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2017年7月23日日曜日

USSジェラルド・R・フォード就任式にて、改めて言葉の力に感じるところあり



日本人のスピーチはどうしてつまらないのでしょうか。答えは簡単で波風を立てず建前を重視した表現に振り回されたままで中身は二の次になっているからです。筆者も部下の作ったスピーチ案は全部却下して作り直していましたが、次回も同じように退屈な原稿を渡され閉口しておりました。今回はトランプ大統領よりリチャードソン作戦部長の方がスピーチとして一枚上を行っているのがわかりますね。これからゆっくり戦力化に向けて整備し、2020年すぎると艦隊に加わるとのことでその日が楽しみですね。

Trump: Carrier USS Gerald R. Ford ‘100,000-ton Message to the World’

トランプ「空母USSジェラルド・R・フォードは世界に向けたアメリカの10万トンのメッセージだ」
July 22, 2017 2:03 PM • Updated: July 22, 2017 9:11 PM
写真:米大統領専用ヘリコプター飛行隊所属のMV-22 オスプレイがUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78)の飛行甲板に着艦した。ヴァージニア州ノーフォーク海軍基地での同艦の就役式典。July 22, 2017. US Navy Photo


  1. ドナルド・トランプ大統領が世界最大の海軍艦船の就任式で米軍事優位性の維持を宣言し国防予算案への議会支持を求めた。
  2. 次世代空母USSジェラルド・R・フォード(CVN-78)の就役式典でトランプ大統領は同艦は戦力と抑止力の象徴と述べ、乗組員と建造所のニューポートニューズ造船を称える演説をフォードの格納庫内で行った。
  3. 「米国製の鋼鉄と技術で10万トンの世界向けメッセージが完成した。アメリカの力に並ぶものなく、さらに増強拡大を当政権は毎日続けていくとお伝えしておきます」
  4. トランプ大統領は艦名の由来となったジェラルド・R・フォード大統領の軍事即応体制に関する発言中の第二次大戦前の米軍準備態勢が不足していたため当時の敵勢力が好戦的になったとのくだりを引用した。
  5. 「フォード大統領は言いました。将来において米国は強力な軍事力を維持してくべきです。再び軍の体制を劣る位置にしてはなりません。
  6. 「議会にはしっかり仕事をしてもらい予算案を通過していただき、軍のニーズに応じた予算手当を十分かつ安定的にまた予測可能な形で実現してもらいたい。これはここにいる男女の皆さんが必要とするものでそれを実現させます。皆さんの選挙区の上下両院の選出議員に連絡してもらいこの通り実現するようはたらきかけてください」
  7. 議会側は政権の即応体制を重視する予算案を無視しており、両院の軍事委員会が追加装備調達を加えようとしている。トランプ大統領は2011年の予算管理法を廃案に追いこみ軍事支出上限を撤廃するよう議会に求めている。
  8. 「ここ数年にわたり政府は軍に対し予算動向を予測不可能にしながら破滅的な予算強制削減策を求めてきました。覚えてますか。強制削減ですよ。よくありません。
  9. 「この結果、保守整備が後回しになり、新型装備調達に予算が不足し、即応体制に穴が開きました。言い換えれば軍に厳しい時代だったと言えます」
  10. トランプ大統領は国防長官ジェイムズ・マティス、海軍長官代行ショーン・スタックレイ、海軍作戦部長ジョン・リチャードソンとともに演台に立った。
  11. スタックレイはフォードの業績にふれ、リチャード・M・ニクソン大統領の辞任後に就任したフォードが「我が国を安全に導き政府への信認を復活させた」と述べた。
  12. フォード大統領は原子力空母USSニミッツ(CVN-68)の就任式に出席しており、スタックレイは当時の演説を引用した。「この偉大なる艦を見るにつけ、一つの考えが浮かびます。こんなマシーンを作れるのは米国だけということです。同艦が旗をたなびかせれば米国の国力の象徴と理解されます。米国の決意であり、米国製で米国人が運用します」
  13. マティスとリチャードソン作戦部長はともに長いスピーチをせず、即興で所感を述べていた。
建造所による公試を終えノーフォーク海軍基地に戻ってきたUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78) April 14, 2017. US Navy Photo

