ラベル 性能改修 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 性能改修 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年9月28日月曜日

初期型ホーネットを2030年代まで使いまわせ、米海兵隊の各種性能改修案

 2030年代以降の米海兵隊の戦術航空機材 (TACAIR) はロッキード・マーティンF-35B、C型ライトニングIIに統一される。現在はマクダネルダグラスAV-8BハリヤーIIおよびボーイングF/A-18AからD型ホーネットも海兵隊の近接航空支援(CAS)に投入されている。現行案ではハリヤーIIは2028年度、ホーネットは2030年度に廃止される。

 

海兵隊のホーネットはA型からD型まで1980年代の製造で旧式化が目立つものの全機が性能改修を受ける。各機退役まで10年近く残る中で、選抜した84機は最終年度まで供用対象となる。

 

ホーネットは空対空、空対地両面で海兵隊で最優秀機材となっているがさらに一部機材は10千時間までの稼働を可能とすべく保守管理が施される。並行して新装備も導入され、ライトニング部隊がフル稼働する2030年までのつなぎ機材として十分に機能させる。

 

非公式に「クラシック」ホーネットと呼ばれる第一世代F/A-18はすでに米海軍では大型化したF/A-18E/Fに交代している。海軍から一部機材が海兵隊に提供され、2030年までの供用を期待されている。

 

JAMIE HUNTER

米海兵隊のホーネットは最大7個飛行隊に最新性能改修の実施を目指す。

 

 

F/A-18A-D事業管理部門(PMA)が今後の計画を積極的に検討しており、稼働率向上や機材保存に加え耐用年数末期予定点検(PMI)の再検討も行っている。年二回にわたり検討会を開き、海兵隊の現有ホーネットで今後も供用可能な機体の特定に努めている。

 

海兵隊上層部からホーネット攻撃機部隊に関し、大胆な案が出ている。その中心が数次にわたる改修で、最終的に飛行隊7個分の最良状態のホーネットを確保する。全機にレイセオンAN/APG-79(v)4アクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)を搭載する。

 

このレーダーは Block 2/3のF/A-18E/FスーパーホーネットならびにEA-18Gグラウラーに搭載されているAN/APG-79(v)1が原型だ。クラシックホーネットにAESAを搭載する構想は長年にわたりあったが、新型機体防御装備ならびに精密誘導兵器を搭載すれば、ホーネットはハイエンドミッションに耐える機体になる。

 

ホーネットの兵装システム士官(WSO)だったマイケル・ペイヴィス中佐がパタクセント海軍基地でF/A18A-D事業にかかわり、The War Zone取材にこう述べている。「海兵隊の航空戦力整備案は海兵隊F/A-18A-D各型の今後の基礎となります。2030年の退役とF-35への機種転換でも重要な構想です。移行期間中もホーネットは海兵隊機材として空対空、空対地で最も多く運用される機体であることにかわりありません。このため同機の維持が必要であり、国防戦略構想でも各機を十分な威力を維持し稼働可能に維持する必要があります」

USMC

米海兵隊のF-35機種転換計画図。

 

 

「A-D各型を運用中の各飛行隊を今後は混成編成にしていきます。F/A-18Cを7機、F/A-18Dの5機として最小限の支出で最大の効果を実現します。F/A-18の設計寿命は6千飛行時間でしたが、8千時間まで延長が完了しています。長時間飛行ずみ機体の点検結果から、1万時間までの飛行が可能と判明しています。ただしこの点検は非常に高額で時間がかかり、作業中は機材が使用できなくなります。点検済み機材はAN/APG-79(v)4レーダー、AN/ALQ-214(v)5・AN/ALR-67電子戦装備を搭載し、最少の出費で最高の性能を実現します。あくまでも機体保持費用を下げながら性能を最高水準にするのがねらいです」

 

