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2025年8月6日水曜日

明らかになってきた米海軍の無人モジュール式水上攻撃艦艇部隊の編成計画(TWZ) — 日本は無人戦闘用艦艇の開発で遅れを取っていますので、米海軍の知見に期待したいところですが虫のよいリクエストは通用しません

 

海軍のMASCドローン艦艇シリーズ計画では、コンテナ型ミサイル発射装置とセンサーパッケージを中核に据える

The Navy's new plans for a family of uncrewed surface vessels (USV), focused more on modular, containerized payloads than specific hull designs, are coming into sharper focus.

米海軍の実験用無人水上艦「レンジャー」と「マリーン」が2023年に共同航行した USN

海軍の無人水上艦(USV)ファミリーに関する新たな計画は、特定の船体設計よりも「モジュール式・コンテナ化可能な搭載システム」に重点を置き、具体化が進んでいる。MASC(Modular Surface Attack Craft)プログラムとして取得されたUSVは、敵の監視や行動阻止、長距離攻撃など、多様な任務に対応可能な構成が可能となる。

海軍水上システム司令部(NAVSEA)は、今週初めに発行された契約通知で、MASCプログラムの下で3種類のUSVの要件を提示した。MASCに関する追加の詳細は、6月に公表された海軍の2026会計年度予算要求書に含まれている。海軍は、2023年1月に、大型と中型の2つの異なる設計カテゴリーでの実験を数年続けた後、USV計画の方向転換を初めて明らかにした

具体的な背景として、海軍はこれまで大型USV(LUSV)を全長300フィート以下、排水量2,000トン以下の設計と定義し、中型USV(MUSV)は、全長200フィート未満で排水量500トン未満の設計と定義してきた。海軍は、小型USVのスピードボート型とジェットスキー型設計の実現をめざしており、MASCと別にこの方針を継続する。

海軍のUSVシーホーク Seahawk(手前)とレインジャーRanger(背景)は、中型と大型のタイプで、海軍が長年実験を重ねてきた USN/Lt.j.g. Pierson Hawkins

NAVSEAが今週発表したMASCの契約公告では、設計案3つが求められている。基本型に加え、高容量型と単一積載型で、要件はすべて積載容量、航続距離、速度に焦点を当て、全長や排水量には依存しない。

「希望される[ベースラインMASC]船舶ソリューションは、各36.3メートルトン(MT)の重量で最大75キロワット(kW)の電力を消費する40フィート相当単位(FEU)コンテナ化ペイロードを最低2基搭載できる必要があるものとする」と通知は述べている。「ペイロードデッキに25 MTを搭載した状態で、NATO海象状態4において、常に25ノット以上を維持し、最低2,500海里(nmi)の航続距離を達成する必要があるものとする」。NATO基準で海象状態4は、風速17~21ノット、波高4~8フィートとなる。

海軍はまた、ISOコンテナ化荷物を統合した高耐久性、高容量、搭載荷重プラットフォームの必要性に対応するため、NAVSEAの最近のMASC契約通知で述べている。「希望される船舶ソリューションは、各36.3 MTの重量で最大50kWの電力を消費するISOコンテナ化搭載物を最低4基搭載できる能力を有するものとする。技術ソリューションは、可能な限り速度と航続距離を最大化すること。」

海軍の無人水上艦Rangerが各種コンテナ化搭載物を搭載している。USN一等兵 Jesse Monford

最後に、単一搭載物型MASCタイプがあり、「最低1つの20フィート相当単位(TEU)コンテナ化搭載物を搭載する能力を有し、重量24.0 MT、消費電力最大75 kWとする。TEUペイロードは、ペイロードから船尾のトランサム(船尾の表面で船尾を形成する部分)まで障害物がないこと」と契約通知書に記載されている。再び、「技術ソリューションは、可能な限り速度と航続距離を最大化すべきである」とされている。

