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2022年10月15日土曜日

太平洋航空作戦で必要となる給油能力の確保にむけ、迅速に準備を進めるAMC。ACE構想とは。変革を加速化する米各軍。

 


AMCとPACAFによれば燃料貯蔵、空中給油双方の懸念事項を克服できたという。

アムのアンダーセン空軍基地の珊瑚礁台地に、錆びついた白い燃料貯蔵タンクが点在している。グアム港から26マイルのパイプラインで送り込まれたジェット燃料が、6600万ガロンという空軍最大の容量を誇るタンクを満たしている。航空隊員がグアムを「太平洋のガソリンスタンド」と呼ぶ所以である。

ハワイ・オアフ島のパール・ハーバー・ヒッカム統合基地周辺には、2億5000万ガロンの燃料が地下と地上の大型タンクに貯蔵され、深緑のハワイの山々を前に白く光っている。

膨大な量の燃料だ。しかし、専門家によれば、太平洋での空中給油には十分ではない。

国防アナリストは、空軍が空中給油機保有を減らす計画を立てており、太平洋の燃料貯蔵能力の不足も加わり、米軍の即応体制にリスクをもたらすと懸念している。米国が中国との戦争に直面した場合、航空機動軍団(AMC)の需要を満たせなくなると心配している。

太平洋の移動には燃料が不可欠で、燃料は空中で確保しなければならないPACAF司令官 ケネス・ウィルスバック大将

ハドソン研究所の報告書では、2025年度までにKC-10エクステンダー48機が退役すると、潜在需要に対しタンカー能力が13%不足するとある。さらに、空軍は2023年度に13機のKC-135ストラトタンカーを退役させる予定だ。一方、新型KC-46ペガサスは、リモートビジョンシステム(RVS)の不具合を解消する作業が完了していない。空軍は2022年6月17日現在で同型機を61機保有している。2023年10月1日までに14機を追加保有する見込みだ。2025年10月1日までに合計119機のKC-46の納入を想定している。

フランク・ケンドール空軍長官は「Divest to Invest」戦略を推進し、将来の能力に資金を充てるため、有用性が低く、運用コストが高い機材を手放すとしている。

2021年9月現在、空軍のタンカーは、KC-135(392機)、KC-10(50機)、KC-46(48機)の計490機となっている。2019年国防権限法では、最低479機のタンカーを求められている。しかし、ケンドールは455機まで減らしたい考えで、2023年度承認法案の下院版では、空軍に466機保有を認めている。

航空機動軍団では、これまでの研究で、給油能力の限界は燃料運搬能力や積載率ではなく、利用可能な給油機数で決まると認めている。

KC-46は約 212,000 ポンドの燃料を、KC-135 は 199,000 ポンド、KC-10 は 356,000 ポンドの燃料を搭載できる。AMCは、この議論を「空中のブーム」対「空中のガス」議論と呼ぶ。

AMCは声明で、「戦闘時に利用できるタンカーの総数は、機種に関係なく、戦闘能力の主な推進要因だ」と述べている。「KC-46が(完全な運用能力)に達すれば、現行機種よりも有能なタンカーになると言われている」。

AMCは、空軍が完全な運用能力を宣言し、KC-46Aを要求に完全に対応させるためには、RVSと「Stiff Boom」として知られるブーム・テレスコープ・アクチュエーターの再設計で修正が必要と述べている。現在のボーイングのスケジュールでは、この2つのアップグレードはFY24に提供されるとある。

いずれにせよ、AMC は、ICR がタンカー不足を解消し、455 機のタンカーは、TRANSCOM の日常業務レベルおよび戦時需要に対応するのに十分な能力を提供すると考えている。


ハワイのパールハーバー・ヒッカム基地近くにある海軍のレッドヒル地下燃料貯蔵施設のような貯蔵施設は、インド太平洋地域での燃料アクセスを確保するため重要だ。 Daniel Mayberry/USN

簡単な解決策がある。 燃料貯蔵所の増設だ

ティモシー・A・ウォルトンTimothy A. Waltonは、ハドソン研究所で空中給油の研究を2021年11月に共同執筆し、太平洋でリスクが高まっていると結論付けた。

「中国のような大国に直面した場合、おそらく479機ま以上が必要になる」と、ウォルトンは6月にAir Force Magazineに語った。「地理的、時間的に戦力分散するために、タンカー多数が必要だ。455機まで減らすのが賢明なのか、空軍で非常に難しい判断になる」と語った。

ウォルトンは、KC-46のクリアランス率が90%以上となる最新分析で、給油機ギャップが減少すると見ている。

「より大きな問題は、455機まで削減する空軍提案だ」と言う。「関係シナリオでは479機でも大きな能力ギャップが生まれると思われ、455機で高いサージレートを維持するため乗務員を増やしても、さらなる減少が問題となる」と述べた。

ウォルトンは、2023年度予算はこの問題を追及していないと述べた。

「最新の予算要求では、インド太平洋全域で遠距離作戦の支援能力への強化で、態勢や空中給油部隊の大きな変化は見られない」と述べた。「インド太平洋での態勢を進化させ、より弾力的なものにする必要があります」。

ウォルトンは、燃料の大量貯蔵が容量不足の緩和策として最良と見ている。「燃料貯蔵の流通態勢を弾力的にする変化がDODに必要だ」と説明している。

3月には、ハワイのレッドヒル地下施設の老朽化とメンテナンス不良で燃料漏れが発生し、DODは同施設の利用中止を決定し、問題はさらに深刻になった。

「別のものにシフトする必要がある」とウォルトンは言う。「レッドヒルより容量は小さくても、多数地点に分散した硬化型地下燃料貯蔵施設が必要だ。また、海上タンカーの事前配置で浮遊式ガソリンスタンドとして機能させ、戦域全体に燃料を輸送する必要もある」。


