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2024年5月27日月曜日

日本が開発中のXLUUV(超大型無人水中装備)に注目、岩国海洋環境試験評価サテライトを一部メディアに公開した防衛装備庁

 


Naval Newsが防衛装備庁に特別に招待され、開発中の大型UUVの見学を許されたとのことで記事が出ましたのでご紹介します。日本はこれまで無人装備の研究で先進諸国より遅れていたのですが、ここに来て研究投資が急ピッチで拡大しているようです。その成果はこれから形になって出てくるでしょう。


Japan UUV

Japan UUV

Japan's new XLUUV. Picture by Yoshihiro Inaba.


日本の新型XLUUV潜水艦ドローンを初公開

日本のATLA(防衛装備庁)は、超大型無人潜水機(XLUUV)をNaval Newsに公開した。この印象的な潜水ドローンは現在、研究開発(R&D)段階にある。


2023年12月、ATLAはほぼ独占的なアクセス(Naval Newsともう1つの日本の防衛関連報道機関のみが招待された)で、XLUUVを見せるために岩国海洋環境試験評価サテライト(IMETS)に我々を迎えた。この施設は山口県にあり、UUVの試験・開発に使用されている。


「長期耐久型UUV」と名付けられた新型UUVは、DSEIジャパン2023で初めて公開されたXLUUVの実験機だ。このUUVは三菱重工業(MHI)によって建造され、ATLAの艦艇装備研究所が開発している。少子高齢化が進む日本では、有人装備の運用がますます難しくなる。特に潜水艦乗組員の育成が難しくなり、艦艇数の維持が困難になる可能性がある。そこで日本は現在、将来の水中防衛力を補完する手段として、UUVの研究開発を加速させている。



Japan UUV

Japan’s new XLUUV. Picture by Yoshihiro Inaba.


日本のUUV


UUVはモジュール式で、制御システムを搭載する「ヘッド部」、動力源を搭載する「エナジー部」、推進システムを搭載する「テール部」で構成される。これが基本構成で、さまざまな機器を搭載できるペイロードモジュールを組み合わせることで、各種ミッションをこなす。


「長期耐久型」の名の通り、このUUVは長期間の自律運用を想定しており、基本構成(全長10メートル)なら3~4ノットで1週間の連続運用を達成している。しかし、これはマイルストーンに過ぎず、ATLAはさらに長期間の連続運用を目指している。UUVはリチウムイオンバッテリーを動力源としているが、ATLAは現在、より長い航続距離を達成するために、液体/固体燃料バッテリー、AIP、ディーゼル電気エンジンの使用を検討している。


Japan UUV

Japan UUV

この水槽では、高性能シミュレータと音響機器によって実際の海洋環境を再現する。UUVをこの水槽に入れ、海流、水温、塩分などの海洋環境や水中音響をシミュレーションし、様々なデータを蓄積することで、制御ロジックの構築や他のセンサーの開発に役立てる。写真は筆者撮影。


さらに、センサー/通信ノードなどの重量ペイロードを搭載する「水中機器設置モジュール」、各種海洋調査機器を搭載する「海洋観測モジュール」、ドローンなどを水面に打ち上げる「水面打上げモジュール」、効果的なMDA(Maritime Domain Awareness)を実施するための「海洋監視モジュール」などのペイロードモジュールも研究されている。


このXLUUVで最も重要な点は自律性である。水中では電波を受信できないため、艦艇や陸上からUUVを制御するのは難しい。そのため、自律運用が不可欠である。まず、UUVは慣性航法システム(INS)とドップラー流速ログ(DVL)を組み合わせて位置を知る。さらに、水中と水上の状況を把握するために、パッシブソナーで船のスクリュー音などを検知し、浮上時の最終チェックにアクティブソナーを使う。


そして、自律運航のために最も重要な制御ロジック、つまり知能の部分については、巨大な試験設備で研究が進められている。山口県には、2021年に建設された「岩国海洋環境試験評価サテライト(IMETS)」という試験施設がある。IMETSには長さ30m、幅35m、深さ11mの巨大水槽があり、高性能のシミュレータや音響機器によって実際の海洋環境が再現される。UUVをこの水槽に入れ、海流、水温、塩分などの海洋環境や水中音響をシミュレートし、さまざまなデータを蓄積することで、制御ロジックの構築や他のセンサーの開発に役立てている。