3つのケースすべてで発電要件が具体的に言及されている点は注目すべきだ。これまでの有人艦では艦内発電容量は新たな能力を統合する際の主要な制約要因となることが多い。MASCプログラムにおいては、ドローンボートにレーザー高出力マイクロ波指向性エナジー兵器、および電子戦システムを追加する将来の計画においてこの点は特に重要となる。

契約通知では、より広く適用可能な「強く望まれる」「強く推奨される」「その他の望ましい」属性も明示されている。

「低視界条件下や無線周波数(RF)放射が禁止されている状況を含む、海上障害物や船舶との衝突を自律的にかつ安全に回避する能力」は「強く望まれる」カテゴリーに分類されています。「通信が制御ステーションと途絶えた場合でも、船舶はミッションを安全に継続できる必要がある。これらの操縦はCOLREGSに準拠しており、船舶はCOLREGSに従って接触を自律的に分類できます。」

NAVSEAは、契約者が初期契約締結から18ヶ月以内にMASC USVの設計を迅速に作成できることが「高度に望ましい」と述べている。

海象状態5(風速22~27ノット、波高8~13フィート)の条件下で運用可能な性能を含む、閾値要件を超える性能を有するMASC USVは、「強く望まれる」属性のリストに含められている。プラットフォームにオフボード制御ステーションから送信されるミッション要件に基づいて、RF(無線周波数)放射制御姿勢を自動的に調整する能力も、このカテゴリーに含められている。

NAVSEAによると、商業基準に準拠して設計され、容易に修理可能であり、予測モデルを使用して維持管理可能な設計も強く希望されています。海軍はまた、「予防保全、是正保全、緊急修理、またはその他のいかなる形式の修理や維持管理なしに、長時間連続運用可能なUSV」にも関心を持っている。

「その他の希望する」属性には、同盟国やパートナーに容易に輸出可能な設計、および最大8名の乗員を最大14日間収容可能な基本型と高容量型が含まれる。ここで注目すべき点は、海軍がこれまで実験してきたMUSVとLUSVはすべてオプションで有人操縦可能であり、MASCにおいて完全無人操縦オプションに明確な関心があるかどうかは不明だ。

NAVSEAの契約通知では、特定のペイロードの種類に関する要件は明示されていない。海軍当局者は以前に述べたように、同サービスの新しいUSVビジョンにおける初期計画には、当初は将来のLUSVに搭載の予定だった武器ペイロードと、ISR(情報収集、監視、偵察)機能を備えたペイロードが含まれている。

問題の武器ペイロードは、ほぼ確実にMk 70 エクスプロイテッド・ランチャーPayload Delivery System)だろう。これは、Mk 41 垂直発射システム(VLS)のコンテナ化派生型で、スタンダード・ミサイル-6(SM-6)やトマホークを含む各種ミサイルを発射可能な4つのセルを備える。2021年、海軍は実験用USV「Ranger」に搭載されたMk 70からSM-6の発射試験を実施したと発表した。海軍は、Mk 70を沿岸戦闘艦(LCS)の2つのクラスにおける火力強化手段として配備するほか、地上配置型としても展開する方針だ。

他の動的弾頭は、将来の海軍USVに移行する可能性が高い。本誌は以前、海軍の有人水上戦闘艦にコンテナ式発射装置を装備し、空中ドローンの群れを展開する詳細なケースを提示しており、その内容はこちらで確認できる。これらの能力は、将来のMASCドローンボートにも関連する。

また、海軍の既存のSea HunterSeahawk実験用MUSVは、固定式と牽引式のソナーアレイを使用して敵潜水艦の探知と追跡を目的としたプログラムから生まれた点にも注目すべきだ。ISRペイロードや敵のISR能力に対抗するためのペイロードには、多様なセンサーや電子戦システムが含まれる可能性がある。

