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2025年1月11日土曜日

SAOC改造用ボーイング747-8の2機目を受領したSNC(The Aviationist)―機体はE-4Cの制式名称となりました。民間部門では747はほぼ姿を消しましたが、VC-25新型と合わせ大国アメリカが最後まで供用しそうです。

E-4B replacement

シエラネバダ・コーポレーションが公開したレンダリング。 (Image: Sierra Nevada Corporation)


2機目のボーイング747-8は、ソウルから12時間のフライトを経てデイトンに到着し、SNCの航空イノベーション・テクノロジーセンターで「ドゥームズデイ」航空機に改造される

エラネバダ・コーポレーションは、オハイオ州デイトンにある同社のエイビエーション・イノベーション&テクノロジー・センター(AITC)において、将来のサバイバブル・エアボーン・オペレーション・センター(SAOC)で改造されるボーイング747-8の2機目を受領した。 

同機は、これまで所在していたソウルから12時間のフライトを経て、2024年10月30日に同地に到着した。 2機目のボーイング747-8は、SNCの航空イノベーション・テクノロジー・センターで「ドゥームズデイ」機に改造される。 

E-4Cと制式名称がついた SAOCのSNCは今年初め、大韓航空からB747-8を5機、約6億7400万ドルで取得した。機体は2025年9月までに引き渡される予定で、最初の1機は2024年6月4日にデイトンに到着している。 一方、「ドゥームズデイ」と呼ばれる新型機も、このたび米空軍から正式な指定を受けた。 実際、8月30日に発表された運用試験評価部長の試験評価監視リストには、新型機が "Survivable Airborne Operations Center E-4C "と記載されている。 

 米空軍のSAOC契約に基づき、SNCは現在のE-4Bナイトウォッチの代替機となる。この高度に専門化された航空機は、大統領、国防長官、統合参謀本部議長のための空中指揮所として機能し、国家的緊急事態の間、重要な指揮・統制・通信(C3)を継続的に確保する。 

 SNCのIAS事業エリア担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるジョン・ピアットは、「我々のチームは、リスクを低減し、この必要不可欠な能力の開発を予定通り、あるいは前倒しで進めるため、これらの主要なマイルストーンに真摯に取り組んでいます。「2機目の機材の到着は、お客様のご要求に応えるためのエキサイティングな前進であり、私たちは期待を上回るよう努力しています。並行して、SAOCプログラムだけでなく、他の国防総省の顧客の増大する需要に対応するため、私たちは設備と能力への投資を続けています」。■


SNC Receives Second Boeing 747-8 for SAOC Conversion as Aircraft Gets E-4C Designation

Published on: November 1, 2024 at 6:11 PM

 Stefano D'Urso


https://theaviationist.com/2024/11/01/second-boeing-747-8-for-saoc-e-4c/




2024年5月11日土曜日

米空軍の次期『終末の日』機改修用に大韓航空所有747-8を調達

 Sierra Nevada Corporation (SNC), which won the contract to build the U.S. Air Force’s highly specialized Survivable Airborne Operations Center (SAOC) aircraft last month, has acquired five Boeing 747-8s from Korean Air. The likelihood is that these will be converted as the successors to the Air Force’s aging 747-200-based E-4B Nightwatch ‘doomsday planes,’ although at this stage we still don’t know how many of the new SAOC aircraft will be fielded.

tjdarmstadt/Wikimedia Commons




大韓航空が保有する747-8型機5機を、E-4B後継機を製造するSNCに売却することを決定した


先月、米空軍のサバイバブル・エアボーン・オペレーション・センター(SAOC)機の製造改修を受注したシエラネバダ・コーポレーション(SNC)は、大韓航空からボーイング747-8を5機譲り受けた。各機は、空軍の老朽化した747-200ベースのE-4Bナイトウォッチ「ドゥームズデイ・プレーン」の後継機として改造されることは間違いなさそうだが、現段階では、SAOC機が何機実戦配備されるのか不明だ。

 ロイター通信によると、大韓航空は昨日の取引所への提出書類で、保有する5機をSNCに売却することを確認した。取引額は6億7,400万ドルで、大韓航空の航空機近代化計画の一部となる。大韓航空によると、機材譲渡は2025年9月に予定されている。


