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2025年12月3日水曜日

ウクライナUSVがロシア影の艦隊タンカーを黒海で攻撃(Naval News)

 

ウクライナがロシア影の艦隊タンカーを黒海で攻撃(Naval News)

トルコ沿岸保安総局所属の救助船とトルコ沿岸警備隊がタンカーカイロス号の救助活動を行った(出典:トルコ運輸インフラ省)

11月28日夜、ウクライナ軍はいわゆる「シーベイビー無人水上艇(USV)」を黒海に展開し、ロシアのいわゆる影の艦隊の一部とみられタンカーる2隻を攻撃した。この艦隊は便宜置籍船を掲げる老朽化した石油タンカーで構成され、西側諸国による石油禁輸措置を回避するためロシアが使用している

クライナの無人装備はカイロスとヴィラートのタンカー2隻をトルコ海峡付近で攻撃した。両船は攻撃時、空荷状態でロシアのノヴォロシースクにある石油ターミナルへ向かう途中で、石油を積載する予定だった。このうちカイロスはエジプトから来訪し、トルコ沿岸から28海里沖で攻撃を受けた。同船は爆発と火災で航行不能となった。2隻目のヴィラートは機関室付近を攻撃されたが、安定していると報告されている。

これらの攻撃により、ウクライナは黒海における海上戦争の新たな局面を切り開いた。ウクライナの無人水上艇(USV)が影の艦隊のタンカーを標的としたのだ。おそらく影の艦隊のその他船舶がロシア港湾へ向かうことを阻止するためだろう。

現時点でカザフスタンとトルコ除き主要な反応は確認されていない。ただしカザフスタンの抗議は、ノヴォロシースクのCPC石油ターミナルを機能停止させたウクライナ無人機攻撃に向けられたものだ。同ターミナルはロシア産原油の主要輸出拠点であるだけでなく、カザフスタン産原油輸出の80%を占める。

トルコの対応は、ウクライナ無人艦艇による2回にわたる攻撃がトルコの排他的経済水域(EEZ)内で発生した事実に向けられている。航行、生命、財産、環境安全に対するリスクがあった。両攻撃において、トルコ救助隊は火災と損傷の制御、乗組員救出に介入せざるを得なかった。カイロスの事例では、救助船クルタマ12号とネネ・ハトゥン号が投入された。

ロシアは攻撃を強く非難したが、現時点でウクライナの無人機攻撃に対する強力な対応策は策定できていない。

今回の攻撃は第三の事件と時期を同じくした。パナマ船籍の石油タンカーメルシンがセネガル・ダカール沖で沈没し始めたのだ。同タンカーは8月にロシア・タマンに寄港後、トーゴへ向かったとされる。その後セネガル近海で停泊を続け、最終AIS信号は11月25日に確認された。沈没の公式原因は報告されておらず、機械的故障か破壊工作かは不明だ。

海戦の新局面

ウクライナは水面下で探りを入れており、影の艦隊への直接攻撃が相応の抵抗に遭うのか試しているようだ。抵抗が弱ければ、ウクライナは攻撃を強化し、黒海を通過する影の艦隊タンカーへの攻撃を継続する可能性が高い。黒海で影の艦隊タンカーを攻撃することで、ウクライナは黒海におけるロシア産原油輸出の封鎖を強要し、送電網や製油所などロシアのエネルギー部門への定期的な攻撃に続き、クレムリンにさらなる経済的圧力をかけようとしている。

現時点では、ウクライナの無人水上艇(USV)攻撃に対する反発は乏しく、トルコ、カザフスタン、ロシアのみが攻撃を明確に非難している。トルコが軍事協力とウクライナ・ロシア間の仲介という形で政治的支援を提供する重要なパートナーであることを考慮すると、ウクライナはトルコの異議を勘案し、トルコ排他的経済水域(EEZ)を通過する影の艦体タンカーへの攻撃を控える可能性がある。しかしウクライナの無人艇は、黒海におけるロシアEEZ内の標的まで到達し攻撃するのに必要な射程があることが実証されている。

ロシア黒海艦隊は介入を余儀なくされるか?

戦争におけるロシア黒海艦隊の海上戦線での損失(クレジット:筆者)

ウクライナが影の艦隊のタンカー攻撃を継続する場合、次の疑問はロシアの対応だ。戦争を通じて、ロシア黒海艦隊は黒海におけるウクライナ海軍の攻撃からの防衛に苦戦してきた。2022年3月から2024年5月にかけて、ウクライナ軍はミサイルとドローンにより黒海艦隊に重大な損害を与えた。2年間でウクライナ軍はスラヴァ級巡洋艦「モスクワ」、改良キロ級潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌ」、 ビコフ級哨戒艇「セルゲイ・ビコフ」、タランチュル級ミサイル艇「イワノヴェツ」、カラクルート級コルベット「ツィクロン」を沈没または破壊することに成功した。カラクルート級コルベット「アシュコルド」は甚大な損傷を受け、復帰は困難と見られる。

