2023年2月28日火曜日

ウクライナ戦の最新状況(現地時間2月25日現在) ロシア軍の旧式T-62に旧式センサーを搭載、制裁措置が効いてきた

 Ukraine Situation Report: Russian Tanks Reverting To Cold War Thermal Sights

57th Kish Otaman Kost Hordiienko Motorized Brigade/wikicommons

ロシアの旧式T-62Mが旧式サーマルサイトを装備している

ソビエト軍にT-62が就役して約62年、ロシア軍がこの旧式戦車を再改良した。ウクライナ兵器追跡(@UAWeapons)のツイートにある「T-62M Obr. 2022」は、サーマルサイトを搭載しているようだ。

ロシアは昨年春から老朽T-62をウクライナに配備しており、10月には800両を「近代化」し使用すると発表した。

T-62Mは1983年に製造され、ソ連のアフガニスタン戦争でNATO情報機関が改良型を確認した。同戦車は、皮肉にもウクライナのハリコフにある有名なマリシェフ工場で製造され、装甲や火器管制システム、新しいディーゼルエンジンを搭載し大幅に改善された。また、9K116-2「シェクスナ」(NATO:AT-10 Stabber)対戦車誘導弾の発射機能を備える。

しかし、1PN96MT-02サーマルサイトは、もともと1980年代半ばに生産されたBTR-80装甲兵員輸送車の初期型がルーツだ。この旧型光学機器を搭載したロシア戦車は、T-62が初めてではない。@TankDiaryの1月下旬のツイートには、よりシンプルで古い照準器を装備したT-72Bが満載の列車が写っている。

フォーブスは今月初め、ロシアがT-80に劣悪な1PN96システムを装備していると報じた。T-62多数が保管場所から再稼働しなければならなかったことを考えると、改造は、高性能車両の戦場での損失と、電子機器の製造に影響を与えている制裁から生まれたと思われる。装甲車のセンサーなど多くのシステムは、戦前は西側諸国から輸入されていた。

T-72B、T-80BVM、T-90に搭載されている最新のソスナSosna-Uパノラマ光学系は1PN96より性能が優れるものの、フランス製のThales赤外線イメージャーに頼っている。侵攻作戦に関連する制裁措置により、戦闘で失われたソスナUの代替や、再稼働した戦車に取り付けるための追加製造ができないことは明らかだ。

昨年、ロシアのメドベージェフ前首相が戦車工場を視察し、防衛産業関係者を逮捕すると脅したのも、サプライチェーン問題が雪だるま式に大きくなっていたからだ。さらに、日を追うごとに、西側の近代的な戦車や装甲戦闘車両が、優れた光学系を備えてウクライナ側に到着する日が近づいてきている。現代の機甲戦は、誰が最初に撃つかで大きく左右されるため、目の良し悪しが決め手となる。

最新情報

英国国防省が土曜日に発表した情報では、2月15日以降、イラン製カミカゼドローンによる攻撃は小康状態だが、ロシアが在庫を補充すれば、静寂は終わると予想している。

ウクライナ東部では激しい戦闘が続いており、包囲されたバフムート市との間の重要な補給路にある集落、イワニフスケをロシア軍が襲撃しているとの報道があった。

1年前、ロシア軍はウクライナ北部のベラルーシ国境を越えて、チェルノブイリ原発の立ち入り禁止区域とその周辺に押し寄せた。今、ウクライナは首都とベラルーシの間に、2キロに及ぶ地雷と対戦車要塞を配した本格的な防衛線を敷いている。

ウクライナ参謀本部によると、南部でロシア軍はケルソンのすぐ南にあるドニエプル川デルタ地帯のコンカ島周辺から河川部隊を退避させたという。

クロアチアは、クロアチア空軍から退役した Mi-8MTV-1 12 機と Mi-8T "Hip" 2 機を、ウクライナに移送する準備を始めたと報じられた。Jutarnji誌の報道では、首都ザグレブ郊外のVelika Goricaにある航空技術センターでヘリコプターを準備する技術的作業が進行中であることを詳述している。ウクライナのMi-8/17型が前線近くの戦闘任務で超低空を飛行する姿が頻繁に目撃されている。

最後に、マリウポリへの最新の長距離攻撃で、ロシア装甲車を数台破壊し、数十人の死傷者を出した。ウクライナが戦線のはるか後方の目標の攻撃用に何を持っているのか、興味をそそられる。■


Ukraine Situation Report: Russian Tanks Reverting To Cold War Thermal Sights

BYSTETSON PAYNE|PUBLISHED FEB 25, 2023 7:58 PM

THE WAR ZONE


ボーイングはF/A-18生産を2025年に終了の見込み。ただし、次の手は打ってある模様。

 


Boeing To End F/A-18 Super Hornet Production In Two Years

USN


ボーイングは、海外販売があればスーパーホーネットの生産は2年延長可能というが....




