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2023年9月22日金曜日

MQ-4Cトライトンが初期運用能力を獲得し、2回目のグアム配備へ戻ってきたが、同機の将来は?

 

アンダーセン空軍基地に着陸後、タキシングする無人哨戒飛行隊19(VUP-19)所属のMQ-4Cトライトン無人航空機システム(UAS)。VUP-19は最初のトライトン無人航空機システム飛行隊で、2023年8月4日からMQ-4Cの一部としてグアムで航空機を運用・整備する。米海軍写真



 ップデートを完了し、米海軍でMQ-4Cトライトンを運用するVUP-19が2回目の作戦展開のためグアムに戻ってきた。

海軍航空隊のニュースリリースによると、同隊は先週、米インド太平洋軍への次の展開のためにグアムに戻った。

同隊は昨年10月に帰還するまで2年半以上をグアムでローテーション配備に費やしていた。

「トライトンのグアムへの最初の配備から学んだ教訓をまとめた後、MQ-4Cはアップグレードされたセンサー・スイートを含む重要なアップデートを受けた。これらの強化は、海軍の海上哨戒・偵察部隊(MPRF)ファミリー・オブ・システムズ(FoS)の重要な構成要素として、P-8Aポセイドンとあわせ海上情報・監視・偵察・標的(MISR-T)能力を持続的に提供するトライトンの能力を向上させる」と海軍航空部隊はリリースで述べている。

MQ-4Cトライトンを製造するノースロップ・グラマンは、海軍が今週、このプログラムを初期運用能力に達したと指定したと述べた。

海軍哨戒偵察群司令官アダム・キジェク少将はニュースリリースで、「グアムへの初展開から学んだ教訓をすべて生かし、トライトンは戦場での有効性を高める重要な改良をもたらす態勢が整った。「インド太平洋戦域は、トライトンが艦隊司令官と国家にもたらす高度な能力を実証するのに理想的な舞台だ」。

IOCベンチマークは、海軍がMQ-4Cラインの停止を検討しているときに来る。2024会計年度予算案は、来年度に最後の2機のMQ-4Cを購入することを求めており、海軍の予算文書によれば、同プログラムは当初の70機から27機に大幅削減された。

MQ-4Cトライトンの在庫要件は統合要件監視協議会(JROC)によって再評価され、総在庫要件を削減するためにMQ-4Cトライトンの能力開発文書(CDD)を修正した。総機数は生産22機、開発5機(試験機1機、被災機1機、フリート機25機を含む)。

トライトンは2020年初頭にグアムに配備されていた。

このUASは、海上情報、監視、偵察任務を遂行するのに役立つ。

「アップグレードにより、MQ-4Cは、米国と地域の同盟国や協力国のために、海洋領域で状況認識を拡大する能力と性能を備えている。これらのシステムは、重要な任務を遂行し、自由で開かれたインド太平洋を確保するための米国の投資の一部だ」と海軍航空隊は今週のリリースで述べている。■

MQ-4C Triton Reaches Initial Operational Capability, UAV on 2nd Guam Deployment - USNI News

By: Mallory Shelbourne

September 14, 2023 6:52 PM


About Mallory Shelbourne

Mallory Shelbourne is a reporter for USNI News. She previously covered the Navy for Inside Defense and reported on politics for The Hill.

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2021年5月16日日曜日

米海軍MQ-4Cトライトンが三沢基地に一時配備で移動。米空軍グローバルホークも日本展開へ。

 


200112-F-SX156-1006rANDERSEN AIR FORCE BASE, Guam (Jan. 12, 2020) An MQ-4C Triton unmanned aircraft system (UAS) taxis after landing at Andersen Air Force Base for a deployment as part of an early operational capability (EOC) to further develop the concept of operations and fleet learning associated with operating a high-altitude, long-endurance system in the maritime domain. Unmanned Patrol Squadron (VUP) 19, the first Triton UAS squadron, will operate and maintain two aircraft in Guam under Commander, Task Force (CTF) 72, the U.S. Navy’s lead for patrol, reconnaissance and surveillance forces in U.S. 7th Fleet. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Ryan Brooks)

 

海軍はMQ-4C無人偵察機2機をグアムから日本に臨時移動させると5月14日発表した。

 