こうした海上作戦により、黒海艦隊はクリミア近海から追い出され、セヴァストポリからノヴォロシースクのロシア海軍基地へ移転を余儀なくされた。現在、艦隊は港に留まり、小規模な哨戒やウクライナ深部へのカリブルミサイル攻撃のためだけに出航している。しかし、そのような状況下でも、ウクライナの無人装備は黒海艦隊を攻撃し続けている。最近の攻撃はアゾフ海で発生し、ウクライナ無人機がロシア軍艦搭載レーダーを標的とした。こうした攻撃は艦艇を沈没させないものの、いわゆる「ソフトキル」に該当する。つまり艦艇は重要システムに損傷を受け、戦闘能力を失う。

ウクライナが「影の艦隊」を直接攻撃する中、黒海艦隊は出航を命じられ、ロシア港湾間を移動するタンカーの護衛に当たる可能性がある。現在、黒海艦隊が頼れる戦力は、グリゴロヴィチ級フリゲート2隻、クリヴァク級フリゲート2隻、ブヤンM級コルベット2隻、タランチュラ級ミサイル艇2隻、ボラ級ホバークラフト2隻、グリシャ級対潜コルベット6隻、ビコフ級哨戒艇3隻である。理論上、これらの戦力は黒海艦隊管轄のロシア港湾と行き来するタンカーに対し、強力な護衛を提供するのに十分だ。

しかし黒海艦隊が実際に護衛任務を遂行できるか疑問だ。艦隊は主にノヴォロシースク港に留め置かれ、実戦訓練の機会がほとんどない。2022年から2024年にかけての海上作戦が示すように、ウクライナが支援艦艇がない単独行動中の艦艇を攻撃対象としたため、黒海艦隊の軍艦はこの期間、自己防衛すら困難だった。したがって黒海艦隊が護衛任務を遂行するには、ウクライナのドローン攻撃に対する相互支援を確保するため、複数艦を同時に配備する必要がある。ドローン攻撃下での複数艦艇の同時連携は、指揮系統が整備され訓練された乗組員であっても、混乱を極め実行困難だ。さらに、海上に出れば黒海艦隊の艦艇は陸上防空システムの射程外で活動することになり、無人航空機(UAV)攻撃に対する脆弱性が大幅に増大する。これにより、タンカー護衛を開始した黒海艦隊が直面する作戦範囲は大幅に拡大する。海上と空中の両方の脅威に対処しなければならないからだ。

黒海艦隊がタンカー護衛に投入されれば、ウクライナはロシア軍艦艇に対し、組織的かつ圧倒的なドローン攻撃を仕掛け、さらにロシア軍艦艇を無力化・撃沈する機会を逃さないと推測される。ウクライナが西側情報網にアクセスできることを考慮すると、黒海艦隊が外洋へ進出する際や艦艇の海上位置について事前情報を得られる可能性がある。NATOの監視機は定期的に黒海上空に展開し、海上情勢の監視と情報収集を行っている。

これに対しロシアの対応策は、船舶に対しAIS放送を停止させるか、目的地港湾の放送を中止させることだった。しかしこれらの対策は限定的な防御に過ぎない。タンカーはトルコ海峡を通過せざるを得ず、寄港可能な港湾も極めて限られているからだ。イスタンブールにいるウクライナ工作員なら、影の艦隊タンカーが黒海に進入するのを視認し、その航行を報告できる。石油ターミナルの数が限られているため、タンカーの航路や概ねの速度は周知の事実となる。これらの要素から、ウクライナはタンカーが黒海入りした後は位置を追跡・計算し、ロシアの排他的経済水域(EEZ)に侵入するタイミングを特定できる。無人水上艇(USV)をトルコのEEZで運用し、タンカーを監視させれば、ウクライナはリアルタイムで位置と進路情報を得られる可能性がある。■


フレデリック・ヴァン・ロケレン

フレデリック・ヴァン・ロケレンは元海軍中尉であり、ベルギー海軍で7年間勤務し、兵站と海上情報分析の訓練を受けた。その後、フリーランスの海上アナリストとして活動し、戦略的・作戦レベルでの海軍動向について定期的に執筆している。専門分野はロシア海軍であり、個人ブログ「ロシア海軍 - ニュースと分析」で動向を追跡している。また、欧州諸国の海軍やインド太平洋地域の海上動向も監視している。


Ukraine Strikes Russian Shadow Fleet Tankers in Black Sea



2023年7月23日日曜日

ウクライナも黒海上の海上航行に警告。7月20日。ウクライナ軍のUSV運用能力はここにきて格段の進歩を遂げている。

 



黒海航路に関するウクライナの警告は、水曜日のロシアからの警告に続くものであり、オデーサとミコライフが再び攻撃されたのを受けてのものだ


シアが黒海沿岸の船舶を威嚇した翌日、キーウはロシアまたはロシアが占領中の地域の港に向かう黒海沿岸のすべての船舶に対し、「ウクライナは軍事物資を運んでいると見なし、それに伴うすべてのリスクを負う可能性がある」と警告した。

