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2023年4月8日土曜日

フィンランドがNATO加盟し、ロシアは頭を抱える。こんなはずではなかったのに... 更にスウェーデンが控える。ロシアは露骨な妨害を試みるか。

 フィンランドのNATO加盟でいよいよ窮地に陥るロシアの今後を1945が解説しています。



ロシアは、征服地を保持するという最低限の意味では、まだ勝利する可能性を残している(それすらも疑わしいが)。しかし、その他重要な側面すべてにおいて、この戦争は大失敗で、さらに悪化している


シアのプーチン大統領がウクライナ侵攻で大失態を犯したことは、今や広く理解されている。プーチンは、ウクライナ侵攻を既成事実化する電撃戦として計画した。1週間か2週間ですべてが終わるだろう。プーチンは一挙にソ連後の空間を再編成するつもりだった。NATOは不意を突かれ、ロシアのさらなる動きに怯える。中国はプーチンの大胆さに感心し、両国間の不均衡な経済関係を相殺するのに役立つ。世界は再び、戦略家プーチンに感銘を受けるだろう。

 それどころか、戦争は高価で、恥ずかしく、衰弱した災難に化した。ロシアは、征服した領土を保持するという最低限の意味ではまだ勝てるかもしれない(それさえも疑わしいが)。しかし、他のあらゆる重要な側面において、この戦争は大失敗であり、良くなるどころか、悪化している。

 戦争でGDPが激減している。政治的には、ロシアはほとんど孤独だ。中国とインドは制裁を支持しないものの、それ以外は距離を置いている。軍事的には、戦争は膠着状態に陥り、ウクライナ側にゆっくりと傾いている。ロシアはこの1年間、新たな領土を獲得していない。ウクライナはその後、攻勢に2回成功し、この春の終わりにはもう1回の攻勢が予想されている。そして今度は、戦略でロシアはまたもや逆境に立たされた。フィンランドがNATOに加盟したのだ。


フィンランドの加盟でロシア包囲網は続く

プーチンと彼の様々な擁護者たちは、NATO拡大がその周辺部でロシアの修正主義を強制していると何年も主張してきた。NATOが拡大していなければ、プーチンはクリミア、ジョージア、ベラルーシなどでゴタゴタしていなかったはずだ。

 しかし、これは因果関係の論理を逆転させるものである。NATOは西欧の帝国主義から発展したのであって、東欧諸国が必死に加盟を望んだから発展したのである。そして、加盟の動機は、ロシア外交政策に対する不安という極めて明白なものであった。ロシアには、近隣諸国の多くを征服し、支配してきた長い歴史がある。旧ロシア帝国にはポーランドとフィンランドが含まれていた。東欧で帝国を築いたソ連は、1990年代にNATOに加盟した国々を支配していた。

 ロシアが国境内で快適に暮らすことができ、「ロシア世界」の防衛といっ。た壮大な文明的使命にこだわらなければ、近隣諸国と平和に暮らせるかもしれない。しかし、ロシアの外交政策では、そのようなことは比較的まれだ。むしろ、ロシアの支配欲が、近隣諸国をロシアのパワーとのバランスに向かわせてきた。1990年代に脱出できたヨーロッパ諸国は、早期にNATOに駆け込んだ。フィンランドはプーチンに十分な脅威を感じ、長年の中立政策を断念した。スウェーデンもNATOに加盟予定で、ウクライナも加盟を望んでいる。

 この戦争がもたらす広範な戦略的帰結は、さらに多くの国家をNATOに向かわせる。戦争は、ロシアが西側諸国から包囲されるのを緩和するのではなく、むしろ悪化させている。


フィンランドはNATOにとって資産となる

フィンランドが加われば、NATOは強化されるどころか弱体化するという懸念もある。フィンランドは、NATOの伝統的な西ヨーロッパの中心地から遠く離れている。ロシアとの長い国境がある。1939年から40年にかけて、ソビエト連邦と戦争をし、大敗を喫した。西側諸国がフィンランドを助けるという考えは、距離と天候のため鈍った。フィンランドは冷戦期にはソ連を刺激しないためNATOを避け、ここ30年はロシアを刺激しないため避けてきた。「フィンランド化」という言葉も、この中立的な姿勢を特徴づけるため生まれた。

