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2021年8月20日金曜日

B-21登場で米爆撃機部隊はこう変わる。B-52はまだまだ供用を続けるが、B-1は順次退役。B-2は?

 


記事ではB-2の言及が皆無ですが、同機に残された時間は短いようです。B-1Bも一気に姿を消すのではなく、機体寿命が残っている機体に優先的に改修を行い、退役が完了するのはまだ先のようです。

 

U.S. Air Force B-21 Raider

米空軍が公表したB-21レイダーの最新想像図

U.S. Air Force

 

B-52はいつまで運用されるのか。B-1Bはどうか。米空軍は戦闘場面で必要となる規模の爆撃機は保有しておらず、数十年間供用を続ける機体もあり、新型機というとB-21のみに限られる。

 

B-21は増産にむかいそう

 

B-21の調達規模は少なくとも145機程度とこれまでよりも増えている。

 

B-21は多様な任務に対応する機体となり、多数の機材が行うミッションを単独でこなせる。

 

空軍にとってB-21は唯一の新型爆撃機であるが、旧式とはいえ新たに性能改修を受けつつあるB-52と併用する方針だ。

 

B-52は 近代化改修で大幅に変わる

 

冷戦時に生まれ性能は実証ずみのB-52は供用期間が最大100年になりそうだ。

 

じゅうたん爆撃で敵の重要地区を攻撃する機能で知られた同機はいまやサイバー攻撃に耐え、EW機能を身に着け、極超音速ミサイルを運用し、デジタルネットワーク化改修を受けた爆撃機となり、新世代の爆弾や精密誘導巡航ミサイルを搭載する。

 

まさしく変身したといってよい。

 

こうした改修が可能となったのも製造後数十年たっても機体構造が堅固なままであるためだ。構造面では一部補強がなされたが空軍の兵装開発部門によれば時の経過に耐えているという。

 

機体以外で今日のB-52は誕生当時と全く別の機体といってよい。改修の範囲はそこまで大きい。

 

B-52は新型最先端かつ先見的技術の搭載で、これからの脅威に対応可能となった。改修作業は数十年にかけ実施され、一度に列挙できないほどだ。

 

B-52戦闘中ネットワーク通信技術Combat Network Communications Technology (CONECT)

 

空軍は同機の通信系統の改修に乗り出し、リアルタイムでの飛行中情報収集機能を実現した。

 

その機能は戦闘中ネットワーク通信技術と呼ばれ、デジタル技術によりB-52で重要なミッション詳細情報を利用可能とした。標的情報の更新、地形データ、敵の活動状況や飛行経路情報が利用できる。空軍は2016年からCONECT導入を開始し、CONECTによりパイロット両名は事前にプログラムした標的ミッション情報に頼らずにリアルタイムで飛行経路を変更し標的に向かい、敵の脅威内容に対応した変更が可能となる。

 

B-52機内兵装庫 Internal Weapons Bay (IWBU)

 

B-52ではエンジン換装以外に重要なのが機内兵装庫の更新で、同機の兵装搭載量が大きく伸びる。

 

IWBUは複数年度かけ実現していくが、レーザー誘導JDAM、共用空対地スタンドオフミサイル(JASSM)、JASSM長射程型の運用が可能となる。兵装運用の拡大では小型空中発射デコイ(MALD)、MALD-Jジャマー型の運用も視野に入る。

 

まさしくパラダイムチェンジとなる改修でB-52は極超音速ミサイル運用も目指しており、マッハ5の攻撃能力が実現する。この極超音速ミサイル搭載への準備段階として空軍はAGM-183空中発射迅速対応兵器を600マイル射程で試射した。B-52はB-21と併用して今後も投入されるが、老朽化してきたB-1ではこうはいかない。

 

B-1Bの行方

 

B-1Bは段階的に運用終了する予定で、空軍爆撃機部隊の構成に興味深い変化が生まれる。B-1Bは多用されすぎ、進展する敵の脅威に対応が困難となると空軍上層部は見ている。

空軍グローバル打撃軍団司令ティモシー・レイ大将はB-2が少数機しかなく、B-1Bの老朽化のため爆撃機不足に悩んでいるとたびたび発言している。

 

B-1Bに極超音速兵器運用を期待するのは同機の供用期間を延長するためでもある。各種改修を行っても同機の老朽化は隠せない。空軍は今後数年でB-1Bを退役させる。

 

B-52、 B-21を併用しつつ B-1Bも残る今後の姿

 

そうなると時の経過に耐えるB-52、新型B-21の併用で空軍は対応するつもりなのだろうか。そうだとすれば、戦術戦略両面、さらに空軍の爆撃機部隊活用にどんな変化が生まれるのだろうか。

related to the arrival of the B-21 stealth bomber. 