「MQ-4Cトライトンの日本配備は今回が初」と在日米海軍は報道発表している。「トライトンは非武装無人航空偵察機材で日米同盟に洋上監視能力で貢献できる」

 

海軍は今回の2機はこれまでグアムで一年以上稼働しており、15日に三沢基地に到着すると発表。三沢海軍施設はP-8Aポセイドン等の海軍機が利用している。

 

トライトンは空軍仕様のRQ-4グローバルホークが原型で洋上監視偵察任務を行う。

 

「現場の状況を従来より正確に把握することが可能となった」とジム・キルビー中将海軍作戦副部長が下院軍事委員会海上兵力投射小委員会で同機の機能を3月に説明していた。

 

「太平洋での実績から正しい情報提供の機能は実証済み。トライトンは大きな価値を生んでいる」

 

海軍は今回のMQ-4Cトライトン2機を2020年にグアムへ配備してきたが、太平洋でグアム以外からの運用は今回が初めてとなる。海軍は混雑度が高い地区での同機の有用性を試したいとする。

 

日本の防衛省は今月初めに米空軍RQ-4グローバルホークも日本へ配備されると発表していた。「米空軍がグローバルホークを一時的に配備する。グアムから日本への移動は2014年から続いている」とした。■

 


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Navy Sending Two Guam-Based MQ-4C Tritons to Japan for Temporary Operations - USNI News

By: Mallory Shelbourne

May 14, 2021 11:16 AM


 


2016年6月26日日曜日

★米海軍のUAVトライトンがP-8へ映像送信に成功、ひろがる広域海上監視能力の実現性



しばらくニュースがなかったトライトンですが着実に海軍用として進化を遂げているようです。P-8との共同運用が今回のテストで実証されています。前にも主張しましたが日本が本当に必要とするのはこちらのトライトンが本命ではないでしょうか。

 Navy’s Triton UAV Passes Full-Motion Video To P-8 During Flight Test

June 22, 2016 5:12 PM

The MQ-4C Triton prepares for a flight test in June 2016 at Naval Air Station Patuxent River, Md. During two recent tests, the unmanned air system completed its first heavy weight flight and demonstrated its ability to communicate with the P-8 aircraft while airborne. US Navy photo.
MQ-4Cトライトンが飛行テストに離陸する準備中。2016年6月、パタクセントリバー海軍航空基地。直近のテストで同機は初めて最大荷重飛行とともに飛行中のP-8とのデータ交換性能を実証した。US Navy photo.


米海軍が実用化をめざす長距離無人海上哨戒機MQ-4Cトライトンで運用テストが続いているが、今回は収集情報を有人P-8Aポセイドン多用途哨戒機と共用できることを実証した。
  1. 6月2日に海軍航空基地パタクセントリバー(メリーランド州)でトライトンはポセイドンと共通データーリンクシステムを介してフルモーションビデオ画像の交換に初めて成功した。海軍航空システムズ本部NAVAIRが本日発表した。テストでトライトンが持つ水上目標追跡能力(電子光学赤外線カメラEO/IRを使用)による状況把握能力が離れた地点を飛行中のポセイドン乗員に共有され二機種の同時運用が実証されたことで広域海洋上での共同ミッションに道が開けた。
  2. 「作戦環境では現地到着する前からP-8乗員が監視対象の状況を知ることができることを意味します」とダニエル・パップ中佐(トライトン統合運用実証チーム主査がNAVAIR広報資料で語っている。
  3. トライトンはこれとは別に一連の重量荷重飛行テストを行い、燃料満載で監視地点上空の高高度で滞空可能な時間をさらに伸ばしている。トライトンは燃料満載状態で高度20千フィートから30千フィートへ上昇している。重量物搭載テストは今後も続け最終的に実用上昇限度を60千フィートに伸ばすとNAVAIR広報官ジェイミー・コスグローブがUSNI Newsに語っている。
  4. トライトンは空軍仕様のRQ-4Cグローバルホークを大幅改修し、海軍の広域海上哨戒機(BAMS)事業で生まれた機体だ。高高度を24時間飛行でき、AN/ZPY-3レーダーで広域監視する海上偵察機だ。EO/IRと自動識別で商船の発する信号をとらえる。同機に広い海域を走査させてP-8は必要な個所だけに専念できる。
  5. トライトンとグローバルホークはともにノースロップ・グラマン製だ。
  6. BAMS事業では69機を調達し、P-8の117機と組ませる。196機あったP-3Cオライオンは順次退役中だ。
  7. 先行して海軍は初期モデルのグローバルホーク2機を空軍から購入し、長時間洋上飛行用に大幅改造し、米中央軍の管轄地域で2008年にBAMS実証機として投入した。一機はその後喪失。コスグローブ報道官によれば残存機は飛行時間が21千となり今でも監視ミッションに投入しているという。
  8. ノースロップ・グラマンは2月17日にトライトンが海軍による作戦運用評価に合格したと発表している。マイルストーンCの調達決定に繋がり本格生産が始まる。コスグローブ報道官によれば海軍はノースロップと低率初期生産の協議中という。トライトンの初期作戦能力獲得は2018年予定。
  9. 海軍はトライトンを以下の五地点に配備する。ジャクソンヴィル海軍航空基地(フロリダ州)、ウィドベイアイランド海軍航空基地(ワシントン州)、グアム、地中海および中東、とコスグローブ報道官は明かした。■


