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2017年9月23日土曜日

米空軍がスコーピオンに関心示す、軽攻撃機実証に続き軽ISR機材になるのか


スコーピオンにやっと出番が来るのか、当初は関心さえ示さなかった米空軍もさすがにここにきて時間当たり運航費用が数千ドルですむ同機の経済性を無視できなくなったのでしょうか。でもあれやこれやと大型化してせっかくの経済性が犠牲になっては元も子もありません。あ、まだ採用されたわけではないので心配は不要ですね。それにしても次世代軽攻撃機の実証結果はいつわかるのでしょうか。ここでもスコーピオンの優勢が期待されますね。

テキストロンのスコーピオン、テスト飛行中 (Darin LaCrone/Textron Airland)

Light ISR: The Air Force’s next experiment?

米空軍は軽量ISR機材の実証も行うのか。

By: Valerie Insinna    7 hours ago

NATIONAL HARBOR, Md. — 米空軍が安価な既存機材を軽量情報収集監視偵察(ISR)機材として空軍が進める軽攻撃機材検討と並行して機能実証の機会を設けるべきかの検討をしていることが分かった。
空軍は軽攻撃機候補四機種の実証を8月にホローマン空軍基地(ニューメキシコ)で行ったばかりだ。この実証ではテキストロンのスコーピオンがマイク・ホームズ大将Gen. Mike Holmes航空戦闘軍団司令官の注目を集めたのはモジュラー機体設計で広範なセンサー装備を搭載できるからだ。
ホームズ大将は同様にISR機能に絞った実証ができないか検討していると述べている。
「機内に相当の格納部分がある機材が多い中でセンサー多数を搭載する余地があるスコーピオンは興味をそそる対象」と9月18日の空軍協会主催年次総会で語っている。
「推力がもう少しあれば冷却能力が増える。この機体をペイロード実験に使えないか提案しており、今後の実験も期待したい」
ただし軽量ISR機の実証実験は正式決定ではないがホームズ大将によれば空軍上層部は既存機材でも航空優勢で心配のない空域を偵察任務をMQ-9リーパーのような機材より低コストで実施できるのかを検討しているのだという。
米空軍がこの実験を実施すると決めれば、他の企業にも参加の扉が開くはずとアーノルド・バンチ中将Lt. Gen. Arnold Bunch(調達部門トップ)は述べている。■

2016年12月7日水曜日

12月7日のヘッドライン




12月7日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

J-20を甘粛省に配備
民間商用衛星の画像により中国甘粛省Dingxi にJ-20が2機11月17日に到着しているのがわかった。同基地は米空軍ネリス基地に相当するウェポンスクールの所在地である。


新潜水艦「コロラド」
12月3日にコロラド州デンヴァー製発泡ワインを艦体に打ちあてて命名を完了した。同艦は2019年に就役し300隻体制を目指す米海軍の一部となる。ヴァージニア級攻撃潜水艦の15号艦の建造単価は27億ドル。コロラドの艦名はこれで四隻目。直近は第2次大戦の戦艦だった。

戦場で改良を続ける小型飛行船
常時情報提供のため小型飛行船がアフガニスタン等に投入され、有効性を証明している。無人機より費用が抑えられるのも魅力だ。従来の飛行船は低空に配置され脆弱だったが新技術で高空に数か月滞空できるようになっている。太陽光発電を応用してセンサーを使える。ただし軍は新政権の方針が出るまでは静観の立場だ。

米海軍がF/A-18E/F追加調達か
米海軍はF/A-18旧型ホーネットに代わりE/Fスーパーホーネット数十機程度の調達を検討していると判明した。決定となれば2018年度予算に盛り込む。旧型機の整備に手間がかかりF-35Cの供用開始が遅れていることもあり、70機程度のホーネット機体数が不足するという。

高性能無人ステルス偵察機を求める米空軍
米空軍はU-2やRQ-4グローバルホークを上回る性能のステルス無人ISR機材で内陸部の偵察飛行を実施する方策を求めている。すでにこの機体が完成している可能性もある。ではロッキード・マーティンRQ-170やノースロップ・グラマンRQ-180はどう運用されているのか。空軍は情報を一切開示していないが、嘉手納基地等が攻撃にさらされる可能性が増していることで長距離運用等の高性能化が必要なのは確実だ。

