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2024年10月9日水曜日

イスラエルはF-35iアディールでイランを破壊できるのか? (Warrior Maven)

 


スラエルは、F-35に自国生産の武器や技術を組み込もうと努力を重ねてきた

スラエル空軍は現在、F-35A多用途ステルス戦闘機F-35Iアディール派生型を少なくとも35機運用していると報告されている。この特殊な機体は、イスラエルが独自の妨害ポッド、電子戦兵器システム、誘導爆弾、空対空ミサイルを搭載するべく改良したものである。

現在、F-35Aを運用または取得している他のすべてのF-35同盟国とは異なり、イスラエルは、F-35に自国で生産された武器や技術を組み込むために特別な努力をしてきた。

Aviation Weekはイスラエルのアディールは、国内生産の誘導爆弾や空対空ミサイルを機内兵器庫に搭載して飛行していると2010年に報じた。

特別なF-35の派生型

これにはいくつかの理由が考えられる。米国および同盟国が製造するF-35は、最先端の電子戦兵器を搭載した高性能機であることは確かだが、おそらく、イスラエル独自の電子戦技術が、イスラエル空軍に独自のシステムと兵器の統合を促したのだろう。

イスラエルが直面する可能性のある脅威の性質を考慮すると、カスタマイズされた電子戦システムは理にかなっているかもしれない。例えば、イランやハマス、ヒズボラといった武装集団など、イスラエルが直面する地域の脅威の多くでは、航空機という観点ではイスラエルにとって空の脅威とはならないだろう。

F-35を装備したイスラエル空軍は、地域の脅威に対して制空権を争う必要はない。しかし、地上から発射された対空兵器の電子機器や誘導システムを妨害する上で十分な高度な電子戦能力は、大きな利益をもたらすはずだ。

F-35I アディール vs. 地域的な脅威

イランは電子戦システムで無人機を妨害、妨害、または破壊する能力があると主張しており、数年前には米海軍のBAMS-Dグローバルホークの派生型を撃墜している。電子戦の領域に関しては、多くの詳細が安全保障上の理由から明らかになっていない可能性が高いが、米国のF-35は極めて高度な電子戦システムを搭載していると報告されている。

最先端のEWシステムは、敵対的または脅威的な周波数やRFシグネチャを識別し、「衝突回避」を行い、「方位線」を確立し、敵の通信や誘導兵器の妨害や無効化に成功する。

現在、F-35AはBAE製のAN/ASQ-239電子戦システムを搭載して運用されています。開発者によると、このシステムは360度の探知、より広い範囲と信号の信頼性、そして高度な対抗手段を導入するという。高度な電子戦システムは、同時に複数の周波数で動作したり、妨害したりでき、脅威と信号を正確に識別し、周波数ホッピングなどの重要な対抗手段を可能にする。

周波数ホッピングとは、電子戦システムが本質的に「対策」を「対策」するよう設計された興味深い技術だ。例えば、電子戦信号やRFに依存する兵器誘導システムが敵によって妨害または攻撃された場合、周波数ホッピングにより、攻撃的な電子戦システムは干渉を回避するために別の周波数に「ホップ」することで、作戦を継続する。

イスラエルは、おそらく、イランの防空システムや、周辺国が使用する兵器の電子誘導システムなど、この地域で予想される脅威の種類に合わせ調整済みの高度な電子戦技術を独自開発しているはずだ。■

Author Expertise and Biography:

Kris Osborn is President of Warrior Maven – Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


Could Israel’s Special F-35i Adir Destroy Iran?

Israel has made special efforts to engineer its own indigenously-produced weapons and technology into its F-35s

October 4, 2024


https://warriormaven.com/air/could-israels-special-f-35i-adir-destroy-iran


2024年4月23日火曜日

イスラエル国防軍はF-35Iアディールでイラン弾道ミサイルを撃破していた

 イスラエルがイランの大規模攻撃にどう対応したのか、断片的にせよ情報が出てきました。今回はWarrior Maven記事からご紹介します。



弾道ミサイルなど数百発のを使用したイランのイスラエル攻撃は、ミサイル防衛の進化の前に大部分が撃破された

ランが数百発の弾道ミサイルでイスラエルを攻撃したことは、ミサイル防衛の進化、イランの兵器庫の状態と有効性、そして、スタンドオフの距離で飛来するミサイルの脅威を感知し、追跡し、破壊することができる新技術を活用する新たな作戦コンセプトの可能性について、重要な新たな問題を提起している。

 イランの弾道ミサイル兵器のどの部分が、最近の大規模な「青天の霹靂」のようなイスラエル攻撃に使用された可能性があるのか。このような防衛に成功した防衛システムはどのようなものだろうか?