 このような懸念は、2つの理由で過大評価されている。第一に、フィンランドは、一般的な西ヨーロッパの軍よりもはるかに有能な軍隊を有している。実際、フィンランド政府はNATOに対し、より多くの予算を投じ、ロシアの脅威をより深刻に受け止めるよう働きかけている。ドイツやイタリアのような同盟国との関係を悩ませるタダ乗りの懸念は、当てはまらない。フィンランドは1940年の敗戦以来、必要ならばロシアと再び戦う体制を整えてきた。

第二に、ロシア軍は現時点で強力な通常軍を脅かす状態にない。ロシア軍は、ウクライナの泥沼でひどく疲弊している。ウクライナに勝てないのであれば、NATOに支援されたフィンランドに勝てる可能性はさらに低くなる。フィンランドを通常兵器で脅かすには、ウクライナから撤退し、ロシア軍を大規模に再建する必要がある。そして注目すべきは、ウクライナ侵攻前の10年間に行われたロシア軍の近代化が失敗したことだ。今日の軍隊がその結果として生まれた。フィンランドへのロシアの通常兵器による脅威は、少なくとも10年先のことになる。

 要するに、フィンランドのNATO加盟は、ロシアにとって、またしても予期せぬ打撃となる。ロシアはウクライナで泥沼にはまり込んでおり、これに対抗できない。また、加盟は、世界の最先端経済圏からのロシアの孤立を悪化させる。さらに、スウェーデンが次に控えている。■


Finland Joins NATO: That Means Russia Has Truly Lost the Ukraine War - 19FortyFive

By

Robert Kelly


Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; RobertEdwinKelly.com) is a professor in the Department of Political Science at Pusan National University and 19FortyFive Contributing Editor.


2023年4月2日日曜日

フィンランドがNATO加盟へ。加盟を見越しフィンランド上空にNATOのISR機材が飛行するパターンが生まれていた。ロシアは当然神経質になる。

 U.S. RC-135 Surveillance Jet Has Flown Unprecedented Mission Over Finland (Updated)

フィンランドのNATO加盟が近づく中、米国などNATO偵察機がフィンランド上空で見られるのが日常的になる

メリカ空軍のRC-135V/Wリベットジョイントは、初めてフィンランドの領空内へ展開し、ロシア国境の反対側を飛行した。昨年、ロシア軍がウクライナに侵攻したのを受け、フィンランドはNATO加盟を決定しており、このような飛行は日常的なものとなりそうだ。今日のフライトは、フィンランドがNATOに加盟すれば、上空からのロシア監視の取り組みが拡大できる。

オンライン飛行追跡サイトでは、今日未明、イギリスのミルデンホール空軍基地を離陸した、製造番号62-4131、コールサインJake 11のRC-135Wリベットジョイント機を捉えた。同機は英仏海峡、オランダ、ドイツ、ポーランド上空から北上した。

ADS-Bエクスチェンジが捉えたRC-135Wシリアルナンバー62-4131の本日のフライトの全容。ADS-Bエクスチェンジ

その後北上し、リトアニア、ラトビア、エストニアを通過し、フィンランド湾を越えフィンランド領空に入った。その後、ロシアのラドガ湖や戦略的な港湾都市サンクトペテルブルクに面した同国南東端を中心に、多くの軌道を周回し、帰還した。

サンクトペテルブルクには、ロシア西部軍管区の司令部とロシア海軍のバルチック艦隊の一部がある。フィンランドを除き、RC-135Wが飛行した他の国はすべてNATO加盟国。

