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2019年2月15日金曜日

A400M拡販が進まずエアバスの現状は苦しい

エアバスからは今週に入り赤字続きのA380超大型機の生産中止のニュースも入りましたが、A400Mも巨額の赤字で回収見込みがなく、同社の脚を今後も引っ張る可能性があります。戦略級輸送機としては性能の価格が釣り合わないのでしょうね。ではC-2はどうでしょうか。ストレッチ型を開発すれば幅広いニーズに答えられそうですが、実績がないのが玉にキズです。


Airbus confident of A400M exports but says numbers may be modest A400M輸出に自信たっぷりのエアバスだが実績数字は控えめ

Gareth Jennings, London - Jane's Defence Weekly
14 February 2019

  
A400Mで30年で400機を販売すると強気だったエアバスだが最新の見通しでは100機未満の売上追加しか見込めまい状態になっている。 Source: IHS Markit/Gareth Jennings

アバスはA400M軍用輸送機の輸出に自信があるようだが、実際の販売が低迷の域を脱しないのは価格と機体完成度のためだろう。

ツールーズ本社で恒例の年次報道向け説明会に臨んだCEOトム・エンダースは2005年のマレーシア以来途絶えている新規海外受注の確保に今後も努力するとしながら同機の性能水準に相応な価格のため同社のその他小型輸送機とは違う課題だと認めた。
「A400Mの輸出は小型機とは全く違う。A400Mは原提携国計6カ国の要求内容を反映し、各国は世界の何れの国よりも洗練されている」とし、「輸出成約を楽観視しているがいきなり百機単位で売れるわけではない」

輸出実現にはエアバスとして政府の公式な後押しをフランス、英国双方から欲しいとエンダースも認める。「製品の成熟度が高く、輸出の実現は近づいている」

エアバスは計174機を受注し内訳はドイツ53機、フランス50機、スペイン27機、英国22機、トルコ10機、ベルギー8機でここにマレーシア4機が加わり、72機が引き渡し済みだ。

2018年3月にはインドネシアが2機導入の意向を確認しており、同国はエアバスの新規受注先で最も有望だ。これとは別に韓国がスペインと交渉中でスペインの余剰機材を引き受けたいとしているとの報道がある。■

2018年5月8日火曜日

今度はタイフーン戦闘機ほぼ全機が稼働できない状態。大丈夫か、ドイツの国防体制


ヨーロッパで経済がうまく行っている最右翼のドイツがこの状態ではNATOも機能しませんね。国防費のGNP比引き上げを執拗に迫るトランプ政権にたいしてドイツの新たな連立政権は自壊してしまうかもしれません。ここでも左翼が足を引っ張るということでしょうか。日本も他山の石とすべきでしょう。

Germany has a 'massive problem' that has reportedly knocked almost all of its Eurofighter Typhoon fighter jets out of commission ドイツの「大規模問題」でユーロファイター・タイフーン戦闘機ほぼ全機が供用不能状態に

May. 4, 2018, 6:23 PM
German Air Force Eurofighter Typhoon takes-off during the air policing scramble in Amari air base, Estonia, March 2, 2017. REUTERS/Ints Kalninsエストニア・アマリ基地を離陸するドイツのユーロファイター・タイフーン March 2, 2017.Thomson Reuters
  • ドイツ軍のユーロファイター・タイフーンの大部分が戦闘投入不可能の状態と伝えられる
  • ドイツ軍装備が稼働できなくなる事例はこの他にも発生している
  • ドイツ国防軍にはこの問題が付きまとっており、同国政府では国防予算増額で問題解決すべきかの議論が巻き起こっている



