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2024年11月1日金曜日

秘密に包まれたスペースプレーンX-37Bが軌道変更技術を試した理由(Breaking Defense)

 X-37B aerobrakes

地球大気の抵抗を利用したエアロブレーキングを行うX-37Bの想像図。 (ボーイングスペース社提供) 




米宇宙司令部は、疑わしい衛星を出し抜けるように米軍の宇宙機や人工衛星で燃料を消費しない「持続的な」操縦を含む「動的な宇宙作戦」を可能にする新技術を切望してきた


宙軍のX-37B実験スペースプレーンは、余分なペイロードを運ぶサービスモジュールを安全に放出するために、一連の「斬新なマヌーバ」を開始しようとしている。 

 X-37B軌道試験機(OTV-7)は、エアロブレーキと呼ばれる斬新なマヌーバを開始した。

 エアロブレーキングは、地球の大気の抵抗を利用して宇宙船を減速させ、推進エンジンの噴射に頼ることなく、より低い軌道に移動させるもので、要するに、低軌道を達成するために螺旋状の一連の軌道を作る。 

 宇宙軍のリリースによると、この操作は「宇宙船が最小限の燃料を消費しながら軌道を変更することを可能にする」という。 

 X-37B(OTV-7)は、2023年12月28日に高度楕円軌道(HEO)に打ち上げられ、「新しい軌道体制での再使用可能なスペースプレーンの運用、将来の宇宙領域認識技術の実験、NASAから提供された材料への放射線の影響の調査」など、多くのテストを実施した。以前のミッションは、地球低軌道(LEO)で行われた。 

 「エアロブレーキが完了すると、X-37Bはテストと実験の目的を達成するまで再開する」(宇宙軍)。 

 マヌーバの具体的な軌道について尋ねられた宇宙軍の広報担当者は、詳細の説明を避けた。 

 しかし、安全に軌道を離脱させるためには、サービスモジュールをLEOの十分低い高度に設置し、抵抗によって最終的に地球の大気圏に落下させる必要がある。 

 現在の米国のデブリ軽減基準では、低軌道上の廃宇宙船は25年以内に軌道離脱する場所に設置されることになっているが、連邦通信委員会はその期間を5年に短縮するよう企業に求めている。 

 また、エアロブレーキによって、スペースプレーンはHEOから安定したLEOまで効率よく移動し、X-37Bの後部に取り付けられているサービスモジュールを射出することができる。 

 その後、モジュールは大気圏で燃え尽きる。 

 前回のミッションでは、この再使用型スペースプレーンは、安全に着陸するための軌道離脱マヌーバを開始する際に、単にモジュールを放出しただけだった。 

 このように、スペースプレーンの最近の活動で新しい要素となっているのは操縦である。 

 X-37Bによるこの世界初のマヌーバは、米宇宙軍にとって、この困難な領域で遂行するための我々の適性と能力を拡大しようとする上で、信じられないほど重要なマイルストーンである。 NATOは、同盟国の戦闘に対する国家的な宇宙貢献を定義することを推奨している NATOの計画理事会は、紛争で使用するために同盟国のコンセンサスを必要とする攻撃的能力を含む国家的な貢献について検討するために、宇宙活動のための戦争ゲームを作成している。 By Theresa Hitchens 


 米宇宙司令部は、米軍の宇宙船や衛星が敵対する疑わしい衛星を出し抜けるように、燃料を消費しない「持続的な」操縦を含む「動的な宇宙作戦」を可能にする新技術を切望している。 国防総省は2006年にNASAからX-37B計画を引き継いで以来、X-37Bの任務、能力、軌道上の居場所について口を閉ざしてきたが同無人スペースプレーンは、軌道上の武装プラットフォームではないかとの憶測を受けてきた。 

 セキュアワールド財団の最新報告書「Global Counterpace Capabilities」[PDF]によると、この憶測は近年、2023年10月に公開された宇宙軍初の公式図によって煽られた。図には、「未来の迎撃機」としか表現されていない軍用宇宙機が敵の衛星と交戦する準備をしている様子が描かれていた。当時、宇宙軍はこの図はあくまでもアーティストの想像によるものだと述べていた。 

 エアロブレーキングのような低コストのマニューバーは、敵衛星に接近するための一つの方法かもしれない。 

 X-37Bプログラムは2010年以来、空軍迅速能力局によって管理されてきたが、現在は宇宙軍のデルタ9が軌道上運用の監督を担当している。 同軍のウェブサイトによると、デルタ9は「保護・防衛作戦を実施し、軌道上の脅威を抑止し、必要な場合には撃退するための対応オプションを国家決定当局に提供」し、「軌道上戦争」に備えてガーディアンを準備しているとある。■


Secretive space plane X-37B to test ‘first of a kind’ maneuvers for shifting orbits

US Space Command has been clamoring for new technology to enable "dynamic space operations," which include "sustained" maneuvering that doesn't eat up fuel to allow US military spacecraft and satellites to outrun suspect adversary satellites — or potentially be able to chase those suspect birds down both to assess any threats and possibly take action to neutralize them. 