本日フィンランド領空でミッションを行ったようなアメリカ空軍のRC-135V/W リベットジョイント。USAF

フィンランド国防軍(Puolustusvoimat)による本日の声明は、米空軍のRC-135V/Wリベットジョイント、またはその他の米軍の有人・無人の情報・監視・偵察(ISR)航空機が、同国政府との連携でフィンランド領空内で任務を遂行したのはこれが初めてだとしている。「フィンランドの軍事的安全保障の状況や環境には、最近のところ変化はありません」とフィンランド国防軍の声明は強調している。

「国際的なパートナーとの飛行作戦は、通常の二国間および多国間協力です。フライトはフィンランド国防軍の相互運用性を高め、共通の状況認識を向上させ、国防を強化する」とあり、「このフライトは、防衛協力の発展に対する相互のコミットメントを示すもの」。

しかし、声明では「作戦上の安全上の理由から、飛行の詳細を公表することはできない」としています。

飛行の具体的な目的については不明。本誌は、空軍に詳細な情報を求めている。


62-4131の今日の飛行経路のパターンは、ヨーロッパのその他場所や世界中で日常的に観察されるリベットジョイントの出撃と非常に一致している。C-135ベースのISR機は、アメリカ空軍とイギリス空軍で使用されており、非常に強力な信号情報(SIGINT)プラットフォームだ。

リベットジョイントに搭載されたセンサーは、通信傍受はもちろん、防空レーダーなどの信号放射体の詳細や位置も把握できる。通信傍受では、言語スペシャリストが搭乗し、即座に処理・分析を開始する。また、レーダーや信号機のデータに目を通し、特定地域における敵または敵の可能性のある能力について、いわゆる「電子戦闘命令」の構築に役立つ専門家も機内ににある。

RC-135V/Wの機体内部レイアウト、クルー構成、能力などを概観するグラフィック。 USAF

また、リベットジョイントの内部では、通常、少なくとも1名が、通常または未知のタイプのシグナルを監視し、別途、さらなる分析が必要か判断する任務を負っている。

フィンランド国境にあるロシアの防空施設やその他の軍の正確な配置に関する詳細は、米国政府、フィンランド当局、その他のNATO諸国にとって大きな関心事である。昨年、ロシア軍はウクライナで戦う部隊を強化するため、フィンランドに隣接する地域から部隊を撤退させていると報道があった。

しかし、1月、ロシアのショイグ国防相は、フィンランド国境沿いのカレリア半自治共和国に「軍団」(ロシア用語で数千人規模の地上編隊)を新設する計画を発表した。この1年余り、ウクライナで失った人員を補うため、部分的な動員をかけながらも奮闘してきたロシア軍が、この部隊を実際に立ち上げるまでにどの程度前進したかは不明である。

また、フィンランド=ロシア国境は、昨年から出動命令から逃れるロシア人の渡航先として注目されている。フィンランド当局はその後、ロシア人が国境を越えられないように物理的障壁を設置そている。

フィンランド国防軍は、今回の飛行は最近の出来事に対応したものではないと発表したが、フィンランドは明らかに東の隣国に懸念を抱いている。それよりもフィンランド領空へのアクセスを米国や外国のISR機に許可したことが重要だ。

リベットジョイントはフィンランド領空から、フィンランド湾とその周辺の防衛や軍事活動に関する情報を収集できた。この水路は、サンクトペテルブルクとバルト海を結ぶロシア海軍の艦船にとって、北海、そして大西洋に出るための唯一のリンクだ。ロシアのウクライナ侵攻に先立ち、バルチック艦隊の水陸両用艦が黒海に再配備されたのは記憶に新しい。トルコ当局はその後、どの国の艦船も黒海進入を全面的に禁止している。

この地域の他の場所での侵略の可能性への持続的な懸念のため、ヨーロッパ周辺でのロシアによる海洋行動が特に注目されている。例えば、2022年9月、バルト海の複数の天然ガスパイプラインが、いまだに原因不明の連続水中爆発で深刻な被害を受けた。意図的な攻撃の結果との見方が強いが、行為者の犯行を特定し断定する確たる証拠は今のところない。

