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2016年7月22日金曜日

★新型ジャマー装備NGJの性能に期待




米空軍がEF-111以降の電子支援機を調達する予定がないまま、海軍機に依存する状態が続いており、海軍海兵隊のEA-18Gの存在は大きくなっていますが、敵レーダーを妨害するジャマーは旧態依然のままでした。そこで新型ジャマーの開発が進んでいましたが、どうやら実用化にめどがついたようです。オープンアーキテクチャーはLRSBでも謳っていますがどうやら今後の装備では合言葉になりそうですね。それだけ装備類の開発ペースが早くなっていることの裏返しでしょう。


Navy's Next-Generation Jammer Will Attack Multiple Enemy Air Defenses at Once

KRIS OSBORN
05/03/2016

米海軍の次世代ジャマーの実戦化が2021年までに実現すると、多数のレーダーを同時に妨害し将来登場する高性能防空体制にも対応できる。
  1. 米海軍は電子戦ジャミング技術をさらに進め、探知されずに敵目標の破壊が可能な強力ハイテク装備の実現を目指している。
  2. 「敵の防空システムにこちらの攻撃部隊を発見できなくするのが狙いです。防御対象は機種を問いません。敵防空網を制圧しミッションを続けさせるのが目的です。この装備で機体が生き残ることは絶対確実になりませんが、兵装を投下して帰還することはできます」とアーネスト・ウィンストン中佐(電子攻撃装備整備担当)がScout Warrior取材に答えた。
  3. 次世代ジャマーNGJは全長15フィートのポッドでEA-18Gグラウラーに搭載しレーダーを妨害する電子信号を発信する。レーダーは電磁信号を前面に送り反射から標的の位置、大きさ、形状、速度他を解析する技術だ。ただし電磁信号が干渉を受けたり、妨害つまり「ジャム」されると探知ができなくなる。新型ジャマーは敵戦闘機がミサイルを標的に「ロック」するのを妨害する機能がある。
  4. 「周波数多数を同時にジャムするのも可能で、迅速かつ効率よく行えます」(ウィンストン中佐)
  5. 新技術に高出力レーダー技術があり、アクティブ電子スキャンアレイAESAと呼ばれる。「実用化すればAESA技術応用の空母電子攻撃ジャミングポッドでDoD装備で唯一の存在になります。海軍はジャミング能力の向上、柔軟運用、戦力増が一度に手に入ります」
  6. 実戦投入は2021年までに実現する見込みで既存のALQ 99電子戦ジャマーを置き換える。
  7. ALQ 99の欠点は設計が40年前で脅威対象の進歩特にデジタル化に対応できなくなっていることだフェイズドアレイレーダーの出現や出力増処理能力が高くなり使用波形も高度化し脅威が変化中とウィンストン中佐は説明する
  8. そこで次世代ジャマーは「オープンアーキテクチャー」設計思想を採用し、ソフトウェア、ハードウェア双方で新技術を随時採用して脅威の進化に対応する。
Raytheon
  1. 例えば脅威の形式をライブラリー化あるいはデータベース化し、レーダー警戒受信機に取り入れればパイロットは敵の脅威の存在がわかる。新型機が敵に出現すればシステムをアップグレードして情報を追加できる。
  2. 「脅威ライブラリーを受信機とジャマーにも取り入れれば新型レーダーにも対処できます。新規脅威が出現すればジャミング方法も追加します。EA-18グラウラーのミッションプランシステムでプログラムできます」(ウィンストン中佐)
  3. レーダー警戒受信機は純然たる防御技術だが、NGJはジャミング能力を攻撃用途に切り替えF/A-18スーパーホーネットやF-35共用打撃戦闘機など各種攻撃機を支援できる。「地対空ミサイルの迎撃飛翔航路を変える事が可能です。敵のレーダー信号を妨害するのです」とウィンストンは説明してくれた。
  4. 特にB-2ステルス機や戦闘機の防御にNGJが大きな威力を発揮する。将来は開発中の長距離打撃爆撃機やF-35多用途ステルス戦闘機が加わる。敵レーダーを遮断、妨害、あるいは「盲目に」して友軍攻撃機が目標空域に侵入し攻撃を加え無事に帰還するのを助ける。
  5. レーダー探知を逃れる触れ込みのステルス機も無敵ではなくなりつつありNGJの意義は重要だ。
  6. ロシアのS-300ならびにS-400地対空ミサイルのような最新式装備はステルス機を長距離で探知でき、使用周波数帯も広がっている。将来は処理能力が高い装備が出現し、デジタル化とネットワーク化が進むとみられる。

