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2021年1月17日日曜日

北朝鮮が新型SLBMを軍事パレードで公表。結局、制裁措置でもミサイル核開発を止められず、平壌は開発継続を公言。こんな不良国家を西側社会はどう扱うべきなのか、バイデン新政権は早速真価を問われるでしょう。そして罵倒されるばかりの韓国は?

 

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Pukguksong-5 SLBM North Korea parade copy

朝鮮通信社/AP

 

 

国を最大の脅威と宣言した北朝鮮が潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)の新型を首都平壌の軍事パレードに登場させ、ミサイルテスト開始の準備に入ったようだ。金正恩を指導者として讃える軍事パレードは金日成広場で展開した。

 

このミサイルは北極星-5型と識別され、少なくとも4発がパレードで公開された。実物大模型なのか現物か不明だが、外観から北極星-3、-4の発展型と見られる。

 

KOREAN CENTRAL NEWS AGENCY

北極星-5ミサイル

 

 

北極星-4が公表されたのは2020年10月だが、試射された兆候はなく、北極星-3を同国最大の固体燃料弾道ミサイルとして潜水艦ではなく、水中発射台から打ち上げたと発表していた。

 

北極星-5の全長は北極星-4を上回り、先頭部分の設計変更がその理由だろう。また新型ミサイルの幅が拡大しているように画面上は見える。

 

北極星ミサイルが3、4、5と揃ったがそれぞれ北極星-1型SLBMや陸上配備の派生型北極星-2から大型化している。北極星各型は固体燃料方式で、液体燃料の火星シリーズと対照的だ。火星15、火星16が大陸間弾道ミサイル(ICBM)として知られる。

 

固体燃料方式の実用化は北朝鮮を優位にしている。短時間で発射できる以外に、潜水艦運用で安全度信頼度が高まるからだ。艦内での液体燃料注入は腐食性揮発性のため危険行為となる。


北朝鮮はSLBM開発に注力してきたが、潜航中の潜水艦からのミサイル発射の成功例は少ない。これまでのところ北極星-1の水中発射が唯一の例だ。

 

KOREAN CENTRAL NEWS AGENCY

2019年10月に北朝鮮は三年ぶりにSLBM一発を沖合発射台から打ち上げた。

 

 

それでも北朝鮮はSLBM構想を進めており、旧式ソ連時代のロメオ級ディーゼル電気推進潜水艦を改装し、弾道ミサイル発射艦にする事業がある。今後は潜水艦による二次核抑止力の実用化を狙うと見られる。

 

朝鮮中央通信は新型SLBMを「世界最強」とし、パレードに登場したミサイルで「いかなる敵も先制攻撃で徹底的に破壊する」としており、北極星-5を戦略兵器体系と位置づけている。北朝鮮はICBMでも同じ表現をしており、近隣国のみならず米国も照準と公言している。ただし今回のパレードにICBMは一切姿を表していない。

 

一方でSLBM最新型公表のタイミングは金正恩が核兵器開発を更にすすめると発表した直後であり、陸上水中問わず発射可能の長距離弾道ミサイルに「超大型弾頭」を搭載するとも公言していた。

 

朝鮮労働党大会が1月12日に終了し、金正恩は米国を「最大の敵」とし、米国による侵攻から祖国を守るため必要と北朝鮮の軍事力整備を正当化した。

 

KOREAN CENTRAL NEWS AGENCY

北極星-5のSLBM4発がトラックで運ばれ金日成広場に現れたが、実物大模型なのか実物か不明だ。

 

 

金はその他高性能兵器の開発も進めているとも述べ、戦術核兵器の新型、偵察衛星、極超音速兵器を例とした。北極星-5関連では原子力潜水艦があり、SLBM搭載といわれる。

 

原子力潜水艦構想に現実味があるのか、その他同様にきわめて疑わしいが、核ミサイル運用潜水艦は北朝鮮潜水艦戦力を増強する存在になる。北極星-5をロメオ級潜水艦で運用する作業も続いているが、北極星-1より大型化しており、ロメオ級に大型兵装搭載スペースがあるか不明だ。結局、新型の大型潜水艦でないと運用できないはずだ。

 

NKSTATEMEDIA

「新型」とされる北朝鮮のディーゼル電気推進潜水艦SSBの姿が2019年に公表された。ただし、実態は1950年代物のロメオ級潜水艦を大幅に改装したもので、SLBM搭載能力があるのか不明

 

北極星-5ミサイルを陸上配備ミサイルに転用する可能性もある。北極星-2がこのパターンで生まれ、KN-15となった。北朝鮮は陸上配備の中距離弾道ミサイル整備を続けており、北極星-5が原型の陸上配備型が加われば固体燃料式の利点を活かし、迅速発射が可能なミサイルが増える。

 

こうした新兵器はバイデン政権発足を睨んだ圧力の意味に加え、北朝鮮軍事力を韓国に見せつける意味もある。バイデンは北朝鮮指導部を 「悪党」と呼び、トランプ大統領の北朝鮮核兵器制限の動きを批判していた。バイデンが中央情報局長官に指名したビル・バーンズもトランプの北朝鮮対応を公然と批判している。

 

金正恩は米国との対話の可能性を否定はしていないものの、北朝鮮敵視政策の放棄を米国に求めている。党大会でも「誰が大統領になるにせよ、北朝鮮政策の本質は変わらない」と発言していた。一方で、北朝鮮の韓国への姿勢は以前にまして強硬となっており、党大会では韓国の「不正行為」を糾弾していた。

 

こうした展開を念頭に置くと誰もがバイデン政権と北朝鮮の関係の行方を想像しがちだが、現実味が高いのは何があっても北朝鮮が核兵器、長距離ミサイル開発を継続することだ。

 

 

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