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2018年10月16日火曜日

対米貿易黒字改称にフォード級空母四隻購入すればよいとの人民日報社説はアメリカに喧嘩を売っている

今回は人民日報英語版の社説です。米最新鋭空母をまとめ買いするなどと冗談にせよ普通は言わないのではないでしょうか。悪いのはトランプだとし自国は何も悪いことはしていない、国連システムの内側で行動しており何らやましいことはないとの主張ですが、そもそも今の問題がどこから発生しているのか、地政学的にあまりにも露骨な米国への挑戦的態度が対立の根底にあることは都合よく忘れているようです。なお当ブログは中国政府の主張を代弁するものではありませんのであしからず。

 

Op-ed: US not at a disadvantage in economic and trade ties with China 社説 米国は対中貿易で何ら不利な状況に追いやられていない

By Zhong Xuanli (People's Daily)    10:12, October 12, 2018

国は中国との貿易赤字で「不利な状況」におかれ「経済侵略を受けている」と主張しているがこれは全くの誤りだ。

米中貿易は相互に自主性がありかつ補完的である。中国は一度も米国との貿易関係を強制的にすすめようとしたり、貿易黒字を希求したことはない。

国連統計によれば2017年の米国による対中輸出は1,298.9億ドルで2001年の191.8億ドルから577パーセント増加している。米国の各国向け輸出の伸び平均112パーセントを遥かに上回る伸長ぶりだ。

米国が対中輸出品目を制限し一部ハイテク製品の販売を禁止しながらこれだけの成長を実現したことに注目すべきだ。

米国の対中貿易赤字は米国がハイテク製品の対中輸出を解禁すれば減少するだろう。もし米国がフォード級空母四隻(単価150億ドル)を売却すればそれだけで赤字分600億ドルが消える計算だ。「下線ブログ筆者)

カーネギー平和財団が2017年春に発表した報告書では米国が対中輸出制限を撤廃し、ブラジルやフランス並の扱いにすれば米国の対中貿易赤字は24パーセントから35パーセント減ると指摘している。

自国内で製品設計と販売活動を展開しながら生産活動は海外に移転する傾向が米国でこの10年で加速しており、中国が最大のグローバル工業拠点になった。

大量の中国からの対米輸出の中身は実は米国が設計し中国国内で生産した製品だ。中国企業に生産活動分の収入が入るものの、物流で価格を計上する企業に比べて低利益率だ。そのため中国が米国から収益を吸い上げているとの主張は全くの誤りである。

「経済侵略」ではなく中国国内の経済開発からグローバル経済に成長機会が生まれている。中国は2013年以降の世界経済成長でおよそ30パーセント分の貢献をしており世界最大の規模だ。2017年は34.6パーセントに達し、米国実績の二倍近くだ。

中国国内の経済開発によりグローバル市場も拡大している。2001年から2017年にかけて中国が輸入した物品の伸びは毎年平均13.5パーセントであり、世界平均の二倍近い。同時期に中国が輸入したサービスの平均成長率は16.7パーセントを記録し、世界平均の2.7倍に達した。

雇用創出でも中国は重要な地位を占める。80箇所以上の貿易協力地帯が一帯一路関係国で生まれ、244千名分の現地雇用につながった。アーンストアンドヤングによれば中国はアフリカだけで13万名の雇用を2005年から2016年にかけ創出し、米国による実績の三倍になった。

ラテンアメリカ・カリブ海地域では1990年から2016年にかけて180万名の雇用機会を中国が創出したと国際労働機関が報告書で述べている。

中国が米国内の仕事を「盗んでいる」との主張が米国内にあり、米企業が工場を中国に移転したためとする。だがその主張は公平でなく根拠もない。

2017年の米中ビジネス協議会調べでは2015年の米国から中国への輸出と米中二国間の投資で米国内260万名の雇用が維持された。

Ball State University(インディアナ州)の研究結果では米国の製造業の雇用の最盛期は1979年でそれ以降7百万名分の仕事が消えたとするがその88パーセントはロボット他が取って代わり、工場での労働力そのものの需要が減ったのである。このことから米国内の雇用消失に中国は無関係であることがわかる。


中国の側から貿易摩擦を開始したのではない。逆に中国は世界貿易機関WTOでの責任を広く果たしている。


中国は開発途上国への援助を増加させており、とくに最貧国を重視している。これは南北の開発格差を埋める一環である。2018年3月までに最貧国で中国と外交関係のある国向け全関税品目で中国は97%まで関税ゼロを達成している他、覚書を交換している。

中国は2018年にさらなる市場開放や市場アクセス開放策を発表した。サービス部門特に金融産業での全面的開放を約束している。

「相互開放」を旗印に「国益」を標的にする言い訳として米国は国内投資委員会(CFIUS)を発足させており情報機関含む全省庁を参加させている。「国家安全保障」の概念は絶えず拡大されており海外企業の米国内参入を拒むツールだ。