By   Theresa Hitchens

on October 10, 2024 at 5:02 PM


https://breakingdefense.com/2024/10/secretive-space-plane-x-37b-to-test-first-of-a-kind-maneuvers-for-shifting-orbits/



2023年6月24日土曜日

インドがアルテミス協定に調印した意義。アルテミス協定は月だけでなく、火星さらに小惑星帯も視野に入れ、将来の宇宙資源採掘も想定した多国間協定だ。

 


Official State Visit Of Indian Prime Minister Modi To The U.S.

2023年6月22日、ワシントンDCのホワイトハウスの執務室で会談するジョー・バイデン米大統領(右)とインドのナレンドラ・モディ首相。(写真:Anna Moneymaker/Getty Images)



インドがアルテミス協定に調印、中国との宇宙開発競争で米国との関係強化か 


インドによるアルテミス協定遵守は、中国の民間・軍事宇宙活動の拡大と、国際舞台でのソフト・パワーとしての宇宙利用への対抗を支援するために同盟国を結集しようとする米国の努力を後押しするものである。



ワシントン -月、火星、潜在的に鉱物資源の豊富な小惑星の探査と開発のための規範を設定するアルテミス協定Artemis Accordsに インドが署名した。

 「インドが協定署名することは、協定とアルテミス計画にとって変革の瞬間である」と、協定の交渉の多くを担当した元NASA職員のマイク・ゴールドはブレイキング・ディフェンスに語った。

 今回の署名は、インドのナレンドラ・モディ首相とジョー・バイデン米大統領が本日午後の記者会見で正式発表した。この協定は、水曜日に始まったモディによる初のワシントン公式訪問で結ばれた協定の一部だ。

 「アルテミス協定への参加が決定したことで、両国は宇宙協力で大きな飛躍を遂げた。インドとアメリカのパートナーシップにとって、空さえも限界ではない」とモディは語った。

 モディはバイデンと今朝会談し、明日は国家宇宙会議の議長を務めるカマラ・ハリス副大統領と、軍事宇宙活動に関する国際行動規範の確立をバイデン政権が主導するアントニー・ブリンケン国務長官との昼食会に出席する。

 特に、ニューデリーがこの協定を遵守することは、中国による民間および軍事宇宙活動の拡大や、国際舞台でのソフト・パワーの手段としての宇宙利用に対抗するため、同盟国を結集させたいアメリカの努力を後押しするものだと、政府関係者や専門家は述べている。インドは長い間、中国を地政学上の重要なライバルとみなしてきた。例えば、2007年には米国、オーストラリア、日本とともに、通称「四極安全保障対話(Quad)」に参加した。

 インドがアルテミス協定に署名したことは、「クアドのようなプラットフォームの中でインドができることを前進させるものです。以前のクアド声明では、クアドパートナーは宇宙空間のための世界的なルールの面で互いに協力するとしていましたが、これはインドがクアド声明で署名した立場を具体的に行動に移したものです」と、ニューデリーにあるオブザーバー・リサーチャー財団の安全保障・戦略・技術センターのラジェスワリ・ピライ・ラジャゴパラン所長は電子メールで説明した。

 セキュアワールド財団のワシントン事務所長であるビクトリア・サムソンは、この動きは「中国ではなく、アメリカの月へのアプローチへの一歩であり、意義深い」と述べた。「宇宙は長く、ソフトパワーのアウトリーチとして利用されてきたが、率直に言って、中国は最近その点で優れている。アルテミス協定は、アメリカによるソフトパワーの働きかけの一形態でもある」。

 インドも中国同様に宇宙での実力とパワーの強化を急いでおり、軍備を増強し、野心的な民間探査計画を打ち出している。インドは対衛星ミサイルの実験を行った国の小さなクラブに属しており、2019年にプリブティ弾道ミサイルの改良版で試験衛星を破壊したミッション・シャクリットで、アメリカ、ロシア、中国に加わった。

 「インドはすでに月と火星の探査を進めている。したがって、インドが協定の原則にコミットすることは、全人類が享受できる宇宙における平和で透明性のある協力的な未来というアルテミスのビジョンの達成に向けた重要な前進だ」とゴールは述べた。

 ニューデリーは長い間、アメリカやロシアとの宇宙政策上の強い結びつきを避け軍民双方の宇宙開発努力で独立性を堅持していることで有名だった。

 「これは大変な進展だ!インドは長い間、自らを地政学的なライバル関係に対する重要な対抗軸と見なしてきた」(サムソン)。

 さらに、インドは国際宇宙政策を具体化する自発的な協定を警戒し、代わりに世界の宇宙活動を管理する国際法の制定を支持している。例えば、ニューデリーは長年、ジュネーブ軍縮会議で、宇宙の兵器化を防ぐため法的拘束力のある条約を交渉するよう主張してきた。

