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2024年4月9日火曜日

岸田首相のワシントン訪問:日米関係の進展に重視しつつ、「画期的」な三国間目標にも注目/ AUKUSは?/ 日本がどこまでプレゼンスを主張するかが焦点

いよいよ岸田首相が訪米しますが、日程をあわせフィリピン大統領もDCを訪問することに意味があるのですが、日本のメディアはそこまで触れていないようですね。一方で、日米豪比の四カ国海上演習が訪米直前に実施されていたことにも注目です。Breaking Defense記事からのご紹介です。

President Biden Hosts Japan And South Korea’s Leaders At Camp David

Fumio Kishida, Japan’s prime minister, and US President Joe Biden, left, at a news conference during a trilateral summit at Camp David on Friday, Aug. 18, 2023. Photographer: Ting Shen/Bloomberg via Getty Images



ーストラリア国立大学のジョン・ブラックスランドは、「日本は基本的に、フィリピンとアメリカ、そしてそれ以上に東南アジアやその他の地域に対して、この分野におけるリーダーとして日本を見るべきだという意思表示をしている」と語った。

岸田文雄首相が今週ワシントンを訪問し、日本の首相として9年ぶりに議会演説を行う。

しかしアナリストによれば、今週起こりうる二国間関係の構築と同じくらい重要なのは、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領のコロンビア特別区訪問日程と重なることで、日米比の三国間関係が発展する可能性があることだという。日本とフィリピンの首脳はジョー・バイデン米大統領と三者会談を行う。

「日本は基本的に、フィリピンとアメリカ、そしてそれ以上に東南アジアやその他の地域に対して、この分野におけるリーダーとして日本を見るべきだという意思表示をしているのだ」と、オーストラリア国立大学のワシントンオフィス代表であるジョン・ブラックスランドは本誌に語った。「これは本当に画期的なことだ」。

バイデン大統領との会談に至るまでのシグナルは明確だった。東京は、北朝鮮からの継続的な脅威と、この地域における中国の攻撃性の両方により、防衛能力とプレゼンスを拡大しようとしているのだ。

AP通信によると、バイデン岸田両名は「相互運用性と対応能力を高めるための大きな構造改革と見られる、統合司令部の発足に関する議論を開始することで合意する見込み」だという。また、兵器の共同開発のための新たな枠組みを確立する計画や、西太平洋での作戦を支援するために米軍艦の修理・整備を日本で行えるようにすることでも合意する見込みだという。

「日米間の防衛産業協力は、志を同じくする国々との協力と同様、極めて重要である」と、岸田首相が金曜日のインタビューで語ったとAP通信が引用している。

また、暫定的とはいえ、AUKUS安全保障協定への日本の参加に向けた動きも予想される。日曜日のFT紙は、AUKUSの防衛大臣たちから第二柱拡大に向けての声明が出されると報じている。先週カート・キャンベル米国務副長官は、今回の訪問は「日米安全保障パートナーシップの更新にとって歴史的なものになるだろう」と述べた。

シンガポールのナンヤン工科大学のコリン・コー上級研究員によれば、日本は以前から知名度を上げようとしてきたという。

「米国が東南アジアへの投資を減らしていると見られていたトランプ大統領の任期中でさえ、日本は東南アジアで活動を強化してきた。日本は明らかに米国との同盟関係を均等化しようとしているが、東南アジアで独自の戦略的ニッチを切り開こうとしている」。

防衛費に関心を示すことは、ちょっとした自己防衛のテクニックでもある、とブラックスランドは指摘する。

「11月の選挙後、ドナルド・トランプが勝利した場合、アメリカは何をするかわからないという警戒感がある。「日本は、トランプ政権が誕生する可能性のある国に対して、自分たちはベストを尽くしているという意思表示をしているのだと思う......トランプ・マーク・ワンが強調していた、より多くの負担を肩代わりする用意があるのだ」。

フィリピンとの関係

アメリカ、フィリピン、日本の関係が深まっている例を探すのに、難しいことをする必要はない。

4月7日、中国が南シナ海でフィリピンの排他的経済水域内を航行するフィリピン漁船を何度も威嚇し、対立させている南シナ海で、オーストラリアを加えた3カ国は共に航行し、飛行した。在マニラ日本大使館の声明によれば、日本は駆逐艦「あけぼの」を提供し、対潜水艦戦の訓練に従事した。

このメッセージは木原稔防衛大臣により明確にされた。南シナ海問題は、この地域の平和と安定に直結するものであり、国際社会の正当な関心事である。

中国はこの地域の大部分を領有を主張し、特にフィリピンが法的主張を補強するために古い船を座礁させた第2トーマス諸島周辺では攻撃的な態度をとっている。中国は、事実上の領有権を確立するために、手つかずの自然が残る岩礁を破壊して軍事基地を建設し、多くの地域で不法に領有権を主張している。