  1. マティス長官は5分未満でフォード大統領の功績に触れ、トランプ大統領を紹介した。
  2. リチャードソン作戦部長はフォードは「単なる建造プロジェクトではなくなり戦闘艦になった」と述べ、米国の敵に以下警告した。
  3. 「本日が祝賀記念日にならない者がいる。米本土海外を問わず米国にテロ活動を企てる向き、我が国に攻撃を企てる向き、我が国の繁栄と交易に挑戦を企てる向き、我が国の価値観に挑戦を企てる向きがあり、そうした勢力には本日は祝うどころか悪夢の日だ。USSジェラルド・R・フォードの標的リストに載っていることがわかれば夜もおちおち寝ていられなくなる」
  4. 演台にはディック・チェイニー元副大統領、ドナルド・ラムズフェルド元国防長官の姿もあった。共にジョージ・W・ブッシュ政権に閣僚として参加していた。フォード級空母建造は遅延と予算超過で批判をたびたび受けてきたが、構想はラムズフェルドの調達変革方針の産物で軍事技術の大幅刷新をめざしていた。
  5. 総額130億ドルのフォードには新技術5点が投入されている。新型レーダー、電磁式航空機発艦システム、新型原子炉などで、原子炉は同艦向けに新設計された。フォードは予定より一年半遅れ海軍に6月に引き渡された。
  6. 正式に就役したフォードは公試と追加作業を続け2020年代初めに初の任務に就く。■

2017年6月19日月曜日

USSフィッツジェラルド死亡水兵の身元公表と不可解なコンテナ船の事故当時の動き


衝突したACXクリスタルの不可解な航行状況はまだどこも報道していませんが、確かなのでしょうか。情報が錯綜しているようですが、JAGが調査をまとめるそうですから期待しましょう。命を落とした7名の冥福を祈ります。

横須賀港に到着したUSSフィッツジェラルド
TYLER HLAVAC/STARS AND STRIPES

 

Navy identifies 7 sailors killed in USS Fitzgerald collision near Japan

USSフィッツジェラルド内で死亡した水兵7名の身元を米海軍が発表


 By TYLER HLAVAC | STARS AND STRIPESPublished: June 18, 2017

YOKOSUKA NAVAL BASE, Japan —米海軍は土曜日のUSSフィッツジェラルド事故で死亡した乗り組み水兵7名の氏名を発表した。第七艦隊が発表した氏名は以下の通り。
  • Gunner’s Mate Seaman Dakota Kyle Rigsby, 19, of Palmyra, Va.
  • Yeoman 3rd Class Shingo Alexander Douglass, 25, of San Diego, Calif.
  • Sonar Technician 3rd Class Ngoc T Truong Huynh, 25, of Oakville, Conn.
  • Gunner’s Mate 2nd Class Noe Hernandez, 26, of Weslaco, Texas
  • Fire Controlman 2nd Class Carlos Victor Ganzon Sibayan, 23, of Chula Vista, Calif.
  • Personnel Specialist 1st Class Xavier Alec Martin, 24, of Halethorpe, Md.
  • Fire Controlman 1st Class Gary Leo Rehm Jr., 37, of Elyria, Ohio


  1. 上記7名は行方不明となり、艦長含む三名が横須賀海軍病院に搬送された。艦長ブライス・ベンソン中佐と水兵一名は退院したと第七艦隊は月曜日朝にフェイスブックで発表している。
  2. フィッツジェラルドとフィリピン船籍ACXクリスタルは土曜日2:30 a.m.に横須賀港から64マイル地点の伊豆半島近くで衝突したと海軍は発表。海軍は日曜日の時点で捜索活動は一時中止し、遺体数名分が艦内で見つかったが近親者の確認前には詳細発表を控えていた。
  3. 見つかった水兵の遺体は浸水した居住区で見つかっており、脱出経路が衝突で使えなくなっていたと第七艦隊は日曜日に発表していた。
海軍作戦部長の訪日
  1. 海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将は最上級曹長スティーブ・ジョルダーノと火曜日に横須賀に飛び、フィッツジェラルド乗員、家族と会見すると在日海軍部隊司令部が月曜日朝に発表した。両名はこのほかの海軍関係者と基地に働く民間作業員とも会い、フィッツジェラルド事故の支援に感謝する。
不可解なコンテナ船の事故当時の航行状況
  1. ACXクリスタルは東方向に航行中で東京湾に向かっていた。同船の自動航行記録装置によると同船は方向を変え旋回していることがMarinetraffic.comからわかる。データでは衝突の瞬間とほぼ同時に旋回を止めている。
  2. 海上保安庁はクリスタル乗員に事情聴取しているが、フィッツジェラルド乗員とはまだ会っていないと報道官は述べた。
  3. ACXクリスタル乗員に負傷者は発生していない。
  4. 事故現場は毎日400隻が利用する航路で海上保安庁は直近五日に同様の事故三件が発生しているという。
第七艦隊司令官の記者会見とフィッツジェラルド修理
  1. 第七艦隊司令官ジョセフ・オーコイン中将は事故調査で海軍法務部調査活動の統括将官を任命すると報道陣に日曜日語った。
  2. また海軍は調査活動で日本側に全面協力すると述べた。
  3. オーコイン中将からは艦長居室他艦内で多くの区画が大きく損傷しているとし、「艦長居室は完全に破壊されている。生き残れたのは幸運」と述べた。
  4. 「艦は修理し復帰させる。大修理となるが復帰させる。修理工期は数か月の見込みで年内完成と見ている」と述べた。
hlavac.tyler@stripes.com