2014年10月10日金曜日

ISRで三機種を同時運用が必要とする米海軍の事情


空軍の新型機開発が(目に見える範囲では)パッとしないのに対し、海軍の活動が活発なのはこれまでもお伝えしている通りですが、その中身を見るとなかなか通用しにくい論理が働いているようです。とくにUCLASSの行方がはっきりしません。また、せっかくP-8が就役しても無人トライトンの遠隔操作予算がついていないなど情けない状態があるようです。

Triton, Poseidon, & UCLASS: The Navy’s ISR Balancing Act

http://www.google.com/url?q=http%3A%2F%2Fbreakingdefense.com%2F2014%2F10%2Ftriton-poseidon-uclass-the-navys-isr-balancing-act%2F&sa=D&sntz=1&usg=AFQjCNGExojjuqLdNF9dKDWvoTfPN-4igw
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 01, 2014 at 4:00 AM
The first MQ-4C Triton drone to arrive at Patuxent River Naval Air Station. MQ-4C トライトン
PATUXENT RIVER NAVAL AIR STATION---米海軍の長距離偵察の未来を担うMQ-4Cトライトン無人機が当地の格納庫にあり、ボーイング737より翼巾は13フィート長く、機体重量は8割軽い。
  1. 高度50,000フィートで24時間超連続飛行する想定のトライトンは任務を単独で完結できない。高高度戦域全体を対象とした同機とは別に戦術偵察機として有人P-8ポセイドンと無人艦載偵察攻撃機(UCLASS)があり、海軍は三機種の同時運用を求めているが予算は厳しい。
  2. P-8はトライトンと共同作戦が可能。だがP-8乗員がトライトンを遠隔操作する機能は「予算化されていない」とジム・ホウク大佐Capt. Jim Hoke(トライトン事業責任者)は本誌記者に認めた。Triton program manager Capt. James Hoke.
トライトン開発を統括するジム・ホウク大佐
  1. トライトン三機が10月末にパックスリヴァーに揃いテストに備える。だが衝突回避レーダー開発が遅れている。2017年にグアムで作戦稼働を開始するが、当初の68機購入は微妙だ。ホウク大佐は高信頼性で整備所要時間が想定より少ないことで購入機数が減るのは確実という。
  2. UCLASS最終設計案の提出がいまだに業界に要求されていない。また、海軍の想定性能が「攻撃」より「監視」を重視していることが議論を呼んでいる。
  3. 「三機種すべてが必要だ」とマシアス・ウィンター少将Rear Adm. Mathias Winterは強調する。しかし記者が情報収集監視偵察 (ISR)で二機種必要な理由を問うと、少将はトライトンは戦域司令官のニーズに対応し、UCLASSは空母打撃群司令官が利用する、と回答。
A notional map of the areas Triton could cover from its five land bases.トライトンを世界5か所の基地から運用した際に監視対象となる地域を概念的に示した図

