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2025年9月24日水曜日

中国が対米戦を想定した「ステルス空軍」を構築中(National Security Journal)

 

中国が対米戦を想定した「ステルス空軍」を構築中(National Security Journal)

J-36 Fighter YouTube Screenshot

J-36戦闘機 YouTube スクリーンショット/アーティストのレンダリング

要点と要約:中国のステルス空軍は、小規模の精鋭部隊から、アメリカの空軍力を脅かす大規模で急速に拡大するフリートへと急成長した。

-J-20が数百機配備され、新型J-35の量産が開始され、3種類の第6世代プロトタイプが既に飛行していることから、北京の野心は明確だ。

-この強力な部隊は、新たな給油機とAWACS機によって支援され、太平洋でアメリカに対抗するため、重要な支援資産を標的とし、防空網を突破するように特化されている。

-米国は優位性を維持しているものの、中国の進展は深刻で進化する脅威となっている。

中国の拡大するステルス空軍

10年前、中国人民解放軍空軍(PLAAF)は最初のテルス戦闘機成都J-20スを配備した。これは重大な技術的成果だった。しかし、PLAAFのステルス戦闘機部隊は、エリートで小規模な能力に過ぎなかった。これは、J-6やJ-7など、1950年代のソ連設計を基にした旧式の2世代目と3世代目の冷戦時代型戦闘機数百機を含む空軍のほんの一部に過ぎなかった。

この状況は変化する運命にあった。2023年には年間生産台数が70~100機に達したと報じられている。PLAAFは2025年末までに少なくとも300機、あるいは400機を超えるJ-20を配備する可能性があると、さまざまな推計が示している。これらの数字には、前例のない2人乗りステルス戦闘機J-20Sも含まれる。

J-20はアメリカのF-35戦闘機より大幅に大型で重く、より高速で長距離作戦を想定して設計されている点に注意が必要だ。後者の特性は、西太平洋での作戦で不可欠だ。しかし、瀋陽の軽量でF-35に似たステルス戦闘機は、数年の改良を経て、現在、中国人民解放軍空軍と海軍航空隊(後者は空母搭載型)にそれぞれJ-35AとJ-35として配備されつつある。これらの機体の数百機以上の調達が見込まれている。

おそらく意図的ではないが、PLAAFは米空軍のいわゆる「ハイ・ローミックス」の戦闘機構成を模倣しているように見える。米軍は、安価なジェット機(F-16やステルス型F-35など)を大量配備し、高価なエリート戦闘機(F-15やステルス型F-22、将来的にはF-47など)を少数配備する構成を採用している。とはいえ、中国ではJ-35よりもJ-20をより多く調達する可能性もある。

中国は、第6世代ステルス機の開発も積極的に進めている。過去9ヶ月間に、3機の新しい尾翼のない第6世代戦闘機のプロトタイプが飛行を記録している。瀋陽J-50またはJ-XD、より大型の3エンジン搭載の成都J-36、そして8月に飛行した3機目のまだ名称未定機だ。

さらに、ハルビン航空機製造は、米国の太平洋基地を脅かす可能性のあるB-2型H-20ステルス爆撃機を開発中だ。この爆撃機は2022年に公開されるとの噂があったが、H-20に関する最近のニュースがないことは、開発の大幅な遅延や問題の存在を反映している可能性がある。

中国はまた、忠実なウィングマン型ドローン戦闘機や、CH-7全翼機や超音速ダークソード機などのステルス戦闘機プロトタイプを含む、主要なドローン生産国でもある。これらのいずれかが実戦配備に向けて進展しているかどうかは不明だが、中国が米空軍と同様の何らかのステルス戦闘ドローンを採用する可能性が高いと想定しておくべきだ。

支援要因/戦力倍増要因

PLAAFのステルス機部隊の能力は、支援資産の並行的な改善により大幅に強化されている。2012年、PLAAFは給油機、空中早期警戒管制機(AWACS)、大型電子戦機それぞれ約10~16機しか保有していなかった。現在では、これらの各カテゴリーで50機以上の航空機を配備しており、新機は性能も向上している。特に注目すべきはYY-20で、旧式のHY-6の20トンに対し、約50~75トンの燃料を輸送可能だ。

PLAAFの支援資産の強化により、ステルス機の大部分が運用面でその恩恵を受けることができるようになった。給油機は長距離・長時間任務を可能にする。これはJ-20の想定される役割にとって不可欠だ。電子戦機は敵のレーダーを無力化し、ステルス戦闘機が探知される範囲を狭める。AWACS機は、戦闘機が自機のレーダーを無効化し、静寂を保ちながら状況認識を維持することを可能にする。

最後に、中国の視界外射程(BVR)ミサイル、特にPL-15の優れた射程は、最近のパキスタンとインドの戦闘機間の空中戦で鮮明に示された顕著な優位性だ。

米国が新しいAIM-174BとAIM-260 BVRミサイルで持続的な優位性を回復できるかはまだ不明だ。

なぜ中国はステルス戦闘機に注力しているのか?