以前のMUSV取り組みの具体的な後継として、「MASCは、海軍がISR&T/C-ISR&T/IO(情報、監視、偵察、標的指定;対ISR&T;情報作戦)能力を十分な数量で生産、展開、配備する能力を支援し、海上責任区域(AOR)における分散型状況認識を提供または改善する」と、海軍の2026会計年度予算要求書に記載されています。「これらのUSVは、数週間の展開と洋上横断航行が可能であり、空母打撃群(CSG)や水上行動群(SAG)と統合して運用できるほか、独立して行動することも可能です。これらのUSVは、海軍の分散型海上作戦(DMO)概念の重要な基盤となるでしょう」

2026会計年度予算案におけるLUSVの予算項目には、MASCへの移行に関する同様の明示的な記載はない。海軍のこれまでのLUSVのビジョンは、長距離攻撃任務セットに焦点を当てたものだった。

2026会計年度予算案では、既存の実験設計を新たなMASCプログラムの主要な供給源として継続使用する計画が示されている。国防高等研究計画局(DARPA)の「無人要員不要船舶(NOMARS)」プログラムの一環で開発された別の実験用MUSVクラス設計、デファイアントthe Defiantは、次会計年度中に海軍に引き渡される予定だ。デファイアントは、海軍が現在明示しているMASCの基準要件と非常に一致しており、同艦の製造会社Secroは、既に拡大型派生設計の開発を進めている。

海軍はまた、国防総省のDefense Innovation Unit (DIU)を活用してMASCプログラムの加速を図る方針だ。ただし、MASC USVが実際に運用サービスを開始する時期や、初期段階での構成は不明だ。

「2026会計年度に、MASCプログラムは産業と連携してプロトタイピングフェーズを実施し、無人技術の成熟と開発を進めるとともに、将来のMASC調達におけるリスク軽減を目的とした無人能力のデモを行う」と海軍の予算文書に記載されている。「PMS-406(NAVSEAの無人海洋システム事務所)は、DIUとの連携のもと、有機的にOTA(その他の取引契約)の契約を付与し、海洋攻撃表面艇(MASC)およびより広範なUSV FoS(システムファミリー)要件のための能力の反復開発に焦点を当てます」。

海軍の水上艦隊を強化する主要な手段としてUSVが長年認識されている。攻撃やISR任務に配置可能なUSVの分散型艦隊は、単独またはグループで運用可能であり、有人戦闘艦と協力して行動できるため、新たな運用可能性を大きく開く。MASCファミリーの一員は、有人資産のリスク軽減にも貢献する可能性がある。コンテナ化されたペイロードを使用して異なる任務に迅速に構成・再構成可能なモジュール式設計は、敵対勢力にとって標的選定の課題となる。

「箱の中身は武器か、別のペイロードか?」 海軍の水上戦術部(N96)部長のウィリアム・ダリー少将は、1月に開催された表面海軍協会(Surface Navy Association)の年次シンポジウムで、新しいUSVビジョンについて議論し次のように述べた。「彼らに推測させ続けるのです」。

米国と主要なグローバル競争相手である中国が造船能力を拡大しつつ付けていることによる格差も、USVへの新たな重点を強めている。米国政府は近年、この傾向を逆転させるため、外国の造船所を活用して有人戦闘艦の生産可能性を模索するなど、措置を講じようとしている。一方、海軍の伝統的な造船プログラムは、一般的に高額で長期的な開発期間を要する上、遅延コスト増に悩まされ続けている。

「有人・無人選択可能な未来は、より早く実現する必要がある」とダリー氏は1月に述べた。「N96 の現在の焦点は、無人水上艇のシリーズの開発を加速し、合理化することです。以前お伝えした内容との変更点は、大型、中型...より直接的には、ハイブリッド艦隊に大型および/または精巧な無人プラットフォームを含める必要がないということです。現実を見据えなければなりません」

