ラベル 無人艦艇 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 無人艦艇 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年3月13日木曜日

「ドローン空母」で従来型空母は陳腐化する(19fortyfive)―超大型空母にまで進化した空母戦力の信奉者は戸惑い、反発(特に既存利益がある産業界)を示すでしょうが、経済と技術の変化が答えを出してくるはずです

 


MQ-25 stealth drone

MQ-25。- Creative Commons


ドローン空母が従来型空母に取って代わる可能性がある: 批評家たちは空母の終焉を予測してきた。潜水艦、対艦ミサイル、「空母キラー」の弾道ミサイルは、真珠湾攻撃以来空母が享受してきた支配に終止符を打つとされている


統的な空母は別の脅威に直面している。航空機ではなくドローンを運用する空母に取って代わられようとしているのだ。これらの空母はまた、自動化され、無人艦になるかもしれない。


ドローン空母の時代が来る

ドローンを搭載した空母の形式は複数案ある。「空母打撃群で従来の空母と一緒に補助的な全機UAV搭載空母を含めば、全体的な出撃率が増加する」とシンクタンクRANDの報告書は主張している。「米海軍が全機UAV搭載空母の設計と使用方法を理解すれば、いつの日か、従来型空母なしで他の艦船と運用されるようになるだろう。やがて全機UAV搭載空母が、空母打撃群の目玉となるかもしれない」。

 空母は軍艦であると同時にコンセプトでもある。 71パーセントが水である地球上で紛争や危機的状況の近くを航行できる移動飛行場の利点はあまりにも多い。 これは特にアメリカにとって真実であり、空母に投資するのは世界的な権益を持っているからで、陸上航空戦力が必ずしも解決策にならない遠隔地にあることも多い。

 しかし、空母が発進させる航空機には人間のパイロットがいなければならないと、どこに書いてあるのか? 単なる偵察システムだったドローンは、過去70年で致命的な弾薬運搬手段、ミサイル搭載の攻撃プラットフォーム、空中タンカーへ進化し、空中戦闘機になりつつある。

 ドローンを搭載した「空母」は、従来型空母が直面していた最大の問題を解決するだろう。従来型空母のコストは驚異的で、10万トンの米フォード級原子力空母の場合、1隻約130億ドルだ。英国のクイーン・エリザベス級(65,000トン)でさえ、ガスタービンを動力源とし、カタパルトを備えていないものの、1隻単価は約40億ドルだ。F-35Bのような1機あたり1億ドルの有人航空機を30機から90機搭載する空母航空団のコストを加えると、なぜ米海軍が11隻の空母しか持たず、そのすべてに膨大な過重労働を強いているのかは明らかだ。

 有人航空機の発艦は、艦船の設計者と海軍予算にジレンマをもたらす。従来型空母は、F/A-18E/Fスーパーホーネットのような機体を発進させるためカタパルトと長い飛行甲板を備えた大型で高価な船か、あるいは小型の「スキージャンプ」飛行甲板と短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のどちらかであり、航空機の性能に限界がある。

 ドローンを搭載した空母は、こうしたジレンマの多くを回避できるだろう。今日の空母は、パイロットが許容できるGフォースを受けながら、航空機を発進・回収するのに十分な長さが必要だ。UAVがより短い距離で発進・回収され、今日の航空機の発進・回収に使用されているものより大きな引張強度を持つ先進素材が採用されれば、飛行甲板の長さでの制約は緩和される可能性がある、とRANDは指摘している。


トルコにはドローン空母のような艦艇がすでにある

ドローン対応のフラットトップへの改修は迅速に可能だ。その一例が、トルコの新しい水陸両用強襲揚陸艦「アナドル」(2万7000トン)で、30~50機のUAVとUCAV(無人戦闘機)、ヘリコプター、海兵隊、水陸両用強襲車両を搭載できる。政治的な理由でF-35Bをアナドルに装備する計画が頓挫し、トルコはF-35をTB3ベイラクタルやキジレルマ(空対空戦闘用に設計されたジェット動力無人機)など戦闘用無人機に置き換えた。

