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2025年4月23日水曜日

日本がMk70コンテナ型ミサイル発射装置をライセンス生産する可能性(Naval News)



MK 70

MK 70ペイロード・デリバリー・システム。 ロッキード・マーティン。



ッキード・マーティンは、Mk70のライセンス生産に関して日本の産業界と予備的な話し合いを行っていることを本誌に明らかにした。「ペイロード・デリバリー・システム」としても知られるMk70は、同社の最新のコンテナ型垂直発射システム(VLS)だ。

 Mk70は、ロッキード・マーティンが開発・製造し、米海軍を含む15カ国の艦艇に採用されているMk41 VLSを40フィートのコンテナに統合したもの。コンテナには4セルのVLSを搭載でき、ミサイル発射時にはキャニスターを傾ける。

 Mk70はすでに米陸軍でタイフォン・ミッドレンジ・ケイパビリティ(MRC)ミサイル・システムとして採用されており、SM-6地対空ミサイル(陸軍では極超音速兵器として採用)とトマホーク巡航ミサイルを発射できる。また、米海兵隊は、トマホーク発射を可能にするシングルセルVLSを無人ビークルに統合したロングレンジ・ファイアーズ(LRF)システムを配備している。

 一方、米海軍もMk70の艦上設置と海上でのミサイル発射試験を実施している。2021年には無人水上艦「レンジャー」からSM-6の発射試験が行われ、2023年にも沿海域戦闘艦(LCS)「サバンナ」(LCS28)から発射試験が行われた。2024年末、カルロス・デル・トロ米海軍長官は、LCS艦艇の火力強化計画を発表し、艦尾甲板にMk70を組み込み、SM-6とトマホークの運用を可能にすると発表した。特に、2024年11月に就役したUSSナンタケット(LCS27)の就役式では、後部甲板にMk70ランチャーが設置された。

 現在のところ、Mk70を日本に導入する計画はない。しかし、海上自衛隊(JMSDF)はコンテナ型VLSシステムに関心を示している。その証拠に、2024年に「コンテナ型SSMランチャーに関する技術調査」の公募が行われた。この構想は、対艦ミサイル(ASM)をコンテナ型発射システムに統合し、生産が開始されたばかりの新型海洋巡視艦(OPV)のような、本来ミサイル搭載が計画されていない艦船への配備を可能にすることを目的としている。

 Mk70は、これまで長距離ミサイル発射能力を持たなかった部隊や艦艇に、長距離ミサイル発射能力を迅速に提供する。これには2つの重要な戦略的意味がある:


敵に過大な負担を強いる

 すべての艦艇と地上ユニットが長距離攻撃能力を保有すれば、敵はあらゆる方向からの攻撃に対し警戒を余儀なくされる。これに対抗するため、敵はISR(情報・監視・偵察)能力を最大限に活用し、さまざまな艦艇や地上ユニットの動きを追跡する必要がある。しかし、これには膨大な労力と資源が必要で、ISR能力を著しく圧迫する。


艦隊内のミサイル運用本数の増加

 Mk70を搭載した艦船がイージス駆逐艦や他の防空艦とネットワーク化されれば、戦術状況に応じて最適な位置からミサイルを発射できる。 さらに、イージス駆逐艦がミサイルを使い切っても、Mk70搭載艦から発射されたミサイルを誘導することができ、持続的な戦闘行動が可能になる。Mk70は艦隊内のいわゆる弾倉の厚みを増すことになる。

 これらの利点は、日本にとって非常に重要である。海洋進出を強める中国に対抗し防衛力を強化しようとする日本にとって、海上自衛隊の艦船が搭載できるミサイルの数は、特に中国海軍と直接対峙することになるため、極めて重要である。

 三菱重工業(MHI)はMk41 VLSの生産ライセンスを持つ世界で唯一の企業である。このことから、ロッキード・マーティンがMk70に関して現在協議している日本の相手は三菱重工の可能性が高い。海上自衛隊の今後の戦略的方向性によっては、予備的な協議が本格的な導入検討に発展する可能性もある。■


