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2026年7月2日木曜日

米空軍T-7Aレッドホーク開発を巡る苦悩②―データ権を巡るボーイングとの対立は深刻。その他新型機材にも波及する争点になりかねない

 

T7 graphicデジタル要素を加えたT-7レッドホーク。(『Breaking Defense』作成、元画像:DVIDS/Getty)

T-7のデータ権利をめぐり争うボーイングと米空軍

‘High risk’ sustainment: How Boeing and the Air Force battled over T-7 data rights


情報筋はT-7レッドホークの維持管理で空軍が「多大な苦戦を強いられるだろう」と本誌に語った

https://breakingdefense.com/2026/06/high-risk-sustainment-how-boeing-and-the-air-force-battled-over-t-7-data-rights/

ワシントン発――T-7レッドホークの量産承認を目前に控え、空軍は新型練習機が直面する重大な問題を密かに評価していた。本誌が入手した空軍文書によると、同機の適切な維持管理で空軍が困難をきたす可能性があるという。

2026年3月のT-7の量産決定に向けた内部プレゼンテーションの一部として空軍文書は、同機の維持管理を「高リスク」と評価している。維持管理とは本質的に、プラットフォームの基盤となる兵站支援を指すが、T-7の場合、空軍には整備に必要な技術データがなく、これがレッドホークの契約をめぐるボーイングとの緊張の原因となっている。さらに、部品不足のため問題はさらに複雑化している。

言い換えれば、同計画に精通するある情報筋が本誌に語ったように、空軍は「この航空機の維持に多大な苦労を強いられることになる」のだ。また、空軍当局者が認めたように、必要なデータを入手するためには、レッドホークの納入に関するボーイングとの既存の92億ドルの契約に加え、納税者にさらなる負担がかかる可能性が高い。

問題の核心は、T-7の契約において同社に何が求められているかをめぐる、空軍とボーイング間の対立にある。関係修復を図るため、空軍は新たな「アクティブ・マネジメント」戦略を導入した。同戦略について、空軍当局者は、様々な問題を解決するための協力関係を強化するものだと説明している。

これは、T-7レッドホークに関する3回シリーズの調査記事の第2回である。

この状況は、T-7に限ったことではない。近年、政府は購入した装備を独自に維持管理することを重視するようになり、その結果、設計図面、材料リスト、主要部品に関する情報といった技術データの提供要件がより重視されるようになった。多くのデータを求める傾向は、ペンタゴン内の数多くのシステムに及んでおり、稼働率の低さで悪名高いF-35のような主要プラットフォームもその例だ。

政府による技術データの要求は、請負業者との間で緊張を引き起こし、それが公の場に露呈することもある。しかし、そうした意見の相違やその結果が、空軍の内部資料で特定され、内部関係者によって説明されているほど詳細に明らかになることはめったにない。

本誌インタビューで、空軍の訓練担当プログラム執行官であるロドニー・スティーブンスは次のように述べた。「本プログラムは契約上のデータ義務の履行に関して重大な課題に直面していたが」、昨年実施された新たな「アクティブ・マネジメント戦略」により、当局者は「新たな前進の道」を切り開くことができた。

「アクティブ・マネジメント戦略を通じて、現在、双方が協力して、必要なすべての技術データが確実に提供されるよう取り組んでいる。このパートナーシップは、実戦訓練と長期的な成功に向けたプログラムの体制整備において、その有効性を証明しつつある」。

詳細な質問リストに対し、ボーイングは次のように回答した。「この能力を戦場に投入する操縦士にできるだけ早く提供できるよう取り組んでいるが、安全性や品質は犠牲にできない。安全性は、ボーイングおよびT-7Aプログラムにとって最優先事項である。

「契約締結後、ボーイング社のT-7Aレッドホークプログラムは、350回以上の試験飛行を通じて、344時間以上の飛行試験時間を安全に積み重ねてきた」と同社は付け加えた。「米空軍との協力を継続する中で、T-7プログラムの積極的な管理アプローチにより、少量初期生産に先立ち、生産準備の整った構成を空軍に提供することが可能となり、将来のリスクをさらに低減し、この重要な能力の提供に向けた道を加速させることができます。」

このプログラムに詳しい政府筋は、本誌に対し、「空軍は、ボーイングに航空機の納入を迫るという点で、実に素晴らしい仕事をしている」と語った。「しかし、裏側もあり、維持管理体制の整備に向けた取り組みが不十分だ。

「これは最高に素晴らしい機体であり、任務において大いに活躍するだろうが、もし維持管理に悩まされることになれば、維持管理や即応率の維持に苦戦している他の多くのプログラムと同じ運命をたどることになるだろう。それが本当に腹立たしい」と、同情報筋は付け加えた。

欠落している詳細

大半の大型防衛調達案件と同様に、主契約者ボーイングは兵器システムを設計し、その構成部品を統合するものの、複雑なサプライヤーネットワークから供給される部品多数に依存している。空軍文書や情報筋によると、こうした契約関係を通じて、ボーイングは重要なデータに関する要件が確実に遵守されるよう徹底していなかったという。

本誌が入手した2025年8月の空軍内部プレゼンテーション資料は、ボーイングが主張する「不適合」が、航空機の耐空性に影響を及ぼした重要な安全項目を含む、幅広い問題に与えた影響を説明している。重要な安全項目と同様に、このプレゼンテーションによると、ボーイングは、空軍が請負業者に依存せず(つまり、自前で)航空機を維持するために必要となる技術要件を、サプライヤーに「下流へ展開」しなかったという。

「 「T-7契約では、航空機の自主的な維持管理に必要なデータ権利が求められていたが、ボーイングは必要なデータのごく一部しか提供していない」と、このプログラムに直接関与する情報筋は述べた。この情報筋も、他の関係者と同様に、本記事では匿名を条件として取材に応じた。

具体的には、2026年3月のプレゼンテーションによると、空軍は中間整備およびデポ整備に関するデータが不足しており、これは予備部品の不足と併せて「高リスク」と評価されている。しかし、同プレゼンテーションでは、来年から開始予定の運用整備については「低リスク」と予測している。これは本質的に、飛行場で実施可能な維持管理を指している。

データ不足に対処するため、同関係者は、空軍がサプライヤーと直接契約を結ぶ必要があると述べた。このプロセスには数年と数億ドルを要すると推定されるほか、整備廠の立ち上げも遅れることになるという。

「2018年以降の時間がすべて無駄にされた。今、空軍はデータに関するRFP(提案依頼書)を発行し、サプライヤーと協力して、個別契約をそれぞれ策定しなければならない」と同氏は述べた。時間とは、空軍がボーイングにT-7の競争入札契約を授与してからの年数を指している。

