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2024年12月31日火曜日

2024年の太平洋に関する5つの話題(Breaking Defense)―日本の防衛力拡大、中国の内政問題、そして海軍力強化を目指すオーストラリアの不揃いな姿勢

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「もがみ」級フリゲート艦の4番艦「みくま」を進水させた三菱重工業。 出典:海上自衛隊


ンド太平洋における今年最大の話題のひとつは、日本が平和主義の隠蔽を捨て、防衛費を増やし、主要な兵器システムを実際に輸出することに動いたことだ。

 政策方針は過去10年以上にわたって打ち出されてきたが、今年は日本がこれらを現実のものとする具体的な一歩を踏み出した年であった。 この進展の重要性は、2024年のアジアから5つの記事を抜粋し、さらに中国軍における眉をひそめるような揺り戻しや、オーストラリアが行ったいくつかの重要な動きについてのレポートにも反映されている。


1. 日本の防衛省が海外航空ショーに初登場、武器輸出を求める

2月に開催されたシンガポール・エアショーで防衛省ブースを見た本誌は衝撃を感じた。

 確かに、ブースは比較的小さかったが、制服姿の日本政府関係者が、海外報道陣や企業、外国政府の代表者に積極的に働きかけていた。そして彼らは本誌と話し、企業にメディアと話すよう促した。

2. 取り調べ対象の中国軍トップに国防相が加わったのは「大きな意味合い」がある

日本が中国が最も恐れていることの1つ、真剣で力を誇示する地域大国になろうとしている一方で、中国の最高指導部は少し気が狂っているように見えた。人民解放軍を統治する組織、中央軍事委員会の幹部が「停職」処分を受け、第3代国防相が姿を消したのだ。

 他国の大きな軍であれば、このような行動は世界的な警鐘を鳴らすだろう。中央軍事委員会のメンバーと最新の国防相が姿を消して1カ月以上が経過したが、なぜこのようなことが起きているのかについては、まだ推測しかない。しかし、アナリストたちは、中国軍においてすべてがうまくいっているようには見えないという点では一致している。

3. オーストラリアと日本が水中技術に関する初の研究開発試験に合意

中国が最も注視するアメリカの同盟国2カ国が今年かなり接近した。 毎年6ヶ月間オーストラリア北部で活動する米海兵隊に加え、日本は毎年海兵隊をオーストラリア北部に派遣することになった。

 さらにオーストラリアと日本は、「水中戦のためのロボット・自律システムにおける戦略的能力」のために、最先端かつ高度に機密化された軍事装備の一部について共同作業を開始することに合意した。

4. 「憂慮すべきこと」だが「驚くべきことではない」: オーストラリアで運用可能な潜水艦は1隻しかないと報じられている

オーストラリア海軍の潜水艇艦隊に今年、亀裂が入り始めた。コリンズ級潜水艦隊は事実上機能不全に陥り、政府は6隻ある老朽潜水艦のうち1隻しか配備できないことを認めた。 政府は、必要であれば2隻目の潜水艦を出航させることができると宣言し、艦隊は運用上の要件を満たしていると主張した。しかし、このニュースは、オーストラリアがコリンズとAUKUSの最初の潜水艦が到着するまでの能力差を埋めることができるのかという基本的な疑問を投げかけた。

5. 豪州海軍が70億ドルで水上艦隊を倍増させる案を提示したが資金は不透明

オーストラリア海軍は、老朽化したANZAC級駆逐艦をはじめとする水上艦艇が抑止力としてますます手薄になっている認識で、111億豪ドル(約72億ドル)を投じ水上艦隊を倍増させる計画を決定した。

 その重要な部分が汎用フリゲート計画で、ティッセンクルップ・マリンシステムズのMEKO A-200と三菱重工業のもがみ級フリゲートの競争に絞られた。MEKO-200はANZAC級をアップグレードしたものである。「もがみ」は、日本が外国に主要兵器システムを売り込む初めてのケースとなる。■


From Japan’s build-up to stumbles in the Lucky Country: 5 Pacific stories for 2024

Key reports covered Japan's defense expansion, China's internal troubles and Australia's uneven pursuit of more naval power.

By   Colin Clark

on December 26, 2024 at 9:03 AM

https://breakingdefense.com/2024/12/from-japans-build-up-to-stumbles-in-the-lucky-country-5-pacific-stories-for-2024/


2018年7月22日日曜日

マラバール2019は日本近海で実施?

