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2021年2月9日火曜日

2021年2月8日海自潜水艦そうりゅうの海上衝突事故の第一報をWar Zoneはこう伝えていた

事故原因の究明で再発予防はもちろんですが、そうりゅうが戦力外となるのは痛いですね。海上自衛隊潜水艦部隊が萎縮しないことをいのるばかりです。また、変な勢力がこれを利用して悪意に満ちたメッセージをひろめないよう監視が必要です。


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5TH REGIONAL COAST GUARD HEADQUARTERS

 

 

上自衛隊の潜水艦が民間貨物船と衝突し、潜水艦の乗員少なくとも3名が負傷した。

 

事故は2021年2月8日10:58AM(現地時間)に足摺岬の南東25マイル地点で発生した。

 

潜水艦はそうりゅう級一号艦そうりゅうで、事故当時は通常の訓練中だった。

 

そうりゅうは事故当時浮上中で、民間商船の船腹を削ったと防衛省が発表した。未確認だが商船は中国・青島から岡山に鉄鉱石を運ぶバルク貨物船オーシャンアルテミス。同船は排水量51千トン全長750フィート。そうりゅうは浮上時排水量2,900トンで全長は275フィートだ。

 

日本政府関係者から潜水艦乗員3名が軽傷したが入院措置は不要との情報が出た。そうりゅうの損傷は潜望鏡・通信装置をおさめるマストハウジングに限定され、自力航行が可能だ。だが、母港の呉に向かったのか不明。

 

アンテナマスト損傷で通信機能が全損となり、同艦は携帯通信機器で方位確認し航行を迫られた。このため事故発生3時間半後に同艦から報告が入った。

 

海上保安庁所属サーブ340Bが撮影した写真ではそうりゅうの損傷が予想外の規模だとわかる。とくにセイルと潜航舵の被害が甚大だ。

 

5TH REGIONAL COAST GUARD HEADQUARTERS

5TH REGIONAL COAST GUARD HEADQUARTERS

5TH REGIONAL COAST GUARD HEADQUARTERS

 

 

加藤勝信官房長官は記者会見で衝突時に衝撃はなかったとの報告が民間商船から海上保安庁に入っており、大きな損害はないようだと報道陣に述べた。商船乗組員に負傷者発生の報道はない。

 

日本政府は事故報告を受け直ちに対策チームを編成し、実態調査に乗り出した。また民間商船の救難も必要に応じ実施しようとした。岸信夫防衛相は衝突事故を「遺憾」とする声明を発表した。

 

今回の事故で潜水艦浮上時に水上船舶と衝突するリスクが改めて痛感される。合わせて水中障害物や海底との衝突も危険な事案だ。

 

潜水艦には衝突予防策としてアクティブソナーを活用できる。潜水艦航路の前に障害物があれば探知できるが、アクティブソナー信号を他艦が探知することになるので使われることはない。

 

パッシブソナーは探知される可能性がなく、今回も使われていたのだろうか。パッシブソナーで得られる情報はアクティブソナーより少ないものの、今回の商船は探知できたかもしれない。

 

水中から浮上時に潜水艦のリスクが最大となる。浮上の前に、乗員は海面上の障害物となる他船あるいは艦艇の有無をまずチェックする。しかし、ソナー探知で水上艦をはっきり確認できないことがある。とくに氷山がある場合がそうだ。潜望鏡も浮上前に使い、リスク対象を確認する。

 

海上自衛隊の元海将伊藤俊幸教授はNHKに出演し、今回のような事故は起きてはならないと語った。乗員は浮上時の危険をよく理解しており、ソナーで安全航行に努めていると述べた。今回はソナーが正しく作動しなかったのか、あるいは「乗員の技量あるいは連携に問題」があったのかもしれない。

 

事故原因は今のところ不明だが、大惨事にならなかったのは幸運だった。2001年に水産訓練船えひめ丸がロサンジェルス級攻撃型原子力潜水艦USSグリーンヴィルと衝突した。潜水艦はハワイ・オアフ島南方を浮上航行中だった。衝突でえひめ丸は沈没し、35名中9名が死亡した。

 

本件では今後の進展に応じ、続報をお伝えする。■

 

この記事は以下を再構成し、人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

Check Out The Damage To This Japanese Submarine After It Collided With A Cargo Ship

https://www.thedrive.com/the-war-zone/39137/check-out-the-damage-to-this-japanese-submarine-after-it-collided-with-a-cargo-ship

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 8, 2021

 

2016年2月27日土曜日

オーストラリア国防白書を発表、潜水艦調達など海洋国防力整備を重視



オーストラリアの求める潜水艦は大型かつ長距離運航を前提としていますので、日本の三菱-川崎共同提案はかなり有利なはずなのですが、どうなりますやら。どちらにせよオーストラリアは日本にとっても重要な同盟国であるのは明らかです。
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New Australian Long Range Defense Plan Has Maritime Emphasis

