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2025年3月4日火曜日

ボーイングのリトルバード・ヘリコプターが生産終了へ(The War Zone)

Boeing expects to shutter its production of the Little Bird light helicopter after fulfilling a current contract with the Thai armed forces.

Boeing



ボーイングがベトナム戦争がルーツの象徴的なヘリコプターの製造を終了する一方、MDヘリコプター社は今後も存続する


ーイングは、タイ軍との契約を完了した後、リトル・バード軽ヘリコプターの生産を終了する。リトル・バードは、AH-6軽攻撃型とMH-6強襲型のヘリコプターを運用する米陸軍の有名な第160特殊作戦航空連隊(SOAR)で使用されていることでよく知られている。 ボーイングは過去15年間で、サウジアラビアとタイへのAH-6iの輸出販売を2度だけ成功させた。 別会社のMDヘリコプターズもリトルバード派生型を今後も生産を続けるようだ。

 複数の報道機関が、ボーイングがリトル・バードの生産ラインを閉鎖すると報じている。同社は、昨日ロンドンで開幕したDefenceIQ International Military Helicopter Conferenceでこのニュースを明らかにした。


飛行試験中のタイ向けAH-6i。 ボーイング


ボーイングのバーティカル・リフト・プログラム事業開発・戦略担当ディレクター、マーク・バリューは、エイビエーション・ウィーク誌に対し、「くAH-6iの生産を中止するつもりだ。「タイ向けの生産は完了するが、AH-6が欲しいという国がすぐ現れない限り、生産にギャップが生じるためだ」と述べた。

 エイビエーション・ウィークによると、バリューはまた、「同機のサプライチェーンを再構築することは、時間がかかるだけでなく、生産コストが高くなる」という。

 本誌はボーイングに直接問い合わせた。

 ボーイングは現在、2022年に確定した1億400万ドル弱の契約に基づき、タイ王国陸軍にAH-6iを8機納入する作業を進めている。米国政府は2019年に売却を承認していた。

 シングル・タービン・エンジンのAH-6iは、1960年代にヒューズ・ヘリコプターズが開発し、ベトナム戦争中に米軍の軽偵察ヘリコプターとして活躍して有名になったOH-6カイユースと、その後の改良型モデル500をベースとしたH-6を進化させたものだ。1984年にマクドネル・ダグラスがヒューズ・ヘリコプターズを買収。その後、ボーイングは1997年にマクドネル・ダグラスを吸収し、リトル・バードと旧ヒューズ・ヘリコプターの製品ラインを傘下に収めた。


1960年代、米陸軍の試験飛行中に目撃されたYOH-6Aのプロトタイプ。 アメリカ陸軍

 リトル・バードの物語は、ボーイングが1999年にAH-64アパッチを除き、継承したヒューズ・ヘリコプターの製品ラインを事実上すべてMDヘリコプターに売却したことで、やや混乱したものとなった。しかし、ボーイングはその後もリトルバードを継続し、第160特殊作戦部隊のためにアップグレードされたミッション強化型リトルバード(MELB)もそのひとつである。


2024年、公開デモンストレーションで見られる第160特殊作戦航空連隊のMH-6リトルバード。 ジェイミー・ハンター


 同社はまた、無搭乗のH-6UバージョンとAH-6Sと名付けられた改良型軽攻撃型も開発した。 AH-6Sは、頓挫したアームド・エアリアル・スカウト(AAS)計画で米陸軍に提案された。輸出用のAH-6iはAH-6Sをベースにしている。

 すでに述べたように、ボーイングがAH-6iの顧客を見つけたのはタイとサウジアラビアの2カ国のみで、後者は2014年にサウジアラビア国家警備隊(SANG)用に24機を発注した。ヨルダンは2010年に少なくとも18機のAH-6iを購入する意向書に署名したが、期待された契約は成約しなかった。

 これに比べ、MDヘリコプターズはヒューズ・モデル500由来のリトルバードで国際軍事市場で大きな成功を収めており、関連する商用モデルの販売も行っている。これには、現在は消滅したアフガニスタン空軍に納入された数十機のMD-530FU軽攻撃型も含まれ、一部は2021年8月のタリバンによる政権奪取後に米国に戻ってきた。

 ボーイングが今後、第160戦隊のリトル・バード・フリートの支援にどの程度関与し続けるかは不明だ。陸軍は以前、AH-6/MH-6の約半数を、陸軍の未来攻撃偵察機(FARA)プログラムに選ばれた設計の特殊作戦バージョンに置き換えることを期待していた。しかし、FARAは昨年中止され、第160軍は現在、少なくとも短期的には、リトルバードフリートのさらなるアップグレードの選択肢を検討している。

 ボーイングにとって、リトル・バードの生産ラインを閉鎖する計画は、軍事および商業ポートフォリオ全体が大きく混乱している中でのことである。このため、米空軍向けの新型機エアフォース・ワンを含む非常に注目度の高いプログラムの大幅な遅れや、数十億ドル規模の財務上の損失が発生している。 2023年、同社はF/A-18E/Fスーパーホーネット戦闘機の生産を停止し、そのリソースを他事業に集中させる意向を発表した。

 AH-6iの主要な新規顧客がすぐに現れない限り、ボーイングのリトル・バードは幕を閉じることになりそうだが、この象徴的なヘリコプターのバージョンはMDヘリコプターズを通じて生産され続ける。

更新:2/27/2025

ボーイングはリトル・バード生産ラインの将来について、本誌に以下の追加声明を提供した:

「現在の注文を完了することにより、当社は同機の生産を終了する予定であり、プラットフォームの顧客ベース向けに維持とサポートに重点を移行する予定です」。


Boeing’s Little Bird Helicopter Production Set To End

While Boeing will stop making the iconic helicopter that traces its roots to the Vietnam War, MD Helicopters will continue on.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/air/boeings-little-bird-helicopter-production-set-to-end


2021年7月10日土曜日

米特殊作戦部隊でいまだ多用されるH-6系リトルバードの将来が危うくなってきた

 


Army AH-6 Little Bird helicopter


米陸軍のAH-6リトルバード。2016年4月5日の攻撃航空支援演習にて。

US Marine Corps/Staff Sgt. Artur Shvartsberg

 

  • 40年近く供用中のAH-6、MH-6リトルバードは特殊作戦畑で伝説の機体となった小型ヘリコプターだ。

  • 攻撃に、隊員輸送にとあらゆるミッションをこなす 

  • だが、米陸軍と特殊作戦軍団はリトルバード全廃にむかいそうだ。


特殊作戦司令部(SOCOM)がリトルバードの処遇を決断に向かう。同機は特殊作戦で最も長く供用されている伝説の機体だ。


第160特殊作戦航空連隊「ナイトストーカーズ」は二型式のリトルバードを運用する。攻撃強襲用のAH-6と強襲輸送用のMH-6はともに卵型の機体だ。


AH-6は精密な近接航空支援や強襲攻撃を行う。MH-6は非武装型で隊員の搬送にあたる。


主要なユーザーは共同特殊作戦司令部の特殊作戦部隊を構成する陸軍デルタフォース、海軍のSEALチーム6、さらに陸軍のレインジャー連隊だ。


侮れない卵



AH-6の兵装にはM134ミニガンがあり、毎分6千発の発射が可能だ。またGAU-19.50口径ガトリングガン、2.75インチのハイドラ70ロケット弾、ヘルファイヤ空対地ミサイル、スティンガーミサイルも運用可能だ。


リトルバードの価値を高めているのが機体寸法と機動性で、熟練パイロットの手にかかれば、リトルバードはほぼあらゆる場所に着陸でき、ほぼあらゆる標的を狙える。


強襲輸送型は正確な地点に部隊を送り込み、撤収でき狙撃手には重要な機材となり、二輪車輸送も可能だ。


ナイトストーカーズではリトルバード各型を50機ほど運用している。


MH-6M Little Bird helicopter Army Rangers

MH-6M リトルバードが陸軍レインジャー部隊を運ぶ。迅速展開演習にて。November 14, 2018. US Army


「驚くべきヘリコプターで高度の操縦性でアクロバット飛行も可能だ。AH-6を操縦するのはフェラーリに乗るようなもので、他に比較対象がない」と退役一等准尉グレッグ・コーカーがInsiderに語ってくれた。


コーカーはナイトストーカーでパイロットを30年つとめ、11回の戦役参加を有する。


「両型とも小型で簡単に輸送でき、様々な仕事をこなす。こんなヘリコプターはほかにない。AH-6は、アパッチ、コブラ、ハインドでは得られない操縦性が特徴だ」


リトルバードにはデジタルクラスコックピットがつき、ナイトヴィジョンにも対応するので、パイロットは視線を落とさず、ディスプレイを見ていればよい。


今後がはっきりしない

Army 160th SOAR AH-6 Little Bird helicopter

米陸軍のAH-6 リトルバードが特殊作戦軍団のMC-130H輸送機から搬出された。迅速展開演習にて。 August 29, 2017. US Army


これだけ使い勝手の良いリトルバードだが廃止の話題は以前からあった。2019年にSOCOMの調達トップがリトルバードの性能改修あるいは退役を2020年代半ばに決めると発言していた。


2000年代初頭にリトルバード機材は近代化改修を受け、ローターを替え、ドア面積を拡大し、降着装置を強化した。


今年後半にナイトストーカーズはブロックIII仕様のリトルバード受領を開始する。機体構造を一新し、燃料効率を向上し、ローターを強力にしたものだ。改修でリトルバードの供用期間が延長可能となる。


だがSOCOMでは次のブロックIV改修に進むのか、陸軍が開発を急ぐ将来型垂直機FVLに変更すべきかの議論が続いている。


陸軍は次期ヘリコプター機を2024年末の契約交付で実現する予定だ。SOCOMはその後一年かかけてリトルバード改修案あるいは新型機への切り替えを検討する余裕がある。


「MD-530シリーズの後釜となる機材はないと思う」とコーカーはAH-6/MH-6の原型機に言及した。


「2003年改修でAH-6JはAH-6Mになり、グラスコックピット、テイルローターを4枚構成にし、メインローターは6枚と、猛獣の威力になった」(コーカー)


特殊作戦の古参兵MH-6M Little Bird helicopter Army Rangers

MH-6Mは高速ロープ降下回収装置で陸軍レインジャー部隊を送り込む。US Army/Pfc. Gabriel Segura


リトルバード各機は供用中の高性能機材と比べると設計の古さは否めないが、米特殊作戦の先鋒を40年近く果たしてきた。


AH-6が援護する中、MH-6がデルタフォースやレインジャー部隊を1983年のグレナダ侵攻で運んだ。


パナマ侵攻作戦(1989年)でナイトストーカーズがリトルバードでCIA工作員カート・ミューズおよびデルタフォース救難部隊をパナマシティのモデロ監獄から救出した。


モガデシュの戦いはブラックホークダウン事件として記憶に新しいが、リトルバードが活躍し、デルタフォース、レインジャーを支援した。


アフガニスタン戦の初期でナイトストーカーズはAH-6でアルカイダやタリバン戦闘員を狩り、各機の弾薬をうちつくし、携帯した銃器まで使い、あるいはコックピットから手りゅう弾を落として対応した。


イラクではリトルバードが柔軟性と機動性を生かし多用され、ナイトストーカーズは事実上あらゆる地点に投入した。ディタダムの戦い(2003年)でAH-6支援を受けたデルタフォース及びレインジャー部隊の任務部隊は数で優勢なイラク軍に立ち向かい、ローターブレイドに命中弾を受けてもそのまま飛び続ける機体もあった。


MH-6が米国内の演習でビル上空を飛ぶ姿がよくみられ民間人からは懸念の声もあがることがある。だが、訓練こそがパイロットの技量維持に不可欠であり、訓練では人質救出作戦に焦点を合わせる。


第五世代ステルス戦闘機や無人機が飛び回る中でリトルバードの旧式化が目立つ。実際にリトルバードからUAVとして飛ぶ機体も生まれている。だが有効性に何ら陰りが見られないし、パイロット、整備員、さらに特殊部隊員がおしなべて愛着を感じる機体である。■


この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。



US Special-Operations AH-6 MH-6 Helicopters May Soon Go Out of Service

The 'Ferrari' of US special-operations helicopters may soon be headed out of service

Stavros Atlamazoglou Jul 7, 2021, 9:28 PM


Stavros Atlamazoglou is a defense journalist specializing in special operations, a Hellenic Army veteran (national service with the 575th Marine Battalion and Army HQ), and a Johns Hopkins University graduate.



コメント リトルバードの活躍する作品としてミニガンを打ちまくるブラックホークダウン以外に Birds of Prey という映画があり、YouTubeで全編鑑賞可能です。