 ドローンが多くの空母艦載機に取って代わろうとしているように見えるが、空母自体のロボット化が進む可能性がある。無人艦船は、量的にも洗練度においても増加の一途をたどっている。 海軍は自律型スピードボート、ロボット掃海艇、無人潜水艇を採用しつつある。 海軍が十分な人員の確保と維持に直面していることを考えれば有人艦艇でも自動化が進んでいるのは当然だろう。

 定期的なメンテナンスやダメージコントロールなど、艦船の機能を広く自動化することで、ドローン空母は乗員数を減らするだろう。 「これらの変化は乗数効果をもたらす可能性がある: コックから憲兵までの需要が減少するため、オペレーターがいなくなるごとに、乗組員から大きな人数が減ることになる」とRANDは指摘している。

 RANDは、UAVを搭載した空母をロボットが護衛する、ドローン中心の空母打撃群まで想定している。 「レーダーやソナーなどのセンサーを搭載できるものもあれば、他の艦船のためのオフサイト・ストレージとして機能する補給艦もある。その他のロボット艦は、"ミサイル、魚雷、レーザー、その他の電磁兵器を搭載し、打撃群内の有人艦の要員から指示される "可能性がある」。

 それでも、ロボット空母がドローンの大群を出撃させることで海戦が一変するまでには、ハードルが多数ある。 最大の問題は信頼性と接続性だ。殺傷力を行使する決定や、これらのプラットフォームに搭載されたAIが状況を正しく処理できない場合のために、人間がループ内に残る必要がある。しかし、無人機と人間のオペレーターとのリンクを可能にする帯域幅には限りがあり、指揮統制は常に脆弱なままだろう。

 ジャミングも問題だ。ウクライナは2023年に毎月1万機の無人機を失っていたが、ほとんどがロシアの電子妨害によるものだった。光ファイバーケーブルで無人偵察機を制御することで、ウクライナとロシアの無人偵察機は妨害電波を回避できるようになったが、テザー接続されたUAVの航続距離は10マイル程度しかない。


未来に向かうドローン空母

とはいえ、ドローンやAI技術の進化がめまぐるしいスピードであること、そして従来型空母のコストが高騰していることを考えれば、ドローン搭載空母の実現には可能性が十分ある。ドローン搭載空母が明日の戦闘部隊の基幹となるかもしれない。■


‘Drone Carries’ Could Make Aircraft Carriers Obsolete

By

Michael Peck

https://www.19fortyfive.com/2025/03/drone-carries-could-make-aircraft-carriers-obsolete/?_gl=1*a7a02d*_ga*MTczNTU3NjM2NS4xNzQxODE1OTgy*_up*MQ..



著者について 防衛専門家 マイケル・ペック

ビジネス・インサイダー、フォーブス、ディフェンス・ニュース、フォーリン・ポリシー誌などに寄稿する防衛ライター。 ラトガース大学で政治学の修士号を取得。TwitterとLinkedInでフォローする。






2024年4月12日金曜日

DARPA(国防高等研究計画局)の完全無人実証艦が今年後半に海へ展開すると海軍の艦艇運用はどう変わるのだろうか

 


全く新しい水上艦艇運用の姿を見ているのでしょうか。10万トンに及ぶような大型艦は過去の存在になり、小型艦が多数無人で運用されるのが将来の海軍となるのでしょうか。ただ、海上勤務の経験のない要員が陸上ですべてを運用するのではシーマンシップは消えてしまうと思うのですが。The War Zone記事からのご紹介です。



Concept art for DARPA's medium USV "NOMARS"DARPA




試験艦ディファイアントDefiantは、ミサイルを搭載したドローン船として幅広い用途が期待できる


しい無人水上艦のテスト計画が波紋を広げており、このプロジェクトを率いる企業は、実証艦を海に投入する時期を今年末に設定している。サーコSerco Inc.の試験船ディファイアントは、完全無人運用を前提に一から設計されている。最小限のメンテナンスで数カ月から数年にわたり自律航行が可能な同艦は、将来的にミサイル無人艇の艦隊を配備する道筋になると海軍が注目している。

 ディファイアントは、国防高等研究計画局(DARPA)の人員不要艦(NOMARS)プログラムで調達されており、新しい中型無人水上艦(MUSV)プロトタイプとして実戦配備を目指すものだ。2022年、サーコはプライム・コントラクターとして、建造、試験、実証を行う総額6,850万ドル契約を獲得した。