NAVSEA が、MASC 向けに商業基準に基づいて迅速に生産可能な設計に関心を示していることは、この点においてさらなるメリットとなる可能性がある。今週初めに発表された契約通知では、MASC または関連事業への外国企業の参加も認められており、資源の共有と規模の経済効果により、開発の一層の加速とコストの削減につながる可能性がある。海軍分野を含む無人能力に関する協力は、すでに オーストラリア、英国、米国の 3 カ国による防衛協力協定(AUKUS)の中核的な要素となっている。オーストラリアは昨年、より大型の USV への大規模な新規投資計画を発表した。

全体として、海軍は、長年にわたる実験の連続の末、ついに大型 USV の実戦配備を開始するための道筋として、MASC に明確に目を向けているようだ。■

Navy Unmasks Its Vision For Fleet Of Uncrewed Modular Surface Attack Craft

The Navy's plans for a family of MASC drone vessels are centered on containerized missile launchers and sensor packages.

Joseph Trevithick

Jul 31, 2025 1:34 PM EDT

https://www.twz.com/sea/navy-unmasks-its-vision-for-fleet-of-uncrewed-modular-surface-attack-craft


ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフは 2017 年初めから The War Zone チームの一員です。それ以前は、War Is Boring の副編集長を務め、Small Arms ReviewSmall Arms Defense JournalReutersWe Are the MightyTask & Purpose などの出版物に記事を執筆しています。


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2024年2月19日月曜日

フーシは無人水中機も準備していた。米軍の事前攻撃で実行は阻止したものの、紅海方面の海上交通には依然として不安が消えない。世界経済への影響も無視できない

 


Houthi

The Navy USS Carney defeats a combination of Houthi missiles and drones in the Red Sea, Oct. 19. (Mass Communication Specialist 2nd Class Aaron Lau/U.S. Navy).


米軍がイエメンのフーシ支配地域を攻撃、ミサイルと水中ドローンを破壊

イエメン人グループが攻撃用に水中ドローンを用意したのは初の例だ 

 

軍はイエメンにおいて5つの標的を攻撃し、フーシ派が使用する武器を破壊したとCENTCOMが本日発表した。CENTCOMは、これまでの行動と同様、紅海を航行する船舶を守るための「自衛攻撃」と称した。▼今回の攻撃は、対艦弾を搭載した3基の移動式ミサイル砲台と、2種類の海軍ドローン(無人の水中機と水上機)を標的とした。▼CENTCOMによれば、フーシ派は複数形式のUSVを保有しており、何度か民間船に発射する構えを見せていたが、10月に船舶への攻撃が始まって以来、UUVを準備したのは今回が初めてだという。▼「CENTCOMは、対艦巡航ミサイル、無人水中装備、無人水上装備をイエメンのフーシ支配地域で確認し、それらがこの地域の米海軍艦船と商船に差し迫った脅威をもたらすと判断した」とCENTCOMはソーシャルメディアに投稿した声明で述べた。▼イエメンのどこを攻撃したのか、どのような軍備で攻撃したのかは発表がない。▼この攻撃は、フーシ派がイギリスの民間船を攻撃したと主張した後に行われた。▼英国海事貿易運行本部は、同船がミサイルで攻撃され、至近距離で爆発したが、乗組員は全員無事であることを確認した。▼CENTCOMによれば、この船はMTポルックスで、デンマーク所有だが、パナマ船籍で、パナマ国旗で航行していた。▼火曜日、フーシはイランに穀物を運ぶギリシャ船にミサイルを撃ち込んだ。攻撃が小康状態になって以来、イエメンへの攻撃とイエメンからのミサイル発射が再開されている。▼フーシ派は、無人機、巡航ミサイル、装甲車、F-5タイガー戦闘機など、多種多様な兵器を保有しているが、無人水中艦船が確認されたのは今回が初めてだ。▼その性質上、いったん発射されると探知が難しくなる。▼紅海とアデン湾でアメリカ軍が阻止したフーシ派の攻撃のほとんどは、空中からのものだった。▼フーシ派は、首都サヌアなど主要都市を含むイエメンの大部分を実効支配している。米英両国はこの2ヶ月間、サヌアなどを空爆している。▼米国を含む世界中の海軍は、海上ドローン能力を拡大している。ドローンは偵察に使用され、米海軍のドローンの場合、拿捕の対象となることもあるが、米国がテストしているように攻撃行動にも使用できる。▼USVやUUVのような海上ドローンは非常に効果的である。▼ウクライナは、黒海でロシア船舶に対する航空ドローンとの連携攻撃でそれらをうまく利用し、複数の船舶に大損害を与えた。■ 