新編成の混合飛行隊構想は現役で残る海兵隊のホーネット飛行隊7個でF/A-18の想定ミッションをすべてこなすのが狙いだ。「人員面の問題が解決されますし、今後はホーネットWSOの新規訓練は終了します。ただしホーネット稼働中はキャリアフィールドは維持し、複座型のみで可能な前方航空統制官(機内)や戦術航空統制ミッションの能力開発を進めます」「全部隊にこれを広げれば、WSOの活用が可能となります。混成部隊ならではの人材活用策となります」(ペイヴィス中佐)

 

最良の状況の機材を選ぶ

 

海兵隊ホーネット各飛行隊はこの数年、稼働率問題に苦しんできた。要求を満たす機材数の確保が大変だった。2018年度版の海兵隊航空戦力整備案では「海兵隊所属機材は現時点で飛行隊11予備飛行隊1の編成である。この数年は修理のため稼働機数の不足に悩まされている。そこで海兵隊総司令部では臨時措置として第一線飛行隊を10個編成とし、て稼働率を維持しつつ現時点の作戦要求にこたえる体制とする。今後は点検等が終了し復帰する機体が増えるので12個飛行隊体制が2017年度第三四半期に実現の見込み」とある。

 

海軍システムズ本部がホーネット部隊の摩耗度を調査した際に大きな支えとなったのが飛行時間予測ツールで2030年まで支援コストを最小限にしながら機体の利用度を最大にできるとわかった。「この分析で性能改修が可能な機材が把握できた」とペイヴィス中佐が説明。「最高の常態の機体を抽出し、最少の保守管理費用で最大の効果を実現した。また生産ロット別に区別し、一定のロット番号以降の機体を改修対象にし、それ以下は対象外とした。F/A-18Cではロット15が境目でD型はロット14だった」「機体を個別に点検すると総飛行時間がわかり、どこまでの寿命が残っているか疲労度で把握した」とし、中でも主翼付け根の疲労度が大きな要素で交換が必要なのかで所要時間が変わり、センターバレル交換プラス(CBR+)は大きな出費となる。

 

2019年度海兵隊航空戦力整備計画では「F/A-18供用期間管理事業((SLMP)はセンターバレル交換プラス(CBR+)と長時間飛行機材(HFH) 点検事業で構成する。CBR+でロット17以前の機材の供用期間を延長し、HFH点検ではF/A-18A-D各型で8千時間超を実現する。HFH、CBR+と並行して供用期間延長事業(SLEP)では点検整備に加え技術変更点提言によりその他F/A-18A-D機材の飛行時間を1万時間に延長する。海軍航空兵力整備事業では飛行時間8千超の機体整備も計画する」とある。

 

ペイヴィス中佐は「機体疲労度を調べ、飛行時間累計からどこまでの性能改修が可能か検討し、CBR実施の必要度を判断することでCBR予測を大幅に減らしています。合計5回分のCBRを回避できた事例もあります。これでごく小規模の疲労対策で機材を1万時間稼働させられます」と述べる。「整備拠点には8千時間超のHRH点検対象機材が大量に残っています。可能な限り早く第一線部隊に戻したいので現在の作業工数は最高レベルになっていますが、このままでは完了は2030年になります。9千時間点検もありますが、これは軽微な内容です。

 

JAMIE HUNTER

ホーネット混成飛行隊体制で海兵隊はホーネット完全退役までWSOのキャリアを維持できる。

 

 

現役飛行隊に加え、予備飛行隊一個がフォートワース海軍航空基地/供用予備隊基地(テキサス州)におかれる。VMFA-112「カウボイズ」は旧式F/A-18+機材から低飛行時間機体のロット10および11のF/A-18Cに機種転換中で、後者はボーイングによりC+仕様に改修中だ。このプロジェクトは30機を当初対象にしていたが19機に削減された。「C+プログラムでこれまで7機が納入済みです。12機分の改修作業が残っており、VMFA-112飛行隊を『用途最終日』まで支援していきます」とペイヴィスは述べる。

 