A model of <em>Defiant</em> shown by Serco Inc. on the floor of the Navy League's Sea Air Space 2024. <em>Joseph Trevithick</em>

A model of Defiant shown by Serco Inc. on the floor of the Navy League's Sea Air Space 2024. Joseph Trevithick


ディファイアントの詳細なスペックは未公表だが、DARPAによれば、210トンの中型USV設計だとある。DARPAが「クリーンシート艦船設計プロセス」と呼ぶものは、航行中の補給を含め、海上で完全に乗組員なしで行動し、長期間にわたって限定的なメンテナンスしか必要としない艦船で、サーコは無乗員にすることで生まれるスペースを活用する方法を業界パートナーと模索してきた。実証艦自体は、ワシントン州が拠点の造船会社ニコルス・ブラザーズ・ボート・ビルダーズが建造中だ。

 DARPAは、テストベッドの具体的なミッションセットは明示していないが、"戦術的に有用な距離で大ペイロード"を運ぶことができるはずだと述べている。

 例えば、Sea Air Space 2024で展示されたディファイアントの模型の前面に、アングル・ミサイル発射システムがあり、これは現在BAEシステムズがAdaptable Deck Launching System(ADL)として販売しているもののようだ。ADLは甲板上に設置されるアングル・ランチャーで、甲板下のスペースが限られた艦艇にMark 41垂直発射システム(VLS)に匹敵する能力を提供する。ADLの欠点は、発射セルを提供するために甲板上に大きな表面積を取ることである。しかし、ディファイアントでは乗組員を取り除くことによって利用可能な甲板スペースを最大化できことを考えると、これは論理的な組み合わせとなる。ADLはモジュール設計で、現在2、4、8セル構成で提供される。

<em>Joseph Trevithick</em>

Joseph Trevithick

BAE Systems' Adaptable Deck Launching System. <em>BAE Systems</em>

BAE Systems' Adaptable Deck Launching System. BAE Systems


 ADLを利用することは、ディファイアントが地対空ミサイル、対潜ロケット、対艦ミサイル、対地攻撃ミサイルなど、海軍の現在の在庫を含むさまざまな武器を発射できることを意味する。

 なお、サーコはディファイアントの大型派生型「ドーントレス」の初期設計作業を終えている。Sea Air Space誌に掲載された同艦のモデルにADLS合計16セルが描かれている。


A model of Dauntless shown by Serco Inc. on the floor of the Navy League's Sea Air Space 2024. Joseph Trevithick


 ミサイル搭載能力に加えて、サーコはディファイアントに別ペイロードの搭載も想定しており、無人機、電子戦、情報収集システム、通信設備、曳航式ソナーなどをコンテナ化して搭載する。

 推進力に関しては、ディファイアントは、"船体の最適化による流体力学的効率 "を改善するというDARPAの要求に従い、分散型ハイブリッド発電、ポッド型推進器、大容量バッテリーを設定している。

 全体として、この実証機の設計と低メンテナンスコスト(例えば、メンテナンスは小さなヨットヤードで行える)は、海軍のミッション時間あたりのコストを大幅に削減することを意図している、とNaval Newsは報じている。

 サーコ担当者は、追加ミッションシステムを含まない実証艦の価格は約2500万ドルであることを確認した。

 DARPAが以前から指摘しているように、3ヶ月に及ぶ海上試験が来年完了した後、実証艦は海軍に渡る可能性が高い。現在までDARPAの実験的な中型USVプログラムでは、MUSVのシーハンターとシーホークが海軍に移行している。

Medium displacement unmanned surface vessel <em>Sea Hunter</em> sails in formation during Rim of the Pacific (RIMPAC) July 28, 2022. <em>U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Aleksandr Freute</em>

Medium displacement unmanned surface vessel Sea Hunter sails in formation during Rim of the Pacific (RIMPAC) July 28, 2022. U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Aleksandr Freute