ドイツ空軍が解決を迫られる「大規模問題」のため128機あるユーロファイター・タイフーン戦闘機のうち戦闘投入可能なのは4機しかないとドイツのスピーゲルが5月2日に伝えている。
ドイツ技術陣は同機搭載のDASS防衛システム(防御用の警告装備)で冷却液が主翼端ポッドから漏れているのが見つかったことを危惧している。ポッドにはセンサーが内蔵されており、このの問題は半年前にはじめて見つかっていた。
問題の核心は特定部品「グリースニップル」で冷却機能そのものを司るものだ。技術陣は不良ポッドを交換したとスピーゲルが伝えているが、同部分のメーカーはオーナーが変わり、再認証が必要なため供給が間に合わないのだという。
この装備がないと同機はミッション実施が不可能だ。記事によればタイフーンでミッション出撃可能なのは10機しかないという。
ドイツ空軍のユーロファイター稼働率問題に輪をかけているのが空戦ミサイルの不足だ。このため空対空戦に投入可能なのは4機しかないとスピーゲルは報道している。
German air force Eurofighter Typhoonドイツ空軍所属ユーロファイター・タイフーンがアラスカのエイルソン空軍基地をタキシーしている。June 11, 2012.Tech Sgt. Michael Holzworth
この記事がドイツ国内の論争に火をつけた。
国防相報道官ホルガー・ニューマン大佐は自衛装備用の部品問題はあるものの空軍は要求に応じた行動は可能と述べるとともに部品問題は早期解決できるとしている。
「あと数週間数か月でこの問題は制御可能となるよう希望している」と大佐は述べながらユーロファイターで何機が稼働状態にあるのか言及を拒んだ。国防省からは供給問題で戦闘機の稼働状況に悪影響が生まれるとだけ発言があり、それ以上の説明はない。
この問題に詳しい筋によればルフトヴァッフェで稼働状態にあるユーロファイターは10機しかないとの記事を否定しつつ、各地で供用中の機体が少なくとも14機あると説明。
Germany German troops soldiers Bundeswehrドイツ陸軍部隊が空軍のエアバスA400M機にヤーゲル空軍基地で搭乗中。December 10, 2015.REUTERS/Fabian Bimmer
同機の即応状態についてのドイツ政府説明も誤解を招くものとスピーゲルにある。
ルフトヴァッフェはユーロファイター全機を飛行可能と判定しており、自衛装備が機能しない機体もここに含めていると記事は指摘。
各機は訓練用途には投入可能だがNATO作戦へは投入不可能だ。東ヨーロッパ上空の警備活動が最近展開されている。
ドイツは自国装備のユーロファイター82機をNATOの高度即応部隊(HRF)ならびに低速応部隊(FLR)に登録している。
各部隊はNATO指揮下に入る部隊でこのうちHRFの戦闘機は戦闘開始日から90日間稼働可能となる。FLRは91日から180日にかけ稼働する概念だ。
だがスピーゲルによれば現時点で作戦要請がないためドイツは現状でもNATOの求める義務を果たしていると言い訳できるとある。
「現時点ではミッションがないため装備の大部分が即応態勢にあると言える」と内部筋がスピーゲルに語っている。
装備品の不足とハードウェア問題
ドイツ軍の即応体制をめぐる問題はユーロファイターだけではない。別の機種でも問題が発生している
German air force Tornado fighter jet Ursula von der Leyenドイツ国防相ウルスラ・フォン・デアレイエンがトーネード戦闘機の前に立った。ドイツ-デンマーク国境近くのヤーゲル空軍基地を2016年8月17日に訪問した。REUTERS/Fabian Bimmer
スピーゲルが目にした報告書ではトーネード戦闘機がNATO作戦に加わることができないとあり、NATO制式敵味方識別装置の不足のためだという。
その他ドイツ空軍へ16機納入されたA400M輸送機のうち稼働可能機材な2月時点で5機しかなかった。海軍では6隻の潜水艦のうち戦闘可能な艦は一隻もなかった。フリゲート艦15隻で完全に戦闘可能なのは9隻のみだ。陸軍では戦車244両のうち稼働可能は95両しかない。
原因にドイツの国防予算が冷戦終結後に一貫して削減されてきたことがある。
ドイツ政府は2011年に非対称戦対応に本腰を入れるため部隊を削減した。以後ドイツ軍は規模縮小し、将校21千名分が欠員のままでこれも即応態勢に影を落としている。ロシアのウクライナ介入で通常戦に関心が集まり、この傾向に歯止めがかかったがそれでも廃棄した装備品の再補充が完了していない。