 イスラエル国防軍は、イランのミサイルの約99%を破壊できたと発表している。どうやってこれを達成したのか?

 というのも、アイアンドームや最近米国から供与されたペイトリオットミサイルのような精密な迎撃ミサイルは、個々の攻撃ミサイル、あるいは数発の攻撃ミサイルを追跡して破壊することは確かに可能であるが、イランのミサイルの一斉射撃からの防御は、最新鋭の精密な迎撃ミサイルでも難しいかもしれないからである。

 ペイトリオットやアイアンドームのようなIDFの防衛は、複数の攻撃目標を同時に破壊する能力を高めているが、IDFはミサイル防衛モードで作動する戦闘機で防空を補った可能性があるようだ。CNNに公開されたイスラエル空軍のビデオには、イスラエル戦闘機がイランの弾道ミサイルを迎撃、あるいは「打ち落とす」様子が映っているという。驚くべきことではないが、高度な戦闘機のセンサーと兵器の新たな戦術的利用法を示唆している。

 「イスラエル空軍が日曜日未明に公開した写真には、F-35とF-15戦闘機が、"迎撃 "と "空中防衛 "のミッションを成功させ、イスラエルの基地に帰還する様子が写っていた」、とCNNのエッセイが伝えている。


イスラエル国防軍は、アイアンドームとペイトリオットをうまく使っただけでなく、戦闘機を使って飛来する弾道ミサイルを追跡し、「打ち落とす」ことにも成功したようだ。

イスラエル国防軍は、F-35Iアディール型を使用した可能性が高い。アディール型は、イスラエル固有の技術、電子機器、エイビオニクスを補完した独自の特殊な統合打撃戦闘機である。F-35のセンサーの射程距離と精度は、飛行中のイランの弾道ミサイルがイスラエル領内に着弾する前に、安全なスタンドオフ距離で識別し「破壊」するのに適しているかもしれない。F-35は、作戦上有利な上空から弾道ミサイルを確認、追跡、破壊するのに十分な空対空、空対地センサーを備えている。レッドフラッグのような米空軍のウォーゲームでは、F-35はそれ自身が探知されないまま多数の第4世代航空機を追跡し、破壊する能力を示している。F-35の分散開口システム360度センサーと電気光学照準システムによって可能になったこのような技術的特性は、F-35が空中で安全なスタンドオフ距離からイランのミサイルを追跡し、迎撃することを可能にしたと思われる。


F-35が使用した兵器の種類は?

F-35は、AIM-9XサイドワインダーやAIM-120Dなど、イランの弾道ミサイルを破壊するのに十分と思われる幅広い空対空兵器を装備している。また、イランのミサイルを「妨害」しコースから外し、効果的に目くらましをするために、EWのような非キネティック・ソリューションが使われた可能性もある。

 F-35Aは現在、BAE社製のAN/ASQ-239 EWシステムを運用している。開発者によれば、このEWシステムは360度の探知、より広い探知範囲と信号の忠実度、高度な対抗措置を導入しているという。高度なEWシステムは、多数の周波数で同時に作動したり、妨害したりすることができ、脅威と信号を正確に識別し、周波数ホッピングなど重要な対抗策を可能にする。

 イランの戦略は、大規模な不意打ちの「青天の霹靂」弾道ミサイル攻撃で、イスラエルの防空、装備保管施設、指揮統制を単純に「圧倒」し、破壊しようとしたのかもしれない。■



Israeli Defense Force Uses F-35I Adir & "Fighter Jets" To Destroy Iranian Ballistic Missiles

By Kris Osborn, President, Center for Military Modernization


2023年11月3日金曜日

イスラエルのF-35が初の巡航ミサイル撃墜スコアをあげた。南北からミサイル攻撃の脅威にイスラエルが直面している。(The War Zone)


巡航ミサイルは、イスラエルに向けイエメンから発射された可能性が高い


スラエルは、F-35Iステルス戦闘機がガザ紛争で積極的な役割を果たしていることを認めた。最新鋭機が戦闘に参加していることを確認すると同時に、F-35Iが標的の撃墜に使われたことを確認した。

 イスラエル空軍は本日、X(以前はツイッター)への投稿で、次のように述べている:「空軍の管制・探知システムはここ数日、南東からイスラエル領空に向け発射された巡航ミサイルを探知してきた。巡航ミサイルの軌道を追い、アディール戦闘機を発進させ、迎撃に成功した」。