ーイングは、新型F/A-18E/Fスーパーホーネットの生産は2025年に終了する見込みだとしている。しかし、2年後にも不特定の「国際顧客」向けにスーパーホーネットを製造する可能性を残している。これはインド海軍との契約の可能性を指している可能性が非常に高い。いずれにせよ、同社は10年以内に新しいF/A-18E/Fの製造を停止する見込みだ。


 同社は本日発表したプレスリリースで、セントルイス施設内にあるF/A-18E/Fの生産ラインを閉鎖するスケジュールを発表した。現状では、スーパーホーネットの注文残は米海軍向けのみである。これらの機体は、電子戦派生機であるEA-18Gグローラーと同様に、現在米海軍とオーストラリア空軍にのみ就役している。


 クウェートもF/A-18E/Fを運用することが決まっているが、同国での就役時期はまだ明らかにならない。米国の有償海外軍事援助(FMS)のプロセスの一環として、ボーイングは2021年にクウェート受注分として機体を米国海軍に引き渡した。しかし、クウェート空軍への最終的な移転は、将来の本拠地であるアハメド・アル・ジャベール空軍基地の拡張作業の遅れにより、一部は保留されている。


 ボーイングが2025年に製造が終了した場合、何機のスーパーホーネットを製造することになるかは、すぐには明らかにならない。ボーイングのプレスリリースによると、1983年以来、スーパーホーネットとグラウラー、旧式のF/A-18A/B/C/Dホーネットを世界中の顧客に2000機以上納入しているが、その内訳は明らかにされていない。1995年に初飛行したスーパーホーネットは、初代ホーネットの派生機で、前任機から大幅に大型化されている。


超大型空母USSニミッツの甲板には、米海軍のF/A-18Eが並ぶ。背景に発艦するF/A-18Fが見える。USN


 海軍に関し、Defense Newsが2025年までに、「予算文書では30年間で合計698機のスーパーホーネットを購入することになる」と報じていた。しかし、2023年度予算案によると、2022年3月時点で、単座のF/A-18Eを310機、2座のF/A-18Fを246機、EA-18Gを161機保有しているとある。Defense News記事にある海軍のジェット機の総数には、長年にわたる事故による消耗に加えて、技術的には購入したものの、クウェートなど他国向けグラウラーやスーパーホーネットが含まれている可能性がある。


 RAAFは現在、24機のF/A-18Fと12機のEA-18Gを保有している。クウェート空軍向けに待機しているのは、F/A-18Eが22機、F/A-18Fが6機である。


 ボーイングのプレスリリースでは、「スーパーホーネットが海外顧客に選ばれれば、生産は2027年まで延長される可能性がある」とある。現時点では、スーパーホーネットの購入を検討していると知られている潜在顧客はインドだけだ。


 F/A-18E/Fは、インド海軍が26機の新型空母艦載戦闘機を契約するために、フランスのダッソー・ラファールMと競合している。また、スーパーホーネットは、長らく難航していたインド空軍の戦闘機入札のオプションに提案されており、数十機の戦闘機の納入につながる可能性がある。インド空軍は近年、表向きは暫定的な解決策として、ダッソー・ラファール陸上型を導入している。その結果、ラファールMがインド海軍契約で最有力候補になったという未確認の噂がある。


 もちろん、今後2年の間に別の外国顧客が現れる可能性もある。同時に、ボーイングは2019年にThe War Zoneに対し、スーパーホーネットの購入候補国として積極的に働きかけているのは、カナダ、フィンランド、ドイツ、インド、ポーランド、スイスと述べていた。インドの将来の戦闘機計画は依然不透明だが、ここに挙げた他の国々はすべて、その後、ロッキード・マーティンF-35A統合打撃戦闘機を購入すると決定した。


 F-35A以外にも、米国で生産されている戦闘機では、ボーイングのF-15ファミリー、ロッキード・マーチンのF-16バイパーのブロック70/72がスーパーホーネットと激しい競争を繰り広げている。また、フランスのラファールや欧州のユーロファイター・タイフーンなど、海外との競争もある。ロシアも戦闘機の主要生産国であることに変わりはないが、ウクライナ戦争で厳しい国際制裁を受けている。中国も戦闘機輸出の機会をうかがっている。


サウジアラビアで行われた「Spears of Victory 2023」演習で、現在の国際戦闘機事情を一枚の写真に映し出した興味深い映像がある。写っているのは、各国のF-16とユーロファイター・タイフーン、そして先頭のサウジのF-15イーグル、上から2番目は同国の老朽化した旋回翼戦闘機パナビア・トーネード。下から2番目にパキスタンの中国製2人乗り戦闘機JF-17Bが見える Government of Saudi Arabia



 ボーイングの計画は、アメリカの国会議員の介入で変わる可能性もある。米海軍のF/A-18E/Fの過去2回の発注では、議員たちが動いた。海軍は、過去10年間に何度も新型スーパーホーネット購入を止めようとして失敗しており、ちょうど前回の予算サイクルでもそうだった。


 しかし、これらの要因を考慮すれば、ボーイングがF/A-18E/Fの生産を終了し、次のステップに進むことを検討しているのは必ずしも驚くべきことではない。今日のプレスリリースで、同社はすでにセントルイス工場の資源を再編成させ、スーパーホーネット製造を中止した後も同工場での作業を拡大するとある。


 「ボーイング・セントルイスは、世界初の全デジタル訓練機「T-7Aレッドホーク」と世界初の空母配備型自律給油機「MQ-25スティングレイ」の生産を拡大し、新型F-15EXイーグルIIと777X翼部品の継続生産も行います」と、プレスリリースは伝えている。


