメリカのM249 SAWに似ているように見えます。





 最後に、ウクライナ軍は、"Shahid "として知られる、武装ロボットの使用を開始した。土曜日投稿のビデオでは、ウクライナ軍が頭上のドローンと4輪ロボットを使って、ロシアの陣地を攻撃している。


 MON-90対人地雷と12キログラムのTNTを搭載したロボットは、そのペイロードが爆発すると、かなりのパンチ力を発揮する。上空のドローンからの映像は、別の兵士がロボットを走らせ、その結果生じる爆発を映し出している。■


Ukraine Situation Report: Armored Personnel Carriers Make A Charge In Bakhmut


BYSTETSON PAYNE|PUBLISHED MAR 18, 2023 9:22 PM

THE WAR ZONE


2021年8月29日日曜日

ブラッドレイ歩兵戦闘車両は攻撃力装甲防御力を向上し、米陸軍はこれからの戦闘でも大きな役割を期待し、敵IFVの駆逐を想定。

 

 

米陸軍はブラッドレイの残存性を高める改良を進めている。

 

M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両は歩兵部隊隊員を戦場に輸送するのが任務だが、報道陣は戦車と誤解することが多い。軌道走行式で33トンの車重と装甲を施し、25mmブッシュマスター自動機関砲とTOW対戦車ミサイル発射機で武装しているため無理もないところか。

 

ただし、M2への批判派は火力性能が不足と見ている。機械化歩兵分隊は地形を縫い敵位置を偵察し、あるいは敵を待ち伏せし、防衛線を守る、あるいは敵を建物内から追い出すのが役目だ。

 

ただし、M2の歩兵輸送能力に制約がある。初期型では7名しか搭載できず、やっと9名を運べるよう改良されたにすぎない。となると機械化歩兵小隊の輸送にブラッドレイ4両必要となり、全員が一両に乗ることはできない。

 

M2およびM3ブラッドレイは1,800両近く供用中で米陸軍では二段階で性能改修を行い、ちょうど半分まで来ている。2018年1月にさらに上の性能を狙うM2A5改修の企画が生まれ、搭載兵員数を増やすべく車体の拡大と装甲を強化し、30mm機関砲の搭載を狙う。

 

陸軍の大型かつ強力な歩兵輸送車ブラッドレイはさらに大型化しそうだ。

 

M2A4 性能改修型

 

米陸軍ではブラッドレイが活躍する場面はM1エイブラムズ主力戦車より多い。イラク砂漠戦となった1990-1991年の湾岸戦争でブラッドレイはエイブラムズ以上の敵装甲車両を葬った。

 

敵の犠牲となったブラッドレイはわずか3両で、友軍の誤射で破壊されたほうが多い。だが、その後、長期化したイラクでの対戦闘員作戦中にブラッドレイ数十両の喪失が発生した。装甲防御で改良を受けていたにもかかわらずだ。そもそもブラッドレイでは地雷や即席爆発物(IED)への防御は優先度が低く、これより装甲が薄いストライカー装甲車両より被害事例が多くなっていた。

 

装甲改良とあわせセンサー機能の充実を図ったものの本格的な解決策にならなず、追加重量がエンジン負担につながり、電気系統に不足が生まれ、機動性が犠牲となってしまった。2012年からM2A4仕様への改良が始まり、現在も「技術改良提言」(ECP)を二段階で進めている。

 

このうちECP1がほぼ完了しており、ブラッドレイは設計時の車両性能を回復すべく、大型トーションバーと軌道改修を行い、サスペンションとショックアブソーバーを取り換えた。これにより車両の摩耗が減り、信頼性が高まり、地上クリアランスが増えIED爆発時の残存性が高まった。

 

 

ECP第二段階では電気系統の強化、パワートレインに従来より高出力の電気系統に対応した新型電力管理ソフトウェアを導入する。2018年開始予定だったが、ソフトウェアのバグつぶしと信頼性問題で開始が遅れた。ただし、改修後のブラッドレイは平均281マイルでの故障と想定した400マイルに満たない状態で、電力系の故障とトランスミッションオイル冷却が原因となっている。にもかかわらずECP2の実施は間もなく本格開始される。