By: Mike Yeo
February 25, 2016 10:30 AM


オーストラリアが2016年度国防白書を発表し、海軍力整備に大きな重点をおいている。中国の存在がインド太平洋地区に大きな影響を与え域内安定度も左右しかねない中、オーストラリアの国防予算は拡大している。

  1. 25日発表の白書では初めて国防統合支出計画 Defence Integrated Investment Program (DIIP) も含み、今後10年間で国防力整備に必要な支出規模を明示した。
  2. DIIPでは10年間でおよそ1,950億オーストラリアドル(1,396億ドル)を国防力整備にあて、従来予測より299億オーストラリアドル(214億ドル)上回り、GDP比2パーセントとしてきた支出規模を2020年に突破させる。
  3. 海洋国家としてのオーストラリアを考えれば、海軍装備に重点が来るのは驚くにはあたらない。
  4. 白書では「オーストラリアはインド太平洋国家として経済的に大きく変容しようとしている」とし、域内が平和で安定している状況は米国のプレゼンスがこれまで70年間裏付けてきたが、「近隣が不安定化すればオーストラリアにも戦略的な影響が生じる」とし、域内最高の装備による軍事優越性が必要と主張する。
  5. 白書の大きな論点がコリンズ級潜水艦の後継艦調達事業だ。白書では「域内で優越性を発揮でき、米国と高い水準の相互運用性のある潜水艦」を12隻取得し、供用開始を2030年代に設定している。
Royal Australian Navy Collins-class submarine HMAS Sheean (SSG-77) near the Sydney Opera House. RAN Photo
オーストラリア海軍のコリンズ級潜水艦HMASシーアン (SSG-77) RAN Photo

  1. 12隻を整備するとオーストラリア潜水艦部隊は一気に倍増となるが、既存艦と順次交代させて戦力ギャップが生じないよう配慮する。さらに2050年代にその後に整備すべき潜水艦を開発する。この時点で12隻の建造が終わっている前提だ。12隻のうち何隻をオーストラリア国内で建造するか方針は未定だが、今年後半の選定結果発表時に公表するとみられる。
  2. 現時点でディーゼル電気推進式潜水艦三案が検討対象で日本のそうりゅう級、フランスからDCNS-タレス連合のショートフィン・バラクーダブロック1A案、ティッセン・クルップマリタイムシステムズ(ドイツ)の216型がある。相互運用能力でジェネラルダイナミクスのAN/BYG-1戦闘システムおよびマーク48 Mod 7魚雷(米豪共同開発中)が搭載される見込み。
  3. 白書ではロッキード・マーティンP-3C哨戒機の後継機にも触れており、現在8機調達予定のボーイングP-8Aポセイドンを2020年代末までに15機に拡充する。オーストラリアの捜索救難水面は世界最大規模でP-8の滞空時間、航続距離が長大な利点が生かせる。また敵潜水艦、水上艦にも十分な攻撃能力を発揮できる。
  4. またノースロップ-グラマンMQ-4Cトライトン高高度長時間飛行UAVを7機2020年代初頭から導入する。P-8と共同運用し、トライトンは連続海上哨戒飛行や情報収集監視偵察(ISR)任務に投入する。これまでトライトンの取得方針は掲げられていたが、機数・導入時期の明示は今回初めてだ。
MQ-4C Triton unmanned aircraft system completes its inaugural cross-country ferry flight at Naval Air Station Patuxent River, Md. on Sept. 18, 2014. US Navy Photo
MQ-4Cトライトン無人機が米海軍パタクセントリヴァー海軍航空基地から初の米本土横断飛行を実施した。Sept. 18, 2014. US Navy Photo

  1. P-8の追加調達とトライトン導入もオーストラリアが海洋面を重視するあらわれだ。国際戦略研究所アジアのティム・ハックスレー博士はUSNI Newsに対し「P-8を15機、2020年代末までに整備するのはオーストラリアが海洋での安全保障を重視しているあらわれであり、MQ-4Cの7機導入も同様」と解説した。「両機種の導入で従来を上回る海洋哨戒警戒能力が実現する」
  2. 白書ではISR能力も取り上げている。2015年末にオーストラリアはガルフストリーム550を2機、有償海外援助制度で調達しており、空中情報収集監視偵察および電子戦 (ISREW) 機材として運用する。白書では同型機は最終的に5機に増勢し、2020年代初頭から戦力化すると説明。各機は電子戦で支援を各部隊に提供し、ここでも米軍との共同作戦能力がカギとなる。
  3. 米国の主要同盟国としてオーストラリアは安全保障上の利害を共有しつつ強力な装備を維持しており、域内の安全の上で根幹的存在だ。今回の国防白書を関係各方面は好意的に受け止めており、これまで国内政治が不安定で予算上の制約のため明確にしていなかった国防政策の方向性を明示されている。■