AMCの展開概念演習22-06で、KC-46Aペガサスのブームオペレーター、マーク・ハード技術曹長が飛行前点検を行った。演習は、マルチドメイン環境における戦力統合と共同訓練に焦点を当て、実戦的な熟練度と即応性の構築をねらった。 Master Sgt. John Gordinier

国防総省は、太平洋の燃料貯蔵は陸上と洋上で補うとしているが、今回失われた地上貯蔵能力を代替するスケジュールは示していない。

2023年度に空軍はグアムの北隣、北マリアナ諸島の米領テニアンに地上燃料貯蔵所を増設する軍事建設予算を要求している。国防兵站庁は、オーストラリアのダーウィンに国防燃料支援ポイントを増設する。いずれの施設も地上配置で非強化型となる。

「マリアナ諸島や、自由連合協定加盟国との第二列島線全域で態勢を強化するため、迅速に実行できる選択肢は数多くあります」と、ウォルトンは南太平洋のミクロネシア、マーシャル諸島、パラオを指して言った。「空中の空白を埋めるため必要不可欠です」。

太平洋のACE

ボーイングの新型機KC-46のブームオペレーターは、機体後部にうつ伏せで背後を見るのではなく、ダイヤルやスイッチ、ジョイスティックが並ぶコントロールステーションに正座してブームを誘導する。リモートビジョンシステムと特殊な3Dメガネでブームを被給油機まで誘導する。

7月にニューヨーク州北部での空中給油コースを飛行中、ニュージャージー州マクガイア・ディックス・レイクハースト統合基地の第305航空機動団第2空中給油飛行隊のブームオペレーターは、特定の時間帯に太陽で生じる影やウォッシュアウトのため、プラグ前の最終段階がはっきりと見えないことがあると報告した。

ブームオペレーターは、F-16のような小型戦闘機と、大型機の両方でこの問題が発生していると述べている。

1080ピクセルの白黒メインスクリーンが映し出す3D映像の奥行き感の歪みも、正確な給油を困難にしている。またブームオペレーターがカメラを切り替えると、ブームと受信機の映像が一瞬消えるブラックアウトが発生している。空軍は、受信機がブームから50フィート以内にある間、ブームオペレーターが「シーン」と呼ばれるカメラビューを切り替えるのを制限している。つまり、ブームオペレーターがシーンを切り替え、照明条件に合わせ見やすい視覚ディスプレイに切り替えるには、受信機を後進に戻す、または50フィートでリセットして再接近しなければならない。

経験豊富なブームオペレーターによると、給油の遅れは5分から30分以上に及ぶという。

RVS問題はボーイングの自社負担で修正中だが、遅延がタンカー不足の原因となっている。RVS2.0の納期はまだ決まっていない。

空軍に20年勤務し、Booz Allen Hamiltonの上級副社長を務めるレックス・ジョーダンRex Jordanは、戦闘機への円滑な給油がアメリカの太平洋抑止戦略で必要不可欠だと語る。

「第5世代戦闘機への燃料補給は、太平洋での成功の鍵だ」と、ジョーダンは言う。空軍退役前に大統領飛行支援部隊のチーフだったジョーダンは、太平洋を分散して活動する空軍の機動的戦闘展開(ACE)戦略の前提は空中給油だと述べた。

「F-35とF-22が展開の中心で、展開には空中給油能力が必要だ」とホノルルからビデオ会議で語った。「そのため、投資と処分で生じるギャップで、PACAF司令官ウィルスバック大将などがギャップを埋めることに関心を持っている」。

5月の時点で、KC-46は97%の機種への任務をクリアしているが、戦闘運用に至っていない。

AFAのミッチェル航空宇宙研究所所長で、2003年から2005年までPACAFの航空宇宙作戦部長を務めたデビッド・A・デプトゥーラ退役中将Retired Lt. Gen. David A. Deptulaは、空中給油が大きな課題だと言う。

「南シナ海で紛争が発生した場合、米空軍のタンカー部隊を全機投入して支援することになる。それ以外の地域はどうなるんでしょうか」。

我々はかなり良い状態にある

太平洋空軍と航空機動軍団の首脳部は、ヒッカムのPACAF本部で幕僚レベルの会議を行い、いかなる需要にも対応できるようにすると確認した。

ケネス・S・ウィルスバック太平洋空軍司令官Pacific Air Forces Commander Gen. Kenneth S. Wilsbachは、6月9日にハワイで行われたAir Force Magazineのインタビューで、「タンカーについてはかなり良い状態にある」と述べていた。

「空中給油は、兵力の前方投射を可能にしており、ガス欠で不時着陸を迫られる事態はない。タンカーはとても良好な状態だ」。

ウィルスバック大将は、3月のAFA Warfare Symposiumで、さらに詳しく説明していた。

「太平洋を移動するには燃料が必要で、燃料は空中で必要となる。敵はタンカーや指揮統制機に長距離キルチェーンを展開しようとしているので、タンカーを利用可能にしつつ、防御が必要だ」と述べた。