F/A-18C+改修では多機能情報分配システム-小規模ターミナルMultifunctional Information Distribution System-Low Volume Terminal (MIDS-LVT) のデジタル通信機能、海軍航空乗員共通射出座席 Naval Aircrew Common Ejection Seat (NACES) 、共用ヘルメット搭載目標照準システム Joint Helmet-Mounted Cueing System (JHMCS)、戦術航空機用移動地図表示機能Tactical Aircraft Moving Map Capabilities (TAMMAC)や新型フルカラーコックピット表示装置を搭載する。

 

新装備による性能改修

こうした装備品の個別搭載に加えソフトウェアの「手直し」を作戦運用飛行事業Operational Flight Programs (OFP)として連続実施する。ここはLink-16データリンク、Gen4ライトニングポッド、レーダー航法機能の高度化があり、航空管制上の規程に合致するようになる。

 

電子戦機能の高度化でも一部機材への搭載が始まっている。「ALE-67(v)3レーダー警報受信機[RWR]に加え、ALQ-165 ASPJ(機内搭載防御用ジャマー)にALQ-214(v)5を付けて搭載しており、作業は進行中」とPMA-265でレーダー電子戦装備の整備を統括するビシャー・マフティ中佐が説明してくれた。

 

あらたに承認され今後登場する装備品に自動地上衝突回避システムAutomatic Ground Collision Avoidance System (Auto-GCAS)があり、ペイヴィス中佐によれば搭載は「可及的速やかに」なるという。NAVWARと呼ばれる改修予算が認められ2022年度に事業開始となり、2023年度2024年度にかけ続き、GPSと時間計測機能を加えるとペイヴィス中佐は述べた。これはジャミングに強いGPSで、一定の作戦シナリオで応用される。

 

兵装面の性能向上ではAIM-9XブロックII、AIM-120D高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)、AGR-20A高性能精密命中兵器システム Advanced Precision Kill Weapon System (APKWS)の搭載があり、後者はハイドラ70無誘導ロケットにレーザー誘導装置を付け精密誘導弾にしたものだ。新装備に加え新型アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを組み合わせるとホーネットの戦力は全く新しい水準になる。

 

AESAで戦闘能力が大きく引き上げられるだけでなく、可動部品が減ることで信頼性が高まる効果も期待できる。運用面での改善効果として探知能力が向上し探知範囲も広がり、巡航ミサイルのようなレーダー断面積が小さな標的の探知識別能力が向上するほか広い空域を迅速に走査できるのはAESAレーダーが機械式装置を使わないためだ。

 

ホーネットが搭載するAN/APG-73の換装を海兵隊は長年にわたり望んできた。レイセオンは当初2010年に当時APG-79(VX)の呼称だった同社製高性能レーダーに換装できるか検討した。しかし、案は2018年度海兵隊航空戦力整備案まで陽の目を見なかった。

 

RAYTHEON

レイセオン社員がAPG-79(v)4の装着適合性をチェックしている。

 

 

その他のレーダー候補にはノースロップのScalable Agile Beam Radar (SABR)があり、同社はホーネットへの搭載可能性チェックを2018年に行った。2019年1月にはレイセオンから発表があり、海兵隊より AN/APG-79(v)4の採用通知を受け、F/A-18C/D各機へ搭載が決まった。現時点の予算では同レーダー75基の調達が決まっている。海軍航空システムズ本部はレイセオンに30.2百万ドルの契約を交付し、2021年12月より9基を先行調達する。注目されるのはカナダも同型レーダーを自国のCF-18ホーネットの性能改修用に採用したことだ。

 

同レーダーの選択理由としてスーパーホーネットで搭載したAN/APG-79につながる装備品として費用対効果が優れ、ホーネットで搭載ずみのAN/APG-73用ソフトウェアとも互換性があることがあるとペイヴィス中佐は説明。スーパーホーネット、グラウラーで搭載のAPG-79(v)1 との互換性から新型レーダー換装の際のソフトウェア開発費用を抑える効果がある。「AESAによりサプライチェーンを整理できる」とマフティ中佐も述べている。「APG-79(v)1をスーパーホーネットに搭載し、(v)4は約90パーセントの共用性がある。今後用途廃止までの間のレーダー装備を十分維持できる」