ウクライナ以外でのロシアの攻撃的な行動、特に西側のISRプラットフォームへの反応の例として、3月14日に米空軍のMQ-9リーパー無人機がロシアのSu-27フランカー戦闘機と衝突し、黒海に墜落した。アメリカ政府関係者によると、これはフランカー2機が無人機を「無謀」で「プロフェッショナルでない」方法で迎撃した結果だという。

米空軍のリベットジョイントや、その他のISRプラットフォームによるこの種の飛行が、今後一般的になる可能性がある。

フィンランド国防軍の声明によると、フィンランド領空での同様の飛行は、将来的にも、無人機と有人機の両方で、さまざまなタイプの航空機で実施される予定とあり、飛行は、フィンランド国内の法律や規則に従い、国の指示と監督の下で行われる」とある。"

この地域でのリベットジョイントの定期的な飛行は、航空機がフィンランド国内から収集できる前述の種類の情報を考えると、特に貴重となろう。飛行追跡データが示すように、フィンランド空域に定期的にアクセスすることで、将来的にさらに幅広い任務のための新しいルートを確保できる。例えば、RC-135V/Wは、フィンランドからリトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国を貫く一つの「線」に沿い、一回の出撃で情報を収集できる。62-4131がそれをある程度実現した可能性もある。バルト海地域は、ロシアの高度な戦略、厳重な要塞、地理的に隔絶されたカリーニングラード飛び地を含み、軍事的、経済的に大きな意味を持つ地域だ。

特にフィンランドの航空情報収集能力が比較的限られているため、米国や他のNATOのISR機へアクセスを提供することは、フィンランドにとって大きな恩恵となる。シンクタンク国際戦略研究所の「The Military Balance」2016年版では、フィンランド空軍のISR能力の中心は、シギントミッション用に設定されたCASA C-295双発ターボプロップ1機だ。また、一般的な空中監視や海上監視に採用できるリアジェット35ビジネスジェットも3機保有している。

すべて、フィンランドがNATO正式加盟にますます近づいていることと一致している。フィンランドのサウリ・ニイニスト大統領は本日、必要な法律に署名し、同盟加盟への道を開いた。あとは、現加盟国が全会一致で承認するのみである。

トルコとハンガリーは、地政学的な理由から、フィンランドと隣国スウェーデンの同盟加盟を阻んできた。トルコとハンガリーの当局者は先週、フィンランドの加盟を認める方向で動くと発表したが、これは大規模交渉の末のことだった。

東部標準時午後8時10分更新:

2021年の米空軍ニュースに、同年10月15日にフィンランド上空でRC-135Wリベットジョイントが空中給油を行ったことが記載されていることが判明した。しかし、その出来事の正確な状況は不明。

今回のフライトと思われるフライトトラッキングデータは入手可能だが、フィンランド領空を通過した時間は示されていない。このフライトは、バレンツ海上での米英RC-135の比較的標準的な任務であったようだ。

2023年3月24日更新

米国欧州軍(EUCOM)は、RC-135V/Wリベットジョイントが初めてフィンランド上空を飛行したことを確認し、「フィンランドとの相互運用性を向上させ、即応性を高め、訓練機会を提供するという米国欧州軍の共通のコミットメントを示すもの」と述べている。

「フィンランド国防軍の招へいで飛行し、フィンランド、米国、NATOの間の防衛協力をさらに進めるのが目的だった」とEUCOMは、今日のプレスリリースで付け加えた。「このようなタイプの出撃は、機動戦闘コンセプトをサポートし、NATO同盟国と地域のパートナーの相互運用性を確保する地域演習への参加につながる」。

「あらゆる領域における米軍の作戦準備態勢は、パートナーシップの構築、危機対応、抑止力の提供、同盟国協力国の支援に不可欠だ。情報・監視・偵察は、米空軍の中核的な任務の一つだ」とリリースは付け加えている。「フィンランドやNATO同盟国と、ISRミッションはグローバルな警戒に不可欠であり、ダイナミックな安全保障環境で必要とされる作戦の俊敏性を可能にしている」。■


U.S. RC-135 Surveillance Jet Has Flown Unprecedented Mission Over Finland

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 23, 2023 6:19 PM

THE WAR ZONE


2022年5月17日火曜日

フィンランドのNATO加盟でロシアを取り巻く構図はこう変わる。すべてロシア自身に原因があるのに報復措置とは....