Air Force Magazineがまとめた過去データをみると、空軍で給油機478機体制を下回ったことはない。

過去 10 年間、毎日運用するタンカー機数は、定常状態の 200機から急増作戦時の250機の間で推移している。空軍の広報担当者は、「タンカー455機のでUSTRANSCOMが要求する毎日の量に対応できます」と付け加えた。

KC-46が大多数の統合軍機材向け給油を承認された今、「余分な旧型タンカー」は不要になった、と同報道官は述べている。

「太平洋での戦争は必然的に未知の挑戦となるが、部隊を近代化し、互角戦力を有する相手との戦闘に準備するため、今はリスクを一定量受け入れている」と、同報道官は付け加えた。

AMCのホープ・R・クローニン少佐Major Hope R. Croninは、KC-46は戦闘任務にまだ投入できないものの、第5世代戦闘機に制約なしで使用されていると述べた。「F-35とF-22の全機種にKC-46が定期的に給油が可能であり、実際に行っている」。

KC-46がAMCの給油ギャップを埋める

2021年10月5日、イリノイ州スコット空軍基地の静かな部屋で、マイク・ミニハン中将(当時) then-Lt. Gen. Mike Minihanは、チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア空軍参謀長と話をした。ブラウンは空軍参謀長就任前にPACAF司令官、ミニハンは韓国で2回、米インド太平洋軍で2回、PACAFスタッフとして1回勤務し、ともに太平洋地域で幅広く活動してきた。

ブラウンは、空軍が太平洋地域で課題を迅速に克服する必要があると認識していた。PACAF司令官としてACE構想の実現を促し、太平洋での給油の課題にも敏感だった。同日、ミニハンに4つ星を与え、航空機動軍団司令官の権限を与えたのは、太平洋の課題を克服するためだった。

「ブラウン将軍に昇進される5分前、式典に向かう前の静かな部屋で、『もっと速く』と言われた」と、ミニハン大将は7月のAir Force Magazineの電話インタビューで振り返っている。

「この仕事に就けたのは、太平洋での経験のおかげです。中国や北朝鮮の問題解決に携わった経験が、この機会を与えてくれた。距離の遠さも十分に理解していますが、各司令部での異なる視点での経験もかなり積んでいます」。

AMCの指揮を執り10ヶ月、ミニハンは太平洋戦域における指揮統制、航法、火器管制、テンポといった能力ギャップを追及してきた。すべては、中国との戦闘で空軍を支援するタンカーの配備を向上するためだ。

ミニハン大将は、タンカー機材更新プログラムの加速はできないが、3分野をコントロールできる。

  • 戦術、技術、手順(TTPs)の変更

  • リスクをより多く負う

  • すでに存在する価値を希求する

同大将が提案の解決策には、すでに大きな批判を浴びているものもある。「パイロット・プラス・ワン」と呼ばれる新コンセプトは、パイロット1人とブームオペレーター1人でKC-46を運用し、別のパイロットとブームオペレーターが機内の寝台で休憩するというものだ。この構想がソーシャルメディアに流出するや、航空関係者はコックピットにパイロット1人では危険と心配し、大炎上した。ミニハン大将は、パイロット・プラス・ワンのような構想は、危機シナリオで実行可能な選択肢を検討するため必要な「知的投資」の一部だと語っている。グアムに到着し、飛行場が攻撃され、パイロット1人で飛行させなければならなくなった場合を考えてみろ。パイロット・プラス・ワンのコンセプトを今から試すことで、AMCはこのシナリオ想定の訓練方法を今から詳細に検討できる。

「スタッフ、チーム、飛行隊は、適切な人員配置で、リスクを理解し、メリットを理解し、必要な権限を理解し、戦闘中にそれを達成できるかどうか、リスク情報に基づき決定する」(同大将)。

数百機あるC-130EやHを廃止機材置き場から復活させ、紛争時に給油機として使用できないか、また給油能力を拡大するため何が必要かを検討することも、現在評価中のコンセプトだ。ミニハンが採用した、大きなリスクを伴う有名なアイデアとして、KC-46を任務の97%に承認する7つの暫定能力リリースがあり、A-10、B-2、CV/MV-22、E-4Bだけへの給油権限にわずかに及ばなかった。

ミニハン大将はまた、アメリカが敵対的な脅威に直面しているヨーロッパと太平洋の2戦域でKC-46のテストを開始した。

「『もっと速く』という命令の一環で、あの機体をステップに乗せることとし、ウクライナ・ロシア情勢でスペインに持ち込む機会が生まれた」と、KC-46について語った。

ロシア・ウクライナ戦争は、米国の戦闘行為とは見なされていないが、NATOは同盟の東側で航空警察任務を劇的に増加させている。NATO加盟国国境沿いの航空警備活動を支援するため、米空軍はバルト三国、ポーランド、黒海地域、ドイツのスパングダーレム基地をハブとして第5世代戦闘機含む戦闘機のローテーション展開を維持している。

ミンハン大将は、給油能力を満たすだけでなく、KC-46の準備が整っていることを証明したいと考えた。2月24日にロシア=ウクライナ紛争が始まった直後、飛行士220名と4機のKC-46をスペインのモロン基地に向かわせ、航空警察任務を支援するとともにスペインのEF-18ホーネットへの給油訓練を行わせた。

3月から4月にかけて、第22、931、157、916航空給油団の飛行士は500時間以上飛行した。KC-46の有効率は98%で、天候や雷の影響で欠航したミッションは2回だけだったと、ミニハン大将は述べている。