https://taskandpurpose.com/news/us-forces-yemen-houthis-drones-uuv-usv/


2022年10月12日水曜日

ケルチ海峡攻撃事件との関係は? クリミアで見つかった無人自爆水上艇がウクライナ運用と疑われている

 


H I Sutton Image used with permission

 

9月末、セヴァストポリのロシア海軍基地付近のクリミア海岸に、出所不明の小型無人水上バイクが黒海から流れ着いた。

 

 

ロシアのソーシャルメディアに投稿された写真には、爆発物を積んだ商用水上艇の部品で作られた小型の新型水上ドローンらしきものが写っており、ここ3週間にわたり艦艇を活動させてこなかったロシア海軍の傾向を説明できるかもしれない。

 この無人水上機には国籍マークは付いていないが、USVの特徴や水上機を破壊したロシアの反応から、こウクライナ発のものであることが示唆されている。

 ソーシャルメディアに公開された写真から、USVの主要な構成要素が明らかになり、機能をより良く知るヒントとなった。

 

ロシアのSNSで出回ったウクライナ製USVといわれる画像。. Image via Naval News


同艇の写真を分析したところ、レクリエーション用のウォータージェット推進だと判明した。このウォータージェットは、Sea-Dooデザインに酷似しており、ハウジングに貼られた「No Step」のステッカーまで確認されている。

 ハウジングに貼られた "No Step "のステッカーとスラストリバーサーのラインの画像から比較的新しいモデルであることを示し、おそらくGTXまたはFish Proモデルであることがわかる。

 Sea-Dooはカナダのパーソナルウォータークラフトメーカーで主に民間市場をターゲットに、世界各地で製品を販売している。つまり、比較的容易に入手できる。

 外観上の手がかりから、パワープラントについて強いヒントを得られなかった。しかし、シードゥーの一部のモデルは、ロータックスの高性能3気筒ガソリンエンジンを搭載し、水上バイクを時速70マイルまで駆動できる。レクリエーション用の水上バイクには、ディーゼルや電動のものもあるが、シードゥーのウォータージェットと相性が良いガソリンが最も多いようだ。

 このUSVのもうひとつの大きな特徴は、ドローンの起爆方法だろう。船首には、衝撃信管と思われる2つの突起があるす。これは、現在でも広く使われているソ連時代のFAB-500ファミリーの航空爆弾の信管と外観が似ている。

 導火線は起爆装置と弾頭にケーブルで接続されていると思われる。弾頭の大きさや位置は不明だが、おそらく艇の前半分に搭載されているのだろう。

 水上バイクは一般的にグラスファイバーやそれに似た素材で作られているが、今回の自爆USVは、ソーシャルメディアの写真から外観を見ると、アルミニウム製に見える。

 国防総省の報道官は、米国が今年初めにウクライナに提供した正体不明の沿岸防衛用USVがこのUSVであるかどうかを確認しなかった。

 

自爆USVは以前からある

イエメンのフーシやアルカイダを筆頭に、他のグループも近年、USVを爆発艇として使用している。イラン革命防衛隊海軍は、USVの設計と使用においてフーシを支援した可能性があると、USNI Newsは以前に報じていた。

 2017年には、サウジアラビア海軍のフリゲート「アル・マディーナ(702)」の水兵2人が、フーシの仕業とされるドローンボートの攻撃で死亡したと米第5艦隊が当時確認している。

