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2019年1月8日火曜日

今年の展望 中国に警戒を。習近平体制は不安定化に向かうのか。


Will a Failing China Attack America? 
失速する中国が米国に攻撃を仕掛ける可能性はあるのか

"That’s an especially disturbing possibility now that belligerent Chinese officers are convincing themselves they can launch surprise attacks on the U.S. Navy and kill thousands of Americans."
「米海軍を奇襲攻撃し数千名の米国人を殺せると公言してはばからない中国関係者を見ると心穏やかではいられなくなる」


by Gordon G. Chang
December 31, 2018  Topic: Security Region: Asia  Tags: ChinaXi JinpingAmericaPLAU.S. Navy

「米国は死を最も恐れる」と海軍少将羅願Luo Yuanが2018年12月20日に深センで講演した。「こちらには東風-21D、東風-26ミサイルがある。空母キラーだ。あちらの空母を沈められる。一隻で5千人だ。二隻なら死傷者一万人になる。米国が恐怖を感じないはずはない」
羅少将は毒舌で知られるが、中国上層部の思考を反映している。1月1日の米国との国交回復40周年を直前に米艦船攻撃を公言する二人目の軍関係者となった。
戦争の話題は中国で軍以外からも聞こえる。今一番ホットな記事は1938年の毛沢東演説の再録だ。
中国国営メディアが米国への憎悪でいっぱいのときに毛沢東の言葉が人気を集めていることは要注意だ。中国指導部は内部抗争に勝つためにも戦争の話題を口にしている。
中国共産党は混乱しているようだ。中央委員会は第19回人民代表会議で第四次全体会を開けなかった。
昨秋、中国経済が厳しい状況ため習近平が年末までに全体会を招集し構造改革問題を取り上げると外部は見ていた。
中央委員会には全体会を開催すべき理由が別にある。「米国の対中政策が競合に方向を変え現体制の存続が危なくなっている」と中国問題で定評のあるサイトSinoInsiderが10月に評した。「そのため習近平には党エリートを集め国内外の危機に一致して対応させる必要がある」
ではなぜ四次全体会が開催されなかったのか。「習が権力集中を完成したため全体会を開催し不必要な波を立てたくなかったのではないか」と中国ウォッチャーが匿名条件で教えてくれた。「一人で全部決められるのは毛沢東時代と同じだ。つまり全体会は都合よく開催できるので、党から追放したい同志がいれば開催するのだろう」
習は毛への心酔で知られ、毛の発言をなぞっているので、現在の中国が習により完全に統制されている可能性は高い。
だが中国ウォッチャーの大部分は別の見方だ。習の地位は従来より不安定というのだ。Sinoinsiderがこのことに触れていた。「四次全体会が開催されないのは派閥抗争が激化し習も危うい状況にあるためだ」
香港中文大の中国ウォッチャー、ウィリー・ラムは「一部アナリストは習が地方幹部に不人気で四次全体会開催を見送ったと見ている」と記した。
この説明だと反習勢力が経済失速や米国との貿易摩擦など習の政策失敗を責めている現状と合う。前例のない権力集中を得た「全案件全地点全国民の主席」は逆に誰の責任も問えない。
そうなると2018年12月18日に習が内容の乏しい演説を第11次中央委員会の第三次全体会40周年の席上で行ったのも当然か。これは中国の「改革時代」の始まりとされている。中身がない演説に終始したのは党がそこまで分裂しているためだ。さらに分裂が進みそうな兆しがある。習の前任者かつ今もライバルの江沢民、胡錦濤がともに習の90分におよぶ13千語の演説に同席しなかった。
習の権力基盤が危うくなったとの観測は正しく、四次全体会開催に失敗したのは明らかだ。習が2012年末に就任後の党は淡々と定期的に運営されてきた。人民代表会議は五年周期に、全体会がその間に開催される予測どおりの展開だった。共産党へ関心を有する向きからはこの規則正しい実行を好意的に見てきた。
だが共産党はもはや規則正しい実行ができない。三次全体会は通例の秋にでなく2月に開かれた。習はこの機会を乗っ取り統治問題を取り上げ、任期上限を取り払った国家主席となった。また四次全体会の議題を三次でとりあげたため、四次全体会が未開催なのは上述のとおりだ。
中国軍関係者が米海軍を標的とする発言を普通に行うのは良くないがもっと悪いのは共産党トップが不安定になっているのが明らかなときにこうした発言をはばからないことだ。外部からは北京で何が起こっているのかうかがい知れないが、上層部の摩擦の兆候はだれにでもわかる。
この不調和のため米政府は対中関係を抜本的に見直すことになった。共産党内部の対立により米国にとって望ましくない方向に向かうのはあきらかで、意見対立の原因の一つに対米関係なのだ。
トランプ政権は対中関係の変更に舵を切り始めた。たとえば国家安全保障戦略が一例だ。ここでは中国にはロシアと並び「現状を変更しようとする勢力」の表現が見られる。これは従来よりも現実的な認識への第一歩であるが中国の状況が不安定化しつつ強硬な態度を増しているのは戦略方針の表現を超えている。落ちめの中国が強襲に出る可能性はある。

好戦的な中国関係者が米海軍に奇襲攻撃をかけ数千名の米国人の生命を奪えると公言する中でこれは不安を煽る可能性だ。■



Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China . Follow him on Twitter @GordonGChang.