中国のステルス戦闘機への取り組みは、米国および/またはその同盟国との西部太平洋での紛争に備えたものと考えられる。これは中国にとって容易な任務ではない。米国は現在、世界で最も大規模で最先端の空軍を保有しているからだ。米国の能力強化に加え、西太平洋の同盟国は米国製第4世代戦闘機とステルス戦闘機F-35の組み合わせ、およびペイトリオット、SM-2、SM-6ミサイルなどの強力な地上・海上対空防衛システムを保有している。

中国の軍事上の課題は、米軍の空軍優位を縮小するため、戦闘機と支援機を開発・量産・配備し、台湾侵攻を含む地域任務の遂行や南シナ海での広範な領有権主張を可能にすることだった。

ステルス機は無敵ではないものの、軍事演習では、非ステルス機との空中戦で圧倒的な優位性を示している。ウクライナでの空戦では、非ステルス戦闘機同士の戦闘においてBVRミサイルの優位性が明らかになった。また、目標に早期警戒が可能なため、長距離ミサイルで撃墜する確率が低いことも示された。

敵の航空機を破壊する(単に追い払うだけでなく)ことを目的とする空軍は、ステルス戦闘機を使用して、攻撃前に接近(かつ予期しない角度から)し、驚きの効果を最大化し、回避の窓を最小化する戦略を採用する可能性がある。

ステルス戦闘機は、敵の戦闘機群を迂回し、重要な支援機(旅客機ベースの空中給油機、早期警戒機、電子戦機)を狩るためにも使用できる。これらの機体は、長距離ミサイルから逃れるのが困難になる。支援機を破壊することは、米軍の戦闘機の有効性を著しく低下させ、給油機を排除すれば、燃料切れでその他ジェット機が墜落する可能性もある。これは、J-20が意図された役割のように長年考えられてきた。

イスラエルとイランの最近の戦争でも、ステルス機が紛争初日に防衛された空域に侵入し、防空システムや弾道ミサイル発射台などの優先目標を特定・破壊する能力が示された。(ステルス機は、精密なスタンドオフ兵器を装備した他のプラットフォームに目標データを送信できる場合、自ら攻撃する必要はない。)これは中国にとっても重要だ。台湾侵攻では、戦争の初期段階で島の密集した統合防空システムを可能な限り迅速に抑圧しつつ、他の多数の重要目標を同時に攻撃する必要があるからだ。

緩和要因

定性的な面では、米軍航空部隊は、はるかに豊富な戦闘経験(中国人民解放軍空軍は1960年代以降ほぼ戦闘経験がない)と、現実的なシナリオでの優れたパイロット訓練、特に他軍種との連合作戦における訓練から、制度的に優位性を有している。

さらに、ステルス機はすべて同じではない。中国の設計がレーダー断面積をどの程度削減したかは不明だ。写真では、レーダー吸収材の有効性、微小部品の精密製造、その他のステルス性能を向上させる措置の効果を評価できないからだ。J-20はロシアのSu-57よりもステルス性能が優れていると考えられているが、F-35やF-22よりもステルス性能は劣る。しかし、J-20のステルス性能が絶対的に優れている必要はない。

一方、米国は3,300機を超える有人戦闘機(うち約700機がステルス戦闘機)を保有し、数量面で大きな優位性を維持している。F-35は、現在の中国戦闘機では達成不可能な生産規模を達成する可能性がある。米国は、PLAAFの改善にもかかわらず、当面はPLAAFの空中給油能力をはるかに上回る能力を維持するだろう。

しかし、米国の数量的優位性は、地理的課題で相殺されている。最も現実的な紛争シナリオでは、中国戦闘機は「後方地域」で活動する一方、米軍部隊は、中国の陸上弾道ミサイルの脅威にさらされる空母や少数の島嶼基地に依存することになる。