 アディールとはイスラエル空軍のF-35Iの名称で、"Mighty "または "Mighty one "と訳される。

 ツイートに添付された短いビデオには、F-35Iのヘルメット型ディスプレイ(あるいは光学照準システム)で収集されたと思われる映像が映し出され、ジェット推進式の有翼巡航ミサイルが十字線上にはっきり映っている。ほぼ間違いなくAIM-9Xサイドワインダーの赤外線誘導ミサイルが発射される瞬間を見ることができ、ミサイルが翼から離れると火花と破片のシャワーがフレームに近づいてくるように見える。ミサイルはその後、標的に衝突する前に激しく左旋回する。これは、AIM-9Xの高いオフボアサイト交戦能力を示す良い例のようだ。

 イスラエル国防軍(IDF)は、F-35Iの巡航ミサイルによる殺傷に続いて、同日、紅海上空でアロー対弾道ミサイルシステム(IDF用語ではヘッツと呼ばれる)による地対地ミサイルの破壊が行われたと発表した。

 「北から南まで、IAFとその防空アレイは、多次元的な防衛を提供し、イスラエル国家への多数の脅威に対して追加の保護層を提供するために展開されている」とIDFは述べた。

 F-35Iの迎撃については、正確な時間や場所、巡航ミサイルの正確な出所など、今のところ詳細は明らかにされていない。しかし、ミサイルがイスラエルに向け「南東から発射された」という主張は、それがイエメンでイランが支援するフーシ派武装勢力によって発射されたという現実をほぼ確実に指し示している。『タイムズ・オブ・イスラエル』紙も、ミサイルはフーシ派によって発射されたと結論づけ、IDFが "ここ数日、紅海上空でイエメンから発射されたドローンと思われる他のいくつかの標的を迎撃している "と指摘している。

 また、問題の巡航ミサイルは、フーシ派が使用しているクッズ・シリーズの兵器に非常によく似ていることも指摘されている。フーシ派はまた、ガザ地区のグループを標的にしたイスラエルの進行中の作戦に対する報復として、巡航ミサイルと無人機をイスラエルの標的に向けて発射する様子を映したというビデオ映像も公開している。

 もしそうだとすれば、ミサイルはイエメンのフーシ派が支配する西部から紅海を越え、イスラエル最南端の都市エイラートに向かって飛んだ可能性がある。あるいは、ミサイルはサウジアラビア上空を通過した可能性もあるが、なぜそこで迎撃されなかったのかという疑問が生じる。サウジアラビアはフーシ派のミサイルや無人機に対抗するため、戦闘機を使って撃墜するなど、豊富な経験を持っている。

 サウジアラビアは、今回のガザでの戦闘でも、フーシ派のミサイルや無人機の迎撃に関与している。10月19日、フーシ派は少なくとも4発の巡航ミサイルと20機近くの無人機を発射し、9時間の交戦の中でアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSカーニーによって迎撃された。サウジアラビアはまた、この事件の間に空中の標的と交戦し、他の標的も迎撃した可能性がある。

 ヨルダンで最近、フーシ派のクード型巡航ミサイルの残骸かそれに類するものを撮影したとする写真がソーシャルメディアに出回っているのも興味深い。

 同時に、昨晩サウジアラビアと紅海上空で米空軍のタンカーの活動が顕著に急増し、カタールのアル・ウデイド基地からKC-135ストラトタンカーが相当数飛行したことを示す飛行追跡データが出ている。未確認だが、これらの給油機はフーシ派のミサイルやドローン活動と関連している可能性がある。

 これまでのところ、イスラエル空軍は、F-15とF-16戦闘機が現在のガザ紛争で積極的な役割を果たしている証拠を数多く提供している。AH-64攻撃ヘリコプターや、武装したものを含むさまざまなドローンも戦闘に参加している。しかしこれまで、F-35Iが関与しているという公式な確認はなかった。

 しかし、多くの点で、イスラエルが今回の紛争でF-35Iを使用することは驚くべきことではない。イスラエルはF-35Iを戦闘作戦に投入する意欲を繰り返し示してきた。イスラエルは2018年5月、同機を攻撃作戦に使用する最初のオペレーターになったと発表し、それ以来、イランの無人機との空中戦でも成功を収めている。

 2022年、イスラエル空軍は前年にF-35Iが初の空中戦に参加し、イスラエル領内に向かっていたとするイラン製ドローン少なくとも2機を撃墜したことを明らかにした。これは、F-35で空中の脅威を破壊したことが確認された初めてのケースとなった。

