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2025年3月27日木曜日

日本が米軍と連携する統合作戦司令部を立ち上げたが在日米軍の再編はペンタゴンの予算削減で頓挫する可能性も(USNI News)

 




本は2025年3月24日月曜日、自衛隊に統合作戦司令部(JJOC)を発足させた。

 2022年12月に発表された国家安全保障と防衛に関する3文書の1つである防衛力整備計画(DBP)が、JJOCを設立する意図を概説していた。「常設の統合作戦司令部は、平時から有事に至るあらゆる段階において、領域横断的な作戦をシームレスに実施できるシステムを構築するため設置される」。

 JJOC設置前は統合幕僚監部(JSO)で統合幕僚長(米国の統合参謀本部議長に相当)が作戦を監督し、防衛大臣や首相に助言・報告していた。

 今後はJJOCがあらゆる危機、有事、自然災害への自衛隊の対応を組織し、指揮する役割を担う。JJOCの指揮官は航空自衛隊の南雲健一郎空将で、240人がJJOCに配属され、東京・市ヶ谷の防衛省に本部を置いている。

 JJOCは、日本に拠点を置く予定の新しい米軍統合司令部と緊密に協力することが期待されていた。しかし、CNNによれば、国防総省の説明文書には、経費削減案で在日米軍再編の中止が記載されているという。

 水曜日、上院軍事委員会委員長ロジャー・ウィッカー上院議員(共ミシシッピ州)と下院軍事委員会委員長マイク・ロジャース下院議員(共アラバマ州)は共同声明で米軍指揮系統の変更計画へ懸念を表明した。

 「米軍の戦闘司令部はアメリカの戦闘の先鋒である。従って、ホワイトハウスや議会との調整を欠いたまま、海外駐留米軍の大幅削減を含む主要な戦略的問題について、国防総省が一方的に変更を検討しているとの報道を非常に懸念している。「厳格な省庁間プロセス、戦闘司令部や統合参謀本部との調整、議会との協力なしに行われる戦闘構造に対する重大な変更は受け入れない」。

 先週金曜日、中谷元・防衛大臣は定例記者会見で、この報道についてコメントを避け、その代わりに、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日米同盟の重要性は増しており、同盟の対応能力と抑止力を強化する努力を続ける必要があると述べた。

 日米両国は、2月の日米首脳会談において、自衛隊と米軍の指揮統制体制の改善を通じ、日米同盟の抑止力・対処能力をさらに強化する方針を確認していた。ピート・ヘグセス国防長官と中谷防衛相は1月31日の電話会談で、指揮統制の枠組みを改善する意向を確認した。 「日米両国はこれを踏まえて指揮統制の枠組みの改善について協議している。今後も米側と緊密に連絡を取り合っていく」と中谷防衛相は語った。

 

JSOは先週金曜日、日本周辺でのPLAN艦船の活動について2つのリリースを発表した。3月16日午後11時、PLAN駆逐艦CNS長春(150)が魚釣島の北西49マイルの海域を南東に航行するのを目撃された。 3月16日から17日にかけて、PLAN駆逐艦は魚釣島の西43マイルの海域を南下し、与那国島と台湾の間の海域を南下した。

 3月17日午後11時、PLANフリゲートCNS Binzhou (515)が魚釣島の西49マイルの海域を南下するのを目撃され、3月17日から18日にかけて、与那国島と台湾の間の海域を南下した。 木曜日、PLANの両艦は正午、宮古島と沖縄の間の海域を北西に航行し、東シナ海に入るのを目撃された。

 海上自衛隊の駆逐艦「あきづき」(DD-115)、駆逐艦「せんだい」(DE-232)、海上自衛隊鹿屋航空基地(九州)の第1航空団のP-1海上哨戒機(MPA)、那覇航空基地(沖縄)の第5航空団のP-3CオリオンMPAが、PLAN艦船を監視した。