 国防総省は、有人運用装備と連携する攻撃プラットフォームとして、ディファイアントが海軍に提供できる潜在的なメリットを主張している。国防総省の2025会計年度予算要求では、「分散かつ永続的なUSVを可能にし、水上艦隊が敵対勢力を脅かすことを可能にし、空母のような大規模な海軍目標に対抗するため設計された高コストの武器システムへの投資を否定する」と述べている。NOMARSプログラムが成功すれば、"分散殺傷コンセプトが実行可能になる道筋"を作ることになる。"分散殺傷コンセプト"とは、小型艦船を大量保有し、各艦が低コスト・低価値でありながら、全体として大きな抑止力を発揮する構想だ。

 さらに、大量建造が容易であるという点でも利点がある。Sercoの担当者が「Sea Air Space 2024」会場で述べているが、必要であれば鉄道工場などでの建造も考えられる。生産が容易なMUSVを手に入れることは、海軍にとって大きな後押しになる。中国のような敵対国との関係で、米国の艦船生産に深刻な懸念がある中でこの効果は大きい。

 ディファイアントが今年後半に初めて海上に出る際が注目される。■


DARPA's Defiant Fully Uncrewed Demonstrator Ship Will Hit The Seas Later This Year

BYOLIVER PARKEN|PUBLISHED APR 11, 2024 3:23 PM EDT


2022年2月21日月曜日

米海軍作戦部長の思い描く近未来の艦隊像

 

MANTAS T-38 水上艦艇が沿岸警備艦USSスクォール(PC 7)と並走している。アラビア湾、 Dec. 4, 2021. U.S. ARMY / SGT. DAVID RESNICK

 

 

米海軍は無人艦艇運用の専門階級を創設しそうだ。

 

母と大型無人艦が並走する姿が5年以内に実現する。海軍トップの構想どおりなら。

 

 

2027年か2028年に「あるいはそれより早く」、マイク・ギルディ海軍作戦部長は大型中型無人艦艇を空母打撃群や揚陸即応部隊に編入したいとする。

 

初期段階の無人艦運用は「完全無人体制でなくてもよい。最小限の人員を配置する」と同大将は2月16日報道陣に語った。「はいはいから歩き走る段階に移行したい」とし、「2030年代に実用化する」と述べた。

 

鍵を握るのはテスト多数と試作型を可能な限り地上施設とシミュレーターで完結させることだとギルディ作戦部長は見ている。施設のひとつがフィラデルフィアにあり、「投入をめざす仕様で運転し、長期にわたり試す」「洗練させていく。機能しない部分は取替え改良する。結果として知見が増え、導入可能な装備品となる」と述べた。

 

同じ方法は無人装備品以外でも使っていると作戦部長は述べた。近年の新型水上艦事業でトラブルが続いた。沿海域戦闘艦、ズムワルト級駆逐艦、フォード級空母があったが、建造が始まるコンステレーション級フリゲート艦、コロンビア級弾道ミサイル潜水艦建造に応用する。海軍は「革命的と言うより進化的な変革を実現したい」とし、問題連発で議会の怒りを呼んだ従来の流れを変えたいとした。

 

これと別にギルディ作戦部長は柔軟かつ信頼性に富む無線ネットワークで無人艦艇と打撃群艦艇を結ぶのが重要要素だと説明。海上ネットワークにProject Overmatchの名称がつき、各種通信手段で自動的に接続を実現するのは、携帯電話が家庭内wifiから外部セルラーネットワークに自動的に切り替わるのと似ている。各艦艇で各種データを使い、最適な通信系統を組み合わせ移動や運用を制御するとギルディ大将は述べた。

 

4個空母群で新型ネットワークの搭載が始まる。このうち最初の空母群での準備状況は「予定通り」とギルディは述べ、今年末か来年初めに実施するとした。次の段階は残る空母打撃群、揚陸即応部隊への搭載で、大規模艦隊演習に応用することだという。

 

ギルディ大将によれば米海軍は無人装備運用を行う特別下士官階級を創設し、アプリケーション群を整備していくという。■

 

Navy Chief Sees Robot Ships Alongside Aircraft Carriers Within Five Years - Defense One

The service may create a new enlisted specialty to operate them.

BY BRADLEY PENISTON

DEPUTY EDITOR

FEBRUARY 16, 2022 08:07 PM ET