 この生産終了の決定により、ボーイングは「次世代の高度な有人・無人航空機の開発」を強化することができ、セントルイスに3つの新しい最先端施設を建設する予定と続けている。「新施設は、アリゾナ州の新しい先進複合材製造センター、ミッドアメリカ・セントルイス空港の新しいMQ-25製造施設と同様に、10億ドル以上の投資となります」。


 「防衛製品とサービスの需要に応えるため、ボーイングはセントルイス拠点で今後5年間、前年比の雇用を続ける予定です」とリリースは付け加えている。「昨年はがこの地域で900人以上を採用しました」。


 ボーイングのセントルイス工場とスーパーホーネットの関係は、生産ライン閉鎖で完全に終わるわけでもない。海軍は、既存のスーパーホーネット数百機を大規模なオーバーホールとアップグレードプログラムで寿命を延ばし、先進のブロックIII規格に引き上げると決定している。EA-18GのBlock IIアップグレードプログラムも進行中だ。

 これは、ボーイングがこれまで公にしたものに過ぎない。他にも、ボーイングが参加する可能性のある主要な軍事計画が控えている。例えば米海軍は、次世代航空優勢(NGAD)プログラムとして、将来の第6世代有人戦闘機の取得を計画しており、これは空軍の同名のプログラムとは別だ。ボーイングは間違いなく、その取り組みの一翼を担うことに関心を持っている。


 海軍と空軍は、無搭乗戦闘機(UCAV)を含む無搭乗機を大幅に拡大する検討をしている。ボーイングは、先進的な無人戦闘機に関して豊富かつ先駆けの実績があるものの、最近まで大きな成果を上げることはできていなかった。しかし、MQ-25計画で、海軍無人機の未来への基礎が築かれつつある。ボーイングが中心的な役割を果たす可能性が非常に高く、すでにかなりの程度、中心的な役割を担っている。


 また、ボーイングオーストラリア法人では、先進的なステルス無人機「MQ-28 Ghost Bat」の開発を進めている。同機はもともとRAA向けに開発されたもので、有人機との共同運用として採用されることを期待しています。米空軍も現在、テスト作業を支援するため少なくとも1機を取得している。


An MQ-28 Ghost Bat. Boeing Australia


 英国海軍の開発責任者ジェームズ・パーキン少将Rear Admiral James Parkinは、今週ロンドンで開催された国際軍用ヘリコプター会議で、MQ-28の空母搭載型バリエーションまたは派生型の大型プレゼンテーションの構想図を示した。ボーイングは、これが会社の公式レンダリングであるとThe War Zoneに確認したが、追加情報の提供はなかった。

「将来にむけた戦闘機の実現は当社のDNAである」とスティーブ・ノードランドSteve Nordlundボーイング航空優勢部門副社長は、今日の声明で述べている。「次世代の能力を開発するために投資するとき、私たちはF/A-18を40年近くにわたってアメリカ海軍と世界中の空軍の主力にしたのと同じ革新と専門知識を適用します」。

 全体として、ボーイングは、スーパーホーネットの生産ラインが数年以内に終了すると明確に予想しているようで、次に備え今から準備しているのだ。■


Boeing To End F/A-18 Super Hornet Production In Two Years | The Drive


BYJOSEPH TREVITHICK, OLIVER PARKEN|PUBLISHED FEB 23, 2023 9:40 PM

THE WAR ZONE


2023年2月27日月曜日

シンガポールがF-35B追加調達を決定。東南アジアで独自の安全保障を堅持する同国の動向に注目。

 Singapore Commits To F-35B Stealth Jets With Follow-On Order

USMC

シンガポールはF-35Bを8機追加購入する

F-35共用打撃戦闘機の評価を終えたシンガポールは、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)型F-35Bをさらに8機購入すると発表し、これで合計12機を購入することになる。シンガポールはステルス機を強化しているが、STOVL型は、滑走路から独立して運用するか、将来的には大型水陸両用艦の飛行甲板から運用するかとは関係なく、東南アジアの小国であるシンガポールに重要な利点を提供する。

シンガポールは2022年の第3四半期に米国でのF-35A(通常離着陸型)とF-35B(通常着陸型)の評価を経て、STOVL型8機の追加購入を決定した。

「技術的に高度なF-35Bは、RSAF(シンガポール空軍)がシンガポールの空を守るため、将来への備えと効果の維持を保証します」と、同軍は今日のツイートで宣言した。

シンガポールの国防大臣ン・エンヘン博士Dr. Ng Eng Henは、「完全な評価を経て、国防省とシンガポール軍は、F-35が現在および将来の防衛ニーズに最も合う機体という結論に達した」と付け加えた。

「RSAFはさらに8機のF-35Bを取得し、2020年代の終わりまでに追加する」と大臣は続けた。「2030年代半ば以降のF-16の漸進的退役を支援するものとなる。F-35とF-15を有するRSAFは、我が国の空を守る強力な空軍となる」。

シンガポールは、2003年に安全保障協力参加国として共用打撃戦闘機事業に関与している。

シンガポールが2019年にF-16後継機としてJSFを選択した後、米国政府は翌年、F-35Bの売却を承認した。シンガポールは、有償海外軍事援助(FMS)契約で、2026年に引き渡される予定のF-35Bの初期バッチを4機発注した。シンガポール空軍は、F-35BのSTOVLバージョンを陸上基地だけで運用する初のユーザーとなる。