 金曜日の午前9時頃、東ディアオ級偵察船「玉亨星」(798)が口永良部島の南西43マイルの海域を東に航行するのを目撃され、その後、九州本島と種子島の間にある大隅海峡を東に航行し、太平洋に入った。報道発表によると、海上自衛隊の駆逐艦「いかづち」(DD-107)がPLAN艦船を追跡した。■


Japan Stands Up New Joint Operations Command Planned to Work with Local U.S. Forces

Dzirhan Mahadzir

March 25, 2025 4:53 PM

https://news.usni.org/2025/03/25/japan-stands-up-new-joint-operations-command-planned-to-work-with-local-u-s-forces


ジルハン・マハジール

マレーシアのクアラルンプールを拠点とするフリーランスの防衛ジャーナリスト、アナリスト。 1998年以来、Defence Review Asia、Jane's Defence Weekly、Navy International、International Defence Review、Asian Defence Journal、Defence Helicopter、Asian Military Review、Asia-Pacific Defence Reporterなどで執筆。


2018年10月11日木曜日

★日本の空母保有の是非を冷静に考えよう

今回の論文の筆者はRAND で日本の安全保障、海洋安全保障を専門とする研究員です。いずもを空母にしても費用対効果が薄い、というのが筆者の主張ですが、空母保有を主張する方には神経を逆なでする内容かもしれませんが、非常にバランスの取れた分析であると感じました。これまで無人機分野をないがしろにしてきたつけを払わなくてはいけません。MQ-25には今後日本からも注目が集まるでしょう。なお、当ブログでは海上自衛隊の護衛艦は駆逐艦としています。理由はDDとdestroyerであるためです。黒は黒、白は白という考え方ですのでご容赦ください。

Does Japan Need an Aircraft Carrier? 

日本に空母は本当に必要なのか

Japan's Izumo helicopter carrier, pierside at Yokosuka naval port in Toyko, Japan, in May 2015.
OCTOBER 5, 2018


1983年、中曽根康弘首相はロナルド・レーガン大統領に日本を「不沈空母」にすると約した。ただし日本は空母を70年超も保有していない。だがこれも間もなく変わる。日本政府は保有する駆逐艦の空母改装案を検討中だ。憲法違反になるのかという議論はさておき、実現すれば日本に大きな負担になるの必至だ。


日本は空母運用では世界の先端国だった。だが敗戦で日本の空母は姿を消し、平和主義と憲法の制約の中で日本は空母を「攻撃」兵器とみなし保有を断念してきた。


自衛隊が1954年生まれたが、海上部隊の海上自衛隊(mSDF)は帝国海軍の艦艇に匹敵する規模の建艦を行っている。最新のヘリコプター駆逐艦である24千トンのいずも級は戦後最大の日本艦艇となった。全長248メートルの上部甲板、艦橋、昇降機付き格納庫のため一見空母に見えるが、イタリアのジュセッペ・ガリバルディより大きく、スペインの新造フアン・カルロスを全長で上回る。


二隻あるいずも級は対潜戦を念頭に建造され、搭載航空兵力はヘリコプター14機だ。だが同時に指揮統制艦としても理想的であり、人命救難や災害救難支援任務に使え、V-22オスプレイの運用能力があるので強襲揚陸艦にもなる。いずも級一番艦が就役した2013年からいつの日にか空母に改装されると噂されてきた。


噂が現実になろうとしている。防衛省は国防大綱と中期防衛計画を共に改訂中で、日本の長期防衛体制とならび今後五カ年の具体的行動を決める。その過程で漏れ伝わる内容から噂は本当だったとわかった。F-35B導入の可否を政府は検討中だ。さらに、いずも級改装でF-35B運用が可能かも検討している。5月には与党自民党が「多機能空母」導入を大綱の一部に盛り込むよう要求した。