一つ考慮すべきはB-21の運用開始がどんなペースで進展するかだ。

 

B-1Bの退場で生まれるミッションの穴はB-21が埋める。無論のこと、ミッションの詳細情報は保安上の理由で不明だが、B-21が異次元のセンサー機能、データ分析、兵装の誘導方法、爆弾投下能力、コンピュータ処理能力、標的捕捉機能を実現してもおかしくない。つまり、B-21がB-1Bが行うミッション多数を引き継ぐ。

 

また長期計画ではB-1Bはすぐに姿を消す前提になっていない。空軍はB-1Bの複数年度改修を実施中で、兵装庫は極超音速兵器対応に改装し、その他エイビオニクス、エンジン、通信系統の改修も進める。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。

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The Future of US Air Force B-21s, B-52s & B1-Bs

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

 

-- Kris Osborn is the President of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master's Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2017年12月4日月曜日

B-52エンジン換装は2020年以降に先送り、その他米空軍主要戦略事業の概況



No $ For New B-52 Engines Til 2020; Nuke Modernization Moves Ahead: Gen. Rand

B-52エンジン換装の予算がつくのは2020年まで無理、核近代化は前進とランド大将
B-52H Stratofortress
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on November 30, 2017 at 5:09 PM
  1. ロビン・ランド大将Gen. Robin Randは米空軍の爆撃機、ミサイル部門のボスで老朽化進むB-52のエンジン換装を本当に望んでいる。空軍は関心を有する企業を招きに二日にわたり情報公開セッションを行うが、ボーイングロールズロイスがすでに受注目指し動きはじめている。だがランド大将はAssociation of Old Crows主催の会議に集まった記者に早くても2020年まで予算のめどがつかないと述べた。
  2. 76機残るB-52Hのエンジン交換実施は当然その後になる。空軍は新型B-21爆撃機やICBMの更新を控えており、海軍にもミサイル潜水艦の建造事業がある。
Air Force photo
Gen. Robin Rand
  1. B-52エンジン換装は「検討課題であり進めたいが、長官の前では口ごもらざるを得ない」
  2. つまり「エンジン換装の決断に今までになく近くなっている」が「それだけ事態が切迫しておりB-52を今後も供用するならエンジン換装が必要だ」とする。
  3. この点で後押しする企画が技術公開日で、実際は12月12日13日の二日間ルイジアナのバークスデイル空軍基地が会場だ。公式案内では空軍が民間から情報を求める企画で正式提案を受けつける意図はなく、調達を決めるわけでもないが、空軍が求める契約の大枠がわかるはずだ。
  4. 業界は大いに興奮しており、ボーイングは8月に5分半の動画をYouTubeに掲載し、同社のエンジン換装案を広報した。9月にはロールズロイス役員トム・ハートマンがFlightGlobalで「急いで対応する」と述べていた。
  5. だが実際はそうではない。「FY20年度計画の選択肢の一部にすぎない」とランド大将は言う。複雑な予算手続きで議会が2018年度の支出法案作りに取り組んでおり政権は2019年度予算要求案をまとめ来年初めに提出する。エンジン換装はその後になるとランド大将は明言している。「まだ決定されておらず、あるとすれば20年早々だろう」
  6. 航空業界に造詣が深いアナリストのリチャード・アボウラフィアRichard Aboulafiaはエンジン換装に懐疑的だ。「たしかに名案だが、それはこれまで30年の間に限ってのことで実施は困難だろう」とするが、ペンタゴンの予算作業を考えると実施はきびしいのか。