JAMIE HUNTER

海兵隊はホーネットのコックピットディスプレイ改修の予算実現も期待している。

 

 

さらにその先にまだ予算化されていない改修作業もある。AN/ALR-67(v)5 RWRの改良がその一つだ。「コックピット内のディスプレイも旧式化しており整備が問題になっている。左右のデジタルディスプレイ表示装置、コックピット映像記録装置だ」とペイヴィス中佐は述べ、段階的改修の予定があるが予算化と計画化が必要という。

 

こうした案で初期型ホーネットは最強の戦力を発揮するようになる。F-35の配備案が先送りになる中、F/A-18が耐用年数を延長しながら性能改修を受けていけば海兵隊には頼りがいのある機材になる。

 

ただし海兵隊は既存ホーネットの型式名を変更する予定はない。むしろ、ペイヴィス中佐はF/A-18A-D フリートで各種の非公式名称が流布しているが、いずれも米海軍、海兵隊で正規名称と認識されていないと指摘する。「 F/A-18A-Dホーネットです。『レガシー』ではありません、『レジェンダリー』でも『クラシック』でもありません」という。■

 


この記事は以下を再構成したものです。


2017年12月22日金曜日

★米国が捨てたF-15Dを再生し戦力化するイスラエルはすごい

うーん、これもすごいです。イスラエルの技術力というか根気。これでは周囲の各国がかないっこありません。人様が捨てた中に宝を見つけるようなものですね。日本のF-15C/Dでも同じアプローチで有益な活用ができないでしょうか。納税者にも優しい選択になりますね。イスラエルから学ぶものはまだまだ多いように思えます。


Israel Is Treating America's Throwaway F-15D

Eagles As New Found Treasure 

イスラエルが米国廃棄のF-15Dを再整備し活用する

The surplus two-seat F-15s will become key pieces

in Israel's long-range air combat capability. 

複座型F-15がイスラエルの長距離航空戦力のカギ

を握る


USAF
 BY TYLER ROGOWAYDECEMBER 19, 2017


スラエル空軍が米州軍航空隊が用途廃止したF-15D9機の再生に取り組んでいる。機体は第173戦闘飛行隊がオレゴン州クラマスフォールズで使っていた。機体はイスラエル向け援助の一環としてオバマ政権下で寄贈された。まずIAFが複座型イーグルしかも1970年代末製造の機材を希望したことが奇妙である。だが各機がイスラエル空軍で果たす役割はUSAF時代と全く違う。F-15DはIAFで最も柔軟かつ強力な戦闘機戦力になっている。
イスラエルはF-15EがUSAFに就役する前からF-15を長距離攻撃機材として注目していた。現地では「バズ」と呼ぶ同機は国産エイビオニクス、兵装、サブシステムや構造強化で「イスラエル化」されている。
MINOZIG/WIKICOMMONS
F-15D バズ編隊には「ファストパック」と呼ぶ一体型燃料タンク(各750ガロン)以外
に外部610ガロンタンク二基を搭載する。


IAFのD型バズ各機は制空、攻撃、偵察、指揮統制ネットワークと各種任務に投入されており、長距離攻撃支援にもあたる。イスラエル空軍がC型D型をとくに重宝するのは機体価格がF-15Iストライクイーグルより安いことに加え同様に「ファストパック」一体型燃料タンク搭載で飛行距離を延ばしミッションの変化に対応できるからだ。
IAFも余剰F-15「ステーションワゴン」に予算を重点投入するとは想定してなかったらしい。
「USANGが用途廃止した機体で予備部品取り用だった。だがIAFの物資局技術部門が可能性に気付いたのは複座F-15戦闘機に一体型燃料タンク(CFT)搭載が可能なことでここから「バズ」への変換が始まった。
第一段階として四機をイスラエル仕様に変更していIAFで供用する。第二段階は残る5機を変換し、単座「バズ」5機を代わりに用途廃止する」
複座バズをイスラエルの最前線部隊に増備しながら消耗した単座型を退役させることが狙いだ。イスラエル空軍整備陣がF-15DD型で最初に製造されたロット「D6」ブロックに取り組むのははじめてで文字通りでたくさん学ぶ対象があり、一機完成させるのになんと170日をかける。
IAF