 

 


Finland

2018年10月31日、NATO演習Trident Juncture 2018の砲撃演習の前に、常備NATO 海洋集団2(SNMG2)の旗艦HNLMS De Ruyter乗員がゴールキーパー近接武器システム(CIWS)を点検している。ゴールキーパーは、高機動ミサイル、航空機、高速機動水上艦から艦船を短距離で防衛するためのシステムです。Trident Juncture 18は、NATO各国軍を訓練し、共に活動でき、全方位の脅威に対応できるようにするため立案された。Trident Juncture 18は、ノルウェーと、アイスランド、フィンランド、スウェーデンの領空を含む北大西洋とバルト海の周辺地域で開催された。31カ国約5万人が参加した同演習は、NATO演習でも最大規模のもの。250機以上の航空機、65隻の艦船、車両1万台以上が演習に参加し、空、陸、海、特殊作戦、水陸両用の訓練を実施・実行した。

フィンランドとロシアの歴史が教えてくれる - 5月12日、フィンランドのサウリ・ニーニストSauli Niinistö大統領とサナ・マリンSanna Marin首相は、NATO加盟を正式に申請すると発表した。フィンランド政府ホームページで発表した声明は、断固たる言葉で以下結んでいる。


「NATO加盟は、フィンランドの安全保障を強化する。NATOに加盟することで、フィンランドは防衛同盟全体を強化できる。フィンランドは遅滞なくNATO加盟を申請しなければならない。この決定を下すために必要な国内措置が、今後数日以内に迅速に取られることを希望する」。

声明は、ロシアのウクライナ侵攻に一切触れていないが、ヘルシンキはここ数カ月、ロシアの侵略で自国が動かされてきたと、はっきりと述べている。5月11日のボリス・ジョンソン英首相との記者会見で、ニーニスト大統領は、フィンランドの決断はロシアのプーチン大統領に責任があると述べた。

予想通り、この発言にクレムリンが素早く反応した。クレムリンは、フィンランドがNATOに加盟すれば、軍事的影響を受けると繰り返し脅してきた。クレムリンのドミトリー・ペスコフDmitry Peskov報道官は記者団に対し、「フィンランドは、EUがわが国に対してとった非友好的な措置に加わった。これには遺憾の意を喚起せずにはおられず、我々の側も相応の反応をさせてもらう」と述べた。

しかし、民主主義世界は反対の見解を示した。英国、フランス、隣国のポーランド、エストニア、リトアニアなどNATO加盟国が、フィンランドの加盟で支持を表明している。ニイニスト大統領は、発表後にウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話会談したとツイートした。「フィンランドがNATO加盟に向け歩みを進めていると伝えたところ、全面的な支持を表明してくれた」とある。

フィンランドのNATO加盟は、同盟の東側における戦略的バランスの地殻変動となる。なぜなら、ロシアはNATOと810マイル(1300キロメートル)の国境を新たに共有することになるからだ。また、サンクトペテルブルク近郊のロシア軍にNATOが近づくことになる。

NATO加盟はまた、フィンランドの歴史において、伝統的な中立姿勢に終止符を打つ点で重要な転機となる。また、フィンランドとロシアとの長年にわたる険悪な関係にも恒久的な変化がもたらされる。これまでフィンランドは、大きな隣国から侵略を受けたり、脅威にさらされてきた。

スウェーデン王国領時代から、ロシアとスウェーデンの戦争で何度もロシアの占領を受け、1809年にロシア帝国に大公国として併合されたのがフィンランドだ。その後、ロシア帝国の崩壊に伴い、1917年に独立宣言するまで、フィンランドはこの地位のままだった。