このような展開では、米軍戦闘機は中国軍よりも数百マイルも多く移動する必要があり、戦闘の有効性効果の窓が大幅に制約される。また、既存の給油機が争奪空域に進入できない点にも注意が必要だ。

全体として、中国の拡大したステルス機部隊は、米国とその同盟国に「チェス」よりも「ポーカー」に近い戦術を採用させざるを得ない状況を生み出している。不確実性が支配的だ。

空中編隊と地上ベースの防空システムは、予期せぬ方向から早期警告がほとんどない脅威に対応できるよう準備が必要だ。ステルス機でない戦闘機や支援機のミッション計画では、より広いバッファゾーンを設定し、追加のステルス機や忠実なウィングマンドローンを活用して脅威のスクリーニングや危険区域への攻撃的な突入を行う必要がある。

ロシアと中国がステルス対策技術を開発したように、PLAAFの敵対国は新たな戦術と技術、特に支援機向けの高度な防御対策、マルチセンサーキルチェーン、低帯域レーダーと長距離非レーダーセンサーの併用を強化する必要がある。

何よりも、中国の空軍は慢心を許さない姿勢を示しており、高度な能力において急速な進展と野心を示している。■


China’s New ‘Stealth Air Force’ Is Built for a War Against America

By

Sébastien Roblin

https://nationalsecurityjournal.org/chinas-new-stealth-air-force-is-built-for-a-war-against-america/

著者について:防衛専門家 セバスチャン・ロブリン

セバスチャン・ロブリンは、国際安全保障と紛争の技術的、歴史的、政治的側面について、The National Interest、NBC News、Forbes.com、War is Boringなどへの寄稿で執筆しています。ジョージタウン大学で修士号を取得し、中国で平和部隊(Peace Corps)で勤務しました。ロブリンはまた、National Security Journalの寄稿編集者です。

2025年1月8日水曜日

中国のH-20ステルス爆撃機が初飛行した?(19fortyfive)―画像毎に形状が異なり、願望の詰まったフェイク画像にしか見えないのですが、あたかも完成したと見せかけるいかさま作戦もありえますね。


H-20 Stealth Bomber

H-20爆撃機? 画像クレジット: クリエイティブ・コモンズ

The main image is from Chinese State TV years ago. 


西安H-20ステルス爆撃機の処女飛行について、ソーシャルメディアに出回っているビデオに煽られて憶測が浮上してきた。

-しかし、疑わしい映像、中国国営メディアからの確証の欠如、H-20の運用準備にはまだ数年かかるという国防総省の評価などから、その真偽について疑問が残る。

-もし本物なら、H-20は6,000マイルの航続距離で威力を発揮し、グアムや日本の米軍基地を脅かすことができる。

-核攻撃と通常攻撃双方に設計されたH-20は、太平洋におけるゲームチェンジャーとなる可能性がある。しかし、公式に確認されるまでは、この爆撃機の初飛行は未確認のままであり、偽物の可能性が高い。


H-20 Bomber

H-20 Bomber. Image Credit: X Screenshot.


中国の新型ステルス爆撃機H-20は初飛行したのだろうか?

偽写真やビデオを作成できる、広く利用可能で無料の人工知能ツールが普及しているため、ネット上で見られるものには懐疑的にならざるを得ない。だからこそ我々は、中国の新しい西安H-20ステルス爆撃機のテスト飛行の証拠だとする最近ソーシャルメディアにあらわれた映像画像は半信半疑で受け止めるべきだ。


H-20爆撃機の動画が本物なら大きな機体だ。

共有されているビデオでは、H-20は大きな全翼機形状で、一部の中国のソーシャルメディア観察者は、それがステルス爆撃機であると確信していた。

 H-20とされる機体には、J-16戦闘機らしき機体が続いて映っていた。 メディアの報道によると、H-20は「傾斜した垂直尾翼を持つ顕著な尾翼」があるという。

 J-16とH-20の寸法を比較すれば、新型爆撃機の全長は100フィート以上あり、世界最大級のステルス爆撃機となる。

 中国軍は昨年WeChatで、H-20は2025年1月1日に登場すると自慢していた。 ということは、H-20の動画は本物かもしれない。

 しかし、ソーシャルメディア・ユーザーなら誰でも、その情報を鵜呑みにして、爆撃機の偽ビデオを作成できただろう。

 現時点では、このビデオは本物ではないというのが最も可能性の高い答えだ。


H-20 Bomber Image

H-20爆撃機の画像。 画像クレジット X Screeenshot.