交換や改良の対象部品で点数が多いため、機体の当初の状況と変更内容を逐一記録させながらIAF地上要員に機体の整備運用方法を学ばせている。
バズ整備の経験がある民間業者も同席している。テルノフAFBの整備隊のモティ・シュピンドラーMotti Shpindler兵曹長が以下述べている。
「運用面と離れても今回のプロジェクトにはプロとして大きな意味がある。プロジェクトに参加する技術員は『バズ』を広く研究し機体に誰よりも詳しくなる...ここまで大々的に深くかかわれる機会はない」
「今回のような機会はいままでなく、IAF要員に生きた経験となる...機体を分解して新たな性能の装備を搭載してイスラエル仕様バズ機にした。機能上は新型バズと同様になり、一部には現行機材にはない性能もついている」
AP
硬化掩体壕に入るF-15D バズ

課題の一つとして最古参のF-15Dは以前から何度も改修を受けているが記録が完全でなくIAFが国産同様のバズ仕様に変えるため最初から作業する必要があることがある。そのため作業の多くが証拠捜査のようで現状を把握してから作業を開始する必要がある。
以下は筆者がイスラエルのバズ各機について以前記したものである。
IAFはバズ各機の国内改修を決定したのは多分に費用の問題があり独自のサブシステムの搭載が必要なためだ。バズ2000事業と呼ばれる再生作業でIAFのバズ各機に共通コックピットを与えるがこれですべてではない...
...バイソン4短距離空対空ミサイルとエルビット製DASHヘルメットが導入されパイロットは交戦がはるかに容易になり、視線を向けるだけでミサイル発射が可能となった。F-15では初めてで、USAFのF-15でヘルメット搭載標的システムとAIM-9Xサイドワインダーが実用化するより10年は早かった...
...改良点の多くはF-15Iからの流用で一部はバズジェット特有でレーダーはAIM-120AMRAAM発射可能なものに変更される。新型スロットル・スティック設定が導入され、多機能画面が前後席に追加された。データリンク機能が強化され通信装備が性能向上されて搭載されている。新型電子戦装備が導入後相当たつ機材に新型ミッションコンピュータが搭載され航法装置にはGPSが投入されている。冷却機能も引き上げて、すべての作動のため機内配線を全部やり直したがこれだけでも相当の作業だ...
...イスラエルが再生したバズ機はかつてない威力を有している。GPS誘導兵器はJDAM含めピンポイント攻撃を全天候下で可能とし、固定目標の攻撃に面倒な光学誘導兵器を不要とした。またスタンドオフ兵器の運用もこれまで通り行い、イスラエルではスタンドオフ兵器すべてを自国内で調達できることが異なる。バズの速度、航続距離、安定度により大型偵察ポッドをぶら下げれば戦術偵察機として理想的なのは以前と変わらない。
バズにも後から加わったF-15IやF-16I同様の航続距離性能があるので前方配備ネットワーク中継、指揮統制拠点として投入し戦場状況をデータリンクで結び入手し衛星で遠距離のイスラエル軍司令部に送ることができる。あるいは逆に情報収集内容をF-15Dに送ることも可能だ。バズは情報を衛星送受信ができない味方攻撃部隊に配信できる。
広帯域衛星通信の改修でF-15DにはR2-D2のような衛星通信ドームがついている....
...敵地の「ダウンタウン」に攻撃装備を付けて乗り込むのはこれまでの指揮統制機材には無理な注文だったが、バズなら可能だ。他任務をこなしつつこれが実施できる。また制空任務こそ同機が元来想定する内容でイスラエル空軍は50対0の圧倒的戦果を誇っている。
バズには追加アップグレードで予算を投入される予定だ。改修内容にはレーダー交換、電子戦能力向上、新型兵装の導入やコックピットディスプレイの更改がある。機体構造の強化もここに含まれF-15C/Dを元にしたバス部隊はさらに20年間の飛行が可能となる...
...F-15C/Dバズにアクティブ電子スキャンアレイレーダーがつけば、さらに戦力増強効果が生まれる。長距離での状況把握に役立ち、低空巡航ミサイルやステルス目標の防空にも役立つほか、新しい電子攻撃手段にもなる。
F-15C/D型のASEAレーダーで得る情報はデータリンクでF-35にも共有され敵攻撃を回避し、電磁エネルギーを放出せずに敵を攻撃できるようになる...
USAF