このUUVはあくまでテストベッドであり、このまま海上自衛隊が運用するわけではない。実は現在、この長期運用型UUVで得られたデータを用いて、「UUV制御技術」の研究が進められている。これは、指揮UUVが別のUUVを制御する技術を開発するもので、ソナーなどを使った目標の自動探知・識別も目指している。2023年度から研究を開始した。


また、この「長期耐久型UUV」では、モジュールやソフトウェアなどの標準化を進め、オープンアーキテクチャを実現している。これは、官民両用技術でUUV技術を強化することを目的としている。つまり、このUUVは日本全体のUUV技術の向上も目指している。■


Our First Look at Japan's New XLUUV Submarine Drone - Naval News

Yoshihiro Inaba  05 May 2024


2020年5月3日日曜日

民生需要後退で国防事業への依存度を高めるボーイング


シアトルで生産中のP-8 ポセイドン哨戒機。 Boeing photo.


ーイング経営陣は業績維持を防衛部門に期待せざるを得なくなっている。民生機事業はCOVID-19の打撃を受けたままだ。

民間航空輸送は前年比95%減となり、同社CEOデイヴ・キャルホーンは各アナリストとの電話会議で第1四半期業績を語っていた。エアライン業界は大幅な業務縮小で機材は地上待機のまま、新規機材発注は先送りされ、機材受領も延期され支払いが遅れたり止まっている。

世界的な経済減速によりボーイングの第1四半期売上は169億ドル、13.5億ドル赤字に転落。前年同期の売上は229億ドルで23.5億ドルの黒字。

「政府向け防衛宇宙事業が今後の業績安定に重要な要素になっています」「政府向け事業は2019年の収益で45パーセントを占めるまでになりました。今年以降の比重が増えるのは明らかです」(キャルホーン)

 以前から737 Max 旅客機の飛行再開が決まらずボーイングの財務環境は厳しく、 737 Max 生産は1月から停止したままだ。

2021会計年度は国防総省事業が同社の防衛部門を後押しし、防衛部門の売上が民生部門を上回る規模に拡大するとキャルホーンは見ている。

直近の業績に貢献が期待される事業に海軍向けMQ-25Aスティングレー無人艦載給油機、海軍向け超大型無人海中機(XLUUV)、空軍向けT-7レッドホーク練習機、同じく空軍向けMH-139グレイウルフヘリコプター(UH-1ヒューイの後継機)がある。

米海軍はMQ-25給油機4機の製造契約をボーイングに2018年に8億ドルで交付した。海軍は同型機を72機配備する。

同年に空軍はT-7レッドホーク練習機製造で92億ドル契約を交付し、グレイウルフヘリコプターでも24億ドルの契約を交付した。各事業でボーイングは他社より低金額を提示したのは、他事業でキャッシュフローを確保し交付前に開発構想を固めることができたためだ。この戦略を打ち立てたデニス・ミュイレンバーグは昨年12月にCEOの座を退いた。

2019年2月には海軍から43百万ドルでオーカXLUUV4隻建造の契約を交付されている。設計はエコーボイジャー無人ディーゼル電気推進潜水艇が原型で、エコーは全長51フィートで母艦から発進し6,500カイリを自律運行できる。

2年前は民生機事業が同社の主力だった。ジェット旅客機事業でキャッシュを確保し研究開発に投入することで他社に差を付けてきたが、国防総省契約がないと売上が安定しなくなるまでになった。

民生機部門の減速で同社の研究開発力にどんな影響が生まれるかは不明だ。ボーイングは16万名の従業員の10%を削減する。また配当支払いを中止するほか、不要不急の支出は見直す。

「研究開発や設備投資を削減、あるいは先送りする」のはコスト削減策の一環とキャルホーンは説明した。ただし、将来に大きな意味がある重要事項や技術には支出を続けるという。■

この記事は以下を再構成したものです。

In Role Reversal, Boeing's Defense Programs Prop Up Commercial Business



April 30, 2020 11:47 AM