具体的な費用見積もりは示さなかったものの、スティーブンスは、2018年に締結された契約が当該要件を十分に明記していると仮定した場合に限り、空軍が同機の技術データに対してより多くの費用を費やすことになる可能性を認めた。より精緻な契約書を作成できた可能性はあると認めつつも、スティーブンスは、データ権利などの問題の解決で、場合によっては法的措置を通じて請求を追求することは、プログラムにとって最善の利益にならないと主張した。

「(2018年の契約において)政府として要件についてもう少し具体的に明記できたのではないかという点については、議論の余地があるだろう」とスティーブンスは述べた。「その点について議論を続けるか、あるいは法的なアプローチを取って裁判所がどう判断するか、誰が正しく誰が間違っているかを確認するよりも、我々は前進するために、すでに締結されているアクティブ・マネジメント契約に軸足を移したのだ。」

スティーブンスはさらに、T-7は米国法で「中核物流プラットフォーム」に指定されていないと指摘した。同法では、国防総省に対し、国防上不可欠なシステムについて、政府が所有・運営する整備体制を維持することが義務付けられている。当局者は、「特定の部品を有機的に修理することにビジネス上の妥当性があるかどうかを判断する」ために取り組んでいると彼は述べ、さらに「情報が明確になり次第、T-7が耐用年数を通じて所定の稼働率を達成できるよう適切に維持されるよう、製品支援戦略を適宜更新していく」と付け加えた。

空軍は自前整備の確保に「全面的に取り組んでいる」と同氏は続け、同プログラムは「現在、初期訓練および運用に必要な技術データを受け取っている」と指摘した。空軍の「長期戦略」には、「主要サプライヤーとの直接的な政府間関係を確立する」と同時に、「最高のコストパフォーマンスで最高水準の即応態勢を確保する」ことが含まれるとスティーブンスは述べた。

「これは最終的には『両者の長所を兼ね備えた』モデルとなる可能性がある。すなわち、米空軍の整備要員が日常的な整備の大部分を担当しつつ、高度に専門化された機能は産業界と提携する柔軟性を維持する」と同氏は付け加えた。「今後の支援契約に関するいかなる決定も、戦闘員と納税者にとって最も効果的かつ効率的な方策に基づいて行われる。」

情報筋によると、同機の維持管理の見通しが不透明であることは、同機を量産段階に移行させる最近の承認と相反する状況だという。彼らは懸念を裏付けるため、生産ペースを支える適切なインフラが整備されているかを検証する、同機の製造準備レベル(MRL)に関する内部評価を指摘した。2025年8月のプレゼンテーションによると、一部のMRL指標のスコアは8を下回っており、この数値は通常、量産と関連付けられている。(MRLは10点満点)

スティーブンスは、特定のサブ基準、特に同機の供給に関する項目でMRLスコアが8を下回っていたことを認めたが、国防総省の用語で「マイルストーンC」と呼ばれる量産承認には、スコアが8である必要はないと主張した。「フルレート生産に必要な水準に到達できるよう、順調な軌道に乗せる製造成熟化計画が不可欠だ」と彼は述べた。

「スコアが低かった製造評価分野、主にサプライヤー関連については」と彼は述べ、製造成熟化計画により「プログラムに必要な十分な製造品質を確保しつつ、想定される生産ペースを満たせる段階に到達できるだろう」と語った。

さらにスティーブンスは、同機の生産承認が段階的アプローチで行われていることを強調し、これにより当局は並行開発に関連するリスクを軽減することも可能になると述べた。

データをめぐる論争

データをめぐる権利は、企業の知的財産の利用を伴う可能性があるため、政府プログラムで厄介な問題となることがある。企業は競争優位性を維持するため、自社の知的財産に関する情報開示に慎重であり、投資収益を期待して自社資金を投じている。その収益は、航空機のような兵器システムの長期契約において通常最も収益性の高い部分となる維持管理段階で得られることが多い。

軍当局は、特に請負業者による支援が困難となる戦時シナリオにおいて、独自に整備を行うにはデータ権利Data Rightsが必要だと強調している。また、当局はそれが経費削減につながると主張し、国防総省の兵器システムに対する、当局者が「修理権」と呼ぶものの必要性を訴えている。議員たちもこの問題に注目しており、昨年、立法交渉の過程で同様の条項が削除されたことを受け、一部議員は再び修理権に関する条項を支持している。

バイデン政権で空軍調達局長だったアンドルー・ハンターは、契約締結時点でどのような情報を必要とするかを当事者が正確に把握していない場合があるため、データ権利が問題となることがあると説明した。

「データ権利の提供という契約上の規定は、契約締結で署名される。そのため、最初の段階では、具体的にどのデータ権利を指すのかを明確に指定することはできない。サブシステムがまだ流動的な可能性があり、多くの場合、最終的に争点となる重要なデータはサプライヤーから提供されるものだからだ」と、ハンターは最近の本誌インタビューで語った。

「そこで、政府はサプライヤーに『政府に提供するために、貴社の知的財産権(IP)が必要だ』と伝えなければならない。これが、まさに困難を招く理由となる」と彼は付け加えた。「多くの場合、具体的にどの知的財産権が対象となるかという詳細が明記されていないため、後になって議論や論争、交渉の対象となってしまう」

現在も弁護士として活動しているため匿名を条件に本誌に語った連邦契約の専門家は、ボーイングがT-7入札に参加した時点でサプライヤー基盤が固まっていなかった可能性があり、それが技術データの取得希望を複雑にしているのではないかと推測した。

「おそらくボーイングは、航空機の技術データを取得することに関して、そのようなレベルのリスクを負うような約束をするべきではなかったし、契約を結ぶべきではなかったのだろう」と同上専門家は述べた。「多くの場合、企業は単に『とにかく契約を勝ち取ろう』と考えてしまうのだと思う」

この契約専門家は本誌に対し、あらゆる事情を考慮すれば、欠落しているデータを入手するために空軍がサプライヤーと直接関係を築くことは「理にかなっている」と語った。是正措置に関しては、この関係者は、政府には一般的に、支払いの変更や、過去の不適切な実績に対する将来の契約入札への不利益措置といった執行手段が利用可能であると指摘した。それでも、「サプライヤーの数が限られている場合、過去の実績は必ずしもそれほど効果的ではない」と同氏は述べた。

また、この関係者は、ボーイングのような大手プライム請負業者に対処する場合、政府の選択肢はさらに限られる可能性があると指摘した。

「これは、大手企業と関わる際に常に直面する問題だ。… 彼らはあまりにも巨大で、重要な単独調達プログラムをあまりにも多く運営している」と同氏は語った。「彼らに厳しい措置を講じる方法はいくつかあるが、『契約を取り上げる』と簡単に言うわけにはいかない。」■


2026年6月30日火曜日

米空軍T-7レッドホーク開発の苦悩① ボーイングも把握できていない予想外に多い問題で自社損失が拡大中 ― 同機は日本の次期練習機候補にあがっているのですが。

 

T-7レッドホーク練習機。(グラフィック:Breaking Defense、オリジナル写真:DVIDS/Getty)

米空軍T-7レッドホーク開発の苦悩① 

EXCLUSIVE: Inside the secret struggles of the Air Force’s T-7 Red Hawk

From a weather restriction to a "serious" airworthiness risk, the Air Force's newest training jet faces far more issues than previously reported, an investigation by Breaking Defense found.