Japan could licence produce Mk70 containerized missile launcher

  • Published on 21/04/2025

  • By Yoshihiro Inaba

https://www.navalnews.com/naval-news/2025/04/japan-could-licence-produce-mk70-containerized-missile-launcher/



稲葉嘉洋

静岡県在住のフリーライター。 現在、日本の大学院で国際法(特に自衛権と武力行使)を学ぶ学生。 日本の陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に特に詳しい。



2019年1月20日日曜日

★三菱重工でのF-35生産は終了へ。輸入機調達へ舵を切る日本の防衛政策

Japan to cease in-country assembly of F-35 jets

日本はF-35の国内生産を終了させる


By: Mike Yeo


ルーク空軍基地(アリゾナ州)で初の単独飛行前にコックピットを点検する航空自衛隊の中野二佐。 (Tech. Sgt. Louis Vega Jr./U.S. Air Force)

本はロッキード・マーティンF-35の次期ロットから国内最終生産ラインを利用しない。
これは防衛装備庁広報官がDefense Newsに語ったもので、2019年度分契約から海外生産機材輸入に切り替える。
同広報官は国内生産中止の背景について防衛省へ照会してほしいとあったので同省に問合わせたがまだ回答がない。
最新の防衛大綱及び防衛力整備五カ年計画では「高性能装備を可能な限り妥当な価格で調達する」とあり、「価格効果が悪い事業は見直しまたは中止する」ともある。
日本政府は防衛予算案を承認済みで、2019年度にF-35A6機を612.35百万ドルで調達する。
さらに366.12百万ドルを「その他関連経費」としてF-35関連の整備保守用装備品含む形で計上している。
日本は2013年から最終生産点検施設FACOでF-35Aを組立中。防衛装備庁によればFACO(三菱重工業が運用)は契約済み機材が生産完了する2022年度まで使用される。
日本は国内産業基盤の維持に苦慮しており、防衛大綱でも「低生産量ゆえの高コスト体質や国際競争力の欠如という課題」の克服の必要を訴えている。
日本政府の予算関連資料ではF-35A24機を機体単価平均144.2百万ドルで購入するとあるが価格は低下傾向にあり、2018年度分は119.7百万ドルだ。ただし共に現時点の為替レートによるもの。

当初発注のF-35A42機に加え、日本は追加調達で105機を想定し、うち42機をF-35B短距離離陸垂直着陸型とする。防衛整備案ではまず45機を今後5年で調達し、F-35Bは18機となる。■

コメント:産業基盤の強化というならFACOでの組み立ては輸入より高いから中止というのは理解に苦しみますが、F-3生産を睨んだ動きなのでしょうか。わかりません。

2018年8月20日月曜日

☆三菱重工提唱の航空工業再編構想で日本の防衛関連事業はどうなるか



日本では表面に出ていない内容なので興味深いです。実現すれば民生部門のみならず防衛部門にも大きな影響がでそうです。防衛産業は今後大きな利益が見込めないとすればこうした再編は今後話題に上らざるを得ないでしょう。本記事はターミナル1が初出です。