 全体として、イスラエルはF-35Iの運用に独自アプローチをとっており、米国が提供する軍用機を自国仕様に適合させるという伝統を引き継いでいる。イスラエルはF-35Iを75機購入しており、イスラエル製の技術や兵器の割合が増えている。

 特にドローンの撃墜に関しては、高価なハイエンド戦闘機とそのミサイル武装、その他の防空システム、そして中東で直面する比較的低コストだが拡散しつつある脅威とのミスマッチが続いていることが、今回のような事件で浮き彫りになった。

An Israeli F-35I in a hardened aircraft shelter at the Ovda Air Base, north of the Israeli city of Eilat, in 2019. <em>Photo by EMMANUEL DUNAND/AFP via Getty Images</em>


2019年、イスラエルの都市エイラートの北にあるオヴダ空軍基地の強固な航空機シェルター内にあるイスラエルのF-35I。写真:EMMANUEL DUNAND/AFP via Getty Images


 しかし、F-35は、高度なアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダー、電気光学照準システム(EOTS)、センサーフュージョン機能を含むセンサー群のおかげで、巡航ミサイルやドローンに対処する装備を十分に備えている。通常、巡航ミサイルやドローンは低空を飛行するため、レーダー断面積が比較的小さいことと相まって、防空にとって特に難しい課題となっている。最新のAESAは、探知困難な目標を「見下ろし」、探知後は追尾して交戦するという点で、従来の機械式スキャンのアレイ・レーダーの能力をはるかに上回っている。

 空対空戦闘で、イスラエルのF-35IはAIM-120高度中距離空対空ミサイル(AMRAAM)と短距離AIM-9Xミサイルで武装しており、後者は巡航ミサイルの破壊に使用されているようだ。

 コスト面では、米空軍はAIM-120C弾1発に約100万ドル、AIM-9Xは1発あたり約475,000ドルとしている。その上、航空機の取得、メンテナンス、訓練、基本的なランニングコストなど、その他コストも考慮しなければならない。サウジアラビアは、フーシの無人機やミサイルとの戦闘を続けており、AMRAAMを大量に使用しているため、在庫補充が必要になっている。

 F-35Iはしばしば、厳重に防衛された地上目標を長距離で攻撃する「銀の弾丸」の打撃アセットとみなされるが、巡航ミサイルに対処する能力も大きな利点である。イスラエルは他のどの国よりも、あらゆるタイプの脅威に対処できる包括的な防空に多額の投資をすることに慣れている国だ。

 フーシ派が事実上イスラエルに宣戦布告したことで、彼らの武器の迎撃はさらに増えるだろう。ヒズボラも本格参入すれば、イスラエルの戦闘機部隊は、巡航ミサイルと無人機の両方による南北からの攻撃を防御するため大きな負担を強いられることになる。■



Israel Scores F-35's First Cruise Missile Kill | The Drive

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED NOV 2, 2023 1:31 PM EDT

THE WAR ZONE


2022年6月11日土曜日

イスラエルがF-35アディールの攻撃半径を拡大。その方法は。イラン攻撃の準備が進んでいるようだ。

 

 


直近の報道では、IAFのF-35が無給油でイラン攻撃可能に強化され、新兵器を搭載したとある。

 

スラエルメディア報道によると、F-35Iアディールの航続距離が延長され、空中給油なしでイランを攻撃できる航続距離を確保したとある。F-35の内部搭載用に新開発された国産スマート爆弾とあわせて発表された。イスラエル空軍の長距離攻撃能力のアップグレードは、イスラエル指導部がテヘランの核開発計画に強硬姿勢を強める一方で、イラン空爆のリハーサルとされる演習を実施する中で行われた。

 昨日付のエルサレム・ポスト紙によると、イスラエル空軍の「新能力」は、7機しかないボーイング707タンカーによる給油なしで、F-35でイラン内陸部を攻撃できるようになったことである。老朽化タンカーへの依存をなくすだけでなく、タンカー支援を必要としないF-35の攻撃パッケージは、柔軟で生存率が高くなったと言える。さらに、紛争空域や周辺部で、給油機の生存能力が懸念されている。イスラエルは現在、近代的なKC-46への交替を加速させている。

 

イスラエル空軍のボーイング707改装タンカーがF-15に空中給油している Yonatan Zalk/Israeli Air Force

 

 ステルス機の航続距離をどのように伸ばしたのかは不明だが、ドロップタンクで外部燃料を追加したのだろう。この場合、レーダーへの影響が大きくなるが、イラン領空に入る前にパイロンと一緒に投棄できる。もう一つの選択肢は、コンフォーマルでフラッシュマウントされた燃料タンクで、ステルス性と性能への影響を軽減できるが、大幅な形状変更や機体改造を伴う可能性もある。この種のタンクの統合とクリアランスは、同機の高度なまでの低観測モールドラインを犠牲にするため、複雑かつ非常に時間のかかるプロセスになる可能性がある。このデータが、同機の生存率の鍵を握る。