Image: Reuters

2019年1月6日日曜日

習近平の新年あいさつ「戦闘準備引き上げ」ことばだけなのか、それとも....?

Xi orders armed forces to enhance combat readiness 
習近平が各軍の即応体制引き上げを指示

SourceXinhuanetEditorLi JiayaoTime2019-01-04
http://english.chinamil.com.cn/view/2019-01/04/content_9396346.htm

2019年1月4日に北京で開催された中央軍事委員会で訓示する習近平中国共産党総書記長兼中央軍事委員会委員長。 (Xinhua/Li Gang)

近平主席は1月4日、中国各軍に対し戦闘準備を高め、強力な軍事力整備の新基盤づくりを新たな視点で進めるよう指示した。

中国共産党中央委員会の総書記長兼中央軍事委員会(CMC)の委員長も務める習は北京のCMC会合で上記指示を与えた。
第18回人民代表会議以降の軍事面での功績を称えつつ習は国家主権の守り手としての軍が厳しい状況に耐えつつ複雑な状況に直面していると述べた。

「世界が過去一世紀中で見られなかった大きな変革期にある中でさらなる成長に向けた戦略的好機という重要な時期に中国は引き続き立っている」とし、リスクと課題の高まりに注意喚起した。
各軍は中国の置かれた安全保障と開発の潮流を正しく理解し、危険、危機、戦闘への意識付けを高くし不屈の努力で戦闘準備体制を保ち・党と人民の求めに応じて任務遂行をめざせ、と習は述べた。

.戦闘能力を唯一かつ基本基準として習はすべての作業、努力、資源を戦闘準備体制の維持に集中配分し大きな進展を模索すべしと命じた。
合わせて迅速な軍事対応と高効果の危機対処を強調し、軍部隊に共同作戦時の指揮命令能力向上、新規戦闘部隊の育成、軍事訓練を実戦環境で行えと指示した。
党と政府各省庁は中央、地方合わせ国防軍事開発で支援を求められている。
CMC副委員長として会合をとりまとめた許其亮Xu Qiliang空軍大将と同じく副委員長の張又侠Zhang Youxia陸軍大将から模範部隊10個、模範個人20名の表彰の発表があり、習含む委員会上層部が授与した。


習は2019年初のCMC指令として各軍の訓練動員命令に署名した。■


コメント 新華社配信の記事を英訳したものを日本語にしているのでどこまで伝わっているのか不安ですが、中国独特の言い回しの中にもどことなく緊張感がつたわってきます。しかし例年のあいさつとどこがちがうのかわかりません。東シナ海、南シナ海以外にもサイバー、宇宙で今年のPLAがどんな行動に出てくるのか、中央のいいぶりを末端がどう理解するのかが注目されます。中国事情に詳しい人のコメントをお願いしたいところです。冷戦時代にはソ連(ロシア)事情に詳しい専門家が多数アメリカに生まれましたが、日本では中国の軍事情勢を正しく読み取れる専門家は何人いるのでしょう。

2017年11月11日土曜日

中国中央軍事委員会の戦闘指揮所の全体像が明らかになった


Take A Rare Peek Inside China's Expansive Joint Battle Command Center

中国の巨大戦闘指揮命令所の姿が見えるまれな映像を入手

The facility represents the changing capabilities and strategic focus of the Chinese military.

