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2025年1月23日木曜日

宇宙で米国を追い越す北京の戦略(Defense One)―中国の宇宙開発ではPLAの関与に注意する必要はありますが、経済不況でも夢のある計画に邁進する姿には「年金の壁」が課題の国民からするとうらやましいものもあります。

 Yang Liwei, deputy chief designer of China's manned space program and China's first taikonaut, unveils the China Manned Space Agency's moon-landing spacesuit on Sept. 28, 2024.

2024年9月28日、中国有人宇宙局の月面着陸用宇宙服を披露する、中国有人宇宙計画の副チーフデザイナーで中国初の宇宙飛行士楊 利偉。 Wang Quanchao/xinhua via getty images



への帰還からその先へ進む競争が、新たな局面を迎えてきた。月と火星のどちらを目指すかでイーロン・マスクとNASAが論争を繰り広げる一方で、中国が最近発表した宇宙科学計画は、米国を凌駕し世界有数の宇宙大国になる意図を宣言している。

 昨年10月、北京は初の「国家宇宙科学中長期発展計画」を発表した。これは、宇宙ベースの科学技術分野を発展させ、宇宙領域で優位に立つための戦略的青写真である。天文学的な追求にとどまらず、恒久的な有人月研究ステーションの設立、月資源の開発、そして最終的には火星への有人ミッションに優先順位を置いている。その包括的な目的は明確で、中国を宇宙進出の「国際的最前線」に位置づけることである。

 計画は3段階に分かれている。初期段階は2027年までで、基礎的な技術力を固め、多くの分野でミッションを成功させることに集中する。これには、さらなる無人月探査や火星ミッションのためのコアコンピテンシーの開発などが含まれる。2028年から2035年までの第2段階では、中国がこれらの進歩を利用して、月面に飛行士を着陸させ、恒久基地を建設し、火星への複雑な有人ミッションを実行することを想定している。  2050年を頂点とする最終段階では、中国が他の天体に有人ミッションを派遣し、宇宙科学イノベーションの卓越した中心地としての地位を確固たるものにすることを想定している。

 強力な宇宙分野の戦略的意味は広範囲に及ぶ。冷戦下の宇宙開発競争の中で考案された米海軍のナブスター・プロジェクトから派生した全地球測位システム(GPS)の開発に代表されるように、宇宙開発への投資が地上に大きな利益をもたらすことは歴史が証明ずみだ。ソーラーパネル、高度な建築材料、農業の進歩といった技術的な波及効果だけでなく、宇宙プログラムはSTEM教育の触媒となり、下流に大きな経済効果をもたらす。

 このような目標を念頭に、中国は近い将来、月面基地を建設しようとしている。科学者たちは、クリーンで安全な核融合炉の実現に理想的な希少同位体であるヘリウム3が月に大量に埋蔵されている可能性が高いと見ている。さらに、月は深宇宙探査や居住技術を開発するための理想的な実験場にもなる。わずか3日で到達できる月面では、地球外への定住のための建築技術を実施することができ、しかも緊急時に対応できるほど近くにある。最後に、月には凍った水の氷が十分にあり、大気もないため、火星へのミッションや小惑星帯の採掘のための理想的な中継・補給地点とすれb、ペイロードの制約が大幅に軽減される。中国科学アカデミーのメンバーである欧陽紫源は、理想的な月面基地について、人類がより深い太陽系へ向かう「中継基地」であると述べている。

 中国はここ数年ですでに大きな進歩を遂げ、重要なマイルストーンに到達し、重要なミッション経験を蓄積している。昨年6月の「嫦娥6号」ミッションは、月の裏側に着陸するという斬新な偉業となった。 嫦娥6号は、月の地質学的活動や、薄い大気が地表の状態に与える影響を明らかにするデータとサンプルを携えて地球に帰還した。これらの成果は、中国が多くの協定や共同研究プロジェクトに署名する原動力となり、国際月研究ステーション・プロジェクトの発表に結実した。このプロジェクトは、2035年までに月の南極に機能的な基地を建設し、2045年までにさらに拡張することを目指している。 昨年4月の発表以来、プロジェクトに署名した国の数はほぼ倍増しており、国際社会の強い関心を呼んでいる。月面基地の予備調査は、2028年の嫦娥8号で開始される予定で、場所の選定に重点を置き、有人月面着陸は2030年と予測されている。

