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2024年12月1日日曜日

中国のために働く英国の科学者たち(Unherd)―研究資金さえ出す相手なら歓迎する学者には政治・経済や地政学への関心がないのでしょう。経済安全保障の観点から日本でも英国同様の点検が必要です。

馬凱副首相(当時)から「友好賞」を授与されたステファン・キットラー



英国の研究成果が北京の軍産複合体に利用されている


月初め、中国側と会談したキーア・スターマー首相は、習近平の手を握り、「強い」二国間関係の重要性を宣言した。 

 この会談は、ボリス・ジョンソンが2020年に安全保障上の理由からファーウェイを通信ネットワークから締め出す決定を出して以来、冷え切っていた両国の関係を温めるものとなった。 

 北京は中国共産党(CCP)にとって「特に関心のある」分野の研究の確保に追われているという。

 スターマーは、こうした警告に耳を傾けるべきだった。 

 ジョンソンやスパイたちが理解していたように、中国は地政学的な目的のためにテクノロジーをますます利用するようになっている。 

 そして中国はここ資金難にあえぐ英国の大学に目をつけ、中国の怪しげな情報源を経由しプロジェクトに資金を提供している。

 2000年代初期に、中国は問題を抱えていることに気づいた。アメリカは宇宙ベースの通信システムに多額の投資をしていた。イーロン・マスクが開発したスターリンクについて、あるウクライナ軍将校は戦場での通信に「不可欠な基幹技術」と評した。 

 アメリカが先を急ぐ中、中国は遅れをとっていると感じていた。 

 そこで2016年、中国は壮大な規模の技術プロジェクト「宇宙・地上統合情報ネットワーク(SGIIN)」を発表した。 

 これは、宇宙ベースの情報ネットワークとモバイル通信システムを2030年までに包括的に統合することを目的としたプロジェクトだった。  SGIINは、軍事的に重要な意味を持つ民生用アプリケーションという、明確な二重利用の可能性を秘めている。


そこで登場するのがインペリアル・カレッジ・ロンドンのウェイン・ルクWayne Luk教授である。学術界と企業との複雑なネットワークを通じて、ルクは中国の衛星通信計画に深く関わっている。彼のインペリアルでの研究は、中国軍と密接に協力し、中国航天科技集団(CASC)に組み込まれており、「国家重点実験室」からの40万ポンドの助成金によって一部賄われている。後者は中国の「軍産複合体」とみなされ、米財務省の制裁リストに載っている。

 しかもルクの関与は学術研究にとどまらない。かつてインペリアル・カレッジ博士課程で指導したニウ・シンユーNiu Xinyuとともに、深センを拠点とする製造会社クンユン・インフォメーション・テクノロジーKunyun Information Technologyを共同設立した。 ルクは長年にわたり最高科学責任者を務め、同社の5%以上は中国政府が所有している。創業からわずか1年後の2018年までに、クンユンはC919航空機の人工衛星やナビゲーション・システムに採用され物議を醸した超高速AI適応チップを製造しており、産業スパイで西側から盗まれた技術が含まれていると報じられている。 

 ルクの話が中国軍を助ける技術協力を示唆しているとすれば、ステファン・キットラーStefan Kittlerはさらに厄介だ。サリー大学のコンピューティング専門家キットラーは、個人を追跡・特定する能力を大幅に向上させる監視技術の開発に中心的に携わってきた。彼は長年、江南大学Jiangnan Universityの研究者たちと共同研究を行っており、最近、彼の名を冠した新しい研究室が設立された。「パターン認識と計算知能」を専門とする別の江南研究室を共同で設立していた。

 科学的な言葉の裏には厳しい現実がある。ひとつには、キトラーは江南の学者たちと論文多数を共著し、中国軍からの委託研究も行っている。2018年には、インペリアル・カレッジの元博士課程の学生で、現在は中国の国家機密アカデミーの拠点である南京大学で共産党支部の書記を務めるタン・ティエニウTan Tieniuとともに、北京で生体認証に関する会議の共同議長を務めた。


「英国で働く科学者たちが中国を援助している」


『サンデー・タイムズ』紙が2020年に報じたように、ルクのFaceR2VMプロジェクトはイギリスと中国が共同で資金を提供し、マスクをしていても耳や鼻の凸凹や隆起、顔の表情から人物を特定できるようにすることを目的とした研究を行っている。これはまさに、中国の政治的反体制派やウイグル族などの少数民族を追跡するため使われている技術だ。

 キットラーと中国との関係は、研究室の外にも広がっている。2016年、北京で行われた華やかな式典で、彼は当時の馬凱副首相から「友好賞」を授与された。この賞は「中国の経済と社会の進歩に顕著な貢献をした外国人専門家」に与えられるものである。 1月には、香港での人権侵害に関与したとしてアメリカから制裁を受けた友人のタン・ティエンウとともに「ウィンタースクール」で教えることになっている。