しかし、新生ソビエト連邦との関係は、友好的なものではなかった。赤軍はフィンランドの一部を頻繁に占領し、再併合は常に脅威であった。こうした緊張は1939年の冬戦争(第一次フィンランド・ソビエト戦争)で頂点に達し、第二次世界大戦が勃発の数カ月前のことであった。フィンランドは領土の一部を割譲されたが、戦車、飛行機、兵力など軍事的に優位のはずの赤軍を撃退し、現在のウクライナにおけるロシアの屈辱とよく似た結果を生んだ。その後、フィンランド政府は、1941年から1944年の継続戦争(第二次フィンランド・ソビエト戦争)において、ナチス・ドイツと同盟しソ連軍を領土から追い出すまでに至った。

5月12日の発表以前から、フィンランドのNATO加盟問題は、同国とロシアの歴史と深く結びついていた。特に2014年にロシアがクリミアを併合してから、今回の案が浮上するたびに、モスクワは現在の声明とほぼ同じ脅しを発し、毎回のようにフィンランド国境に軍隊を近づけるとしてきた。

フィンランドのロシア国境が最新の脅威の中で再び引き合いに出された。ペスコフは、「NATOの拡大は、大陸をより安定、安全にするものではない」と述べ、モスクワの反応は「NATOの拡大プロセスがどう展開されるか、軍事インフラが我方の国境にどこまで近づくか次第だろう」と述べた。

幸いにも、フィンランドはロシアとの長い国境を守るため十分な備えがある。フィンランドの防衛は西ヨーロッパ最大規模の野砲部隊で固められており、ロシアのウクライナ侵攻に先立ち、フィンランドはロッキード・マーチンのステルス戦闘機F-35ライトニングII調達でワシントンと合意し、64機を発注している。

F-35は、東欧におけるNATOの戦略的立場を変える決定的な役割を果たすはずだ。情報収集、監視、偵察能力により、ロシアのレーダーに事実上見えないまま、ロシア軍に関する情報を収集できる。また、同機は、将来の戦争に対し説得力のある抑止力にもなる。フィンランドがNATOに加盟し、同地域にF-35が存在すれば、ロシアはバルト三国への侵攻の前に考え直さざるを得なくなり、NATO同盟国から地理的に孤立した状態が大きく緩和されるだろう.

フィンランドの加盟手続きは加速される見込みで、NATO関係者によれば、2週間弱で終了する可能性があるという。NATO加盟を間もなく発表すると思われるスウェーデンも、加盟が早まるだろう。あるNATO関係者は、「今は尋常な時ではない」と説明している。■

Finland Joining NATO Is a Game Changer (And Russia's Fault) - 19FortyFive

BySarah White

 

Sarah White is a Senior Research Analyst at the Lexington Institute. Prior to joining Lexington, Sarah held internships at the Albright Stonebridge Group and the Woodrow Wilson International Center for Scholars. She earned an M.A. in Latin American Studies in 2019 from Georgetown University’s Walsh School of Foreign Service, and a B.A. in political science and Spanish from Wake Forest University in 2017. Sarah is fluent in Spanish, proficient in Portuguese, and conversational in French. She is a native of McLean, Virginia.

 

 



2021年12月13日月曜日

F-35:フィンランドも採用へ。スイスも先に採用を決定しており、ライトニングIIはヨーロッパで連戦連勝の状態へ。

 


Two U.S. Air Force F-35A fighter aircraft from Hill Air Force Base, Utah, fly in formation with two Finnish F-18 Hornets while en route to Turku, Finland on June 13, 2019. (US Air Force/ Airman 1st Class Jovante Johnson)


ィンランドの次期戦闘機選定でF-35の評点が4.47と次点の3.81に大差で採択された。


ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機がフィンラインドのHX戦闘機選定で採択され、契約規模は100億ユーロ(110億ドル)相当になる。


