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2021年1月30日土曜日

ドイツ空軍の戦力減退:予算不足>整備できず>訓練不足にくわえ、パイロットが空軍を去る事態、ドイツはこの悪循環を断ち切れるか

 

イツ空軍パイロットがNATO基準の訓練時間を計上できていない。

 

訓練方法に問題があるわけではない。問題はドイツ空軍に飛行可能機材が足りないことだ。とドイツ空軍参謀長インゴ・ゲルハルト中将が述べている。▼「空軍パイロット半数近くでNATO基準の180時間を昨年達成できていないのは、整備問題で機材が運用できなかったため」と英デイリー・テレグラフが伝えている。▼空軍パイロット875名で飛行時間基準に達したのは512名とドイツ政府官報にある。

 

 

「ドイツ空軍はどん底状態」「機材は交換部品がないため飛行できない、あるいは整備が終わらず地上に残っている」とドイツ空軍参謀長インゴ・ゲルハルト中将が述べている。

 

第二次大戦中に恐れられ、冷戦中に敬意を集めたドイツ軍がここ数年は予算不足のため、かろうじて機能する組織になっている。▼2018年夏にドイツのユーロファイター128機中で部品不足が原因で飛行可能だったのはわずか10機だった。▼2019年2月は39機になり、トーネード戦闘機93機は26機しか戦闘あるいは訓練に投入できなかった、とテレグラフは伝えている。▼今度はパイロットが軍を去り、支障を生じる事態が危惧されている。▼この5年間で11名が去ったが、昨年上半期だけでパイロット6名が退職している。

 

冷戦終結でソ連の脅威が消えてドイツ軍事力は減衰している。▼喫緊の問題は国防支出で、NATO目標のGDP2%に対し、1.3%にとどまっている。▼ただし、欧州内NATO加盟国で目標を達成している国は少数だ。

▼2018年にドイツ海軍潜水艦で出動可能な艦が皆無となり、新型ヘリコプターや輸送機で飛行不能事態が生まれ、装甲車両が稼働できなくなった。▼ロシアがバルト海諸国に侵攻しても、ドイツは一個旅団の派遣準備にさえ一ヶ月かかるとの米調査結果もある。

 

といってドイツがパイロット訓練不足を甘受していいわけではない。▼米国、イスラエルの第二次大戦後の成功はすべて訓練を十分受けた搭乗員が要因だ。▼ロシア軍パイロットは訓練時間が西側より長くなっているとの分析もある。▼ドイツ軍パイロットの訓練内容がこのままの状況ではNATOはロシアへの優位性を失いかねない。

 

訓練不足がナチ時代のドイツ空軍崩壊につながったのは皮肉な事実だ。▼1939年のドイツ空軍パイロットは実戦前に200時間飛行しており、各国より長い訓練を受けていた。▼これによりドイツは大きな撃墜成果を上げた。▼1944年に燃料不足で訓練に支障が出ると、損害が多大になり、ドイツは50-100時間程度の訓練でパイロットを送り出した。▼これに対し、英米軍では300時間以上を訓練にあてていた。▼その結果、悪循環となり、パイロット不足でルフトバッフェは未熟パイロットを動員し、すぐ撃墜されてしまい、更に多くの新米パイロットが戦場に送られた。

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

Why Pilots are Quitting the German Air Force

January 28, 2021  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Reboot  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarStealth

by Michael Peck

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook. This article first appeared last year.

Image: Reuters.


 

2020年5月12日火曜日

ドイツ空軍がスーパーホーネットとタイフーンの同時採択に走った背景



愕の決定が欧州、米国双方の防衛産業に大きな影響を生む。ドイツがボーイングF/A-18Fスーパーホーネットとユーロファイター・タイフーン改良型を同時採用しパナヴィア・トーネード90機の後継機にする決定を下した。ドイツはユーロファイター90機、スーパーホーネット45機を調達する。

ドイツ国防相アネグレット・クランプ-カレンバウアーは2019年9月にトーネード後継機は「可及的且つ速やかに」必要で調達を急ぐと述べていたが、今回の決定が迅速に下ったことには驚かされる。ドイツには雇用喪失を恐れ、スーパーホーネット採用を阻止する労組の動きもあった

両型式の採用は妥協の産物だろう。ドイツはトーネードで任務としていたB61核爆弾運用をスーパーホーネットで早期に目指すはずで、(NATO共同運用だが)ドイツによる核兵器抑止力の維持のため後継機選定は待ったなしだった。スーパーホーネットには電子戦専用のEA-18グラウラーがあり、今回の契約では15機がこの型式となる。グラウラーはトーネードECR電子戦仕様機と交代する。