 共用打撃戦闘機に外部燃料タンクを統合する構想は、前からある。2019年にThe War Zoneは、ロッキード・マーティンが航続距離延長研究の一環で、主翼の下に600ガロンのドロップタンク2基を追加する検討をしていると報じた。この場合も、ステルス特性に影響を与えるが、総燃料容量は約40パーセント増加する。それ以前にも、480ガロンと460ガロン小型タンク追加の研究があった。

 

480ガロン落下タンクの外形図(左)と460ガロンタンク(右)。ロッキード・マーティンがJSF用に認証を受けようとしたのは右。. AIAA

 

 

 F-35機内にはハードポイントがあり、燃料タンク搭載が可能であり、イスラエル仕様のF-35Iを含め、この機能の導入は難しくない。

 ロッキード・マーティン広報担当は当時、Aviation Week誌に「当社はF-35の各顧客と航続距離延長を以前から話し合ってきた」と述べていた。「航続距離延長はミッションのプロファイルに依存するが、当社の研究では距離と滞空時間、つまりミッションの持続性の両方が大幅に向上することを示している」。

 基本型のF-35A、そしておそらくF-35Iは、現在公表の無給油戦闘半径は650海里強だ。つまり、IAFの戦闘機がイラン国境を越え標的に到達するのは不可能で、しかもこれは最短距離で侵入した場合の話だ。

 

650海里とされるF-35Aの無休油戦闘半径ではイラン国内標的の空爆には不十分だ. Google Earth

 

 注目すべきは、イスラエルが、ロッキード・マーチンでF-35の航続距離延長で重要な推進力になってきたことだ。イスラエル企業は、F-35のドロップタンクやコンフォーマル・タンク開発に携わっており、一部の作業はロッキード・マーチンに頼らず実施できた可能性もある。

 Aviation Week誌によると、イスラエル航空宇宙産業(IAI)とElbit Systemsの子会社Cycloneは、F-35I用コンフォーマルタンクと600ガロンドロップタンクの双方に取り組んできたという。いずれか、または類似のものが、IAFの作戦コンセプトの一部となる可能性がある。

 興味深いことに、アメリカ空軍のF-22のアップグレード案にも「低抗力タンクとパイロン」が含まれており、IAFがF-35で採用したソリューションと共通点がありそうだ。航空機のレーダー断面積にほとんど影響を与えない継手を使用し、パイロンとタンクを一緒に投下させる。

 また、米国海兵隊のMarine Air Plan 2022では、F-35B(およびF-35C)用の外部タンクの開発が提案されている。この構想は、イスラエル用に開発されたタンクと共通するところが多いかもしれない。

 また、ロッキード・マーチンが海外バイヤーと共同でF-35改良型を開発し、数千万ドル相当のエンジニアリング・サポート業務を行うとの謎の発表もあった。カナダ向けの給油プローブ付きF-35Aの可能性があるが、IA向けのの燃料キャリッジ強化もあり得る。

 F-35Iのパワープラント、さらにはソフトウェアの調整も、航続距離延長構想の一部の可能性がある。

 射程距離延長とあわせ、エルサレム・ポスト紙は、イスラエルがF-35に新採用した「1トン爆弾」にも言及している。これは、米国製のレーザー誘導爆弾GBU-24 PavewayやGBU-31 Joint Direct Attack Munitionと同じクラスとなる。GBU-31と同様に、Rafael Advanced Weapons Systemsが開発した新兵器は、F-35のレーダー探知特性に影響を与えないよう内部搭載できる。

 F-35に「最近統合された」とされるこの新兵器は、同紙によれば、「自律的かつ、ジャミングや電子戦システムから保護されている」 とある。しかし、誘導方式、スタンドオフ射程距離を確保できるのかなどは不明だ。また、IAFがこの兵器を最近テストし、結果をベニー・ガンツ Benny Gantz国防大臣と共有したことも紹介されている。

 イスラエルのF-35に搭載される予定の兵器には、ラファエルの精密誘導爆弾SPICEが含まれるが、空対空ミサイルやその他の兵器も含まれそうだ。新兵器は、2000ポンドのSPICE2000を機内搭載用に改良したものである可能性がある。

 

SPICE 2000 を搭載したF-16Cをイスラエルは2021年夏のガザ回廊での戦闘に投入した。Israeli Air Force

 