マティス次期国防長官候補に各界から賛意あいつぐ
「狂犬」と言われればいかにも恐れを招きそうだが、右派左派問わず同盟国からも人事を歓迎する声が強い。同大将の仕事ぶりを見てきた該当国でその傾向が強い。


2016年10月3日月曜日

イラン国内に不時着したRQ-170の謎とリバースエンジニアリングで生まれたイラン製「雷電」UAV


技術を一気に進める安価な方法はその技術を盗むことで、古今東西同じです。盗む側にとって棚からぼたもち状態なのは欲しい機体がこちらにやってくることで、今回のRQ-170の他にもサイドワインダーミサイルやB-29の例がありますね。今回の事例では機体そのものより内部の情報や情報収集手段が手に入った価値のほうが高いのではないでしょうか。

Iran unveils new UCAV modeled on captured U.S. RQ-170 stealth drone

Oct 02 2016

  1. 10月1日イランのイスラム革命防衛隊(IRGC) が新型戦闘無人航空機(UAV)セエケエSaeqeh(雷電)を公表した。
  2. 新型無人機は長距離型で精密誘導爆弾四個を搭載し、原型は米RQ-170センティネル(2011年にイランが捕獲)だ。
  3. IRGC航空宇宙部門長アミラリ・ハジザデ准将はイランは米国を上回る性能の航空装備を有するにいたり、UAV部門の工業力はミサイル部門同様に発展するだろうと述べている。
  1. イランはRQ-170をコピーしただけでなく、新たな性能を実現したようだ。「カンダハールの野獣」がイラン国内に不時着した背景は現在も謎のままだ。イラン機はセンティネルより微妙に主翼が小さいがRQ-170にある機体前面の空気取り入れ口がない。
  2. また同機に着陸装置がついているのかも不明だ。
new-iranian-drone-copy-rq-170-2
  1. 本誌が2011年以来報道しているように謎の解明には多数の説がある。
  2. イラン側は同機をハッキングしたと主張しているが、ステルス無人機はレーダーでは探知できないはずで、イラン東部で故障のため不時着したのだろう。(また米軍は同機の捕獲防止のため派遣された特殊部隊は同機破壊ができなかった)
The Iranians say the RQ-170 was hijacked using Jamming and GPS spoofing attack tailored on known vulnerabilities of the UAV highlighted in Air Force official documents.
  1. イランはRQ-170の制御乗っ取りにジャミングとGPS探知攻撃を使ったと主張し、米空軍も認めるUAVの弱点に言及している。
  2. だが筆者は一番可能性が高い説は同機はレーダー探知されず、イランの無人砂漠地帯に何らかの故障のため不時着したと信じる。
  3. 米側は当初はこの事件を公表しないつもりだった。なぜなら無人機が不時着した地帯で同機の発見は不可能、あるいは機体が相当の損傷を受けていればイランが捕獲したとしても技術の獲得は困難と見ていたためだ。また公表吸えばイラン上空でのスパイ活動を認めることになり、イラン核開発を阻止しようとするイスラエル秘密作戦に与していることが暴露されてしまう。
  4. だが羊飼いがほぼ無傷の同機を発見すると一気にニュースがあふれ、米側も同機喪失を認めざるを得なくなった。イランには思わぬ好機となり、世界向けに宣伝戦を展開し、同国の電子サイバー戦能力の成果だと喧伝した。
  5. いうまでもなく、以上は同機が学校体育館の中にある写真が公表されてからの推測の一つにすぎない。このシナリオではジャミングやGPS探知、衛星リンクの暗号解読や制御リンク乗っ取りは全く関係ない。イランは確かにこの分野での技術を示しているため、一部説ではUAVをジャミングして乗っ取ったとしているが、米無人機に技術上の弱点があるのは事実だが現実とあまりにもかけ離れた解説と言わざるをえない。
  6. イランはさらに別のUAV二機種を入手している。RQ-11が二機と少なくとも一機のスキャンイーグルがペルシア湾からイラン国内に侵入した後に捕獲されている。
  7. いずれにせよ2013年2月にその二年前に捕獲したRQ-170内部のデータの暗号解除に成功していなくてもデータの一部にアクセスできた映像を公開している。
  8. センティネルが撮影した画像では機体下部のカメラがカンダハール飛行場に着陸する様子、C-130が一機、リーバーが少なくとも一機カンダハール基地のシェルターに入っているのが見える。
  9. そうなると内蔵メモリーは有益な情報を含んだままで、機体制御が失われた際に完全に自動消去されていなかったことになる。搭載するFLIRタレットが撮影した画像含めデータが入手された可能性がある。
  10. 2014年5月11日にイランはセンティネルをコピーしたUAVを明らかにリバースエンジニアリングの成果として公表した。イラン版のUAVは捕獲したセンティネルの隣に展示されていた。
  11. 2014年11月10日にIRGC航空宇宙軍司令官アミル・アリ・ハジザデ准将から同機の初飛行に成功したと発表があった。センティネルのコピー機が飛行する様子のビデオが公開されている。
  12. 2016年10月1日に公開された写真でイランがRQ-170のコピー機を多数整備しているのがわかる。次に来るのは何か要注意だ。
new-iranian-drone-copy-rq-170-3
Image credit: Sepahnews, @Azematt

