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2017年11月12日日曜日

米空軍JSTARS,T-X,OA-X事業の現状と行方


米空軍も大変ですね。技術が進歩する中で機材は老朽化し、地上戦など従来の延長では考えにくい要求に答えねばなりません。お金を出す議会は支出にキャップをはめたままですが、戦力維持のための研究開発、調達など事業は待ったなしですから。技術経営、組織運営、議会対策といろいろ課題が多いようです。

Here's the latest updates on where JSTARS, T-X and OAX stand


E-8C Joint Surveillance Target Attack Radar System (JSTARS)の行方がはっきりしないがミッションが不要になるわけではないと空軍首脳部は述べている。 (USAF/Tech.Sgt. Carlos J. Trevino)

By: Aaron Mehta 1 day ago


WASHINGTON – 米空軍の次期JSTARSと軽攻撃機はまだ方向性が見えないが次期練習機では契約交付は来年早々で生産開始も同年内になる。
空軍長官ヘザー・ウィルソンHeather Wilsonは参謀総長ディヴ・ゴールドフェイン大将と三事業の現況を11月9日記者に説明した。

【JSTARS-方向性が見えない】
  • JSTARS新機種を選定し大型レーダーを搭載する従来通りの事業を想定し国防大手企業数社が各社案を売り込んでおり、基礎作業は完成している。
  • 今秋が大きな山場となり、ウィルソン長官は「迅速評価」で既存機種でJSTARSが実現可能かを判断する。
  • だが長官と参謀総長は従来のJSTARS機能から大幅にネットワーク機能を強化した構想に関心があるようだ。
  • ウィルソン長官はJSTARS原案は本人が国家安全保障会議スタッフだった1991年のもので、「それ以降技術は大きく変わっている」と強調。「現行JSTARS機能では第一線指揮官の要求の5%しか満足させられない」と述べ新JSTARSが配備されても「1%がやっと」だろうと認めた。
  • だがJSTARSを放棄するのは至難の業だろう。議会がJSTARSに400百万ドルを国防支出法案に盛り込みずみのためだ。
  • デイヴィッド・パーデュー上院議員Sen. David Perdue(共-ジョージア)は空軍がJSTARS更新事業に及び腰になっていることは地上部隊が危険になるのを放置するものだと非難。「空軍が態度を変化させているがこれまでの空軍の説明と矛盾する」「空軍が考え直したのなら実情にどう対応するつもりなのか厳しく問い詰める」
  • ゴールドフェイン大将は単一の高性能機材を運用すれば旧型機を運用する各方面との連絡通信が困難になると主張しているが、空軍が地上部隊には必須の機能の継続に及び腰になっているとの観測は強く否定。
【OA-X-実証結果を待つ】
  • 軽攻撃機を巡り三社が実際の機体を空軍パイロットに操縦させ各機の能力を過酷な砂漠の環境で実証した。
  • 軽攻撃機構想はOA-Xと呼ばれ、ウィルソン長官は今夏に実施された四型式の機種の実証結果を待っているところだ。年末までに結果が出る。
  • JSTARS同様にOA-Xも400百万ドルが確保されており、議会有力議員は事業の推進を強く望んでいる。
【T-X選定決定は2018年上半期か】
  • 次期練習機T-Xはもう少し具体的だ。
  • T-Xは5年間で20億ドルと現時点で軍最大規模の提案競争で主契約を巡りロッキード・マーティンボーイングレオナルドDRSの三社に絞り込まれた。
  • 議会が新規事業を制約する条項を外した予算案を通過させても契約交付は来春以降になりそうだ。
  • 空軍次官マット・ドノヴァンMatt DonovanはDefense Newsの10月の取材でT-X契約交付は来春、おそらく三月末と語っていた。
  • ウィルソン長官も契約交付は来年とだけ述べているがT-X生産開始は2018会計年度末までに開始することに変わりないとする。■
Aaron Mehta is the Senior Pentagon Correspondent and Associate Editor for Defense News, covering policy, strategy and acquisition at the highest levels of the Department of Defense and its international partners.