本誌調査によると、気象条件による運用制限から「深刻な」耐空性リスクに至るまで、空軍の最新練習機はこれまで報じられていたよりはるかに多くの問題に直面していることが判明した。

https://breakingdefense.com/2026/06/t7-red-hawk-air-force-trainer-secret-struggles-investigation/

ワシントン発――米空軍は、2028年までにT-7レッドホークが新米パイロットを乗せて飛行を開始し、訓練の新時代を告げられると見込んでいる。

しかし、本誌が入手した2025年8月付の空軍内部資料によると、導入後数年間は、機体に「深刻な」耐空性リスクが伴うとされている。原因は、同資料が「不適合」と表現する、請負業者ボーイングによる訓練用ジェット機に関する必要情報の提供不足にある。

本誌調査によると、これはレッドホークの運用開始に向け、空軍当局者が容認してきた、これまで報じられていない問題の一つである。

情報筋や現職・元空軍当局者、アナリストへのインタビューに加え、内部文書の精査も行った今回の調査は、T-7プログラムのつまずき、航空機メーカーであるボーイングとの緊張関係、さらに空軍が事態を立て直す計画について、これまでで最も詳細な全体像を明らかにしている。

本調査で判明した点は以下の通りである:

  • 最初の82機は、「深刻な」耐空性リスクを抱えた状態で飛行すると予測されている。

  • 詳しい情報筋は、T-7の配備を早めようとする試みが、若手パイロットへのリスクを高めると懸念している。

  • 空軍は、同機の維持管理を「高リスク」と評価している。

  • 空軍内部文書によると、ボーイングが同機に関する特定データを提供しなかったことは、同社による「不遵守」に相当するという。

  • 同機は雨天時の飛行が不可能で、地上型シミュレーター導入でも苦戦中。

  • 空軍とボーイング幹部は、政府による同機エンジンの調達方法の変更案を検討中。これには納税者に最大15億ドルの「追加」費用がかかる見込みだが、見返りとして、ボーイングが自社の747-8iに関する技術データを提供する可能性がある。

本誌の取材に応じた2人の情報筋は、レッドホークには将来性があり、当局者も安全確保に尽力していると述べた。しかし、同機の開発スピードについて懸念を示し、政府は契約で定められた条件をボーイングに遵守させることに失敗していると主張した。その根拠として、遅延や、納税者が負担せざるを得なくなる可能性のある数百万ドル規模の追加費用を挙げた。

「契約の履行状況が不十分であるために、政府は能力を実現できないのではないかと懸念している」と、T-7プログラムに直接関与する情報筋(他の関係者と同様、本記事では匿名を条件に取材に応じた)は本誌に語った。

これは、T-7レッドホークを取り上げる3回シリーズの第1回である。第2回と第3回は近日中に公開される。

問題の多くは、最終的に2018年に空軍がボーイングに発注した最初のT-7契約に起因している。固定価格契約のため、同社は数十億ドルの損失を被り、ボーイングが提供すべき内容について双方間で紛争が生じてきた。新型練習機の導入が急務であることから、空軍当局者はプログラムを前進させるため回避策や新たな取り組みを模索してきた。

インタビューおよび書面による質問への回答の中で、空軍当局者はT-7が直面している問題を確認しつつも、レッドホークがパイロットに引き渡される際には安全かつ有効なものになると強調している。

このプログラムは技術的な課題や契約上の紛争に悩まされてきたが、当局者は、T-7がまだ開発途上であるとしても、新たな「アクティブ・マネジメント」戦略の下で実施される緩和措置で、懸念を十分に和らげ、争点を解決できると考えている。さらに当局者は、T-7が置き換えることを目的としている旧式練習機である老朽化したT-38タロンの運用延長も課題を伴うと主張している。

「空軍は、就役から60年が経過したT-38の置き換えの緊急性を認識しており、T-7の開発に伴うスケジュール上のリスクと、T-38の運用延長に伴う重大な運用上のリスクのバランスを慎重に取っている。目標は、戦闘員に可能な限り迅速かつ安全に能力を提供することであり、当プログラムは新型機の安全性に自信を持っている」と、空軍教育訓練司令部(AETC)の計画・プログラム・要件・国際担当局長マシュー・リアード准将は本誌に語った。

詳細な質問リストに対し、ボーイングは本誌に対し、「この能力を戦闘員にできるだけ迅速に提供できるよう取り組んでいるが、安全性や品質を犠牲にすることはない。安全性はボーイングおよびT-7Aプログラムで最優先事項である」と述べた。

「契約締結後、ボーイングT-7Aレッドホークプログラムは、350回以上の試験飛行を通じて344時間以上の飛行試験時間を安全に積み重ねてきた」と同社は付け加えた。「米空軍との協力を継続する中で、T-7プログラムの積極的な管理アプローチにより、少量初期生産に先立ち、量産対応済みの構成を空軍に提供することが可能となり、将来のリスクをさらに低減し、この重要な能力の提供に向けた道を加速させることができます。」

「迅速な推進」

空軍は、次世代航空機の操縦に備えるためのより近代的な機能や、特に女性パイロットを含め、より幅広い体格に対応できる射出装置など、多くの理由からT-7の導入を迅速に進める必要があるとしている。しかし、これまでのところ、このプログラムは遅延に悩まされてきた。

ボーイング社は2018年に92億ドルのT-7契約を獲得したが、様々な課題により、この練習機のスケジュールは2年以上遅れをとっている。正式な生産は5月に承認され、現在の計画では、空軍が2027年秋に、パイロット訓練用の14機からなる初期作戦能力(IOC)を宣言することになっている。