 このままの勢いが続けば、中国は火星への重要なミッションでも主導権を握ることができるだろう。中国は2020年に探査機「天文1号」を打ち上げて、初めて赤い惑星に照準を合わせた。このミッションは、軌道上で火星に水の氷がないかスキャンし、土壌の状態を確認し、地下に大量の水が埋蔵されていると思われる場所に探査車を着陸させることで、最終的に有人着陸を実現するための土台を築いた。 計画されている天文3号の打ち上げ予定日は2028年で、宇宙開発計画の第2段階における重要な分岐点となる。成功すれば、天文3号はNASAの予定より2年早く火星の土壌サンプルを持ち帰ることになる。これは非常に貴重な科学的データを提供するとともに、将来の有人探査の前提条件である火星からの安全な帰還能力を実証するものとなる。 中国の宇宙開発計画では、「天文3号」の成功を前提に、2031年までに火星への有人ミッションが計画されている。最終的には、中国は火星での持続的なプレゼンスを追求し、すでに火星のレゴリスをベースにした建設資材の実験を行っている。

 ここまで野心的な試みは、数十年前から続く宇宙開発計画への持続的なコミットメントに支えられたものだ。宇宙開発計画は、宇宙科学に関する初の国家レベルの統一的な枠組みであるが、それは政策支援、資金援助、各機関固有の開発目標の基盤の上に成り立っている。1992年にインフレ調整後の予算約20億ドルで開始されたプロジェクト921は、2011年の宇宙ステーション「天宮1号」の成功で頂点に達した。2013年初めまでに、中国の宇宙開発支援は100億ドルを超え、米国に次ぐ規模になったと推定されている。現在の見積もりで数字はさらに上昇して140億ドルに達しており、1992年から2023年までの間に資金援助が3倍に増加することになる。

 中国の月と火星への願望は、2007年の第11次5カ年計画で初めて明確にされ、月面探査機の着陸と火星の初期調査の計画が概説された。最新の2021年の第14次5カ年計画では、月探査の成果を強調し、中国の商業宇宙セクターのさらなる発展、再使用可能なロケット技術、強固な衛星コンステレーションを求めた。この宇宙開発計画では、中国科学院、中国国家宇宙局、中国有人宇宙局、その他の利害関係者が、野心的な目標の計画と実行を同期させるために一致団結して取り組んでいる。

 中国がタイムラインと開発目標を実現できるかどうかは、まだわからない。しかし、新しい宇宙開発計画とそれを実施するため開発中のプログラムは、NASAよりも早く、地球外の主要な場所に到達することをめざす自信に満ちた宇宙大国である姿を示している。■


Thomas Corbett is a research analyst with BluePath Labs. His areas of focus include Chinese foreign relations, emerging technology, and Indo-Pacific security studies.

P.W. Singer is Strategist at New America and the author of multiple books on technology and security, including Wired for War, Ghost Fleet, Burn-In, and LikeWar: The Weaponization of Social Media.


China’s plan to rule the heavens

A look at Beijing's strategy to relegate the United States to second place in space.

By THOMAS CORBETT and PETER W. SINGER

JANUARY 17, 2025 10:13 AM ET


https://www.defenseone.com/ideas/2025/01/china-space-science-dominance-moon/402294/?oref=d1-homepage-top-story


2017年3月12日日曜日

★★★中国は宇宙配備レーザーで衛星攻撃を狙っている



北朝鮮と比べると中国の科学技術水準は遥かに先を行っていますので対応も全く違ってくるわけですが、本来宇宙空間に武器は持ち込まないとの多国間約束事など関係なく、自分のやりたいことを進めるゴリ押し、無神経さ、世界の秩序の維持には全く責任を感じないところは北朝鮮並みですな。北朝鮮問題が解決したら次は中国が標的でしょうね。


The National InterestHow China's Mad Scientists Plan to Shock America's Military: Super Lasers, Railguns and Microwave Weapons