SNCが購入する具体的な機種を大韓航空は明らかにしなかったが、この件に詳しいとされる情報筋はロイターに、747-8であると語った。また、SNCにも確認を求めている。


大韓航空には現在9機の747-8があり、368席の3クラス構成で運航されている。このうち、HL7644は747として製造された最後の機体である。その他の候補機体については、最も古い機体が2015年8月に大韓航空に引き渡されている。そのため、これらの機体は入手可能な747の中では最も若い部類に入るが、それでも日常運航に伴う定期的な消耗は避けられないだろう。


現在のE-4Bのうち2機(E-4Aとして完成)は、もともと民間旅客機になる予定だったが、実際に就航することはなかった。航空会社が発注をキャンセルすると、国家緊急空中司令部(NECAP)プログラムの下で空軍向けに改造された。


当時お伝えしたように、SNCは4月27日、SAOCを開発する130億ドル以上の契約の交付先として発表された。現行のE-4Bに代わるこの航空機は、大統領他の高官が、あらゆる潜在的な事態のもとで、核攻撃の指揮を含む任務を遂行できるようにするために重要な役割を果たす。


SNCは、ボーイングが昨年契約を辞退した後、この契約を勝ち取るための議論の余地のない候補として浮上していた。


空軍は現在4機のE-4Bを運用しているが、以前から8機から10機のSAOCを取得する可能性が示唆されていた。


大韓航空の747-8がSNCに5機売却されたことから、将来のSAOCも5機となる可能性があるが、1機はスペアパーツ供給源として、あるいはエンジニアリングや製造開発資産としてのみ使用される可能性も残っている。


機体数が増えれば、中古機体の追加購入が必要となり、SAOC機がルッキング・グラスというニックネームを持つ戦略司令部の任務、あるいはその一部を担うことになった場合、必要になる可能性が高い。現在、この空軍の任務は、米海軍がボーイング707ベースのE-6Bマーキュリー機16機で運用している。各機は、アメリカの弾道ミサイル潜水艦と通信する「テイク・チャージ・アンド・ムーブ・アウト」の役割と、陸上ICBMと同様に通信し、遠隔操作で発射することもできる「ルッキング・グラス」の双方役割を担っている。海軍の代替機はC-130Jをベースとするが、ルッキング・グラス任務はない。

契約締結に先立ち、SNCはすでにオハイオ州デイトンの施設でこの機種の受け入れ準備を進めており、昨年8月には747-8専用のオーバーホール格納庫が完成した。


国防総省からの関連通知によると、SAOC航空機の開発および製造に関する契約は、エンジニアリングおよび製造開発機、関連地上システム、製造機、および暫定的な請負業者サポートの納入を含め、2036年7月までに完了する予定だ。


747-8の選択は、広く予想されていたもので、SAOCと新型VC-25Bエアフォース・ワンの間に共通性を持たせることにもなる。ボーイングは現在、廃業したロシアの航空会社用に製造された747-8の2機をVC-25Bに改造中である。大韓航空の747-8とは異なり、VC-25Bに選定された機体は、商業運航を予定していた航空会社に引き渡されることはなかった。


これまでのところ、SNCのSAOCの構成に関する詳細はほとんど明らかになっていないが、同社が契約獲得直後に公開したコンセプト・アートには、興味深い特徴がいくつか示されている。


最も重要なのは、高度で安全性の高い通信スイートの追加や、電磁パルスに対する機体強化などだ。SNCのコンセプト・アートによれば、新しい「終末の日機」は空中給油システムを保持する。


いったん実戦配備されれば、SAOCは国家司令部(NCA)の基本的な部分となり、大統領が世界のどこからでも核攻撃を開始できる、堅牢で生存可能な空中司令部を提供する。この機能は、大統領の海外訪問に同行しているE-4Bが現在担当している。国防長官も定期的にE-4Bを海外訪問に利用し、スタッフや報道陣と一緒に搭乗している。


空中指揮所機能が任務の中心かもしれないが、今日のE-4BのようなSAOCは他の役割も果たすことができる。その安全な通信と指揮機能は、大規模な自然災害の余波を含む、他の種類の軍事作戦や有事対応活動を指揮するためにも有用である。