 ウクライナ国防総省はまた、「ウクライナの黒海北東部およびケルチ・イェニカル海峡の領域での航行は、7月20日午前5時(現地時間)より危険のため禁止する」と警告した。船員向けの関連航行情報はすでに発表されている。

 この海峡には、ウラジーミル・プーチンが2014年以来占領しているクリミア半島とロシアを結ぶ40億ドルの自慢の橋、ケルチ橋がかかっている。同橋は先週日曜日、10月以来2度目の攻撃を受けた。

 ウクライナ国防省(MoD)は、重要な海軍プレゼンスを有していないが、各海域を防衛する能力を有していることを強調し、2022年4月に国産開発の対艦巡航ミサイル「ネプチューン」で撃沈されたロシア海軍のスラヴァ級巡洋艦「モスクヴァ」プロジェクト1164の脅威を提起した。

 「巡洋艦『モスクワ』の運命は、ウクライナ国防軍が海上でのロシアの侵略を撃退するのに必要な手段を持っていることを証明している」とウクライナ国防省は述べた。

 この警告は、ロシア国防省が「ウクライナの港に向かう黒海海域を航行するすべての船舶は、軍事物資を運搬する可能性があるとみなされる」と述べた翌日に発せられた。また、オデーサとミコライフの港湾都市が3日目の空爆を受けた。ウクライナは、これらの攻撃で民間人が死亡し、穀物6万トンが破壊されたと主張している。

 ウクライナ国防省は、「ロシア連邦は、全世界に普遍的な自由航行の権利を再び残酷に侵害し、食料安全保障を故意に損ない、何百万人もの人々を飢餓に陥れている」と述べた。

 ロシアの警告を受けて、英国国防省は木曜日、ロシアの黒海艦隊(BSF)が「継続する貿易を妨害するため、今後より積極的な役割を果たすだろう」と述べた。しかし、BSFによる封鎖作戦は、ウクライナの無人水上艦艇(USV)や沿岸防衛巡航ミサイルの危険にさらされることになろう」と述べた。

 前述のネプチューンによるモスクヴァ撃沈に加え、ウクライナは地上発射型のハープーン対艦ミサイルも保有している。これらのミサイルはウクライナ海岸からおよそ75マイルまで届く。海上発射や空中発射に転用できる可能性もあるが、現時点でその兆候はない。

 ロシアからは、ウクライナがロシア船舶に対して少なくとも2回の超長距離無人水上艦艇(USV)攻撃を試みたと主張している。ひとつは5月、トルコのボスポラス海峡の北東約90マイルの黒海で、プロジェクト18280のイワノフ級諜報船イワン・クルスを標的にしたと報じられている。

 もうひとつは6月に起きたとされ、ロシアによれば、ウクライナは黒海の主要な天然ガスパイプラインでパトロール中のロシア艦プリアゾヴィエを6隻の高速ドローンボートで攻撃しようとしたが失敗したという。

 この攻撃が本物か演出かは不明だが、ウクライナは明らかに、高度なUSV攻撃の能力を身につけている。BSFの本拠地であるセヴァストポリでは数回にわたり攻撃があり、日曜日にはウクライナとロシアの当局者が、ケルチ橋がウクライナのUSVによって攻撃されたと発表した。

 一方、ウクライナ空軍によると、木曜日の夜、ロシアは19発のミサイルと19機のイラン製シャヘド型無人機をオデーサとミコリアフに発射した。その中には、地表攻撃兵器に転用されたP-800オニキス対艦巡航ミサイル7発、Kh-22超音速巡航ミサイル4発、カリブル海上発射巡航ミサイル3発、イスカンデルK陸上巡航ミサイル5発が含まれていた。

 ウクライナ空軍は、カリブル2発、イスカンダル3発、無人機13機を破壊したと発表した。しかし、残りは両都市を攻撃することができた。

 特にオニキスとKh-22は、地対地攻撃兵器として使用されているS-300防空ミサイルとともに、ペイトリオット砲台に守られていない国土の大半の空域では、ウクライナの防空が防御できない弾薬である。

 オデーサでは、攻撃で21歳の警備員が死亡し、建物数棟が損壊したと、オデーサ州知事のOleh Kiperが木曜日にテレグラム・チャンネルで発表した。知事によれば、そのうちの1棟には中国当局者が住んでいたという。

 「侵略者は意図的に港湾インフラを攻撃した。周辺の行政施設や住宅、中華人民共和国の領事館が被害を受けた。「このことは、敵が何事にも注意を払わないことを示唆している」。