施設は中国軍事力の拡充ぶりと戦略目標の変化の象徴だ


YOUTUBE SCREENCAP
 BY TYLER ROGOWAYNOVEMBER 7, 2017
一国の指揮命令所には特別の関心を感じる。アメリカの潜在敵国のものであればなおさらだ。以前にモスクワの国防省内の巨大な指揮命令所を見たが、今回はビデオ映像から中国軍事委員会(CMC)の統合戦闘指揮所を見ることができた。
施設は2014年から2015年にかけ中国軍の統合運用作戦を進めるため、かつ中国最高指導部による指揮統制機能を強化するために建設されたようだ。指揮命令系統のトップは習近平が中国共産党総書記としてかつ中国軍事員会の長として君臨する。最近になり「最高司令官」の称号も加わったようだが、これは米国大統領の真似であるとともに権力基盤が強まり軍への統制機能が強まったこと、党内の権力闘争が弱まったことも反映しているのだろう。
指揮命令所の一部を見ることができたが、以前にも(2016年)に疲労感を漂わせた習近平(上画像)がここを訪問していた。直近の映像では11月3日に施設の全体像がよりくわしく映っている。(下画像)
命令所内にはワークステーションの列があり、平面ディスプレイ多数、これも多数の赤電話が見られる。また玉座のような習近平用のデスクもある。巨大な地図が中央にあるが、この地図で何ができるのか不明だ。普通に考えれば地域内の状況で部隊や艦船の位置を示し、ズームも可能なはずだがこの巨大な地図を妙な位置に据え付けたものだ。ロシアがほぼ同じ時期に完成させた指揮命令所に通じるものがある。
習近平が最近この施設を訪問し、軍の即応態勢と戦闘能力向上を訴えながらCMCのために戦闘に勝利してほしいと激励している。その模様はジブチに完成した中国初の海外基地にも中継されている。同基地は中国の軍事的野望を象徴して地域内大国からグローバル大国への移行を模索する姿そのものだ。
YOUTUBE SCREENGRAB
この命令所が紛争時に有効活用されるのかは不明だがそれは問題の核心ではないだろう。これまでの道のりの延長に立てば中国が軍事大国になるのは確実と思える。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com
習近平の指揮所訪問画像 中国語英語字幕付き

2016年3月6日日曜日

習近平の進める人民解放軍改革の特徴は何か





Inside China’s Plan for a Military That Can Counter U.S. Muscle

Chinese President Xi Jinping seeks a ‘tectonic’ shakeup of the world's largest fighting force

March 4, 2016 — 8:00 AM JSTUpdated on March 4, 2016 — 2:07 PM JST



習近平主席が朝鮮戦争以来最大の軍改革に取り掛かっている。

2.3百万名強の人民解放軍を変身させ、21世紀の装備を持ちながらソ連時代の指揮命令系統を残した体制から近代戦を勝ち残れる組織にする。中国は「単なる大国から強力な大国」へ移行すると習は昨年11月に誇らしく宣言していた。軍組織のリストラクチャリングは国防予算でも大きな柱で3月5日にその大要が全人代で発表されるはずだ。

「軍の改革を断行した国は多いが、中国ほどの地殻変動的変化を経験した国は少ない」とヘリテージ財団のディーン・チェンは述べている。

習の目指す方向は以下の通りに要約されよう。

芸能兵は減らし、水兵をふやせ

改革の第一歩として習が天安門軍事パレードで公表したのがPLAで30万名の削減を2017年までに達成することだ。習はこの公約を中国が平和に尽力する証と述べたが、削減の対象は非戦闘隊員であり、削減で各軍の実戦力は一層目標に合致することになる。


削減対象に炊事、病院、報道に加え1万名ほどのPLA名物芸能兵がある。それでも中国の兵力は世界一で、米国より600千名も上回ると国際戦略研究所が推計している。
Flowers from a fan? Peng Liyuan, aka Mrs Xi Jinping, belts out a paean to China in Henan Province in 2004.
彭麗媛は習近平夫人だが同時に軍隊歌手として少将の階級にある. 2004年河南省
Photographer: ChinaFotoPress/ChinaFotoPress via Getty Images

またこれまで主流の立場に君臨してきた陸軍がその座を譲ることになる。近代戦で通常型兵員の需要が減るためだ。中国が必要とするのはパイロット、水兵、特殊作戦隊員、無人機操作員で戦略投射の範囲を広げることだ。



誰がボスになるのか

高度な軍事作戦では各軍の密接な連携が必要となる。これは陸軍中心の軍事体制で不足していた要素だ。習は軍組織を5軍の統合指揮構造に変えつつあり、そのモデルは米国だ。

陸軍に加え、PLA空軍、PLA海軍と新設のロケット軍が核・非核のミサイルを運用し、戦略支援軍がサイバー戦を統括し、中国の金融制度を攻撃から守る。


地図を書き直す

統合指揮命令体制への途上で中国は軍区7つを「戦域司令部」または「戦闘地区」5つに再編し、各区内を単一の司令官隷下におくことにした。これはブルームバーグが昨年9月に先駆けて報道している。ただし各区がどう機能するのか不明。

「指揮命令構造を解明するには多大な尽力が必要だ。誰が誰を支援するのか、最も大事なのは誰がどの予算を抑えるかだ」とフェリックス・チャン(フィラデルフィアの外交政策研究所)は見ている。問題は各区の管轄範囲がどこまで中国の国境の外に伸びるかで、新しい区割りが南シナ海のような問題地区でのPLA活動を定義するかだ。