2016年8月15日月曜日

★TR-XはISR機材として採用をねらうロッキードの高高度ステルス無人機構想



ここで言っているTR-XはU-2無人機版としてロッキードが提唱していたコンセプトの発展形でしょう。供用期間の途中で大幅にステルス性能などを引き上げていく(当然同社には改修費用が収入源となる)という同社にとって虫のいいお話になります。実現するか未定ですが、予算危機とはいえ、大事なISR機材を調達できないくらいアメリカは弱っているのでしょうか。短期的なつじつま合わせでなく情報収集手段として今後稼働できるのならいい買い物になるのですが。

Aviation Week & Space Technology

Lockheed’s TR-X Reconnaissance Aircraft Will Have Stealthy Shape, Skin

Lockheed Martin is pitching TR-X, a stealthy, high-flying UAS, to replace U-2 and Global Hawk
Aug 12, 2016 Lara Seligman | Aviation Week & Space Technology

  1. ロシア、中国がミサイルを高度化する中、米空軍のロッキード・マーティン有人U-2およびノースロップ・グラマンのグローバルホーク無人機は敵国境線へ接近が困難になりつつある。
  2. ロッキード・マーティンは自社のスカンクワークスならこの課題を解決できるとし、これまで公開していなかった無人TR-X提案のステルス性能を今回明らかにした。高高度飛行しステルス性の外装およびレーダー波吸収表面で敵領空深くへ侵入できるようになるとロッキードでU-2事業開発部長を務めるスコット・ウィンステッドが述べている。

ロッキードの考えるステルス偵察機開発案
  • 初期型TR-XはU-2の高性能センサーを搭載した低視認性機体とする
  • ステルス性能は機体のステルス形状とレーダー波吸収表皮で実現する。
  • ロッキードが開発中の極超音速SR-72を補完する役割も期待
  • 初期型30機を38億ドルで7年以内に稼働開始させる