「ドイツは孤立する」

Germany German army soldiers troops Bundeswehr Angela Merkelドイツ軍隊員を訪問したアンヘラ・メルケル首相December 7, 2015.REUTERS/Fabian Bimmer

ドイツ国防予算は新たに誕生したアンヘラ・メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の保守連立政権で真っ先に論争の種となった。
CDUの連立相手社会民主党(SDP)出身の蔵相オラフ・ショルツが提出した2018年度の国防予算では国防省要求の半額しか予算計上しておらず、かわりに国内対策や負債追加防止策に予算を増やしている。
これに対し国防相ウルスラ・フォン・デアレイエンおよび開発相ゲール・ミューラーは書面で予算案に抗議している。フォン・デレイエン国防相はこれまでの海外展開に主眼を置く姿勢からドイツ軍の中心を国内海外の治安安全保障に移したいとの意向だ。
予算めぐる意見の衝突はCDUとSDP間の国防戦略観の違いを反映している。

「ドイツは国内問題に気をとられ孤立しつつある。SPD内の左翼がこの動きの原因だ」とドイツ外交協議会のアナリスト、クリスチャン・モーリングでDefense Newsにこう語ってくれた。■

2018年3月10日土曜日

インドネシアがA400Mの調達を決定

A400Mはいろいろトラブル続きだと分かっているのですがインドネシアがここにきてわざわざ同機を調達するとは思いませんでした。しかも2機だけというのがよくわかりません。同国の場合は兵力投射機能以前に広大な国土を抱えていますから国内輸送だけでも仕事量は十分あるのでしょうね。またマレーシアが先に導入しておりその実績を見て判断したのかもしれません。


Indonesia confirms A400M acquisition plan インドネシアがA400M調達を決定

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
08 March 2018
  
王立マレーシア空軍のA400M。インドネシアは隣国に倣い同輸送機を導入し、二機を調達する。Source: IHS Markit/Gareth Jennings

インドネシア空軍(TNI-AU)がエアバス・ディフェンス&スペースA400M輸送機の導入を決めた。
空軍の3月7日発表では二機調達し同国の東西を結ぶ物資輸送で地方政府を支援するという。大日程や調達価格の詳細は発表がない。
Jane’sはインドネシアがA400Mに関心を表明していると2017年1月に初めて伝えていた。その時点で政府と国内防衛産業筋はインドンシアが最大5機の購入を検討し調達予算として20億ドルを確保したと述べていた。その後同年4月にはエアバス側と調達をめぐる契約の準備が始まっていた
TNI-AUの固定翼機輸送部隊は近代化を迫られており、現行機材にはロッキード・マーティンC-130B/HとL-100ハーキュリーズ19機、エアバスDS-PTディルガンタラCN235(6機)、C212(7機)があるが、2000年以降にC-130は5機が墜落している。
A400Mはペイロード37トンだ。インドネシアはでは国内の貨物輸送に投入するが同機は軍用仕様で各種軍事装備も輸送可能だ。■

2018年3月8日木曜日

★A400Mに苦しむエアバスがついに年間生産数削減の調整策行使に追い込まれた

これ、事業としては破綻している気がするのですが誇り高いヨーロッパの皆さんは事実を認められないようですね。2030年代にやっと全機そろったところで初期機体はすでに耐用年数が残り少なくなったり、性能が時代遅れになったりして運用が大変そうですね。何でもかんでもヨーロッパで、という思想がこの結果です。民生部門でも失敗が隠せなくなるのではないでしょうか。そこで単純にC-2の商機が増えると思えませんがチャンスは広がりそうですね。



Airbus to slash A400M assembly rate エアバスがA400M生産数を削減

Asset Image
Airbus Defence & Space
07 MARCH, 2018
SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
BY: CRAIG HOYLE
LONDON