 ジョージタウン大学のウィリアム・ハナスが説明するように、ルクとキトラーは特別な存在ではない。 CIAの元中国専門家ハナスによれば、北京は「米国の科学者たちの技術を流用してきた長い実績がある」。同じことはイギリスにも当てはまるとハナスは付け加える。

 英政府関係者は同じようなことを口にしている。 英国研究革新省(UKRI)は最近、科学技術省とともに、英国と中国の大学間のあらゆる研究提携のリストを作成した。匿名を条件に情報筋によれば、そのリストには約500のプロジェクトが含まれており、うちの約10%は国家安全保障や人権に関わる危険性があるという理由で「レッドフラグ」が立てられているという。

 しかし、中華人民共和国のテクノロジー利用方法に対する懸念は以前からあるのに、なぜ英国の機関はいまだに中国から資金を受け入れているのだろうか?その答えは、大学セクターでよくあることだが、そうしなければ倒産してしまうからだ。UKRIが報告したように、中国との共同研究は2007年から21年の間に4億4000万ポンドの追加収入をもたらしたが、英国で学ぶ中国人留学生は2021年だけで授業料と宿泊費に54億ポンドを費やした。

 このような妥協は、政府、特にイギリスのように海外からの投資に熱心な国にとっては、ある意味、糧となる。しかし、野党保守党が懐疑的である理由は明らかで、リシ・スナックの下で研究安全保障担当大臣を務めたジョージ・フリーマンは、英国が知的財産と研究を「よりよく保護」することが不可欠だと述べている。■

The British scientists working for China

UK research is powering Beijing's military-industrial complex
David Rose

November 28, 2024 


https://unherd.com/2024/11/the-british-scientists-working-for-china/



2021年10月12日火曜日

ペンタゴンR&Dトップが見る重要技術分野の展望。極超音速技術、プロセッサー、バイオ技術等。こうした技術開発と迅速な実戦投入が自由世界の防衛に重要だ。

 企業ではCTOという立場なのでしょうか、技術分野を横断的にホリスティックに見られる人材が必要です。自由と繁栄を守るためにも技術分野の進歩が必要であり、当然ながら防諜活動を強化して成果を易々と盗まれないように守る必要もありますね。

 

Heidi Shyu speaks during her confirmation hearing to be Defense undersecretary for research and engineering in Washington on May 25, 2021.

ワシントンで開かれた国防次官任命聴聞会でのハイディ・シューMay 25, 2021. CAROLINE BREHMAN/CQ-ROLL CALL, INC VIA GETTY IMAGES)

 

 

ィディ・シューHeidi ShyuR&D担当国防次官は整理すべき技術分野を模索したところ、これまで軽視されてきたが重要な分野を把握できという。

 

研究開発担当国防次官に任命されたシューは陸軍で調達幹部を務めた経験を活かし、開発優先リスト上の各種技術から削減対象を絞り込んだ。

 

だがこうした技術は中国の封じ込めに有効と理解するに至った。極超音速、人工知能、サイバーセキュリティ等である。

 

「当初は減らせると思っっていたが、結局増えることになった」(シュー)

 

防衛産業にとっては逆に頭痛になりかねない。業界では研究開発支出を優先順位に応じて整理しようとしている。リストは時の経過で変化しており、研究目標も科学技術上の突破口となる内容よりむしろ中庸なゴールを目指すことが多い。

 

だがシューは変革を目指す大胆な姿勢だ。上院での任命を巡る聴聞会でっシューはペンタゴンでは兵器開発費用の3割が開発調達にまわり、残る7割が維持に使われていると述べ、これを逆転させたいとした。

 

本人へのインタビューのポイントは以下の通り。

 

極超音速技術

シューはペンタゴンが極超音速装備複数事業へ多額の予算を投じることに反対との批判勢力の意見を共有する。

「負担可能な極超音速兵器開発をどう実現するかに焦点をあてている。そのため次の課題がある。適正な素材を使っているか。適正な試験施設があるのか」

 

国防総省は2022年度予算で28.65億ドルを要求し、極超音速技術開発を進めたいとする。直近では陸軍、海軍がそれぞれ極超音速関連予算を倍増させながら、空軍は40%削減している。空軍は空気吸い込みのジェット発進式極超音速体の実現に成功しており、陸軍は極超音速ミサイル配備を始めている。

 

研究開発上の課題が解決すれば、生産が伸び、単価が下るとシューは見ている。

 

シューは極超音速プロジェクトを整理統合し、実現確実な案件に絞り込むべきとみている。

 

「軍は実用化のため予算を計上する。そうなるとプロジェクトの成功度合に応じてどれに注力すべきか判断するのがよい」

 

人工知能

 

シリコンバレーで人工知能に莫大な予算が投じられており、ペンタゴンもAIツールの役割を理解すべくR&Dを独自に進め、安全かつ効果的な活用をめざすべきだ。

 