  1. ロッキードはTR-Xコンセプトを昨年の空軍協会の年次総会で発表し、U-2とグローバルホークの後継機として今世紀一杯稼働できるとうたった。その際にTR-Xは低視認性機体だと述べていたがステルス性能の詳細には触れていなかった。
  2. 今後は相手領空上空への侵入が出来なくなるのが普通となり、高性能センサー、高高度飛行、長距離飛行性能にステルスを加えてISR情報収集監視偵察任務での優位性が実現するとウィンステッドは述べている。高性能センサーの例が電子スキャン方式アレイレーダーで、現行のU-2やグローバルホークに搭載すれば敵領土奥深くまで侵入できるが、機体表皮そのものを全く新しくしないとレーダー探知からは逃げられないとウィンステッドは指摘する。
ロッキードTR-X構想では最終的にステルス機体となりレーダー吸収被膜とすることで敵地億副区に侵入可能となる。Credit: Lockheed Martin Concept
  1. 「そうなると敵はレーダー出力を上げないと探知できなくなり、こちら側はそれだけ接近でき戦時に有利になります」
  2. TR-Xの空軍採用を期待するロッキード・マーティンは二段階の開発をする。第一段階は低視認性機体で当面の必要条件に答え、その後、ステルス性を高めた機体としてレーダー吸収表皮を追加する。
  3. TR-Xはノースロップの極秘RQ-180とロッキードが開発中の極超音速SR-72に加わり、空軍の求める侵攻型ISR機材の一角となる想定だ。一機種ですべてを実現するのではなく、複数要求に選択肢複数とし、脅威環境の変化に対応する考えだとレベッカ・グラントIRIS独立研究所の社長が解説。
  4. SR-72がマッハ6で飛行すれば速度と残存性が武器となる。理論上は同機は危険空域でも存分に活動でき、敵の地上移動目標が隠れる前に探知し、高速で帰還し、途中でネットワーク有効範囲に入れば情報を送信する。
  5. 将来において空軍はステルス高高度飛行のTR-Xと極超音速のSR-72双方を運用する必要に迫られるはずとグラントは言う。TR-Xは常時滞空する空の目となり、変化を見逃さず、現在のU-2の役割を果たすというのだ。何らかの変化の兆候が見つかれば、あるいは具体的な脅威の兆候が見つかれば、SR-72が出動し、データを迅速に収集する。
  6. TR-Xは当面はU-2と同じ非ステルス性機首に合成開口レーダーあるいは強力なSYERS-2電子光学赤外線(EO/IR)カメラを搭載して空軍にISRを提供するとウィンステッドは語り、初期機材のTR-Xはまっすぐな主翼構造でステルス機の特徴と反するが、機体構造は低視認性だという。
  7. 高高度飛行はU-2から、長時間飛行はグローバルホークから引き継ぎTR-Xは一つの機体にする。無人機であるためU-2より航続距離が延びる。24時間連続飛行が可能で、空中給油でさらに伸びる。グローバルホークは28から30時間連続飛行できる。U-2と同じ強力なジェネラルエレクトリック製F118エンジンを搭載し、高度70千フィート飛行が可能で、グローバルホークより10千フィート高く飛びながらペイロード5千ポンドを搭載する。
  8. 空軍の予算執行案ではU-2は2019年に退役し、グローバルホークにU-2のセンサーを搭載した改良型を後継機とする。だがTR-Xの方が短期ISR需要にはコストパフォーマンスが高いとウィンステッドは説明。ロッキード試算では初期30機の機材をそろえるのに38億ドルで、7年間で稼働開始できるという。これに対しグローバルホーク改修案では35億ドルで「U-2性能の80%相当にしかならない」という。
  9. TR-Xの初期機材は敵防空網の境界部分なら活動できるが、敵領土奥深くへ侵入できない。「それでも生き残り、気づかれない」とウィンステッドは以前述べていた。
  10. その先に来るのが最終案TR-Xでステルス性能を完全に実現するという。レーダー波吸収式の表皮塗膜と構造材料に加え、一体型ステルス設計の機体でレーダー波を反射する。
  11. ロッキードはTR-X最終型の費用、所要時間を確定していない。機体構造改修を行いステルス性能を実現する妥当な時期は機材の定期点検改修時だとウィンステッドは述べる。U-2の場合は6年周期で重点検を受ける。30機のTR-Xをすべて改修するのか一部にとどめるのかは空軍が判断すればよいというのがウィンステッドの言い分だ。
  12. ロッキードは空軍上層部にTR-Xおよび発展型を事前説明しており、新型機は来年再来年にも実現できると同社は述べ、ボブ・オットー少将(ISR担当副司令官)は同社構想に「興味をそそられた」というが、航空戦闘軍団はTR-X導入の予算はないとし、他に近代化の対象となる重要案件B-21爆撃機、F-35、KC-46給油機などがあるとする。
  13. だがウィンステッドに落胆の様子はなく、ステルス高高度ISR機材の必要性はすぐにでも明白になるという。「最大の障害は調達部門で新規事業が必要となるはずなのに構想を巡らす余裕がないこと」とし、「でも性能検討でニーズを見れば、ニーズが増える一方だと分かり優先順位も高くなるはずです」■