  1. 「空母打撃群では指揮命令と実行を迅速に行うことが肝要だ」とウィンターは記者に説明。UCLASSは空母から発進し、600から1,200マイルの範囲をパトロールするが、2,000マイル超の攻撃も可能だ。これに対し、トライトンは陸上施設五か所から発進し、作戦行動半径はほぼ2,000マイル。:
  2. 仮に十分な機数のトライトンを調達し、各空母を常時カバーできたら、また空母をトライトンの飛行対応範囲外に航行させないとどうなのか、ウィンターはそれでもUCLASSは必要だ、なぜなら性能が違うからと言う。
  3. 「トライトンは戦術攻撃用ではありません。武装を想定せず、UCLASSで想定の1,000ポンド爆弾も運べません。また空母打撃群での運用も想定外」なので指揮命令系統に入れない。これに対し「UCLASSはグラウラーと共同運用を想定しており、ホーネットやF-35とも攻撃に投入できるが、トライトンはできない」
Rear Adm. Mathias Winters, head of unmanned programs at Naval Air Systems Command (NAVAIR).
マシアス・ウィンター海軍少将は海軍航空システム本部(NAVAIR)の無人機事業を統括している。
  1. 行間からはUCLASSが高性能のようだ。長距離長時間飛行のカギは燃料消費効率だ。トライトンの主翼は長く、薄く、まっすぐで、P-8の20千フィート上空を飛行できる。「高度50千フィートだと燃料は大量に使いません」とホウク大佐は言う。空気が薄いためだ。その結果、トライトンの燃料消費はP-3のおよそ1割と言う。だが飛行距離と飛行時間のため機動性と速力が犠牲になった。UCLASSでも監視偵察ミッションに最適化すれば攻撃力が犠牲になるし、その逆もまた真である。
  2. トライトンの飛行高度では機体にストレスとなる操縦は発生しない、とウィンターは説明。それに対しP-3やP-8は低空・高Gの捜索や攻撃を行う。両機種は民間旅客機が原型で戦闘機の敏捷性はない。UCLASSでは要求性能が非公開あるいは変更中だが、発艦着艦というパイロットに一番負担を強いる機動が前提だ。
  3. 戦闘能力が優れるのはUCLASSで、トライトンンを補完できる。だが戦闘に投入できる性能がUCLASSに本当にあるのか。
A CSBA diagram shows the ranges needed to defeat a modern "anti-access/area denial" defense.
CSBAが作成した接近拒否領域阻止の防空体制における必要な飛行距離を示す概念図
  1. 記者はウィンター少将の説明内容をUCLASSに批判的な専門家2名に開示した。
  2. 「ISRを優先すべきではない」というのは戦略予算評価センター(CSBA)のロバート・マーティネージRobert Martinage。トライトンで空母をカバーできるとし、「MQ-4Cは海洋占有認識 maritime domain awareness (MDA)を空母打撃群で実現することを目的としている。世界各地にMQ-4C運用の基地を確保するのはMDAを一貫して実現するのが目的だ」
  3. 「空母近辺では戦術レベルのMDAとして、E-2Dホークアイと無人回転翼機M-8Cファイヤスカウトを組み合わせればよい」
CSBA scholar Robert Martinage.CSBA研究員のロバート・マーティネージ
  1. 偵察機材整備をすすめる海軍に長距離攻撃が不足しているという。「接近阻止領域拒否(A2/AD)の防衛体制をとる中国は機雷、潜水艦、攻撃機、長距離対艦ミサイルを駆使するので、米空母は沖合に留まらざるを得ない。これでは短距離しか飛べないF-18やF-35では内陸部を攻撃できない」と言う。A2/AD対抗には長距離重武装かつステルスが必要とマーティンネージは説明するが、UCLASSはこのいずれも目指していないという。
  2. 見識の高い某議会スタッフも同意見だ。ISR専用の無人機は「空母搭載機材として優れている」が、「空母航空部隊で一番必要な機材ではない」し、 新規案件への予算制約をすると、「どう考えてもは武力投射型UCLASSの優先順位が高くなるはず」という。
  3. 「ISR特化か攻撃型UCLASSかの議論からもっと大きな問題が見えてきた。そもそも、無人機を航空隊に組み入れる検討をしっかりしているだろうか」
  4. 空母運用型無人機を二種類準備する予算は確保できる可能性は低いので、海軍のもくろみは偵察用のULCASSを出し、あとで爆撃機に転用するのだろう。その実現はペンタゴンの文民幹部と議会が決めることだ。■