2017年7月20日木曜日

米空軍向け採用を狙うガルフストリームの狙いは特殊用途機の小型化


以下記事はガルフストリームが行ったメディアツアーの結果なので多分に同社の言い分が中心で内容は要注意です。こんな小型機でボーイング707原型機が行っているミッションがこなせるのなら大幅に運航経費がひらせていいのですが、大きいことはいいことだ、大は小を兼ねると信じる向きには簡単に信じられないでしょうね。


Gulfstream mounts pro-bizjet blitz ahead of major Air Force competitions ガルフストリームが空軍採用を期待しビズジェットを攻勢中

 By: Valerie Insinna, July 18, 2017 (Photo Credit: Gulfstream)

WASHINGTON — ガルフストリームは同社G550が空軍向け次期JSTARSおよびコンパスコールに採用されると期待し、空軍への営業活動を大々的に開始している。空軍は特殊作戦向け機材の次期機種検討も始まる。
  1. ガルフストリームはまず小型ビジネスジェット機でも要求水準は十分実現でき、大型旅客機は不要だと空軍の説得する必要がある。
  2. 「米国だけでなく世界各地で進行中の案件で商談していますが、根本的な課題は次世代機材はビジネスジェット機、旅客機のいずれを原型にすべきかという点です」とトロイ・ミラー同社軍用販売営業担当副社長が述べている。同社は報道陣を7月13日サバンナ(ジョージア州)に招き、G550生産拠点を公開し特殊用途への改装工程を見せた。
  3. ガルフストリーム社関係者はボーイングを名指さなかったが同社プレゼンテーションではJSTARSやコンパスコール向けにG550を提案する方がボーイング737-700のような旅客機を原型にするより優れているとの主張が中心だった。
  4. 「空軍が進める構想の方向性そのものについてはコメントできません。空軍上層部とは定期的に意見交換しています。空軍は当社機材の提供する性能に大きく関心を示していますよ」(ミラー)「最終的には空軍は最終決定を迫られます。どちらがふさわしいのか、どちらの提案が正しいのか。ただし世界規模での特殊用途の方向性を考えればビジネスジェットに向かうのが自然な流れと思いますよ」
  5. 今後数か月で空軍は特殊任務用機材二機種で重要な決断を迫られる。結果は各社競合にも影響を及ぼす。JSATRSの後継機選定は早くて来年初めでノースロップ・グラマンがガルフストリーム、L3と共同してボーイングに対抗している。ボーイングは737-700を提案し、ロッキード・マーティンボンバルディアとチームを組みグローバル6000ビジネスジェットを提示している。
  6. ガルフストリームはコンパスコールでも採択を期待する。同事業はボーイング、ボンバルディアからの抗議を受けており、両社の言い分は調達方針がガルフストリームに有利にというもの。
  7. さらにミラーはビジネスジェットは電子戦、ISR、高官輸送、空中早期警戒にも転用可能と同社が見ていると紹介。ガルフストリームはE-3AWACSやRC-135リヴェットジョイント後継機候補にもなるという。
  8. 「これまでは大型機が必要と思われてきたミッション多数で旅客機を原型にしてきましたが今やガルフストリームが適正機材になっています。当社は各分野での応用に前向きに取り組んでいます」(ミラー)
  9. 「空軍は開かれた対話に前向きで当社製品の性能と将来のミッション要求内容に関する意見交換に乗ってくれています。二種類の機材で先入観による判断は働いていないことに自信があります。既存機種から推測が生まれがちですが当社は大きな可能性を見ています」
  10. 興味深いのはガルフストリーム社幹部が同業他社に言及しなかったことで、ボンバルディアはその例だ。そのかわりにG550のコスト低水準や高高度でのミッション能力、高速性能、中距離飛行性能が民間旅客機よりも有利だと主張した。
  11. G550の上昇限度51千フィートは通常の旅客機より10千フィートほど高いとミラーは指摘し、軍用装備で若干の高度性能、速度や航続距離が下がるのは共通と指摘した。
  12. JSTARS(共用監視目標捕捉攻撃レーダー機)の場合は地上、空中共に監視し戦場の全体像を作る必要があり、高高度飛行性能は有利に働く。悪天候や他機の飛行も避けられるとミラーは指摘。
  13. また同機の速度マッハ0.85は民間旅客機平均0.82より高く、高高度に早く到達できる。長い航続距離は途中の給油回数を少なくし現地で長時間情報を集められるとミラーは述べた。
  14. 他方でボーイングは737を原型に特殊用途機材として売り込む意向で、空軍の現行特殊用途機はJSTARTSであれAWACSあるいはリヴェットジョイントまでボーイング製旅客機の軍用転用型が大部分だ。
  15. ボーイングと同社支持派の主張は737-700のサイズが大きいことが大きな利点になるという。余裕ある空間、出力、冷却能力で追加装備の搭載が将来に発生しても対応できるからだとする。
  16. だがガルフストリームの言い分は違い、大きすぎることが良いとは限らないとする。
  17. 「拡張の余裕があるということはミッションに必要以上の機数を提供することになりませんか」とミラーは言う。技術の進歩で装備は小型化し電力消費も少なくなり、冷却の必要も減るということだ。人手も減るので乗員数も減らせるとミラーは続けた。■