2016年6月24日金曜日

海兵隊の老兵EA-6Bはイラク、シリアでISR任務にも投入されている


The U.S. Marines’ Jamming Jets Are Spying on Islamic State

Old EA-6Bs get a new role

by JOSEPH TREVITHICK
イラク上空を飛ぶプラウラーにライトニングポッドがついている。 U.S. Air Force photos.

EA-6Bブラウラー電子戦機が米海軍、海兵隊で供用開始したのは1971年で強力な搭載ジャマーを使った敵レーダーや通信の妨害が主任務だった。

  1. 海兵隊はじめ各軍で機材不足が深刻な中、わずかになってきたプラウラーも穴埋めで使われ、イラク上空でスパイ活動に投入されている。
  2. 2016年5月にISISに対抗するペンタゴンの特別部隊がFacebookに掲載した写真にこれまでと異なる機体各種が写っていた。その中に海兵隊第四戦術電子戦飛行隊所属のプラウラーがあり、通常のジャミング装備ではなく目標捕捉ポッドを搭載していた。
  3. 2015年1月時点で海兵隊はWar Is Boringにプラウラーがイスラム国戦を支援中と発言したが具体的には何も教えてくれなかった。各機は海兵隊が主に使用しているクウェートのアーメド・アル・ジャバー基地を本拠地にしている様子でトルコのインチリック空軍基地にもEA-6Bが増派されている。
  4. 「プラウラーは連合軍各機や地上部隊の防護の傘となりダーイシュの通信を妨害してくれる」と米空軍のオマー・ヴィラレアル少佐(空軍中東メディアオペレーション主任)がWar Is Boring にメールで語った。少佐はイスラム国の別称を使っている。
  5. ありがたいことにイラク国内のテロリスト集団には長距離レーダー誘導による地対空ミサイルの装備はなくプラウラーは妨害を加える必要がない。だがイスラム国のプロパガンダは高度に組織化され技術も高く、通信ネットワーク、ラジオ放送他を沈黙させる機会は豊富にある。
イラク上空を飛ぶプラウラーにライトニングポッドがついている。 U.S. Air Force photos.
  1. 「EA-6BはNTISRポッドを搭載できます」と少佐は述べ、「非通常型情報収集監視偵察non-traditional intelligence, surveillance and reconnaissance」任務について言及している。「ただし保安上の理由から同装備をどう使っているか詳細はお話しできません」
  2. ノースロップグラマンが製造したライトニングポッド Litening pod はスマート爆弾やミサイルの照準用だが、偵察用途にも使えると同社は売り込んでいる。高解像度赤外線カメラとレーザー画像センサーを搭載し、空中からのスパイ活動に最適だという。
  3. 海兵隊は2007年にプラウラーに同ポッド搭載の改修をしており、とくに監視偵察用途を狙った。海兵隊航空部隊はこの機体をイラクに持ち込んでいる。
  4. この追加装備でプラウラーは道路わきに爆発物を埋める戦闘員を追尾し、携帯電話からの爆破信号を電子妨害できる。また乗員は新しい目標を発見すれば空爆を要請したり、地上部隊へ警告できる。
  5. EA-6Bは増槽をつければスパイ任務をさらに長時間延長することが可能で2,000マイルの飛行が可能となる。
  6. クウェートの基地からイスラム国の拠点地モスルまで往復1,200マイルで、イラク政府軍が奪回を急ぐファルージャまでは400マイル短くなる。
トルコのインチリック航空基地に着陸しようとするEA-6B、 2016年4月撮影. U.S. Marine Corps photo
  1. ペンタゴンはプラウラーの話題では口を閉じているが、米海軍安全本部は同機がイラク上空で情報収集活動についていると認めており、おそらく2014年に投入されていたのだろう。その理由としてダグラス・デヴオノ海軍大尉は同本部発行のApproach誌上で2015年3-4月号で乗機EA-6Bの空調が飛行中に故障したと伝えている。
  2. 「イラク上空の長時間飛行中に発生した」とあり「NTISRミッションの最中だった」と述べている。
  3. 記事では当該機の所属は明示していないがAP通信が同大尉が家族と映る写真を2014年11月に配信しており、キャプションでは空母USSジョージ・H・W・ブッシュ航空隊所属としている。
  4. ブッシュは9か月に及ぶ海上任務からヴァージニアの母港に戻ったばかりだった。艦載機はプラウラー5機も含め空爆他のミッションをイスラム国相手に実施していた。
  5. これが海軍のプラウラーに最後の実戦展開となった。空母の帰還から7か月して海軍は同機運用を終了している。
  6. 一方で海兵隊は同機を電子戦機材として少なくとも2019年まで使う予定で、イスラム国戦に投入していくようだ。
  7. 3月27日に空軍中将チャールズ・ブラウンが中東地区の最上級将官として報道陣に情報収集増強の必要性を話している。「もっと情報があれば民間人被害を最小限に食い止めつつ精密攻撃を継続できる」
  8. ペンタゴンはイラク、シリア両国で空中情報収取活動を広げる必要に迫られている。さらにスパイ機や無人機はアフガニスタンやイエメンの上空も飛行する必要がある。
  9. 空軍は監視偵察機を要注意地区のウクライナや南シナ海上空にも飛ばす必要があり、ブラウン中将にとってプラウラー隊がイラク上空にあることは心強いにちがいない。
  10. 海兵隊のF/A-18ホーネット戦闘爆撃機も臨時に情報収集ミッションをプラウラー同様に行えるが、ホーネットはすでに酷使気味である。予算削減の上ずっと遅れたままのF-35ステルス戦闘機に予算が流れるため、海兵隊航空部隊はホーネットを飛行させるだけで精一杯の観がある。
  11. 2016年4月20日には海兵隊で航空部門トップのジョン・デイヴィス中将がワシントンの議会で海兵隊保有のジェット機材で飛行可能な状態なのは32パーセント90機未満しかないと驚くべき発言をしている。
  12. 海兵隊もゆくゆくはEA-6Bの後継機種としてF-35を投入する。だが共用打撃戦闘機の実用化が数年先のままで最前線に大きなしわよせがきており、機齢45年のプラウラーは当面第一線でがんばるしかない。
  13. イラク、シリア、ペンタゴン、海兵隊で状況がこのままだと、海兵隊プラウラー乗員は通常ミッションに加え情報収集任務を覚悟しなければならない。