 

ブラッドレイ改修でM3騎兵戦闘車両に近くなる。M3は装甲偵察任務に投入されている。M2A4仕様へ改修が終わった車両は従来より高い性能を発揮し、さらに上を狙うM2A5仕様への改修に近づく。

 

M2A5で車体大型化、砲塔が実現

 

M2A5では第三世代の前方監視赤外線(FLIR)センサー、レーザー照準器、カラー外部監視カメラで敵を長距離で捕捉することが可能となる。なお、エイブラムズ主力戦車の装備品と同時に改修を行う。

 

また、ブラッドレイの砲塔、車体がともに大きく変わる予想図が出ており、開発には4-5年かかるとするとの予測がツイッター上に出た。米陸軍は新型車両の開発及び部品調達に6億ドルを計上しているが、さらに増加するとみられる。ペンタゴンが砲塔と車体ともに対象とするかあるいは片方だけを選択するかは不明だ。

 

車体はストレッチして追加装甲の搭載、新型トランスミッション、さらに搭載人員を8名に追加する。車重は40トンへと一気に20パーセント増になる。改良で車内の隊員には従来の二倍から5倍の装甲防御が実現するという。

 

防御面の改良ではアクティブ防御装備(APS)があり、飛来するミサイルやロケット推進手りゅう弾に対抗する。エイブラムズ戦車ではトロフィーAPSが導入されているが、ブラッドレイではイスラエル製アイアンフィストをテスト中だ。

 

砲塔関連では25mm機関砲にかわり30mmのXM813ブッシュマスターII自動機関砲が搭載される。同装備はストライカー装輪歩兵輸送車両にも導入されている。一見、大幅改良に見えないが、30mm弾は25mm弾の二倍の大きさがあり、炸裂効果、装甲貫通効果がともに大きくなる。

 

射程が2マイル近くとなり、装甲貫通能力も30パーセント増えるとの観測がある。ブラッドレイは敵IFVの撃破で実力を発揮するはずで、シリア、イラク、ウクライナなどで存在感を増しているIFVによりよく対応できるようになる。さらに新型砲は空中炸裂へプログラム可能で遮蔽物背後に潜む敵部隊やヘリコプターにも有効に使える。ただし銃弾が大きくなるため、従来の300発搭載が180発に減る。とはいえ、ブッシュマスターIIでも毎分200発発射のまま、精度があがり、火力が増すため、同じ効果を得るため発射弾数は少なくてすむとする。

 

新型砲塔では車長、砲手双方の視野が広がり、イーサネットにより両名の動きが連携でき、レーザー照準器、航法装置の性能がともに上がる効果も期待できる。その他、「5.56mm制圧兵器」の遠隔制御機関銃が敵地上部隊から車両を防御するとの予想がある。

 

当然ながら車体拡大と砲塔の改良でブラッドレイに悪影響も出る。車重が増え操縦性が低下し、価格上昇で世界各地への展開も困難となる。とはいえ、陸軍としてはブラッドレイの残存性を高めるべくロケット推進手りゅう弾やIEDの脅威に悩まされたイラク、アフガニスタン戦訓を念頭に、同時に新型誘導対戦車ミサイルやIFVへの対抗も進めたいとしており、今後の超大国相手の戦闘も視野に入れている。より軽量な車輪走行式のストライカーAPCも新型砲・ミサイルが導入しつつあるが、ブラッドレイでは残存性を確保しつつ攻撃力を最も過酷な戦闘環境でも確保し、戦場に真っ先に投入するとしている。■

 

Could a Bradley Fighting Vehicle Take out a Tank?

by Sebastien Roblin

August 27, 2021  Topic: Bradley Vehicle  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: BradleyIFVInfantry Fighting VehicleTankArmorMilitaryTechnologyU.S. Army

 

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This article first appeared in February 2018.

Image: Wikimedia Commons.