東への転進

ミニハン大将は、KC-46が欧州戦域で高い効果を発揮できると証明した後、東方へ目を向けた。

ヨーロッパでの成功の後、6月に太平洋で行われたKC-46の運用コンセプト演習について、「即座に太平洋に展開しました」と述べた。

「太平洋の距離を飛行してみなければ、太平洋の距離は理解できない。陸地のない上空を5時間、10時間、12時間と飛び続けるまで、どれだけひろがりがあるのか理解できないだろう」。

カンザス州マコンネル空軍基地とニューハンプシャー州ピーズ空軍基地の第22、931、157空中給油団から4機のKC-46と飛行士が6月6日から12日まで横田基地に派遣され、海軍F/A-18ホーネットと空軍F-35ライトニングに給油練習を行った。



グアムでのコープノース22演習で、KC-46ペガサスが「デュアル・デフューエル」を受けるため厳しい条件で着陸するのを見守るホルヘ・ゴンザレス空軍技術軍曹 Master Sgt. Amy Picard

AMCではKC-46を旧型機と比較し、明確な利点が2つ「持続性」と「存在感」を挙げる。KC-46は別の給油機に燃料補給できるため、太平洋の広大な距離でタンカーの飛行時間を延長できる。また、戦術的データリンクと統合しており、状況認識が可能で、脅威を認識し、脅威情報を得た場所で活動でき、戦闘機に近い場所で給油でき、存在感を高める。

AMC/PACAFの幕僚会議では、ミニハン大将は主要部局の全員を連れてウィルスバック大将と機密扱いの検討を行い、その後INDOPACOM司令官ジョン・アキリノ海軍大将INDOPACOM Commander Adm. John C. AquilinoとINDOPACOM航空部門司令官ウィルスバック大将と機密セッションを行った。

ミニハン大将は、本部幕僚にPACAFのカウンターパートを個人的に知る機会と捉えた。また、PACAF司令部が太平洋の有事で使う言葉を、意思決定のスライドや計画文書を見て学んでほしいと考えた。

「PACAFとの連携はシームレスだ」と、幕僚間の交流から1ヵ月後、ミニハン大将は言った。「特に、ウィルスバック大将がPACAFの帽子をかぶり、ACE概念を採用し、作戦指揮官が同地域で何をしようとしているのか、詳細を知ることができ、その支援で可能にするために何をすべきか正確に理解し帰ることができた」。

ウィルスバック大将も、AMCがPACAFをどう支援できるかがより深く理解できたようだ。

「AMCの能力でPACAFの殺傷力を強化し、こちらの戦略的優位性を確保すると同時に、統合部隊がこの地域でシームレスに活動できるようになると確信している」と、7月のAir Force Magazineに声明を発表している。

PACAFとINDPACOMの会合から戻ったミニハン大将は、フィードバックで、太平洋地域でのAMCの戦闘計画の調整を立案担当に指示した。

「現有装備で勝てるコンセプトを練り上げさせている。それを受けて、各司令部を再同期させる」。

AMC司令官は太平洋地域の地理、国、政治・軍事、外交をより深く理解するため、ハワイでアジア太平洋安全保障研究センターのコースを受講するよう部下に指示した。ミニハンは、太各部隊の司令官、上級計画官には見識を今後の演習に反映させるよう促している。モビリティ・ガーディアン2023演習は、数カ月間にわたり太平洋の演習数点で構成する。

AMCは、太平洋における航空燃料の地上貯蔵について言及を避け、米インド太平洋軍に質問を向けた。タンカー再活性化計画やケンドール長官のタンカー数を前例のない455機にする目標について、ミニハン大将は具体的な言及を避けた。

「今ある数字で勝つつもりだ」とし、ミニハン大将は、危機が訪れれば、KC-46を戦闘作戦でフル稼働させると語った。

「残る3パーセントに使うことをためらうことはない」と、給油が許可されていない機種について語った。「戦闘作戦のためリスクを負う必要があれば、一秒たりともためらうことはない」。

ミニハン大将は、太平洋有事の際、空軍にはグローバル給油活動を維持できる空中給油資産がないことを認めている。

「優先順位が重要だ。すべて優先というのは、何も優先しないことになる。太平洋での戦闘を支援するためタンカーが他のグローバルな任務から外される場合、文民指導者が優先すると思われる任務の1つに国土防衛があると見ている」。

「中国と交戦になれば、それはそれで大変なことだ。それ以上に重要な事態はない」。「勝つために必要なものは手に入れた。だからといって逆転ホームランになるわけではない」。■



Pacific Refueling - Air & Space Forces Magazine

By Abraham Mahshie

Aug. 29, 2022

Air Force Magazine は Air and Spece Forces Magazineにタイトルを変更しています。


2022年8月31日水曜日

米空軍の発想が柔軟すぎる。B-52で貨物輸送し有事の迅速分散運用ACEコンセプト用に専用コンテナBOCSを開発し実証運用が行われた。

 

U.S. Air Force photo by Senior Airman Chase Sullivan

B-52の爆弾倉に貨物コンテナを搭載した演習で、迅速な展開がより現実的になった

 

ークスデール空軍基地は、B-52Hストラトフォートレスが興味深い役割を演習で担ったと発表した。4機の爆撃機に、爆弾倉に収まる比較的大きな貨物コンテナを搭載し、米空軍の迅速展開コンセプトをテストした実証は、将来の作戦機の展開における物流フットプリントの減少の可能性を示したとある。