フィンランドはF-35A通常型離着陸仕様を合計64機導入する。近隣諸国ではノルウェイもF/A-18ホーネットの後継機種として導入している。また、機体以外に兵装類及び機体維持パッケージも導入する。


フィンランド国防相アンティ・カイコーネンAntti Kaikkonenは採択結果を伝える報道会見で「接戦だった」と述べた。


ロッキードには競合相手多数があり、ボーイングはF/A-18E/Fスーパーホーネット、ユーロファイターのタイフーン、ダッソーのラファール、さらにSaabのグリペンEがあったが、F-35が各機より優れるとの評価を得た。


フィンランド空軍司令官パシ・ヨキンネン少将 Maj. Gen. Pasi Jokinen によればF-35が全分野で最高評価点を得ており、性能評価で4.47点で、要求水準の4.0点を上回った。次点の機体は3.81点に過ぎなかったという。


フィンランドHX競合が防衛ウォッチャーの関心を集めたのは同国の調達戦略が独特なためで、フィンランドの要求内容に応えるべく参加各社は複数機種含む各種システムを提示可能としていた。例として、SaabはGlobalEye空中早期警戒機もパッケージとして提示し、ボーイングはEA-18Gグラウラー電子攻撃機も加え提案した。選定は二週間にわたる戦闘シミュレーションで幕を下ろした。


「最高の性能を有するシステムの選定が重要となり、支援要素や開発力をライフサイクルにわたり提供できるかを判断した」(カイコーネン)


「F-35はフィンランドの要求する保安体制、供給力、産業界の関与、費用の各面で合格した。軍事性能面の評価で同機は総合戦力で最高点となり、我が国の防衛力強化に役立つと評価した。同機の性能は空陸海のいずれでも最高点となった」


フィンランド向けF-35一号機は2025年に引き渡し予定で同年に旧型ホーネットの用途廃止が始まる。


ロッキード・マーティンは選定結果に早速歓迎の意思を示し、同社提案が産業界にも恩恵を与えると強調した。


「フィンランド政府により開かれた競合の結果当社のF-35が選定されたことを名誉に思います。今後はフィンランド国防軍並びにフィンランド防衛産業界と協力しF-35の納入及び維持に努めます」と同社F-35事業担当副社長ブリジット・ローダーデイルBridget Lauderdaleが声明文を発表している。


「F-35はフィンランド国内産業界にもデジタル機能による第五世代機技術及び製造の強化という効果をもたらします。同機関連の製造は20年超にわたり続き、機体維持関連の業務は2070年代まで展開します」


同社提案の産業界への優遇策として機体前方部分、一部構造部品をフィンランド等で生産し、エンジン最終組立もフィンランド軍機向けに行うとフィンランド国防省が発表している。


今年に入りF-35はこれで二件目の採択を勝ち取った。6月にスイスが同機をダッソー、ユーロファイター、ボーイングを破り採択した。契約規模は65億ドル。カナダも待望久しい戦闘機選定結果を来年早々に発表する見込みでF-35とグリペンに絞り込まれている。


各国の選定でF-35は連戦連勝だが、ドイツは例外だ。ハイエンド戦闘機材の導入財務的に可能な各国はF-35に傾いており、その他機材がことごとく敗退している。


ボーイング広報はフィンランド選定結果に失望したとしながら、スーパーホーネットとEA-18Gグラウラーの今後の採用に期待し、「両機種への国際市場の関心は大きい」とした。


Saab広報はフィンランドとは今後も緊密に協力していくとし、「今回の結果は当社の期待通りにならなかったが、Saabはきわめて強力な提案を行い、グリペンとGlobalEyeを組み合わせ、総合的なパッケージとしたほか、広範な産業界の関与を提示した」と述べている。■


Finland picks F-35 in $11B fighter battle - Breaking Defense Breaking Defense - Defense industry news, analysis and commentary

By   VALERIE INSINNA

on December 10, 2021 at 9:58 AM