「業界はAIのML(機械学習)や自律運用に巨額を投じている。信頼できるALのML、信頼できる自律運用性能を実現したい。念頭にあるのは低価格、消耗覚悟で残存性が高い無人装備だ。このため、ALのMLと自律運用性能が信頼できる水準に鳴ることが肝要だ」

 

ここから新水準の性能を単に実現するだけでは十分ではなく、テスト活動、安全性、設計に従来より高い重点を置く必要が生まれる。これにより技術系企業大部分は実験活動の在り方を一変し、人工知能や機械学習ツールを活用できるはずだ。

 

サイバーセキュリティ

シューの考えるサイバーセキュリティは高度にネットワーク化され脅威を迅速に探知することによりファイヤーウォールを過信しない。

 

「国防総省のニーズを考えると各種センサーはいまのまま使えないと思う。必要なのはサイバー戦、電子戦と関連して作動させることで情報戦や通信もここに加わる。ごくごく短時間で探知して対応する必要がある」

 

その意味でオープンアーキテクチャの重要性が増しているという。

 

「一種類のアーキテクチャに固執することは避けなければならない。脅威も進化していくので旧式アーキテクチャを抱えることになっては困る。そこでモジュラー方式のオープンアーキテクチャにする。プロセッサーを安全なまま民生技術同様のスピードで進化させることがこれから重要となる」

 

マイクロプロセッサー

シューはCHIPS法に賛成しており、マイクロプロセッサー生産を米国に呼び戻す動きを支援する。だが国防総省は半導体の利用方法をもっと学ぶ必要があると指摘。「リアルタイム運用ではマルチコアのプロセッサを購入しているがプログラム方法を熟知しているからと正当化している。だからこそ研究費を増やしたい。16コアのプロセッサーあるいは32コアが生まれたら活用方法をあらたに探求する必要が生まれるからだ」

 

こうしたプロセッサをどう利用すべきなのか。一つは低帯域環境で処理能力を増やすことだ。ハイテク敵勢力が通信妨害に向かう際の対応だ。だが、シューは3D画像処理の向上が訓練に応用できると強調し、同時に通信、指揮統制にも使えるという。

 

「インタラクティブな3Dの実現に集中してききたい。3-D作戦センターを使い、各地に分散した部隊の指揮統制を低帯域環境で実施する」「これにより作戦立案が迅速になりミッション指令も行える。きわめて強力になる。技術はすでにある。新規投資が必要なわけではない。あと一押しすれば完成し、実戦部隊が活用できる」

 

宇宙

シューはバイデン政権は宇宙配備兵器の整備の可能性を排除しておらず、中国やロシアの衛星攻撃手段の排除構想はシューの前任者も想定していた。

 

「すべて極秘事項です」とするが、現政権の宇宙戦略では回復力に重点をおき、低コストで多数の衛星を投入することをめざしている。

 

バイオテク

シューはバイオテクノロジー特に高機能素材が将来の作戦でカギとなると述べている。8月に行われたDARPAの実証実験に触れている。

 

「48時間以内で水、砂、生物技術を応用してヘリコプター発着パッドを完成させた。すごい成果だ。兵たん経費が大幅に減り、現場で完成させた」

 

だが国防総省はバイオテクノロジーの応用範囲を広げる必要があり、兵員の身体活動へ健康状態のバイオメトリックデータ収集を実現し、指揮官が部隊の状況を適正に把握する状況を作りたいとし、これは軍のみならず一般社会にも応用できるという。

 

新分野New Focuses

シューは新素材がこうした各分野の突破口を開く上で重要となるとみている。

 

各案件を構想段階から実現に向かわせるカギは実戦部隊の手に早く渡すこととシューは述べた。

 

国防副長官キャスリーン・ヒックスが当方が仕切るイノベーション部会を準備してくれた。そこで急いで取り組んでいるのが迅速な開発とともに実験予算の確保だ。文字通り期待が高まる構想を取り上げ、実験で統合戦闘構想が求める内容とのギャップを埋めていく」「共同実験で単独では実行できなくても各軍のニーズに対応させていく。実戦部隊のトップと密接に作業しており、統合参謀本部とも連携している」と述べた。■

 

Pentagon’s Top Science Official Adds to Tech-Breakthrough 

Wishlist

BY PATRICK TUCKER

OCTOBER 11, 2021 03:46 PM ET

 

https://www.defenseone.com/technology/2021/10/exclusive-pentagons-top-science-official-how-dod-will-pursue-breakthrough-technology/186008/

 

 

 