2014年9月22日月曜日

新型無人機トライトンの実用テスト開始近づく


トライトンはグローバルホークの海上型ですが、要求性能がずいぶん違うようです。米海軍は同機テスト機材を大回りで西海岸から東海岸まで回送してきました。無人機運用は有人機前提の航空管制であらたな問題を引き起こしそうです。日本もグローバルホークを導入すれば同じ課題に直面しますね。




Triton Arrives At Pax River For New Round of Testing

By: Dave Majumdar
Published: September 18, 2014 2:18 PM
Updated: September 18, 2014 2:18 PM
MQ-4C Triton unmanned aircraft system lands at Naval Air Station Patuxent River, Md. on Sept. 18, 2014. US Navy Photo
MQ-4C トライトン無人航空システムがパタクセントリヴァー海軍航空基地に9月18日着陸した。 US Navy Photo

パタクセントリヴァー海軍航空基地(メリーランド州)にノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトンがテスト実施のため到着した。同機は大陸横断飛行し9月18日到達した。

  1. ノースロップのパームデール施設(カリフォーニア州)を離陸しおよそ11時間で3,290海里を飛行した。

  1. MQ-4Cの到着で、海軍はテスト内容を任務想定したより実践的なものに移行し、ミッションシステム系統を検分する。

  1. 「同機のテストは今後数年間が重要となり、世界中どの地点でも海上の動きを探知し戦闘部隊に情報提供することをめざす」とマット・ウィンター少将(海軍航空システムズ無人機打撃兵器開発部門)Rear Adm. Mat Winter, the Naval Air Systems Command’s program executive office for unmanned aviation and strike weapons (PEO (U&W))が文書で発表した。

  1. トライトンはパタクセント基地まで遠回りルートで飛行し、南方の合衆国国境地帯上空から、メキシコ湾、フロリダ半島を横断し大西洋に出てからチェサピーク湾を目指した。飛行中の高度は5万フィートを維持し、民間機の飛行帯を避けた。

  1. この飛行経路は連邦航空局が無人機の飛行を領空内では正式な認証がないままでは認めていないためだ。

  1. 「海軍の大型無人機を国内横断飛行させるには関連機関多数と調整が必要だった」とトライトン事業の責任者ジム・ホーク大佐Capt. Jim Hokeが述べている。