 しかし、これまでの爆発ドローンボートは、有人ボートの応用であり、長い航行のためパイロットポジションを保持している。今回はサイズとパイロットステーションの欠如により、ウクライナの疑いのある艇は、完全に無人であることが際立っている。また、サイズが小さいため目立たず、発見されにくく、対策も立てにくい。

 

H I Sutton Image used with permission

 

 新たな自爆型USVの登場で、セヴァストポリ付近とクリミア周辺でのロシア海軍作戦の欠如が説明できる。船舶監視員によれば、9月下旬に謎のUSVが発見されて以来、ロシア軍は防衛されたセヴァストポリ港に退却し、港の入り口付近に配置する艦艇を減らし、港の口をブームで仕切りアクセスを制御するようになったとのことである。

 ロシア海軍がセヴァストポリから黒海で活発なパトロールを始めたのは、10月8日のケルチ海峡橋攻撃の後である。■

 

Suspected Ukrainian Explosive Sea Drone Made From Recreational Watercraft Parts - USNI News

By: H I Sutton

October 11, 2022 3:44 PM • Updated: October 11, 2022 4:38 PM

 

H I Sutton

About H I Sutton

H I Sutton is a writer, illustrator and analyst who specializes in submarines and sub-surface systems. His work can be found at his website Covert Shores.


2019年1月25日金曜日

これが無人自律型舟艇による海軍作戦の原点になるのか 米海軍が新技術をテスト中

Navy to Test "Ghost Fleet" Attack Drone Boats in War Scenarios 米海軍は「ゴーストフリート」攻撃無人ボート集団を演習でテストする


Textron

海軍は相互接続した小型攻撃無人舟艇多数を模擬戦に投入し指揮統制技術を磨き将来の「ゴーストフリート」自律型ネットワーク水上舟艇による戦闘に備える。

海軍研究本部(ONR)と海軍水上システムズム本部が開発した「ゴーストフリート」構想は監視、対応、制圧、攻撃を無人装備で統合しておこない人員は安全な距離をとった母船内にで安全なままでいられる。

小型舟艇各種の中で無人水上艇USVと呼ばれるものは海上ISRミッションを行い、機雷を探知破壊し、電子戦のほか搭載機銃で各種攻撃も加える。高性能コンピューターアルゴリズムを活用し自律性をこれまで以上に引き上げて水上戦に対応させ、各艇は情報交換しながら相互に衝突することなく協調した形で攻撃ができる。

「ゴーストフリートで指揮統制や通信面に効果がでます。今回の実証でUSVの運用で知見を得られます」と無人海洋装備・無人小型水上戦闘艇事業主幹ピート・スモール大佐はWarrior Mavenに語ってくれた。

通信技術、ネットワーク技術が急速に進展する中、無人装備による各種の任務が可能となっており、陸海空、さらに水中で実現している。制御卓にすわる人員は低帯域通信で指揮統制し、操縦の必要はない。

海軍とONRは各種USVの開発を初めており、ソナー装備の機雷対応無人感知掃討装備UISSを沿海域戦闘艦(LCS)等に搭載するのもその一つだ。UISSはテキストロン開発の共通無人水上艦 CUSVで搬送可能だ。

CUSV開発は2009年から始まり、4千ポンドを搭載し最大20ノットで連続20時間移動できると製造元のテキストロンは説明。また最大波高20フィートまで対応可能と同社は説明。

同様に大量の無人飛行装備を運用する技術があり、敵水上艦を発見し情報を他の無人舟艇あるいは水中無人艇に伝える。すべては戦闘状況で作動する設計で人員の関与は最低限あるいは皆無だ。

アルゴリズムによる自律海洋航法技術によりUSVは「知覚」し周囲状況に対応して移動できるようになったと海軍研究本部は説明している。小型ハイテク自律装備は無人水上艇と一体運用できる。