バークスデール基地の声明によると、演習に参加した4機のB-52Hは、同基地の第2爆撃航空団の所属機。8月16日から19日にかけて、ワシントン州のフェアチャイルド空軍基地に移動し、ACE(Agile Combat Employment)ミッション関連の演習を実施した。一般にACEミッションは、各地から予測不可能な分散作戦を実践することで、生存能力を高め、前方地域で戦闘力を生み出すことを主眼とする。ACE関連演習は、空軍が遠隔地にある厳しい施設や小規模な物流施設を活用し、柔軟かつ機敏な運用を可能にする一助となることを意図している。特に、ACE作戦では貨物運搬が重要な要素となるため、今回のB-52実証の重要性が際立つ。

今回のACEテストミッションでは、B-52爆撃機を主に使用して、革新的な貨物輸送作戦を模索するとともに、生存性と厳しい環境での作戦を念頭に置いた、有機保守支援の提供方法を実証した。B-52は、BOCS(On-Board Cargo System)という貨物輸送システムにより、爆撃任務以外の役割、つまり貨物支援機としての役割を果たした。

空軍はBOCSを、B-52Hの爆弾倉内のハードポイントに接続する設計の貨物コンテナだと説明している。各B-52はBOCS2つを搭載し、各爆弾倉に1つずつ、最大5,000ポンドの整備・支援機器を搭載し、B-52一機で合計10,000ポンドの空輸能力を実現する。

主に訓練だが、B-52の三個爆撃航空団すべてがBOCSを自由に利用できるようになったという。以前のB-52は、貨物保管庫が皆無に近かった。

BOCSは、少なくともコンセプトとしては、2006年の航空戦域バトルラボで、最も有用な取り組みとして生まれた。The War Zoneは、空軍グローバル・ストライク司令部にBOCSの出自について照会したが、返事はもらっていない。いずれにせよ、空軍は、ACEミッションにBOCSを追加することで、爆撃機展開における貨物支援の必要性を軽減し、その結果、作戦の補給活動の負担を削減することを期待しているようだ。

バークスデール空軍基地でのアジャイル戦闘演習の後、第2航空機整備飛行隊の飛行士がB-52オンボードカーゴシステムからメンテナンスとサポート機器を降ろした。Credit: Airman Nicole Ledbetter/U.S. Air Force

「当初のBOCSコンセプトは、爆撃機の常時プレゼンスを成功させるために必要なあらゆるものを戦術的にフェリーする機会を作ることでした」と、第2爆撃航空団航空機メンテナンス飛行隊生産管理官のアンソニー・ウィリアムズ曹長は言います。

演習では、ACEの任務全体と同様、時間も重要要素だった。ACEでは、軍用機を短期間で各地に配備することを重要とし、整備支援のシナリオは、BUFFの飛行を維持することから始まる。バークスデール第2航空整備飛行隊の整備員は5人1組のチームに分かれ、必要な修理・整備・交換機材をBOCSに効率よく詰め込み、今回の派遣をスタートさせた。チームは、B-52の着陸、再武装、修理の練習のため、フェアチャイルドに飛んだ第96爆撃中隊の機内に同乗したという。

航空機の整備を担当する空軍戦略航空兵站部長のジェイソン・スネデカー少佐Maj. Jason Snedekerは、「航空機1機につき整備員5名が搭乗すれば、有事の際に航空機の再生を確実に行い、ACE支援が可能な自立したロジスティクス能力を持てる」と述べている。しかし、B-52の乗員に加え、5人の整備員をどのように輸送したかは不明で、これについても空軍グローバル・ストライク司令部の説明を待っている。

バークスデール空軍基地でのアジャイル戦闘配置演習の後、B-52搭載カーゴシステムを降ろす第2航空機整備飛行隊員 Credit: Airman Nicole Ledbetter/U.S. Air Force

フェアチャイルド空軍基地は、演習で重要な役割を果たしたといえよう。B-52Hは2010年に滑走路が改修されて以来、初めて運用されることになるため、不慣れさに加え、爆撃機特有の設備がないことが、整備チームや搭乗員に実際のACE運用に近い形で挑戦する機会となった。

第8空軍とグローバル・ストライク・オペレーション・センターの司令官であるアンドリュー・J・ゲバラ少将Maj. Gen. Andrew J. Gebaraは、「彼らの努力のおかげで、我々が普段見慣れている大きなフットプリントなしに、大きな火力を目標に投入できることが証明された」と述べている。

フェアチャイルド空軍基地で、B-52H内部の搭載貨物システムの外壁を取り外す、第2航空整備隊の生産監督官であるアンソニー・ウィリアムズ・ジュニア曹長(左)と第2航空整備隊のエンジン整備士であるアーロン・ワイルス上級航空士(右)。 Credit: Senior Airman Chase Sullivan/U.S. Air Force

武器輸送に関しては、ACEに所属する爆撃機がB-52Hの武器パイロンのみ、あるいは武器パイロンと爆弾倉の間に弾薬を分散搭載し、航空機が目的地に飛び、その弾薬を使用して迅速に作戦行動を開始できるように、BOCSアプローチの使用が考えられる。しかし、このようなコンセプトで前線基地で本戦闘を継続することには疑問が残る。そこで、BOCSを片方のベイに、武器を残るベイとパイロンに搭載する、あるいはBOCSを両方のベイに、武器をパイロンに搭載することが考えられる。