ワシントンのメディア報道によれば、日本、アメリカ、フィリピンの3カ国軍は、今週の3カ国会議で、南シナ海を定期的に通過することを決定する可能性があるという。このようなパトロールに関する話し合いは、昨年6月から行われている。

マニラとの関係強化に対する東京の関心の高まりの表れとして、日本は昨年、軍事装備のパートナーへの提供を可能にする新たな政府安全保障援助政策をフィリピンに初めて適用し、4基の防空レーダーを供与した。また2023年、両国は相互アクセス協定(RAA)の交渉を開始し、海洋協力の改善や、日本とフィリピンの軍隊がそれぞれの国で一緒に訓練できるようになることが期待されている。

ワシントンの戦略国際安全保障センターの報告書は、日本はさらに踏み込むべきだと主張している。

「南シナ海における中国の強圧に立ち向かい、米比同盟を再構築するとのマルコス政権の決断は、ワシントンと東京にとって重要な戦略的好機である。また、日米両国は安全保障上の支援を提供するにあたり、重複を避け相互運用性を確保するため、緊密に連携すべきである。東京はマニラとの相互アクセス協定の締結を優先させるべきである」と報告書は述べている。

中国はどう反応するか?

サミットは表面上は関係国だけのものだが、この地域のすべてと同様、中国に明確な焦点が当てられている。

「標準的な公式反応は、フィリピンと第三国(日本とアメリカを指す)に対し、他の地域国家の安全保障を損なうような動きをしないよう警告することである。彼は電子メールで、中国には「3カ国を混乱させる力はほとんどない-フィリピンが3者の中で最も弱いはずであっても」と述べた。

数カ月にわたる厳しい威嚇、フィリピン船への衝突、そして最近では中国沿岸警備隊がフィリピン船に放水銃を向け、4人のフィリピン人を負傷させた。「政策的な観点からは、北京はあせりながら3カ国協議の成り行きを見守ることになるだろう。そして、この3国間に亀裂を生じさせるような隙間がないか、様子を見るかもしれない」。

コーは中国が「3国間の軍事活動、ひいては3国それぞれの軍事的動きを注視する」と予想している。

中国は南シナ海で "皮肉な "ゲームをしている、とブラックスランドは言う。「中国はフィリピンが行き過ぎるのを見たいのです。アメリカも過剰な行動をとり、その過剰な行動を好戦的であることの口実とする中国の反応を正当化したいのです」と彼は主張した。しかし、放水銃を使ったり、積極的に船を走らせたりする現在のやり方では、その可能性は低い。

中国がフィリピンの沿岸警備隊や海軍の船舶を撃沈すれば、おそらく米比防衛条約を発動する十分な引き金になる。しかし、放水銃ならその閾値以下だ。フィリピンもアメリカもそれを知っている。だからこそ巧妙なのだ。■


Japan PM’s Washington trip: Bilateral focus but ‘groundbreaking’ trilateral goals

https://breakingdefense.com/2024/04/japan-pms-washin

"Japan is basically signaling both to the Philippines and the US, and beyond that, [to] Southeast Asia and others in the region, that they should look to Japan as a leader in this space," John Blaxland, of the Australian National University, told Breaking Defense.

By   COLIN CLARK

on April 07, 2024 at 11:01 PM


2024年4月5日金曜日

岸田首相訪米で日米の「共同生産」が実現しそうだ。米高官が示唆。日米同盟は大きな変化をとげそう。一方、AUKUS関連の多国間協力でも新しい展開が生まれそうだ。

来週に迫ってきた岸田首相の米国公式訪問ですが、ワシントンで大きなインパクトのある発表が出そうです。記事にある共同開発の内容が知りたいところですが、日米の枠組みを超えていよいよ日本もAUKUSに加わるのか、あるいは同時に訪米する他国も含めたアジア太平洋での新たなアプローチになるのか、共同声明の発表が待たれます。一方で、防衛予算ではあるべきコースに乗ったものの、記事にあるように機密情報の取り扱いで国内体制が未熟な日本には不安が残ったままというのが米国の見方でしょう。課題は残っています。裏金問題で脚を引っ張られたままでは安全保障など大局にたった判断ができませんね。


米高官、「重要な」軍事技術の日米「共同生産」の可能性を示唆

AUKUS Pillar IIの技術開発に取り組む可能性のある新たな国について、国務省のカート・キャンベルは、来週「それについて何か言うことがあるだろう」と予告している

田文雄首相のワシントン公式訪問時に発表される予定の、防衛計画の共同開発で緊密に協力するため日米当局者によって作成された計画は、両国による新しい軍事技術の共同生産につながる可能性があると米国務省高官が伝えている。

米国務省のカート・キャンベル副長官 Deputy Secretary of State Kurt Campbell(最近までホワイトハウスのインド太平洋地域担当)は2日、ワシントンと東京は「重要な軍事・防衛装備品の共同開発、潜在的な共同生産で、日米が従来より協力的に取り組むことを可能にする最初のステップ」を踏むと述べた。