Aviation Week & Space Technology

MHI Keeps Pushing Consolidation 航空工業再編成を狙う三菱重工

Aug 15, 2018
Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology


菱重工業 (MHI) は日本の航空工業統合構想を捨てていない。政府も構想を支持しており、航空機開発で競争力が将来強まる可能性が出てきた。
他方でMHIは航空機ビジネスで他社より一歩先を目指す動きも続けている。金属素材加工で同社は積極的に自動化を導入していると大宮英明会長は述べ、複合材分野でもこれまで以上に複雑な部品の製造をめざす。
ただし構想の具体的実現策はまだないと大宮会長はAviation Weekに述べた。だが大宮は構想を進めようとしている。航空機製造業の統合でコストが下がり、技術関連業務を統合すれば装置施設の重複を回避し技術や営業活動も共有できるという。管理費用も下がり、とくに共同事業体制より新規統合企業にした場合のほうが効果が大きくなる。
大宮は発電分野で日立製作所と三菱日立パワーシステムズを設立し事業統合した成功例をあげる。
MHIは川崎重工業 (KHI) 、スバルと並ぶ日本の航空機製造企業の雄だ。各社は航空機関連で海外民生需要や防衛省向け装備を製造している。MHIではMRJリージョナルジェットも開発中でYS-11につぐ国産旅客機の実現をめざしている。YS-11は1960年代70年代の事業だが大成功とはいえなかった。
スバルはMHI構想へのコメントを避け、KHIはAviation Weekの問い合わせに回答していない。
MHI構想は日本の航空システム製造業を統合企業体にする内容で経済産業省も同じ考えだ。「日本の航空産業は国際的に存在感を強めるべきだ」と同省は4月のAviation Week問い合わせに答えている。「次世代機事業に参画するためにも日本の航空産業は各社の強みを一つにまとめるべきで、機体サプライヤーの現状に甘んじるべきではない」
他方でMHIには独自の競争力強化構想がある。大宮会長はロボットに強いファナックと協力して進めている江波工場での自動化に言及した。同工場はボーイング777の機体パネルを製造する。ロボットが表皮を治具に載せるとパネルが完成する。(写真参照)これまでは手作業だった。
自動化の効果はコスト、品質(精度)、リードタイム(マシンには習熟化工程は不要なため)に現れると大宮会長は説明。また自動化で航空分野の投入人数が減り、2017-18年度末の比較すると2017年2月の6,600名が3割削減できたという
robots
ロボットがボーイング777の表皮を治具に乗せる。MHI広島工場 Credit: MHI


AIやIoTを品質保証工程に導入すると同社関係者は述べたが詳細は語らなかった。
MHIが苦労して体得した航空宇宙用途での複合材製造技術は低賃金各国では追随が困難な分野だ。そこで同社はライバル各社の先を進めるよう同技術をさらに伸展させる、と大宮会長は語る。そのひとつに現在はファスナーで組み合わせているような複雑形状の部品を一体成型にすることがあるという。これが実現すればファスナー分の重量の軽減にとどまらない。ボルトやリベットを使わなければ穴あけ加工分の厚み補正も不要となる。また素材変更で複合材の強化も狙うと大宮会長は述べた。
MHIの航空宇宙事業の大きな柱にボーイング787の外側ウィングボックス製造がある。ボーイングは同社の仕事に品質価格両面で大いに満足していると大宮会長が説明。
ただし同社も子会社の三菱航空機の実績には満足できない。MRJ開発がほぼ7年分遅れている。「MRJは大型投資案件となったが販売が芳しくない」と大宮は見る。同機の開発は2008年に始まったが一号機納入は2020年代なかごろになりそうだ。

.会長からは航空宇宙事業の課題として投資効果が相当期間にわたり結果を産まないことを指摘。MHIの原子力関連事業も同様の傾向がある。安全関連の基準が厳しいことが共通する。MHIの航空機、防衛、宇宙関連事業は年間売上60億ドルから70億ドルで電力関連事業に次ぐ規模になっている。■

2017年6月6日火曜日

★日本生産F-35A一号機がロールアウト、今後の行方を占う



小牧基地を反対側から眺めることができる名古屋空港(愛知県営)は飛行機好きにとってたまらない場所ですが、今後はF-35の姿も普通に見られるようになりそうですね。旧国際線ターミナルを改装したモールのエアポートウォーク名古屋の一番上に展望室がありその横には金網がありますがバルコニーもあります。もうひとつおすすめは国内線ターミナルの屋上ですが、もうひとつ航空館Boonがある神明公園です。駐車場も豊富にあるのですが、今後はいずれもスポッターでにぎわいそうです。肝心のF-35ですが今の調達機数が確かに中途半端な規模ですが大幅な追加調達は日本からはないのではないでしょうか。韓国空軍のF-35は日本のFACOは利用しないと言っていますから今後の対応に注目しましょう。