エアバスはA400M戦術輸送機の最終組み立て機数を大幅削減し、2017年の年間19機が2020年にわずか8機になる。
「生産調整で2020年から年間8機体制に移行します。2018年は15機、2019年は11機とします」と同社は発表。「この生産調整はローンチカスタマー各国との協議に基づくもの」とし、防衛宇宙事業部が「別途輸出営業を続ける」としている。
エアバスはヨーロッパ7か国のアトラス導入国と2月はじめに意向確認書を取り交わし、合計170機の受注分の見直しで合意できている。これをうけて同社は「巨額財務負担」の緩和を狙い、生産遅延と戦術性能の後付け搭載に対応する。
新生産計画は3月7日に発表され、エアバス・ディフェンス&スペースは受注174機のうち2019年に80機納入を達成し唯一の海外発注国マレーシア向け納入も含む。年間生産数を8機に減らし、受注残分の生産を12年間かけて完了する。そのため生産は2030年代初めまで続く。
A400Mでの生産変更の案内と並行してエアバス民生機部門はA380年間生産数も2020年から6機に減らすと発表した。二つの措置でフランス、ドイツ、スペイン、英国で計3,700名分の雇用が影響を受ける。

「エアバスとして最善の生産管理で製品完成が順調に進むよう努力していきます。「今回の生産調整の決定により顧客、サプライチェーン全体や当社従業員に今後の状況がわかりやすくなります」と同社は発表。■

2018年2月2日金曜日

★フランスがC-130Jを導入した理由。また、ドイツとの共同運用構想の中身。A400Mはどうするのか。

軍の運用がいよいよ単独ではなく国の枠を超えた形になってきました。これができるのはヨーロッパだけなのでしょうか。そうは思えません。



New French C-130J Not A Blow To Europe’s A400M

フランスのC-130J導入はヨーロッパ大でのA400M導入に水を差すものではない


フランス向けC-130J-30一号機受領式
 

By MURIELLE DELAPORTE on January 31, 2018 at 6:05 PM


編集人より フランス軍やNATOはじめヨーロッパの防衛問題全般をムリエル・デラポルテが記事にしてくれることになった。デラポルテはフランスの戦略や装備導入に詳しく、ワシントンとパリを往復しながらフランス語防衛専門誌Opérationnelsで編集長をしている。
「われら二国はともに最良の成果を追い求め、自由を希求し共通の意思と行動を追い求めている。C-130Jはその体現だ」フランス国防相フローレンス・パルリ、1月19日オルレアン-ビシー航空基地にて
ランス国内の観点では米国製軍用輸送機を新たに導入することは異例な事態に見える。A400Mの失敗を認めるからだ。だが今回のC-130J導入で仏独共同部隊が2021年にエヴロAFBに設置することなり、マグロン大統領とメルケル首相のめざす真のヨーロッパ防衛体制の夢の実現に一歩近づくことになる。
The A400M in low speed tests
 またフランス市場で最短の軍事装備調達になった。FMS契約からC-130J-30初号機の納入までわずか二年間というのは記録となった。C-130J-30初号機は昨年12月にロッキード・マーティンのマリエッタ工場(ジョージア)で引き渡されていた。
 契約では機材支援、予備部品、二年間保守管理遺体に米国内での10か月パイロットとロードマスター訓練も含む。特にロードマスター訓練が重要だ。
 今回の実現を築いたのは前仏防衛相ジャン-イブ・ル・ドリアンとドイツ国防相ウルスラ・フォン・デア・レイアンが2016年4月に取り交わした合意で、その後仏独二国間協力合意が軍部間で2017年10月に取り交わされた。内容は両国で部隊を合同運用し経費を負担するものだ。フランスはC-130J4機を2019年までに調達し、ドイツも同年までに同型機6機を導入する。IOC初期作戦能力獲得は2021年、FOC完全作戦能力獲得は2024年予定。
 経費負担は50百万ユーロ(61百万ドル)でそれぞれスタートし、エブロで新型機運用に必要なインフラの構築にとりかかった。ドイツ側人員が規模未定だが同基地に到着後に機材整備支援にも広げる。
 フランス国内でのドイツ軍隊員の展開はこれが初めてではなくタイガーヘリコプター乗員養成で仏独陸軍航空要員養成スクールが南仏にあるが、今回は機材の共有を超えたねらいがある。訓練にとどまらず両国混成の乗務員による共同運用をめざす。
 両国の軍組織にはそれぞれの経緯があり以前ならこのような構想は冷笑されるのが関の山だったが、二つのトレンドから構想が実現度を高めている。
  • 欧州空輸司令部(EATC)がアインドホーヴェンに2010年に設置され実績を上げている。C-130で各国が飛行時間を融通する制度で参加国が増えてきた。
  • A400Mをめぐりフランス、ドイツ間で経費分担が進み、飛行乗員の訓練がフランスで、補給支援や整備員訓練がドイツで行われている。
 A400Mがフルに機能を発揮する段階になる中でC-130Jでかつてのトランザール(C-160)の精神が復活するかが見どころだ。トランザールはフランス-ドイツ共同開発で1959年にはじまり、名称はドイツ語の“TRANSporter ALLianz” とフランス語“TRANSporteur ALLiance”からとったものだ。C-130J導入の理由もトランザールがドイツで2021年、フランスで2023年にそれぞれ退役するためだ。
 ただし両国がC-130J-30を今回採用した理由はほかにもある。
 フランス空軍では同機を以下のミッションに投入するとしている。
  • CSAR、TRAP、人質・災害退避、救難.
  • 兵力投射、空輸、海外展開
  • 補給、退避、人員物資の投下、地上給油
 KC-130Jが加わればフランス軍のヘリコプターも空中給油を米国の助けを借りずに実行できるようになる。A400Mでこの機能を期待されていたがまだ実現できない。