 インドのタクシャシラ研究所のアナリストで、防衛・宇宙技術・政策を研究するプラナフ・サティヤナートは、「アルテミス協定への署名は、インドが国際宇宙条約や交渉を管理してきた方法と一線を画すものであり、実に大きな意味を持つ」とツイートした。「インドは、民間および軍事関連の宇宙活動の両方について、法的拘束力のある文書を明確に好んでいる」。

 インドがこの協定に署名し27カ国目となったが、米国政府関係者は、各国が軌道上の不動産(月の周辺を含む二重星雲空間)や、将来的には水や戦略的鉱物などの資源へのアクセスをめぐって奔走する中で、宇宙における将来の紛争の可能性を減らすワシントンの包括的戦略における重要な要素であると考えている。

 エクアドルは水曜日、同国大使館での調印式で、同協定に署名した。

 「インドとエクアドルは共に、アルテミス協定の幅広さを示している。アルテミス協定は、世界の多様性と、平和のうちに星へ果敢に向かう決意を燃料としている」とゴールドは語った。■



India signs Artemis Accords, tightening ties with US in space race with China: Sources - Breaking Defense

By   THERESA HITCHENS

on June 22, 2023 at 12:39 PM


2022年8月26日金曜日

宇宙で主導権を中国に奪われそうな中、危機感を訴え、改革を提唱する米報告書に注目

 


2005年12月5日、北京での展示会で、中国の「英雄宇宙飛行士」フェイ・ジュンロンとニー・ハイシェンが神舟6号で着用した宇宙服に感嘆する来場者。 (Photo credit STR/AFP via Getty Images)



報告書は、産業界、専門家、国防総省の関係者が参加したワークショップに基づき、各国の枠を越えた人類の宇宙進出をリードする米国の「北極星」ビジョンの促進をめざしている



国防総省の国防革新部門DIUが主催した宇宙産業基盤ワークショップの最新版報告書によれば、2045年までに宇宙開発の主導権で中国は米国を追い越す「軌道に乗った」状態とある。

 ここまで悲観的な見解の理由として、米国政府と産業界に共通の「緊急性の欠如」と、官僚的な環境「規制の負担によって米国の商業的進歩を遅らせている」ことがあると、報告書「宇宙産業基盤の現状:持続可能性、繁栄、地球のための新たな宇宙レースを勝ち抜く」は述べている。

 「米国が投資を増やさなければ、中国は宇宙の優位性において米国を追い越す可能性がある」と、DIUのディレクター、マイケル・ブラウンは、2022年報告書を発表する大西洋評議会主催のイベントで水曜日に述べた。

 報告書は、毎年開催されているワークショップの第4弾で、今年は国防総省や情報機関を含む350人以上の産業界代表者や政府関係者が参加した。報告書の著者は国防総省の現役職員だあ、報告書は公式文書ではないと明示しており、同報告書で表明された見解は国防総省や米国政府の公式な方針を示すものではない。

 報告書の著者は、DIU の Space Portfolio Director であるスティーブン「バッキー」ブトウ Steven "Bucky" Butow、宇宙軍トップ、ジェイ・レイモンド大将Jay Raymondの補佐官ジョン・オルソン少将 Maj. Gen. John Olson、空軍の Space Acquisition and Integration Office で Space Architecture, Science and Technology の Director である エリック・フェルト大佐Eric Felt、空軍研究本部 (AFRL) 宇宙装備局Space Vehicles Directorate で 主任科学者のトーマス・クーリー Thomas Cooley だ。編集は、米国外交政策評議会の主任研究員ピーター・ギャレットソンPeter Garretsonが担当した。全員が将来の拡大宇宙経済における「覇権主義」的な中国に対して、より積極的なアプローチを米国政府に提唱していることで知られている。

 同ワークショップと報告書の目的は、参加者が考える、地球外への人類の宇宙進出をリードするアメリカの「北極星」“North Star”ビジョンを推進することであることは、報告書そのもので明らかだ。

 参加者は、米国の経済リーダーシップを維持し、地球を保護し、国益を守るための永続的なビジョンとして、「経済発展と人間居住」を支持する、と報告書は述べている。「説得力があり、包括的で、明確に打ち出された北極星ビジョンは、議論の余地のない 宇宙のリーダーとして米国が存続するためのタイムラインを持ち、経済・産業、連合、軍事、情報、技術といった 国力のあらゆる手段に関わり、自由と繁栄を促す地上と同様の戦略に織り込まれなければならな い。

 報告書では、宇宙は「資源と機会に恵まれた経済領域」であるが、潜在力をフルに発揮するために必要なインフラが未整備だ、と主張する。しかし、宇宙の経済的機会は「先発者が大きく優位となる」のである。

 今年のワークショップの焦点は、アメリカの宇宙経済が、最終的にアメリカが支配する太陽系というビジョンにつながる最先端活動を含むよう進化するスピードにあった。報告書はこう説明している。