今回の受注は完全勝利とは言えないもののボーイングには朗報だ。同社は737 MAXの飛行停止とコロナウィルス後の受注減で苦境にある。またF/A-18E/FはフィンランドのHX選定でも有利になりそうだ。フィンランドの要求内容に将来も生産ラインが閉鎖されないことがあるためだ。米海軍向けの同機生産はF-35Cや艦載ステルス制空戦闘機への移行で減る予想だが、ドイツでの受注でF/A-18E/F生産ラインは維持できる。

両機種同時採択の決定から見えるのはユーロファイターの商品力の低さで、原因はちぐはぐな開発と資金投入が低調なことだろう。電子戦用仕様のユーロファイターは構想だけで実機生産とテストは未実施のままのため、グラウラーに対抗できなかった。ユーロファイターで装備統合の動きも鈍いことでも悪評があり、各国とも別個対応を迫られている

ただし、ユーロファイターを余分に発注したドイツは同機を捨てることができないのだろう。トーネード90機はユーロファイター(攻撃任務)とスーパーホーネット(攻撃、核攻撃、電子戦)各45機で十分で、今回発注のユーロファイターのうち45機は初期調達機材の更新用だ。ドイツのユーロファイターは旧型機を廃止しても30%増となる。合計135機の一括発注はドイツ空軍の戦力を大きく拡充することになる。■

この記事は以下を再構成したものです。



May 8, 2020  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: GermanyGerman Air ForceF/A-18 Super HornetMilitaryNATO




2019年8月10日土曜日

ドイツ軍事力の退潮、今度はパイロット訓練時間数が不足の原因は結局国防予算の不足



Germany’s Pilots Don’t Have Enough Warplanes to Fly 

ドイツ空軍パイロットの訓練機材が足りない

August 10, 2019  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarStealth

イツ空軍パイロットの飛行時間が不足しNATOの求める訓練水準を満たせない状態になっている。
訓練教程の不備ではない。原因はルフトバッフェに飛行可能な機材数の不足だ。
「ルフトバッフェパイロットのほぼ半数がNATO目標の年間180飛行時間を満たしていない。機材が整備問題で飛行できないためだ」と英国のテレグラフ紙が伝えている。空軍パイロット875名中で要求される飛行時間に達したのは512名のみとドイツ関係者が官報で明らかにしている。Advertisement
「ルフトバッフェは低調な状態」とインゴ・ゲルハルツ中将(ドイツ空軍参謀長)が先月発言。「交換部品の不足あるいは機材整備が終わらず機材が地上待機状態のままだ」
ドイツ軍といえば第二次大戦中は大いに恐れられ、冷戦中も一目置かれる存在だったが、ここ数年は予算カットでかろうじて機能している状態だ。2018年夏にはユーロファイター128機中で稼働可能機材はわずか10機、交換部品不足が原因とされていた。2019年2月には「ユーロファイター全128機中で39機のみ、旧型トーネード93機では26機が戦闘任務あるいは訓練に投入できる状態だった」とテレグラフ紙は伝えている。
「今度はパイロットが空軍に愛想をつかして除隊が止まらない。昨年上半期は6名が辞職したが、5年前は年間で11名退職だった」
冷戦終結後のドイツ軍事力で退潮が止まらない。問題は予算だ。ドイツの国防費はGDPの1.3%とNATO目標の2パーセントに届いていない。(加盟国で目標を達成している国は少ない)
2018年にはドイツ潜水艦部隊が航行できない状態になり、新型ヘリコプターや輸送機が飛行不能となり、装甲車両が第一線から除去された。状況はとても悪くロシアがバルト海諸国侵攻に踏み切れば、ドイツは部隊動員と輸送に一ヶ月費やしても現地救援に送れるのは装甲旅団一個のみと米国は分析している。
とはいえ訓練不足のドイツパイロットを放置できない。米国やイスラエルの空軍部隊が75年にわたり数々の成功を収めてきた背景には訓練を十分に受けた航空要員の存在があった。アナリストの中には今日のロシア軍パイロットは西側諸国より訓練時間が少ないと見る向きがある。ドイツ空軍パイロットの訓練時間がこのままだとNATOの対ロシア優位性が消失しかねない。
皮肉にもナチ時代の旧ルフトバッフェの崩壊を招いたのが訓練不足だった。1939年当時のドイツパイロットは200時間の訓練を経て戦闘任務に赴いた。これは対戦国の水準を大きく上回っていた。だが1944年になると燃料不足で訓練に支障をきたし機体喪失も増え、パイロットは50ないし100時間の飛行訓練で戦闘に駆り出された。その時点で英米パイロットは300時間超の訓練を受けていた。ソ連では100時間程度だった。
その結果、悪循環が生まれ、パイロット不足のためルフトバッフェは訓練不足のパイロットを投入せざるを得なくなり、すぐに戦死あるいは損傷し、一層多くの新人が戦場に駆り出された。■


Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.