2019年3月9日土曜日

DARPAが指定した研究重点10分野と中小企業の技術力への期待


Lasers, AI, Hypersonics Top DARPA’s Small-Biz Wishlist

DARPAの掲げる中小企業向け研究開発重点分野にレーザー、AI、極超音速など

10:30 AM ET
国防総省の研究部門が重点研究分野を発表し、構想の実現化を加速する。

国防総省が重点研究対象の10分野を発表し各企業の研究の実現を早めたいとする。

国防高等研究計画局DARPAが小規模企業革新敵研究分野SBIRの次年度重点分野を発表した。DARPAは今後参加企業を募り最新の国防関連技術の開発を実現するとし、人工知能、超小型衛星、強力レーザーや核兵器の性能向上を図りたいとする。

「国家安全保障では小規模企業による技術開発が重要要素だ」とDARPAは述べ、「科学技術での発見のペースは世界各地で加速化しており新たな研究分野が生まれており、小規模企業がSBIRやSTTRで活躍する余地が増えている」。

事業は二段階に別れ、各企業はまずそれぞれの発想の実現可能性を模索し、その後に製品化を狙う。

実証済み技術を有する企業は一気に第二段階に参加できる。

第一段階で上限 $251,250を支給し、第二段階では$1.65百万ドルまでを受け取れる。昨年は$101百万ドルを民間企業に支払っている。

今年ははじめての試みとしてペンタゴンのが支援する形の新規事業他立ち上げインキュベータ事業に参加を許される企業が選定されている。

このDARPA研究開発加速化事業では有望企業に業界や政府の補佐役がつき、同時にDARPAの投資機関ネットワークの利用が許され製品化を早める。また$250,000までの追加資金の申請も可能だという。

SBIRとSTTR申請は2020年2月29日が締め切りだ。SBIRとSTTRでねらう重点10分野は以下のとおりだ。

人工知能
例 アルゴリズム改良、データ内容の高度化、人マシンインターフェースの最適化、敵陣営の妨害

自律運用
例 自律装備のチーム化、機会認知能力の向上、理解力情報勢力の改善、ヒトと自律装備間のチーム化

通信
例 高性能だが低消費型組込式処理能力の実現、リソース割り当て用アルゴリズムの開発、自己探知修復型ネットワークの実現

サイバー
例 運用注文台の解決、自己保全型ネットワークの開発、サイバー効果の評価に向けた戦略立案

指向性エネルギー (レーザー)
例 出力拡大問題の解決、不安定な挙動の減少、装置のサイズ重量、適応型光学装置、ビーム伝播、目標追尾

極超音速
.例 高温に耐える素材、極超音速機材の製造、大気吸い込み式推進、極超音速誘導制御技術

マイクロエレクトロニクス
例 経済的に運営可能な国内製造能力、放射線防護機能の強化、特殊装備用無線周波数技術で核、宇宙空間、電子戦を想定したもの

量子科学
例 量子時計、センサーの開発、量子通信技術、量子コンピュータの低温環境での運用、光子探知

宇宙
例 低地球軌道周回極小衛星によるミサイル警戒機能、情報収集偵察監視機能、航法機能、通信機能の実現

核兵器近代化
例 核の三本柱(爆撃機、ICBM、ミサイル潜水艦)の近代化、支援施設の近代化として核攻撃指揮命令通信ネットワーク。■


コメント さすがにDARPAはいろいろ先のことを考えていますね。上記の各分野の例の内全部ご理解されている方はどのくらいいるのでしょうか。自己修復型技術はやはり攻撃を受けるのは必至と見ているからでしょうか。量子分野の話がわかりにくいです。みなさんはいかがですか。日本も調達でケチを付けて民間企業にそっぽを向かれていますが、研究開発には思い切った資金投入をしてはいかがでしょうか。民生部門では日本のNEDOがDARPAに似ているとは思いますがいろいろな制約がNEDOにもありそうですね。こうした技術は成功すれば大きな効果を生む装備になったり民生部門への波及効果も期待できますが、成功の保証がない「バクチ」の要素もありますので政府の役割が重要です。米国の中小企業とは起業家精神が豊富なのでしょうか。その存在を無視できないようです。日本でも数は少なくとも革新的なアイディアを持つ企業には思い切った投資をしていいのではないでしょうか。

2016年5月14日土曜日

次の戦争はどんな姿になるのだろうか 今わかっていること


Aviationweekの創刊100周年エッセイの一環ですが、二人の著者は中国による米ハイテク奇襲攻撃スリラーGhost Fleetの著者ですので、内容もその方向になっています。戦争を計画する側は前回の戦争のイメージにとらわれ結局事態に追いつけなくなるそうですが、果たして次に全面戦争が勃発すればどうなりますか。心してご一読ください。


Aviation Week & Space Technology

The Next 100 Years: P.W. Singer and August Cole

What We Know Now About the Wars of the Future
May 5, 2016Aviation Week & Space Technology