大韓航空が複数のボーイング747-8をSNCに売却するというニュースは、空軍の「終末の日機」フリートを活性化させる以上に、SNCを軍事航空宇宙分野で大きなプレーヤーにする可能性を含んだプログラムにおける次の具体的な動きとなる。■



Former Korean Air 747s Slated To Become USAF Doomsday Planes

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED MAY 9, 2024 2:21 PM EDT

AIR




2024年5月4日土曜日

E-4B後継機のコンセプト・アートからわかった興味深い特徴について: VC-25B(ボーイングが改修に苦労中)との共有化はできない? 747として最後に残る機体になりそう

 



NAOCあらためSAOCとしてシエラネヴァダコーポレーションが受注に至ったことは先にお伝えしました。同社から発表のコンセプト図からThe War Zoneがあれこれ推察してくれましたのでご紹介します。予想通り機体は製造済み747-8となり、同じ機体の改修に手こずっているボーイングと並行して作業が進んでいきますが、記事もし適しているように共用できる領域もあるはずで、今後ボーイングとSNCが接近する可能性もあるでしょう。


SAOC will replace the E-4B, now we have a better idea of what it will look like.


Sierra Nevada Corporation




シエラ・ネバダによる「生存可能な空中作戦センター」のコンセプトには、E-4Bとの共通点と相違点がある


エラネバダ・コーポレーション(SNC)は、軍用機の大規模な改造でよく知られる企業だが、老朽化した空軍のE-4B「ナイトウォッチ」国家空挺作戦センター(NAOC)機の後継機SAOCとして130億ドル相当の契約を獲得した。核硬化対策を施した航空機は4機あり、主に1970年代に調達されたもので、747-200型機をベースにしている。SNCは、E-4B後継機のコンセプト画像を初公開し、注目に値する特徴を明らかにした。


 今回想定されるSAOCの機体数はE-4Bの機体数を上回るとあり、退役が目前に迫っている別の機体の役割も担う可能性もある。


All four E-4Bs on the ramp together at the same time. (USAF)

All four E-4Bs on the ramp together at the same time. (USAF)


 第一に、SAOCがボーイング747-8をベースにした機体になることはほぼ確実だ。こ747の生産ラインは2022年に閉鎖され、ジャンボジェットの長い歴史に終止符が打たれた。そのため、機体は中古で入手するしかない。747-8は155機しか製造されず、そのうち旅客機仕様の747-8iは55機しか製造されなかった。これは、ボーイングが将来のエアフォース・ワン用にVC-25B型に改造しているのと同じタイプで、これも中古で入手したものである。SAOCプログラムの要求を満たすには、4発エンジンが必要であることなどから、747がほぼ唯一の選択肢となった。

 コンセプト・アートでは、E-4B後継機は、象徴的な白と青のペイント・スキームを含め、現行機によく似ている。しかし、747-8iは-200より大きく、内部空間は4,800平方フィート近くもあり、新しい主翼と、より強力で効率的なGEnxハイバイパス比ターボファンエンジンを備えている。また、細長いアッパーデッキの「ハンプ」を備え、従来の747-200以降の機体よりさらに広い内部空間を確保している。


 SNCのコンセプト・アートを見る限り、この軍用機747-8iの新型機には空中給油システムが搭載されている。これは、空中給油機能を備えた先代のVC-25Aからの大きな変更である。これは物議を醸している。この能力は緊急時にのみ使用されるものだが、VC-25Aは標準的な航続距離よりもはるかに長く、一度に数日間も上空にとどまることができるという事実が、冷戦末期に必要とされた重要な能力だった。今日、E-4BはVC-25A乗組員の空中給油訓練に使われている。


 特筆すべきは、給油レセプタクルの位置が、VC-25AとE-4Bで共通の機首の膨らみから、コックピットエリアすぐ上のハンプの上に移動したことだ。


空中給油スリップウェイ/レセプタクルは機首からコックピットの上、747-8iのハンプの上に移動した。(SNC、アメリカ空軍)

 空中給油は、E-4Bの長距離任務や有事任務で定期的に使用されている。例えば、国防長官が世界各地を飛び回る際、E-4Bを使用することが多いが、その際何度も空中給油が行われるため、航空機は給油のために着陸することなくそのまま飛行できる。大規模な危機の際、E-4Bを飛行させておくことが、機体の存続と「ビジネスケース」の鍵となるため、747-8の航続距離が前モデルより大幅に向上しているにもかかわらず、この能力が維持されること、少なくともそのように表現されることは驚くことではない。それでも、給油口の移動は、E-4Bの非常にわかりやすいシルエットの一面を変えることになる。