れぞれ長所がある機材が複数型式あれば軍事作戦上有利になり、厳しい条件での要求にこたえやすくなる。フランス空軍はサハラ-サヘル地区でここ数年作戦を展開しており、シリアやイラクでも対ゲリラ戦に従事している。A400Mならオルレアンからチャドまで30トンを6時間で搬送できるが、C-130H-30では7トン8時間だ。C-130J-30は10.5トンを7時間で運べる。■

2017年6月20日火曜日

A400Mの進展で評価が分かれる独仏当局


A400Mの実用化も時間がかかっていますね。思い起こせば当ブログの最初の記事が同機開発の難航の話題でしたから相当の時間がかかっているわけです。これならC-17を買っておいた方が安かったと思うのですがヨーロッパには別の考え方があるのですね。C-2もまだトラブルがあるようですので他山の石とするべきでしょう。

ShowNews

French Air Force Happy With Airbus A400M Progress

フランス空軍はエアバスA400Mの進展ぶりに満足

Jun 19, 2017Thierry Dubois | ShowNews

A. Jeuland/French Air Force

  1. エアバスA400Mの運用能力整備の進展ぶり、さらに納期の遵守を見て、フランス空軍が同機事業を好意的にとらえている。
  2. 「同機の進展を肯定的にとらえている」(アンドレ・ラナタ参謀総長)とし、11機調達したうち6機の稼働状況に満足している。残る5機は通常点検あるいは初期作戦能力獲得のため改修中。エアバスは2016年末までに6機納入の公約を守った。今年上半期の納入も予定通り進めている。
  3. 今年末には9機が稼働可能となる。ラナタ参謀総長は今後も納期通りの引き渡しを期待し、2018年末には15機がそろうとする。最終的には50機になる。
  4. ドイツ空軍はそこまで同機を買っていない。ドイツはA400Mの稼働率、戦術性能不足で不満を感じている。パワーギアボックス(PGB)問題で納入遅れが発生し、飛行運用も影響を受けた。ラナタ参謀総長は緊急対策を有効と見ているが、恒久措置は未確立で今年後半に登場する見込みだ。2016年はPGB問題が戦術能力整備の脚を引っ張った。
  5. フランス空軍は同機の性能をフルに引き出そうとし輸送業務の在り方を変えようとしている。NH90多用途ヘリをマリまで搬送し、同日中にフランスへ戻れる戦略意義を示した。さらにフランス曲技飛行チーム「パトルイユ・ド・フランス」に一機が随行し米国内を回り、50名と貨物25トンを運んだ。小型低速のC-160トランザールなら四機必要だった。機体に信頼度があるのでイラクに着陸できたと空軍報道官は述べている。
  6. 戦術輸送機として未整備滑走路を利用でき、後部ランプから貨物・兵員を投下し、電子妨害にも対抗できる。
  7. ただし完全作戦能力(FOC)が成立していないのは電子対抗措置装置が未整備なことが大きい。現在の性能は要求水準に足りずロシア製地対空ミサイルへの対抗で弱いままだ。
  8. またヘリコプターへの空中給油能力が未完成だ。エアバスがこの実用化をできない場合、「C-130Jを追加調達する」と空軍報道官は言う。フランスはロッキード・マーティンC-130Jに回転翼機用空中給油能力を付与し4機発注中で、2017年から19年にかけ受領する。
  9. さらにFOCへの道を閉ざしている要素が空中投下だ。落下傘兵が機体側部のドア両方から同時に脱出できず強襲作戦の効果を減らしている。機体後方の乱気流が大きく、落下傘兵が空中衝突する可能性がある。
  10. IOC、FOCとは別にフランス空軍はエンジン制御標準化の克服も目指している。ソフトウェアで回転数を一定にするとラトナ参謀総長は述べ、乗員が機材を乗り換えても同じ標準で運用できるようにしたいとする。「現状はきわめて面倒」という。そのため機材内でエンジン制御の標準化が必要だとする。これができないと最新のソフトウェアに慣れた乗員で初期仕様機体の操縦で支障が生まれるという。
  11. エアバスはエアバスヘリコプターCEOギローム・フォーリ(フランス人)をエアバスグループのフランス政府担当に任命した。■

2016年5月2日月曜日

★★A400M>エンジンギアボックス問題で深刻な遅延が発生している模様



この機体も相当当初の日程から遅れて費用もかさんでいるようですが、C-17を導入したほうが安上がりだったのでは。それをマレーシアが導入するというのはどういうことなんでしょう。日本も人のことは言っておられず、C-2の開発で苦労していますね。
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Airbus Reports A400M Engine Gearbox Problems Will Cause Delays

Pierre Tran, Defense News 10:32 a.m. EDT April 28, 2016
635817516142734637-DFN-France-A400Mx(Photo: Airbus Defence)
PARIS — エアバスが巨額の財政損失に見舞われそうだ。A400M軍用輸送機のエンジンギアボックス問題が原因だと同社は4月28日に明らかにした。
  1. 「A400Mの生産引き渡しで深刻な問題があり、エンジンプロペラのギアボックスで新たに予想外の問題が発生したためだ」とエアバスグループのCEOトム・エンダースが第一四半期営業報告で述べた。「面倒だが解決方法をエンジンメーカーと探っていく」
  2. エアバスはギアボックスの補修費用は「相当な金額」になるとみている。
  3. 「補修費用は完了時に上乗せするが、現時点で設計、技術、営業で全体像が見えず、費用面で大きな影響が出そうだとしか言えない」と同社は伝えている。
  4. 同社発表では50億ユーロ(57億ドル)がこの問題で費用に上乗せされる可能性があるとする。
  5. 解決方法の模索が進行中だと同社は発表。発注元と交渉も継続中で、引き渡し日程が変更となる。
  6. A400MのエンジンメーカーはスペインITP、ドイツMTU、ロールスロイスとサフランの共同事業体だ。ギアボックスのメーカーはジェネラルエレクトリックのイタリア子会社アヴィオエアロ。
  7. エアバスグループの営業利益は5.01億ユーロと前年の6.51億ユーロから減少しているが、売り上げも211億ユーロが122億ユーロになっている。年間全体の見込みは民間商用機の納入により年末にかけてキャッシュフローと利益双方が安定してくると同社は見ている。
  8. A400Mのローンチカスタマーのベルギー、英国、フランス、ドイツ、ルクセンブルグ、スペイン、トルコの各国はここにマレーシアも含め同機を購入する予定だ。引き渡しの新日程はヨーロッパ調達機関OCCARを通じて現在交渉中である。■>



2015年10月6日火曜日

★★C-17後の軍用輸送機の展望はこうだ






なるほどC-17がなくなるとA400M以外に選択肢がなくなるわけですね。そうなるとわが方のC-2では開発遅れや機体強度不足による貨物搭載量の低下が恨めしいですね。もしC-2Bとでも言うべき強化改良型が生まれれば、今後30年に渡り生産が続けられるのではないでしょうか。米国としてもC-2の存在に注目しているのでは。

Opinion: After the C-17, A Tier Of Choices

Oct 5, 2015 Richard Aboulafia | Aviation Week & Space Technology

数カ月するとボーイングはC-17輸送機の最終号機を納入する。同機事業で特筆すべきは同機が全く新しい需要を作り出し、戦略輸送機の輸出が実現したことだ。
  1. 英空軍(RAF)がC-17を四機受領したのは2001年だったが、それ以前に米国以外で西側製軍事輸送機を導入した国はあったがショート・ベルファーストが機体サイズの上限だった。例外的にソ連製輸送機を導入したインドやリビアがあったが「友好」価格での調達であり、大型輸送機といえば米空軍あるいはソ連軍だけが運用していた。それ以外の各国はC-130あるいは小型ターボプロップ機を使っていた。
  2. ただしRAFのC-17導入から二年たつとNATO加盟7カ国がエアバスA400Mを立ち上げた。C-17の貨物搭載量に及ばないが、戦略的な飛行距離を実現する。また日本も旧式C-1の後継機種としてずっと大型の川崎重工C-2の導入を決めた。C-2は来年から就役する予定で、日本は44機を調達する。同機はA400Mとほぼ同じサイズで同様に戦略級航続距離を有する。
  3. だが驚くべきことはRAF向けC-17販売に続き、ボーイングが47機を輸出したことだ。その背景には同社がC-17を訴求力のある価格で強力な顧客支援体制とともに提示したことがある。
  4. こうして軍用輸送機の市場が出現したことの意味は大きい。米、ロを除く輸送機市場の総需要はずっと年間10億ドル未満で受注の多くがロッキード・マーティンC-130Jで構成されていた。しかし、今年は60億ドル規模になり、納入機数も5年間確実に増えている。
  5. 2013年9月にボーイングは通算223号のC-17を米空軍向け最終号機として納入し、生産ラインは2015年で閉鎖すると発表している。その時点で22機の生産予定があり、うち13機は買い手がついていなかった。その後、この13機は1機除き購入先を確保した。直近ではカタールが当初の購入規模4機を倍増する発注をパリ航空ショー会場で表明した。
  6. C-17生産ライン閉鎖の決定はつらいものだっただろう。ひとつには市場が急拡大しており、同機でも受注追加が期待されていた。戦略級軍用輸送機の導入予定がある数か国のうち、サウジアラビアは10機ないし15機を買うと見られていた。一時はアルジェリアも同機を真剣に検討しているとの噂さえあった。.
  7. また現行ユーザーにも追加購入の兆候があった。8月にはインド空軍がC-17を3機追加導入すると述べたが、その時点で残った機体は一機だけだった。ただ米空軍や海外運用国の要求により、使用済み機体の再販売は認められない。つまり、ボーイングが仮に生産ラインを半年ほど維持しても数機しか売りさばけなかったのではないか。
  1. だがライン閉鎖を後押しした要因は他にもある。ボーイングはロングビーチ工場を閉鎖することができ、同地の資産価値は相当ある。またC-17最終号機はかつては航空業界の中心だったカリフォーニア州で生産される最後のジェット機にもなる。
  2. もう一つの問題はA400Mだ。エアバスは同機の海外営業に精を出しているが、お膝元の二国ドイツとスペインが運用中の26機を再販売しようとしている。販売価格は相当低くなるはずで、それだけボーイングの立場が困難になる。
  3. そもそもボーイングがライン閉鎖を決めた最大の理由は米国内でこれ以上の受注が望めないためだった。当初は米空軍の追加発注までのつなぎとして海外向けに販売し、C-17Bの提案までしていた。だが米空軍は220機のC-17と51機のエンジン換装C-5M体制を今後25年ないし30年維持するとしている。確かに海外販売は順調だが、ライン維持には規模が足りず、もっても1年ないし3年維持できるかどうかだった。
  4. C-17後の国際軍用輸送機市場は分化するだろう。戦術輸送機の候補としてエアバスC-295、アレニアC-27Jがある。戦域レベルの輸送機にはC-130Jならびにエンブラエルの新型KC-390があり、後者は2018年末に就役する。ただし戦略級輸送機を求める向きにはA400Mしかない。ただし、川崎重工がC-2輸出に踏み切れば話は変わる。
  5. もし戦争あるいは緊急事態が発生すれば、米空軍には戦略輸送能力の拡大が必要になるが、代替機開発の予算も時間的余裕もないので、A400Mを買わざるを得ないというバツの悪い立場に追いやられるかもしれない。■

2014年7月17日木曜日

軍用輸送機でアメリカ製独占は終わったのか。欧州勢がんばる

Europe Leaving U.S. In Military Transport Dust

European airframers gain ground as airlifter market shifts to newer models
Jul 14, 2014Tony Osborne | Aviation Week & Space Technology
Sales Swing
.
ヨーロッパの軍用輸送機メーカー各社の輸出が好調で世界シェアも上がってきた。
  1. このうちエアバス・ディフェンスアンドスペース Airbus Defense and Space によると2014年上半期の中型輸送機市場で受注の大部分は同社が獲得したという。ロッキード・マーティンC-130Jハーキュリーズ含む既存機種の受注が失速しているのは各国政府がA400Mに関心を示しているためとし、マレーシア(2005年)以降成約がない同機の輸出に期待している。
  2. そこで同社は輸出仕様を開発しており、「ITAR(武器国際取引規則)に準拠」とし、通信機材から暗号化機能を取り外し、同様に精密な軍用GPS航法も省いている。
  3. エアバスはA400M生産のピッチを上げており、今年は11機引き渡す予定だ。
  4. エアバスはC295受注も2014年だけで20機確定しており、新型C295W(ウィングレット付き)の型式証明確保に向け作業中だ。W型は航続距離が9%伸び、4トン搭載で2,500 nmになり燃料消費も6.5%改善される。 
  5. 中型輸送機の需要がのびる背景に各国が多用途能力を求める動きがあり、オマーンはC295の海洋監視型を発注し、ヨルダンではC295をガンシップに改装する案がある。イタリアではC-27JをMC-27J情報収集監視偵察機材に改装する。またガンシップ改装案もある。
  6. 今年はC-27Jにまだ受注がないが、メーカーのアレニア・アエルマッキAlenia Aermacchi  はペルー、オーストラリア向けに生産をしており、今年は米特殊作戦軍団と沿岸警備隊向けに各納入する。.
  7. ロッキード・マーティンのC-130J受注が伸び悩んでいる。韓国やイスラエル向けの引き渡しがあったものの、新規受注は低調だが、同社は悠然としている。一定のシェアがあり、受注残も相当残っている。
  8. ただし同社は民間向けの機体改造で型式証明を狙い、LM-100JとしてL-100を導入済みの買い替え需要に期待している。
  9. ボーイングはC-17グローブマスターの生産を終了させようとしている。うち12機は買い取り先が未定だが、インドが発注済み10機の上乗せとして6機を、サウジアラビアも買い増しを表明している。10機のC-17 にFAA機体登録をしており、今後の販売をにらんでいる。
  10. エンブラエルはKC-390試作機を組み立て中で、ブラジル軍から28機受注をうけたところだ。同機は 旧型C-130の後継機種となる。KC-390の初飛行は2015年末の予定で、ブラジル空軍での供用開始は2016年となる。エンブラエルには合計32機のの導入意思表示がアルゼンチン、チリ、コロンビア、チェコ共和国、ボルトガルから寄せられている。■
.コメント なるほど米国製の大型機よりも小型機を各用途に合わせ改装し運用するのは国防予算が厳しい各国の事情があるのでしょうね。その中でC-2の開発にてこずる日本は特異な存在なのでしょうか。C-1に政治的な制約から性能をあえて犠牲にした反動がC-2なのでしょうが、開発がここまで手こずるとは想定外なのでしょうね。C-1の後継機でSTOLかつ省燃費の機体があったら意外に各国の関心を呼んでいたのでは。ところで、米海軍のC-2と自衛隊のC-2は今後どう区別していくのでしょうか。興味深いところですね。