2017年、CFIUSが制限を加えた海外企業は20社超えで半分が中国企業で、「国家安全保障」を理由に米国参入を禁止した。

米中両国はWTO加盟国であり通商問題はWTOの枠組みで解決をめざすべきだ。だが米国はWTOの紛争解決の仕組みを無視し貿易摩擦を国内法で解決しようとしている。

米国の振る舞いはWTOの基本原則に完全に反しているばかりか関税引き下げの努力義務にも違反しているのであり、最恵国待遇の取扱でも同様だ。■

さあ、以上の中国の主張にいくつ誤りがあるか読者諸氏からのご指摘をお待ち申し上げています


2018年8月13日月曜日

★終わりの始まりか 2018年は中国の曲がり角の年として記憶される



米国を本気で怒らせてしまったのは習近平の稀に見る失敗で、このままだと政権基盤もあやうくなるでしょう。思い上がった中国が国際政治の力のバランスを崩すと公言したことが原因とも思いますが、見るに余る中国の言行をここで叩かねばとの思いが米政権にあるからでしょう。たしかに円-人民元レートで見てもずっと人民安になっており、輸出ビジネスなら通貨安で喜ぶはずなのに中国経済は不安に包まれています。そうした事実をなんとか伝えないようにしている日本のメディアとは一体どういう神経なのでしょうかね。中国の場合は一方に偏った意見ばかりではないところがまだ救いなのですが、機を見てから出ないとこうした声が出ず、気がついたら批判合戦になるということの繰り返しのような気がします。民主主義ともっとも縁がない国なのでしょうね。何でもいいですけど世界に迷惑を与えない国になってもらいたいものです。

 

Cracks may be starting to show in Xi Jinping's absolute rule over China due to Trump's trade warトランプの貿易戦争発動で習近平の鉄壁の統治にヒビが入り始めてきた





Xi JinpingReuters/Damir Sagolj
  • 米中貿易戦争の激化で中国共産党CPCに大きな亀裂が生まれている
  • 反対は弾圧を続けてきた習だが党内に中国のイメージ悪化、習の貿易問題対処に不満を持つ向きが出現
  • 中国政府に近い筋はロイターに中国の国家主義が米国を刺激し中国経済を痛めていると指摘
  • 産経新聞によれば胡錦濤含む党内長老がCPCの経済外交政策見直しを求めるという異例の書簡を送付


中間の貿易戦争激化で内部筋によれば中国共産党内部の指導層にも緊張が高まっているという。
この十年間の習近平は権力集中で中国国内統治を強化し軍と政府への支配を強め反対派は政治犯として弾圧してきた。
その過程で中国の宣伝工作は中国を強国で国民一丸となった国家としその中心が習近平だと声高に主張してきた。
中国政府に近い筋複数からこうした強気の動きが裏目に出て米国を挑発した結果、経済史上最大とも言われる経済戦争につながったとロイターに述べている。
政策顧問の一人は匿名で中国経済の見通しが「暗く」なり対米関係も通商をめぐり悪化していることで指導部へ懸念が生まれているとロイターに語っている。「貿易摩擦が貿易戦争に発展して考え直す人が増えている」「中国の国力が過大に語られてきたことで米国の考え方が影響を受け中国国内でも別の考え方が出てきたと指摘する専門機関がある」
更に別の筋から政府上層部内部に反感が生まれており、習近平を強力な指導者として売り込んできた張本人Wang Huning王沪宁に反動が及ぶとの声がある。
「宣伝工作に熱中して中国を持ち上げすぎたのはこの男ですよ」と中国統治の中枢で宣伝工作に携わる筋が述べている。
不満の声は中国共産党上層部にも響き渡っている。
産経新聞に寄せられた内部筋の話によれば党長老の胡錦濤前主席最高指導者、前首相温家宝含む数名が7月に党指導部へ書簡を送り、経済外交政策の見直しを求めさらに党が特定個人によるカルト的指導に向かっていると指摘したという。
CPCの長年の党員のひとり(胡錦濤に近い人物)は産経新聞に習近平の「独裁政権」への支持が消え始めたのは6月のことで国家による宣伝工作の中で本人の存在が消え始めたという。7月には習近平の名前が国家メディア人民日報の一面に現れない現象が一週間に二回発生した。
習は先月に政治局会議を唐突に求め、党内25名の最高実力者で構成する決定期間で米関税で打撃を受けた経済の安定化策を検討したといわれる。
習は恒例の北戴河Beidaihe避暑地での党指導部学習会合では習の指導力と米中貿易戦争が主な議題になると台湾報道機関Taiwan Newsは見ている。
今週になり米国、中国はともに貿易戦争を激化しており、米国は中国産品160億ドル相当に8月23日から25%関税を課すと発表している。

反対に中国も米国産品160億ドルに25%関税を同日から課すと発表したが、専門家からは中国の対応策が底をつきはじめており、米国が中国から輸入する規模がその逆より大きいため中国経済が受ける打撃のほうが深刻との指摘がある。■