空軍の教官たちは今年、量産機と同等の機体を用いたいわゆる「タイプ1訓練」を開始する予定だが、最初の新任パイロットが同機で飛行を開始するのは2028年春以降と見込まれている

その間、空軍はT-38の運用を継続せざるを得ない。リアード氏によれば、T-38の旧式な機体構造はすでにパイロット養成のパイプラインを逼迫させているという。(5月12日に発生したT-38の墜落事故の原因は現在も調査中だが、空軍は1週間、全機を飛行停止せざるを得なかった。)

しかし、新米パイロットがT-7の飛行を開始したとしても、まだ実施すべき試験は残っている。「レッドホーク」は飛行性能の全範囲が解明されてない――つまり、空軍は同機の運用範囲全体を完全に評価しきれていない。現在の計画では、同機は安全に飛行できるよう設計されているが、パイロットが遵守するべき制限が設けられることになる。

兵器システムの開発段階と生産段階が重なる「高い並行性」を伴う状態で、航空機やその他の兵器システムを配備することは珍しいことではない。情報筋によると、T-7の場合、経験豊富なパイロットの直感や経験を持たない、訓練の比較的初期段階にあるパイロットが操縦することが異なるという。後部座席に教官が同乗するとはいえ、空の上では事態が瞬く間に展開する。

このプログラムに精通した情報筋は、空軍が「飛行性能範囲が完全に確立されていない状態で、新米パイロットに過密な任務を課している」と述べた。「怖い」

T-7プログラムに詳しい政府関係者は本誌に対し、当局は安全に配慮していると考えていると述べたが、これまでの遅延のため、残りの開発を迅速に進める必要があり、予期せぬ結果を招く可能性があると指摘した。

「未知の要素があるが彼らは急いでいる」と、この記事のために匿名を条件に話したその人物は語った。「急げば、物事は台無しになるものだ。」

2028年のスケジュールについて、同氏は「すべての条件が完璧に揃えば、2028年は現実的な目標だ」と述べた。「そうなるよう願っているが、そうはならないかもしれない。ギリギリまで迫るだろうが、その期限には間に合わないだろう」

リアードは、同機が運用開始宣言される時点では安全であることを強調した。同機の就役スケジュールに関する「リスクについて言えば」、「さらなる遅延による運用上のリスクを軽減するため、並行開発に伴うプログラム上のリスクをより多く受け入れる方向にシフトしたと言える」。

空軍の訓練担当プログラム執行官ロドニー・スティーブンスは以前、本誌に対し、新米パイロットがT-7の操縦を開始する際、当初は「飛行科学の観点から、T-38と同等か、あるいはわずかに優れている」基準が求められると語っていた。その後、レッドホークはさらなる開発を通じて改良されていくことになる。

リアードによると、およそ1年前、「我々はアプローチを転換し、『T-38にはない機能のためT-7の導入を遅らせるのはやめよう。試験を継続しつつ、現時点でT-38と同等の機体を採用しよう』と決めた。そうすれば、試験が完了した時点で、初期の指導要員を育成済みとなり、プログラムの初期運用試験・評価(IOT&E)段階に備えることができる」という。

「納税者の一人として、私はこれを非常に肯定的に受け止めている」と政府関係者は述べ、T-38と同等の性能しか持たない航空機を受け入れる決定について、「契約を交付するため議会に売り込まれた次世代練習機にはならない」と指摘した。

「リスク・バーンダウン計画」

空軍は、「耐空性」基準を用いて航空機の飛行安全性を評価しており、これには3段階のリスクで測定されるマトリックスが含まれている。T-7は、2番目に高いレベルである「深刻」なリスクと定義された状態で飛行しなければならない。また、レッドホークの場合、当局は問題の原因となっている根本的な問題を回避するための制限を適用することができない。

その理由は、2025年8月のプレゼンテーション資料によると、航空機の「重要安全項目」、すなわち「その故障により人命の喪失、永続的な障害または重傷、システムの喪失、あるいは重大な機器損傷を引き起こす可能性のある部品、アセンブリ、または支援装備」に関する重要なデータがボーイングにないためである。

具体的には、同プレゼンテーション資料では、ボーイングがサプライヤー契約に、これらの重要安全項目に関する「重要特性」と呼ばれるデータを盛り込むことを確実にしていなかったと主張している。平たく言えば、このデータの欠如により、当局は重要な安全項目が仕様を満たしているかどうか、またなぜ故障する可能性があるのか、あるいはいつ点検が必要になるのかなどを確実に把握できない。そして、これらの項目のいずれかが誤作動したり破損したりした場合、定義上、航空機、さらにはパイロットの命さえも危険にさらされる可能性がある。

このプレゼンテーションでは、現在から2031年までに生産が予定されている82機のT-7が影響を受けると予測されている。

スティーブンスは、重要な安全部品のデータ不足に伴う耐空性リスクを認めたものの、同様の問題は兵器システム全体においては「珍しくない」ものであり、空軍によって「日常的に」管理されていると説明した。とはいえ、同氏は、今回のケースでは、欠落しているデータの代わりに「運用上の制限」を適用することはできないと述べた。

「影響を受ける部品を供給する各メーカーを個別に評価し、部品が[重要安全部品]の基準レベルに従って製造されていることを確認しなければならない」とスティーブンスは述べた。「そうしなければ、その航空機にはリスクが引き継がれることになる。その管理については、AETCと緊密に連携して取り組んでいく。」

「情報が得られ、CSIリストに掲載されている部品に関する不確実性を解消し始めれば、耐空性リスクを低減できるかどうかを再評価する」と同氏は述べた。

さらに同氏は、重要安全項目に関するボーイング社との協力について、「これはT-7プログラムのより広範なリスク低減計画の一環であり、実戦配備後の最初の数年間でシステムの安全リスクを低減することを目的としている」と述べた。

ティール・グループのアナリスト、JJ・ガートラーは本誌に対し、深刻な耐空性リスクは「前例がないわけではない」と述べたものの、各軍は根本的な問題について十分な情報を有しているので、「特定の安全領域に悪影響が及ばないよう」運用制限を課すことができると指摘した。

T-7の重要な安全項目に関しては、データが不足しているため、空軍は同様の制限を課すことができない。「これが民間企業の世界ならば、損害賠償を専門とする弁護士たちが列をなし、刃を研いでいるだろう」とガートラーは述べた。