同機には惹きつける点が多い

H-20は、そのステルス性、航続距離、核兵器や精密誘導弾の発射能力で、この地域を支配することができる。

 アメリカ空軍のステルス爆撃機B-2スピリットや新型のB-21レイダーとの比較することができるが、もしこのビデオが本物なら、H-20はこれら2機よりも大きい可能性がある。

 ただし、このビデオがフェイクだと考える理由のひとつは、防衛アナリストの中には、H-20が2030年代まで定期的に飛行することはないと考えている人がいることだ。 また、共有されているビデオ映像のアングルが非常に少ない。 また、中国国営メディアの各機関からは、このような飛行機が空を飛んだと天に向かって歌うような雑音も聞こえてこない。

また、最近のJ-36ステルス戦闘機の飛行のように、ソーシャルメディアに出回っている静止画はほとんどなく、映像の中に奇妙な旗が掲げられていることについて、奇妙に見え、映像と一致しない点があるとコメントする人もいる。

 ペンタゴンの包括的な中国レビューによると、H-20は数年間準備できないとのことだ。

 米国防総省が発表した最新の中国軍事力報告書は、中国軍のハードウェアと様々な能力に関する最高のレビューのひとつだが、H-20についてはあまり触れていない。 アナリストたちは、H-20をJH-XXプログラムの発展型と評している。

H-20 Stealth Bomber. Image Credit: Artist Rendering Chinese Internet.

H-20爆撃機。 画像出典:Xスクリーンショット。


 「PLAAFは、新しいH-20ステルス戦略爆撃機の開発によって、兵力当社能力を拡張しようとしている。「PLAAFは、地域と世界の標的を攻撃するために、新しい中・長距離ステルス爆撃機を開発している」。


日本とグアムが長距離H-20の危険にさらされる

報告書は、H-20がデビューするのは2030年にはいる前だと説明している。H-20の航続距離は6,000マイルを超え、日本やグアムの空軍基地にあるアメリカの軍事目標に、通常攻撃や核攻撃で到達することができる。

 H-20のステルス性能は過大評価されている可能性があり、B-2やB-21ほどレーダーを回避できない。航続距離も誇張されているかもしれない。 しかし、この爆撃機が第一列島線の標的を攻撃できたとしても、それは人民解放軍空軍(PLAAF)にとって実用的な追加となるだろう。

 H-20は、情報、監視、偵察データを収集する能力を持ち、電子戦の役割に従事することができる。また、1機以上の「忠実なウィングマン」無人機を繋ぐ「ドローン母船」となる可能性もある。


予定より5~10年早い?

もしこの映像が何らかの形で信憑性が高いとしたら、PLAAFがH-20の開発をかなり進めている証拠となるだろう。

 PLAAFの将軍たちはH-20に長い間期待を寄せており、ある将軍は2024年にH-20が間もなく登場すると主張した。「ただ待ってくれ」とPLAAFの副司令官である王偉中将は言った。

 残念ながら、筆者はこのビデオが本物だとは思わない。 もし新型爆撃機が処女飛行をしたら、もっと多くの将軍や中国のレガシーメディアが電波を爆発させ、新型爆撃機の前触れを喧伝しただろう。 公式の飛行確認がない以上、本当に飛んだのだろうか。


アジアで最高の爆撃機となるのか

とはいえ、PLAAFは長距離かつ核能力を持つステルス戦闘機を作るという野心を持っている。 それは東アジアで最高の爆撃機になるだろう。

 H-20はまた、この地域の米軍基地を攻撃し、滑走路を破壊し、電子戦能力で防空網に見えなくなる。 そのため、アメリカや台湾と衝突した場合、初日から高い効果を発揮するだろう。


H-20爆撃機はまだ飛行していない...今のところは。

新型爆撃機については、公式に承認され、確認された映像が公開されるのを待ちたい。 もし最近飛行したのであれば、アメリカの諜報機関を驚かせ、アメリカが中国の軍事装備品の進展に関し正しい情報に通じていないことを示すことになる。 とはいえ、現時点では、映像はフェイクに見える。■


Written ByBrent M. Eastwood

Now serving as 1945s Defense and National Security Editor, Brent M. Eastwood, PhD, is the author of Humans, Machines, and Data: Future Trends in Warfare. He is an Emerging Threats expert and former U.S. Army Infantry officer.


Did China’s H-20 Stealth Bomber Just Make Its First Flight?