Japan Just Built Its Very First F-35 Joint Strike Fighter


June 5, 2017


  1. 三菱重工業の小牧南工場内のF-35最終組み立て点検施設(FACO)が日本国内組み立てによるF-35A共用打撃戦闘機の一号機がロールアウトし米日両国の賓客が式典に参列した。
  2. 「日本国内組立てによるF-35A一号機から改めて本事業のグローバルな性格が見えてくる」と新任のF-35事業責任者マット・ウィンター海軍中将が述べた。「最新鋭の組み立て施設で才能豊かでやる気に満ちた人材が働き、他にはないノウハウと才能で世界最高性能の多用途戦闘機が生まれている。F-35により各国との訓練、演習、軍同士の交流で安全保障上のつながりとともに、長い時間を経て形成してきた同盟各国とのつながりがあらためて強まる」
  3. 日本政府は2011年12月にF-35を航空自衛隊のF-4EJ改ファントム後継機に選定した。F-4は三菱重工がライセンス生産したが、F-35はライセンス生産方式をとらない。三菱重工はFACOでの機体組み立てを担当し、米政府監視のもとロッキード・マーティンの「技術支援」により生産する。
  4. 「日本産業界との長い関係の上に当社はMHIとF-35生産提携関係を続け日本防衛省を支援する所存だ」と式典でオーランド・カラヴァルホ(ロッキード・マーティン・エアロノーティクス執行副社長)が抱負を述べた。
  5. 日本が導入する予定のF-35は計42機で、ロッキード・マーティンは4機をフォートワース工場(テキサス)から引き渡しずみで、残る38機は日本国内で組立てる。
  6. 米国防省は名古屋FACOを北部アジア太平洋の地域内重整備修理改修(MROU)施設として米国のF-35に利用する。
  7. 日本がボーイングF-15イーグルや三菱F-2の後継機としてさらにF-35を導入する可能性もある。
  8. 日本は国産第五世代ステルス戦闘機を開発中で、航空優勢任務につける意向だが、新型機国産機の完成に先立ちF-35追加調達が実現する可能性も十分ある。
  9. 日本はロッキード・マーティンF-22ラブター購入を断られ国産ステルス戦闘機開発に乗り出した経緯がある。米側がラプター売却を拒否した根拠がオベイ改正案で米国にF-22輸出を一番近しい同盟国にも禁じ同機技術が流出することを防ぐのが同法の趣旨だ。F-22購入の道を断たれた日本は三菱X-2心神の開発に走り、同機がF-3戦闘機につながるとみられる。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @Davemajumdar.
Image: Lockheed Martin.


2017年3月28日火曜日

★★日英共同開発戦闘機が実現する可能性



これはどうなるのでしょうか。米側と英国の違いも体験できるでしょうが、そんなに共同開発が簡単だとは思えません。ましてや英国が資金面で大きな役割を果たすとは思えません。さらに両国の置かれた作戦環境、仮想敵が違います。とはいえ、今年中に何らかの展開がありそうですね。引き続き注視していきましょう。

Aviation Week & Space Technology

Japan-UK Fighter Project Sign Of Closer Defense Partnership

Tokyo and London explore building a combat aircraft together
日英戦闘機共同開発は2国間防衛協力の新しい方向性を示す

Mar 24, 2017 Bradley Perrett and Tony Osborne | Aviation Week & Space Technology

日英共同開発戦闘機が生まれる日がくるのか
  • TMHI製F-2は20230年代に後継機が必要となる。
  • ユーロファイター・タイフーンのRAF退役は2040年以前。
  • 日本側は次期戦闘機に有人案を想定。
  • 英国は無人機を重視しつつ、有人機版にも道を残す。