2016年10月4日火曜日

A2/ADの用語を葬る米海軍


エアシー・バトルと同じくA2/ADの用語も過去のものとなるのでしょうか。米海軍は一般解よりも特定解を推奨するためにも足手まといになる用語を葬りたいのでしょうね。では中国を対象に構築する戦略をどう名付けるのでしょうか。さらに空軍他にも納得できる名称を低減できるのでしょうか。海軍作戦部長のお手並みに注目ですね。

CNO Richardson: Navy Shelving A2/AD Acronym

October 3, 2016 5:31 PM

160929-N-OT964-120 NORFOLK (Sept. 29, 2016) Chief of Naval Operations (CNO) Adm. John Richardson speaking at Naval Station Norfolk, Va. on Sept. 29, 2016. US Navy Photo
160929-N-OT964-120 NORFOLK (Sept. 29, 2016) Chief of Naval Operations (CNO) Adm. John Richardson speaking at Naval Station Norfolk, Va. on Sept. 29, 2016. US Navy Photo

WASHINGTON, D.C. — ペンタゴン用語の接近阻止領域拒否が各軍、軍事研究でかれこれ15年にわたり頻繁に使われている。だが海軍作戦部長のジョン・リチャードソン大将から海軍ではこの用語の使用を取りやめるとの発言が出てきた。

9月27日に米海軍協会とCSIS共催の海洋安全保障対話の中で同大将は海軍内ではA2/ADの表現の使用を控えさせると述べた。

「思考を明確かつ明瞭にするために...A2/ADは独り歩きしておりなんでもかんでもどこにでも誰にでも適用される言葉なのでもっといい表現に変える」

「課題は個別具体的で特定のものなので『一つで全部当てはまる』式の用語でミッションを表現すれば混乱を生むだけで、かつ明瞭でもない。代わりに戦略を論じるときは具体論で語り、対応する敵勢力との比較で能力についても論じていきたい。地理条件、作戦概念、技術内容の文脈の範囲内で語るべきだ」

特定の空域、陸地あるいは海域で敵の接近を拒否することは古典的な戦略であるものの、軍事上の概念として一般化した用語は1990年代末から登場し、2000年代初頭から略語として知られるようになった。これは精密兵器が敵側にも導入される中で米軍が直面する新しい脅威の表現だとブライアン・クラーク(予算戦略評価センター)は解説。

A2/ADの知名度が2000年代初頭に上昇したのはペンタゴンが中国の軍事力に注目したのが契機だ。

「長期に渡り中国が長距離精密攻撃能力を整備してきたことで西太平洋の軍事バランスが変動しはじめており、中国が次第に有利になれば中国がいつの日にか米同盟国側に侵略を試みることになりかねない」とアンドリュー・クレピネヴィッチとバリー・D・ワッツ共著のThe Last Warrior: Andrew Marshall and the Shaping of Modern American Defense Strategyにある。

それ以降クラークは「略語として多用され思ったより長く生き残った」という。

リチャードソン大将は誘導兵器や中国本土を取り巻く「赤い弧」での米軍の作戦が不可能となれば大変だと発言。
China's anti-access area denial defensive layers. Office of Naval Intelligence Image
China’s anti-access area denial defensive layers. Office of Naval Intelligence Image