2013年5月23日木曜日

無人機で大きく遅れたフランスは米国、イスラエルに供給を要請。

France In Talks With U.S., Israel To Buy UAVs: Minister

By Reuters
aviationweek.com May 20, 2013
Credit: Tony Osborne
フランスが米国・イスラエルと情報収集用途の無人機購入の交渉中。機材近代化を図りたいと国防相ジャン・イブ・ルドリアン Defence Minister Jean-Yves Le Drianが明らかにした。

フランスの現有機材は旧式化しており、マリへの軍事介入で監視偵察用無人機の不足が露呈した。実際は米国がニジェールから発進させた無人機でフランス軍司令部へ情報を提供している。

「わが国はこの分野の能力を短期間で確保する必要がある。現時点で無人機を製造できるのは米国とイスラエルしかない」とルドリアンは発言。

ルモンドによるとフランスは米国防総省よりリーパー購入の許可を取得済みで米議会の承認を待つのみという。同紙によるとフランスは5機ないし7機のリーパーで300百万ユーロ(384百万ドル)で購入を想定し、今年末までに2機をマリに投入したいと考えている。

ハードウェアの海外調達はフランスにとって微妙な問題で、これまでも同国は国防装備整備で同盟国への依存は極力避けている。

ルドリアン国防相によればフランスは無人機では他国に大きく水をあけられているが、長期的には自国ならびに欧州内で国産無人機を生産するべく整備するとしている。■