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2013年6月7日金曜日

ブラジル戦闘機商談はボーイングが勝者になりそう

Brazil Closer To Boeing On Jets Deal After Biden Visit

By Brian Winter/Reuters

aviationweek.com June 05, 2013 
Credit: Boeing

ブラジルがボーイングF-18選定に近づいており、開発途上国の次期戦闘機選びの中でも最注目されていた案件はジョー・バイデン副大統領U.S. Vice President Joe Bidenのブラジル訪問を契機に決着しそうだ。
  1. バイデン副大統領は5月31日ジルマ・ルソフ大統領President Dilma Rousseff 会談し、ボーイングによる高度技術移転を米議会が承認すると確約している。
  2. ボーイング案は36機合計40億ドル規模で追加発注も含めるとさらに規模が増えそうだ。これだけの規模なので米国および欧州防衛産業が受注をめぐりしのぎを削ってきたわけだ。
  3. 選定に最後まで残ったのは他にフランスのダッソーエイビエーションSAおよびスウェーデンのサーブABだった。
  4. ルソフ大統領はまだ最終決定しておらず、公表予定も不明であると同国関係者は強調。
  5. . しかし同時にルソフ大統領からバイデン副大統領へのコメントおよび直近の出来事を勘案するとボーイング有利と見られ、次回ルソフ大統領の公式訪米(10 月)以前に最終決定となる公算が大。「もしボーイング受注となればバイデン副大統領の功績は大きいと見られるでしょう」とブラジル政府筋は語る。
  6. ルソフ大統領がボーイング案で懸念しているのは米議会が安全保障を理由に技術移転にまったをかけることだ。ブラジルは対米友好関係を維持しているものの、イラン他米国と対立する国家との関係で米議会関係者に苛立ちを覚えさせている。
  7. ルソフ大統領の政治的立場は現実重視の左翼で技術移転はエンブラエル含む国内防衛産業の基盤強化にとって重要と見ており、支払う費用以上の価値があるとしている。金曜日の会談でも大統領が最初に言及した話題がジェット戦闘機購入および大統領自身が技術移転を重視している点だったという。
  8. バイデン副大統領は議会が確実に本案件を支持するとの全面的約束こそしなかったが、自身の30年にわたる上院議員としての経験から大統領の懸念材料をひとつずつ説明していたったという。
  9. バイデン副大統領は上院内民主党議員は戦略的防衛装備売却問題でオバマ大統領案に反対したことはなく、ジョン・マケイン議員率いる共和党勢力も大部分がブラジル向け販売に支持の立場を表明していると説明。
  10. 国防予算削減の中で今回のように米国企業を助ける効果の野ある商談への反対姿勢は議員間で減ってきているとも副大統領が説明している。
  11. 戦略的に難易度が高い中東のような対象国への防衛装備売却には議会が待ったをかけた例が複数あるが、平和かつ民主主義が機能しえている南アメリカのような地域では問題がないとも発言。
  12. これに対しルソフ大統領からバイデン副大統領に対しボーイング有利になる「心強い」発言に感謝する旨の発言があったという。
  13. 以上の内容について確認を求められたホワイトハウスからは「私的会話についていちいちコメントしないが、一般論として米国はボーイング入札内容を強く支援する」との関係者発言が出ている。
  14. ブ ラジルの決定にハンディとなるのは戦闘機選定が先送りにされてきたことだ。ブラジル空軍の旧式ミラージュ戦闘機の後継機えらびが始まったのは1990年代 で、ルソフ大統領の前任は2009年にダッソーを選ぶ、と公式発言している。ただし予算問題や選挙をにらんだ動向など各種の理由によりその後の政権は決断 をしてこなかった。そのため企業幹部の中にはかれこれ10年もブラジルを相手に自社の売り込みに懸命になってきた一方で半ば冗談気味にブラジルは本当は戦 闘機を購入するつもりはないのではと嘯く向きもある。
  15. にもかかわらず今後こそルソフ大統領が今年中に決定を発表すると考えら得る理由があり、ボーイングが商談をものにすると考えられる。
  16. ブラジル軍部からはミラージュの保守維持は今年以降大変困難になるとの声があり、2014年に大統領再選を狙うルソフには経済の行方が微妙な時期に大規模支出決定を公表するなら来年まで待てないはずだ。
  17. ルソフ大統領は今回の商談をブラジルの戦略的な位置づけを今後数十年にわたり決定するものと位置づけており、これをバイデン会談で繰り返し発言しているという。
  18. . シリア問題など米国の意向とは逆の発言もあるものの、ルソフ大統領は米国とのいっそう緊密な協力関係を求めており、米国からの閣僚・大物議員の繰り返し訪 問を受けたのち、オバマ大統領からの公式訪問招待を受諾した。実現するとブラジル大統領の訪米は20年間ではじめてとなる。
  19. 米国の側では2月にエンブラエルを選定し空軍向け軽攻撃機材20機の契約を交付している。ブラジルの視点ではこれはF-18購入の必要条件だった。
  20. フランスはブラジルと潜水艦建造で合意しており、戦闘機選定で外れると潜水艦技術移転でも消極的になるかもしれないと関係筋は見る。
  21. フ ランスとスウェーデンからは世界貿易機関事務局長へのブラジル候補選出に反対する動きがあると伝えら得れたが、ブラジルは「そんなこともありますが、戦闘 機選定にすべて関係してくるでしょうね。大規模支出だからこそ正しい相手を選びたいのです」との関係者発言が出ている。■   