  7. 「問題はエンジン換装で節約できるのはO&M勘定(燃料、部品予算)なのに出どころは調達勘定になっていること」とアボウラフィアは述べている。「O&Mの節約分が調達費を上回るがそれぞれで相殺するわけではない。O&M節約分で調達予算が助かるわけではないのですが、DoDはこれに固執していますね」
  8. 「このためエンジン換装はなかなか実現していない。例外はKC-135とC-5Aだけです。後者のTF39は本当に面倒なエンジンで稼働率が低いうえにスペアパーツが入手しにくくなってますからね」
GBSD次期ICBM整備
  1. B-52の次に2020年度予算ではランド大将のグローバル打撃群段はもう一つ大事な決定が必要だ。ICBMでボーイング、ノースロップ・グラマンのどちらを選定しミニットマンIIIミサイルの後継機種を実現するかだ。(8月に両社とも3億ドル超の技術成熟化リスク低減契約を交付されているがロッキードがこの段階で落とされた) 地上配備戦略抑止力(GBSD)となる同事業の最終規模はペンタゴンの費用解析事業評価(CAPE)室によれば少なくとも850億ドルになるという。
Minuteman III in silo
  1. これはミサイル本体だけで済む問題ではないとランド大将は報道陣に語った。GBSDは「本体の保全方法、指揮命令方法他大幅に変更を伴う。ただし契約企業の仕事のやり方で異なってくるので今の段階でこうなるとは簡単に言えない」
ALCMあらためLRSOスタンドオフミサイル
  1. 他方で1980年代製の空中発射巡航ミサイル(ALCM)の交替が進んでいる。8月には「概算9億ドル」で試作品の長距離スタンドオフ(LRSO)ミサイルの製作契約をロッキード・マーティン、レイセオンの各社に交付している。最終選考は2022年の予定だ。ただ核兵器嫌いの民主党議員が事業をつぶさないかぎりLRSOはB-52、B-2および開発中のB-21が運用するはずだ。
B-21
  1. B-21は最低でも100機を単価550百万ドルで調達する。この野心的ともいえるコスト目標のため通常の調達手続きではなく空軍迅速戦力整備室(RCO)が進めており、事業規模の大きさのためRCO職員が多数B-21に向けられている。
  2. B-21はグローバル打撃軍団最大の謎である。空軍がノースロップ・グラマンに契約交付して二年以上になるが、極端までの極秘扱いで、制式名とニックネームのみB-21レイダーとして意図的に不明確なCGI図と公表されたただけだ。空軍は同機は無人機運用も可能とし、大量の爆弾搭載能力があり、核兵器運用も後日可能となるだろう。また搭載内容をモジュラー化し、ISR、電子戦に使い分ける。会議ではランド大将が電子戦について語っていたので記者はEW能力がB-21に搭載され敵の高度対空装備を突破できるとのうわさについて聞いてみた。大将は詳細に触れず基本的な考え方についてのみ語った。
B-21 Raider artist rendering
  1. 「B-21はシステムをファミリー構造にしている」とし、単一の機体にはならないとランド大将は述べた。「具体的な性能についてここでは話せない」としながら「B-21は厳しい状況でも十分に活躍できる機体になる」と後で記者団に語ってくれた。
  2. 「センサー中心の機体となるだろう」とレーダー他の装置が兵装同様に重要になり、F-35共用打撃戦闘機と似てくると述べ、「長距離打撃機となりスタンドオフ攻撃と敵地侵入能力を実現する」とし、敵対空装備の有効範囲外から長距離巡航ミサイルを発射するか、防空網をかいくぐりステルス性能と電子欺瞞能力を発揮するのだろう。
  3. いわゆる接近阻止領域拒否の防衛体制がロシアや中国で整備が進んでいるが、B-21はその弱点を探し出す。「A2/ADを通過不可能な壁のようにいう人がいるが、実はA2/ADはチーズの塊、スイスチーズで、穴がいっぱいあるんですよ』■

2017年10月25日水曜日

特報 米空軍が核爆撃機24時間警戒態勢を復活か


冷戦時代とは規模が違いますが、核爆撃機を即応待機に戻すという時計を後戻りさせたのは金正恩その人であると断言できますね。その意味ではグローバルな影響力を持った人物であるのは確かです。ただしあとどのくらい生きていられるかは誰にもわかりませんが。米空軍はこの内容を否定しているようですが、真実はまもなくわかるでしょう。

EXCLUSIVE: US Preparing to Put Nuclear Bombers Back on 24-Hour Alert 特報:核爆撃機の常時待機態勢の復活を米国が検討中