インド国内紙報道ですがお伝えしておきます。インド、オーストラリアを巻き込んで日米同盟はこれまで以上に中国を意識した作戦運用に進みます。これに対し中国がどんな反応を示すか、さらに同調する国内勢力がどんなピンぼけな主張を展開するか、いまからたのしみです。


Malabar exercise may take place in Japan next year来年のマラバール演習は日本近海で実施か



By: Huma Siddiqui | New Delhi | Updated: July 17, 2018 12:48 AM


回マラバール三カ国間海軍演習は日本近海での開催になりそうで、中国の東シナ海でのプレゼンスを抑止しつつ航行の自由を推進する狙いがあるのは明らかだ。
2016年にインドと米国は日本を同演習の通常参加国に認めたばかりだが、演習自体は1990年以来実施されてきた

インド政府消息筋によれば「来年の演習を日本近海で行う協議が三か国で続いている。日本代表団がインド入りし詳細を詰めることになっており9月の印日サミットで正式承認の運びだ」という。


マラバール演習に日本が加わったのは米国が目指す有志国連合をインド太平洋に形成し中国の軍事的台頭を抑え込む戦略上で望ましいことだ。

第二十二回マラバール三か国演習はグアム沖合フィリピン海で先月始まっており、空母作戦運用、防空作戦、対潜戦、水上戦、臨検・捜索・拿捕(VBSS)、共同戦術運用手順等が内容だ。

2017年のインド日本サミットの共同声明では両国が「防衛安全保障上の協力と対話を今後も進め、マラバール等共同演習の他、防衛装備技術面で協力を進め、監視偵察や無人機技術含む防衛産業も対象とする」とあった。

米インド太平洋軍司令部ホームページには「本演習により各国人員の理解度と相互運用体制が上がる」との記述がある。■

2016年4月1日金曜日

★武居海上幕僚長に聞く Defense News インタビュー



どうして我が国の海軍部隊トップ本人の見解を米メディアを通じてしか知ることができないのかはなはだ疑問に思います。例によって国内向けには護衛艦としているところは駆逐艦と訳出していますのであしからず。

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Interview: Adm. Tomohisa Takei, Chief of Staff, Japanese Maritime Self-Defense Force
Christopher P. Cavas, Defense News9:43 a.m. EDT March 30, 2016

TAKEI, T Chief of Staff Japan JMSDF(Photo: Christopher P. Cavas/Staff)