しかし、リアードは、重要な安全項目データの欠如によって引き起こされる耐空性問題は、データから懸念の理由が示されている他の飛行リスクとは異なると述べた。例えば、同機の射出装置は以前の試験で問題が見られたが、当局者は設計の微調整で懸念が解消されたと考えている。リアードは、これらの問題と、同機の重要安全項目に関するデータ不足とを対比させた。重要安全項目には、海軍のF/A-18ホーネットに搭載されているGEエアロスペース製F404エンジンなど、に信頼性が実証済みのシステムも含まれている。

「エンジンに関連する重要安全項目の問題について、我々の見解はこうだ。これは実績のあるエンジンであり、新しいエンジンではない」と彼は述べた。「こうしたCSI部品の多くについて、我々がリスクを負っているのは、既知の情報に基づいてリスクが高いと判断されているからではありません。一部部品に関するデータが不足しているからです。これは重要な違いだと考えています……運用リスクの観点から言えば、我々はこれを、以前脱出システムに関連して負っていたリスクとは大きく異なるものと捉えています。」

この「深刻な」耐空性リスクとは技術的には事故発生の可能性が高まることを意味する。しかし、本誌の取材に応じた情報筋2名は、データ不足に起因して問題が発生した場合、その結末として、航空機の運航停止が必要になる等影響が生じる可能性が高いと指摘した。

スティーブンスは、空軍が機体の運航停止の必要性を「想定していない」と述べた一方で、「当然ながら、将来は予測することはできない。最終的には、機体の運航停止の決定はAETC司令官が行うことになるだろう」と認めた。

空軍がボーイングがサプライヤーに「伝達しなかった」と主張する要件の中には、構成状況管理に関するものも含まれている。2025年8月のプレゼンテーション資料によると、これは「航空機の構成およびその経時的な変化に関する詳細な監査証跡を提供する」ものである。

同文書によると、構成状況管理の問題による「現在生じている影響」は、航空機の構成が不明確になることから、部品発注の誤りや非効率的な整備に至るまで多岐にわたる。プレゼンテーションによれば、長期的には、この問題が「維持費の暴走」、「耐空性の低下」、「大規模な運用混乱」といった一連の課題を引き起こすという。

スティーブンスは、重要な安全項目と同様に、構成状況管理の確立が、昨年開始されたボーイングとの新たな能動的管理戦略の重点課題であると述べた。同戦略は、「長期的な維持、運用可能性、および耐空性を確保するための適切なプロセスを整備することで、リスクを軽減するよう特別に設計された」ものである。

航空機の引き渡しに伴いデータを収集し、空軍のデータベースに入力する必要がある。「これにより、現在配備されている戦闘員向けの安定した、かつ支援可能な機体群が確保され、最初の数ロットの航空機引き渡しを通じてその信頼性が継続的に向上していくことになる」と同氏は述べた。

飛行試験の「阻害要因」

データの問題に加え、T-7プログラムにおけるボーイングのパフォーマンス上の課題も公に報告されており、これまでのプログラムの遅延や開発上の課題により、同社は32億ドルの損失を被っている。本誌の取材に応じた情報筋は、これらの問題が多岐にわたると詳述した。

政府関係者は、主要な問題の一つとして、複雑な現代の航空機のサプライチェーンを構成する広範なサプライヤー網や数千もの部品に関する情報が不十分であるため、ボーイングが「自社が何を製造したのか把握できていない」ことを挙げた。同情報筋によると、レッドホークに関するこの知識の欠如が、開発時の比較的軽微なトラブルをより重大な後退へ発展させてしまったという。

「新たな問題が『発見』された際、どう対処すべきかを把握するのに、同社では膨大な時間がかかっている」と同関係者は語った。

人員配置も懸念事項となっている。同社は、いわゆる「運用前支援(POS)」を主導し、プログラムの現段階において物流および技術リソースを提供している。本誌が入手した2026年3月のボーイングと空軍間のプレゼンテーション資料には、「POSの人員数は改善されたものの、文書化が未熟・不完全である」ことに加え、「経験レベルや細部への配慮が課題となっている」と記されている。

同プレゼンテーションで説明されたその他の主要な「飛行試験の阻害要因」としては、試験ポイントの不足(これ自体は、人員制限によって悪化した分析の滞りが原因である)や、部品不足が挙げられている。部品不足により、一部の機体から部品を取り外し他の機体の飛行を維持しなければならない状況が生じている。

デジタル設計などのツールも計画通りに完全に機能しておらず、2025年の政府監査院(GAO)レビューでは、ボーイングが必要なデータを提供していなかった。

「空軍にはT-7に関するデジタルシステムが何一つない」と、プログラムに精通した情報筋は述べた。「彼らはデータを管理できていない。…現在のプロセスに対する改善点ですらない。T-7は旧態依然とした調達案件だ。」

もっとも、この人物は責任は双方にあると指摘している。「空軍は依然としてデジタル関連の課題に苦戦していると思う。責任はボーイングと空軍の両方に少しある」と語った。(スティーブンスは、デジタルツールが設計作業を加速させ、予測価値をもたらしたほか、生産を迅速化する「実物大決定組立(full-size determinant assembly)」と呼ばれる近代的な製造手法を促進したと述べた。)

その他の課題はもっとありふれたものだ。例えば、現在この機体は雨天時に飛行できない。外部アクセスパネルの密閉が不十分で、水が浸入し機体のサブシステムを損傷する恐れがあるためだ。この根本的な問題により、空軍は気候試験中に機体にテープを貼らざるを得なかったと、情報筋2名が本誌に語った。

「呆気にとられた」と政府関係者は語った。「『一体ここで何をしているんだ?』と思ったよ」

この設計問題にもかかわらず、空軍当局者は、同機を受け入れ、気象上の制限付きで飛行させる決定を擁護している。雨を避けることは、「訓練を開始するために、短期的には受け入れられる運用上の制限だ」とリアードは述べた。同氏は、今夏に評価される見込みの修正策を待つことは、プログラムのスケジュールを遅らせ、タイプ1訓練のパイロット認定を遅らせることになるだろうと説明した。

「 今降っている雨の中でも隔日に飛行させるために、2~4名のパイロットの認定を犠牲にするべきか? いいえ、これは正しい決断だったと思う」と彼は語った。

機体そのものとは別に、同機の地上訓練システム(GBTS)も独自の課題を抱えている。このシミュレーターは、新人パイロットが実際のコックピットに入る前に機体の感覚をつかみ、操縦方法を学ぶのを助け、また飛行の合間に技能を維持するのにも役立つ。

本誌が検証した2025年11月付の空軍運用試験評価センター(AETC)報告書によると、GBTSは主要な評価基準で合格率が30%未満にもかかわらず、実際には配備されていた。「こうした低い合格率にもかかわらず」、当局者は「APT(上級パイロット訓練)システムをできるだけ早く導入するというAETC(空軍教育訓練司令部)の強い要望を受け、納入を決定した」と報告書は述べている。