 イスラエルは2018年5月、同機を攻撃作戦に使用する初のオペレーターとなったと発表し、それ以降、イラン無人機の撃退でも成功を記録している。

 F-35I型への新機能追加については、2020年に同国に到着したステルス戦闘機がユニークな装備の試験型となったことが後押ししている。この単独仕様機は、武器の試験、エイビオニクス統合、機体の改造と試験など、イスラエル固有の装備を搭載する役割を担う。そのため、この機体はラファエル製の新兵器の射程延長改造とクリアランスの両方で重要な役割を果たしたと思われる。

 イスラエルは、特注テスト機だけでなく、F-35Iの基本的なミッション・ソフトウェアに独自の変更や追加を行い、ALIS(Autonomic Logistics Information System)に依存せず機体を運用する特別な取り決めもロッキード・マーチンと交わしている。これにより、新型燃料タンクや兵器を追加する作業もかなり容易になるはずだ。

 

テスト用のF-35I。うしろにF-15Iが見えるAmit Agronov/Israeli Air Force

 

 長距離飛行可能なF-35と新型精密兵器の機内搭載を合わせると、エルサレム・ポスト紙は「イラン攻撃の軍事計画を劇的にアップグレードする」と歓迎している。

 しかし、この計画は実用レベルでも試されているようで、IAFは先月、イラン攻撃を想定した大規模な訓練を4回以上も実施したと伝えられている。

 同紙によると、「炎の車」と総称される訓練では、最初の訓練は、イランのレーダーなど統合防空網を打ち負かすことに焦点を当てたという。特に、F-35Iは、センサー群、ネットワーク機能、特にステルス性能に助けられ、戦時中に重要な役割を果たす期待がある。

 演習2回目では、イラン国内の核施設を含む重要インフラを攻撃するため必要となる長距離作戦を実施した。地中海上空で米空軍タンカーがIAF機を支援中という誤報が出たのは、この演習が原因だった可能性がある。

 テストでは、イランの電子戦システムやサイバー兵器に対する防御も含まれていたようで、イスラエルが同国に空爆を行おうとする場合、既存の防空システム以上の各種脅威に直面すると予想される状況を反映している。

 また、イスラエルの匿名防衛関係者はエルサレム・ポスト紙に、イランの核開発能力に対し実施可能性のある作戦には、「各種距離の複数目標」が含まれると語っている。

 「炎の車」作戦には、第4世代のF-15とF-16戦闘機も含まれ、いずれもIAFの戦闘作戦で広く使用されている機種だ。実際、F-35Iの最新開発状況は、F-15Iに相当する長距離攻撃実施能力をIAFが強く望んでいることを示唆している。また、アドバンスト・イーグルの増備計画にも影響を与える可能性がある。

 イラン、特に核能力を標的とした新たな焦点の背景には、テヘランに従来より強硬な姿勢を示唆するイスラエル政府高官の一連の声明がある。

 今週初め、イスラエルのナフタリ・ベネットNaftali Bennett首相は、「テロと不安定のタコ」と表現したイランにむけた政策の変更を振り返った。

 ベネット首相は、イスラエル国防軍は現在、「足だけでなく、頭に対して行動する」ようになっていると述べた。この比喩では、タコの頭はテヘランの指導層を指している。しかし、首相がイラン体制を不安定にするための進行中の取り組み、将来の潜在的な作戦計画、あるいはその両方の組み合わせを示唆したのかどうかは不明である。

 イランが核兵器製造に必要な濃縮ウランを増産しているため懸念が増している。ベネット首相は、イランが純度60%以上のウラン濃縮に成功する可能性を指摘し、「イスラエルはこの状況は受け入れられないし、受け入れるつもりもない」と述べた。兵器用ウランには約90%の純度が必要だ。

 同時にテヘランは、核活動監視に使われていた計27台のカメラを撤去し、国連査察団の業務を困難にすることに躍起になっているようだ。国連は、この動きがイランとの核取引再開に向けた努力に「致命的な打撃」を与えかねないと警告した。一方、ドイツ情報筋によると、イランは不正な核開発計画に使える技術を獲得するため努力しているようだ。

 イスラエル軍、特に現地開発の武器や能力を取り巻く機密性の高さから、F-35Iの新兵器や航続距離延長に行われたらしい改造について詳しく知るには時間がかかりそうだ。しかし、イランの核開発問題が深刻化し、IAFでF-35が定着しつつある今、IAFにおけるステルス機の重要性、とりわけ長距離攻撃能力は高まる一方といえよう。■

 