  1. 英国は日本と戦闘機共同開発をめざし、2030年代の供用開始を狙う。この驚くべき動きは両国が防衛技術で密接になっているあらわれだ。
  2. 日英共同開発戦闘機が実現しなくてもBAEシステムズ三菱重工業 (MHI) の進める国産戦闘機開発に参画したいと考えている。共同開発となれば日本は費用分担の相手先として英国に期待するはずで、単なる技術助言の役割では終わらない。
  3. そうなるとフランスが問題となる。英国との共同開発を一番強く求めていたのはフランスだ。
  4. 日英両国はそれぞれのプロジェクトで現状の情報を交換することから始める。日本の将来型戦闘機と英国の進める将来戦闘航空機システム(FCAS)が対象。共同開発の可能性を模索し、両国は相互に助言すると日本防衛省は述べ、まず技術内容を見せ合うようだ。
  5. 日本にとって英国は米国に次ぐ防衛技術パートナーになってきた。2012年に両国は2国間協力強化で合意し、2014年に日本は武器輸出に道を開いた。この決定で日本企業も海外提携先と共同開発や生産が可能となった。
  6. 2016年両国政府は日本製シーカーを英国が進めているMBDA製メテオ空対空ミサイルに搭載する検討に入ると発表。
  7. 防衛省からは共同開発戦闘機の供用開始時期で何も発言がないが、開発日程はそんなに遠い先の話ではないようだ。日本は次期戦闘機の運用開始をMHI製F-2の後継機として次期戦闘機の運用開始を2030年代に想定している。ユーロファイター・タイフーンは英空軍を2040年以前に去ることになりそうで、後継機を事前に準備する必要がある。
2016年11月、F-2とRAFが日本に配備したタイフーンが共同訓練を行った。Credit: Crown Copyright
  1. 両国はそれぞれの戦闘機要求をまず理解した上で、今年末までに共同開発すべきか決めると日経が伝えている。
  2. 2国間の相違点は有人機にすべきかだ。日本が進めてきた将来型戦闘機研究は最新版26DMUまですべて有人機だ。日本の防衛産業技術陣は空対空戦は複雑過ぎコンピュータに任せられないと考えている。これに対しFCASは無人機想定だ。
  3. 日本は縮小版実証機を有人機MHI製X-2として飛行させているが、英国は無人機BAEタラニスで技術評価中だ。さらに英仏両国は技術実証機二機で無人戦闘航空機の実証を2025年までに実施する合意済みだ。
  4. とは言え英国防省はFCASが有人機になる場合もあると発言。
  5. 日本側は大型機を想定している。設計では航続距離、飛行時間にくわえ装備搭載量を操縦性より重視し、スタンドオフで大型高性能ミサイルを使用する想定だ。このコンセプトはRAF退役済みトーネードF3に似る。
  6. 将来型戦闘機はF-3の呼称で運用されMHIが生産する。日本は平成30年度末までに国産開発を決定するはずだ。英国が同時期に態度を決めるか不明だ。決定から数年後に実証機が飛び、供用開始は2030年代中頃だろう。
日本の将来型戦闘機の概念設計から意外に大きな機体だと判る。ここに示したDMU25のあとに最新型DMU26がある。Credit: Colin Throm/AW&ST
  1. 日英共同研究の中心がステルス技術だと日テレNEWSが伝えており、同技術が戦闘機設計で優先順位を与えられるとするが、日本開発の直近の戦闘機F-2ではロッキード・マーティンが相当の支援をしている。
  2. 英国のステルス技術は米国協力のもとで開発され、第三国と共有は許されないが、その他分野は独自開発で日本にも提供可能だ。日本からすれば英国は技術提供で米国より寛大と感じるかもしれない。
  3. IHIが高性能33千ポンド推力エンジンの実証機を作成中で将来型戦闘機への搭載が期待される。英国にはエンジン大手ロールズロイスがあり、日本製エンジンは採用しないだろうが、二国共同開発エンジンが必要となる。ただし日本側からすればこれまでの設計を捨てたくないだろう。むしろ新開発技術を共同開発エンジンに反映するのではないか。さらに航空自衛隊はロールズロイスの関与があれば心強く思うはずだ。
  4. 英国の視点からすれば本案件でBAEシステムズには共同開発が実現しなくても戦闘航空機技術の維持発展が期待できる。これこそ同社が狙っていた目標であり、英国にタイフーン後の戦闘機事業がないのが現状だ。
  5. BAEは今もエアバスとレオナルドの協力の下タイフーンを製造中で、ロッキード・マーティンF-35事業でも開発段階から製造面で大きな役割を果たしている。タラニスで経験を積んだ同社技術陣は英仏技術実証機の製造を進めるが全面的な開発や製造が実現する保証はない。
  6. 1月に123百万ポンド(150百万ドル)でトルコ政府は英政府と合意し、BAEがトルコの進めるTF-X戦闘機開発を支援することになった。トルコはBAEの知見や施設を利用し、BAEは戦闘機開発の分野にとどまることになる。
  7. 日本との協力が同じ形になってもトルコ案件から数年遅れることになり、BAEには技術陣をうまく配置できる利点が生まれる。英国としてもトルコあるいは日本事業に開発生産面から協力国として参加できる。
  8. だが日本は英国の資金も期待しているはずだ。両国とフランスはほぼ同じ国防予算規模が日本も共同開発相手先がほしいはずだ。その点で検討が始まればフランスが英国の協力国から外れる可能性が生まれる。
  9. その他日英防衛協力の進展を示すものとして英国防省は3月15日、部隊展開時の物資役務の相互提供に両国が合意したと発表。またRAFタイフーン飛行隊は11月に日本へ移動し、航空自衛隊と初の共同訓練を国内で展開した。英戦闘機の日本配備も数十年ぶりとなった。■