本誌が入手した、2026年3月付けの別の空軍プレゼンテーション資料では、GBTSの性能評価を「中程度の信頼性/中程度のリスク」としている。情報筋は、シミュレーターの準備が整っていなければ、その後の訓練が遅れる可能性があると指摘していた。

しかし、リアード氏は地上システムの性能を擁護し、それがスケジュール上のリスクになることを懸念していなかった。

「GBTSは初期幹部候補生の訓練に不可欠であり、現在、素晴らしい訓練を提供しているだけでなく、今後もさらに改善され続けると確信している」と彼は述べた。■

本記事は、T-7レッドホークを取り上げる3回シリーズの第1回。


2026年5月8日金曜日

米空軍向けT-7Aレッドホークが低率初期生産へ

 

米空軍初のT-7Aレッドホークの初飛行(2023年)。(ボーイング)

米空軍がT-7Aレッドホークの低率生産開始を承認

Defense News 

マイケル・スキャンロン

2026年5月5日 午前8時42分

空軍は、ボーイングT-7A レッドホーク先進練習機の限定初期生産を承認し、同軍が60年間使用してきたT-38タロンの後継機導入に向けた準備が一歩進んだ。

4月23日の決定により、最初の14機に加え、予備部品、支援装備、訓練を含む2億1900万ドルの契約が承認されたと、空軍は月曜日に発表した。同軍は2027年の初期作戦能力(IOC)達成を目指している。

この承認は、同機が防衛調達プロセスにおける「マイルストーンC」(開発から製造への移行)をクリアしたことを意味する。

「マイルストーンCの達成は、複雑な技術的課題を克服するため懸命に尽力してきた政府および産業界の献身的なチームへの証である」と、空軍調達・技術・兵站担当次官代理を務めるウィリアム・ベイリーは声明で述べた。「T-7Aは、我々の戦闘航空部隊の未来にとって極めて重要なプログラムである。」

空軍教育訓練司令部(AETC)にとって、その緊急性は世代をまたがった課題だ。

「我々の使命は次世代の戦闘機パイロットを育成することであり、T-7Aレッドホークはその実現に必要なツールだ」と、AETCの計画・プログラム・要件・国際担当部長であるマシュー・リアード准将は述べた。「60年以上も使用中のT-38の更新は最優先事項だ。T-7Aの先進的なシステムは、訓練生にはるかに現実的な訓練環境を提供し、彼らが将来のコックピットに備えられるようにするだろう。」

ボーイングにとって、この生産承認は、長年にわたるスケジュール遅延や、射出座席の不具合、飛行制御ソフトウェアの問題、サプライチェーンの問題に悩まされてきた固定価格開発契約を経て下されたものだ。Flight Globalは昨年、このプログラムにおけるボーイングの損失額が18億ドルを超えたと報じた。

「ボーイングは、T-7Aレッドホークの歩みにおけるこの歴史的な節目の達成で、米空軍をパートナーとして協力できることを光栄に思います」と、ボーイングT-7プログラム担当副社長兼プログラムマネージャーのアンディ・アダムズは声明で述べた。「先駆的なデジタル設計・製造・試験を経た高度訓練機を、空軍の教官や学生の手に届けることが引き続き我々の焦点であり、マイルストーンCの達成により、今年中に小規模初期生産を開始する態勢が整いました。」

ただし、生産は承認したものの、空軍は慎重姿勢で進めている。最初の3つの小規模生産ロットは個別に承認される予定で、これにより当局は、その後のロットにコミットする前に、進行中の試験から得られた教訓を反映させることができる。

プログラム全体では、AETC(空軍教育訓練司令部)基地5箇所に351機のT-7A機と46基の地上訓練シミュレーターが配備される。ボーイングは2018年9月、後部胴体を製造するスウェーデンのサーブと提携し、当初の92億ドルの契約を獲得した。

第二次世界大戦中にタスキーギ・エアメンが操縦した尾部を赤く塗った戦闘機にちなんで名付けられた同機は、2025年12月5日にサンアントニオ・ランドルフ合同基地に初めて到着した。同機は、初代タスキーギ部隊に直接その系譜を遡る第99飛行訓練中隊に配備されている。

Air Force clears T-7A Red Hawk for low-rate production

By Michael Scanlon

 May 5, 2026, 08:42 AM

https://www.defensenews.com/news/your-air-force/2026/05/04/air-force-clears-t-7a-red-hawk-for-low-rate-production/


2026年2月19日木曜日

ボーイングのT-7Aレッドホークの苦境

 

20億ドルのトラブル:ボーイングのT-7A レッドホークが批判にさらされている理由

A T-7 Trainer Jet

 USAF

Simple Flying

アレクサンダー・ミッチェル

公開 2026年2月15日 午後4時40分(米国東部標準時間

https://simpleflying.com/2-billion-headache-boeing-red-hawk-under-fire/

アレクサンダー(アレックス)ミッチェルは、金融および戦略コンサルティングのバックグラウンドを持ち、Simple Flying に参加しました。世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツで航空会社および航空宇宙分野を担当し、ボストン・コンサルティング・グループではサマーアソシエイトとして主要業界クライアントにサービスを提供しました。航空業界に生涯にわたる情熱を持つアレックスは、業界内で高い評価を維持しており、ニューヨーク・タイムズ、ロイター、フォーブス、ニューズウィーク、USA TODAY、CNN などの主要出版物が、彼の仕事を定期的に引用しています。Simple Flying の商業チームの寄稿編集者であるアレックスの経歴には、KPMG コンサルティングおよび Lucern Capital Partners での経験も含まれています。

ボーイング T-7A レッドホークは、デジタル設計の機体と第 5 世代機の戦いのために構築された訓練エコシステムにより、米空軍のパイロット訓練を近代化するはずだった。ところが同機は製造元にとって大きな頭痛の種となり、スケジュール遅延、技術的修正、高まる監視圧力により、アナリストの予測を上回るコスト増が進行中だ。量産化には予想を大幅に超える時間を要している。

この緊張は、空軍が回避できない重大な課題——1960年代製T-38練習機の更新——によってさらに深刻化している。しかし請負業者ボーイングは固定価格開発契約のもと損失を受け入れざるを得ない。昨年12月にサンアントニオ・ランドルフ統合基地で初号機が配備されたが、納入時期・運用準備・責任所在をめぐる疑問の声はますます高まっている。

なぜボーイングにとって頭痛の種になったのか?

