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2018年2月5日月曜日

★なぜイスラエル空軍はF-35よりF-15新型機導入に傾くのか

Israeli Air Force Leaning Toward Upgraded F-15 Over F-35 for Next Fighter Jet Acquisition

イスラエル空軍が次期戦闘機取得でF-35よりF-15に傾く
The rapid aging of the IAF’s current fleet makes the new purchases necessary
IAF現用機材の老朽化で新規購入は待ったなしだ
Amos Harel Jan 29, 2018 8:07 AM


イスラエル空軍のF-15I https://www.airplane-pictures.net/photo/948831/267-israel-defence-force-mcdonnell-douglas-f-15i-ra-am


スラエル空軍(IAF)は数か月のうちにF-35追加調達かF-15Iの調達かを選択する。F-15Iは性能で劣るとはいえ長所も多い。
調達には参謀本部さらに省内委員会の承認が必要だが、空軍当局の提言がそのまま通るのが通例だ。
IAF司令官アミカム・ノーキン少将はF-15選択に傾いているといわれ、5月に提言がまとまる。
イスラエルとは米国とF-35の2個飛行隊用として50機購入で昨年合意しており、ロッキー・マーティンから2024年までに調達する。
うち、9機が納入されており、IAFは初期作戦能力獲得を宣言した。
IAF戦闘機部隊で老朽化が進んでおり、新規調達が必要だ。空軍は1970年代末導入の機材も供用中で改修を重ねてきたが用途廃止は避けられない。
ダボス世界経済会議でベンジャミン・ネタニヤフ首相がクロアチア首相アンドレジ・プレンコヴィッチにIAF保有のF-16をクロアチア空軍へ売却すると伝えた。イスラエルはF-16A/Bで最後まで残った飛行隊を昨年解隊しており、F-16C/Dでも買い手を探している。F-15もゆくゆく同様の対応になりそうだ。
第五世代戦闘機のF-35はIAFの次期主力戦闘機となる。
IAF上層部は同機の性能をべた褒めで、特にステルス性能を重視している。
だがステルスを発揮するためには爆弾は機内に搭載する必要があり、そのため搭載量が制約を受ける。機体外に搭載すればステルス機能が損なわれるためだ。
これにたいしてF-15は旧式だがF-35に対する利点が二つある。飛行距離が長く兵装搭載量が大きいことがあり、さらに運用機種を複数にできることだ。
F-15IはF-35より運航経費が低いが、ボーイングが性能改修を行っており購入価格は今後上昇すると見られる。そのためF-35と同等の価格水準になる可能性がある。
空軍内部の議論はF-35の第三飛行隊が必要なのかというより今すぐ必要なのかが中心だ。
F-15推進派はF-35第三飛行隊分調達を2020年代末まで遅らせるよう求めている。
イスラエルの決定は米メーカー側にも重要な意味をもつ。ロッキード・マーティン、ボーイングには30億ドル規模の商談だ。ボーイングはF-15製造ライン閉鎖を検討していたが、イスラエル発注が入ればラインを維持できる。またイスラエルが購入すれば同機へのお墨付きとなりその他国への販売に拍車がかかる。

期機材の次期複数年度事業調達は、現事業が終了する2020年以降に発効する。機体は米海外軍事援助制度を使い購入する。米国とイスラエルは2016年に10年間の援助合意に調印済みで来年から発効する。■

確かにF-35だけを戦闘機部隊に配備することはバランスが悪い話でもともとF-22導入を希望しながら売ってもらえなかったイスラエルの事情は日本とも似通ったところがあり、イスラエルが本当にF-15新規発注に動けば日本にも影響を与えそうですね。しかし一番喜ぶのはボーイングでしょう。

2017年6月16日金曜日

イスラエル、中東の空の王者への途


西のイスラエルと東の日本は米国が技術力に注視しているはずですが、イスラエルの方が自由に行動している観がありますね。なんと言ってもイスラエルはなにもしなければ国家の存続が危うくなる国ですからね。日本も制約がなくなったのでこれからイスラエルとの共同開発も増えていくでしょう

 

 

This Is How Israel's Air Force Dominates the Middle East

イスラエルはこうして中東の空の支配者になった

The National Interest Robert Farley
June 13, 2017

  1. 1960年代以来、イスラエル国防軍の航空部門IAFは国防の中心だ。イスラエル空軍が有する戦場支配力と防空力によりIDFは戦いを有利に進めることができる。IAFの戦略攻撃能力は実証済みで、長距離攻撃能力を有している。
  2. IAFの圧倒的な力の背景は効果的な訓練と同時に敵勢力が弱体であること、さらに調達開発が柔軟であることだ。長年にわたりイスラエルは戦闘機調達を多方面から試み、フランス、米国からの購入に加え、国内開発もしてきた。後者二つの組み合わせの効果が特に高いことが判明している。