IAFではF-35Iなど新型機も登場するが、旧式化したF-16Aを用途廃止する一方でF-15には手を入れてかけがえのない機材として運用する。一方で米空軍に残るF-15C/Dの今後は不明のままだ。
再生F-15Dの第一陣は先行事例として1月に飛行開始しる。フライトテストに成功すればイスラエルで、さらに世界で最強のF-15として戦力化する。■
contact the author: Tyler@thedrive.com

2016年2月12日金曜日

★B-2の現況と進行中の性能改修策について



記事元サイトは航空宇宙専門ではなくスポーツ好きの男性用に軍事関連記事を掲載しているところのようですね。それでもこれだけの情報量があるのは感服ものでそれだけ米国民の国防関連情報のレベルが高いことを意味するのでしょうか。

 Special: Inside the Stealthy B-2 Bomber

KRIS OSBORN
Yesterday at 7:07 AM
B-2スピリット・ステルス爆撃機は2050年代まで運用すると空軍関係者は述べている。
「この機を操縦するのが夢でした。本当にスムーズです」とケント・ミケルソン少佐(第394戦闘訓練飛行隊、作戦部長)は本誌取材にこう答えている。

  1. B-2内部を取材する貴重な機会でミケルソン少佐は同機が1980年代に製造されたことを考慮しても現在でも高性能機のままだと述べた。ミケルソンはB-2でパイロット経験も豊富で2011年にはリビア空爆に参加している。
  2. 「2016年の現時点でも製造直後と同じ任務を遂行できるのは技術チームが優秀だった証拠です。近代化にも期待していますが、B-2で対応できないミッションはありません。まさに驚異的な技術の産物です」
  3. B-2のエイビオニクス、レーダー、通信装置は敵標的を高高度で遠隔地から識別し破壊する目的で搭載されている。「デジタル航空機といった趣で、一般にはグラスコックピットといわれるものを搭載しています」(ミケルソン)
  4. そのグラスコックピットには各種デジタル表示があり、そのひとつが合成開口レーダー(SAR)の情報で、機体下の地表の様子を示す。「SARで地表の様子が克明に表示され、パイロットは目標捕捉に使います」とミケルソンは説明してくれた。

  1. 「B-2は技術の点でB-52やB-1といった旧型機から大きく進んでいます。最高の技術を乗員に提供してくれます」(ミケルソン)
  2. 空軍は現在20機のB-2を運用中だが機材のほとんどはホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)に配備している。高度50,000フィートまで到達し、40千ポンドのペイロードには通常弾頭に加え核兵器も運用可能だ。
  3. 運用開始は1980年代でイラク、リビア、アフガニスタンで実戦投入されている。空中給油なしで6千カイリの飛行が可能で、ミズーリからディエゴ・ガルシア島まで一気に移動し、そこからアフガニスタンに飛んだ。
  4. 「ホワイトマンを離陸しディエゴガルシア着陸はB-2でも最長の戦闘飛行となりました。アフガニスタン、イラク、リビアで効果的な任務を実施しています」
  5. B-2は二名運用の前提で射出座席も二名分しかない。乗員は一回40時間におよぶミッションの過酷さに耐える訓練を受けている。
  6. B-2乗員には「長時間用セット」を使う。折り畳み式寝台ほか長距離飛行の必需品がひとまとめになっているという。