 コンセプトアートによると、E-4Bのユニークなプロフィールで、変わっていない部分として象徴的な衛星通信ドームがある。E-4Bが誕生して以来40年間、衛星通信スイートは技術的に長い道のりを歩んできたにもかかわらず、今回も同様の設置を見ている。


An E-4B aircraft sits on the tarmac at Travis Air Force Base, Calif., Sep. 11, 2017.  (U.S. Air Force photo by Louis Briscese)

An E-4B aircraft sits on the tarmac at Travis Air Force Base, Calif., Sep. 11, 2017. (U.S. Air Force photo by Louis Briscese)


 新しいSAOCコンセプトの背骨上に長方形のデザインの追加衛星通信アンテナシステム数点も見られる。E-4Bでこのエリアは基本的に空飛ぶアンテナファームである。VC-25Aも背骨に沿って同様の場所にブロードバンド衛星通信機能をアップグレードしている。


A top-down look at SNC's SAOC concept. (SNC)

A top-down look at SNC's SAOC concept. (SNC)


 また、尾翼上部の先端には、衛星生中継テレビ用に民間機や民間航空機に設置されているものと同様の、新しい衛星通信システムが見える。これはペンタゴンの空中コマンドセンターにとって重要な機能だろう。いずれにせよ、スターリンクのような弾力性のあるコンステレーションを活用することを含め、宇宙ベースの通信は、今後アメリカの核抑止力を支える戦略的通信でますます重要な役割を果たすだろう。そのため、機体の背骨にはアレイが散らばることになろう。


 地上エントリーポイントに接続する視線データリンクアンテナ用の2つの膨らみも、新しいコンセプトアートに見られる。これらは、ジェット機が安全な通信のために地上の通信サイトに直接「接続」するため不可欠なものだ。また、翼端の後縁と水平尾翼の前縁にある4本の高周波(HF)無線「スティンガー」のようなアンテナも存在する。



 ここで言及する価値のある、クォーター・サイド・アートとトップダウン・アートの間に非常に興味深い大きな相違点がある。トップダウン視点では、翼の下、翼根付近から2つのポッドのようなものが伸びている。これが何のためにあるのか、なぜ他のパースにはないのかは不明だが、追加通信機器がデザインに組み込まれた理由の1つとして考えられる。このようなポッドはE-4Bに存在しない。また、将来的に新しい技術やミッションに必要なものをSAOCに簡単に組み込むことができるようになるかもしれない。


 海軍の弾道ミサイル潜水艦との通信に使用される長い超低周波トレーリングワイヤーの後続ワイヤーアンテナも欠けているように見える。コンセプト画像にリール式アンテナがないのには、何か理由があるのかもしれない。


 もちろん、これらすべてはプログラムが軌道に乗るにつれて、特に要求が変われば変更される可能性があるが、現状では、この新型機は少なくとも見た目はE-4Bの直接の後継機となる。それでも、疑問の余地がある部分もある。


 発電や核爆発による電磁パルスへの硬化、一部の通信やその他多くのサブシステムなど、同じ機能で多数がSOACとVC-25Bの両方に必要となる。この種の開発には莫大な費用がかかる。同じ機体を使う2つのプログラムの間にどれだけクロスオーバーがあるかは不明だが、完全に二分するのは無駄のように思える。E-4の開発は、数十年前のVC-25プログラムに直接利益をもたらした。特に、2つの別々の請負業者が別々の機体構成を開発していることを考慮すれば、今回がどの程度そうなのかは現時点では不明だ。特に空中給油口の場合、SOAC用にすでに開発されているのに、VC-25Bで省略するのは奇妙に思える。以前のVC-25AとE-4Bのユニークな二分化のように、VC-25B機への給油訓練はSAOC機で行われる可能性がある。


 SAOCが最終的にどのような機能を持つことになるのかについてはまだよくわからないが、これらのコンセプトアートは、少なくとも現時点では、予想される一般構成を理解するのに役立つ。また、これらの航空機多数が、海軍の老朽化したE-6Bマーキュリーからルッキング・グラス空中司令機能と地上弾道ミサイル発射任務を引き継ぐかどうかもわからない。E-6Bは現在、弾道ミサイル潜水艦発射通信とルッキング・グラス双方の役割を担っている。


 海軍は、ボーイング707から派生したE-6Bを、C-130Jスーパーハーキュリーズをベースとした新しいTACAMO機に置き換えようとしている。747-8iは運用コストがはるかに高く、C-130Jの数分の一の飛行場にしかアクセスできないが、E-4Bが現在遂行している幅広い任務にははるかに適している。これには、国防総省の最高指導部やアメリカ大統領さえも空中で生存可能な指揮統制ノードとして機能することも含まれる。


 少なくとも航空ファンにとっては、「空の女王」747をベースにした最も魅力的で希少な航空機のひとつE-4Bが、747の究極バージョンに取って代わられるという事実は、確かにエキサイティングなことだ。ナイトウォッチのクルーや、これらの古い航空機を空中で維持するすべての人々にとっては、さらにエキサイティングなことに違いない。冷戦の暗黒時代以来見たこともないほど世界中の戦略的危機が高まっている今、このタイプの最高の機体に移行することが能力を高める。


 SNCにとって、このプログラムには絶対的なリスクとリターンがある。この種の契約は、歴史的にプライムが交付を受けるのが当然であったため、同社にとって大きなチャンスである。さまざまな製品を提供する中で、SNCは既存の航空機を軍や情報機関が望む形に改造することで、信頼と名声を築いてきた。同時に、ボーイングがVC-25B計画でいかに苦戦しているかを見れば、このような事業の複雑さがわかる。特に海軍はE-6Bを廃棄してC-130JをTACAMOに導入するスケジュールで動いており、その過程でルッキング・グラスの任務を放棄することになるため、SAOCへの期待も高まる。■


E-4B Doomsday Plane Replacement Concept Art Has Some Interesting Features

The Survivable Airborne Operations Center concept from Sierra Nevada Corp. has major similarities and differences with its E-4B predecessor.

BYTYLER ROGOWAY|PUBLISHED APR 29, 2024 4:20 PM EDT

AIR


2021年2月20日土曜日

E-4B後継機も747原型になる可能性が濃厚。ただし、新規製造機体の取得は困難なので中古機材でもよいとする米空軍。大統領専用機材は747-8iで装備品等のコスト削減も視野に入っている模様。

 

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An E-4B Nightwatch aircraft.

USAF

 

 

空軍が実現を急ぐのがSAOCすなわち残存可能空中作戦センター機で、老朽化してきた現行E-4Bナイトウォッチの後継機をめざす。

 

NAOC国家空中作戦センターとも呼ばれるSAOCの仕様は極秘扱いだが、空軍は後継機もE-4Bとほぼ同サイズの四発機を想定する。

 

空軍ライフ・サイクル管理センター (AFLCMC)の大統領専用機局がSAOC事業も担当し、契約公告を2021年2月17日に発表した。「政府は引き続き、超大型機を利用してのウェポンシステムの調達戦略を完全かつ開かれた形で希求する」とある。

 

USAF

E-4Bナイトウォッチは国家空中作戦センターとも呼ばれる。

 

 

これに先立ち、企業から民間機改装によるSAOC提案を募集する告示が2020年12月にあった。空軍から具体的情報の開示はないままで、関連のシステム要求内容文書(SRD) は極秘扱いとなっている。

 

Aviation Weekの防衛記事編集者スティーブ・トリンブルが中古民間機の利用の可能性に昨年触れていた。現時点でトリンブルは「超大型機体」との規定を見てジャンボジェット原型案の実現可能性が非常に高いと見ている。

 

SAOCの要求内容に物理的な内容があり、必要なエンジン数も定めており、極めて厳格に管理されているのは驚くにあたらない。よく「審判の日の機材」と呼ばれるE-4Bは四機あり、堅固かつ残存性が高い機体として大統領に国家統帥権(NCA)の実現として核攻撃命令を下す手段となる。その他の軍事作戦でも指揮統制を行い、必要に応じ大規模自然災害でも機能するのが役割だ。

 

