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2017年6月19日月曜日

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性



中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。

Record China

 

Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか


May 23, 2017


  1. 北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。
  2. 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。
  3. 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。
  4. 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。
  5. 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。
  6. 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。
  7. 「特別のチップならびに中国の協力がないと中国の高精度軍用信号を利用できないはずです」とグレゴリー・クラッキ(憂慮する科学者連盟の安全保障関係上席研究員)は語る。
  8. 今年4月15日の軍事パレードで性能向上型の300ミリ多連装ロケット発射装備(MLRS)KN-09が公開され射程は200キロと言われる。
  9. 戦略国際研究所の上席副理事長ジェイムズ・ルイスによればKN-09が北斗、グロナス両方の信号を利用するハイブリッド仕様で信頼性正確性を高めている可能性があるという。
  10. ルイスはKN-09は中国製MLRSのコピーだが、中国装備も元はロシア製MLRSのコピーでグロナスシステムを利用すると指摘。「中国は北斗を容易に追加できたでしょう」とルイスは指摘するが確証はないという。
  11. 北朝鮮が中距離長距離ミサイルに地形追尾機能や慣性航法などの高度技術を応用している可能性もある。
  12. とはいえ北斗を利用して北朝鮮のミサイルが確実に米軍を狙っている可能性が残る。北朝鮮は米本土へ到達可能なミサイル生産を開発中と公言している。
  13. 先に紹介した中国軍関係者の発言を考慮すると米政府が北朝鮮が北斗にアクセスできるのか中国政府に照会する必要がありそうだ。
  14. 北朝鮮のミサイル技術核技術が進歩していることへの懸念が高まる中、中国は2020年までに北斗衛星を最低でも30基打ち上げ精度をさらに上げる。同時に中国国内外に地上制御監視基地を十数か所に新設する。
  15. 中国は北斗の精度は現行のメートル級が10センチになると述べている。
  16. 民生部門への波及効果は著しい。2015年時点で北斗対応スマートフォンが4億個使用中と中国業界団体がまとめている。現時点では7-8億個になり、2020年までに世界全体の衛星航法応用民生機器の6割で採用されると中国は見ている。
  17. 反面で北斗の軍事利用も広がっており、南シナ海では情報収集にも応用されている。
  18. 今年一月に米議会の米中経済安全保障検討委員会のアナリスト、ジョーダン・ウィルソンから北斗運用経費は2020年には100億ドルになる見通しが発表された。
  19. ウィルソンは中国は精密誘導兵器の配備運用は「接近阻止領域拒否構想の中核として人民解放軍のミッションを実行し米軍の西太平洋介入を困難にする狙いがある」と指摘。
  20. 北朝鮮自身の接近組織領域拒否は中国構想を補完する意味があるので、中国が北朝鮮に北斗の軍用通信能力を供与していてもおかしくない。
  21. これまでは北朝鮮の後見役が中国であり、北朝鮮が通常兵力を増強しても中国が批判することはなかった。
  22. だが今や、米国は北斗を北朝鮮がミサイル発射に使っているのか把握する必要に迫られ、中国との協議が求められる。
  23. 協議の場では北朝鮮が整備を進める無人機の誘導でも北斗を使っているのかも焦点となるはずだ。
This first appeared in AsiaTimes here.




2017年2月14日火曜日

北朝鮮の北極星2号ミサイルは日本に向けて発射されていた


どんどん技術を磨いていく北朝鮮には恐ろしいものがあります。国内の惨状には目をつむり国家財政を傾斜的にミサイル開発につぎ込める同国ですが、日本はじめ各国はどう対抗できるでしょうか。まず韓国は国内をしっかり固めて貰う必要がありますね。このままでは先制攻撃もできない事態が生まれそうで、政治部門には技術に目を向けて状況を把握してもらいたいものです。

The Pukguksong-2: A Higher Degree of Mobility, Survivability and Responsiveness


13 February 2017
A photo of North Korea's Pukguksong-2 pictured during a test on February 12, 2017 (Photo: KCNA).
The Pukguksong-2 pictured during a test on February 12, 2017 (Photo: KCNA).