T-7 Red Hawkクレジット:ボーイング

この20億ドル規模の頭痛の種は、そもそもプログラムのインセンティブに端を発する。空軍は約92億ドルの固定価格契約でT-7A開発契約を交付したが、ボーイングは設計変更や初期生産コストがアナリストの予想を大幅に上回り、損失20億ドル超を計上している。スケジュールに問題がなければこの超過分は論争にならなかっただろうが、技術的発覚により開発試験が長期化した。

射出座席の再設計作業や、ソフトウェアと訓練システムの統合における遅延が含まれる。現在空軍は、量産開始を許可するマイルストーンC決定に先立ち、コスト構造と維持整備態勢の見直しを進めている。その一方でパイロットプログラムの航空機生産ペースが低下しないよう注力していると、Defense Blogは報じている。これによりボーイングは、安定した製造体制、信頼性のあるロジスティクス、政府整備廠が請負業者への永続的な依存なしに航空機を維持できるデータパッケージの確保を迫られている。

T-7レッドホークとは何か?

T-7 United States Air Forceクレジット:ボーイング

T-7Aレッドホークは、60年以上の運用実績を持つT-38の後継機として、現代の戦闘機や爆撃機の認知的負荷をより忠実に再現する米国空軍の次世代高度練習機となる。業界アナリストは本機を「専用設計のソフトウェア駆動型オープンプラットフォーム」と評し、1960年代のハードウェアに固定されることなく、時間かけて更新可能だと指摘している。

フライ・バイ・ワイヤ設計により、教官は様々な任務種別に応じ性能を調整できる。若手パイロットには厳格な制限下での訓練を実施しつつ、生徒の進捗に応じて訓練範囲を拡大可能だ。同様に重要なのは、地上訓練システム、シミュレーターと実機飛行を連携させる実戦・仮想・構築シナリオ、初日からセンサーや各種情報入力の管理法を教えるコックピットを含む広範な訓練システムの一部として運用される点だ。

本機は第二次世界大戦で活躍した伝説的なアフリカ系アメリカ人パイロット集団「タスキーギ・エアメン」に因み命名された。本機は主に、基礎訓練と第5世代戦闘の間のギャップを埋める。最初のT-7Aは12月にサンアントニオ・ランドルフ統合基地に到着し、第99飛行訓練中隊に配備される予定である。

ボーイングはこのプログラムで次に何をすべきか?

A Boeing T-7 Red hawk In The Skyクレジット:ボーイング

ボーイングの当面の課題は、マイルストーンCの転換を順調に進め、T-7Aが疑いなく量産段階に移行できることを証明することにある。これは、スケジュール変更の原因となってきた残る技術的課題を解決すること(特に射出座席の再設計作業)と、ソフトウェア、シミュレーター、統合訓練環境が運用訓練任務を支えるのに十分な安定性を有することを実証することを意味する。

並行してボーイングは、プログラムの成熟度を示す段階に入った。これには、再現可能な製造品質、予測可能なサプライヤー供給体制、そして初期の20億ドルの損失を会社が吸収した後の信頼できる単価パフォーマンスが含まれる。空軍は自前の整備能力を求めているため、ボーイングは政府整備担当者が長期的に同機を維持管理できるよう、技術データ、工具、サポートコンセプトを提供する必要がある。

最後に、ボーイングからのメッセージ発信が重要となる。透明性ある進捗状況、現実的なスケジュール、プログラムパートナーとの緊密な連携は、最初の航空機がランドルフ基地で新たな訓練パイプラインの構築を開始する中で、引き続き不可欠である。飛行試験は継続中であり、空軍がコスト管理を精査する中で維持計画が進化し、その後量産が再開される見込みだ。■


The $2 Billion Headache: Why Boeing’s T-7A Red Hawk Is Under Fire

By 

Alexander Mitchell

Published Feb 15, 2026, 4:40 PM EST

https://simpleflying.com/2-billion-headache-boeing-red-hawk-under-fire/



2025年12月10日水曜日

初のT-7レッドホークがサンアントニオ・ランドルフ統合基地に到着(The Aviationist)

米空軍ではパイロット養成課程を大幅に変えようとしているようです。いわゆる諸島練習機が今後はなくなりそうです

公開日: 2025年12月6日 午後10時34分

ステファノ・ドゥルソ

2025年12月5日、テキサス州サンアントニオ・ランドルフ統合基地にT-7Aレッドホークが初着陸した。(米空軍写真:ベンジャミン・ファスケ)

空軍教育訓練司令部は、サンアントニオ・ランドルフ統合基地で初のT-7レッドホーク訓練機を受領し、T-38タロンの後継機導入において重要な節目となった。

初のT-7Aレッドホーク訓練機が、2025年12月5日、テキサス州サンアントニオ・ランドルフ統合基地に納入された。同機は米空軍航空教育訓練司令部隷下の第12飛行訓練航空団に初めて配備される。

「本機の納入は、プログラムにおける進捗を初めて物理的に示すものだ」と、AETC計画・プログラム・要求・国際問題部長のマシュー・リアード准将は納入に先立ち述べた。

レッドホークの納入

今回の納入は、空軍のパイロット訓練の近代化と老朽化したT-38タロンの代替において画期的な出来事である。ランドルフ基地への納入は、開発飛行試験のためカリフォルニア州エドワーズ空軍基地に最初のT-7が到着し2年後の出来事である。

最初の納入基地としてランドルフが選ばれたのは偶然ではない。T-7はタスキーギ・エアメンに敬意を表してレッドホークと命名されており、ランドルフの第99飛行訓練飛行隊「レッドテイルズ」に配備される。

第99飛行訓練中隊のマイケル・トロット中佐は「T-7訓練システムの先進能力を活用し、障壁を打ち破り常識に挑戦する伝統を継承する」と述べた。「第99飛行隊はパイロット養成の在り方を再定義し、次世代の戦闘要員を育成するパイロット訓練の未来を形作る」。

空軍は、T-7で上級訓練を変革する一方で、T-6テキサンIIが初級パイロット訓練において重要な役割を担い続けると指摘した。しかし、プレスリリースでは「AETC(航空教育訓練司令部)はT-7Aプログラムを拡大し、最終的にテキサンを置き換える計画がある」とも述べられている。

アラモ上空のレッドホーク!

初のT-7A#レッドホーク高度訓練機がテキサス州@JBSA_Officialに到着。@USAirForceの将来の戦闘機・爆撃機パイロット訓練を開始する。この新型高度訓練機は@AETCommandに安全で最先端の能力をもたらす。pic.twitter.com/PgwlburK81

— ボーイング・ディフェンス (@BoeingDefense) 2025年12月5日

これは米空軍がイタリア空軍と共同でイタリア・デチモマンヌ空軍基地で実施している初等飛行訓練プログラムSmall Group Tryoutへの言及だ。この取り組みでは近代化されたシラバスと効率化された訓練スケジュールを試験的に導入し、パイロット認定期間を1年未満に短縮することを目指している。

訓練生はまず米国内で民間飛行学校主導の初期パイロット訓練(IPT)を受講した。イタリアではT-346Aマスタージェット訓練機を用いた133日間の基本ジェット訓練コースを受講し、米空軍パイロットの翼章を取得する。

AETC能力要求部長のコーリー・ホーグ大佐は、この取り組みにより、ターボプロップ機T-6テキサンIIでの第一段階訓練とT-38またはT-7訓練を経ず、IPT修了生を直接T-7高速ジェット訓練へ移行させる実現可能性を検証できると述べた。

訓練の進化

プレスリリースは、老朽化したT-38C タロンでの訓練方法と比べ、T-7Aが航空士官候補生の訓練方法に根本的な転換をもたらすと強調した。

「生徒は初日から、単に飛行を学ぶだけでなく、情報管理、高度なセンサーからのデータ解釈、複雑な環境下での重要な意思決定を、全て訓練機内で学ぶことになる」と、第19空軍司令官グレゴリー・クルーダー少将は述べた。「この機体は、基礎的なパイロット訓練と第五世代超の戦争の現実との間のギャップを埋めることを可能にし、最初からより有能で直感的な戦闘員を育成する」。

F-35 ライトニング II や F-15EX イーグル II などの最新の戦闘機は、パイロットに求める考え方が異なるため、訓練にも別のアプローチが必要だ。クルーダー少将が述べたように、パイロットは航空機を操縦して単純な任務を遂行するだけでなく、大量のデータを管理・解釈し、任務の目標を達成するために重要な判断を下さなければならない。

2025年12月5日、テキサス州サンアントニオ・ランドルフ合同基地の航空教育訓練司令部にT-7Aレッドホークが歴史的な到着を果たした後、第99飛行訓練飛行隊の作戦部長であるフィリップ・バーキン中佐とボーイング社のテストパイロットであるスティーブ・シュミットが、T-7Aから降りる準備をしている。(米空軍、エイミー・ヤンガー技術軍曹撮影)

「T-7は、従来の練習機では不可能だった、複雑で多領域にわたるシナリオで運用される」と、クルーダー少将は述べた。「したがって、課題は、その新しい能力を活用できるよう訓練シラバスを適応させることだ。新しいジェット機を古いモデルに当てはめることは避けなければならない。そのため、データ駆動で個別化された学習パスに焦点を当て、新しいカリキュラムをゼロから積極的に開発している」。

これはT-38Cでの訓練とは根本的に異なる。同機は報道発表で「従来型の直感的な操縦」と表現された。「T-38は卓越した『操縦桿とラダー』の操縦士を育成し、数十年にわたり貢献した。しかし現在の機体や近未来に導入予定の機体に対応させる訓練には不向きだ」とクルーダー少将は述べた。

プレスリリースでは特に、F-35AライトニングIIの正式訓練部隊(FTU)であるルーク空軍基地について、リアード准将が「卒業生を高度なデジタルコックピットで運用できるよう再訓練する必要が頻繁にある」と指摘した点が注目される。クルーダー少将はさらに、パイロットは認知の基礎を構築する必要があり、T-7は「迅速な意思決定、技術への認知的オフロード、プレッシャー下での複雑なシステムの管理」などのスキルを習得するのに役立つと述べた。

カリフォーニア州エドワーズ空軍基地上空を飛行する 2 機の T-7 レッドホーク試作機。(画像提供:クリスチャン・ターナー/米空軍)

「優れた飛行士であるだけでなく、データ豊富な環境において重要なノードとしてマルチタスクを快適にこなせる戦術的問題解決者を育成する。そのためには、学生がセンサーフュージョンを管理し、大量の情報を処理し、データに基づいた迅速な意思決定を行えるよう準備させる」と彼は述べた。「これは、将来の戦闘で中心となるスキルだ」。

目標は、UPT のパイロットが T-7 で「大量の情報を吸収する」という一貫した習慣を身につけ、現代の戦闘機に直接応用できるようにすることだ。

T-7 の統合

12 月 5 日に納入された同機は、第 99 FTS に配備される 14 機のうちの 1 機目だ。この部隊は、タイプ 1 整備訓練および初期パイロット訓練も実施する。

「最初の飛行は、初期幹部候補生の資格取得のために行われる。その後、機は初期運用試験および評価(IOT&E)段階に入り、我々が使用したいミッション設定において、意図どおりの性能を発揮できるか確認する」と、トロット中佐はAir and Space Forces Magazineの取材に対して述べた。

トロット中佐はレッドホークでの最初の訓練生について「2027年秋にパイロット教官養成課程の学生をT-7教官として送り出すよう要請される見込みだ」と述べた。プレスリリースでは、初期作戦能力の達成時期は依然として2027年8月の予定と記されている。

現行の計画では、T-7A 351機、シミュレーター46基及び関連地上訓練システムが含まれる。空軍は年間40~60機の調達を見込み、2033年までに段階的に増産し、最終調達を2035~36年頃に行うとしている。

T-38 は、十分な数の T-7A が導入されるまで引き続き使用されるが、空軍は具体的なスケジュールを明らかにしていない。しかし、空軍は「このプログラムは、最終的には T-6 テキサンの代替も対象とする」と改めて述べている。

ランドルフ基地以外では、2027年度にミシシッピ州コロンバス空軍基地、2032年度にテキサス州ラフリン空軍基地、2034年度にオクラホマ州ヴァンス空軍基地、2035年度にテキサス州シェパード空軍基地へのT-7の納入が予定されている。■

ステファノ・ドゥルソ

ステファノ・ドゥルソは、イタリアのレッチェを拠点とするフリーランスジャーナリストであり、TheAviationist の寄稿者だ。産業工学の学位を取得しており、航空宇宙工学の修士号取得に向けて勉強中だ。軍事作戦や現在の紛争の世界に適用される電子戦、徘徊型兵器、OSINT 技術などが彼の専門分野だ。


First T-7 Red Hawk Delivered to JB San Antonio – Randolph

Published on: December 6, 2025 at 10:34 PM

 Stefano D'Urso

https://theaviationist.com/2025/12/06/first-t-7-red-hawk-delivered-jb-san-antonio-randolph/