「確かに新装備が普及してきていますが軍事上の課題はこれまでと本質的に変わりはありません」


「挑戦課題であることに変わりはありませんがA2/ADだけに目を奪われると次の課題を見失いかねません。根本的な変動がそこまで来ており、次の段階の競争競合が始まろうとしています」

その一例として「敵より優勢な地位を保つために何が必要か。世界中いかなる場所の状況がリアルタイムで監視可能でオンデマンドで画像が手に入る時代にです。これが間もなく実現しようとしています」登リチャードソン大将は述べた。

足手まといとなる用語を捨ててペンタゴンの活動を再構築することは決して新しい現象ではない。

昨年初頭に国防長官官房が論争を呼んだエアシー・バトル室の名称を変更している。同室にはA2/AD脅威をペンタゴン横断的に対応する策を考える役割が与えられていた。エアシー・バトルの新名称はグローバルコモンズ・アクセスおよび戦略各軍共用コンセプトJoint Concept for Access and Maneuver in the Global Commons (JAM-GC 発音ジャムジーシー)に改められ、同室は統合参謀本部に吸収されている。■


2016年7月19日火曜日

「人工島建設続ける」予想通りのPLAN司令官発言、議論にならない中国の態度


中国側が自己中心的な発言を延々と陳述するのを米側はどんな気持ちで聞いていたのでしょうか。米側が冷静な分だけ中国はますます異常さをさらけだしているのではないでしょうか。訪中の後の作戦部長に注目ですね。南シナ海では国際パトロール体制を早く実現したほうがいいと思うのですが。

PLAN’s Wu to CNO Richardson: Beijing Won’t Stop South China Sea Island Building

By: Sam LaGrone
July 18, 2016 6:17 PM

Chief of Naval Operations Adm. John Richardson meets with Adm. Wu Shengli, Commander of the People's Liberation Army Navy (PLAN) on July 18, 2016. US Navy Photo
7月18日、ジョン・リチャードソン海軍作戦部長が人民解放軍海軍司令官呉勝利提督と会見した。
. US Navy Photo


米海軍トップとの会見で人民解放軍海軍のトップが南シナ海スプラトリー諸島で人工島構築を中止する意向はないと断言した。中国国営メディアが伝えている。

  1. 呉勝利海軍大将と米海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将の会談の席上、国営メディア新華社は呉から中国はフィリピン近くの人工島数カ所の工事は完成させる、先週下された国際仲裁裁定の結果は無関係と発言したと伝えた。「南沙諸島(スプラトリー)の建設工事は絶対中止しない。南沙は中国固有の領土であり、建設は合理的範囲内であり、正当であり、合法的だ」と述べた。
  2. 「軍事力で中国を脅かそうとすれば反対の効果が生まれるだけだ」と呉は各地の防衛体制を強化する権利が中国にあると発言したと国営メディアは伝えている。
  3. この会見とは別に中央軍事委員会の副主任が航行の自由作戦を今後も外国海軍が南シナ海で行えば危険な事態になると警告している。
  4. 「外国軍艦が航行の自由を行うことで南シナ海の航行の自由が脅かされ、破局に至る可能性がある」と孫建国海軍大将が清華大学で土曜日に講演したとサウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えている。
  5. 米海軍は昨年10月以来南シナ海で航行の自由作戦を三回実施し、中国の神経を苛立たせていた。
  6. 呉提督は南シナ海での安全保障をめぐる米中協力は「唯一の正解」だと述べた。呉とリチャードソンは三時間半に渡り海の上の問題をめぐる意見交換をしている。
  7. 「今回の会談は極めてオープンかつ広範で隠し立てせず行えたと思う。両国関係のすべてを協力できる分野から連携の可能性まで話、リムパックへの参加とか、親善訪問などのほかCUES取り決めで海上遭遇を安全に行うことまで話し合った」とリチャードソンの音声声明を米海軍が公開した。
  8. 「そうした分野での期待とは対照的に南シナ海問題は深刻で、仲裁内容もあり、この問題ではお互いに率直かつ誠意を持って望まないと解決はありえないとわかった。双方ともに両国関係が極めて重要であると認識しており、海軍同士で互恵関係としていく責任がある」
  9. リチャードソン作戦部長は北京を離れ、中国北海艦隊で潜水艦学校を視察したあと空母遼寧(CV-16)に乗艦する。■