  1. 北朝鮮が打ち上げた弾道ミサイルを米韓日が報道している。北朝鮮は今年初めから大陸間弾道ミサイル打ち上げを示唆してきたが、今回のミサイルはICBMではない。報道によればミサイルは高度550キロまで上昇して北朝鮮海岸線から500キロ地点の日本海に着水した。韓国聯合通信は韓国軍統合参謀本部の評価としてノドン中距離ミサイルと最初に伝えた後ムスダン弾道ミサイルに固体燃料エンジンを搭載した可能性があると報道した。だが北朝鮮の労働新聞が「Pukguksong北極星2号、固体燃料ミサイル」の説明で写真を掲載しており、外見はKN-11液体燃料潜水艦発射ミサイルに類似している。KN-11は昨年8月に水中発射に成功しており、北朝鮮は「北極星1号」と命名していた。
  2. 当ウェブサイトはその他可能性も検討した。ICBMテストとして失敗したか、第一段だけの部分テストだったのか、今回の軌道は以前の北朝鮮ICBMで判明している第一段発射のパターンと合致しない。ICBMの速度に達していないが、ICBMに搭載する再突入体やほかの技術実証には有効に活用された可能性がある。今回の発射地点はKusong(亀城)近郊の軍用飛行基地であり、以前からムスダン発射に使われている。今回の軌道からみて可能性があるのはノドン中距離ミサイルあるいはKN-11であり、北朝鮮はKN-11を地上から発射する様子を公開した。
  3. 韓国統合参謀本部による評価とは別にこのミサイルにはノドン、ムスダンとの共通点がほとんどない。ムスダンの性能はないようだが、もっと効率のよい軌道に乗れば1200キロの射程は確保できるだろう。これだけあれば韓国、日本への到達は十分可能だ。問題はこのミサイルの機動性が高いことで、残存性、即応性もノドンをうわまわることだ。北極星2号はコールドロンチ用キャニスターに搭載されキャタピラ付きの搬送打ち上げ(TEL)車両で運ばれており、国内を縦横無尽に移動できる点がノドンの車輪式TELと違う。固体燃料方式では燃料運搬車両が不要で、所在が見つけにくくなる。また燃料の事前補充も不要なのでおそらく5分で発射できるはずで、ノドンで30分から60分必要だったのと大きく違う。総合すると北極星2号の探知破壊ははるかに困難になる。
  4. 今回のテストには政治的な意図があり発射のタイミングが問題だ。北朝鮮がミサイルを日本に向け打ち上げ意図的に海中に落下させたのが日米首脳がフロリダで会談している当日だったというのが単なる偶然でないのは確実だ。北朝鮮技術陣は今回のテストから多くを得ただろう。結果は成功と判定されている。実用化にはテスト発射一回では足りない。新型ミサイルが実用化され十分な信頼度を確保するまでいつまでかかるか不明だが今後もテスト発射が続けば完成度の進捗を測る手立てになるだろう。■

2015年5月14日木曜日

北朝鮮SLBM発射の真相を探る




北朝鮮が発表したSLBM発射について一番深く分析しているようなのでご紹介します。結論は下にあるとおりですが、韓国はこれから新しい防衛体制の構築を迫られるでしょう。まだ時間はありますが、油断はできません。

North Korean SLBM test leaves more questions than answers

James Hardy, London - IHS Jane's Defence Weekly
12 May 2015

North Korea released images on 9 May of what it said was a successful test launch of a 'Polaris-1' SLBM from a 'strategic submarine'. Source: Via
北朝鮮が5月9日に発表した「水中から朝鮮型強力な戦略潜水艦発射弾道ミサイルの試射」を「戦略級潜水艦」から行ったと発表しているが同国の潜水艦能力の水準からみて疑わしい。
The test-firing of a new SLBM was viewed by North Korean leader Kim Jong Un. (Via KCNA)SLBM試射には金正恩が立ち会った(Via KCNA)
国営労働新聞Rodong Sinmunはミサイル発射の写真数枚を掲載し、同ミサイルにPukgeukseong-1(北極星1)の名称が描かれ、海面から飛び出す光景を見守る金正恩指導者が写っているのがわかる。
ミサイルの形状はR-27 Zyb SS-N-6「サーブ」ソ連製液体燃料潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に類似している。射程は2,400キロメートルでペイロード650キロ。ソ連は1968年から88年にかけ配備していた。
2003年9月には北朝鮮が数発を取得したとの報道があり、これからムスダン(BM-25)地上発射型中距離弾道ミサイルが開発されたとみられる。
今回の「北極星-1」ミサイルが液体燃料式と推定されるのは白煙が見られないため。(白煙は金属化複合固形推進剤の特徴)だが炎はきれいで、茶色の煙が発生しているが、後者は四酸化二窒素または他の酸化窒素系の酸化剤を使っている証拠だ。

発射は潜水艦からあるいは水中発射台から?