日本では新装備は必ず憲法問題に直面する。憲法が「戦争の可能性」を有する装備を禁じているためだ。このため歴代の政府は自衛に「最小限必要」なレベルを超えた装備の保有をしてこなかった。日本が空母取得を選択した場合、たちまち批判の嵐が赤旗とともに巻き起こり防衛政策の急展開を企んだ層への糾弾がはじまるだろう。


だが中国の挑発にさらされる各国同様に日本でも国防の最善策を追求した上で国防の優先順位を決める必要がある。とくに中国の準軍事組織所属が頻繁に尖閣諸島に侵入し日本の実効支配を弱体化させようとするグレイゾーンで抑止策が必要だ。南西諸島では中国航空機の活動も増えており、日本側はスクランブルで中国の戦闘機、爆撃機を相手にしている。中国軍は増加の一途だが小規模の日本部隊にとって時間は有利に働いていない。このことも空母論議に影響している。


憲法問題は別として日本が空母を保有した場合、安全保障上の要点は以下の二つに絞られる。


作戦面


尖閣諸島はその他南西島しょ部同様に中国の挑発行為に弱く、特に自衛隊部隊の配備から遠距離にあるのが問題だ。一番近い航空自衛隊基地は沖縄本島で第9航空団がある。中国が尖閣諸島上空に大規模展開した場合、第9航空団が最初の標的となる。航空自衛隊の機材はさらに遠い九州、本州にあるが空中給油機がないと防空の役目が果たせない。空母があればこの弱点を減らせる。防空上のギャップを減らし、攻撃に弱い陸上基地のカバーができるからだ。このため空母保有に意味があり、防空範囲を拡大し、一定の回復力も実現する。日米同盟の作戦価値を高める役目も担うだろう。


資源


いずも級を空母に転用するとF-35Bは10機程度搭載できるとみられる。改装経費は5億ドル程度と見られるが別途F-35Bの10機程度調達に14億ドルが必要だ。つまりいずも級二隻にF-35Bを各10機搭載すれば40億ドルが必要となる。2019年度の防衛予算要求が480億ドルであるので改装、調達経費だけで総予算の8パーセントが必要となる。F-35B用の移動飛行基地を実現すると相当の予算圧迫となる。また艦と機材のライフサイクル経費も考慮する必要がある。あわせると他の装備を犠牲にしてしまい、自衛隊の戦力水準で危険な事態を招き兼ねない。こうした資源面の懸念は人員にも及ぶ。日本の人口が減少する方向の中、人員を大量に必要とするとなれば今でも人員不足の自衛隊で大変な事態となる。


そうなると結論は


作戦上の要求と資源面での制約を考えると日本が空母を保有することに意味があるのだろうか。資源面の圧力のため、日本防衛では島しょ部の防衛強化と奪還用の揚陸部隊整備に重点投資するのが効率が高い。自衛隊三軍の統合運営司令部を確立するのも中国の野望に対抗する上で自衛隊の実効性を高める結果につながる。


航空優勢を重要視するのであれば航空自衛隊に無人給油機を導入するのが有効だろう。尖閣諸島付近の無人島にこうした機材を展開すれば、日本の弱みを補強するプレゼンスとなるばかりか、安価で投入人員も少ない運用となり日本の広い領土に適度な部隊分散が実現する。


しかし現在の日本に無人機での航空優勢確立に必要な技術が欠けている。この技術整備に向かう決定をすれば相当の投資が必要で実現に長い年数が必要となる。このため、いずも級改装は短期解決手段に写る。ただしその負担はばかにならない。防衛予算で数年度にわたり相当の部分が使えなくなる一方、人員面でも負担増となる。仮にこの能力が実現したとしてもF-35Bが20機で大規模な中国空軍力への航空優勢が実現するのかという大きな問題もある。

現在の日本は中国の脅威の高まりに直面しており、空母があれば航空優勢ミッションが成功する可能性が高まる。だが空母取得は極めて高額の支出となりその他の選択肢から予算等資源を奪うことになる。日本は決断を迫られており、時間はなくなりつつある。■