Israel Has Extended The Range Of Its F-35s: Report | The Drive

 

BYTHOMAS NEWDICK

JUN 9, 2022 5:04 PM

THE WAR ZONE


2019年3月18日月曜日

イスラエル独自の仕様、運用構想のF-35Iアディールはどこが違うのか

イスラエルで独自に発展する装備品が多いのは、もちろん同国の科学技術の基盤もありますが、開発時にイスラエルに必要な装備の機能を目的から考えて構築する思考力だと当方は見ています。日本にも参考となる事業は多いのですが、われわれが考え方から変えていかないと表面だけの模倣に終わりかねません。イスラエルとの協力もはじまっているとききますが、思考の面から良い影響を受けてわれわれ自身の思考を鍛えたいものです。


Stealth on Steroids: Meet Israel’s F-35I Adir (An F-35 Like No Other)

ステロイドステルス:イスラエルのF-35Iアディールは全く別のF-35だ

F-35I Adir—or “Mighty Ones”—will be the only F-35 variant to enter service heavily tailored to a foreign country’s specifications.
F-35Iアディール(「強者」)ほど使用国の要求仕様にあわせ大幅改修された例はない
March 17, 2019  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: The Buzz  Tags: IsraelF-35MilitaryTechnologyWorldWorld

2018年5月22日、イスラエル空軍司令官アミカム・ノーキンがF-35Iステルスを戦闘ミッション二例に投入したと発表した。F-35による初の実戦作戦だったのは確実だ。
イスラエルのF-35Iアディール(「強者」)ほど海外仕様にあわせ大幅改修された機体はない。カナダ向けCF-35で空中給油用プローブと氷結滑走路用のドローグパラシュート装着案があったがカナダ政府が導入を取り消し実現していない。
第4世代ジェット戦闘機のSu-30、F-15、F-16で輸出用改修は普通にあり、現地製のエイビオニクス、兵装を搭載したり改修で該当国の空軍の方針や戦略的状況を反映している。イスラエルでもF-15Iラアム(「雷電」)や複座F-16Iスーファの例がある。またイスラエルでは導入後も国内改修してきた。その例がF-15Aイーグルで爆弾投下能力を付与しイラクのオシラク原子炉を破壊した。
だがロッキード・マーティンは特定国仕様にあわせたF-35改修は受け付けていない。これに対しイスラエルは例外扱いを求めた。同国はF-35開発に参画していないが、50機を急いで発注し、自国に有利な購入条件の交渉を開始したのは同国内でF-35主翼ほか高性能ヘルメットが製造されることもある。さらに本格的整備施設がイスラエル航空工業内に設置された。
2017年12月にまず9機のF-35が第一線配備され、2018年は6機が加わった。同国は二個飛行隊を編成し、さらに25機追加で三番目の飛行隊も編成するオプションを有する。ただし最近の報道では第三飛行隊はF-15I追加調達を優先するため先送りとあり、ステルスより航続距離とペイロードを重視するようだ。イスラエルは初期製造分のF-35で一機あたり110百万ドルから125百万ドルと高額を支払っているが、そのうち85百万ドル程度に落ち着くといわれる。
イスラエルの第一陣19機はF-35Aが原型で、次に調達する31機はイスラエル製ハードウェアを搭載した真の意味のF-35Iになる。報道では全機をF-35Iと扱っているが、初期機材も後日イスラエルのオープンアーキテクチャ方式の指揮統制通信演算(C4)システムに改修される。
ライトニングの高性能機内コンピュータと地上の補給システムにはF-35運用国は手が出せない。F-35コンピュータのソースコードへのアクセスで改修を希望する向きが多いが、ロッキード・マーティンは自社営業方針並びに安全保障上の理由で完全アクセスを認めていない。
F-35Iではイスラエル製C4プログラムをロッキードの基本ソフトの「上で」走らせてこの問題を回避している。センサーからのデータを吸い上げ僚機と共有する機能がF-35の中核性能だ。イスラエルでは空軍と陸軍がデータリンクを共有しロケット発射位置や地対空ミサイル装備を追尾する機能が重要だ。