また、B-52が各10,000ポンドの貨物を搭載しても、貨物専用機1機の最大積載量には及ばない。例えば、C-130の最大積載量は42,000ポンドで、C-17の最大積載量は170,900ポンドだ。そのため、BOCS搭載のB-52は、これまでのようにACEの初期配備をサポートするためC-130が必要としなくなる可能性はあるものの、持続的なロジスティクス問題は依然として残る。BOCSが運べる貨物の種類は、システムの寸法で制限され、爆弾倉の寸法でも制限されるため、貨物輸送機が通常運ぶ大きな貨物は運べない。

爆撃機が活動できる場所と、そこに到着した後に活動できる手段の両方を拡大することは、既知の拠点が機能しなくなったり、危険にさらされる将来のハイエンド紛争では非常に重要になるかもしれない。空軍はここ数年、このような開発を優先してきた。爆撃機が重要地域付近で飛行できる基地を複数確保することは、将来の大規模紛争で極めて重要になるからだ。

フェアチャイルド空軍基地で行われたアジャイル戦闘演習で、滑走路をタキシングする4機のB-52H ストラトフォートレス。 Credit: Senior Airman Chase Sullivan/U.S. Air Force

ACE環境でのBOCSの活用は、B-52を数十年、少なくとも2050年まで、おそらくそのはるか先まで機能させるための一連の強化・改良の中で最新のものだ。B-52は、少なくともB-52JまたはB-52Kの新型機となり、新型AESAレーダー、ロールスロイスF130ターボファン・エンジン、極超音速兵器搭載など各種アップグレードが行われる。

BOCSとACEの組み合わせによる副次的な空輸能力で、B-52運用の幅は大きく広がった。■

 

The B-52 Bomber Is Now Also A Cargo Hauler | The Drive

BYEMMA HELFRICHAUG 30, 2022 1:49 PM

THE WAR ZONE


2022年1月16日日曜日

中国の攻撃で既存基地機能喪失を想定し、非通常型地点への分散を進め、迅速に燃料等を再補給する米空軍のACE、FARP両作戦構想に注目。


大国間競合の現実を見てペンタゴンは従来の想定をあらため、互角の実力を有する敵国に対応する新方法を模索している。



米軍は中国やロシアが相手では、ここ20年間相手にしてきたアフガニスタン、イラク、シリアのような装備貧弱な戦闘員相手の戦いの再現にならないことを承知している。


中国軍・ロシア軍は米軍にとって現実かつ協力な脅威であり、全く違う戦闘に対応する必要がある。


まず、米軍は少なくとも紛争当初で、従来当たり前だった制空権を獲得できない。さらに、地上の米軍や基地も安全でなくなる。中国とロシアは、前方基地や国内の空軍基地を短距離、中距離、長距離の兵器システムで攻撃可能で、米国の防空設備を圧倒する数のミサイルを保有している。さらに極超音速兵器の出現で現時点の防空システムは防御不可能となったとされ、敵からの距離に関係なく基地の安全性は低下している。


ACEとFARP


そうなると、即席の空軍基地へ航空機を分散運用することが、ハイエンド戦で重要な意味を持ちそうだ。米空軍はこのことをよく理解し、2つの重要なコンセプトに取り組んでいる。アジャイル戦闘展開Agile Combat Employment (ACE)と前方兵装燃料補給拠点Forward Arming and Refueling Point (FARP)だ。


舗装未舗装の滑走路で空軍が有事に使用可能な地点を示す地図。ACE、FARPではこうした臨時飛行場を活用することになる。 (USAF via the War Zone).


アイアンダガー演習


日本で最近展開したアイアンダガーIron Dagger演習を見れば、米空軍がインド太平洋で中国相手に展開する戦闘の様相を示している。同時にACE、FARPの実戦の重要性が浮かび上がってくる。


アイアンダガー演習で空軍は354航空遠征航空団所属のF-35A編隊を事前通告ほぼなしの状態で岩国海兵隊航空基地に短時間で移動させた。これはアジャイル戦闘展開の実証となり、燃料、兵装の再補給を短時間で整備されていない環境で実施し、前方兵装燃料補給拠点の実効性を示した。


354航空遠征団司令デビッド・バークランド米空軍大佐Colonel David Berklandは、「今回の動的戦力展開(DFE)運用では、第5世代航空兵力をすばやく動員し、インド太平洋戦域に展開する能力を示せた」と述べた。「354航空団にとって、ACE運用を洗練させ、パートナーシップを強化し、共同相互運用性を研ぎ澄ます素晴らしい機会となった」。


演習では第18兵たん即応体制隊、第一特殊作戦飛行隊の空軍隊員がFARP部分の運用を支援した。


F-35A型B型はACE対応の認証を受けており、これまでも各種演習に投入されいるが、FARP能力の実証を今回取り入れたことで、実戦で敵を奇襲攻撃したり、敵の作戦立案を混乱させる効果が生まれると空軍は見る。


アジャイル戦闘展開では戦闘機の迅速展開運用能力を有する部隊を前提としている。


主要基地数か所に縛られず、戦域内に柔軟に戦力を展開する能力で地上の作戦状況に流動的に適応できることが、互角戦力を有する相手の打破をめざす部隊に最重要となる。


昨年の国防戦略方針が十分な戦闘力を迅速に展開する必要を明記している。陸海空軍は必要地域に迅速展開し、分散運用を維持する必要があるとしている。つまり、未整備地点や臨時航空施設からの運用を想定し、大型軍事拠点は真っ先に攻撃の標的になると想定している。


特殊戦術空軍隊員がA-10サンダーボルトIIを誘導している。高速道路を臨時滑走路とした。こうした対応がACE、FARP運用に必要だ。


例として中国と戦闘となった場合にインド太平洋地区の空軍部隊は機材を分散させ、中国ミサイルの攻撃で多数が地上で壊滅する最悪のシナリオを回避する。こうした攻撃では航空機を破壊しなくても作戦展開を不可能にすれば効果を発揮する。