権限の集中化

Xi Jinping confers military flags on the five newly-established theater commands of the PLA.
新設5軍区の軍旗を自ら手交する習近平
Photographer: Li Gang/Xinhua via Getty Images


習は軍の肥大した官僚制度を分割しつ自身の権限を中央化しようとしている。四つの総局を小規模15部門に分割し訓練、補給、汚職幹部取り締まり、部隊の規律維持、マルクス主義学習まで機能させる。各部門は中央軍事委員会直轄とし、委員会は習が自ら委員長の党組織だ。

「習はPLA内部で自身の基盤強化がねらいだろう。各部の長は習の子飼いが任命されるのではないか」とチェンは見る。

改革案の成否を握るのは習がPLA内部の既得権益にどこまで手を入れられるかにかかる。共産党統治を後押しする代償としてPLAは特権を享受している。その一つの例として新設5軍区のトップは全員陸軍出身だ。

習が一つ明確にしたことがある。PLA統制はあくまでも党の権限で、政府に移譲するつもりは毛頭ないことだ。これに対し海外専門家は軍の専門性強化には移譲は当然だとみている。■

2016年1月4日月曜日

★ロケット軍創設、中国の軍拡の背景に潜む考え方とは

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面子がすべてだ、強国だからこそ強力な軍備が必要だとどんどん先を目指す中国はやはり異様な国です。国際社会で孤立化する可能性に気づいていないのでしょうか。かつてのソ連は軍拡の挙句に崩壊しましたが、今回は米国の優位性が危うくなっており、中国はソ連の轍を踏まないでしょうから西側も中国の暴走を止める別の方法が必要です。そこで第三の相殺戦略が効力を発揮するかがこれから数年間おおきな話題になるでしょう。なお、記事が引用している教授は相当過激な主張も展開している人らしく要注意です。

China Restructures Military As Xi Eyes 'Strong Army'

Agence France-Presse12:16 p.m. EST January 2, 2016

SHANGHAI — 中国が軍組織改組で新たに三つの部隊を加えると発表し、習金平主席は「強力な軍隊をめざす中国の夢を実現する重要政策決定」と評していると国営通信が伝えた。
  1. 新組織発表の前に中国政府は空母二号艦が建造中と認めている。
  2. 中国は共産党による人民解放軍(PLA)の掌握をさらに強化する方策を実施すると11月に発表していた。
  3. 今回の発表では戦略ミサイルを取り扱う軍組織の新設が含まれている。この「ロケット軍」以外に地上部隊の総司令部組織、戦闘部隊の支援組織を国営新華社が伝えている。
  4. 習主席は共産党トップであるとともに軍の最高司令官もつとめ、先に中国軍を三十万人削減し2百万人体制とし戦闘部隊の効率化を追求すると発表した。
  5. 中央軍事委員会から1日に発表された方針では2020年までに軍の近代化を完了すべく兵員数を削減し、残る軍組織構成員の質を高めるとしている。
  6. 論調が右寄りなことで知られる環球時報は軍事力拡大の必要条件を列挙し、米国の存在をその理由としている。
  7. 「中国が米国に軍事力で差をつけられれば、中国の国際社会での地位が脅かされ各国も中国への接し方を変える」と2日付の社説で述べている。「軍が強力であってこそ、中国の政治影響力は拡大し、説得力を有する」
  8. 中国軍は日本、フィリピンと東シナ海、南シナ海で深刻な緊張関係にあり、偶発事件が軍事衝突に発展する恐れを生んでいる。
  9. 一方、新設のロケット軍の任務は通常、核双方の運用で抑止力とともに攻撃力を確保する。習主席は新組織発足の式典でこう述べたという。
  10. だが中国国防省報道官は核兵器運用方針で変更はないと説明。「中国の核兵器方針と核戦略は首尾一貫しており、いかなる変更もない」 また同報道官は新組織は第二砲兵軍を引き継ぐものと発表。
  11. 9月の軍事パレードで中国は「空母キラー」として陸上配備のDF-21D中距離弾道弾を公表し、最終誘導装置で移動目標へ有効な攻撃手段となるとしている。
  12. 中国問題の専門家は今回の動きは軍の近代化の一環と見る。「長い間中国には国外に権益を有さず、人民解放軍内部で海軍、空軍、誘導ミサイル軍は陸軍より低い地位に甘んじてきた。欧米の大国に追いつくため中国は装備近代化を急ぎ、軍の戦闘能力を引き上げる必要を感じている」(上海政法学院 Shanghai University of Political Science and Law の教授倪乐雄Ni Lexiong)■