USVはセンサーで脅威対象データベースとつながり、その他装備とも接続し「敵味方不明の」対象を探知、追跡、追尾する能力が実現するとONRは説明。

DoD研究陣の説明では生物学をもとにした群をなして運用する技術の研究が必要だという。ペンタゴン技術部門は「鳥の大群」や「蜂の群れ」がぶつからずに迅速移動できる理由を研究している。名付けて「バイオメメティクス“Bio-Memetics”(生体間の情報交換)」のこの研究には鳥や蜂の行動から無人装備の大量運用に必要な新しいアルゴリズムを編み出すねらいもある。

ただし海軍戦略立案部門は人員があくまでも火器運用、指揮統制や戦闘艦の決定事項で関与していくと強調する。

無人水上艦で兵装を搭載したものはまだ運用していないが、業界と海軍はともに火砲、レーザー、迎撃手段やミサイルと水上無人装備の統合をめざしている。現在のペンタゴンでは威力ある攻撃効果のためには人員が必ず「関与し」決定を下す必要があるとしており、自律性で進展があってもこれは変わらない。

デイヴィッド・コフマン少将(海軍遠征部隊戦闘部長)は対機雷戦が今の所一番の課題と強調する。少将は水上海軍部隊協会シンポジウムで講演し無人ネットワーク小舟艇により海兵隊上陸作戦は機雷敷設などのリスクを事前に排除できると説明。

「ロシアや中国が浅海域に10万個も機雷敷設しても対処の能力がこちらに不足している」と述べた。

機雷の脅威といっても多様であり、探知発見は簡単でない。一部はいわゆる「海底機雷」であるいは浅海域に敷設した機雷は水上艦や潜水艦から簡単に起爆できる。ただし係留式の機雷が大深度で見つかることがあるが深海域で敵艦を狙う意図があるとの指摘がある。

こうした深海機雷への認識が低いがコフマンは新たな懸念材料としてこれまでの浅海域機雷同様の脅威だとする。例えば南シナ海周辺とかホルムズ海峡での設置が考えられ、特に後者ではイランによる活動が懸念され小舟艇による襲撃や機雷攻撃を想定している。イランとの緊張が高まるとイランは戦略上の急所となる同海峡を封鎖する動きに出るとの見方が強い。

機雷を探知、処理するには

機雷対策無人水上舟艇(MCM USV)の開発に海軍水上システムズ本部が取り組んでおり、将来LCSと共同しての対応が期待される。

このMCM USVには機雷探知に投入される無人感知掃討装備を超えた技術水準が必要となる。海軍はMCM USVにUSVから攻撃能力を流用する考えで、機雷の無力化が目的である。

高性能ソナー機雷探知のためAQS-20 や AQS-24のUSVへの搭載を進める一方で無力化技術の模索が続いているという。

最新の対機雷戦略とは

機雷処理が緊急性を増しているのは安価な機雷が普及しており敵対勢力がこれを利用する可能性が高いために他ならない。これについて2001年に国家研究協議会と海軍研究委員会が論文「海軍機雷戦、海軍部隊にとっての作戦戦術面の課題」を発表していた。

そこで米海軍が対策を進めているが、出発点は湾岸戦争であった。中規模機雷を多数供給しているのはロシアであり50数か国が機雷運用能力を有している。

興味深いのはほぼ二十年前に書かれた「海軍機雷戦」論文がもとになり現在の海軍が対機雷戦の技術開発に取り組んでいることで、海軍は分散型運用に重点を置き、同論文の主張を実現しているのだ。

「将来においては水上艦、潜水艦が広く分散し戦域内で敵勢力の近接距離内で攻撃、火器支援、防空などをこなす必要が生まれるはずだ。艦艇は敵の各種脅威に対して自艦で防御の必要があり、機雷も当然そこに含まれる」と論文は述べていた。■

Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.

コメント 最近良く出てくるswarmがうまく訳出できません。イメージは昆虫の群、鳥の群といったところですが。まだ辞書にも乗っていない言葉ですので当面は試行錯誤ですね。日本が得意な対機雷戦ですが大きく様相を変えそうですね