公式発表によれば、最初の4機は、F-35Bがこの小国に本当に適しているかの評価に使用されるとある。しかし、同じバリエーションでさらに8機オプションを行使するという今日の発表で、シンガポールにおける統合打撃戦闘機の将来に疑う余地がなくなったようだ。

2015年12月、アリゾナ州ルーク空軍基地の第61戦闘機隊を訪問し、F-35ヘルメットマウントディスプレイシステムについて学ぶシンガポールの国防大臣、ン・エンヘン博士 U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Staci Miller

ただし、最初の12機以降の発注で、全部または一部がF-35Aに切り替わるかは未定だ。F-35AはF-35Bより安価で、技術的に複雑でない一方で、より大きなペイロードとより大きな戦闘半径、そして多数のオペレーター国との共通性という利点がある。2022年8月、RSAF関係者は、F-35Aが将来のシンガポールでの発注の候補に残っていると示唆していた。

現在、60機のF-16C/Dが就役しており、F-35の型式がこれらの航空機の最適な代替機になるかという問題は、将来的に必ずまた出てくる。シンガポールは必ずしもF-35の戦力構成を急ぐ必要はない。特にバイパーが特筆すべき性能レベルにあり、比較的新しいブロック52/52+の機体は、すでに大幅なアップグレードを受けている。最近では、F-16V仕様にアップグレードされ、必要ならば、2030年以降も使用できる。

アリゾナ州ルーク空軍基地の第425戦闘飛行隊に所属するシンガポール空軍のF-16Dが、2022年3月3日にネバダ州ネリス空軍基地のレッドフラッグ-ネリス22-2に到着した。U.S. Air Force photo by William R. Lewis

一方、シンガポールはF-35Bで臨み、最初の4機は米国での訓練に使用される。訓練はアーカンソー州フォートスミス地域空港のエビング航空国家警備隊基地に設置される新しいFMSパイロット訓練センターで実施される。RSAFは2023年にエビングでF-16訓練を開始し、その後F-35訓練を開始する予定だ。

シンガポールが、RSAF向けに特別改造されたF-35Bを入手しても、まったく不思議はない。例えば、シンガポールは過去に、イスラエルが提供する電子戦システムを米国製戦闘機に搭載したことがある。イスラエルの電子機器や兵器が、RSAFのF-35Bに搭載される可能性もある。シンガポールのF-15やF-16と共通化し、A330 MRTT(Multi-Role Tanker Transport)機のブーム方式の燃料補給に対応するため、F-35Bに給油タンクを搭載することも考えられる。

F-35Bは、シンガポールの特殊な地理的条件や運用環境で、特に有利な点がある。

B型が選定されたとき、ン大臣は、非常に脆弱な空軍基地のインフラから離れた場所で活動できることが、「国土の狭いシンガポールでは重要な特徴だ」と指摘した。シンガポールの国土面積は280平方キロメートル未満だ。このような環境では、F-35Bを適切に補強された道路や小さなコンクリートパッドに分散させると、非常に大きな価値が生まれる。

シンガポールの衛星画像を見れば、小ささがよくわかる Google Earth

空軍基地が攻撃されても戦闘機が出撃可能にする必要があるのは、中国の主張が南シナ海で強まっているためで、この地域に対する中国の広範な主張から緊張が著しく高まっている。

中国は南シナ海のほぼ全域を自国領と主張し、その立場を強化するため人工島による軍事基地を建設している。一方、シンガポールは南シナ海の領有権を主張せず、さまざまな地域機関や国際機関を通じ解決策を模索してきた。特に、シンガポールはこの海域を横断する海上貿易ルートに大きく依存しており、マラッカ海峡のような天然のチョークポイントは、地域危機の際に中国に封鎖される可能性があると強く認識している。

南シナ海における中国の軍事力増強は、危機事態において潜在的な敵の機動力に挑戦できる広範な対アクセス・領域拒否(A2/AD)戦略の観点から見られている。長距離地対空ミサイル、戦闘機や爆撃機の運用、陸上対艦ミサイル、沿岸ミサイル艇のすべてが、人工島からの運用に助けられ、この一翼を担っている。一方、人民解放軍海軍は新型の水上戦闘機や潜水艦の建造を急ピッチで進めており、戦力を増強中だ。

ステルス性の高い統合戦闘機(JSTF)は、こうした脅威に空から対抗するための最適なソリューションといえる。太平洋地域の他の地域でも、オーストラリア、日本、韓国が同様の決断を下している。米国のF-35は、この地域に常駐し、頻繁にローテーションを組んでいる。

2017年12月、ユタ州ヒル空軍基地から配備された米空軍F-35Aと韓国クンサン空軍基地のF-16Cが、クンサン付近で訓練ミッションに参加する。 U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Josh Rosales

どのバージョンの組み合わせが選ばれるにせよ、F-35はRSAFにとってF-16後継機として高い能力を発揮する。また、防衛大臣が2030年代半ば以降、F-35BとF-15Eストライクイーグルの発展型F-15SGがRSAFの第一線で一緒に働くと想定しているのは興味深い。これは、RSAFがF-15の優れた航続距離と搭載能力を、長距離防空と攻撃に利用することを示唆している。F-35の内蔵兵装量の不足を補う「兵器運搬車」として利用することも考えられる。一方、F-35の強力なセンサー群は、F-15にターゲットデータを提供し、状況認識を高めるなど、F-15に有利なように使用できる。おそらく、これは将来的にF-15を追加購入する可能性を示すものであり、最新のF-15EXが候補となる可能性が高い。