ミサイル数発をうまく滑走路に打ち込めば、深刻な損害や破壊でき、直撃弾でなくても航空機が使用不能となる。空軍は滑走路の修理時間を短縮方法を模索しているが、滑走路の一部または全部が破壊されれば、修理完了まで基地の機材は地上に残ることになる。


この懸念は今に始まったことではないが、次の世界大戦の初期に空軍基地が攻撃される可能性は高まる一方だ。


機材を分散させ、迅速に移動させ空軍は生存力を高め、敵による壊滅を難しくできる。この方法なら、滑走路不要の特殊航空機の開発よりも、費用対効果が高く、実用的だ。

しかし、航空機に必要なのは滑走路だけではない。そこで登場したのが、FARPコンセプトだ。


FARP(前方兵装燃料補給拠点)作戦の基本は、スピードだ。F1のピットストップのように、一刻も早く戦闘復帰させるのが目標となる。FARP運用では、弾薬を使い切った戦闘機が着陸し、エンジンをかけたまま支援要員が燃料を送り込む「ホット燃料補給」を実施する。同時に、他の隊員も素早く武装を再装填し、すぐ戦闘復帰できるようにする。


F1レースでは、ピットクルーには世界レベルのアスリートでが多く、チーム内で特定の役割を果たすため、ディビジョン1の大学スポーツ部から直接採用されることが多い。FARPでも同様に、身体能力と精神力を必要とする。しかし、戦争のストレスに匹敵する体験は皆無だ。


FARP実行が技術的に難しいと認識し、空軍は有資格者を認証している。さらに、FARP部隊は一部の施設でのみ活動するとした。


F-22へホット燃料補給する空軍隊員。ACE とFARP により空軍は大国の脅威に対抗しつつ運用を続けられるとする。(DVIDS).


FARPコンセプトは一見斬新に見えるが、新規の発想ではない。特殊作戦部隊が何十年以前から運用している。第160特殊作戦航空連隊「ナイトストーカーズ」の精鋭パイロットは、アフガニスタン戦争の緒戦で、FARPコンセプトで作戦を持続展開した。ナイトストーカーのAH-6リトルバードは、アルカイダやタリバンの戦闘員を毎夜追いまわしたが、FARPがあったからこそ可能になっていた。 


アイアン・ダガー作戦参加のF-35AライトニングIIのパイロットは、「FARPでアイアン・ダガー参加のパイロットに利点が多く生まれた」と述べている。「滑走路さえあればどこにでも着陸し、迅速に燃料補給し再び離陸し、戦闘を継続する実体験と訓練を提供する場になった」「FARPの実行で敵の計算を複雑にする。FARPは、どこでも燃料補給し、戦いに参加する能力を示す」。


ACE とFARP は回転翼機にも応用される。写真はナイトストーカー隊のAH-6リトルバード (DVIDS).


固定翼機、回転翼機双方でFARPの恩恵を受けることができ、国防総省ではF-22ラプター、F-35共用打撃戦闘機、A-10サンダーボルトII、AH-1Zバイパー、F-15C、MQ-9リーパー、AH-6リトルバード、CV-22オスプレイなどの機材でFARPを採用、テストしている。


ACEとFARPで空軍部隊は戦略的に予測可能となり、作戦的に予測不可能になる。■


 

How the Air Force plans to re-arm fighters in the streets in a near-peer war - Sandboxx

Stavros Atlamazoglou | January 6, 2022


Stavros Atlamazoglou

Greek Army veteran (National service with 575th Marines Battalion and Army HQ). Johns Hopkins University. You will usually find him on the top of a mountain admiring the view and wondering how he got there.


 

2021年7月20日火曜日

MQ-9をアジャイル戦闘展開に投入する準備ができた。新しい自動離着陸機能の効果を実証した米空軍。

 着陸地に専用人員やインフラが配置していくてもすべて遠隔制御できる、ということなのでしょうか。一見するとどこがすごいのかわかりにくいのですが、それだけUAVの実際の運用をこちらが理解していないということなのでしょうね。理解がまちがっていたらすみません。


An MQ-9 Reaper from Creech Air Force Base, Nevada, lands at Holloman AFB, New Mexico.

US Air Force

An MQ-9 Reaper from Creech Air Force Base, Nevada, prepares to take off from Holloman AFB.

 

クリーチ空軍基地を離陸したMQ-9 リーパーがホローマンAFB(ニューメキシコ)に着陸した。 July 8, 2021. 556試験評価飛行隊が二日にわたるMQ-9用の自動離着機能の実証としてネリスAFBから機体を制御し、クリーチAFBからホローマンAFBまで移動させた (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Jessica Sanchez)



556試験評価飛行隊(TES)がMQ-9リーパーの自動離着陸機能(ATLC)の完成度を2021年7月8日に実証し、発進回収設備や人員による誘導なしに実行した。この機能でMQ-9はアジャイル戦闘展開(ACE)に投入可能となり、MQ-9で予定されるソフトウェアアップグレードならびに新型小型機体制御ステーションで世界各地での同機運用の形態が一変しそうだ。


これまでのMQ-9の離着陸では専用の発進回収要員が着陸地点に待機する必要があった。だが今回は実証地から55.6マイル離れたネリス空軍基地の操作ステーションから衛星経由の操作でクリーチAFBのMQ-9が滑走路を移動し離陸した。556TESは機能を実証し、機体はATLCにより着陸したが、今週の実証で機能の限界がさらに押し上げられた。