B-2のミッション
  1. 冷戦が頂点時に設計されただけあり、B-2は探知されずにソ連防空網を潜り抜け攻撃する前提だった。このステルス技術は高周波「交戦」レーダーの探知を逃れ、同時に低周波の「監視」レーダーでも発見されないと業界専門家は解説する。
  2. B-2の役目は敵国領空で探知されることなく敵レーダーや防空網を破壊して「門を破り」友軍機にレーダーが無効な「回廊」を作り攻撃させることだ。
  3. ただし敵レーダーも大幅に性能向上しており、新型ではステルス機探知も可能になり、ネットワーク機能で高速コンピュータ処理の恩恵を受け、多数の周波数を駆使して長距離からの探知できるように進歩してきた。
  4. そこで米空軍はB-2を開発中の長距離打撃爆撃機(LRS-B)と一緒に2050年代まで運用するべくB-2の近代化改修を順次近代化改修中で、今後も有効性を維持するとミケルソンは説明してくれた。
  5. 改修の中心は防御管理システムと呼称される技術でB-2乗員に敵防空網の位置を教えるものだ。それによりB-2を探知できる敵防空体制の有効範囲外にとどまることができる。このシステムが利用可能になるのは2020年代中頃とミケルソンは説明。
  6. また通信手段はEHF極高周波衛星に切り替えている。通信能力の向上で乗員は大統領の攻撃命令を本土が核攻撃を受けても確実に受信できるようになる。
  7. 「これで有事の際は核攻撃、通常攻撃いずれでも通信が安全になります。利用可能な帯域が大幅に増えますので、データフロー速度が速くなります。この改良を心待ちにしています」(ミケルソン)
  8. 現在は広く使われているLINK-16とUHF、VHFのデータリンクを利用している。ミケルソンによればB-2は地上指揮命令所と交信可能で、同時にその他有人・無人機からの情報も受信できるという。
  9. ただし無人機の送る情報は今のところ地上指揮命令施設経由で受信する可能性が高い。つまり、付近を飛行する無人機の画像をリアルタイムで見られるようになる。
  10. また飛行制御処理プロセッサーも新型に交換し、機内の各コンピュータの能力をアップし新ソフトウェアを追加できるようにする。
  11. 現在は通常のケーブルだが、光ファイバーに更新する。これで機内の80年代では最新鋭だったコンピュータがデータ処理能力で限界に来ているのを回避できる。
  12. プロセッサー交換でエイビオニクスや機内コンピュータの性能は約1,000倍に引き上げられるという。交換作業は2016年中に完了し、費用は542百万ドルだ。

兵装の能力向上策
  1. また改装では次世代デジタル核兵器としてB-61 Mod12や長距離スタンドオフ兵器(LRSO)の空中発射式誘導核弾頭巡航ミサイルの運用も可能になるという。
  2. このうちB-61 Mod 12はB-61各型をまとめ誘導用の尾翼を追加するものだ。慣性航法システムを内蔵する。
  3. このほかB-61 Mod 11核兵器の搭載も実現するだろう。これは貫通効果を狙ったものだと空軍は説明。LRSOは今はB-52だけに搭載されている現行のALCM(空中発射式巡航ミサイル)に代わるものだ。
  4. 通常兵器の搭載では種類は幅広く、精密誘導式2,000ポンドの共用直接攻撃弾(JDAMs),
  5. 5,000ポンドのJDAMs、共用スタンドオフ兵器、共用空対地スタンドオフミサイルやGBU 28(5,000ポンドのバンカーバスター爆弾)などを選択可能だ。
  6. また長距離通常弾頭空対地スタンドオフ兵器(JASSM-EM 共用空対地スタンドオフミサイル拡大射程版)も運用の検討中だ。
  7. また開発中の30,000ポンドの大型貫通爆弾も一発搭載できる。「これはGBU-28にステロイド駐車したみたいなやつで地下深くの標的を破壊できます」とミケルソンは説明してくれた。■