2014年7月、ネバダ州ネリス空軍基地で行われたレッドフラッグ14-3で、F-15SGの発進準備をするシンガポール共和国空軍の航空機乗務員とクルーチーフ U.S. Air Force photo by Lawrence Crespo

新世代の航空機対応艦艇にF-35Bを搭載する可能性もある。シンガポール海軍のエンデュランス級ドック艦4隻に代わる新型ジョイント・マルチミッション船(JMMS)の導入は、以前から出ている。JMSSは、主にヘリコプター用全長飛行甲板を備えると予想されるが、F-35Bの限定的な運用も可能だ。JMMSの就役は2030年代半ばとされており、F-35Bを搭載するための改修には時間がかかると思われるが、JMMSに統合打撃戦闘機の常時搭載が期待されているわけではなく、STOVLジェットも新型艦を前提に選定されているわけでもない。とはいえ、JMMSを海上での前方兵装・給油地点forward arming and refueling point(FARP)に使うことも有用なオプションになるはずだ。



F-35やJMMS(Joint Multi-Mission Ship)など、2030年以降に軍で使用される主要プラットフォームを示すシンガポール国防省のグラフィック。Singaporean Ministry of Defense



シンガポールがF-35Bに深くコミットする決定をしたことは、同国が米国との防衛関係を拡大するだけでなく、利用可能で最高級の能力に投資する意思があることを改めて示している。また、シンガポールの決断は、陸上での分散運用のメリットを享受したい国へのF-35B売却に拍車をかける可能性もある。


中国がこの地域で脅威となり、独自の最新鋭の能力を開発し続ける限り、シンガポールは自国空軍を東南アジアで最強の戦力として維持するだろう。■


Singapore Commits To F-35B Stealth Jets With Follow-On Order

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED FEB 24, 2023 3:04 PM

THE WAR ZONE


2023年2月26日日曜日

ウクライナにレオパルド戦車第一陣が届けられた。ポーランドから。戦車供与には11カ国が加わる

 

レオパルド戦車の第一陣がポーランドからウクライナに納品されました。スウェーデンも装備品提供の流れに加わっています。Breaking Defense記事からのご紹介です。


Prime Minister

ポーランドから搬入されたレオパルド2A4主力戦車を手に握手を交わすウクライナのデニス・シュミハル首相とポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相(Denys Shmyhal on Twitter)


今回の納入は、西側主力戦車で初のウクライナ向け供与となり、キーウは春攻勢で戦車の使用を望んでいる



シア侵攻から1周年を迎え、ポーランドはウクライナにレオパルド2主力戦車の第1陣を正式に引き渡した。スウェーデン政府も同日に同車両を最大10両、キーウに供給すると発表した。

 この納品は、西側主戦闘戦車がウクライナに初めて贈られたことを意味する。キーウは、来るべき春の攻撃計画の一部として投入を望んでおり、長い間待ち望んでいた兵器である。

 AP通信によると、ポーランドは金曜日に、マテウシュ・モラヴィエツキ首相 Prime Minister Mateusz Morawiecki のキーウ訪問に合わせレオパルド2A4戦車4両を納入したと発表した。これは、ウクライナのデニス・シュミハル首相Prime Minister Denys Schmyhalのツイートで確認され、両首相が戦車の前で握手する写真も掲載された。ワルシャワは今後、10台を追加納入する。

 一方、スウェーデンのウルフ・クリスターソン首相 Prime Minister Ulf Kristerssonとパル・ヨハンソン国防相 Defense Minister Pal Jonson は、ウクライナへの新たな軍事支援として、レオパード2A5戦車を最大10台送ると決定したと共同発表した。

 対象のレオパード2A5戦車は、スウェーデンが120両を保有する一部で、供与を約束していたCV90歩兵戦闘車50両に加わる。ウクライナ向け同国からの最新の軍事援助パッケージは、ホーク防空システム部品と弾薬、IRIS-T防空システム部品の贈与も含む。

 「ホークの部品と弾薬を購入すれば、数億ユーロ相当になる」とヨハンソンはソーシャルメディアに投稿した。ヨハンソンはまた、2022年12月に個人的にオデーサとミコライフを訪問し、ウクライナにさらに軍事装備を送るよう「鼓舞」されたと述べている。

 水曜日に発表されたスウェーデン軍の年次報告書では、多くの「継続的な改修」と修理のため、スウェーデン軍の戦車と戦闘車両が予想より低い稼働率に見舞われている実態が明らかにされた。

 スウェーデンは1月にこの問題を議論した際、戦車は「皿に乗せない」と宣言していたが、ドイツの圧力と「レオパルド・ファミリー」との話し合いが決定的となったと、クリスターソン首相はスウェーデン公共テレビ放送局SVTで語っている。

 スウェーデンの決定は、ドイツのオラフ・ショルツ首相が先週のミュンヘン安全保障会議で、レオパルド2の供与を多くの国に説得するため、「集中的な働きかけ」を行ってきたと述べたことに続くものだ。また、ベルリンから贈られた14両のレオパード2A6が「非常に近いうちに」ウクライナに配備される予定とも明らかにした。

 カナダ、ノルウェー、ポルトガル、スペインも連合の一員で、2個大隊に相当する約80台の主戦闘戦車が納入される。ロイド・オースティン米国防長官によると、全体で11カ国がウクライナに戦車提供を約束している。■