 2022年の宇宙産業基盤の現状ワークショップでは、主に1つの質問に焦点を当てた。「われわれは、あるべき進歩を遂げているのか、もしそうでないなら、なぜそうではないのか?進歩していると信じる人々にとって、続く質問は、『私たちは十分に速く進んでいるのか?』で、一貫して答えは「ノー」で、参加者の大多数が『切迫感を持って動いていない』と答えている。『危機感とは何か』との問いに対し、大西洋評議会を含む多くの専門家は、現在のままだと、米国は2032年までに宇宙の優位性を失うかもしれないと主張している」。

 中国の急速な宇宙進出の指標として、ランドコーポレーションのProject Air Forceによる2022年報告書で、軍事関連の特許数で中国が米国を追い越した(下図)とわかったと、ワークショップ報告書は指摘している。

2022 RAND report on Chinese industrial base, comparative military patents with US

 報告書では、米国の商業宇宙部門は「驚異的な成長」を遂げており、宇宙関連の新興企業へのベンチャーキャピタルの投資も相当な規模であると認識している。しかし、ワークショップ参加者は、「サプライチェーン問題、インフレ、労働力問題は、宇宙の経済的な実行可能性を脅かし、また、強力な国家安全保障の宇宙態勢を維持する能力も脅かす」と懸念している。

 また、米国政府による明確で一貫した投資の欠如や、特に国防総省における商業的な革新の促進に関する問題により、宇宙産業の発展が妨げられていると報告書は指摘している。

 報告書は、米国政府全体、特に国防総省において、投資を行うに際して政策やプロセスの障害が多数あると指摘している。

 「現代の宇宙時代の特徴となっているアジャイルなエンジニアリング生態系は、米国の政策と官僚機構内の調達慣行が国家宇宙戦略と整合していない、あるいは逆行しているため危険にさらされている」と、報告書は述べている。「国防総省は、米国と同盟国の戦闘員のために、商業的に調達された能力を迅速に取得し、構成するためのプロセスを必要としている」。

 さらに報告書は、ワークショップ参加者が将来の宇宙経済の鍵となると考えた技術分野、すなわち打ち上げサービス、ハイブリッド宇宙通信、宇宙輸送と物流、次世代電力(宇宙太陽光発電を含む)、リモートセンシング、交通管理について、現在の米国の能力を 評価し、開発を早めるため勧告している。

 また、宇宙システム開発に対する米国政府の政策、宇宙開発への資金調達のプロセス、宇宙労働力の状況、STEM教育についてもレビューしている。

 報告書は要旨の中で、「宇宙における戦略的競争は依然として最重要課題である。 中国が米国との技術格差の縮小を加速しているにもかかわらず、国力のすべての手段において、我が国の宇宙空間でのリーダーシップを維持するため積極対策が前広に必要である」としている。■


China sprinting ahead as a space power while US lacks ‘urgency,’ new report frets

By   THERESA HITCHENS

on August 25, 2022 at 12:02 PM



2021年3月13日土曜日

着実に進む日本と米国の宇宙空間安全保障協力....米宇宙軍、宇宙司令部との連携はここまで来ている

米ペイロードを日本の準天頂衛星で2回にわたり打上げる合意書に内閣府宇宙開発戦略推進事務局が署名する歴史的瞬間が生まれた。


本がフランス、ドイツに続き宇宙軍との連携を公認された。


「SPACECOMは日本との連携で合意書を取り交わす」と宇宙軍報道官が2021年3月21日認めた。


宇宙作戦部長ジェイ・レイモンド大将は日本を同軍の多国間連携事業に加える方針を2月の議会公聴会で表明していた。


「ヴァンデンバーグAFBの多国間宇宙連携室を強化し、ドイツ、フランス、英国の連絡官の常駐で政策及びTTP(戦術、技術、手順)の調整を図っている」「同室の業務拡大として日本、イタリア、南朝鮮を次に加えたい」


多国間宇宙連携室はSPACECOMの連合宇宙作戦センター(CSpOC)と別組織だが同じヴァンデンバーグAFB内に設置されている。CSpOCにはファイブアイズ対象国のオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国が米国関係者も米衛星運用を見守り、脅威対象のブリーフィングにも立ち会う。多国間連携部門はそれより軽度の機密情報を扱い、ファイブアイズ並の機密アクセスが認められない同盟国も加わることができる。


SPACECOMトップのジェイムズ・ディキンソン陸軍大将は多国間協力のネットワーク構築に前向きで、各国連絡官の常駐もめざす。


宇宙軍も国際協力へ焦点をあわせ、特にインド太平洋地区で中国の宇宙進出を警戒している。「ここ数年で各国との協力体制を大幅強化し、フランス、ドイツ、日本に加え大韓民国への拡大をめざしている」(宇宙軍作戦次長DT・トンプソン大将)


「世界各地で米国単独の実行はありえない。宇宙空間も同じだ」とニーナ・M・アーマニョ中将(宇宙軍幕僚長)が昨日発言していた。「宇宙でも同盟関係を構築することが宇宙軍の業務遂行に不可欠だ」