IDFでイスラエル製データリンクと防御用エイビオニクスのレーダージャミングポッドを活用できるようになった。関係者がAviation Weekに語ったところではIAFはF-35のレーダー断面積が小さい利点に「5年から10年」は敵が追随できないと見ている。ステルス機の探知方法はすでに存在しており、長距離赤外線センサー、電磁センサー、低帯域レーダーがありそれぞれ制約もあるものの、今後開発中の量子レーダーが加わるかもしれない。
そこでIDFは「プラグアンドプレイ」方式の防御対抗装備を柔軟に搭載したいとし、新型ジャミングポッドが開発されれば都度導入する。イスラエル企業のエルビットイスラエル航空宇宙工業がこうした新装備を開発中である。F-35の高度な「融合型」エイビオニクスによりソフトウェアにもプラグアンドプレイの利用を想定し、機体対応が必要となる。こうした追加装備は2020年以降に引き渡される後期型の機体下部や主翼前縁に搭載されるだろう。
イスラエルは外部燃料タンク二型式も開発中でF-35の航続距離を伸ばす。非ステルス425ガロン入り主翼下取り付けタンクをエルビット関連会社が開発し敵地に接近してから落下する想定だ。(取付用パイロンも放棄してステルス性を守るといわれる)またステルス性能が不要なミッションに使う。さらにIAIがロッキードと共同でボルト取り付け式の機体一体型燃料タンクを開発するとし、機体にかぶさるように装置しステルス性能や空力性能を劣化させないとする。
F-35I用にイスラエル開発の各種兵装搭載で認証が出る予定で機内兵装庫にパイソン-5短距離熱追尾空対空ミサイルやスパイスファミリーの滑空爆弾を搭載する。後者は電子光学、衛星、あるいは有人誘導で60マイルの有効射程がある。
F-35兵装で仕向地専用仕様はイスラエルに限ったことではない。英空軍・海軍向け機材はメテオ、ASM-132空対空ミサイルを、ノルウェイとオーストラリアではノルウェイ開発の対艦ミサイルの運用が可能となり、それぞれの任務で重要な機能を反映している。米国はNATO同盟国にB61核爆弾用に改修したF-35の採用を期待している。
イスラエルはアディールをどう使うのか
ノーキン司令官の発表でイスラエルの同機の活用構想が明らかになった。同国の潜在敵対勢力イラン、シリア、ヒズボラに同機が領空進入できるとわからせ、初弾が標的に落下するまで探知できないことも知らせた。
F-35は第4世代機と比べ飛行性能が凡庸との批判があり、ドッグファイトで不利と言われる。一方で同機支持派からはステルス、センサー、長距離ミサイルにより敵に接近せず強力防御された標的の攻撃に適した機材だとの意見が出ている。.
この攻撃能力特化がイスラエル空軍に意味がある。1948年以降、空対空戦闘ではほぼ敵なしだったが1973年のヨムキッパ戦争で地上防空装備により甚大な損害を喫した。それ以降のイスラエル軍機はレバノン、シリアを中心に敵SAM排除のため空爆に成功してきたが、2018年2月に10年ぶりに機体喪失が発生した。シリアのS-200ミサイルがF-16を撃墜したのだ。
ベンジャミン・ネタニヤフ首相は軍事力でイラン核開発を阻止すると公言し交渉による解決を一貫して退けてきた。イスラエルとしては米国による攻撃を期待するがF-35導入でイスラエルが空爆に踏み切る可能性がより現実的になった。
だがイスラエルが空爆しようとすればトルコ領空の横断が必要となり、あるいはヨルダン、シリアを通りイラク経由でイラン領空に侵入することになるが600マイルの距離がある。また標的施設はイラン国境線から内陸地にある。このため第4世代機では戦闘行動半径の制約で空中給油機を動員すれば空襲を知らせることになる。さらにイスラエル機がイラン防空網を打倒するには追加機材の投入も必要となる。
イスラエル機がトルコ領空に2007年侵入したのはシリア北部の原子炉攻撃の際のことだった。だが一回ならいざしらず外国領空を繰り返し侵犯するのは困難だ。そこでF-35がイラン防空体制を突破しその他国に探知されなければ攻撃部隊の規模を小さくできる。
イスラエルはF-35を追加調達し320機残るF-16の後継機種にする意向があるようで、まず最古参のF-16Aネッツを交替させるだろう。伝えられるところではイスラエルはF-35Bジャンプジェットの導入も検討しているらしい。F-35Bといえば小型空母や島しょ部からの運用を思い浮かべるがイスラエルの場合は分散配備で敵の基地攻撃による被害を避ける効果を期待する。だがF-35Bが空戦性能が劣りながら機体価格が高いためこの運用方法に疑問が残る。空軍より政界がF-35B導入に乗り気といわれる。
イスラエルには複座型F-35を求める声もあり、訓練用途意外に後席にウェポンシステム士官を乗せ精密誘導兵器運用をまかせパイロットには操縦に専念させたいとする。
イスラエルのアディール部隊は今後も見出しを飾るだろうが敵のレーダーには見えにくいはずだ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .