ラベル 重武装機構想 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 重武装機構想 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年3月20日金曜日

C-17をミサイル運用機に転用する柔軟な思考はどこから生まれるのか

限られた資源の中でどうしたら戦力を最大化できるか、を考えると過去の延長線上に答えはなく、全く新しい発想が必要ですね。今回の事例は目的(兵装搭載量の少ないステルス戦闘機を補う兵力を最前線に実現する)から考えた結果で、この発想は「ブレイクスルー思考」につながります。ご関心の向きは日本企画計画学会のウェブサイトhttp://www.bttnet.com/jps/index.htm
をご参照ください。
国は将来戦への対応を模索している。そのひとつが輸送機に攻撃能力を付与する構想だ。
米空軍は「戦闘用途機材」の定義を見直し、弾薬多数を投入する方法を検討中だ。その中で輸送機を転用する案が浮上している。
空軍が「実験を企画中で上層部が重武装機構想の進捗で説明を受けた」とAir Force Magazineが2019年11月に伝えていた。
同構想は2016年に初めて検討された。「複数エンジン」搭載の重武装機は大量の「ネットワーク対応可能で半自律型兵器」を搭載し、他装備が把握した標的に発進させると空軍は構想を映像で発表していた。
ペンタゴンの戦略戦力整備室が重武装機構想を打ち出した。構想では「最古参機材をあらゆる種類の通常兵装の空中発射台に変える」とあった。アッシュ・カーター国防長官(当時)は「重武装機は大型空中弾倉の役目となり、第5世代機向けの前方センサーであり標的捕捉手段にもなる」と2016年に述べていた。
対象機にB-52を転用するとの見方が強かった。1960年代製のB-52は「旧式」かつ「エンジン複数」を搭載機材にあてはまるためだ。
重武装機構想の前に空軍はハイエンド戦を想定しB-52に長距離兵器の発射機能を想定したことがある。重武装機構想はB-52の運用概念の延長線上で同機のセンサー、通信機能、ハードポイント、兵装庫だけ手直しすればよい。
ただ記事では輸送機の改装でこの役目がこなせると指摘していた。だがC-17だと大幅改装をしないと兵装発射ができない。またC-17は電子対抗措置も脆弱だ。
「C-17は大規模作戦の開始時に高い需要となる」とマイク・ガンジンガー(ミッチェル航空宇宙研究所アナリスト)は述べる。「そのような機材を部隊展開用でなく攻撃に投入するのでは理屈に合わない」
だが空軍が重武装機取得に向かうことは理屈にあう。F-22やF-35が機内搭載できる兵装は少量だからだ。
F-22の標準装備は空対空ミサイル4本と1,000ポンド爆弾二発だ。F-35では空対空ミサイルはわずか2本で2,000ポンド爆弾二発を機内に搭載する。これに対し、ロシアや中国の戦闘機はステルスを気にしなければミサイル、爆弾を10発以上搭載できる。
米戦闘機部隊は敵勢力より少ない兵装で戦闘に臨むことになる。そこで重武装機が前線後方からミサイル多数を発射できれば、兵装量の不足を補う効果が生まれる。
重武装機構想発表の直後に米空軍の戦闘形式に詳しいブライアン・ラスリーは「奇抜だが全く新しい構想だ」とThe Daily Beastに述べた。「だが戦闘機が不足気味でしかも搭載兵装量が少ないところに敵が戦闘力を高めている中、ペンタゴンはなりふりかまわず新構想を試さざるを得ないと考えているのだろう。鈍足で非ステルスの大型爆撃機で高速ステルス戦闘機を支援するということか」
結局、爆撃機でなくてもよいのだ。■

この記事は以下を再構成しています。

Missile Plane: How the C-17 Cargo Plane Could Be Modified to Carry Deadly Weapons

It would be a powerful weapon.
by David Axe 
March 19, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: C-17Arsenal PlaneMilitaryTechnologyAir Force


2019年11月6日水曜日

米空軍の重武装機構想はまだ消えていない 大量の兵装とネットワークで攻撃部隊の後衛となるのか


 USAF Leaders Considering Arsenal Plane Options

11/4/2019
​—RACHEL S. COHEN

デボラ・リー・ジェイムズ前空軍長官が戦略装備整備室主導の重武装機構想を2016年に発表していた。Air Force illustration.


空軍が「重武装機」構想のテストを計画中だ。構想では複数機材に大量の兵装を搭載し、攻撃部隊の支援が可能か試す。
重武装機は遠隔操縦機や戦闘機を引き連れ戦闘区域に進出し、「ネットワーク化で準自律運用可能な兵器」を運用するというのが2016年に公表された空軍ビデオの内容だった。構想はその後国防総省の戦略装備整備室が温めてきた。
「最古参機体をあらゆる種類の通常型ペイロードの発射台にする」構想と前国防長官アシュ・カーターが2016年に述べていた。「重武装機は超大型の空中弾倉となり、第5世代機を前方配備センサーとして照準ノードにしてネットワークでつなぐ」
上層部はこうした機材を運用した場合の効果を引き続き検討中と空軍広報官カーラ・バウジー大尉が11月3日認めている。原型機としてB-52が有望との声があるが、機動力に優れた輸送機も候補にあがっている。
空軍協会が今年9月に開いた航空宇宙サイバー会議で空軍のグローバル打撃軍団司令官ティモシー・レイ大将から空軍が実験を重ねていくとの発言があった。
空軍の調達を仕切るウィル・ローパーは以前は戦略装備準備室長で、9月末に同構想の説明を受けている。
機動性のある機体が重武装機に適しているのか。戦略国際研究所で航空宇宙安全保障プロジェクトをまとめるトッド・ハリソンによれば搭載する兵装の種類により変わるという。
「空対空兵装なら外部搭載兵器が理想的だ。しかし機動力を重視した機材の多くは外部搭載を想定していないので、相当の改装が必要だろう」「一方で対地攻撃手段を搭載するのなら、後部ランプから展開すればいいので大規模改装は不要となる」.
また、B-52が選択肢としてすぐれているのは機内及び主翼下に大量の兵装を搭載できるからだという。
「重武装機でステルス性や高速飛行性能は不要だがペイロードの大きさが必要だ」
AFAミッチェル航空宇宙研究所で将来の航空宇宙構想や性能評価をまとめるマーク・ガンジンガーも輸送機や民生機材が原型では不十分でB-52あるいはB-1を投入すべきと主張する。
「開戦直後にはC-17の需要は高いはずだ。その機材を攻撃任務に転用し、部隊の戦線投入任務から外すのでは賢明とは言い難い。民生用機材を転用して兵装を大量搭載して、兵器の与圧を解除してから無事に機外に放出できるのか疑問だ」■

コメント これも戦闘機の概念を崩すあたらしい構想の一部なのでしょうか。世界があいかわらず単座で機動性に優れた従来構想の延長の戦闘機を模索する中で米国のみが何でもこなせる大型機を戦闘機材の屋台骨に期待して整備しようとしている気がします。それにしても米空軍公表の想像図はC-130とB-52の合いの子の様な奇怪な姿になっていますね。

2016年7月14日木曜日

★規模縮小中の米空軍が期待するのは火力結集のハイテク新手法

これも第三相殺戦略の一環なのでしょうか。機数でかなわないので米軍は無人機他のハイテクの方向に向かうようです。気になるのは旧型機を無人機に改装し第五世代機から運用するというアイディアですね。日本は無人機開発を怠っていましたので、米国との技術力の差が大きくなっていますが、これからはギャプを埋めてもらいたいものです。一方で中国のハイテクスパイ活動には要注意ですね。


As Air Force Shrinks, Officials Look For New Ways to Amass Firepower

Valerie Insinna, Defense News6:04 a.m. EDT July 10, 2016


Gremlins(Photo: DARPA)
WASHINGTON — 米空軍の現有機材規模が過去最小かつ稼働年数も最長になっており新規機材の調達企画もあるが空軍当局者は今後の世界で空を制圧し自由に目標を攻撃する能力が維持できなくなると深刻な懸念を隠せない

  1. そこで空軍は機数は増やさず威力を増加させる技術として、無人航空機システム(UAS)、既存機改修や高性能兵装に期待する。
  2. 「戦闘の成否を握るのは今も昔もどれだけの火力を一度に一か所に集めることで、空でも地上でも同じ」と前空軍参謀総長マーク・ウォルシュ大将はDefense Newsに退任直前に語っていた。「前提に兵装が必要だし、精度も照準を合わせる能力も必要だ」
  3. 「わが方には機体もセンサーもあり、これは実現できる。それでも戦闘シナリオで大量の火力が確保できないのは軍の規模を縮小してしまったせいだ。そこで戦闘投入できる機数を増やせば、もっと火力を投入できるはず」(ウェルシュ)
  4. この実現策の一つにいわゆる「重武装機」構想があり、ペンタゴンの秘密部署戦略能力開発室Strategic Capabilities Officeが開発中だ。国防長官アシュトン・カーターがその存在を発表し、既存技術を新用途に投入する現実的な解決策だと今年初めに明らかにしている。
  5. 重武装機は旧式機体を利用するが機種名はまだ明らかになっておらず、精密誘導兵器を大量に搭載する。戦闘投入されれば第五世代戦闘機が敵領空に侵入し、目標情報を重武装機に送りスタンドオフ攻撃を可能にする、とSCO室長ウィリアム・ローパーがDefense One主催の技術サミットで説明している。.
  6. ウェルシュ大将は重武装機構想を空軍が採用するかは不明としたが、「何があっても」開発すべきだとし、空軍が火力投入を一層必要としていからだという。
  7. 「今後二十年間の兵力構造が今のままだとしましょう。F-22が187機しかありませんがもっと大規模な航空優勢の確立が必要となれば、戦闘の初期段階で使用可能な兵装を使いきってしまうでしょう」
  8. SCOには「忠実なるウィングマン」構想への強い期待がある。これは第五世代機のパイロットに無人化した第四世代機を制御させるもので、たとえばF-35が無人F-16と同時に飛ぶことになる。
  9. 「まだ独り立ちできる無人戦闘機の実現は無理でしょう。そこで有人機と組ませることにしました」とローバーは語る。「無人機によりパイロットでは無理な機体制御が可能となり、有人機には危険になるペイロードを運べ有人機よりも大きな威力を実現できます」
  10. SCOと国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)はともに革新的な技術の開発を長期にわたり目指しており、無人航空システムUASの大量発進から開始する。SCOは安価かつ使い捨て超小型無人機を戦術攻撃機から放出する構想で機体は回収しないとローパーは語る。
  11. その対極がDARPAのグレムリン事業で回収可能UASに、ペイロードを搭載するとスティーブン・ウォーカー副局長はいう。初期段階の構想開発業務の契約がコンポジットエンジニアリングComposite Engineering、ダイネティクスDynetics、ジェネラルアトミクス、ロッキード・マーティンの各社へ交付されている。
  12. またDARPAは極超音速技術による兵器開発に相当の注力をしており、極超音速空気吸い込み式ミサイルや打ち上げ滑空体を超高速かつ制御可能な攻撃兵器として近い将来に登場すると期待し、同庁は「今日の」技術と呼んでいる。
  13. 「極超音速の実現化にあと一歩のところまで来ており、指向性エネルギーの実用化にも取り組んでいます。将来の米航空戦力の一部になることを期待しています」(ウォーカー)■