Polish Leopard 2 tanks arrive in Ukraine as Sweden announces more to come - Breaking Defense


By   TIM MARTIN

on February 24, 2023 



米海軍戦闘機が対潜任務に投入される? 深刻なASW能力低下に対する解決策になるのか。前例が存在していたとはいえ、必要なのはASW専用機材ではないのか。

 

U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist Seaman Jonathan Berlier

冷戦時代の潜水艦ハンターが、海軍戦闘機で海中脅威に対抗した思いもよらない取り組みを語っている

ントロールできなくても、単にコントロール不能になったにせよ、直面する問題の解決では、かつて存在した選択肢を思い出させてくれる。今日、米海軍の対潜水艦戦(ASW)に疑問符がつき、コントロールできなくなくなってきた事情から、米海兵隊と海軍が、1970年代初頭の選択肢、戦術ジェット機を潜水艦狩りに転用することを呼びかけている。

筆者はThe War Zoneに寄稿した、ソノブイを投下して音響データを中継し対潜活動を支援する海軍の戦術機(TACAIR)の実験的使用について調べる際、F-35やF/A-18にそれをさせるべしとの声が上がるとは思いもよらなかった。しかし、それはまさに米海兵隊のウォーカー・ミルズ大尉と米海軍のコリン・フォックス、ディラン・フィリップス=レバイン、トレバー・フィリップス=レバイン両中佐が、米海軍協会『Proceedings』2021年10月号掲載の論文「ASWに新たな技術を活用せよ」で提案していることなのだ。

冷戦時代の艦載対潜機

1960年代半ば、老朽化し、扱いにくく、ピストンエンジンのS-2トラッカーは、ソ連海軍の原子力攻撃型潜水艦(SSN)や各種対艦巡航ミサイル(ASCM)搭載潜水艦(SSG/SSGN)についていけなくなった。しかし、トラッカー後継機が空母艦隊に加わり始めたのは1974年だった。ツインターボファンのS-3バイキングは、より速い速度、より長い航続距離と滞空時間、高度な音響プロセッサ、より多くのソノブイを搭載し、あらゆる潜水艦の脅威をはるかに効果的に捜索、位置確認、追跡できた。

ASWで一つの時代の終わりと、次の時代が始まった。S-2トラッカーと後継機のS-3A。 U.S. Navy

海軍は空母戦闘群(CVBG)のASW能力強化で応急処置として、TACAIRの使用を決定した。投下されたソノブイが発する音響データを別ポッドで中継し、空母や他のASW能力保有艦に解析させることも可能だった。もちろん、A-7コルセアIIやA-6イントルーダーは、潜望鏡深度や水面に潜水艦が姿を現せば、弾薬を大量投下することも可能だった。

しかし、今日、残念ながら、同じ能力を有する機材はない。P-8ポセイドンやMH-60Rシーホーク・ヘリコプターを補完し緩和できる奇跡などない。

え、F-35とホーネットをASWに投入するの

「海軍は、中国のステルスで強力な長距離脅威から防衛するため、新しく革新的な対潜水艦戦プラットフォームを必要としている」と、Proceedings論文の共著者は主張している。バイキングのような航空機が海軍にないことを知っているので、50年前に戻り、ASWミッションにTACAIRを使用する概念を復活させるよう海軍に推奨している。高速移動可能な航空機は、空母打撃群(CSG)と遠征打撃群(ESG)の脆弱な中・外郭防御域をカバーできる。

TACAIRクルーがブイ投下や中継任務でASWの暗黒技術に手を染めていた以前とは異なり、共著者は一歩踏み込んだ提案をしている。

「ASW設定のF/A-18やF-35は、退役ずみS-3バイキングの役割を担い、有機的で高速かつ長距離のASWを空母航空団に復活できる。空中ASW パトロールは、IRST(赤外線捜索・追跡)で標的の位置を正確に把握し、空対空ミサイルで飛来するミサイルを撃退しつつ、標的地域に迅速移動し緊急攻撃を行い、後続部隊用に各種センサーを展開できる。海軍は、S-3B後継機を新しい機体で再登場させるのではなく、F/A-18とF-35を使用して、より高性能なセンサー、無人技術(ウイングマンとしてのMQ-25を含む)、および遠方の潜水艦を攻撃する新兵器を活用すべきなのである。しかし、S-3のような長い滞空時間がないため、新しい作戦コンセプトを可能にするためには、長時間移動センサーと水平線超え中継で新しいツールキットが必要になろう」。

試験中のスーパーホーネットのセンターラインタンクに組み込まれたIRST21ポッド。米海軍. U.S. Navy

2021年8月、E-2DホークアイによるMQ-25スティングレイの空中給油能力の評価。 Boeing

戦時・平時を問わず、ASWの多くで対潜水艦部隊が潜水艦の存在を最初に知るのは、守るべき輸送船団や高価値部隊が魚雷(または迷惑な緑の照明弾)で攻撃された時点の「火炎放射器」方式で実施されてきた。