テストは二日間にわたるもので、初日に556TESがクリーチAFBからニューメキシコのキャノンAFBまでMQ-9を飛行させ、着陸後、滑走路を移動させ再び離陸し、クリーチAFBに帰還させた。すべて衛星経由で行った。操作員はコックピット映像で自動着陸用の参照点を確保した。二日目には目的地はニューメキシコのホローマンAFBに変更され、チームは再び機能実証に取り組んだ。今回は標的捕捉ポッドを搭載し滑走路の状況を調査させ、ATLCチームに必要な基地内の状況を伝え、離陸させた。


当初公表のATLC手順ではMQ-9は滑走路へ移動してから、クルーが電子的に参照点を付け、機体は滑走路上に位置を決めることになっていた。ただ、今回の実証はもっと先に進んだものとなった。556TESが生み出した戦術があれば機体は一度も飛んだことがない外国にも移動可能となり、着陸用の特殊装備は無用となる。


「参謀総長の主張する空軍変革の加速化に我々も取り組んでいる」と556TES司令マイケル・チュミルスキ中佐が述べている。「今回の成功でチームがテストに取り組んだ真剣さを誇りに思う。これだけ迅速に、かつ空軍特殊作戦軍団及び第27特殊作戦航空団(在キャノンAFB)に加え空軍教育訓練軍団、第49航空団(ホローマンAFB)の支援を受けた。各方面の支援と忍耐強く見守ってくれた姿勢により今回のテストの大きな成果が得られ、一緒にとりくめたことに感謝している」


チュミルスキ中佐によればALTC機能はこれまでの遠隔操縦航空機部隊の運用そのものを変える存在だという。なお、次のソフトウェアのリリースは2022年春の予定で部隊は機動性を一層発揮可能になる。■


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MQ-9 Agile Combat Employment: A big step closer to reality

556th Test and Evaluation Squadron / Published July 15, 2021


2021年7月16日金曜日

パシフィックアイアン2021演習で米空軍はラプターを25機投入する。ACEの実効性を試し、A2ADを取る中国ロシアへの対抗だ。

Pacific Iron 2021

 

西太平洋での演習に米空軍F-22ラプター部隊が加わり、厳しい空域で実力を発揮できるかを試す。

 

パシフィックアイアン2021

 

演習はパシフィックアイアン2021の名称で、空軍は7月中の実施で空軍の人員装備多数が参加する。米インド太平洋軍(INDOPACOM)は太平洋空軍、航空戦闘軍団から800名35機超が加わると発表。機材はF-15Eストライクイーグル10機がアイダホのマウンテンホーム空軍基地366戦闘航空団から、F-22ラプター25機が525戦闘飛行隊、アラスカのエルメンドーフ-リチャードソン共用基地の第3航空団およびハワイ州軍パールハーバー-ヒッカム共用基地の154航空団199戦闘飛行隊から、C-130J2機が横田航空基地の374空輸団から加わる。

 

F-22の機数に意味がある

 

太平洋空軍司令を務めたダン・「フィグ」・リーフ空軍中将(退役)によればパシフィックアイアン2021にラプター25機が参加すると一回の演習に加わる機数として最大になる。ラプターの運行経費の高さを考えると機数に大きな意味があるという。

 

機体単価とともに高額な機体を制空任務にしか投入できないことに懸念が生まれ、F-22調達は2009年に終了した。中国やロシアとの対抗が激しさを増している今日でも生産再開の可能性は低い。ということで現在保有中のラプターの増勢はなく、今後老朽化しても代替機材がない。そのためF-22を都度投入すると重要な決断となっている。

 

そこでF-22をパシフィックアイアン2021にこれだけの機数投入することに大きな意味があり、空軍が太平洋地区にへの関与の姿勢の大きさを示しているとリーフ中将は解説している。

 

ACEとは

 

パシフィックアイアン2021はグアム、テニアンから展開し、アジャイル戦闘展開(ACE)を行う。

 

ACEとはロシア、中国が接近阻止領域拒否 (A2/AD)戦略を展開する中で米国が直面する課題にこたえるものだ。中露両国の戦略はヨーロッパ、東アジアで米軍部隊の安全な運用を妨害することにある。

 

中国はA2/AD戦略に関しミサイル開発を進めている。地対空ミサイル(SAM)、巡航ミサイルのほか長距離弾道ミサイルもこの一環だ。ここに対艦弾道ミサイル(ASBM)や極超音速滑空体(HGV)も加わり、米国との対戦となれば米空母や域内の米軍基地を標的に収める。このため米海軍、米空軍の航空戦力展開に大きな障害が生まれかねない。

 

この解決策として長距離航続力を有する航空機の開発もあるが部分的解決に過ぎない。そこで空軍はACE構想を作り、既存の航空基地が攻撃を受けても作戦運用が十分できるようにする。ACEでは機材人員は整備済み航空基地以外に臨時基地空も運用し、事前配備装備や空輸能力を応用し、厳しい環境下の作戦に各種拠点を活用する。

 

パシフィックアイアン2021の前にF-22はハワイからロシア機の接近にスクランブル出撃を行っていた。太平洋で展開した海軍演習にロシア機が姿を現したためだった。■

 

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A Fleet of 25 F-22 Raptor Stealth Fighters Will Soon Train for War in the Pacific

ByEli Fuhrman