A 2014 photo of a B-52H Stratofortress based at Barksdale Air Force Base, La.
  • BY MARCUS WEISGERBER
OCTOBER 22, 2017
BARKSDALE AIR FORCE BASE, La. —  米空軍が核搭載爆撃機を再び24時間待機態勢に戻そうとしている。冷戦終結の1991年以来の措置となる。
  1. 本基地の11千フィート滑走路の末端でふたたび「クリスマスツリー」(斜めに駐機する形状から)にB-52が待機し下命あり次第即座に核爆弾を搭載して離陸する風景が見られるのだろうか。
  2. 「空軍の準備態勢を一歩進める措置になる」と空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将Gen. David Goldfeinがバークスデール基地含む米空軍核ミッション基地順次訪問の途中で語っている。「特定事態への対応というより地球規模の事態発生に備える体制づくりと見ている」
  3. ゴールドフェインはじめ国防高官は警戒態勢を取る命令は出ていないと強調するが、即応態勢整備が進んでいるのは確かだ。命令を出す権限があるのはジョン・ハイテン大将Gen. John Hyten(米戦略軍STRATCOM司令官)あるいはロリ・ロビンソン大将Gen. Lori Robinson(米北方軍NORTHCOM司令官)のいずれかだ。STRATCOMが核戦力で、NORTHCOMが北米大陸防衛の責任を負っている。
  4. B-52を再び待機させるのは北朝鮮含む急速に変貌しつつある地政学的課題への米軍の対応策のひとつにすぎない。ロシアも軍事力増強を続けている。
  5. ゴールドフェインは米空軍トップであり、統合参謀本部の一員だが隷下部隊に核兵器を使う抑止効果に加え核を実戦投入した場合を考えるよう求めている。
  6. 「世界は危険な場所であり核兵器使用を公言するひとたちもいる。かつてのソ連とこちらの二極態勢はもはや存在しない。核プレイヤーが増えた中でミッションを確実に行える体制がここまで重要になったのは初めてだ」(ゴールドフェイン)
  7. 全米移動した先週ゴールドフェイン大将は空軍隊員に冷戦時を超えたICBMや核巡航ミサイルの使用内容を考えるよう促していた。
  8. 「空軍グローバル打撃軍団に意見交換の中心役を求め『通常戦に核兵器の要素が加わるとどんな様相を呈するか』『もしこれが現実に発生したらグローバル勢力として対応できるか』『オプションは何か』を考えさせたい。そのような環境で抑止力はどうあるべきなのか」
  9. B-52を常時警戒態勢に戻すと抑止効果が高まるのかと問われたゴールドフェイン大将は一言では答えにくいと認めた。
  10. 「それは相手がだれで、どんな行為を問題にするか、さらにこちらの即応態勢が関心を呼べるかにより異なる」
  11. バークスデール基地には第二爆撃飛行団と空軍クローバル打撃軍団が本拠地を置き、かねてからB-52を常時警戒態勢に戻す作業を受けてきた。待機施設近くには相当年数の立ったコンクリート建物がありB-52乗員が冷戦時にここで寝泊まりし機体をすぐ離陸させる体制を維持してきた場所でこれも改装を受けている。
  12. 内部には100名以上を収容するベッドがすえつけられ、外部に設けられた待機機材9機には十分すぎる規模だ。レクリエーション室にはビリヤード台があり、テレビやシャッフルボード卓もある。基地内の各隊隊章の大きな絵が壁に掲げられている。
  13. その一つが冷戦時代のシンボルでB-52のシルエットに「古くながらの平和達成方法」を書き添得るのが目立つ。さらに戦略空軍軍団のロゴもあり、これも冷戦時代のなごりで当時はB-52が常時外に待機態勢にあったのだ。
  14. ずっと空だったB-52用駐機場には核戦争時の空中指揮統制機材E-4BナイトウォッチとE-6Bマーキュリーがやってくる。核戦争となれば両機は国防長官、STRATCOM司令官の空中司令機にそれぞれなる。大統領が攻撃命令を下せば、両機は発射コードを爆撃機、ICBM、潜水艦に伝える役目を負う。核攻撃を予期し強化措置を受けているE-4Bのうち一機は今も24時間待機だ。
  15. バークスデール他核爆撃機の基地では新型核巡航ミサイル導入に備えて保管施設の新設工事を進めている。各地視察の途中でゴールドフェイン大将は400発あるミニットマンIII大陸間弾道ミサイルの後継機種の初期検討内容を受け取っており、新型長距離巡航ミサイルでも同様の報告を受けた。
  16. 「われわれの仕事はオプションを示すことで最良の軍事助言と選択肢を最高司令官および国防長官に提示することだ。STRATCOM司令官あるいはNORTHCOM司令官から本土防衛のためには警戒態勢を高める必要があると言われた場合に備えて対応できるようにしておかねばならない」■
  • Marcus Weisgerber is the global business editor for Defense One, where he writes about the intersection of business and national security. He has been covering defense and national security issues for more than a decade, previously as Pentagon correspondent for Defense News and chief editor of ... FULL BIO