By

Brent M. Eastwood

https://www.19fortyfive.com/2025/01/did-chinas-h-20-stealth-bomber-just-make-its-first-flight/


2025年1月7日火曜日

中国のH-20ステルス爆撃機は2030年代まで「デビュー」しない可能性が高い(米国の情報機関)(The War Zone) ―2024年末の新型装備公開ラッシュにも同爆撃機は登場しませんでした。25年も期待薄でしょう。


PLAAF/YouTube Screencap


H-20と並行して、中国は小型ステルス爆撃機の開発も継続している


国で待望のH-20爆撃機が「デビュー」を果たすのは、運用部隊への導入を意味するのか、あるいは単に公に姿を現すだけなのかは不明だが、今後10年以内のいつかだろうと米軍は述べている。今年初め、中国人民解放軍空軍(PLAAF)の副司令官は、少なくとも同機の公開は「間もなく」行と発言したと報じられた。長年にわたり、米国のB-2スピリットを彷彿させるステルス性の高い飛行機として設計された爆撃機が、まもなくそのベールを脱ぐだとの報道が出ていた。


H-20爆撃機プログラムの現状に関する一般的な評価は、米軍が議会に提出した最新の中国軍事動向に関する年次報告書に記載されている。米国防総省は本日、この報告書の非機密版を公開した。ここには、中国人民解放軍(PLA)が、過去にはJH-XXと呼ばれていたステルス性能を持つ中距離爆撃機の開発を現在も続けていることも記載されている。


「中国空軍は新型ステルス戦略爆撃機H-20の開発により、戦力投射能力の拡大を目指している。中国国営メディアは、この新型ステルス爆撃機は通常任務に加えて核ミッションも担うと発表している。中国空軍は地域および世界的な目標を攻撃するための新型の中距離および長距離ステルス爆撃機を開発している。

「中国は、おそらくH-20と名付けられるであろう新世代の長距離爆撃機を開発している。今後10年以内にデビューする可能性のあるH-20は、航続距離が1万キロメートル(6,214マイル)以上であり、中国空軍が『第2列島線』をカバーし、太平洋西部地域まで到達することを可能にするだろう」と、報告書の別の部分に記されている。「H-20爆撃機の航続距離は空中給油により地球全体をカバーできるほどに延長される可能性がある。通常兵器および核兵器を使用し、ステルス設計が採用されると予想される」。


ここで言及されている「第2列島線」とは、日本と東インドネシアの境界線から西に広がる太平洋の地域を指し、米国領のグアム島も含まれる。また、H-20に関するこの発言は、昨年国防総省が中国報告書に盛り込んだ内容とほぼ一致している。

「第一列島線」および「第二列島線」と呼ばれる地域を示す地図。国防総省 西太平洋における第一列島線および第二列島線の境界線を示す地図。国防総省


「残念ながら、私は [新しい中国レポート] に記載されている以上のことはお話しできません」と、今週初めのメディア向け事前説明会で、米国防総省高官もまた、本誌のハワード・アルトマンによる中国爆撃機に関する質問に対して述べた。「ご想像の通り、我々は可能な限り多くの情報を提供しようとしていますが、現時点ではレポートに記載されている以上のことはお話しできません」。

2021年のPLAAF(中国空軍)の募集ビデオに登場するH-20を反映したと思われるステルス飛行機タイプの公式レンダリング。YouTubeキャプチャ

H-20に関する最新のコメントは、今年初めに複数の報道機関に対して米国情報当局者が語った爆撃機に関する内容とも一致している。


「H-20の問題は、実際にシステム設計を見ると、おそらく米国のLO(低可視性、ステルス)プラットフォーム、特に今後登場するより高度なプラットフォームには遠く及ばないでしょう」と、情報当局者は4月のブリーフィングでDefense Oneに語った。「彼らは、そのシステム能力をB-2やB-21と同様の方法で機能させるにはどうすればよいかという点において、多くの設計上の課題に直面しています」。


H-20は、少なくとも大まかな形状は、ここに写っているB-2と似たものになるだろうと以前から予想されてきた。 米国空軍


H-20が米軍にとって懸念事項であるかどうかを尋ねられて「そうでもない」と、その人物は答えたと、Breaking Defenseは伝えている。


その1ヶ月前には、中国国営の香港商業日報が、中国空軍の副司令官王偉中将のインタビュー記事を掲載しており、その中で同中将は「(H-20は)もうすぐ登場する。待っていなさい!」と語っている。「(H-20の開発における)ボトルネックは存在せず、解決できる」と、香港商業日報によると、王中将も述べた。「我々の科学技術研究者は現在非常に優秀であり、全員がこの能力を備えている」。


H-20の開発は少なくとも2000年代初頭まで遡ると考えられている。中国航空工業集団(AVIC)の子会社である西安飛機工業公司(XAC)が、このプロジェクトを主導している。XACは、ソビエトのツポレフTu-16バジャーのライセンス生産コピーであるH-6爆撃機の原型をはじめ、Y-20輸送機など、数多くの設計を担当している。H-6の各バージョンは、現在、人民解放軍の長距離航空攻撃能力を構成している。


H-6シリーズのミサイル搭載機。日本の防衛省


H-20の公式画像はこれまで公開されていないが、人民解放軍とAVICは長年、この設計をほのめかしてきた。これには、ノースロップ・グラマンの有名な2015年のスーパーボウル広告(下記参照)を模倣した、AVICによる2018年のプロモーションビデオも含まれる。このビデオでは、後にB-21レイダーとして知られるようになった機体をほのめかしている。H-20プログラムまたは関連設計に関連する可能性のある風洞モデルの画像や、多数の推測に基づくファンのレンダリング画像も、過去にオンラインで公開されている。

過去の報道では、H-20の要件として、陸上攻撃および対艦巡航ミサイルを含む最大10トンの兵器を搭載でき、無給油での航続距離は約5,000マイル(約8,000キロ)であることが求められていると報じられていた。


地域重視の JH-XX に関する情報はさらに少なく、航続距離は H-20 より短く、ペイロード容量も小さいとされる。 AVIC の子会社である瀋陽飛機工業(J-35 などのステルス戦闘機でよく知られる)が主導している可能性がある。


以前に公開された、JH-XXの作業に関連する可能性がある設計の模型の写真。中国のインターネット


本誌が過去に強調したように、H-20は、PLAが現在保有しているH-6ファミリーの最新バージョンをはるかに超える長距離核攻撃能力を保有することになる。それにより、インド太平洋地域全体にわたって、戦略的に重要なグアム、ハワイ、さらには米国本土の一部を含む、まったく新しい広範囲の標的を危険にさらす能力が提供されることになる。


中国軍はすでに近年、H-6の派生型による長距離空爆能力の拡大に取り組んでいる。これには、射程を大幅に拡大するために、空中発射弾道ミサイルや極超音速ミサイルのような非常に大きなペイロードを発射できるバージョンも含まれる。


H-6Nミサイル運搬機が、非常に大きな空中発射弾道ミサイル(赤い矢印で強調表示)を運んでいるのが見える。中国のインターネット


今年7月には、ロシア軍との合同長距離空中パトロールの一環として、H-6Kミサイル搭載機2機がアラスカ近郊の国際空域を初めて飛行した。しかし、H-6Kの公表されている最大航続距離を考慮すると、また空中給油も不可能であることを踏まえると、これらの航空機はロシアの基地から出撃した可能性が高いと思われる。これは、H-6シリーズが依然として限界を抱えたままなのを浮き彫りにしている。しかし、空中給油が可能なバージョンは徐々に配備されつつあり、間もなく登場するH-20の重要性も高まっている。また、潜在的な防空の脅威は拡大する一方であるが、H-6は低被発見性(ステルス性)の航空機ではない。


また、本誌は過去にも、中国にとってステルス性能を持つ中距離爆撃機JH-XXの価値を強調してきた。この爆撃機は、中国本土の第二列島線内やインド上空において、より生存能力の高い新たな空爆手段を提供することになる。以前にも述べたように、「この航続距離があれば、JH-XXは依然として、日本国内の米軍施設や、場合によってはグアムの米軍施設、さらにはインド、南シナ海、その他の地域の基地といった戦略的目標に挑戦する能力を有することになる。この設計では、速度を優先させることも、ステルス性を優先させることも可能である。これにより、出撃率や敵の統合防空網を突破する能力において、小型の戦闘爆撃機にさらなる優位性がもたらされる可能性がある。何よりも、脆弱な空中給油機への依存度を低く抑え、あるいは全面的な紛争時には最も攻撃を受けやすい沿岸部の飛行場を使用することなく、長距離の空対空ミッションの支援を含む多目的運用が可能になる」。


H-20に関しては、たとえ公式デビューを果たしたとしても、中国空軍が爆撃機を真に運用可能な状態にするには時間がかかるだろう。米国空軍とは異なり、中国空軍は依然とし長距離の航空作戦の経験は限られている。中国は現在、特にロシアとの協力により、より定期的なH-6もうpり長距離飛行を通じてこの問題の解決を図ろうとしているようだ。空中給油能力は、H-20がその潜在能力を最大限に発揮する上で鍵となるが、この分野でも中国の軍隊は米国に遅れをとっている。ただし、この状況を変えるための取り組みは進行中だ。


「中国側の最大の課題は、実際のシステムの能力というよりも、むしろ、それらのシステムを迅速かつ大規模に効果的に運用する人員の能力です。我々米軍には戦争を戦う多くの経験があります」と、前述のH-20について語った米情報当局者は、4月にDefense Oneに次のように語っている。「そして、もちろん、どのオペレーターに話を聞いても、彼らは我々の抱える問題をすべて教えてくれるでしょう。しかし、率直に言って、我々はキルチェーンを実行する方法を見つけ出すことができます。中国には、実際に戦争を経験した人物は、人民解放軍に現在まったくいません」。

 同時に、「中国人が優秀でないことに頼りたくはない」と当時彼らは警告した。「彼らが優秀でないと分かるのは、彼らが我々に発砲してくるまでだ。そして、本当に優秀だったと気づくような立場にはなりたくない」。


本誌が定期的に指摘しているように、中国軍は宇宙を含むあらゆる領域において、ますます近代的な能力の開発と実用化において著しい進歩を遂げ続けている。これには、特にステルス飛行機型の無人戦闘機(UCAV)やその他の先進的な無人機に関する航空分野での重要な取り組みが含まれる。UCAVは、少なくとも我々の知る限り、米軍が依然として不在の分野である。このような設計に関する取り組みが世界的に復活しつつあるにもかかわらず、である。


米軍は、中国がH-20とJH-XXの両方を依然として積極的に追求していると述べているが、実現にはまだ何年もかかりそうだ。■


China’s H-20 Stealth Bomber Unlikely To ‘Debut’ Until 2030s, According To U.S. Intel

China also continues to pursue a smaller regional stealth bomber aircraft in parallel to the H-20 program.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/air/chinas-h-20-stealth-bomber-unlikely-to-debut-until-2030s-according-to-u-s-intel


2025年1月2日木曜日

米空軍に対抗したい中国空軍だが、まだ戦力が劣るというのが米国防総省の最新評価だ(Air and Space Forces Magazine)

 




防総省の中国軍事力に関する年次報告書とその作成に携わった関係者によれば、中国空軍は非常に優秀で、急速に向上しているが、アメリカ空軍の空戦能力にはまだ及んでいない。

 2024年版報告書では、人民解放軍空軍が無人航空機システムの能力を拡大してきた経緯を特に強調しており、今や米空軍のシステムに匹敵するレベルに達していると述べている。 また、中国が空対空ミサイル、電子戦、爆撃機、第5世代戦闘機で飛躍的な進歩を遂げてきたことにも言及している。

 国防総省高官は、報告書発表に先立ち行われたブリーフィングで記者団に対し、「無人航空機システムの近代化と国産化に関して、PLAAFは急速に米国の水準に近づいている」と述べた。

 報告書は「戦域や部隊レベルにわたり、洗練度を挙げたシステムが日常的に登場している」と指摘している。 過去3年間で、中国はXianglongジェット動力UAS、超音速ドローンWZ-8、そしてGJ-11ステルス無人戦闘機の再設計バージョンを航空ショーで披露した。

 国防総省の報告書は、「先進的な小型UASが軍事および民生用途でますます登場しており、中国の産業界は、あらゆるサイズのUASとコンポーネントの主要な輸出国だ」と述べている。さらに中国は「成熟しつつあり、......次世代能力への取り組みを示している」とし、航空ショーで存在感を高め、ステルス全翼機など、西側の先進的なデザインに対応する機体を展示している。

 これらの新しいコンセプトには、米空軍の連携無人戦闘機プログラムに対抗する存在が含まれるかもしれない。「中国の開発者は、[情報・監視・偵察]や[電子戦]を超えて、空対空戦闘や空対地戦闘への応用に関心を示しており、作戦用途のための群れ能力を生み出す実質的な開発努力を行っている」。

 有人戦闘機では、中国がJ-20マイティドラゴン・ステルス戦闘機を迅速に増強・改良していると国防総省は評価している。 同高官によれば、中国は新しい施設で生産能力を高めているという。シンクタンクは、J-20の保有機体を200機近く(米空軍の保有するF-22の184機に対して)と見積もっており、中国は長年ロシアからパワープラントを輸入しなければならなかったが、戦闘機用の国産エンジン導入を強めていると言われている。

 「国産エンジンに切り替え始めているが、ロシア製エンジンも残っているかもしれない」と同高官は言い、「PLAAFはJ-20のアップグレードにも取り組んでいる」と付け加えた。

 ただ、同高官は中国のもうひとつの第5世代戦闘機である双発のJ-35についての詳細は明らかにしなかった。

 国防総省の報告書は、PLAAFが「近代的で専門的な戦闘部隊を創設することを目的とした一連の大規模な制度改革」に着手し、同軍が「実戦状況」と呼ぶ状況下で訓練を行っていることを指摘している。

 この訓練の一環で、パイロットは独自の飛行計画を作成し、「完全に事前規定されていない」迎撃を実施する自由を与えられている、と報告書は述べている。

 報告書はまた、PLAAFが「空戦訓練を増やしている」とも指摘している。これは、台湾へのブラフ・チャージ攻撃が増加していることを指していると思われる。PLAAFはまた、パキスタン、ロシア、タイなど他の地域の空軍との合同演習の回数も増やしている。

 人民解放軍海軍(PLAN)と合わせると、中国はインド太平洋地域で最大、世界でも3番目に大きな航空部隊を擁している。 そのうち2,400機以上が戦闘機で、大半の約1,300機が第4世代機だ。 今後数年間で、ほぼすべての戦闘機が第4世代以上になる」と同高官は述べた。

 中国による2019年版国防白書によれば、中国軍は領土防空から「攻撃的・防衛的作戦」へシフトしており、国防総省はこれを本土から遠く離れた場所での戦力投射能力と解釈している。

 国防総省は、PLAAFは「航空、空中、防空、レーダー、電子対策、通信部隊を5つの戦域司令部航空部隊に編成し、米国標準の技術に急速に近づいている」と述べている。

 国防総省が具体的なコメントを出した航空機は以下の通り:

瀋陽J-16:もともとロシアのSu-27をベースとした「第4世代以上」の戦闘機で、「超長距離空対空ミサイル、PL-17」を搭載できる。このミサイルの登場が、米空軍のE-8 JSTARSやE-3 AWACSのような航空機の退役を加速させたのかもしれない。2023年には、225機以上のJ-16がPLAAFに配備され、さらに多くのJ-16が配備される予定だ。

成都J-20: J-20のアップグレードには、J-20の内部ミサイル搭載量を増やし、兵装搭載量を増やしながらステルス性を維持すること、"推力偏向エンジンノズルを設置すること、より高推力の国産WS-15エンジンを設置することで超巡航能力を追加すること "が含まれる。

瀋陽J-35/FC-31/J-31: 国防総省は、このステルスF-35そっくりの機体について、中国空母に搭載される可能性が高く、輸出のために提供されると述べた以外、ほとんどコメントを発表していない。

西安H-6N:報告書は、PLAAFが「H-6N爆撃機を実戦配備した」と指摘している。H-6Nは、空対空給油能力を持ち、従来の機種よりも航続距離が長く、機動再突入体を備えた核搭載可能な空中発射弾道ミサイルを外部に搭載することができる。

西安H-20:「中国国営メディアによれば、中国はおそらく戦略的ステルス爆撃機を開発している」と報告書は述べているが、ペンタゴンは以前の版で、空軍のB-2スピリットをモデルにした可能性のある中国の飛行翼爆撃機に関する作業をより明確に指摘している。 この新型爆撃機は亜音速で、アメリカのB-2やB-21のように「通常任務に加え核任務も担う」ことになる。中国メディアは、ノースロップ・グラマンの新型爆撃機B-21の広告を彷彿とさせる、布に覆われた全翼機型の画像を公開した。国防総省は、H-20の開発は2016年に開始され、"この種の先進爆撃機の開発には10年以上かかるかもしれない "と認めている。 しかし、それは2026年か2027年に航空機が登場する可能性を示唆している。

陝西Y-9:2019年にロールアウトしたY-9は、"長距離で敵の戦域認識を混乱させる "ことができる電子妨害/電子戦機とされている。

西安Y-20:中国がアメリカのC-17輸送機のそっくりさんを空中給油機に開発中。■


Pentagon Says Chinese Air Force Nipping at USAF’s Heels, but Not Yet a Match

Dec. 18, 2024 | By John A. Tirpak

https://www.airandspaceforces.com/pentagon-chinese-air-force-usaf-comparison/