論文の共著者が提案するのは、TACAIRを使用しASCM発射を探知し、それを撃破し、その後、発射した潜水艦を追撃するという驚くべきものである。

海戦におけるミサイルの黎明期以来、ずっと待ちのゲームだった。ミサイルがレーダー探知範囲に入るのを待ち、失敗の余地が許されない非常に危険な距離で、ミサイルを破壊する。さらに、ミサイルを発射する前の潜水艦の位置をASWが特定していないと、戦争の霧と混乱の中で、重要なASWプラットフォームが損傷または破壊されると、攻撃目標を発見し報復する機会が急速に、または完全に減少するのは確実だった。


環太平洋演習(RIMPAC)の実弾射撃で、退役した元USSダーラム(LKA-114)を撃沈した 2020年8月 U.S. Navy

海軍のASW能力を強化するアイデアはどんなものでも今日の海軍の怠慢な状況のため、真剣に受け止められなければならない。MH-60Rが、CSG と ESG で対潜水艦の唯一の戦力であることを忘れてはならない。皮肉なことに、当時のS-2トラッカー同様に、シーホークも「潜水艦が発射するASCMから艦隊を守るためには、航続距離、速度、積載量が不足している」と共著者は述べている。ASWの守備範囲内のどこかにいる潜水艦を見つけ、位置を特定し、そして殺すことは、全員の努力が必要だ。

バハマの大西洋海底試験評価センターで撮影されたディッピングソナー搭載のMH-60Rシーホーク。2005年2月、U.S. Navy

 脅威対象の潜水艦を沈め、殺傷し、抑止することに関しては、1960年代の無人ヘリコプターQH-50Cドローン対潜ヘリコプター(DASH)が探知した潜水艦に軽量のASW魚雷を投下できたのなら、今日のF/A-18やF-35がMk54魚雷、特に高高度対潜水艦戦兵器能力(HAAWC)を搭載できないわけがないのである。超軽量魚雷(VLT)であれば、戦闘機でも数本搭載可能だ。フォークランド紛争が21世紀の米海軍に何らかの教訓を与えるとすれば、それは次の海戦でASW兵器がどれだけの使えるかであろう。

 Proceedings記事が掲載されると、ソーシャル・メディアの「海軍関係者」からの批判に気づいた。しかし、コルセアIIからソノブイを投下したA-7パイロットが、ASW任務のためのTACAIRの現代的な使用を支持しているのを見て、筆者は嬉しい驚きを覚えた。

ズニロケットポッドでソノブイを発射していた

海軍歴30年、海軍大学校(NWC)名誉教授のロバート・"バーニー"・ルーベル退役大佐は、USSインディペンデンス(CVA-62)からA-7を飛ばした経験をもつ。Proceedings記事について、こう書いている。

「USSインディペンデンスは、75-76クルーズでCVAとして展開した...ズニポッドを改造し、ソノブイを後部から飛び出させ(ポッドあたり8個)、ドロップタンクに無線リレーを装備する改造をした。リレーポッドをタンカーに搭載し、ソノブイポッドをSSSC(Surface, Subsurface, Surveillance, and Control missions)を行うA-6とA-7に搭載した」。

ズニポッドを搭載したA-7コルセアII。 Courtesy of the A-7 Corsair II Association

筆者の調査では、TACAIRによるASW実験に使用された空母はUSSサラトガ(CV-60)だけであった。

興味深いのは、S-3が供用開始した後も、ソノブイ投下にA-7やA-6を使う選択肢があったことだ。ルーベル大佐は著者のメール問い合わせに対し親切にプロセスを詳しく教えてくれた。

「ブイに関しては、ウェポンテーションとマスターアームを選択し、ピックルスイッチを押して、ズニポッド後部から2つ放出させるだけでした。ASWモジュール担当者がブイの設置方法を指示し、私たちは慣性航法システムを使い指定場所にブイを設置した。ASW任務では、通常ポッド2つに合計16個のブイを搭載していました」。

TACAIRのパイロットは、実際にソ連潜水艦の捜索に参加した。地中海のイオニア海で、NATO演習を盗み見ようとしたジュリエット級SSGが発見されたことを、ルベルは説明してくれた。コルセアIIとイントルーダーは、ブイ投下任務をこなし、見事に同潜水艦を 「追い払った」。

ミサイルランチャーの1つを上げた状態で航行中のソビエトのジュリエット級巡航ミサイル潜水艦 DVIDS and NARA

ASWの地味な性質を知る筆者は、ルーベル大佐に、彼と仲間のA-7パイロットがこの種の任務についてどう感じていたのか尋ねた。「文句を言う者は一人もいなかった。私たちは通常、E-2(ホークアイ)が見つけた遠方のレーダーコンタクトを確認するため、SSSC任務にあたっていた」。

TACAIRパイロットがSSSCとASWの任務をなぜ平気でできていたのか、ルーベル大佐の指摘は刺激的だ。「73年末にソ連のメッド・エスカドラと遭遇し、我々には海上戦が全てであり、ASWはまさにうってつけだった」。大佐はNWCの記事 "The Tale of Two Fleets" に詳しく書かれている、ヨム・キプール戦争中の米第六艦隊とソ連海軍地中海戦隊(エスカドラ)のにらみ合いを指していた。