2016年4月20日水曜日

★F-22生産再開>空軍へ検討を求める下院予算法案




日のないところに煙は立たず。先日お伝えしたF-22生産ライン再開の構想は突拍子もない思い付きではなかったのですね。ただし文中にもあるように生産再開が経済性を無視した事業になるのは必至です。(その場合は日本やイスラエルに請求書を回せばよいとの主張がでるのでは) さらにA型をそのまま再開するより技術改良を反映したB型(仮称)を生産してこそ意味があるのであり、この開発にさらに資源が必要ですからどう考えてもそのまま実現するとは思えませんね。
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House Legislation Orders F-22 Restart Study

Lara Seligman and Joe Gould, Defense News 6:21 p.m. EDT April 19, 2016

SKOREA-MILITARY-DEFENCE
(Photo: JUNG YEON-JE/AFP/Getty Images)
WASHINGTON — ロッキード・マーティンがF-22ステルス戦闘機の生産ラインを閉鎖してほぼ5年、米下院は空軍へ組立再開の検討を命じたと4月19日火曜日に公表した。
  1. 当時の国防長官ロバート・ゲイツによりロッキードのマリエッタ(ジョージア)、フォートワース(テキサス)両施設でのF-22生産は187機で終了した。当初は749機が調達予定だった。ここにきて米軍の技術優位性がロシア・中国に対し減少中との恐れがましており、下院では今年度の予算審理中に生産ライン再開に特に強い関心が示されている。また運用中のF-22がヨーロッパ、中東に急きょ展開しているのも注目を集めている。
  2. 下院軍事委員会の戦術航空・陸上兵力小委員会は2017年度国防政策法案の一部に空軍長官に対しF-22を最低194機追加調達した場合の費用検討を求める項目を追加した。また検討結果を議会内該当委員会に2017年1月1日までに提出するよう求めている。
  3. 「米国の航空優越性への脅威が敵方が技術格差を縮めることで増大する一方、同盟国協力国から高性能装備・多用途機材で世界の安全保障脅威に対応したいとの要望が増えていることにかんがみ、当委員会はかような要望はさらに検討の価値があるものと信ずる」と法案は述べている。
  4. ただし、空軍関係者は一貫してラプター生産再開は巨額の予算だけ使う無駄だと主張している。RAND研究所が行った2010年の空軍委託研究ではF-22を75機生産した場合の総費用を2008年価格で170億ドルと見積もっている。
  5. 同法案では共用目標監視攻撃レーダーシステム(JSTARS)の次期機体整備の加速化に関する情報提示を求めている。2017年度予算要求では技術生産開発契約交付が最大六か月遅れると見込み、実施が2018年になれば初期作戦能力獲得も一年遅れ2024年になる。
  6. JSTARSは現在16機稼働中だが、2025年度には10機不足するとペンタゴンは見ており、同法案では空軍長官にJSTARS再整備計画を二案準備するよう求め、委員会には12月1日期限でないよう報告を求めている。
  7. 同法案では空軍が実施中の技術成熟化およびリスク低減(TMRR)作業への不満が表明されており、空軍は代替レーダー技術を模索すべきとしている。
  8. 他方、同法案はF-35共用打撃戦闘機事業の維持支援戦略の分析を連邦会計検査院院長に求め、4月1日までに議会国防関連諸委員会へ結果報告を求めている。
  9. 同機の調達戦略は海外諸国の参画が前提で、F-35事業推進室を率いるクリス・ボグデン中将は「世界規模の維持管理制度」の構築をめざしている。同中将は現状のサプライチェーンでは増産や日常点検に対応した作業ができなくなると警告している。■

2015年7月11日土曜日

★LRS-B>選定決定は秋ごろに延期、次期JSTARS機も選定に向かう



LRS-Bの契約選定が遅れるのは結果の重大性を考えると米空軍が相当に逡巡していることの証拠です。LRS-Bは既存技術を多用したかなり「常識的」な機体になりそうですが、受注に失敗した企業にとっては辛い結果になると言われてきましたが、実態はそうでもなさそうですね。注目したいのは下にさり気なく挿入されたJSTARSの次期機体の話題です。技術の進歩でかなりダウンサイズした期待になりそうですね。