将来の戦争は偶発的に始まるかもしれない。例えばパイロットが無茶な操縦をして別の機体に衝突し、単なる事故だったものが怒りに変わり戦火につながるかもしれない。あるいは危機状態が限界に達し、新政策もしくは新しく造成した島が問題となり同盟国も巻き込んだ大国同士の戦争になるかもしれない。あるいは新世界秩序の構築のため強くなった経済力、軍事力を活かそうとするかもしれない。
未来の戦闘の原因や進展は予測が難しいが、確実なこともある。空がカギを握りそうだ。ただし米国がこれまで経験したことのない形になりそうだ。米国が制空権確保に苦労した最後の経験で空軍は陸軍航空隊の名称だった。米地上部隊が空爆を受けた直近の事例はラオスに展開した部隊が北ヴィエトナムがソ連のアントノフ貨物機を爆撃に転用した機体から爆弾を受けたものだった。ドッグファイトがあった最後の年に生まれた子供がそろそろ軍務についてもおかしくない年齢になっている。
将来の戦争では空の戦いが重要になるとしても、航空機多数で航空優勢の確保を狙う国家が相手となるか、非国家勢力がこれまで誰も経験したことのない方法で空に進出を狙ってくるかは不明だ。後者は現実のものになっている。イラクシリア戦では紛争当事者双方が無人航空機システム(UAS)を投入している。現地での米軍作戦の成否はUASによる目標補足と攻撃能力にかかっている。イラク軍も中国製UASを使い、自称イスラム国でさえ民生用ドローンを情報収集監視偵察用に使っているほどで、一昔前の正規国家では考えられない能力が現実のものになっている。
未来の戦争は多方面での戦いとなるが、開戦は想定外の場ではじまりそうだ。1914年にはドイツ歩兵がベルギーになだれ込み、1941年には九九艦爆が真珠湾に急降下爆撃をしかけ、「衝撃と畏怖」作戦ではバグダッドに巡航ミサイルがさく裂したが、次の戦争の開始は音もなく始まりそうだ。その理由として第一回目の対戦は低地球周回軌道の真空あるいはサイバー空間が舞台になりそうだからだ。それぞれの場所での結果は決定的な効果を生みそうで、現代アメリカの戦闘行為がその両方の場所に依存し、妨害破壊活動に脆弱な場所になっているためだ。
将来の戦争では長い間優勢だった技術優位性も消えるだろう。多くの国家が第五世代戦闘ジェット機やプレデターのような無人機の導入を急ぐのは戦闘の在り方そのものが変わってきたためだ。将来の航空戦で勝敗を決めるのはその前に発生するサイバー空間での対決の結果であり、主要米航空宇宙産業で発生しているデータ強奪が特に大きな意味を持つ。自国の研究開発成果が相手国にも筒抜けでは軍備競争に勝つのは極めて困難だろう。
だが指導層が現状維持を守り通そうとする際に敵側が単にこちらの技術を盗みコピーしていると考えるのは都合がよすぎる。ワシントンDC在住の既存防衛産業からは満足できず、国防総省はシリコンヴァレーに色目を使い、民生部門の技術革新と同様の変化を期待している。反対に中国の政府と民生分野の研究陣は連携して各種の画期的な国産技術を開発しており、例として重慶の長安自動車 Changan Automobile Co.は自動運転車を開発中で2,000キロの運転を達成しており、世界最速スーパーコンピュータ天河-2 Tianhe-2 もある。
こういった技術が戦闘の様相だけでなく戦闘員や技能も変えるだろう。サイバー空間での戦いでは以前は存在さえしなかった軍の組織、にわか集めのサイバー戦闘員、ハッカー集団も参画するはずだ。かわりにF-22パイロットでさえも戦場のデータ管理者の役目を担い、もはやかつての戦闘機エースの片りんは見つけられない。さらに人工知能がSF小説の世界から抜け出し、すべてを制御する存在として台頭してくるはずで、すでにIBMのワトソンではペンタゴンも契約をしている。
どんな変化が生まれるにせよ、将来の戦争ではAviation Weekが100年にわたり丁寧に報じてきた過去の経験もやはり有効だとわかるはずだ。技術がいかに進歩しようと、戦争の本質は人間で、戦争の原因も進展も人間が作るものだ。戦争につきものの状況が見えない事態はやはり残るし、初回交戦の結果で以前の想定条件は変わらざるを得なくなる。敵側も学び実力を上げてくるし、お互いのOODA(観察予想決定行動)のサイクルを意識するはずだ。また革新、組織化、実施面で優れた方が勝利を収めるはずだ。■

オーガスト・コールとP.W.シンガーはともに国家安全保障の専門家で小説Ghost Fleetを共著している。同作品では第三次世界大戦の開戦模様と戦闘に用いられるはずの各技術を描写している。

2015年2月4日水曜日

米空軍の重点技術開発分野は量子、サイバー、無人機 



技術優位性の回復、維持で差をつけたい第三の相殺戦略の中、国防予算でも技術開発は重視されているようです。公開した情報ではこれだけしかわかりませんが、Black 予算でもっととんでもない技術開発が進んでいるかもしれませんね。今後に期待しましょう。