大統領がVC-25Aエアフォースワンで海外移動する際にはE-4Bの一機が随行することが多い。E-4Bは国防長官の外国出張にもよく利用されている。

 

4機あるE-4Bのうち3機はE-4A高性能空中指揮所(AACP)として1970年代中頃に供用開始し、1980年代にNAOC仕様に改造された。4機目はNAOCとして取得した。全機が747-200B型を原型とする。なお、2機あるVC-25Aも同様に747-200Bを改修した。

 

空軍が747原型とするSAOCの実現に傾いている兆候は別にある。2017年に米海軍とともにE-4B、E-6Bマーキュリー、C-32Aを共通機材で更新する構想が浮上していた。

 

E-6Bも戦略指令機で、核爆撃機部隊、弾道ミサイル潜水艦やICBM部隊への通信を維持するための代替手段となる。この任務を空軍はABNCP、海軍はTACAMOと呼称している。

USAF

An E-6B Mercury.

 

C-32Aはエアフォースツゥーと呼ばれ、大統領も条件により使用することがあるが、通常は副大統領が使用する。

 

TYLER ROGOWAY

A C-32A Air Force Two.

 

2019年に空軍はNAOC、高官専用機、ABNCP、TACAMOを合わせたNEATの実現を棚上げし、SAOCとしてE-4B後継機の実現に集中するとした。2020年に海軍は次期TACAMOにC-130Jを検討中と発表した。

 

C-32Aは双発のボーイング757が原型で、E-6Bはボーイング707を元にしている。各機材で要求性能が異なり、機材統合案は実現しなかった。

 

次期エアフォースワンVC-25Bの例にも通じるものがある。破綻したロシア航空会社向け747-8i旅客機を改装する決定もこうして下されたのだろう。

 

MATT HARTMAN/SHOREALONE FILMS

この747-8i がVC-25B へ改装される。

 

 

2016年に当選を決めたドナルド・トランプに空軍はVC-25Bが四発機である意義を説明していた。エンジン一基が作動しなくなった場合、双発機では「ただちに着陸」を迫られる、と説明資料にある。トランプへのエアフォースワン後継機調達構想について空軍の説明資料を情報の自由法に基づく情報公開で入手した。

USAF VIA FOIA

エアフォースワンについて空軍が2016年当選したばかりのドナルド・トランプに説明した資料の一部。大統領専用機にしかない要求内容として双発機ではなく四発機が必要とのくだりがある。

 

E-4Bでも空軍が同じ結論にたどり着いたのは想像に難くない。NEAT構想は続いていており、KC−46ペガサス給油機改装案もあったが、同機は双発のボーイング767が原型だ。 

 

次期大統領専用機VC-25Bで747-8i を改装することになったのもE-4B後継機構想に影響している。ナイトウォッチでは充実した通信装備に加え、核爆発で発生する電磁パルス対策等が施されており、新エアフォースワンの改装内容を応用すれば747-8i原型のSAOCで費用節減につながるはずだ。

 

さらに空軍が中古民間機もSAOCに転用可能と発表したのはボーイングから747生産は現時点で受注済みの機体を持って終了するとの発表があったことが大きい。そうなると、今後登場する747原型の空中指揮所機材は中古ジャンボを改装する可能性が高くなる。ボーイングが政府向け機材生産のため生産ライン閉鎖を先送りする選択肢もあるが、その可能性はどんどん小さくなっている。

 

空軍の求める「超大型機」では747以外の選択肢がない。トリンブルは「中古のエアバスA380は対象外」と断言している。エアバスは同機生産を今年をもって終了する予定で、製造機数は17年で300機未満だが、747なら各型合わせ1,500機をボーイングは製造している。A380のサポート基盤は遥かに小さい。また空軍がSAOCを外国製機材にして安全保障や政治面で問題を起こしたくないはずだ。

 

ロッキードから巨大輸送機C-5ギャラクシーの改装提案が出ているのに注目したい。同機も生産は終了しているが、E-6Bの後継機になる可能性がある。

 

無論、空軍がどの機材をSAOCに選択するかは未定だが、747原型案に傾く兆候があちこちに現れているのは事実だ。■

 

この記事は以下を再構成し、人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

Requirements For New Air Force Doomsday Planes Seem To Preclude Anything But 747s

BY JOSEPH TREVITHICK FEBRUARY 17, 2021