Air Force: Next-gen bomber award could slip into fall

By Brian Everstine, Staff writer3:01 p.m. EDT July 9, 2015

米空軍は新型長距離打撃爆撃機(LRS-B)の契約交付を先送りし、三ヶ月程度遅らせると発表した。
  1. 空軍次官(調達)ビル・ラプランテBill LaPlanteによれば公表時期は「でき次第」だとし、拙速より正しい結果を重視するという。導入機材は50年間の供用の予定で、発表時期を急ぐ必要はないとの考えだ。
  2. ラプランテは「正しい結果を得るべく、正しい時期に正しい方法で始めるのが肝要だ」と戦略国際研究センター(ワシントンDC)で7月9日に語った。
  3. ラプランテ発言の前に空軍長官デボラ・リー・ジェイムズがロイター通信に契約交付は9月になりそうだと伝えている。
  4. 契約獲得をめぐり争う二社は結果如何で大きな影響を受けそうだ。B-2で実績があるノースロップ・グラマンロッキード・マーティンボーイング共同事業体だ。
  5. B-52後継機として空軍は80機ないし100機の導入を希望し、導入開始を2020年、機体単価を500百万ドル、事業規模は総額800億ドルと見込んでいる。
  6. この事業は議会の批判の的となっており、下院による2016年度国防予算認可法案では460百万ドル減額されたが、実際の開発研究予算は非公開あるいは「闇の」予算に盛り込まれている。
  7. 空軍は新型爆撃機について口を閉ざしており、ステルス性以外に核・非核運用、任意で有人操縦とする、とだけわかっている。
  8. また空軍は共用監視目標捕捉攻撃レーダーシステム(JSTARS)の次期機種に関し第一選定で三社程度に絞り込む意向だ。空軍は最終的に一社に契約交付し、実機の生産を開始させるとラプランテは説明した。
  9. 米空軍は現在JSTARS18機を運用しており、各機は長距離レーダーで地上車両の探知、捕捉ができる。機体は旧式になったボーイング707-300で、ボーイングはすでに同機の生産を終了して久しく、代替機を探すのは困難かつ高価格になっている。
  10. ロッキード・マーティン、レイセオンボンバルディアは共同で長距離ボンバルディアビジネスジェットを基にした案を提案している。ノースロップ・グラマンはガルフストリームL-3の各社と組んでガルフストリームG550の改修案を発表済み。ボーイングは737で参入を図る。■


2014年9月26日金曜日

次期JSTARSに737-700改装案を売り込むボーイング




Boeing Eyes 737-700 Solution for New JSTARS

Sep. 12, 2014 - 01:22PM   |  
By AARON MEHTA   |   
Boeing is looking at its 737-700 airframe as a potential winner for the Air Force's next-generation JSTARS program.
ボーイングは空軍向け次期JSTARS機材に737-700を推す(Boeing Illustration)

WASHINGTON — ボーイングは米空軍向け共用監視目標攻撃用レーダーシステム (JSTARS) の後継機に737-700を原型とする案を提案する。
  1. 「現時点で判明している米空軍の要求内容に基づくと737-700が機体寸法、重量、出力、冷却のいずれも現在および将来のJSTARミッションに最適」と同社広報のカロライン・ハチソンCaroline Hutcheson がeメールで伝えてきた。

  1. 現時点で18機あるJSTARSはボーイング707-300を改造して長距離レーダーを搭載し空軍によれば124マイル先の地上車両を発見、追跡、分類できる。

  1. ただし空軍は次期JSTARSの要求性能を整理していない。大型機材を選べば、737は好条件となる。737-800には海軍P-8哨戒機もあり、商用機から軍用機を作ることがボーイングの戦略の一部になっている。ただし空軍が小型機を選ぶ可能性もある。その場合はボンバルディアガルフストリームが契約を獲得するだろう。

  1. Tealグループのリチャード・アブラフィアRichard Aboulafia of the Virginia-based Teal Group によれば機体サイズの選択は空軍が一部のデータを機外で処理するのか機内にすべて搭載させるかの選択次第だろうという。
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  1. 「現行JSTARSと同等の能力なら最新のコンピュータやレーダーでガルフストリームにも搭載可能で、処理能力は相当早くなっている」(アブラフィア)

  1. どちらにせよ次期JSTARSは民間商用機が原型になる。

  1. 「新規開発機体でなく、実証済みの技術をセンサーに使い、実証済みの戦闘管理指揮命令ソフトウェアを使える」とウィリアム・ラプランテ調達担当空軍次官William LaPlante, Air Force undersecretary for acquisition が語っている。

  1. 「次期JSTARSの課題は技術統合です。これを許容できる時間内に実現したい。統合とは実際には難しい仕事です」レイセオンやノースロップ・グラマンが統合の実績がある。■