 ウクライナ国防省によると、ミコリアフでは1人が死亡、18人が負傷し、いくつかの建物が損壊した。

 ロシア国防省は、今回の空爆はウクライナの軍事標的を狙ったもので、同地域の「オデーサとイリイチョフスク近郊の無人艇の生産作業場と保管場所」を狙ったと再び述べた。

 ミコリャフ近郊では、燃料インフラ施設と弾薬庫を「破壊した」とロシアは述べた。

ザポリツィア州とドンバス地方でウクライナが継続中の反攻は、当然ながら世界的に大きな注目を集めているが、黒海の状況は、橋の攻撃とそれに続くロシアの黒海穀物イニシアティブ脱退によって、著しく不安定になっている。この協定は、ウクライナの黒海の港であるオデーサ、チョルノモルスク、ユジニを経由し穀物やその他の食料品、肥料を出荷できるようにするために昨年打ち出された。

 米国防総省はこの取り決めの終了はすでに世界的な問題を引き起こしていると木曜日、指摘した。

 木曜日にウクライナの港を攻撃し続けたことに加え、ホワイトハウスの高官は、ロシアはウクライナの港へのアプローチもねらっており、民間船攻撃の下地を作っているようだと警告した。

 「黒海での民間船舶に対する攻撃を正当化し、その責任をウクライナになすりつける組織的な努力だと考えている」と、国家安全保障会議のスポークスマンであるアダム・ホッジは声明の中で述べたと、ニューヨーク・タイムズ紙は報じた。■


Ukraine Issues Its Own Ominous Black Sea Shipping Warning | The Drive

BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED JUL 20, 2023 4:15 PM EDT

THE WAR ZONE


2023年3月15日水曜日

速報 黒海上空でSu-27がMQ-9を迎撃し、海上に墜落させた事件が発生。

U.S. Air Force photo by Senior Airman Daniel Snider/Crown Copyright


ロシア軍Su-27の2機がMQ-9を迎撃し、燃料を投下し、1機がドローンのプロペラを挟み込み、リーパーが海上に墜落した



空軍は、MQ-9リーパー無人機1機が、ロシアのSu-27フランカー戦闘機と衝突し、本日黒海に墜落したと発表した。事故は、国際空域でロシアのSu-27戦闘機が無人機を「無謀」で「プロフェッショナルでない」方法で迎撃した結果であるという。

 米欧州軍(EUCOM)のプレスリリースによると、衝突は現地時間午前7時3分ごろに発生したす。事件に関するニュースはすでに出始めており、当局がドローンが撃墜されたか判断に当たっているとの報道もあった。USAFEの声明は、それが事実でないことを明らかにしている。

 「ロシアのSu-27機がMQ-9のプロペラに衝突し、米軍は国際水域でMQ-9を墜落させなければならなくなった」とプレスリリースは説明している。「衝突前に数回、Su-27は燃料を投棄し、無謀で、環境的に不健全で、プロフェッショナルではない方法で、MQ-9の前を飛行した」。

2021年の演習で黒海の国ルーマニアの上空を飛行する米空軍のMQ-9。本日の衝突に巻き込まれたリーパーがどこから飛んできたかは不明。 USAF



ロシア人パイロットの正確な動機は不明だが、米国当局者は、無人機を墜落させる意図的な意図があったことを一方的に示す明確な兆候はないと見ている。「MQ-9を妨害する意図は(中略)あったが、衝突は技能の不在のためと思われる」と、空軍関係者はThe War Zoneに語っている。


Su-27 Flanker

イギリス機による迎撃の際に見たロシアのSu-27フランカー戦闘機。Crown Copyright


MQ-9がどこから飛んできてどの部隊に所属していたのかは不明。空軍は、黒海に面したルーマニアや、イタリアのシゴネラ海軍航空基地など、ヨーロッパにリーパーを配備している。リーパーは、ロシアが2022年2月にウクライナへ全面侵攻を開始するずっと前から、この地域で日常的に情報・監視・偵察(ISR)活動を実施していた。うちの1機、第31遠征作戦群第1分隊に所属するドローンは、2022年7月に同国でまだ理由がはっきりしないまま墜落した。

 本日の衝突後のロシアのSu-27の状態は不明である。

 「衝突直後、ビデオ映像は数秒間カットアウトした」。空軍関係者はThe War Zoneに「Su-27がどのようなダメージを受けたかは不明だが、基地に戻った」とし、「ロシア機がどの基地から来たのか、あるいはどの基地に戻ったのかは分からない」と付け加えた。「しかし、その衝撃が跡を残したことは確かだ。あと数センチ前進すれば、ロシア機は大きく損傷し、おそらく破壊されていただろう」。

 現在、ロシアのSu-27がある程度のダメージを受けながらクリミアの基地に着陸したとの未確認情報がある。問題の基地は、Su-27SMフランカーを運用する第38戦闘航空連隊の本拠地であるベルベクの可能性が非常に高い。

 また、事件中や事件後にロシア軍のどのレベルとも接触を試みたかどうかなど、米軍が他にどのような行動をとったかも明らかではない。空軍関係者もThe War Zoneに「我々はUSAFEからロシアと直接話をしていない」と語ったが、他の米当局がしたのかどうかについては明言できない。

 今日、黒海上空で起きた事件の後に行われた定例記者会見で、国務省のネッド・プライス報道官は、アメリカ政府は同盟国協力国に状況を伝えるために関与していると述べた。プライスによれば、アメリカ政府関係者は、同国外務省を含むロシア側と関わっており、在ワシントンロシア大使を召還し、クレムリンに直接強い異議を伝える予定という。

 The War Zoneは、国防長官室、ホワイトハウスの国家安全保障会議、国務省、NATOに詳しい情報を求めている。

「MQ-9は、国際空域で日常的な運用を行っていたところ、ロシア航空機に迎撃され、衝突し、MQ-9は墜落し、完全に失われた 」と、米空軍のジェームズ・ヘッカー大将Gen. James Heckerはプレスリリースに付随する声明で述べています。「ロシア人による危険でプロフェッショナルでない行為により、2機とも墜落しそうになった」。

 ヘッカーは、空軍の在欧最高司令部US Air Forces in Europeのトップであり、Air Forces Africa(AFAFRICA)およびNATOのAllied Air Commandも兼任する。空軍は、乗員・非乗員の航空機で、黒海上空とその周辺でのISR活動を日常的に行っている。

 「米国と連合国航空機は引き続き国際空域で活動するため、ロシア側にプロとして安全行動を求める」

 「今回の事件は加えて、能力の欠如を示している」。とプレスリリースは付け加えている。「黒海上空を含む国際空域で米国および連合国の航空機と交流している間のロシア人パイロットによる危険行動のパターンを踏襲している。ロシア航空機搭乗員によるこうした攻撃的な行動は危険であり、誤算と意図せぬエスカレーションにつながる可能性がある」。

 黒海上空やその他の場所で、ロシア機と米国機、ロシア機と他のNATO加盟国の航空機の間でこのような相互作用が起こることは、ほとんど新しいことではない。

 英国国防省は以前、2022年10月に英国空軍(RAF)のRC-135Wリベットジョイント電子偵察機を迎撃した際に、ロシアSu-27フランカーがミサイルを「放出」したと発表したことがある。フランカーが実際に英国のリベットジョイントにミサイルを発射したかどうかは不明だが、ロシア戦術のエスカレートを指摘し、その他にもこのような事件における危険な誤算のリスクを浮き彫りにしている。このため、英国空軍は、少なくともその後のミッションにおいて、RC-135Wを護衛するためタイフーン戦闘機を派遣した。

 無搭乗のプラットフォームを撃墜しても、エスカレートのリスクが低いということが注目に値する。この現実は、2019年にオマーン湾上空でイランが米海軍のRQ-4N広域海上監視デモ機(BAMS-D)ドローンを撃墜したことで浮き彫りになった。この事件は、最終的に米軍からの直接的な表立った報復を引き起こさなかったが、他にもイランによる米軍無人機の積極的な迎撃が何年も続いていた。米戦闘機は、イランの航空機を追い払うために出動したことが少なくとも過去に数回ある。

 黒海は、航空機船舶にとって制約の多い環境であり、平時も戦争中も固有のリスクを抱えている。

 本日の事件は、ウクライナ紛争がこの地域に広く波及する可能性についての長年の懸念の中で起きたもので、プーチン大統領をはじめとするロシア当局は、ウクライナへの軍事支援などをめぐり、米国やNATO加盟国などに報復するとの漠然とした脅しを日常的に発している。MQ-9の損失に対して、どちらの側がどのように反応するかは、まだわからない。


更新 午後3時40分(日本時間)。

ロシア国防省は現在、衝突はなく、米空軍のMQ-9は制御不能な飛行に入り黒海に落下する前に急操作をしたとする声明を発表している。また、同省は、リーパーはトランスポンダーを装着せず飛行しており、昨年ウクライナへの全面侵攻を開始したロシア当局が宣言した制限空域を飛行していたとしている。

 ロシア国防省は今のところ、こうした主張の裏付けとなる証拠を提示していない。

 リーパーの運用と性能に詳しい複数情報筋は、出力変化で急減速することがあると指摘する。MQ-9に嫌がらせをしようとするロシアの航空機が、わずかな出力変化でMQ-9に突っ込む可能性がある。また、MQ-9の遠隔パイロットは周囲の状況認識が非常に限られているため、迎撃機があまりにも接近して飛行するリスクは高まるばかりだ。

 本日の定例記者会見で、ペンタゴン報道官パトリック・ライダー米空軍准将は、今回の事件でMQ-9が捉えた画像の機密解除に向けた取り組みが行われていることを明らかにした。もし、画像が公開されれば、何が起こったのかをより明確にすることができるだろう。

 また、ライダー准将は、米国がドローンを回収する可能性については何も話すことはないとし、ロシアがこれまでに回収しようとした試みについても知らないと述べた。ロシア軍と情報機関は、海底から物体を回収する経験や専門的な能力を持っていることは確かです。特にMQ-9が機密性の高いセンサーやその他のシステムを搭載していた可能性があることを考えると、米軍が最初にそれを行うことが必須となるはずだ。

 The War Zoneは、MQ-9を回収するためにどのような措置がすでに取られているのか、海軍に問い合わせたところ、より詳しい情報を得ている。■


Russian Su-27 Collided With U.S. MQ-9 Over Black Sea | The Drive

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BYHOWARD ALTMAN, JOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 14, 2023 2:30 PM

THE WAR ZONE

2022年7月2日土曜日

ロシアがスネーク島を放棄で黒海情勢への影響は? 穀物輸送に道が開くと考えるのは楽観的すぎる

 

 

海の海上戦闘は激化しており、ウクライナ側が大きな勝利を収めたようだ。ロシアはスネーク島から部隊を撤退させると発表した。ウクライナ軍が同島を奪回するのは間違いない。

 

 

戦略的価値

スネーク島は、西ウクライナの3港へのアプローチを制御し、黒海西部の海洋空間の制御で重要拠点となる。

 

ドナウ川デルタ地帯にも近いため、ロシアとNATO間で紛争が発生した場合、戦略的意義がある。

 

ロシアがスネーク島を占領したのは、開戦当初で、ウクライナ守備隊がロシアの降伏要求を拒否したことで有名となった。降伏要求を出した巡洋艦モスクワは、その後ウクライナの対艦ミサイルで撃沈された。

 

ウクライナ軍は無人機や固定翼戦闘機による攻撃、特殊部隊による襲撃の噂など、島を奪還するため高価な手段を講じてきた。

ロシアもウクライナも(昨日までは)スネーク島を戦略上重要な地点と見なしていたようで、人道的な理由で撤退するというロシアの説明は全くおかしな話だ。

 

装備品

スネーク島作戦を語る上で欠かせないのが、西側諸国からウクライナへ供与された殺傷力の高い装備品だ。ハープーン、エグゾセ、ノルウェーのネイバルストライクミサイルは、単独でスネーク島を奪還したわけではないが、ロシアの戦略的状況が変わったことは確かだ。

 

ハープーンミサイルは、先月、スネーク島に物資輸送中ロシアのタグボートを沈め、ウクライナの陸上砲撃効果が高まるにつれ、ロシアはスネーク島の補強や補給が不可能になった。

 

航空補給は、ウクライナの戦闘機と固定防空網が近くにあるため、利用できない。

 

長距離砲が役割を果たしたと思われる。ウクライナがロシア軍を撃退するため使用した砲兵システムについては不明だが、長距離砲はロシア陣地を苦しめただろう。これには大量の武器は必要なく、ロシア軍が対応できない精密砲撃を定期的に行うだけでよい。

 

穀物輸出への影響は

残念ながら、スネーク島奪回は、ウクライナがロシアの封鎖を解いたことを意味しない。

 

スネーク島は長期的に大きな影響力を持つ戦略的位置にあるが、ロシアによる占拠はウクライナの穀物輸出やオデーサへの物資輸送を妨げていなかった。今後数カ月、ロシア海軍の艦艇の消耗が大幅に増えないと仮定すれば、ロシアは封鎖を無期限に維持できる。特に、ウクライナ全土の目標に向けて長距離ミサイルを発射している黒海艦隊の潜水艦に対して、ウクライナは対応策を持っていない。

理論的には、西側諸国は対潜水艦技術を提供できるが、対潜戦は軍事作戦で最も複雑であり、米国などNATO諸国はロシアに対潜水艦技術や技法のヒントは与えたくないはずだ。

 

残念ながら、封鎖を解く選択肢(安全回廊の発表やウクライナに向かう船舶の船籍変更など)のほとんどは、依然望ましくなく、重大なエスカレーションの危険性をはらんでいる。

 

まとめ

海戦は続く。意外ながら、ウクライナは黒海でロシア石油基地を攻撃しており、ロシアに苦痛を与える能力と意志が残っていることがわかる。ロシアは、封鎖を維持するために潜水艦でウクライナの陸上目標にミサイルを発射し続けている。

 

海上でこの戦争が決着するわけではないが、海上戦闘の結果が陸上戦の行方に影響を与えることは間違いない。■

 

Russia's Defeat at Snake Island Is a Big Setback in the Ukraine War - 19FortyFive

ByRobert FarleyPublished1 hour ago

 

 

Expert Biography: Dr. Robert Farley, a 19FortyFive Contributing Editor, has taught security and diplomacy courses at the Patterson School since 2005. He received his BS from the University of Oregon in 1997, and his Ph.D. from the University of Washington in 2004. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020). He has contributed extensively to a number of journals and magazines, including the National Interest, the Diplomat: APAC, World Politics Review, and the American Prospect. Dr. Farley is also a founder and senior editor


2022年2月1日火曜日

ウクライナ危機。黒海にも注目。海軍力でウクライナはロシアに対抗できる存在ではないが、侵攻となれば事態はこう展開する。

 Russia Black Sea Fleet frigate Admiral Makarov Project 11356

Russian Navy Black Sea Fleet frigate Admiral Makarov Project 11356. Russian MoD picture.


クライナとロシア(あるいはNATOとロシア)の緊張は高まるばかりだ。双方の言動が紛争の可能性をさらに高めている。黒海では100年以上ぶりに激しい戦闘が繰り広げられるのか、最も差し迫った問題が生じている。ウクライナは抵抗できるのか?

 

ウクライナとロシアは常に緊張状態にあるが、ロシアがクリミアを併合した2014年以降、とくに緊張は高まってきた。ゼレンスキー政権が西側への接近を明らかにし、NATO加盟を正式に宣言したことがロシアの反発を強め、国境を越える武器の流れが強まった。2019年、憲法改正により、ウクライナ政府はEUとNATO加盟に向けた「戦略的コース」の実行で責任を負うと宣言されたからだ。


地域紛争や国境沿いの軍事化の拡大に注目が集まる一方で、海上の状況がクローズアップされていない。


ロシアは、クリミアやウクライナ東部を囲む海域、特にアゾフ海やケルチ海峡で支配を強めている。これに加え艦艇数の増強は、ウクライナの海軍行動と民間船舶の双方に障害をもたらす。危機が本格的な戦争に発展した場合、ロシアの黒海艦隊はほぼ間違いなくこの地域を封鎖し、ウクライナ海軍がロシアに対抗すれば、黒海は1世紀ぶりに真の熱い対決を迎えることになる。


Graphic source: U.S. Congress report, October 5, 2021


しかし、ウクライナ海軍はロシア艦隊に対抗できるだろうか。現在の海軍の体積、武装、経験、訓練水準から見て、ウクライナにとって状況は厳しい。



ウクライナ海軍の実態


ウクライナの海軍力は弱い。ソ連から独立後、黒海艦隊の配分をめぐりロシアと意見の相違があったものの、適度な海軍力を保持していた。しかし、2014年にロシアがクリミアを併合したことで、ウクライナは海軍力の相当部分を失った。ウクライナ海軍の基地の大部分と人員の大部分がクリミアに集中していたからだ。ロシアはウクライナの海軍力の75%、ヘリコプターの大部分、船舶修理能力の大部分を掌握した。


現在のウクライナ海軍は、フリゲート1隻が中心で、小型戦闘艦や揚陸艦など15隻で構成。唯一のフリゲート艦は武装が限定的で、対艦ミサイルは未搭載。また、対潜水艦戦能力も、海軍航空戦力が不足しているため、劣る。


ウクライナは衝撃後の傷を癒すために調達計画に着手した。その結果、射程280キロの地上発射型対艦ミサイル「ネプチューン」の配備で、限定的ながら海上阻止能力を手に入れた。また、トルコ製の武装無人偵察機「TB2バイラクター」を調達し、監視能力と小攻撃力を実現した。


米国、英国をはじめとするNATOの加盟各国は、ウクライナを支援し、海軍だけでなく、陸上部隊や特殊作戦部隊の再建をめざしている。米国は、中古のアイランド級巡視船4隻を送るほか、同国の弱体海上部隊の増強のため、最大16隻のMk VI巡視船の売却を承認した。英国は現在、ウクライナにサンダウン級機雷掃海艇 2 隻を供給しており、艤装中で、バブコック社はミサイル艇 8 隻を建造中。31型フリゲート艦の取得も検討されているが、進捗状況は不明。現在、フランスのOCEA造船所がウクライナ向けにOCEA FPB 98 MKIを20隻建造している。2021年12月、ウクライナとデンマークは「デンマークの船舶設計と技術」に関するMoUを締結した。


トルコのRMK Marine造船所はウクライナ向けにAda級コルベットを建造しており、最初の(おそらく2隻の)コルベットは2023年に就役する予定。ウクライナ海軍は、引き渡し後、低レベルではあるが、ASW能力を獲得することになる。


ロシアの黒海艦隊の能力


2014年以降、ロシアはクリミアでの軍事的プレゼンスを大幅に高め、地元の反対運動を抑え、セヴァストポリに司令部を置く黒海艦隊の規模と能力を高めてきた。オープンソース情報によると、黒海艦隊には現在、約49隻の艦船と7隻の潜水艦が配備されている。


2015年から2020年にかけ納入された新型のプロジェクト636.3(改良型キロ)ディーゼル潜水艦6隻、アドミラル・グリゴロヴィッチ級フリゲート3隻、ブヤンM級コルベット1隻(計3隻)、プロジェクト22160巡視船3隻はいずれもカリブル対地巡航ミサイルを配備可能である。アドミラル・グリゴロヴィッチ型フリゲート艦は、極超音速ミサイル「ツィルコン」の搭載を宣言していたが、現在の配備状況は不明。


艦隊旗艦のモスクバは、超音速対艦巡航ミサイルP-1000バルカン、長距離防空ミサイル3M41フォートなどの誘導兵器を搭載する。揚陸艦隊は、老朽化したロプチャ級とアリゲーター級水陸両用艦7隻と、小型上陸用舟艇数隻で構成されている。


以上の情報から両軍の比較は無意味だとわかる。

NATOと米国はウクライナを海から守ることはできない


ウクライナはNATOの加盟候補国として有望視されているが、正式申請書は未提出だ。NATOや米国が対ロシアでウクライナ軍を強化することが期待されていたが、ストルテンベルグNATO事務総長は、紛争が発生しても、ウクライナはまだNATO加盟国でないので、NATOは軍事活動に関与しないと表明した。


ストルテンベルグが軍事的支援のドアを閉じたにもかかわらず、NATOは、ロシアがウクライナ周辺で軍事増強を続ける中、抑止力と防衛力を強化するために、加盟国部隊を待機させ、東欧のNATO加盟国に船舶と戦闘機を追加派遣する発表をした。しかし、黒海側では暗雲が立ち込めている。


NATOが黒海で介入を決定するとしても、ハードルは高い。海峡の通過体制を規定するモントルー条約では、船舶合計トン数を最大4万トンに制限しており、これは駆逐艦3〜4隻、フリゲート艦1〜2隻に相当する。ロシアの黒海沿岸にはBAL/Bastionミサイル陣地があり、海中には改良型キロ級潜水艦が潜むため、水上戦力で黒海のA2/AD地帯の突破は困難であろう。


NATOは黒海に潜水艦を投入したいとするが、モントルー条約は非当事国の潜水艦は黒海配備を禁じている。トルコは黒海でNATO唯一の潜水艦保有国だが、ロシアとの水中戦に消極的だろう。


NATOは、現時点で侵略に介入するつもりはないが、方針を変えたとしても、黒海はNATOに立ち入り禁止区域となる。

ロシア黒海艦隊が取り得る行動方針

戦闘が切迫していると判断されれば、ロシアが黒海艦隊を動員する可能性が非常に高い。ケルチ海峡とオデッサ港への海上交通を遮断するのが、そのような場合でのロシア艦隊の最初の展開となるだろう。ウクライナ経済にとって重要なオデッサ港の封鎖は、ウクライナの戦闘能力と意思に大きな損失を与える。その結果、MIO(海上阻止作戦)の支援を受けた遮断作戦が実現可能と思われる。


Russia can dominate the North of Black Sea if awaited conflict blows out with Ukraineウクライナのネプチューン対艦ミサイル (Ukraine MoD photo)



封鎖作戦の開始時に、ロシア海軍がウクライナ海軍と交戦する可能性が高い。また、ロシアは海軍戦闘機にとって脅威となるネプチューン・ミサイル砲台を無力化する必要があり、緊迫した海上・航空協調行動が予想される。さらに、水上・水中部隊がカリブル陸上攻撃ミサイルを用いた深部攻撃を実施し、ウクライナの重要施設・部隊を破壊し、同国の決意を失わせる可能性が高い。


ロシアが揚陸作戦を行うとの見方が広がっているが、上陸作戦を行えば、膨大な犠牲を覚悟しなければならず、詳細に評価する必要がある。


第197強襲揚陸艦旅団は、揚陸艦アリゲーター級3隻とロプチャ級4隻で、艦隊の水陸両用輸送を担っている。ロシアのバルチック艦隊のロプチャ級揚陸艦「コロレフ」と「ミンスク」が加わり、海軍歩兵大隊戦術群2個分程度の水陸両用揚陸艦の能力を持つことになる。


ただしロシアがウクライナに上陸するのは容易ではない。ウクライナの海岸は高い丘と崖が海岸まで続き、開けた海岸が少なく、機械化水陸両用部隊に適した海岸がほとんどない。


「崖に囲まれていない海岸部は市街地化されており、効果的に防衛されれば上陸部隊は非常に困難で、想定外の結果をもたらす市街戦に発展する可能性がある」米海兵隊退役将校フィリップ・G・ワシーレフスキー大佐


気象条件も揚陸部隊に厳しい。なぜなら、この時期の平均気温は-3、-5度程度で、-30度以下になることもある。また、海の塩分濃度が低く、浅いことも問題だ。


天候や水の状態、水路や地形の制約、揚陸部隊の物資輸送能力の制限、航空優勢を維持することの難しさ、そして兵たんなど、すべてが黒海でのロシア水陸両用作戦の危険性を示している。その結果、ロシアが水陸両用作戦を開始するかは、損失をどこまで許容できるか次第だろう。■


Analysis: Russia to Dominate the Black Sea in case of Ukraine Conflict - Naval News

Tayfun Ozberk  30 Jan 2022


 

Posted by : Tayfun Ozberk

Tayfun Ozberk is a former naval officer who is expert in Above Water Warfare especially in Littoral Waters. He has a Bachelor Degree in Computer Science. After serving the Turkish Navy for 16 years, he started writing articles for several media. Tayfun also offers analysis services on global naval strategies. He's based in Mersin, Turkey.