  1. NAVAIRはトライトンのフライトをパタクセントリヴァー基地で今後数週間のうちに開始し、ミッションシステム系統および相互運用を検証する。

  1. 海軍はトライトン3機のテスト部隊を2,000時間飛行させ、2017年に初期作戦能力を獲得する。■

2014年2月27日木曜日

オーストラリアがMQ-4Cトライトン導入へ リアルな対中海上交通遮断作戦


Australia to Buy Seven MQ-4C TritonsMQ-4Cs


オーストラリア国防大臣デイビッド・ジョンストンからMQ-4CトライトンUAS計7機の導入を提言するとの発表があった。総額30億ドル相当。
  1. 【MQ-4Cトライトンとは】翼幅は39.8メートルでボーイング757に匹敵する。高度18,000メートル、時速575キロメートルで30時間まで飛行が可能で、航続距離は16,000KMになる。主目的は広大な地域の探索でインド洋や太平洋が適している。米海軍はトライトン一機で7百万平方キロメートルを一度に監視できると説明している。
  2. 1月には米海軍が同機のテスト飛行に成功したと伝えられた。米海軍は68機をノースロップ・グラマンに発注しており、米海軍での稼働は2017年開始予定。オーストラリアの調達機材は2019年までに稼働に入る見込み。オーストラリアは海洋国家として対応範囲の広さを重視。
  3. ただしトライトン導入はオーストラリア軍部が一度反対した経緯がある。そのときの論拠は同機が武器搭載を想定していないためで、ずっと安価なプレデター改造のマリナーではトライトンに匹敵する飛行性能はないが、ミサイルを搭載しており、艦船攻撃が可能だ。
  4. 【インド洋・太平洋でのオーストラリアの懸念】武装の有無が問題になった背景にはオーストラリアが実感しているアジア域内の地政学的緊張の高まりがあるのと、米国のアジアへの回帰(オーストラリアもこれを支持)がある。特にインド洋でのシーレーン確保が念頭にあり、中国、インド、米国の各海軍間の競合状態だろう。.
  5. 米国とアジア太平洋地区での主要同盟国である日本、オーストラリアが中国との軍事衝突に備えていることが知られるようになってきた。
  6. 【中国との軍事衝突想定】 中国との軍事衝突を想定した軍事戦略では海軍による交通路封鎖で中国の海運を太平洋とインド洋で遮断することが想定され、とくにカギとなるのがマラッカ、ロンボク、スンダの各海峡だ。オーストラリア領も海軍空軍基地として重要な存在になる。そのねらいは中国の求める食料、燃料、原材料輸送を止めて輸出依存の経済体制を崩壊させることにある。米軍のエアシーバトル構想でも中国国内の指揮命令施設への空爆、ミサイル攻撃を防空施設とあわせて実施する想定だ。また封鎖突破を試みる中国海軍も攻撃対象になる。
  7. 【オーストラリアの監視体制】 米海軍はオーストラリアと中東アフリカからインド洋を通過する民間商船の往来の最新状況を把握する必要があり、中国海軍艦艇の動きも当然監視対象だ。
  8. オーストラリアはP-3Cオライオン有人機とジンダリー・レーダーネットワーク(JORN) でオーストラリア大陸の南北を3,000キロメートル範囲で監視している。トライトンを西部のリアモンスあるいは北部のダーウィンから運用した場合は監視対象地域が大幅に広がる。さらにインド洋のオーストラリア領ココス諸島に無人機航空基地を建設すればもっと広い地域が常時監視可能になる。
  9. 【ココス諸島が注目集める?】 2013年にリークされた内容によれば米軍はココス諸島からマリナー無人機を運用することに関心を持っているがまず同地の滑走路を改良する必要がある。
  10. 中国はスンダ、ロンボク各海峡を通過して海軍艦艇三隻をインド洋に入れて演習を行っているが、この事例がオーストラリアに長距離監視が可能なUAS調達を後押ししていると指摘する向きもある。■


2014年1月7日火曜日

MQ-4Cトライトン テストは順調に進展中


Navy’s MQ-4C Triton Hits Testing Milestone

By: Dave Majumdar
USNI Neews, Monday, January 6, 2014
MQ-9C Trition. Northrop Grumman Photo

ノースロップグラマンは米海軍とMQ-4Cトライトン無人機の飛行テストを加速中。
  1. 同社から1月6日に同機が昨年5月の初飛行以来9回の飛行を完了し、安全限界の確認過程の半分が完了したと発表があった。
  2. 「安全飛行限界の拡大によりテストチームはトライトン用監視センサー類の搭載にとりかかることができます」(マイク・マッケイMike Mackey、ノースロップグラマンのトライトン事業責任者)
  3. トライトンに搭載予定なのは360度監視AN/ZPY-3多機能アクティブセンサー(MFAS)、MTS-B電子光学赤外線カメラ、AN/ZL-1電子支援装置一式および自動識別装置(AIS)の受信機である。また衛星通信およびリンク16戦術データリンク能力により艦隊へ通信中継をする。
  4. 今回の安全性能領域拡大過程でフライトテストチームは飛行速度・高度を徐々に上げ機体重量も変えていった。その狙いは同機が設計通りに飛行可能なのか、そして飛行中に遭遇する問題を修正できるかを確認することにあった。
  5. ノースロップによるとMQ-4Cは最高高度5万フィートで9.4時間の滞空性能を示したという。またダブルスと呼ぶ飛行操作をし、気流の乱れによる飛行経路の障害から回復する能力を試した。
  6. 米海軍はMQ-4Cを合計68機導入する予定で、そのうち20機は常時周回警戒飛行任務に投入する。トライトンの運用はボーイングP-8Aポセイドン哨戒機と連携が前提。■


2013年5月27日月曜日

米海軍向けMQ-4Cトライトンの初飛行と今後の展望

今 年の5月は新型機の実証飛行の成功が連続して出てきた月として記憶されそうですね。開発研究は一朝一夕にできるわけでなく、X-51A, X-47さらにMQ-4Cが達成した記録はこれまでの投資の結果です。現在予算の制約で研究開発が減速しつつあり、数年後にこれだけまとまった成果が出て くる月が生まれるかちょっと疑問ですね。ところで日本に必要なのはグローバルホークよりもトライトンでは。