US Air Force Launches Trio of Tech Studies

By Aaron Mehta10:59 a.m. EST January 31, 2015
WASHINGTON —米空軍の目指すべき将来技術はなにか。
空軍関係者はこの質問を何度も考えてきた。日常的に大々的な作戦を展開する一方で将来戦力を構築するというバランス感覚を空軍は求められている。
【SABとは】 米空軍の科学審議会 Scientific Advisory Board (SAB)がこの問題で諮問する立場だ。審議会は政府独立組織で50名の科学技術者が委員として在籍し、空軍の課題を掘り下げて毎年検討している。
SAB委員長はワーナー・ダームWerner Dahm(前空軍主任科学者)で、審議会の役割はどの技術が投資に値する現実的なものかを空軍に対して助言しつつ、長期的におお化けしそうな技術も指摘している。
「正しい技術を推薦するのは本来業務ではない。工程表がしっかりした事実に基づいているがを確かめるのが仕事だ」
1月27日に委員が集合し、今年は三分野を特化対象にした。量子、無人機、サイバーの各分野。検討結果は7月に空軍トップに説明され、年末までに公表される。
【量子】 最初の話題は空軍における量子システムの活用方法だが、ダーム委員長からは量子コンピュータだけを考察することのないよう釘を差している。「この分野の研究はもっと広範」とし、量子力学の応用システムがあれば空軍ははるかに迅速に暗号解読ができ、高性能電子光学・赤外線センサーや通信の暗号化、精密時計(フェムト秒単位で計測可能)が実現するという。
【サイバー】 2番目の注目分野はサイバー上の脆弱性で航空機や宇宙システム上の組み込みシステムに焦点を絞る。飛行制御用の機体内部のコンピューターやレーダーでインターネットと接続していがサイバー攻撃に脆弱なものが対象だ。
脆弱性問題は認識されており、研究では問題に決定打解決策の確立をめざすが、このために問題ごとに技術開発するのは避け、費用対効果に優れた方法を模索するという。
【無人機】 三番目の研究分野は無人機で激戦環境での生き残り可能性をどれだけあげられるかが課題だ。これも新しい課題ではない。.
研究ではどの選択肢で現実的に無人機の生存性を引き上げられるかを掘り下げて検討し、ステルス性能の向上から無人機間での協同運用、あるいは無人機の単価を引き下げて生存性自体を無視できるようにする可能性も取り上げる。
「これら次世代、次次世代の技術が既知の内容であれば、当方の研究は大きな意味がなくなる。思考プロセスを明らかにすることに審議会の存在意義があるのであり、何をすべきか、何をしたらよいかを示す」
【空軍の期待】 基調講演をしたラリー・スペンサー大将Gen. Larry Spencer(空軍副総司令官)は率直な発言をしている。
「みなさんの助けが必要です。突破口を見つけてください。なぜなら空軍は現状の方法にどっぷりつかっており、『これはできない』だの『これはうまくいかない』でがんじがらめになっているからです」
スペンサー大将はSABに対して実施可能な仮説の提示を求めている。「机上の世界から現実に利用可能な段階に移るべく皆さんにご助力願いたい」
新規発想や技術内容の出処はSABだけではない。2016年度予算案では空軍を未来に導く技術内容を重視しているとペンタゴン関係者のコメントが出ている。
1月28日には新アメリカ安全保障センターが主催したイベントでボブ・ワーク副長官がまもなく提出の予算案に言及し、「有望な新技術、新性能として無人潜水機、海中機雷、高速打撃兵器、高性能新型ジェットエンジン、レイルガン、高エネルギーレーザー」への予算確保にとりくんでいると発言があったばかりだ。
同日に調達を取り仕切るフランク・ケンドール副長官が下院聴聞会で次世代戦闘機として空軍向け海軍向けの開発予算を2016年度予算に盛り込むと発言している。
【強制予算削減で研究開発はどんな影響を受けているか】 ケンドールと平行して、上院は予算強制削減の影響について四軍司令官を質問攻めにしていた。空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将からは強制削減で技術開発能力が犠牲になっていると発言があった。
「強制削減で空軍の科学技術関連予算は2.23億ドルが16年度に削減され、その後はおよそ10.8億ドル減額の見込み」とウェルシュは意見書を提出している。「このためおよそ100分野で契約中止や取り消しが発生する。契約内容には制空技術、指向性エネルギー、製造技術、人的システム各種、弾薬、推進装置、機体構造研究、サイバー、センサーおよび宇宙技術が含まれる。」
このことはSAB審議委員も意識しており、財政が厳しい中で中国の台頭に対応して技術開発のニーズを両立させるべきかとのスペンサー大将の問題提起に多数の質問を投げかけている。
「相手の動きに反応する立場になってはいけないと思う。反応する人材がほしい。」とスペンサー大将は発言。「予算縮小の中で難易度が高いのは承知しているが、脅威は減少していないのだ」
「現時点の要求と将来の要求の間でバランスを取るのがジレンマであり、同時に実現を迫られるのもジレンマだ」とスペンサー大将は付け加えた。
SABは空軍の研究機能の一部であるが、予算を意識して活動を展開している。
「相対コストが重要度を上げてきている。実現の可能性がない非現実的な解決方法では負担は不可能だ。当方は予算関連組織ではないが、空軍が同じ予算で最大効果を得られるように考えているつもりだ」■

2015年1月1日木曜日

DARPA:開発中の2015年注目案件


今年初の記事は夢のある内容です。DARPAはいつも奇想天外な技術開発を目指しているようですが、今回の各案件は意外にまともです。既成概念にとらわれないからこそ次世代の兵器が生まれるのでしょうね。今年もよろしくお願いします。


DARPA Projects to Watch in 2015

by BRENDAN MCGARRY on DECEMBER 30, 2014
ペンタゴンの専門研究開発部門DARPA国防高等研究プロジェクト庁が2014年に自ら注目技術10件のリストを公表した。ここではさらに厳選し5件を紹介する。いずれも武器開発に繋がる可能性があり、2015年に注目すべき内容と考える。
1. 垂直離着陸(VTOL)のXプレーン----高速・高性能ヘリコプターをめざせ、でも陸軍の新型ヘリとどこが違うの?
VTOL-X
シコルスキー等の民間企業や陸軍とは別個にDARPAが考えているのは400ノットの飛行速度で機体重量の4割相当のペイロードが可能となる新型ヘリコプターで2015年9月に初期設計を審査し、一案に絞り込み2017年の初飛行をめざす。

2. 再構成可能空中組み込みシステムAerial Reconfigurable Embedded System (ARES)----陸上輸送を空中輸送に切り替えれば道路脇の即席爆発装置の被害から開放されるはず
ARES
DARPAは無人補給機の実現を目指しており、危険な陸上輸送の代替となる。ロッキード・マーティンのスカンクワークスによる無人機案を昨年採択しており、陸上部隊が携帯電話や専門タブレットで操作可能とする。

3.新型無人車両Ground X-Vehicle Technology (GXV-T)----防御よりも迅速性を重視

GXV-T
DARPAは陸上でも新世代車両をめざす。機動性と生存性を引き上げるが、装甲は減らす。「攻撃兵器が進化する中で装甲は有効性が減っており、脚を引っ張る」ためだという。逆に車両寸法は小さく、ステルス性を向上させれば的に探知されにくくなり、攻撃を受けることも回避できるという。
4. Z-Man----ヤモリからヒントを得た吸着性能を見よ
ZMAN
2014年にDARPAが公開したのは体重200ポンドの男性が高さ25フィートのガラス壁面をよじ登る光景だった。弾性は50ポンドの荷物を背負っていた。秘密はヤモリの四肢が有する吸着性能からヒントを得たパドルだった。素材はポリマーマイクロ構造でDraper Laboratoryが開発したもの。

5. 超精密命中弾薬 Extreme Accuracy Tasked Ordnance (EXACTO)----発射後に誘導して一発必中だ
DARPAは狙撃銃から撃った50口径弾丸を弾道途中で制御して標的に命中させる実験に成功している。特殊弾丸と誘導システムにより「気温、風力、標的自体の移動その他を補正し、弾丸を追尾誘導させて命中させた」という。


Defense.org


2014年11月19日水曜日

ヘイゲル長官が明らかにした重点技術分野 第三相殺戦略で優位性の維持できるか




オフセットとは相殺というよりは優位性確保ということでしょうか。かつて通産省はじめとする日本の官民一体の産業政策を非難していた米国が今やなりふりかまわず同じ方向に向かっているのは歴史の皮肉なのでしょうか。

Hagel Launches ‘Offset Strategy,’ Lists Key Technologies

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on November 15, 2014 at 9:37 PM

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REAGAN LIBRARY: 準備期間数か月を経て、チャック・ヘイゲル国防長官から「相殺戦略」“Offset Strategy” が正式に発表された。ヘイゲル長官はレーガン国防フォーラムでの講演で、優位性がおびやかされている米国の技術水準を今後どう維持するのかを具体的に述べたものの、重要な点で詳細は語らなかった。
  1. 「相殺」の意味は軍と産業界でチームを組み、技術上のブレイクスルーを求め合衆国が潜在敵国に対し優位性を保つことにある。アイゼンハワー大統領時代の「ニュールック」では核兵器がこの役割を果たし、物量で勝るソ連に対抗した。スマート兵器、ステルス、センサー類、コンピューター・ネットワークが1970年代の「相殺」の中心的存在だった。核兵器やスマート兵器が世界的に拡散普及したことで、米国は脅威に直面している。ではヘイゲルのいう「三番目の相殺戦略」の核心は何か。
  2. 長大なリストはないものの、ペンタゴン内部で続く悩ましい議論から次の技術がペンタゴンの縮小気味の予算で優先順位が与えられる分野であるとヘイゲル講演で明らかになった。ロボット、自律システムズ、縮小化、ビッグデータ、高度生産技術として3-Dプリントが含まれている。では、これらに優先順位を与える意味は何か。
  3. 「ロボットと自律システムズ」とは同じ意味だ。戦闘に投入される機械を無人化するだけでなく状況判断、自ら決定することができるようになる。プレデター無人機や爆発処理ロボットのような遠隔有人操作は不要となる。究極的にはコンピューターが殺害対象を選択すれば、倫理・法律・プログラミンング双方で課題となる。だが現在の遠隔操作式システムでは相当の人的監督が必要で、人件費が上がる中、軍はこのまま続けることができないし、通信をたえず維持しておく必要があり、敵勢力がジャミングやハッキング技術を磨く中でこれも軍として保証ができない。
  4. 縮小化はどうか。大型の軍装備から人体を取り外し、生命維持装備や防護対策を取り除けば、残りはかなり小型化かつ安価にできる。この流れを最大限に活用すれば、すべての部品を小型化できるはずだ。究極的には小型、使い捨ての自律兵器の「大群」を実現することになり、誘導ミサイル(魚雷)と無人機の交配となるのではないか。
  5. ビッグデータはすっかり定着した感があるが、軍は民間よりはるかにこの分野に詳しい。NSAによる通信傍受、プレデターが動画を撮影する等で、問題はデータの海におぼれずに賢く解析する能力だ。画面に目をこらす若い下士官に大きく依存している現状が軍にあるが、このままでは人体の限界に達してしまいそうだ。民間の「ビッグデータ」解析技術を投入すれば少なくとも情報収集データを人間の手を介さずに選別できるはずだ。問題の兆候や異常状況を人間に選別させるのはいかにも時間効率が悪い。
  6. 高度生産技術とはあやふやなことばであるが、ヘイゲルは3Dプリンター技術を取り上げている。従来はすべてを一度設計してから量産を数か年続けるのが常だった。3Dプリンターならいつでもすばやく試作し新技術を取り込む、既存技術を改造したり、と状況に対応が可能だ。縮小化した自律的軍事装備にはうってつけの技術であり、ミニ無人機をミッションごとに必要な数だけ調達できる。各艦艇や地上部隊に3Dプリンターを積めば予備部品は必要な時に調達できる長距離の補給線の制約から解放される。
  7. リストに入っていないものにサイバー安全保障があり、この分野の予算は増加しているが、ヘイゲル長官はすでに十分な注目度があると思って割愛したのか。また電子戦もサイバーのややセクシーさを欠く隣接分野としてこれまで20年間にわたり無視されてきたがここにきて国防トップ数名の講演で再度注目されている。同じように極超音速、水中戦、長距離打撃も優先順位が高くつけられる分野のはずだ。しかし、長官自身が具体的な技術分野を口にしたことの意味は大きく、講演に出ていない技術が無視されることはありえない。
  8. ヘイゲルが強調したかったのはなるべく多くの実現可能なアイディアを可能な限り広い範囲の情報源から入手するため網を広くしておこうということだ。今日のイノベーションの多くが「従来からの国防企業」以外から生まれていることを長官は承知しており、「民間セクターの提案には積極的に耳を傾け、企業、大学を問わず国防総省の常連企業以外を歓迎する」と発言している。このことは短期的には国防総省が「政府の内外を問わず頭脳明晰な才能を招き、白紙から今後3年5年でDoDが開発すべき技術分野やシステムを分析したい」
  9. 各分野への投資活動は「長期研究開発企画事業」 “Long-Range Research and Development Planning Program”と分類される。この名称は1970年代の相殺事業で生まれたものだ。事業全体を統括する最高機関が「高性能抑止力審議会」“Advanced Capability and Deterrence Panel” で長官官房、情報部門、各軍、統合参謀本部、研究開発や調達分野のトップレベルを集める。そのとりまとめ役は国防副長官ボブ・ワークで、強引なやり方と遠慮のなさで知られる技術通であり、以前の勤務先である新しいアメリカの安全保障を考えるセンターthe Center for a New American Securityがロボット工学と3Dプリンターを特に強く求めていた。
  10. ヘイゲルの「国防イノベーション構想」では技術がすべてではない。フランク・ケン―ドル副長官がすすめる調達手続きの改革Better Buying Powerの第三版BBP 3.0ではイノベーション誘発に主眼を置くとの発言がある。同時に作戦方法の一新、新しい作戦概念、軍事教育の刷新、中核指導層をどう育成するか、を考えるという。しかし、各話題もまだ抽象的だ。個別具体的に高度技術の内容を取り扱う必要があるのは否めない。■