写真では金正恩が潜水艦を背景に微笑している。この潜水艦が労働新聞が言う「戦略潜水艦」らしい。
北朝鮮にはソ連時代のプロジェクト633「ロメオ」級ディーゼル電気推進潜水艦20隻があるとみられ、国産のサンオ型も数隻配備されている。写真の潜水艦が後者の場合、35.5 m x 3.8 m x 3.7 mの外寸、260トンという排水量なので弾道ミサイル発射はありえない。
可能性が高いのはジョンズ・ホプキンス大学が衛星画像解析で2014年から2015年にかけ公表した新型潜水艦だろう。日本海側の新浦軍港Sinpo naval baseで建造し、全長65.5 m排水量1,000-1,500トンと推定される。
この新型「シンポ」級には開口部付き司令塔があり、高さは4.25メートル、幅2.25メートルで垂直発射管をおさめられる。R-27の直径は1.5メートルで長さは8.89メートル、重量は14トンと見られる。写真が示しているように発射を傾斜させれば、ペイロード搭載量は減るが船腹の長さを節約できる。.
韓国国防省は野党議員に北朝鮮が保有する同型潜水艦は1隻のみで発射されたミサイルは「ロシアのSLBMを真似てつくったダミー」と説明したと中央日報 Joongang が伝えている。
「北のSLBM開発はまだ初期段階」と国防省報道官キム・ミンソク Kim Min-seokが報道陣に話している。「先進各国を見るとSLBMの水中発射成功から実用化まで4年ないし5年かかるのが通例だ」「試射に使った潜水艦は未完成だ。北がSLBMを完成させ潜水艦に搭載するまで時間がかかる。北はこの段階でただちに開発を中止すべきである」
この国防省見解から韓国もミサイルが潜水艦から発射されたと考えていることがわかるが、、数々の要素から試射が潜行中の発射台から実施された可能性が高い。
まず金正恩は発射地点から極めて近い地点で船舶に乗っている。これではミサイル発射が乗員に与えるリスクがあるはずだが、潜水艦とミサイルへの信頼度が高いことの現れとも言える
さらにミサイルは開発試行の初期段階のようで静止中の水中発射台から設定済みの範囲に発射されたようだ。
IHS Jane's は上記がもっともありえる可能性で、金正恩がここまでミサイルに近い地点に立っていることがその裏付けだと評価した。また写真の一部で潜水艦が写っているがミサイル発射が同潜水艦から行われたとの説明とあわせて虚偽と判定する。

朝鮮半島の安全保障への影響は?

長期的に見ればSLBM実用化で北朝鮮は二次攻撃力を獲得し、開戦時にまず北の地上配備弾道ミサイルを発射前に破壊するという韓国の「Kill Chain」構想実施が困難になる。おそらく作戦構想そのものが実施する前に陳腐化するだろう。
短期的には韓国がミサイル潜水艦を実戦化前に攻撃する決断をすれば戦略的に不安定な状態になる。とはいえ、ソウルが休戦ラインから近距離にあり、北朝鮮の砲兵隊の配備を考えれば韓国が公然と軍事行動を取ることは考えにくい。

追加コメント

韓国にとってひとつ救いがあるのは同国が続けている対潜戦(ASW)の増強策だ。浦項Pohang-級コルベット天安Chon An が2010年3月に沈没したことで増備が加速化された。韓国は天安は北朝鮮小型潜水艦の魚雷で沈んだと見ている。
潜水艦部隊のみならず水上艦船や空からのASW能力も拡充している。潜水艦では張保皐級Chang Bogo-class (209型)ディーゼル電気推進式攻撃潜水艦9隻はゆくゆくはKSS-2級(214型)に更改されるはずだ。更に大型のKSS-3(排水量3,000トン)で初の潜水艦国産化を実現する。
韓国海軍の対潜航空部隊にはウェストランドWG.13リンクスMk 99ヘリコプター23機があり、ここにアグスタ・ウェストランドAW119ワイルドキャット8機が加わる。後者は新型仁川 Incheon-級フリゲートに配備され、アクティブディッピングソナー、360度レーダー、電子光学センサーを搭載する。
韓国国防調達庁 (DAPA) は韓国製対潜ロケット(K-ASROC) の精度向上に成功し、本格生産に移ると2014年5月に発表した。韓国海軍は同ロケットの精度に不満を表明していた。
さらにロッキード・マーティンP-3CKオライオン哨戒機16機の増設も検討するだろう。
IHS Jane's naval, missile, and proliferation experts David Ewing, Neil Gibson, Stephen Saunders, Karl Dewey, and Doug Richardson contributed to this report.
The 'Polaris-1' appears to be based on the Soviet R-27 SLBM. (Via KCNA)「北極星-1」はソ連のR-27が原型のようだ。(Via KCNA)
The missile's clean flame and brown fumes suggest it is liquid propelled. (Via KCNA)炎がきれいで茶色の噴煙から液体燃料式とわかる。 (Via KCNA)