U.S. Navy Kicks Off Triton Flight Trials

By Guy Norris guy.norris@aviationweek.com, Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com May 22, 2013
Credit: Northrop Grumman

米海軍が無人機運用で5月22日にまた一歩前進した。ノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトン高高度飛行海洋監視偵察機がカリフォーニア州パームデールの同社施設で初飛行した。
  1. 今 回の初飛行は2015年の稼働開始を念頭にした作業開始となる。初飛行は80分間でエドワーズ空軍基地付近の一般侵入禁止空域で実施され、今回も含め9回 の性能確認試験のあとで今年後半にメリーランド州パタクセントリバー海軍航空基地に場所を移し広範なシステムフライトテストを実施する。今回の初飛行で高 度は20,000 ft.まで到達し、ノースロップと海軍のチームが遠隔操縦した。
  2. テ スト飛行の開始は5ヶ月遅れたが海軍の哨戒機能力近代化計画全体の中で大きな進展となった。アジア太平洋に軸足を移す戦略の中、これまで以上の海上飛行の 航続距離が必要とされているが、老朽化進むP-3をP-8A(117機)とMQ-4C(68機)で交代させるのが海軍の計画だ。その中でグローバルホーク を原型に性能を大幅に向上させたMQ-4Cは2008年から、総額16億ドルの広域海上監視機 Broad Area Maritime Surveillance (BAMS) として開発が進められてきたもの。海軍は試作機も含め70機を130億ドルで購入する。
  3. ノースロップ・グラマンは空軍を相手にRQ-4Bグローバルホークの存続を巡り戦う中で今回の初飛行は時宜にかなったもの。これとは別にドイツが同じくグローバルホーク派生型のユーロホーク調達の中止を発表したのも同社には痛い結果となっていた。
  4. 良い面もあり、MQ-4C初飛行に先立ちオーストラリアがトライトンの性能、費用、購入可能性の情報開示を正式に要請してきた。ノースロップは今回の情報開示は販売につながると楽観的に見ており、オーストラリアはP-8A開発にも参画している。
  5. オー ストラリアの計画はロッキードAP-3CをP-8Aに交代させることだが、MQ-4Cにより高高度長距離飛行可能なUAVを海上監視偵察任務に投入するこ とも狙っている。しかし、オーストラリア国防省は今回の情報開示請求は「MQ-4C購入の確約にはつながらない」としている。インドもP-8導入国で MQ-4Cへの関心を表明している。
  6. 今 回初飛行したのはSDD-1と呼称のBAMSシステムズ開発実証(SDD)契約2機の初号機で二三ヶ月でSDD-2が加わるとノースロップは説明。MQ- 4C三号機はノースロップ自社資金で制作し、同じくパタクセントリバーへフェリー回送され2機に合流するのが2014年早々の予定。初期段階のテスト飛行 は7日あるいは10日間隔で飛行時間を徐々に伸ばしながら最終的には8時間ないし12時間連続飛行させる。
  7. 初 飛行実施が遅れた原因はソフトウェア開発工程の遅れで、同機の統合ミッション管理コンピュータintegrated mission management computer (IMMC)用のもの。MQ-4Cのミッションでは空軍仕様よりも低空・中程度の高度が増えるので機体バランスのためV字尾翼V-tail ruddervatorsの形状をわずかばかり変更している。
  8. テ スト機では高性能監視通信用センサー類の代わりにダミーを積み込む。センサー類の中でも多機能アクティブセンサーアクティブ電子操作式アレイ multifunction active sensor active electronically steered array (MFAS AESA) と呼称されるXバンドレーダーのテストがノースロップ社有ガルフストリームIIをBAMSに見立てテスト中。
  9. このMFASがトライトンの哨戒能力の核心部分で艦船探知追跡識別能力を実現すべく逆作動合成開口レーダーinverse synthetic aperture radar (ISAR)を利用する。
  10. MQ-4Cでは目標自動識別システムを搭載しており、VHFを介して海上船舶の世界規模での移動情報を受信する。またAN/ZLQ-1電子支援システムおよびITT Exelisが開発したレーダーも搭載し飛行中の他機と安全距離を保つことができる。■