March 10, 2017


中国軍が強力なレーザー、電磁レイルガン、高出力マイクロウェーブ兵器を将来の「軽度戦」に備え開発中で宇宙空間に配備する。
  1. 中国が指向性エネルギー兵器開発に注力するのは米国の戦略優位性をなくし、精密攻撃を可能にしている米軍の情報通信航法衛星群を使用不能にするためだ。
  2. まず宇宙配備レーザー砲構想は2013年12月の中国学会誌にレーザー兵器技術研究の中心長春光学精密机械与物理研究所の研究者3名の連名論文で明らかになった。
  3. 「将来戦ではASAT(対衛星)兵器の開発が重要となる」とあり、「その他レーザー攻撃装備が生まれれば高速速射、非干渉性能、高度破壊効果があり特に宇宙配備ASATとして期待できる。宇宙配備レーザーこそASATの開発の中心的存在だ」
  4. 筆者3名の提言は重量5トンの化学レーザーを低地球周回軌道に乗せ、戦闘装備とするもの。宇宙開発を担当する軍の予算が付けば、対衛星レーザーは2023年までに稼働できる。
  5. 同論文によれば宇宙空間の対衛星攻撃には地上レーダーで目標衛星を捕捉し特殊カメラで照準を合わせ進展可能な膜望遠鏡で目標衛星にレーザービームの焦点を合わせる。
  6. 同論文では2005年に中国が地上からレーザーで軌道上の衛星を「目潰し」したとも紹介している。
  7. 「2005年に50-100キロワット級のレーザー砲を新疆地方から発射し衛星機能停止に成功した。「標的は低軌道上中の衛星で傾斜距離600キロだった。レーザービームの直径は0.6メートルで捕捉、追尾、照準の誤差は5(マイクロラディアン)以下だった」
  8. リチャード・フィッシャーは国際評価戦略センターの中国専門家で先月米議会で中国のレーザー兵器開発状況を証言した。上記論文の公表は中国に宇宙の軍事化を急いでいる様子を意図的に世界に知らせようとするものと注意喚起している。
  9. 中国の宇宙開発は軍民同時並行で、神舟Shenzhou 天宮Tiangongの各有人宇宙機は軍事用途にも使われる。宇宙ステーション、さらに月面基地の計画は軍用用途も想定している。中国が軌道上にレーザー兵器を科学モジュールと称し打ち上げるのは十分可能性がある。
  10. 「宇宙ステーションの真の目的を世界から隠すため宇宙飛行士の生命など犠牲にしても中国政府はなんとも思わないでしょう」(フィッシャー)「奇襲効果もあり、戦闘宇宙ステーションが米衛星の中核部分を攻撃しはじめます。これで米側は目を潰され、さらに多くの衛星を攻撃する中国衛星の打ち上げがわからなくなります」
  11. 戦闘用宇宙装備の開発は中国が目指す天空戦略の世界規模確立の一環でもある。フィッシャーは中国宇宙兵器の脅威は現実のものであり、米側も宇宙空間での戦闘能力整備で対抗すべきだと信じる。
  12. 中国は1960年代からレーザー兵器を開発し、2015年に人民解放軍が「軽度戦争」の表題の本を出版し、レーザーで将来の戦争を勝ち取ると述べていた。
  13. 同書では将来、勝敗を決するのはビッグデータ解析(中国軍サイバー部隊と人工知能)と指向性エネルギー兵器の組み合わせとある。同書はロボットレーザー兵器を宇宙空間に配備すべきとし、指向性エネルギー兵器は今後30年間で中心となるとある。
  14. 「おそらくPLAはすでにそのような新しい時代に適合すべく、新設の戦略支援軍の中核任務とし情報空間や外宇宙の軍事化を進めさせようというのだろう」(フィッシャー)
  15. この中国の動きでこれまでの米国の指向性エネルギー兵器開発が無駄になるかもしれない。レーザー、電磁レイルガン、高出力マイクロウェーブ兵器だ。ペンタゴンはこれまでも航空機搭載レーザーでミサイル防衛を狙い、レイルガンが2020年代初頭に実用化になる見込みだ。高出力小型レーザー砲の実用化は2030年代になる見込みだ。
  16. 軍の情報統制に阻まれ中国のハイテクエネルギー兵器開発の全貌は不明のままだが、上記証言や刊行物から中国が相当の支出をしていることは明らかだ。
  17. Space Law & Policy Solutionsのマイケル・J・リスナーは中国が指向性エネルギー装備で着実に進展中と見ており、「一部に諜報活動で集めた海外情報を活用しているのはまちがいない」という。
  18. 「完成すればASAT以外に弾道ミサイル防衛、艦艇局地防衛や戦場と、軍事応用は限りなく広がる」
  19. 中国が宇宙軍事化を公開すると米軍や同盟軍の作戦立案で大きな懸念材料となる。中国が新技術で世界の安定平和を捻じ曲げる可能性が生まれるからだ。
  20. 対抗策として米国も長年保持してきた宇宙空間に軍備を持ち込まない政策を変更せざるを得なくなる。
  21. 「中国が宇宙計画を軍用に使う意図をおおっぴらに示す以上、米国も潜在脅威を排除する、少なくとも脅威度を下げる選択肢は最低限もっていかねばなりません」(フィッシャー)■