そして、驚きの連続であった。TWZのコメンテーターの一人である「N-Drive」は、AV-8ハリアーもソノブイポッドで武装していたと指摘してくれた。

ハリアーのパイロットでもできる

米海兵隊がAV-8A(英国製ハリアーの米国版)の運用を開始したのは、海軍が制海権艦(SCS)建造を本格検討していた時期だ。SCSコンセプトは、輸送船団や補給艦、水陸両用軍団など重要部隊を航空およびASWで支援する護衛艦となる小型甲板の空母だった。ハリアーは主に攻撃と防空に使用され、ASW任務にあたるSH-3シーキングを保護・支援するとされた。

1974年の地中海派遣で、暫定的にSCSとして活動していたUSSグアム(LPH-9)に搭乗していたマイケル・スミアレック中佐が書いた論文には、小型空母がジブラルタル海峡の内側にソノブイ・バリアを展開する任務が与えられたと書かれている。同海峡は、潜水艦にとって悪名高いチョークポイントであった。ソノブイ敷設は、ソ連SSNが到着するのを見越してのことだった。「ソノブイの大部分はSH-3Gヘリコプターや時にはハリアーから様々なパターンで投下された」。VMA-513 "Flying Nightmares" はHS-15の "Red Lions" からシーキングと一緒に飛んでいた海兵隊分遣隊だった。

1972年1月、アメリカ海軍の水陸両用強襲揚陸艦USSグアム(LPH-9)に搭載されたVMA-531のAV-8AハリアーとHS-15のSH-3Aシーキング。 U.S. Navy

USSグアムは、最高速度23ノットと比較的遅い水陸両用空母であった。ソ連のSSNはもっと速く、同艦を簡単に追い越すことができた。追跡中の潜水艦が空母やSH-3の有効射程から離れ始めると、「...ハリアーを出撃させグアムから50~100マイル離れた潜水艦が向かったと思われる方向にソノブイを投下していたかもしれない」という。

海兵隊にとってASWは、前例のない任務ではない。第二次世界大戦中、海兵隊がカリブ海と太平洋でドイツと日本の潜水艦を相手に対潜哨戒を行ったのを覚えている人は少ないだろう。21世紀に海兵隊が行う任務が騒がれる中、MV-22オスプレイやヘリコプターが、潜水艦を倒す海軍を支援するためブイ投下することが増えている。USSグアムからのハリアー作戦と同様に、F-35BがASW活動を支援するのは非常に興味深い。

2021年7月、カリフォルニア州サンクレメンテで行われたサマーフューリー21演習で、米海軍の潜水艦の上を飛ぶ第3海兵航空団第16海兵航空機群、海兵軽攻撃ヘリコプター隊267の米海兵隊AH-1ZヘリコプターとUH-1Yヘリコプター。U.S. Marine Corps

UH-1Yもこの能力を実験しており、ESGに搭載する際や遠征前進基地作戦(EABO)で付加価値を生む可能性がある。UH-1Yの攻撃型AH-1Zも、対潜水艦キルチェーンのキネティックエンドで潜在的な役割を果たす可能性がある。新しい対艦作戦のコンセプトと、リンク16データリンク機能を含むアップグレードで、UH-1Yと並ぶユニークなポジションを得られる。海軍の無人機MQ-8ファイアースカウトも、ASW任務を担うことができるプラットフォームだ。しかし、各機はヘリコプターで、固定翼対潜機の速度と範囲に劣る。

Q-9リーパーファミリーは、ソノブイを投下しデータを信頼する能力も開発した。リーパーは空母搭載機ではないが、この点でも役立つ可能性があり、空母搭載コンセプトが描かれているようだ。

米海軍は問題を抱えたままだ

将軍と同様、提督は常に最後の戦争で次の戦闘に備える。過去 30 年間に ASW 能力を衰退させただけでなく、来るべき海中戦に備えることなく、数十年を無駄に 過ごしてきた。したがって、ソ連海軍と戦うため設計されたプラットフォームやコンセプトで仕事をせざるを得ない若い士官が、1971年当時で革新的だったアイデアを再検討しなければならないとしても、驚くにはあたらない。

残念ながら、共著者が主張するように、ASW設定のF-35やF/A-18が「S-3バイキングの役割を担う」という考えには根拠がない。対潜水艦戦の複雑性のため、中・外側のASWゾーンをカバーする航続距離、耐久力、センサー・武器搭載量を備えた空母ベースの専用固定翼機が必要だ。F/A-18、F-35B/C、MQ-25は、これにあたらない。

現実には、空母搭載TACAIRには、ASWよりもはるかに重要な任務がある。中国海軍の台頭、新型のディーゼル電気潜水艦の普及、そして復活したロシア海軍の挑戦を前に、米海軍はS-3Bバイキングの後継機に焦点を当てるべきであったのだ。CMV-22 オスプレイや改良型 E-2Dは、CSG で最適なプラットフォームが設計・開発されるまでの暫定的なオプションとして使用できるだろう。

当面はASWの負担を想像的、効果的、現実的な方法で艦隊全体に分散させる方法を検討し、手遅れになる前に達成しなければならない。したがって、この二機種の戦闘機が、CSG/ESGの対潜任務で重要な一部となるはずだ。■


Reviving The Use Of Navy Tactical Jets As Submarine-Hunters

BYKEVIN NOONAN|PUBLISHED FEB 23, 2023 4:14 PM

THE WAR ZONE

Kevin Noonan served in the US Navy from 1984–94 as a sensor operator (SENSO), briefly, in the P-3B Orion with VP-94 and for the remainder of his service as a SENSO in the S-3A/B with VS-41, VS-24, and VS-27.