2014年3月18日火曜日

SM-3 IIAミサイルの早期生産へ


Raytheon Eyes Early SM-3 IIA Builds

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com March 13, 2014
Credit: U.S. Navy


レイセオンはSM-3ブロックIIA弾道ミサイル迎撃体の第一バッチ製造の提案を米ミサイル防衛庁 (MDA) へ提出しようとしており、初の飛行テストも来年に行う。提案書ではミサイル22基の販売をするとし、開発は順調に進んでいるとSM-3を担当するプラグラムディレクターのミッチ・ステイーヴィソンMitch Stevisonは語る。各基はMDAの研究開発費予算で調達する。

  1. SM-3ブロックIIAはレイセオンのSM-3ファミリーで最新版となる。これはオバマ政権が掲げるヨーロッパ対象適応型アプローチ European Phased Adaptive Approach (EPAA) の実施手段として、ヨーロッパの大部分および合衆国東海岸をイランの弾道ミサイル攻撃から守ることになる。SM-3 IIAは艦載あるいは地上発射で運用化は2018年の予定でEPAA構想が求める欧州の漸進的防衛体制拡張を実現する一環だ。
  2. ブロックIAとIBは米海軍艦船に地域内弾道ミサイル防衛手段として配備されている。IIAは日本政府および三菱重工業と共同開発されており、新設計の推進系が強力なものになる。SM-3 IA, IB およびIIA の第一段は直径21-inだがこのうちIIAは第二第三段まで同じ 21 in.のサイズであるのに対し、これ以前の型は直径14 in.になっている。
  3. サイズ拡大で飛翔距離が伸び、燃料を消費した段階の飛行速度が高くなるので、防衛対象面積が増える。「IIAミサイルは運動エネルギーでブロック1Bよりも強力になっています」(スティーヴィソン)
  4. 関係者がSM-3IIAのキャニスター放出口を検分しており、大型化したミサイルが海軍のMk.41垂直発射システムで対応できることを確認しているとスティーヴィソンは Aviation Week に語った。キャニスターはミサイル発射の際につかうもの。
  5. 初の迎撃試験は2016年度末までに実施予定で、計画よりも2年遅れることになる。逆にリスク軽減策の実施ができるようになった。ペンタゴンは「ハードウェア中心の内容を早期に求めていた」とスティーヴィソンは言い、早期にテストしていたらリスクがあったと認める。SM-3 IIAの実戦配備前に四回の迎撃実験が予定されている。
  6. ペンタゴンのSM-3 IIA開発予算は15.1億ドルほどで日本政府もほぼ同額を負担する。三菱重工はノーズコーン、第二及び第三段のモーター開発、組み立ておよび迎撃体の制御を担当している。
  7. 第一段はAerojetが生産し、レイセオンは対弾頭破壊弾を製造する。作業は1Bが基礎となっているが、ブースターの大型化でこれまでより大型の破壊弾が可能となり、情報処理能力と飛行距離が伸びている。二色赤外線探査装置 two-color infrared seeker と迂回高度変更機構 divert-and-attitude-control system は1Bのものを流用している。.
  8. 日本も同ミサイル導入で自国防衛に必要な艦船数を減らすことを期待している。■