産業基盤つくり

  1. 初期のイスラエルは手に入る装備はすべて入手してきた。このためIDFに旧式装備各種がそろい、多くは欧州調達だった。1950年代末になると英仏はじめ数か国と正式な武器輸入関係を樹立している。うちフランスと取引が拡大し、高度技術の軍事装備としてミラージュ戦闘機や核兵器開発支援を入手した。ミラージュは1967年の六日間戦争でIAFの主力戦闘機となり、近隣国の空軍戦力を開戦後数時間で壊滅させた。
  2. ただし1967年にフランスがイスラエル向け武器禁輸措置を適用するとイスラエルは苦境に立たされた。IDFはミラージュにない中距離対地攻撃能力を求めていた。このためイスラエルは必要なものは盗むとの昔ながらの戦略に走る。諜報活動で新型ミラージュの設計図を入手しているが、フランス当局もある程度甘受していたようだ。ここから二機種が生まれた。イスラエル航空宇宙工業(IAI)のネシェルとクフィールだ。後者はアメリカ製の強力なエンジンを搭載しIDF主力戦闘機になった。両機種は成功をおさめ、ネシェルはアルゼンチン、クフィールはコロンビア、エクアドル、スリランカで供用された。
  3. ここからイスラエルの航空宇宙産業は発展し、イスラエル経済全体にも効果が生まれた。国家財政を重点的に軍事技術開発に投入しても民生技術で革新が生まれる保証はない。ただしイスラエルの場合は民生技術部門の発展に特に初期段階で大きな効果が生まれている。クフィールの成功はイスラエルが航空技術で独り立ちした証となった。
  4. それでもイスラエルは海外機材へ多大な投資を続けた。IDFはF-4ファントム調達に1960年代末に動き、F-15イーグルは1970年代中頃に導入を決めた。後者はイスラエル政界に危機を生んだが、安息日の開始直後に国内に機材がまず4機到着した。とはいえ余波でラビン政権が倒れた。一方でクフィールやハイテク分野の成功から国産戦闘機開発を求める声が高まった。

ラヴィ構想の挫折と思わぬ影響

  1. そこでラヴィが登場した。米ソ両国の空軍と同様にIDFもハイ・ローミックスが最適と判断した。ここから軽量多用途戦闘機ラヴィ構想が生まれ、F-15イーグルへの補完機能が期待された。一部装備は米国からライセンス提供され外観はF-16に酷似しつつ主翼構造は違う。
  2. しかし軍事技術で環境が変化し始める。ラヴィをゼロから開発するには莫大な財政投資が必要な反面F-16に対する優越性はわずかだった。さらに米国が輸出規制に乗り出し、フランス以上に神経質になり機密保護が厳しくなった。当初は輸出可能性を楽観していたが、米装備を搭載するラヴィ輸出を米国が許さないと明らかになる。さらにラヴィがF-16の競合機体のため問題は悪化した。
  3. 1987年8月にイスラエル内閣はラヴィ開発の中止を決定し、IAIや関連従業員から非難を浴びた。開発再開の試みも失敗し、イスラエルはF-16の大量導入を決定した。ただしラヴィによりF-22ラプター輸出の可能性が消えた。イスラエルがラヴィ(およびF-16)の技術が中国にわたりJ-10が生まれたのを見た米議会はF-22輸出の途を閉ざしたのである。これによりイスラエル他ラプターに関心を有する数か国に調達可能性が消え、同機の生産も早期終了する結果になった。

代替策と対米関係

  1. 国産戦闘機開発に代わりイスラエルは米国から導入した機材を大幅改造するのが普通になった。F-15I「サンダー」、F-16I「ストーム」の両機種は大きく改修されイスラエル仕様になっている。航続距離が延びエイビオニクス性能を向上した両機種はIDFに長距離戦闘能力を実現した。F-15IはF-15Eストライクイーグルが原型でIAF長距離攻撃機の主力だ。IAFはF-35共用打撃戦闘機でもソフトウェアなどイスラエル向け改修を始めている。
  2. 自主開発戦闘機プロジェクトこそないもののIAIは成功し続けている。エイビオニクスや弾薬類で国内国外に顧客開拓し、UAV分野でも存在感を高めている。ラヴィの失敗があったが、イスラエルのハイテク防衛産業はおおむね好調で民生分野へ波及効果が大きく生まれている。イスラエル産業政策の目標はハイテク分野のイノヴェーションに資金投入を続け国防と経済成長を両立させることだ。
  3. 今日のイスラエル航空宇宙分野は米国との良好な関係に依存している。機材調達と共同技術開発で顕著だ。米イ同盟関係が崩れる兆候がないことだはイスラエルに幸運な要素だ。技術保全の懸念からラプター輸出は不可能になっても両国関係全般は傷つかなかった。仮に想定外の事態が発生してもイスラエルは米国以外の供給元をさがしていただろうし、イスラエル産業界の実力から提携先に困ることはないはずだ。■

Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money, Information Dissemination and the Diplomat.