Boeing
  1. 「多機能レーダー対応は単機能レーダーより難易度が高いが、次世代ジャマーの出力は大幅に上がり、対応できるはず」とウィンストン中佐は述べた。「防御側と攻撃機はずっとイタチごっこでこちらがステルス機を開発すれば、相手は対抗技術を導入します。そこでジャミング性能を引き上げる必要があります」
  2. NGJでは監視レーダー、交戦レーダー双方に対応する。後者は高周波で標的を捕捉追尾し、防空網に破壊させるのが目的で前者は敵機侵入を知らせるのが目的だ。
  3. 「標的交戦用のレーダーあるいは指揮統制レーダーの照準範囲は極めて狭く、そこちらは敵にいわばストローで空を覗く状況にし探査範囲を更に狭くさせている間に攻撃機を送りこみます」
  4. ただし中佐はNGJで敵の無線交信、アンテナあるいは別の電子信号を攻撃する能力があるのか明言を避けた。「無線周波を出すものでNGJの対応周波数帯内は全部ジャムできます」とだけ説明している。
  5. 米海軍は10億ドルでNGJの技術生産開発(EMD)のインクリメント1をレイセオンへ単独契約で交付している。
  6. 米海軍はNGJを135セットを調達しグラウラーに搭載する。ウィンストン中佐は別機種へも搭載する可能性を示した。
  7. 「電子戦では大きな一歩になります」とレイセオン・スペースアンドエアボーン・システムズの社長リック・ユースが語る。「NGJはスマートポッドで現時点で最高性能の電子攻撃技術を応用し敵脅威の進化に簡単に対応できます。高度技術で戦場での技術優位性を確立し、ミッションを成功させ無事帰還させるはずです」■
- Kris Osborn can be reached at Kris.Osborn@Scout.com


2012年1月23日月曜日

次世代ジャマーの選定を急ぐ米海軍

                             

Navy Will Select NGJ Contractor In 2013

aviationweek.com Jan 18, 2012

これまで厚遇されてきた電子戦分野にも予算削減の圧力が続くと見て、米海軍は大切な次世代電子妨害手段Next Generation Jammer (NGJ)の取得手続きを簡素化しようとしている。契約先を一社に早期に絞り込むと数億ドルの節減効果が期待できるとして、通常の二社競合ではなく、最初から一社に技術開発業務を2013年に開始させる。2015年には生産準備を開始する。NGJ技術はこの4月に成熟段階を完了する。
  1. ジョ ン・グリーン海軍大佐(空中電子攻撃AEAおよびEA-6Bプラウラー計画主任)は「NGJで承認された手続きでより経済的に、かつ早期に技術統合が可能 となります。これによりNGJの開発の予算裏付けができてEA-18Gグラウラーへの搭載が可能になります。」と語る。
  2. 合 理化はいいとしても契約企業の中には心配な要素もある。NGJがF-35共用打撃戦闘機には搭載されるとは見ておらず、その理由としてJSFそのものが遅 延していることをあげている。「F-35を電子攻撃用の機体にする構想があるが、実際にはその検討はされていません」(関係者) つまりNGJは別の機体 に搭載される可能性があるということで、最も可能性があるのが無人機で、メーカー側には朗報となる.
  3. 近 接距離でのジャミングと遠距離からのジャミングでは必要な出力が異なり、海軍の求める運用構想ではグラウラーをF/A-18E/Fに同行させ、目標に近づ かせる想定。ただその場合は電子攻撃支援がないと実際の運用は不可能だ。そうなると無人機にNGJを搭載することで乗員の損失を回避できるだろう。
  4. F- 22にはパッシブな電子戦能力が搭載されており、JSFも当初はパッシブ能力を搭載する予定であったが、最新のサウジアラビア向けF-15にはデジタル方 式のEWシステムが搭載されている。この装備生産はすべてBAEシステムズが獲得している。NGJを巡り競争するのは同社以外に、ITT/ボーイング、 ノースロップ・グラマン、レイセオンの4陣営で、1月24日の週に海軍は各社の方針案を聴取し、早期に一社に絞り込むこと、選に漏れた他社が生産協力先に なることを期待している。
  5. 「上層部は各社のチーム編成を期待しています。チームにすればリスクが減りますからね。一社に早く絞りこめば自然にそうなるはずです。国防総省がそう考えていることを業界にも早く理解していただきたいものです」(グリーン大佐)
  6. 昨年に実施された電子攻撃事例の教訓でNGJ取得が急がれる結果にもなっている。リビヤ、アフガニスタン、イラクの事例だ。海軍のAEA能力は老朽化進む生産終了ずいみのALQ-99ジャマーポッドが全て、というのが現状。
  7. 「リ ビアのオデッセー・ドーン作戦を開始した時点でアフガニスタンとイラクですでに展開中だったので、三方面で同時に支援することになりました。機材を分散す るのは大変な課題でしたが、ALQ-99ジャマーポッドの数が足りず、一部の重要なミッションで利用できない事態が発生しています。今回の教訓でNGJが 必要な理由が裏付けされました。」(グリーン大佐)
  8. NGJ の設計仕様は広範な周波数帯で敵目標に対する電子攻撃能力を実現するものだ。同時に柔軟な電子対応を実現する。あわせて各軍での共用性を実現する。海兵隊 にはイントレピッド・タイガーII通信妨害装置があり、空軍には小型空中発射おとりジャマーがあるが、NGJで敵のレーダーや電子装置を無効にする、性能 低下させる、あるいは欺瞞させる手段が向上することが期待される。
  9. その他にも放射出力の向上により、ジャミング効果が増強され、スタンドオフ距離を拡大して敵の防空レーダー、通信、データリンクに対する攻撃効果が生まれることも期待されている。