日本は過去の教訓を心に軍事抑止力の行使に徹し、米軍を大々的に支援しながら軍事強硬策に訴えることを回避してきた。だが中国が尖閣諸島で、北朝鮮が絶えず神経を逆なでし、ロシアが再び自信をつけるなど近隣諸国からの危険が増大する中で日本の軍事力は明らかに警戒度を上げている。
特に海軍力の近代化は一貫して続いている。海上自衛隊(JMSDF)は24千トンの新型ヘリコプター搭載駆逐艦二隻を投入し、イージス弾道ミサイル防衛部隊の整備を続けている。そうりゅう級潜水艦には高性能の推進方式が搭載されて毎年一隻が建造されており、川崎重工のP-1は海上哨戒任務で旧式化してきたP-3Cオライオンに交代しつつある。
Defense Newsは海上幕僚長武居海将に2月に東京の防衛省で取材した。海将は一部英語で、その他は通訳者を介して話してくれた。
米海軍との関係をどう表現するか?
米海軍特に第七艦隊と海上自衛隊の関係は日米同盟の要であり、アジア太平洋地区の平和と安定の要でもある。米海軍と海上自衛隊の良好な関係が今後の海洋協力が今後の米国-日本-オーストラリア関係や米-日-印あるいは米-日-韓関係でも基礎となる。
そこで米海軍との関係を維持強化することが望ましい。昨年4月に日米間で防衛協力の合意内容が改正され、平時の協力関係ならびに抑止能力の向上が決まった。米軍との協力には米海兵隊も含むが海軍が中心で、日米同盟の中核として日本にはどうしても必要な要素で、これがあってこそ平和と安定がこの地域で実現する。JMSDFと米海軍の密接な協力関係は60年をかけて形成されてきた。
中国がこれまでより強圧的になっており、防空識別圏の設定や国際公海で人工島を形成している。中国の行動をどう見ているのか。
まず日中関係は日本の安全保障上も極めて重要な懸念となっている。中国は域内での大国であり域内の安全安定に責任を有している。中国のシーパワーは海上航行の安全に貢献できるはずで、中国はすでにアデン湾で重要な役割を演じているほか、地中海で重大な役割を果たしている。
一方で中国は軍事力を増強しており、海上あるいは空で東シナ海、南シナ海のように活動を活発化させている。これが近隣諸国の懸念になっている。そこで中国との関係は日本だけでなく域内の海上通行の安全保障の観点でみるべきだ。中国との防衛交換の継続は重要で、中国軍の透明性を引き上げ、想定外の事態の発生を回避予防する努力を続けなければならない。
中国は定期的に訪問しているのか。中国海軍司令官常勝利提督は訪日しているのか
この五年間は中国との防衛交流は行っていない。
常提督に会ったことがあるのか
会っている。東京で二回、北京でも2008年、2009年の防衛交換の席上で会った。それ以降は高レベルの人員交流は行っていない。
日本が行おうとしたのか、中国がしようとしたのか。
この問題はそれぞれの政府が決定する事項であり、独自に当方が決めることではない。
中国は沿岸警備隊を大幅に増強し、日本の海上保安庁は尖閣方面で中国側艦船に定例的に遭遇している。船体が白い警備艦が灰色の海軍艦艇に代わることが多い。海上自衛隊と海上保安庁の関係はどうなっているのか。
海上保安庁の任務は日本の領海内を巡視することにある。これに対し海上自衛隊はもし保安庁が対応できない場合にはこれを支援することが役目だ。海自と保安庁は協力しており、すべての点で連絡しあっている。海上保安庁のトップは同級生であり、ホットラインで連絡できる体制にある。
北の隣国ロシアは挑発行動に出ているのか。関係はどうなっているのか。
ロシアの戦闘能力は極東では海軍含めかつての全盛時より大幅縮小されている。とはいえ今でも大規模な戦闘能力があり、核兵器もある。ここ数年は軍の改革に取り掛かっており、各軍の統合運用も向上している。またジェット爆撃機が我が国領土付近を飛行しており、あらゆる点で軍事能力を向上させている。このためロシアの動向や活動には神経を払う必要がある。
だが同時にロシアは日本の安全保障に大きな影響を与え、重要なパートナーになるので、日本は引き続き防衛交流を続けていく必要がある。例として日本はロシア海軍と捜索救難演習SAREXを実施している。両国の意思疎通を維持するうえでこの演習は重要だ。
北朝鮮が日本の安定と平和にとって最大の脅威なのか。
大変良い質問だ。北朝鮮は国連安全保障理事会決議を拒絶し核実験とミサイル開発を続けている。これは北東アジア各国に深刻な脅威だ。北朝鮮は大量破壊兵器の拡散に関係している可能性がある。状況は深刻さをましており、この地域だけでなく世界全体でも脅威に写っている
この脅威に対応すべく、日本は米軍と密接な協力体制を維持している。直近の北朝鮮による核実験の際もイージス弾道ミサイル防衛(BMD)駆逐艦の投入を準備していた。韓国とは情報交換を改善、向上して一層効果的な対応ができるようにしたい。
イージスBMD艦は今後も拡充していくのか
する。現在イージス駆逐艦6隻があり、2隻をベイスライン9仕様で追加要求中だ。5年たつとBMD対応イージス艦が8隻になる。
イージスアショアには関心がないのか
陸上配備BMD装備は日本にとって検討課題だが海自はまずイージス駆逐艦の隻数を増やすことに集中する。
海自の戦力増強が続いている。いずも、かがの新型ヘリコプター搭載駆逐艦は偉容ある艦だ。その後に建造する艦の想定があるのか
かが、いずも級駆逐艦は艦体の大きさと形状のため航空運用能力も含め注目されがちだ。だが各艦の本当の作戦概念は違う。統合運用を基本にHADR(人道援助災害援助)のような活動を平時および緊急時に想定している。このため両艦には充実した医療設備がついている。二年前にかがよりやや小型のいせを大型台風の被害を受けたフィリピンに派遣しHADR活動に投入した。近い将来にかがも重要な任務に投入されるだろう。日本が軍事力を拡大しているように思われるかもしれないが、このことから海自が日本のみならず域内の海上安全保障環境に適合した形で整備をすすめていることがわかるはずだ。
同様のことが航空機についてもいえる。P-3C哨戒機はアデン湾周辺で海賊対策に投入されており、その活動実績の充実ぶりが他国から高く評価されている。P-1が後継機だが、世界各地で同様に重要な任務に投入されるだろう。
日本は本当の空母は建造しないのか
しない。
海賊対策で日本がインド洋西部で護衛部隊を派遣中とのことだが、その際に新作戦概念を試したり、乗組員や艦に経験を積ませたり、外洋での作戦を維持する機会に活用しているのではないか。それとも単に淡々と任務をこなしているだけなのか
インド太平洋は日本の平和と安全のため極めて重要な水域であり、2001年9月11日以降、日本は補給艦と駆逐艦を9年間継続して配備している。ソマリア沖のアデン湾にはこれとは別に海賊対策部隊を派遣している。これは日本政府が示すアジア太平洋地区での平和と安定への貢献という方向を象徴する存在だ。
派遣任務から学んだことは何か。数千マイルかなたの地点で艦船に補給を行い、定期的に交代させることは簡単に実施してきたのだろうか
海自はその出生から帝国海軍の伝統を引き継いでいる。外洋海軍たることも帝国海軍の伝統の一部だ。帝国海軍のDNAは生きている。
米海軍は航行の自由(FON)作戦を南シナ海他で実施中だ。ここに参加を求められている国もあると思うが現実にはまだ実現しいない。日本は将来はFONで米国に加わるのだろうか。
日本政府は米海軍による航行の自由作戦を支持するが日本の参加予定はない。しかしながら南シナ海と太平洋西部が開かれた海として安定していることは日本の国益にも関連する。日本政府は海のプレゼンスを維持する意向を持っており、関係各国との共同演習の実施で南シナ海を安全な通行路として使えるよう維持する。政府による指示の一つとしてますますこの重要性が増している。
By Christopher P. Cavas in Tokyo.