米国は日本と宇宙空間の状況認識能力拡充で協力を進めている。日本は米国製の宇宙状況認識 (SSA) センサーを搭載する準天頂衛星システム(QZSS)を静止軌道に打ち上げ、中国軍の宇宙活動へ監視を強める。


昨年12月宇宙軍は宇宙ミサイルシステムズセンター作成の光学センサーペイロードを日本の衛星に搭載し、種子島宇宙センターから2023年、2024年と連続打ち上げする正式合意を発表していた。


「宇宙ドメインでの状況認識能力向上は両国の宇宙協力を進める一歩に過ぎない」と空軍次官(国際分野)ケリー・シーボルトが報道会見で述べている。「今回の合意をもとに宇宙分野での協力を信頼が高い同盟国日本と進める」■


この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください


SPACECOM To Tighten Ties To Japan

By   THERESA HITCHENS

on March 12, 2021 at 2:54 PM

https://breakingdefense.com/2021/03/spacecom-to-tighten-ties-to-japan/?_ga=2.33145150.1089004909.1615598621-1283241457.1614466581

2021年1月15日金曜日

米宇宙軍が国家情報機関コミュニティに正式加盟。宇宙空間をISRで最優先ドメインと認知するあらわれ。

 


米宇宙軍のロゴが合同打ち上げアライアンス(ULA)のアトラスVロケット側面に加えられた。Cape Canaveral Air Force Station, Florida. (United Launch Alliance)


宇宙軍の情報部門が1月8日をもって米情報機関コミュニティ(IC)の正式な一員になった。

「宇宙軍、情報機関コミュニティ、さらに国家安全保障に寄与すべく宇宙情報活動、使用機材、協力体制を一歩向上させるべくアクションをとった」と宇宙軍作戦部長ジョン・レイモンド大将が発表した。▼「大きな一歩となり、宇宙空間の確保、アクセスに尽力する米国の真剣な姿勢のあらわれだ。各方面と連携し、宇宙軍さらに我が国はあらゆる脅威に優位性を維持していく」▼在コロラド州ピーターソン空軍基地のスペースデルタ7が宇宙軍で情報収集監視偵察(ISR)任務にあたる。▼新規組織がICに加わるのは2006年の麻薬取締局の国家安全保障部門以来となり、ICに加わるDoD関連組織はこれで9になった。

「本日の追加で国防情報エンタープライズに宇宙軍が加わり、戦闘の全ドメインで我が国の情報活動が調整、同期化可能となる」と情報保安体制担当の国防次官代行エズラ・コーヘンが述べている。

国家情報長官(DNI)ジョン・ラトクリフは「宇宙関連情報及び情報活動の共有でICおよびDoDは統合効果、調整効果を発揮し、情報活動を最適化し、各ミッションの効果も最大化できる」と述べ、「今回の進展情報活動、軍事活動での優先ドメインとしては宇宙空間の重要性を裏付けした格好だが、加えて共同作戦体制や将来の能力開発や運用さらに真の意味での戦略警戒態勢をグローバル規模で拡充する」とした。

ラトクリフが暗示したのは宇宙軍をICに加盟させる決定は12月の国家宇宙協議会で決まり、DNIが実現に尽力したことだ。▼また宇宙空間は「優先情報収集ドメイン」と新しい国家宇宙政策で宣言された。▼2020年はじめにDNIは宇宙空間での脅威への対抗措置に予算を計上するよう各情報機関に求めていた。▼この予算規模は非公開情報だが、ラトクリフは大規模投資と述べている。

DNIは国家宇宙情報センターを宇宙軍との協力で新設し、宇宙関連情報活動のニーズに答えようとしている。▼「センターが発足すれば宇宙関連脅威に関する科学技術情報が類を見ない規模で利用可能となり、宇宙軍の情報活動の中心にもなるはず」とラトクリフは述べている。


この記事は以下を再構成したものです。

Space Force joins the intelligence community

Nathan Strout


2016年5月14日土曜日

次の戦争はどんな姿になるのだろうか 今わかっていること


Aviationweekの創刊100周年エッセイの一環ですが、二人の著者は中国による米ハイテク奇襲攻撃スリラーGhost Fleetの著者ですので、内容もその方向になっています。戦争を計画する側は前回の戦争のイメージにとらわれ結局事態に追いつけなくなるそうですが、果たして次に全面戦争が勃発すればどうなりますか。心してご一読ください。


Aviation Week & Space Technology

The Next 100 Years: P.W. Singer and August Cole

What We Know Now About the Wars of the Future
May 5, 2016Aviation Week & Space Technology

将来の戦争は偶発的に始まるかもしれない。例えばパイロットが無茶な操縦をして別の機体に衝突し、単なる事故だったものが怒りに変わり戦火につながるかもしれない。あるいは危機状態が限界に達し、新政策もしくは新しく造成した島が問題となり同盟国も巻き込んだ大国同士の戦争になるかもしれない。あるいは新世界秩序の構築のため強くなった経済力、軍事力を活かそうとするかもしれない。
未来の戦闘の原因や進展は予測が難しいが、確実なこともある。空がカギを握りそうだ。ただし米国がこれまで経験したことのない形になりそうだ。米国が制空権確保に苦労した最後の経験で空軍は陸軍航空隊の名称だった。米地上部隊が空爆を受けた直近の事例はラオスに展開した部隊が北ヴィエトナムがソ連のアントノフ貨物機を爆撃に転用した機体から爆弾を受けたものだった。ドッグファイトがあった最後の年に生まれた子供がそろそろ軍務についてもおかしくない年齢になっている。
将来の戦争では空の戦いが重要になるとしても、航空機多数で航空優勢の確保を狙う国家が相手となるか、非国家勢力がこれまで誰も経験したことのない方法で空に進出を狙ってくるかは不明だ。後者は現実のものになっている。イラクシリア戦では紛争当事者双方が無人航空機システム(UAS)を投入している。現地での米軍作戦の成否はUASによる目標補足と攻撃能力にかかっている。イラク軍も中国製UASを使い、自称イスラム国でさえ民生用ドローンを情報収集監視偵察用に使っているほどで、一昔前の正規国家では考えられない能力が現実のものになっている。
未来の戦争は多方面での戦いとなるが、開戦は想定外の場ではじまりそうだ。1914年にはドイツ歩兵がベルギーになだれ込み、1941年には九九艦爆が真珠湾に急降下爆撃をしかけ、「衝撃と畏怖」作戦ではバグダッドに巡航ミサイルがさく裂したが、次の戦争の開始は音もなく始まりそうだ。その理由として第一回目の対戦は低地球周回軌道の真空あるいはサイバー空間が舞台になりそうだからだ。それぞれの場所での結果は決定的な効果を生みそうで、現代アメリカの戦闘行為がその両方の場所に依存し、妨害破壊活動に脆弱な場所になっているためだ。
将来の戦争では長い間優勢だった技術優位性も消えるだろう。多くの国家が第五世代戦闘ジェット機やプレデターのような無人機の導入を急ぐのは戦闘の在り方そのものが変わってきたためだ。将来の航空戦で勝敗を決めるのはその前に発生するサイバー空間での対決の結果であり、主要米航空宇宙産業で発生しているデータ強奪が特に大きな意味を持つ。自国の研究開発成果が相手国にも筒抜けでは軍備競争に勝つのは極めて困難だろう。
だが指導層が現状維持を守り通そうとする際に敵側が単にこちらの技術を盗みコピーしていると考えるのは都合がよすぎる。ワシントンDC在住の既存防衛産業からは満足できず、国防総省はシリコンヴァレーに色目を使い、民生部門の技術革新と同様の変化を期待している。反対に中国の政府と民生分野の研究陣は連携して各種の画期的な国産技術を開発しており、例として重慶の長安自動車 Changan Automobile Co.は自動運転車を開発中で2,000キロの運転を達成しており、世界最速スーパーコンピュータ天河-2 Tianhe-2 もある。
こういった技術が戦闘の様相だけでなく戦闘員や技能も変えるだろう。サイバー空間での戦いでは以前は存在さえしなかった軍の組織、にわか集めのサイバー戦闘員、ハッカー集団も参画するはずだ。かわりにF-22パイロットでさえも戦場のデータ管理者の役目を担い、もはやかつての戦闘機エースの片りんは見つけられない。さらに人工知能がSF小説の世界から抜け出し、すべてを制御する存在として台頭してくるはずで、すでにIBMのワトソンではペンタゴンも契約をしている。
どんな変化が生まれるにせよ、将来の戦争ではAviation Weekが100年にわたり丁寧に報じてきた過去の経験もやはり有効だとわかるはずだ。技術がいかに進歩しようと、戦争の本質は人間で、戦争の原因も進展も人間が作るものだ。戦争につきものの状況が見えない事態はやはり残るし、初回交戦の結果で以前の想定条件は変わらざるを得なくなる。敵側も学び実力を上げてくるし、お互いのOODA(観察予想決定行動)のサイクルを意識するはずだ。また革新、組織化、実施面で優れた方が勝利を収めるはずだ。■

オーガスト・コールとP.W.シンガーはともに国家安全保障の専門家で小説Ghost Fleetを共著している。同作品では第三次世界大戦の開戦模様と戦闘に用いられるはずの各技術を描写している。

2015年4月28日火曜日

★日米防衛新ガイドラインは予想以上に多面的かつ画期的



ガイドラインの改定で国内報道は近隣同盟国(韓国、オーストラリア等)への対応などを中心にややバランスを欠いた記事の構成になっていませんか。本稿ではそれとはちがう視点(米国防高官=?)の発言を引用する形で広範囲の話題をコンパクトにまとめていますのでご紹介します。

US, Japan Strike New Military Agreement

By Aaron Mehta and Paul Kallender-Umezu 4:43 p.m. EDT April 27, 2015
WASHINGTON and TOKYO — 日米両国が新しい防衛協力改訂に月曜日合意した。日本の防衛面でのプレゼンスを世界規模にひろげ、サイバー、宇宙、産業分野で二国協力を強化するとの内容だと米国防関係高官が明かした。
  1. 新日米防衛ガイドラインは月曜日ニューヨークシティで日米間の外交、防衛トップによる2+2協議で合意された。
  2. 上記米国防高官は合意書署名に先立ち記者団に内容を話し、合意内容は日本を米国の軍事上のパートナーとして世界規模で再定義する意味があり「非常に大きな出来事」と評した。
  3. 日本は攻撃を受けた域内の同盟国を防衛することができるようになる。米国に向けて発射されたミサイルを日本のミサイル防衛で迎撃できることも意味し、上記高官は北朝鮮が地域安定度ヘの「脅威度を高めている」と評した。
  4. さらに日本が世界規模で平和維持活動や人道救助活動を展開すること、さらに情報収集・監視・偵察活動(ISR)の強化が見込まれる。
  5. 新ガイドラインは常設の「同盟間調整メカニズム」 ”alliance coordination mechanism" の創設を謳い、日米の防衛・外交関係者で構成するとしている。この機関が日米の作戦活動を調整・統制することが期待される。過去に同様の機能がなく防衛関係が進まなかった経緯がある。
【日本の観点】
  1. 各論は今後両国で詰めるが、まずガイドラインを日本の国会で審議可決する必要がある。障害はほとんど見られず順調に進展するだろう。
  2. 政策研究大学院大学の道下徳成教授は新ガイドラインは日本の安全保障を強固にする基盤と見ており、攻撃を受けた日本を救援する責任が米国にあることが前提とする。
  3. 2014年を通じ日本側関係者から異口同音のように日本が紛争に巻き込まれることへの警戒心と反撥する国内感情があると主張していた。日本と直接関係しない他国の紛争に巻き込まれることを警戒していると道下は説明する。
  4. 日本の観点とは世界は言うまでもなく地域内でも力を露骨に誇示する国には関わりたくないというものと道下は説明する。集団的安全保障に道を開く立法措置が今後生まれるが、妨害や制約を受けている。同様に新ガイドラインは米艦船を日本が守るための白紙小切手とは見られていない。
【中国】
  1. 今回のガイドラインは安倍内閣が昨夏示した日本の防衛での変更点をあらためて盛り込んだものだ。東アジアでの安全保障面の課題への対応を重要視しており、とくに中国による軍事外交面での挑戦を意識している。
  2. この点で日米両国は中国の台頭をいかに封じ込めるかで広範な合意形成ができており、今回の改訂でも重要課題と位置づけている。そこで中国や北朝鮮が今回の合意形成を歓迎することはない。両国とも兵力投射能力の拡大につながると見るのは必至であるが、新ガイドラインでは特定の国名は表記していないと上記高官は説明している。
  3. また上記高官によればガイドラインのあらましは中国側に説明済みで、今週も詳細なブリーフィングを行うという。ただし高官は新ガイドラインに中国がどう反応しているかの説明は避けた。
  4. 明治大学国際総合研究所の客員研究員奥村準によれば中国の対日姿勢はこの数カ月で厳しさが減っている。
  5. 「ここに来て日本に対する発言で中国にソフトさが出てきたのは経済の理由だけではない」と奥村は言い、新ガイドラインで同盟関係の「基礎重要部分」が強化されると見る。
  6. ただし日本が一夜にして軍事大国に変容すると期待しないよう釘を指している。
  7. 逆に奥村は「情報活動の共同作業の日常化」に焦点が当たることへ期待している。情報収集衛星の相互利用や南シナ海での共同パトロール、さらに防衛装備の研究開発を想定している。
【宇宙空間】
  1. 上記米国防高官も宇宙とサイバーを協力拡大の二大分野だと強調していた。日本の宇宙におけるプレゼンスは着実に増えており、今年早々に新宇宙利用10ヶ年計画が完成している。
  2. 上記米高官は宇宙空間状況認識データの共有拡大が新ガイドラインで示されていると注意喚起している。宇宙空間が一層混雑していく中で米国は地球を周回する物体の追跡能力、同盟各国とデータを共有する能力に重きを置いている。
  3. 「日米両国はこの分野で優れた能力を有しており、情報共有を拡大したい」と高官は述べている。
  4. 両国間で情報の流れが太くなるのか、日本も米空軍の合同宇宙オペレーションズセンター(米、英国、カナダ、オーストラリアが参加中)に加わるのかは不明。
【産業協力】
  1. 米高官は米国内産業も両国関係の強化で恩恵を多方面で受けるはずと語った。
  2. 「ガイドラインでは日米協力を共同開発、共同生産、軍事技術の共有で進めるとの条項があり、ぜひこれは進めたい」
  3. 高官は米国防総省の改革案の下でペンタゴンの調達業務改革も進み、海外同盟国との産業協力を拡大させる動きがあると指摘。
  4. 「この点は日本側と特に協議したい点だ」
  5. 日米間の軍事技術連携はすでに強固だが、日本がF-35共用打撃戦闘機の導入を決めたてさらに強くなった。
【ISR】
  1. ただ日本のグローバルナプレゼンスが増えれば防衛装備拡充の必要性も大きくなるはずで、特に日本がISR分野を世界規模で行うことになる場合で顕著になろう。日本はグローバルホーク無人機導入を決定済みだが、導入規模を拡大するかもしれない。あるいは低高度飛行ISR機材としてMQ-1プレデターやMQ-9リーパーの増設を決めるかもしれない。
【ミサイル防衛】
  1. 米高官はミサイル防衛も重要視しており、迎撃ミサイルシステムの追加もありえる。その場合艦上発射型か陸上発射型のどちらになるかまだ不明。■


2014年2月9日日曜日

宇宙依存度が高い米国防体制は中国との軍事衝突で脆弱性を示すのか 専門家の知見に耳を傾ける米下院



U.S. Dependence on Space Assets Could be a Liability in a Conflict with China

USNI News By: John Grady
Published: January 29, 2014 10:28 AM
Updated: January 29, 2014 10:28 AM
Launch of Atlas V MUOS-2, July 19, 2013
from Cape Canaveral AFS. US Navy Photo


米国は宇宙空間で「サイバー空間と同程度」の課題に直面していると下院審議会の委員長が中国の宇宙での進展を念頭に発言した。また宇宙で米中両国が「長期間にわたる競争」に入っていることを認めている。
  1. 下院軍事委員会海洋力・兵力投射小委員会委員長のランディ・フォーブス議員(共・ヴァージニア . Randy Forbes (R-Va.)からスティムソンセンターの研究員マイケル・クレポンsenior Stimson Center associate Michael Krepon に米国の弱点は何かとの質問が出た。クレプトンからは「事実を無視することはできません。衛星は探知されてしまいます」
  2. さらに軍用民生双方で「中国の宇宙依存度は米国よりも低い」ことが次の論点だとカーネギー国際平和財団の主任研究員アシュレイ・テリス Ashley Tellis, senior associate at the Carnegie Endowment for International Peace が指摘した。
  3. エアリスアナリティックス社長ロバート・バターワースRobert Butterworth, president of Aries Analytics Inc.,からは「高エネルギー兵器などを衛星に使った場合の効果は不明」と発言あり、中国はこの分野に資金を投入する可能性があるという。
  4. 中国が2007年に軌道上でテストを実施して以来、デブリ問題が注目を集めており、敵衛星の破壊は自国の軌道上の機材も危険になることが浮き彫りとなったが、中国は直撃による破壊方法から「ソフトキル」や「視力破壊」といった非対称形式のアプローチに切り替えているとテリスは発言している。
  5. 上記三名の専門家は合衆国による今より水準の高い「宇宙用状況認識」能力開発の必要性で同じ意見であり、各種の軌道高度においてこれを実現し、攻撃を早く探知し、攻撃を仕掛けたのが誰かを特定すべきだという。バターワースは軍事衝突の際には米国の指揮命令通信網は防御された衛星システム以外に防御のない衛星にも依存しているためこれが弱点となると指摘。
  6. クレポンは「この問題では大事なのは」攻撃の発生源だという。テリスも「軍事衝突でストレスを受けるシステムもあり、攻撃の属性をはっきりさせる」べきだが、短時間でこれを実現するのは困難だという。
  7. その問題意識でクレポンは各国は「米国は各国の措置に対応できる能力を保有して」おり、このために米国にどの国に対しても優越性があるという。
  8. 開戦となれば、損傷被害が大、あるいは性能を発揮できなくなった衛星の代替手段を迅速に利用可能にすることが課題だ。テリスは米国の衛星システムは性能重視のあまり機数が少なすぎるという。「代替衛星を軌道に乗せるには時間がかかりすぎます。現状では衛星製作と軌道への運搬に予算上の問題が発生しています」
  9. 今後の展望として、軍事宇宙予算が削減対象になっていることから、バターワースは「「すごい大金」が新機軸の性能実現に必要であり、今後も軍事技術上の優位性を維持するためには「設計を根本から見直す」必要があるという。
  10. 核抑止力なら潜在的の敵の目の前に配置できるが、クレポンは「宇宙抑止力は多くが暗示的な存在ですが、敵対行動が結果をすぐ生む点が違う」という。
  11. そこで各国間で条約は無理としても「行動規範」を作り、宇宙空間上の行為を規制し、中国軍部民間関係者と宇宙関連の対話を実現することをクレポンは提唱。これは冷戦時代に前例がある。中国では軍部と民生で宇宙利用を軍主導とするか外交効果を重視するかで路線対立が生じているとクレポンは指摘する。■