キャンベルは、ワシントンDCのシンクタンク、新アメリカ安全保障センターとのインタビューで、岸田首相の訪米は、日米関係が「新たな能力をもたらすだけでなく、......米国が日本との付き合い方を変え、日本が我々との付き合い方を変えるために必要な明確な責任をもたらす」、根本的に新しい段階に入ることを示すものとなると示唆した。

今回の訪問は、「日米安全保障パートナーシップの更新で歴史的なものになる」とキャンベルは指摘した。

新たな共同開発計画の詳細については明らかにしなかったが、日米が連携型戦闘機(CCA)や忠実なウイングマン型無人機の研究・設計レベルで協力することを約束することになるかもしれない。

防衛関係を強化するための幅広い動きは、特に情報レベルにおいて、「知的財産を保護するため従来より厳しい活動を行う」必要性を東京に納得させようとする、アメリカによる長期にわたるキャンペーンに続くものだ、とキャンベルは述べ、一方で「我々の関与の礎石」はインド太平洋にあると指摘した。

日本の知的財産権改革に関する勧告措置がすべて実施されたと米国が納得するまでには、日本には課題が残っている。

「日米関係がより円滑に機能するために役立つと私たちが信じる多くの措置に日本は信頼をおいている」とキャンベルは言った。「最終的には、より深く、より基本的な同盟関係を可能にするため、日本含む緊密なパートナーと多くの情報やその他の技術を・・・共有することが米国の利益になる」。

日本は伝統的に、平和主義的な憲法と、軍事力による紛争解決を禁じた「不戦条項」を守りながら、中国の脅威にどう対抗するかに取り組んできた。しかし岸田政権は、抑止力の近代化を目指した一連の先進的な政策を導入した。

米議会調査局によれば、2022年に発表された日本の安全保障関連文書は、中国を「前例のない戦略的挑戦」とし、敵のレーダーサイトに対する「カウンターストライク」ミサイル能力を開発する意向を示している。

同時に、2027年までにNATO諸国と同じGDP2%を目標に、国防費を倍増させる提案も出た。先月は輸出規制を見直し、多国籍企業によるグローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)第6世代戦闘機の将来的な販売の可能性を、15カ国に開放した。日本、イタリア、イギリスはこの取り組みにおける共同パートナーである。

日本はまた、カナダやニュージーランドと同様、オーストラリア、英国、米国の3カ国による安全保障協定AUKUSのピラーIIへの参加にも関心を示している。ピラーIIは量子コンピューター、極超音速技術、AI、サイバーシステムなどの先端技術を扱う。

キャンベルは、正式に第二柱に加わる新たなパートナーがあるかどうかについては明言を避けたが、来週には何らかのニュースが飛び込んでくるだろうと予告した。

「適切な状況であれば、さまざまな開発やその他の取り組みに参加したいと表明している国が他にもあるのは事実です」。

このような正式な動きには反対だとBreaking Defenseに語ったオーストラリアの主要政治家もいる。

キャンベルはまた、「ピラーII」に関連するその他の「具体的な発表」は「秋」に発表される予定だとも述べた。

ピラーIで定義された大規模なAUKUS計画は、2040年代初頭にオーストラリアに就役する英国設計の新型通常兵器搭載原子力潜水艦(SSN-AUKUS)に先立ち、2030年代に米海軍ヴァージニア級潜水艦3隻をオーストラリアに売却することが特徴だ。ロンドンは、2030年代後半に次世代クラスの潜水艦を運用開始する見込みで、同潜水艦はパートナー3カ国すべての軍事技術に依存することになる。

ヴァージニア級の建造を請け負うゼネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボート社とHIIのニューポート・ニューズ造船は、年間2隻の建造率を達成が必要な強いプレッシャーにさらされており、キャンベルは、サプライヤーのボトルネックや "バックログ "といった過去の潜水艦産業の問題から守るために、「AUKUSのようなプログラムを支援する」ための「非常に真剣な努力」が進行中であることを認めた。

彼はまた、AUKUS潜水艦の建造には「より多くのベンダー」が必要になると強調した。

AUKUSの共同生産は「時間をかけて」行われるだろう、とキャンベルは付け加えたが、それ以上詳しくは語らなかった。

輸出管理規制がAUKUSの技術移転の進展を妨げている可能性があるという問題については、同氏は3カ国間の話し合いが「おおむね成功している」と指摘し、変化の証拠としてオーストラリア議会に最近提出された新法案を挙げた。

さらに漠然とだが、英国は "特定の行政措置"を取ることを検討していると述べた。■


Senior US official hints US and Japan 'coproduction' of 'vital' military tech on the horizon - Breaking Defense

As for new nations potentially working on AUKUS Pillar II tech efforts, the State Department's Kurt Campbell teased, “I think you'll hear that we have something to say about that" next week.

By   TIM MARTIN

on April 04, 2024 at 11:06 AM