2013年5月13日月曜日

F/A-18生産を2020年まで維持しようとするボーイングは商魂たくましく拡販に走っています

Boeing Aims To Keep Building F/A-18 Jets Through 2020

By Andrea Shalal-Esa/Reuters

aviationweek.com May 10, 2013
Credit: U.S. Air Force photo/Capt. Shannon Collins

.ボーイングはスーパーホーネットおよびその電子攻撃機版の生産を2020年まで継続する意向だ。ただし、海外販売が200機超となり、米海軍向け追加販売が150機となることを条件としている。
  1. 同社副社長(F/A-18 ・EA-18担当)マイケル・ギボンズMichael Gibbonsが議会関係者にシミュレーター、展示物、記念品を満載したトレーラーで同機販売に熱を入れている。
  2. 同副社長の役割は2014年度予算内でEA-18G21機分の予算を守り、スーパーホーネットの優位性を強調することであり、ボーイングは同機の改良によりロッキード・マーティンの第五世代機F-35への優位性を確保しようとしている。
  3. .F/A-18 はボーイングが生産する唯一の戦闘機であり、同社はF-35の生産遅延と費用超過につけこんで、F/A-18 の販売を増やそうとしている。ただし、F/A-18 生産が縮小となることで販売拡大はいっそう緊急性を帯びてきた。
  4. 「ボーイングにとって今年が分かれ目でしょう。」と語るのは国防コンサルタントのジム・マカリースJim McAleeseでスーパーホーネット調達の予定が海軍にないことから同社は拡販に必死になっているのだという。
  5. ボーイング支持派の議員からF/A-18の調達を海軍に求める予算案が繰り返し出ており、海軍はもっと戦闘機が必要でF-35の配備までのつなぎが必要だという。
  6. ギボンズからは海軍がF-35の二飛行隊を就役させるかわりにスーパーホーネット二飛行隊を配備することの優位性を議会関係者に理解させようとしている。
  7. 「当 地では議会関係者の皆さんが航空問題に詳しくない方も含めスーパーホーネットがなぜ次世代機になれるのか、なぜ購入可能価格の選択肢になるのか、を特に予 算状況が厳しい環境でご理解いただこうとしています」とし、新しいタッチスクリーン式のコックピットディスプレイを議会関係者に試してもらったという。
  8. 海 軍はスーパーホーネットの単座E型と副座F型を2000年から使用中。ボーイングは同機を原型ホーネットの「改良版」として前回の国防予算削減の際に予算 確保に走ったが、専門家に言わせればスーパーホーネットは実質的に別機体だとし、主翼が拡大し、機体延長で燃料搭載量を増やし強力なエンジンに換装してい るからだ。
  9. 海軍との契約終了は2015年中ごろだが、スーパーホーネットおよびグラウラーの生産はオーストラリアがグラウラー追加導入を発表したことで2016年までは続きそうだ。オーストラリア発注は確定というものの、ボーイングの期待数の半分しかなかった。
  10. そこでボーイングが売り込み先で有望と見ているのがブラジル、マレーシア、中東諸国(同社は国名の特定を拒否)で、ボーイングがこの数年間にデモ飛行を精力的に行っている。アナリストの中にはクウェートほか数カ国と販売契約締結を今年上半期に成約しそうだという。
  11. さらにF-35導入を見直そうという各国に対してF/A-18データを提供している。カナダ(35機導入希望)、デンマーク(30機希望)が該当。
  12. ギ ボンズとしては合計で200機を越える海外受注を期待してブラジルの35機整備では十分訴求力ありと見ている。ブラジルの決定は第3四半期と見られる。こ の数年間のボーイングはブラジルで存在感を増しており、ブラジルの航空機メーカーエンブラエルSAほかの企業と提携関係を樹立している。
  13. ボー イングからブラジルほかの国に持ちかけているのは8から9百万ドル規模のスーパーホーネット性能改修でタッチスクリーンコックピットディスプレーの大型 化、ミサイル追跡機能、推力20%増のエンジン、新設計燃料タンク、機体をレーダー探知しにくくする機内搭載兵装ポッドをまとめて提供しようというもの だ。
  14. 主 サプライヤーであるノースロップ・グラマンはボーイングと共同で自社予算で原型機を製造中で、レーダー探知性能が本当に下がることを実証する。この機は性 能向上型スーパーホーネットAdvanced Super Hornet と呼称され、「スーパーデューパーホーネット」と揶揄する向きもあり、今年夏あるいは初秋に海軍試験場に持ち込むとギブソンは言う。
  15. .ボーイングは海軍向けに75ないし100機の追加販売をもくろみ、運用コストが現役機体の中では最小と強調している。そうなるとスーパーホーネット組立てラインを2020年あるいはその先まで維持できる見ている。
  16. ボー イングは同機の時間当たり運用コストは$16,000でF-35よりはるかに低いとし、調達費用もずっと低いという。ロッキードとペンタゴンからはF- 35の生産価格はこれから下がってくると主張し、提供する性能の水準が高いこととして電子戦・ジャミング能力やレーダーに探知されにくい特徴があると強調 している。「ボーイングは海軍がカ艦載型F-35が高価過ぎて導入をあきらめることを期待しているのでしょう」とロッキードとつながりが強いコンサルタン トであるローレン・トンプソンLoren Thompsonは見ている。